JP4370882B2 - 弾性表面波装置の周波数調整方法 - Google Patents

弾性表面波装置の周波数調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、圧電基板上にインターデジタル電極が形成されており、該インターデジタル電極を覆うように絶縁膜が形成された弾性表面波装置の周波数調整方法に関し、より詳細には絶縁膜に処理を施すことにより周波数が調整される弾性表面波装置の周波数調整方法に関する。
従来、弾性表面波フィルタや弾性表面波共振子などの弾性表面波装置において、種々の周波数調整方法が提案されている。下記の特許文献1には、SiO2膜からなる絶縁膜を有する弾性表面波装置において、上記絶縁膜の厚みを薄くすることにより周波数調整を行う方法が開示されている。
すなわち、図8に示すように、特許文献1に記載の弾性表面波装置201では、梯子型回路構成を有する弾性表面波フィルタを構成するために、矩形の圧電基板202上に、複数の弾性表面波共振子203〜212が形成されている。そして、弾性表面波共振子203〜212を構成している電極を覆うように、絶縁膜213が形成されている。ここでは、絶縁膜213が、SiO2からなり、該絶縁膜213をエッチングし、その厚みを薄くすることにより周波数調整を行うことができるとされている。また、特許文献1では、絶縁膜213を構成する材料として、SiO2に代えて、Si34を用い得る旨が示されている。
従来、SiO2膜やSi34などからなる絶縁膜のエッチング方法としては、反応性イオンエッチング(RIE)を利用したドライエッチング法が一般的であった。また、エッチングガスとしてはCF4などのフッ素系ガスが用いられていた。このようなドライエッチングを利用した周波数調整工程を備えた従来の製造方法をより具体的に説明する。
先ず、LiTaO3などからなるウェハーを用意する。このウェハーの表面を洗浄した後、フォトレジストを用いてフォトリソグラフィー技術により、くし型電極部、引き回し配線及び電極パッドなどを形成するためのレジストパターンを形成する。次に、Alを主成分とする金属膜を全面に形成した後、有機溶剤を使用してレジストパターンをリフトオフし、くし型電極部、引き回し配線及び電極パッドを含む電極構造を構成する。
次に、上記電極構造を覆うように、ウェハーの表面に、SiO2からなる絶縁膜を例えばスパッタリングにより成膜する。このとき、絶縁膜の厚みは、所望とする厚みよりも厚くされている。しかる後、電極パッド上の絶縁膜をフォトリソグラフィー技術を用いて除去する。
次に、ウェハープローブを用い、ウェハー状態における弾性表面波装置の周波数特性を測定する。予め、CF4ガスを用い、SiO2膜をエッチングした際の時間と周波数変化量との関係が求められている。そして、測定された周波数が所望とする周波数からずれている場合、周波数ずれ量を計測し、予め求められていた上記関係から、所望とする周波数に調整するために必要な絶縁膜のエッチング時間を求める。
次に、上記エッチング時間の間、CF4ガスが用いた反応性イオンエッチングにより絶縁膜をエッチングする。その結果、くし型電極部に対する絶縁膜による質量負荷が変化し、周波数が上がる方向に周波数が調整される。
しかる後、ウェハー状態で弾性表面波装置の特性が再度ウェハープローブを用いて測定される。所望の周波数が得られていない場合には、再度所望の周波数となるように上記周波数調整工程が繰り返される。
特許第3317274号公報
しかしながら、従来の上記周波数調整方法では、エッチング後のくし型電極上の絶縁膜の厚みによっては、弾性表面波装置の特性が劣化するという問題があった。例えば、弾性表面波装置が弾性表面波フィルタである場合には、挿入損失が悪化し、通過帯域幅が減少し、あるいはフィルタ特性の急峻性が悪化したりするという問題があった。
