JP2002026686A - 弾性表面波素子及びその製造方法 - Google Patents

弾性表面波素子及びその製造方法

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JP2002026686A
JP2002026686A JP2000212621A JP2000212621A JP2002026686A JP 2002026686 A JP2002026686 A JP 2002026686A JP 2000212621 A JP2000212621 A JP 2000212621A JP 2000212621 A JP2000212621 A JP 2000212621A JP 2002026686 A JP2002026686 A JP 2002026686A
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acoustic wave
surface acoustic
wave device
film
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Masanobu Watanabe
雅信 渡邊
Kazuhiro Inoue
和裕 井上
Toshio Hagi
敏夫 萩
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被覆電極膜による特性の低下を回避しつつ、
耐電力性を向上させることが可能な弾性表面波素子及び
該弾性表面波素子を効率よく製造することが可能な弾性
表面波素子の製造方法を提供する。 【解決手段】 圧電基板2上にIDT電極3を形成した
弾性表面波素子1において、電極3を、(a)圧電基板2
の表面に形成された下層電極膜6と、(b)下層電極膜6
上に形成された上層電極膜7と、(c)下層電極膜6及び
上層電極膜7の側面を被覆するように形成された側面被
覆電極膜8とを備えた構造とする。また、圧電基板にレ
ジストパターンを形成した後、下層電極膜、上層電極
膜、被覆電極膜を順に形成し、次いで、異方性ドライエ
ッチングによって、被覆電極膜の上面のみをエッチング
し、その後、レジストを剥離して、側面部のみに被覆電
極膜が形成された電極構造を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は弾性表面波素子及
びその製造方法に関し、詳しくは、アンテナデュプレク
サなどに用いるのに適した、耐電力性の高い電極を有す
る弾性表面波素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【関連技術及び発明が解決しようとする課題】弾性表面
波素子は、通常、圧電性を有する基板の表面に、Al膜
などからなる櫛形形状のインターデジタルトランスデュ
ーサ(以下、「IDT」という)電極を設けることによ
り形成されており、共振器、段間フィルタ、デュプレク
サなどの用途に広く用いられている。
【0003】また、近年は、小型、軽量化された携帯電
話などの移動体通信端末装置の開発が急速に進められて
いる。そのため、これらの移動体通信端末装置に使用さ
れる部品の小型化が求められており、RF部(高周波
部)の小型化に寄与する共振器、段間フィルタ、デュプ
レクサなどの弾性表面波素子の必要性も急速に増大して
いる。その中でもアンテナデュプレクサは、RF部のフ
ロントエンド部に位置し、高い耐電力性が要求されてい
る。
【0004】このように、移動体通信の高周波化に伴っ
て、弾性表面波素子を用いた弾性表面波装置(SAWデ
バイス)の動作周波数も数百MHzから数GHzにまで
高周波化に対応するとともに、高出力化にも対応するこ
とが必要になっている。
【0005】そして、高周波化に対応するためには、I
DT電極のパターン幅を微細化することが必要となり、
中心周波数2GHz帯フィルタでは電極線幅を約0.5
μmにまで微細化することが必要になる。また、このよ
うに微細な線幅を有する弾性表面波素子に高電圧レベル
の信号を印加すると、弾性表面波によってIDT電極
(例えばAl膜)が強い応力を受ける。そして、この応
力がIDT電極(Al膜)の限界応力を超えると、スト
レスマイグレーションが発生して、電極材料であるAl
原子が結晶粒界を移動し、その結果、ヒロックやボイド