また、SiO2やSi34からなる絶縁膜のエッチングに際して、上記のようなフッ素系ガスが用いられていたが、フッ素系ガスは有毒であるため、特殊な吸着設備などを必要としていた。そのため、製造設備のコストが高くつくという問題もあった。特に、CF4ガスは、地球温暖化係数がCO2の約5700倍であり、かつその寿命はCO2の250〜1000倍であった。従って、地球環境に対する負荷が大きいという問題もあった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、圧電基板上に電極及び絶縁膜が形成された構造を有する弾性表面波装置の周波数調整方法であって、弾性表面波装置の特性の劣化を招き難く、かつ挿入損失の増加をはほど招くことなく、さらに環境に対する負荷を低減することを可能とする弾性表面波装置の周波数調整方法を提供することにある。
本発明は、圧電基板と、該圧電基板上に形成されたくし型電極と、前記くし型電極を覆うように前記圧電基板上に形成された絶縁膜とを有する弾性表面波装置の周波数調整方法であって、前記絶縁膜をプラズマ処理し、該絶縁膜表面を変質させることにより周波数を変化させることを特徴とする。
本発明に係る弾性表面波装置の周波数調整方法のある特定の局面では、前記絶縁膜の最上層が、Si34からなり、絶縁膜のプラズマ処理が酸素プラズマ処理であり、該酸素プラズマ処理により、前記絶縁膜の表面のSi34をSiO2に変質させることにより周波数が変化される。
本発明に係る弾性表面波装置の周波数調整方法の他の特定の局面では、前記絶縁膜の最上層が、SiO2からなり、絶縁膜のプラズマ処理が窒素プラズマ処理であり、該窒素プラズマ処理により、前記絶縁膜の表面のSiO2をSi34に変質させることにより周波数が変化される。
本発明に係る弾性表面波装置の周波数調整のさらに別の特定の局面では、前記絶縁膜の最上層が、SiONからなり、絶縁膜のプラズマ処理が酸素プラズマ処理であり、該酸素プラズマ処理により、前記絶縁膜の表面のSiONをSiO2に変質させることにより周波数が変化される。
本発明に係る弾性表面波装置の周波数調整方法のさらに他の特定の局面では、 前記絶縁膜の最上層が、SiONからなり、絶縁膜のプラズマ処理が窒素プラズマ処理であり、該窒素プラズマ処理により、前記絶縁膜の表面のSiONをSi34に変質させることにより周波数が変化される。
本発明に係る弾性表面波装置の周波数調整のさらに他の特定の局面では、上記絶縁膜が複数の絶縁材料層を積層した構造を有し、最上層と、最上層以外の絶縁性材料層とが異なる材料で構成されている。
また、本発明に係る弾性表面波装置の周波数調整方法では、上記絶縁膜は、単一の絶縁材料から構成されていてもよく、その場合においては、該単一の絶縁材料からなる絶縁膜の最上層部分が本発明に従ってプラズマ処理されさらに変質される。
本発明に係る弾性表面波装置の周波数調整方法では、圧電基板上に、インターデジタル電極及びインターデジタル電極を覆うように形成された絶縁膜が形成されている弾性表面波装置の周波数調整にあたり、該絶縁膜がプラズマ処理され、該絶縁膜表面が変質されることにより周波数が変化される。すなわち、絶縁膜の表面部分の変質により、弾性表面波の励振特性が変化されて周波数が変化される。従って、絶縁膜の厚みを低減して周波数が調整される従来法の場合には、絶縁膜の厚みによっては、弾性表面波の励振が阻害されたのに対し、本発明の周波数調整方法では、絶縁膜の厚みを薄くして周波数調整を図るものではないため、周波数調整後に、弾性表面波の励振が阻害され難い。従って、挿入損失の悪化が生じ難く、通過帯域幅の減少や急峻性の悪化も生じ難い。
加えて、従来のフッ素系ガスを用いたドライエッチングによる周波数調整では、製造設備コストが高くついたり、環境に対する負荷が大きいという問題があったのに対し、本発明の周波数調整方法では、周波数調整に際してフッ素系ガスを用いる必要がないため、高価な設備を必要とせず、かつ地球環境に対する負荷を軽減することが可能となる。
本発明に係る周波数調整方法において、絶縁膜の最上層が、Si34からなり、絶縁物のプラズマ処理が酸素プラズマ処理である場合には、酸素プラズマ処理により、絶縁膜表面波のSi34がSiO2に変化し、それによって周波数が変化する。この場合、Si34からSiO2への変化は安定に行われるため、本発明に従って周波数を容易にかつ確実に調整することができる。
絶縁膜の最上層がSiO2からなり、窒素プラズマ処理により、該絶縁膜表面のSiO2がSi34に変化される場合には、該SiO2からSi34への変化により周波数が調整される。
また、絶縁膜の最上層がSiONからなる場合には、絶縁膜のプラズマ処理は、酸素プラズマ処理または窒素プラズマ処理のいずれで行われてもよい。酸素プラズマ処理が行われた場合には、絶縁膜の表面のSiONが、SiO2に変化される。また、窒素プラズマ処理が用いられた場合には、絶縁膜表面のSiONが、Si34に変化される。いずれの場合においても、膜質変化により周波数が変化する。
また、本発明において絶縁膜が複数の絶縁材料層を積層した構造を有し、最上層と最上層以外絶縁性材料層とが異なる材料で構成されている場合には、最上層のみを、プラズマ処理により周波数を変化させ得るのに適した絶縁材料で構成し、最上層以外の絶縁材料層は、温度特性などの他の特性を考慮して材料を選択することができる。
本発明では、絶縁膜は単一の絶縁材料から構成されていてもよく、その場合には、最上層とは、表面近傍の層をいうものとする。
もっとも、本発明においては、プラズマ処理に際しては、少なくとも最上層が上記のように、プラズマ処理により変質されればよく、最上層に連なる下層部分も同様に変質されてもよい。従って、最上層と、最上層に連なる下面部分との境界は、一義的に定め得るものではなく、所望とする周波数調整量に応じて適宜変動する。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
本実施形態では、図2に示す電極構造を有する弾性表面波フィルタが積層され、その周波数が調整される。図2に示すように、弾性表面波フィルタ100で、は第1の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ101と、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ102とが、平衡入力端子113に接続されている。
図2に示されているように、第1の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ101は、3個のくし型電極部103〜105を有する。くし型電極部103〜105が設けられている領域の表面波伝搬方向両側に、反射器106,107が配置されている。第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ102は、同様に、3個のくし型電極部108〜110と、反射器111,112とを有する。
第1,第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ101,102は、それぞれ、不平衡出力端子114,115に接続されている。
上記電極構造を有する弾性表面波装置100の製造に際しては、先ず、LiTaO3からなる圧電基板をウェハー状態で用意する。圧電基板の表面を洗浄した後、フォトレジストを用い、フォトリソグラフィー技術により、上述した電極構造だけでなく、圧電基板上に形成される引き回し配線及び電極パッドを形成する。
より具体的には、これらの電極構造を形成するためのレジストパターンを先ずフォトリソグラフィーにより形成する。次に、Alを主成分とする金属膜をスパッタ法または蒸着法により全面に成膜する。しかる後、有機溶剤を用いてレジストパターンをリフトオフし、上記電極構造を形成する。上記のように、圧電基板上に電極をフォトリソグラフィーを用いて形成する各工程については、従来より周知の方法に従って行われる。このようにして、図1(a)に略図的に示すように、圧電基板1上に少なくともくし型電極2を有する電極構造が形成される。
次に、図1(a)に示す絶縁膜3を形成する。絶縁膜3は、本実施形態では、Si34からなり、スパッタリングにより形成されている。絶縁膜3は、圧電基板1の上面1aを覆うように、かつ圧電基板1上に形成されたくし型電極2を覆うように形成されている。