などが発生して、IDT電極が破壊し、電気的短絡や挿
入損失の増加、共振子のQの低下などの特性劣化を引き
起こすに至る。
【0006】このような問題を解決するために、本願出
願人は、先に、特願平11−336067号の特許出願
を行っており、かかる出願において、図7に模式的に示
すように、圧電基板22と、圧電基板22上に形成され
た電極膜(上層電極膜)27の間に下層電極膜26を設
けるとともに、下層電極膜26と上層電極膜27の露出
面を被覆する被覆電極膜38を設けた弾性表面波素子2
1を提案している。この弾性表面波素子21において
は、上層電極膜27の配向性を向上させることが可能な
下層電極膜26を設けているの、耐電力性が向上すると
いう効果が得られる。また、下層電極膜26と上層電極
膜27の露出面を被覆する被覆電極膜38を設けている
ので、ヒロックの発生を抑制することができるという効
果が得られる。
【0007】しかしながら、この弾性表面波素子21に
おいては、耐電力性が向上する一方において、被覆電極
膜38のために、表面弾性波の伝搬ロスが最小となる上
層電極膜27の厚みが小さくなり、損失が大きくなって
特性が低下する傾向があり、さらなる特性の改善を図る
ことが必要になっている。
【0008】本願発明は、かかる実情に鑑みてなされた
ものであり、被覆電極膜による特性の低下を回避しつ
つ、耐電力性を向上させることが可能で、しかも、スト
レスマイグレーションの発生などを抑制することが可能
な、信頼性の高い弾性表面波素子及び該弾性表面波素子
を効率よく製造することが可能な弾性表面波素子の製造
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明(請求項1)の弾性表面波素子は、圧電基
板と、前記圧電基板上に形成された電極とを備えた弾性
表面波素子であって、前記電極が、(a)前記圧電基板の
表面に形成された下層電極膜と、(b)前記下層電極膜上
に形成された上層電極膜と、(c)前記下層電極膜及び前
記上層電極膜の側面を被覆するように形成された側面被
覆電極膜とを具備する構造を有していることを特徴とし
ている。
【0010】本願発明の弾性表面波素子においては、圧
電基板と上層電極膜との間に下層電極膜を配設するよう
にしているので、上層電極膜の配向性が向上し、耐電力
性が向上する。
【0011】また、側面被覆電極膜により下層電極膜及
び上層電極膜の側面が被覆された構造となっているの
で、ストレスマイグレーションによるヒロックの発生を
抑制することが可能になり、電気的特性を高く保持する
ことが可能になる一方、上層電極膜の上面には、被覆電
極膜が形成されていないので、上層電極膜の膜厚を大き
くすることができるため、被覆電極膜の配設されていな
い弾性表面波素子と同等の特性を得ることが可能にな
る。
【0012】また、請求項2の弾性表面波素子は、前記
下層電極膜が、Tiを主成分とする材料を用いて形成さ
れていることを特徴としている。
【0013】下層電極膜を、Tiを主成分とする材料を
用いて形成した場合、その上に形成される上層電極膜の
配向性を向上させることが可能になり、所望の特性を備
えた弾性表面波素子を確実に形成することが可能にな
る。
【0014】また、請求項3の弾性表面波素子は、前記
側面被覆電極膜が、TiN、ZrN、WN、Ti、C
u、Pd、Cr、Mo、Ta、及びNiからなる群より
選ばれる少なくとも1種を主成分とする材料を用いて形
成されていることを特徴としている。
【0015】側面被覆電極膜を、TiN、ZrN、W
N、Ti、Cu、Pd、Cr、Mo、Ta、及びNiか
らなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とする材
料を用いて形成した場合、上層電極を構成する材料のス
トレスマイグレーションを抑制して、信頼性の高い弾性
表面波素子を確実に形成することができるようになる。
【0016】また、請求項4の弾性表面波素子は、前記
上層電極膜が、Al又はAlにTi、Cu、Pd、C
r、Mo、W、Ta、及びNiからなる群より選ばれる
少なくとも1種を添加した材料を用いて形成されている
こと特徴としている。
【0017】上層電極膜を、Al又はAlにTi、C
u、Pd、Cr、Mo、W、Ta、及びNiからなる群
より選ばれる少なくとも1種を添加した材料を用いて形