次に、絶縁膜3の下方に設けられている電極パッド(図示せず)を露出させるために、電極パッド上の絶縁膜を除去する。この絶縁膜の部分的な除去は、フォトリソグラフィー技術により、電極パッド上の部分が開口部となっているレジストパターンを形成した後、CF4ガスを用いたドライエッチングにより形成される。
次に、ウェハープローブを用い、ウェハー状態の上記弾性表面波フィルタの周波数特性を測定する。測定された周波数が、所望の中心周波数からずれている場合、周波数ずれ量を求める。
そして、本実施形態では、予め、絶縁膜3を酸素プラズマ処理した場合の処理時間と中心周波数の周波数ずれ量との関係が求められている。従って、前述のように測定された周波数ずれ量と、上記関係に基づいて、所望とする周波数特性となるのに必要なプラズマ処理時間が求められる。求められた処理時間だけ、圧電基板1が酸素プラズマ処理が行なわれる。このような酸素プラズマ処理を行う装置としては、反応性イオンエッチング(RIE)装置やUVアッシャーなどが挙げられる。
上記酸素プラズマ処理により、図1(b)に示すように、絶縁膜3の表面部分が酸化され、表面部分においてSi34がSiO2に変化する。すなわち、最上層3aがSiO2になるように絶縁膜3が変質される。
SiO2の音速はSi34の音速より遅いため、Si34の表面がSiO2に変質することでSAWの音速が低下し周波数が下がる。そして、上記プラズマ処理が、所望とする周波数特性が得られるように、周波数ずれ量を補正するのに必要な時間だけ行われるため、本実施形態によれば、所望とする周波数特性を確実に実現することができる。
また、周波数調整に際しては、絶縁膜3の表面を変質させることにより、表面波の伝搬速度が変化されている。従って、絶縁膜3の厚みをさほど厚くせずともよいため、弾性表面波の励振が絶縁膜3により阻害され難い。よって、挿入損失の悪化が生じ難く、通過帯域幅の減少や悪化も生じ難い。そのため、良好なフィルタ特性を有する弾性表面波フィルタを提供することができる。
また、従来のフッ素系ガスを用いたエッチング法により周波数調整を行う場合には、ガス吸着設備などを必要としていたためコストが高くついていたのに対し、本実施形態では、上記プラズマ処理を行えばよいだけであり、設備コストを低減することができる。また、フッ素系ガスを用いないため、地球環境に対する負荷を軽減することも可能となる。
次に、具体的な実験例につき説明する。
LiTaO3からなる圧電基板をウェハー状態で用意し、図2に示した電極構造を本実施形態に従って多数形成した。この場合、電極はTi層及びAl層をこの順序で積層した。厚みはTi層を10nm、Al層を186nmとし、弾性表面波フィルタの目標中心周波数は1842.5MHzとした。
また、予め、上記電極構造を有するようにSi34からなる絶縁膜を6nmの厚みに形成し、酸素プラズマ処理したときの処理時間と弾性表面波フィルタの中心周波数の変化との関係を求めた。この関係を図3に示す。図3から明らかなように、酸素プラズマ処理時間が長くなるにつれて、中心周波数が低くなることがわかる。これは、酸素プラズマ処理により、絶縁膜表面のSi34がSiO2に変化し、音速が低下するためである。もっとも、図3から明らかなように、酸素プラズマ処理時間の処理時間が120秒を超えると、それ以上周波数はさほど変化しないことがわかる。
また、上記のように酸素プラズマ処理を施した場合に、絶縁膜がどのように変化したかを絶縁膜を経過時間毎に切り出したところ、図4に示す結果が得られた。図4の縦軸は、Si34膜の表面が酸素プラズマ処理により酸化されて、SiO2膜を施されている場合のSiO2膜の厚みを表わす。図4から明らかなように、酸素プラズマ処理が進行するにつれて、表面のSiO2膜の厚みが厚くなっていることがわかる。この変化は、図3に示した周波数変化と対応していることがわかる。なお、図4において、酸素プラズマ処理を施していない場合でも表面にSiO2膜が存在するのは、自然酸化により、Si34の表面がSiO2に変化しているためである。