成した場合、所望の特性を備えた弾性表面波素子を確実
に形成することができるようになる。
【0018】また、本願発明(請求項5)の弾性表面波
素子の製造方法は、(a)圧電基板上にレジストパターン
を形成する工程と、(b)前記レジストパターンを介して
圧電基板上に下層電極膜及び上層電極膜を形成する工程
と、(c)前記下層電極膜と前記上層電極膜の露出面を被
覆する被覆電極膜を形成する工程と、(d)異方性ドライ
エッチングによって前記被覆電極膜の上面のみをエッチ
ングする工程と、(e)前記レジストパターンを除去し
て、レジスト上に堆積した金属膜をリフトオフする工程
とを具備することを特徴としている。
【0019】本願発明の弾性表面波素子の製造方法は、
レジストパターンを形成した後、下層電極膜、上層電極
膜、被覆電極膜を順に形成し、次いで、異方性ドライエ
ッチングによって、被覆電極膜の上面のみをエッチング
し、その後、レジストを剥離して、側面部のみに被覆電
極膜が形成された電極構造を得るようにしているので、
ドライエッチングの工程では、圧電基板表面がレジスト
により覆われた状態となるため、圧電基板にダメージを
与えることなく、上面側の被覆電極膜を除去して、側面
側の被覆電極膜(側面被覆電極膜)のみを確実に残すこ
とが可能になる。したがって、請求項1〜4の弾性表面
波素子を確実に製造することが可能になる。
【0020】また、レジスト形成工程とドライエッチン
グ工程が一回で済むため、製造工程を簡略化して、生産
コストの低減を図ることが可能になる。なお、異方性ド
ライエッチングとは、イオンの入射方向にのみエッチン
グが進行するようなエッチング方法を意味する概念であ
る。
【0021】また、請求項6の弾性表面波素子の製造方
法は、前記下層電極膜及び前記上層電極膜を蒸着法によ
り形成し、前記被覆電極膜をスパッタリング法によって
形成することを特徴としている。
【0022】下層電極膜及び上層電極膜を蒸着法により
形成することにより、金属粒子が垂直に入射するため、
電極断面を矩形に形成することが可能になり、また、被
覆電極膜をスパッタリング法によって形成することによ
り、金属粒子の飛来の方向性がないため、電極の上面だ
けでなく、電極の側面も確実に覆うことが可能になる。
【0023】また、請求項7の弾性表面波素子の製造方
法は、前記下層電極膜及び前記上層電極膜を、 (a)成膜圧力:0.04Pa以下、 (b)ターゲットと圧電基板の間の距離:250mm以上 の成膜条件でスパッタリング法によって形成することを
特徴としている。
【0024】スパッタリング法により、成膜圧力:0.
04Pa以下、ターゲットと圧電基板の間の距離:25
0mm以上の条件で、下層電極膜及び上層電極膜を形成す
ることにより、金属粒子の垂直入射性を高めて、電極断
面を矩形に形成することが可能になる。
【0025】また、請求項8の弾性表面波素子の製造方
法は、前記下層電極膜を、Tiを主成分とする材料を用
いて形成することを特徴としている。
【0026】下層電極膜を、Tiを主成分とする材料を
用いて形成することにより、その上に形成される上層電
極膜の配向性を向上させることが可能になり、所望の特
性を備えた弾性表面波素子を確実に形成することが可能
になる。
【0027】また、請求項9の弾性表面波素子の製造方
法は、前記被覆電極膜を、TiN、ZrN、WN、T
i、Cu、Pd、Cr、Mo、Ta、及びNiからなる
群より選ばれる少なくとも1種を成分とする材料を用い
て形成することを特徴としている。
【0028】被覆電極膜を、TiN、ZrN、WN、T
i、Cu、Pd、Cr、Mo、Ta、Niのいずれかを
主成分とする材料を用いて形成することにより、上層電
極膜などの構成材料が、ストレスマイグレーションを引
き起こすことを抑制して、所望の特性を備えた弾性表面
波素子を確実に形成することができるようになる。
【0029】また、請求項10の弾性表面波素子の製造
方法は、前記上層電極膜を、Al又はAlにTi、C
u、Pd、Cr、Mo、W、Ta、及びNiからなる群
より選ばれる少なくとも1種を添加した材料を用いて形
成することを特徴としている。
【0030】上層電極膜を、Al又はAlにTi、C
u、Pd、Cr、Mo、W、Ta、及びNiからなる群
より選ばれる少なくとも1種を添加した材料を用いて形
成するようにした場合、所望の特性を備えた弾性表面波
素子を確実に形成することができるようになる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を示
して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0032】[実施形態1]図1は、本願発明の一実施
形態にかかる弾性表面波素子を模式的に示す平面図であ
り、図2は、本願発明の一実施形態にかかる弾性表面波
素子の要部を示す断面図である。この実施形態の弾性表
面波素子1は、図1に示すように、LiTaOやLi
NbOなどからなる圧電基板2の表面に、電極(ID
T電極)3と、リフレクタ用電極4,5を配設すること
により形成されている。
【0033】そして、IDT電極3(及びリフレクタ用
電極4,5)は、図2に示すように、圧電基板2の表面
に形成された下層電極膜6と、下層電極膜6上に形成さ
れた上層電極膜7と、下層電極膜6及び上層電極膜7の
側面を被覆するように形成された側面被覆電極膜8とを
備えた構造を有している。なお、下層電極膜6はTi膜
から形成され、上層電極膜7はAl膜から形成されてい
る。また、側面被覆電極膜8はTiN膜から形成されて
いる。
【0034】上述のような電極構造を備えたこの弾性表
面波素子1においては、圧電基板2と上層電極膜7との
間に下層電極膜6が配設されているので、上層電極膜7
の配向性が向上し、耐電力性が向上するとともに、下層
電極膜6及び上層電極膜7の側面が側面被覆電極膜8に
より被覆された構造を有しているので、ストレスマイグ
レーションによるヒロックの発生が抑制、防止され、I
DT電極3の電気的短絡や挿入損失の増加、共振子のQ
の低下などの特性劣化を防止して、電気的特性を高く保
持することが可能になる。また、その一方で、上層電極
膜7の上面には、被覆電極膜が形成されていないので、
上層電極膜の膜厚を大きくすることができるため、被覆
電極膜の配設されていない弾性表面波素子と同等の特性
を得ることができる。
【0035】[実施形態2(弾性表面波素子の製造方
法)]次に、上記弾性表面波素子の製造方法について説
明する。 LiTaOやLiNbOなどからなる圧電基板上
に、光反応性樹脂(以下、単に「レジスト」という)を
塗布し、続いて所望の電極図形を描いた光遮蔽板(マス
ク)を通して露光した後、レジストを現像液により現像
して、図3に示すように、圧電基板2上に、所定形状の
レジストパターン11を形成する。なお、レジストパタ
ーン11のレジスト除去部(空隙部)11aの断面形状
は、下広がりの台形状(テーパー形状)となっている。 次に、図4に示すように、レジストパターン11の上
から、蒸着法により、下層電極膜6であるTi膜と、上
層電極膜7であるAl膜を成膜する。 それから、Nガスを導入して、成膜圧力0・01P
a以上の条件でスパッタリングを行うことにより、図5
に示すように、TiN膜(被覆電極膜)18を、下層電
極膜6と上層電極膜7の露出面を被覆するように形成す
る。 次に、上方から、CF+Oガスを用いた異方性ド
ライエッチングを行うことにより、図6に示すように、
被覆電極膜18の上面のみをエッチングして除去する。
これにより、被覆電極膜18のうちの、下層電極膜6と
上層電極膜7の側面を被覆する部分(側面被覆電極膜
8)はそのまま残存することになる。なお、このドライ
エッチング工程では、上層電極膜7であるAl膜はエッ
チングされない。 その後、レジスト剥離液に浸漬して、レジスト(レジ
ストパターン)11を剥離液に溶解させ、圧電基板2か
らリフトオフすることにより、図2に示すように、下層
電極膜6、下層電極膜6上に形成された上層電極膜7、
下層電極膜6及び上層電極膜7の側面を被覆する側面被
覆電極膜8を備えた構造のIDT電極3が形成される。
【0036】上述の工程を経て弾性表面波素子1(図
1)を製造するようにした場合、圧電基板2と上層電極
膜7の間に下層電極膜6が配設されるため、上層電極膜
7の配向性を向上させて耐電力性を向上させることが可
能になるとともに、ドライエッチング工程において、圧
電基板2の表面がレジスト11で覆われているため、圧
電基板2にダメージを与えることがなく、特性の劣化を
防止して、所望の特性を備えた弾性表面波素子1を確実
に製造することができる。
【0037】また、レジスト形成工程とドライエッチン