また、図5は、上記のように酸素プラズマ処理が施されて形成されたSiO2膜の厚みと、周波数変化量との関係を示す図である。すなわち、図5は、図3及び図4の結果を横軸をSiO2の膜厚、縦軸を周波数変化量に書き換えた結果を示す。図3〜図5から明らかなように、Si34からなる絶縁膜3を酸素プラズマ処理することにより、表面部分がSiO2に変化し、それに伴って弾性表面波フィルタの中心周波数が変化していることがわかる。また、図3及び図4から明らかなように、120秒以内の酸素プラズマ処理時間であれば、処理時間の変化につれて、周波数を大きく調整し得ることがわかる。また、120秒以上の酸素プラズマ処理を施した場合には、プラズマ処理時間を調整することにより、周波数の変化量を高精度に調整することができる。図5の結果を下記の表1にまとめて示す。
Figure 0004370882
表1から明らかなように、本実施形態によれば、周波数調整前後の挿入損失や通過帯域などの特性の変動をほとんど招くことなく、周波数調整することができる。さらに、ウェハー上の多数の弾性表面波フィルタにおいて同時に周波数調整を行った場合においても、各弾性表面波装置構成部分における絶縁膜の膜厚が同じであるため、同じウェハーから得られる各弾性表面波フィルタ毎の特性のばらつきを小さくし得ることがわかる。
また、従来のドライエッチングによる周波数調整方法では、絶縁膜自体の厚みをエッチングにより薄くして周波数調整が行われていた。従って、予め絶縁膜を厚く形成しなければならなかった。そのため、絶縁膜の厚みによっては、前述したように、挿入損失の増大等の特性の悪化が起きがちであった。
これに対して、本実施形態では、絶縁膜の膜厚自体を変更することなく、周波数調整を行うことができる。従って、絶縁膜の厚みによる特性の悪化を抑制することができる。これをより具体的に説明する。
前述した従来法では、絶縁膜のエッチングに、CF4が用いられていた。CF4は取り扱いが困難であり、反応性に優れているため、SiO2などからなる絶縁膜をエッチングする際、高精度にエッチングを行うことができなかった。例えば、40nmの厚みのSiO2膜の内、38nmの厚みのSiO2絶縁膜部分を除去しようとした場合、CF4のフッ素と絶縁膜との反応により、弾性表面波装置の信頼性が著しく損なわれる不具合が発生するという問題があった。そのため、従来法では、現実には、SiO2などからなる絶縁膜の厚みを低減するに際しては、例えば5nm以上の絶縁膜部分を残す必要があった。そのため、エッチング後の絶縁膜の厚みが非常に薄い場合であっても、絶縁膜の厚みを信頼性を確保するためにある程度厚くしなければならない分だけ、挿入損失が悪化しがちであった。
すなわち、前述した従来法では、絶縁膜の厚みが厚い場合だけでなく、エッチングにより絶縁膜の厚みを非常に薄くしなければならない場合においても、上記のように、挿入損失の悪化等の特性の変動が生じがちであった。
また、従来法では、SiO2などからなる絶縁膜を例えば40nmと厚く形成し、しかる後、その厚みを低減するように周波数調整が行われる。そのため、周波数調整前においては、挿入損失が大幅に悪化した状態となる。エッチングにより周波数調整を行うことにより、挿入損失(ピークロス)は改善されるものの、ウェハーによってエッチング量が異なることになるため、周波数調整後のSiO2などからなる絶縁膜の残存厚みがウェハー間で異ならざるを得なかった。そのため、ピークロスについても、ウェハー間でばらつかざるを得ず、最終的に得られた弾性表面波フィルタにおいて挿入損失が悪化せざるを得なかった。
これに対して、本実施形態では、上記のように、絶縁膜の厚みを変化させるものではないため、挿入損失を殆ど悪化させることなく周波数を調整することができる。
図6及び図7は、本実施形態の弾性表面波フィルタにおいて、絶縁膜として、Si34膜を形成した場合と、SiO2膜を形成した場合の絶縁膜の厚みと、挿入損失(ピークロス)及び中心周波数との関係を示す図である。図6から明らかなように、SiO2膜を形成した場合のほうが、Si34膜を形成した場合に比べて、挿入損失が大きく、かつ中心周波数が低くなることがわかる。また、この傾向は、絶縁膜の厚みが厚くなる程より顕著に表れる。これは、くし型電極上に構成される絶縁膜の種類により表面波の伝搬損失に変わるためと考えられる。すなわち、SiO2膜を用いた場合の方が、伝搬損失が大きくなると考えられる。従って、好ましくは、絶縁膜として、Si34膜を用いることが望ましいことがわかる。