グ工程が一回で済むため、製造工程を簡略化して、生産
コストの低減を図ることが可能になる。
【0038】なお、上記実施形態の方法では、電極形状
が下広がりの台形状となり、上方からのエッチングで
は、レジストがない場合には、側面被覆電極膜8もエッ
チングされることになるが、図5に示すように、レジス
トパターン11のレジスト除去部(空隙部)11aの断
面形状が、下広がりの台形状(テーパー形状)となって
おり、上面側開口部11bの幅Wが狭く、IDT電極3
の上面側の幅wとほぼ同等となっているため、側面被覆
電極膜8がレジスト(パターン)11により保護され、
エッチングされてしまうことが防止される。
【0039】[実施形態3(実施形態2の変形例)]上
記の実施形態2では、の工程で、蒸着法により下層電
極膜6であるTi膜と上層電極膜7であるAl膜を成膜
するとともに、の工程で、スパッタリング法により成
膜圧力0・01Pa以上の条件で、下層電極膜6と上層
電極膜7の露出面を被覆する被覆電極膜(TiN膜)1
8を形成するようにしているが、この及びの工程
を、以下の’及び’の工程に置き換えても、上記の
場合と同様のIDT電極3を形成することができる。
【0040】’図4に示すように、レジストパターン
11の上から、スパッタリング法により、下層電極膜6
であるTi膜と、上層電極膜7であるAl膜を成膜す
る。なお、上層電極膜7を形成するにあたっては、Al
を成膜圧力0・01Pa、ターゲット基板間距離400
mmの条件で成膜する。 ’それから、Nガスを導入して、成膜圧力0・15
Pa以上の条件でスパッタリングを行うことにより、図
5に示すように、TiN膜(被覆電極膜)18を、下層
電極膜6と上層電極膜7の露出面を被覆するように形成
する。
【0041】このように、上記実施形態2の及びの
工程を、この実施形態3の’及び’の工程に置き換
えた場合にも、その後に、ドライエッチング、及びレジ
スト(レジストパターン)のリフトオフの工程を実施す
ることにより、図2に示すように、下層電極膜6、下層
電極膜6上に形成された上層電極膜7、下層電極膜6及
び上層電極膜7の側面を被覆するように形成された側面
被覆電極膜8を備えた構造のIDT電極3を確実に形成
することができる。
【0042】なお、上記実施形態では、下層電極膜がT
i膜、上層電極膜がAl膜、側面被覆電極膜がTiN膜
である場合を例にとって説明したが、各電極膜の構成材
料はこれに限定されるものではなく、本願発明の範囲内
において、他の材料を選択して用いることも可能であ
る。
【0043】なお、本願発明は、さらにその他の点にお
いても、上記実施形態に限定されるものではなく、下層
電極膜、上層電極膜及び側面被覆電極膜の膜厚や形状、
レジストパターンの具体的な形状、圧電基板の種類や形
状などに関し、発明の要旨の範囲内において、種々の応
用、変形を加えることが可能である。
【0044】
【発明の効果】上述のように、本願発明(請求項1)の
弾性表面波素子は、圧電基板と上層電極膜との間に下層
電極膜を配設するようにしているので、上層電極膜の配
向性が向上し、耐電力性が向上する。また、側面被覆電
極膜により下層電極膜及び上層電極膜の側面が被覆され
た構造となっているので、ストレスマイグレーションに
よるヒロックの発生を抑制することが可能になり、電気
的特性を高く保持することが可能になる一方、上層電極
膜の上面には、被覆電極膜が形成されていないので、上
層電極膜の膜厚を大きくすることができるため、被覆電
極膜の配設されていない弾性表面波素子と同等の特性を
得ることができる。
【0045】また、請求項2の弾性表面波素子のよう
に、下層電極膜の構成材料として、Tiを主成分とする
材料を用いるようにした場合、その上に形成される上層
電極膜の配向性を向上させることが可能になり、所望の
特性を備えた弾性表面波素子を確実に形成することがで
きるようになる。
【0046】また、請求項3の弾性表面波素子のよう
に、側面被覆電極膜の構成材料として、TiN、Zr
N、WN、Ti、Cu、Pd、Cr、Mo、Ta、及び
Niからなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分と
する材料を用いるようにした場合、上層電極膜などの構
成材料のストレスマイグレーションを抑制して、所望の
特性を備えた弾性表面波素子を確実に形成することがで
きる。
【0047】また、請求項4の弾性表面波素子のよう
に、上層電極膜の構成材料として、Al又はAlにT
i、Cu、Pd、Cr、Mo、W、Ta、及びNiから
なる群より選ばれる少なくとも1種を添加した材料を用
いるようにした場合、所望の特性を備えた弾性表面波素
子を確実に形成することができるようになる。
【0048】また、本願発明(請求項5)の弾性表面波
素子の製造方法は、レジストパターンを形成した後、下
層電極膜、上層電極膜、被覆電極膜を順に形成し、次い
で、異方性ドライエッチングによって、被覆電極膜の上
面のみをエッチングし、その後、レジストを剥離して、
側面部のみに被覆電極膜が形成された電極構造を得るよ
うにしているので、ドライエッチングの工程では、圧電
基板表面がレジストにより覆われた状態となり、圧電基
板にダメージを与えることなく、上面側の被覆電極膜を
除去して、側面側の被覆電極膜(側面被覆電極膜)のみ
を確実に残すことが可能になる。したがって、請求項1
〜4の弾性表面波素子を確実に製造することができる。
また、レジスト形成工程とドライエッチング工程が一回
で済むため、製造工程を簡略化して、生産コストの低減
を図ることが可能になる。
【0049】また、請求項6の弾性表面波素子の製造方
法のように、下層電極膜及び上層電極膜を蒸着法によっ
て形成することにより、金属粒子が垂直に入射するた
め、電極断面を矩形に形成することが可能になり、ま
た、被覆電極膜をスパッタリング法によって形成するこ
とにより、金属粒子の飛来の方向性がないため、電極の
上面だけでなく、電極の側面も確実に覆うことが可能に
なる。
【0050】また、請求項7の弾性表面波素子の製造方
法のように、スパッタリング法により、成膜圧力:0.
04Pa以下、ターゲットと圧電基板の間の距離:25
0mm以上の条件で、下層電極膜及び上層電極膜を形成す
るようにした場合、金属粒子の垂直入射性を高めて、電
極断面を矩形に形成することが可能なる。
【0051】また、請求項8の弾性表面波素子の製造方
法のように、下層電極膜を、Tiを主成分とする材料を
用いて形成するようにした場合、その上に形成される上
層電極膜の配向性を向上させることが可能になり、所望
の特性を備えた弾性表面波素子を確実に形成することが
可能になる。
【0052】また、請求項9の弾性表面波素子の製造方
法のように、被覆電極膜を、TiN、ZrN、WN、T
i、Cu、Pd、Cr、Mo、Ta、及びNiの少なく
とも1種を主成分とする材料を用いて形成するようにし
た場合、上層電極膜などの構成材料のストレスマイグレ
ーションを抑制して、所望の特性を備えた弾性表面波素
子を確実に形成することができるようになる。
【0053】また、請求項10の弾性表面波素子の製造
方法のように、上層電極膜を、Al又はAlにTi、C
u、Pd、Cr、Mo、W、Ta、及びNiからなる群
より選ばれる少なくとも1種を添加した材料を用いて形
成するようにした場合、所望の特性を備えた弾性表面波
素子を確実に形成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態にかかる弾性表面波素子
を模式的に示す平面図である。
【図2】本願発明の一実施形態にかかる弾性表面波素子
の要部を示す断面図である。
【図3】本願発明の一実施形態にかかる弾性表面波素子
の製造方法の一工程において、圧電基板上にレジストパ
ターンを形成した状態を示す図である。
【図4】本願発明の一実施形態にかかる弾性表面波素子
の製造方法の一工程において、圧電基板上に下層電極膜
及び上層電極膜を形成した状態を示す図である。
【図5】本願発明の一実施形態にかかる弾性表面波素子
の製造方法の一工程において、下層電極膜及び上層電極
膜の露出面を被覆する被覆電極膜を形成した状態を示す
図である。
【図6】本願発明の一実施形態にかかる弾性表面波素子
の製造方法の一工程において、、上層電極膜の上面の被
覆電極膜をドライエッチングにより除去した状態を示す
図である。
【図7】本願発明が関連する弾性表面波素子の要部を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 弾性表面波素子 2 圧電基板 3 電極(IDT電極) 4,5 リフレクタ用電極 6 下層電極膜 7 上層電極膜 8 側面被覆電極膜 11 レジスト(レジストパターン) 11a レジスト除去部(空隙部) 11b 空隙部の上面側開口部 18 被覆電極膜 W 空隙部の上面側開口部の幅 w IDT電極の上面側の幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 萩 敏夫 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 5J097 AA26 BB01 BB11 BB15 DD29 FF03 HA02 KK09

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電基板と、前記圧電基板上に形成された
    電極とを備えた弾性表面波素子であって、 前記電極が、(a)前記圧電基板の表面に形成された下層
    電極膜と、(b)前記下層電極膜上に形成された上層電極
    膜と、(c)前記下層電極膜及び前記上層電極膜の側面を
    被覆するように形成された側面被覆電極膜とを具備する
    構造を有していることを特徴とする弾性表面波素子。
  2. 【請求項2】前記下層電極膜が、Tiを主成分とする材
    料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1記
    載の弾性表面波素子。
  3. 【請求項3】前記側面被覆電極膜が、TiN、ZrN、
    WN、Ti、Cu、Pd、Cr、Mo、Ta、及びNi
    からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とする
    材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1
    又は2記載の弾性表面波素子。
  4. 【請求項4】前記上層電極膜が、Al又はAlにTi、
    Cu、Pd、Cr、Mo、W、Ta、及びNiからなる
    群より選ばれる少なくとも1種を添加した材料を用いて
    形成されていること特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の弾性表面波素子。
  5. 【請求項5】(a)圧電基板上にレジストパターンを形成
    する工程と、 (b)前記レジストパターンを介して圧電基板上に下層電
    極膜及び上層電極膜を形成する工程と、 (c)前記下層電極膜と前記上層電極膜の露出面を被覆す
    る被覆電極膜を形成する工程と、 (d)異方性ドライエッチングによって前記被覆電極膜の
    上面のみをエッチングする工程と、 (e)前記レジストパターンを除去して、レジスト上に堆
    積した金属膜をリフトオフする工程とを具備することを
    特徴とする弾性表面波素子の製造方法。
  6. 【請求項6】前記下層電極膜及び前記上層電極膜を蒸着
    法により形成し、前記被覆電極膜をスパッタリング法に
    よって形成することを特徴とする請求項5記載の弾性表
    面波素子の製造方法。
  7. 【請求項7】前記下層電極膜及び前記上層電極膜を、 (a)成膜圧力:0.04Pa以下、 (b)ターゲットと圧電基板の間の距離:250mm以上 の成膜条件でスパッタリング法によって形成することを
    特徴とする請求項5記載の弾性表面波素子の製造方法。
  8. 【請求項8】前記下層電極膜を、Tiを主成分とする材
    料を用いて形成することを特徴とする請求項5〜7のい
    ずれかに記載の弾性表面波素子の製造方法。
  9. 【請求項9】前記被覆電極膜を、TiN、ZrN、W
    N、Ti、Cu、Pd、Cr、Mo、Ta、及びNiか
    らなる群より選ばれる少なくとも1種を成分とする材料
    を用いて形成することを特徴とする請求項5〜8のいず
    れかに記載の弾性表面波素子の製造方法。
  10. 【請求項10】前記上層電極膜を、Al又はAlにT
    i、Cu、Pd、Cr、Mo、W、Ta、及びNiから
    なる群より選ばれる少なくとも1種を添加した材料を用
    いて形成すること特徴とする請求項5〜9のいずれかに
    記載の弾性表面波素子の製造方法。
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