本発明においては、好ましくは、上記のように、絶縁膜として、Si34膜を用い、酸素プラズマ処理をすることにより、その最上層をSiO2に変質させることにより周波数を容易にかつ確実に調整することができる。この場合、最上層、すなわち表面は完全にSiO2に変化している。そして、表面から深さ方向に進むにつれて、Si34層の下には、基のSi34層が表れることになる。
本発明においては、絶縁膜を構成する材料としては、上記のようにSi34が好ましいが、SiO2を用いてもよい。その場合には、SiO2膜からなる絶縁膜を窒素プラズマ処理することにより、最上層をSi34に変化させ、周波数を変化させることができる。この場合には、表面がSi34に変質し、表面から深さ方向に進むにつれてSiN層の下方にはSiO2層が存在することとなる。
また、本発明においては、上記絶縁膜は、SiONから構成されていてもよく、その場合には、プラズマ処理を酸素プラズマ処理または窒素プラズマ処理のいずれを用いてよい。酸素プラズマ処理を行った場合には、絶縁膜表面のSiONがSiO2に変質され、窒素プラズマ処理を行った場合には、表面のSiONがSi34に変質し、酸素プラズマ処理を行った場合には、SiO2に変質する。いずれの場合においても、本発明に従って周波数を確実に調整することができる。
なお、本発明における弾性表面波装置の周波数調整方法は、図2に示した電極構造を有する弾性表面波素子に限らず、様々な弾性表面波装置の周波数調整に広く用いることができる。
(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置の周波数調整方法を説明するための各模式的部分切欠正面断面図。 本発明の一実施形態で得られる電極構造を示す模式的平面図。 本発明の一実施形態において、酸素プラズマ処理する時間と、弾性表面波装置の周波数変化量との関係を示す図。 本発明の一実施形態において、酸素プラズマ処理する時間と、弾性表面波装置のSiO2膜の膜厚との関係を示す図。 本発明の一実施形態において、酸素プラズマ処理した際のSiO2膜の膜厚と周波数変化量との関係を示す図。 Si34からなる絶縁膜と、SiO2膜からなる絶縁膜を形成した場合の絶縁膜の膜厚と挿入損失(ピークロス)との関係を示す図。 Si34からなる絶縁膜と、SiO2膜からなる絶縁膜を形成した場合の絶縁膜の膜厚と周波数との関係を示す図。 従来の弾性表面波装置の周波数調整方法の一例を説明するための平面図。
符号の説明
1…圧電基板
2…くし型電極
3…絶縁膜
3a…最上層
100…弾性表面波フィルタ
101…縦結合共振子型弾性表面波フィルタ
102…縦結合共振子型弾性表面波フィルタ
103〜105,108〜110…くし型電極
106,107…反射器
111,112…反射器
113…平衡入力端子
114,115…不平衡出力端子

Claims (7)

  1. 圧電基板と、該圧電基板上に形成されたくし型電極と、前記くし型電極を覆うように前記圧電基板上に形成された絶縁膜とを有する弾性表面波装置の周波数調整方法であって、
    前記絶縁膜をプラズマ処理し、該絶縁膜表面を変質させることにより周波数を変化させることを特徴とする、弾性表面波装置の周波数調整方法。
  2. 前記絶縁膜の最上層が、Si34からなり、絶縁膜のプラズマ処理が酸素プラズマ処理であり、該酸素プラズマ処理により、前記絶縁膜の表面のSi34をSiO2に変質させることにより周波数を変化させる、請求項1に記載の弾性表面波装置の周波数調整方法。
  3. 前記絶縁膜の最上層が、SiO2からなり、絶縁膜のプラズマ処理が窒素プラズマ処理であり、該窒素プラズマ処理により、前記絶縁膜の表面のSiO2をSi34に変質させることにより周波数を変化させる、請求項1に記載の弾性表面波装置の周波数調整方法。
  4. 前記絶縁膜の最上層が、SiONからなり、絶縁膜のプラズマ処理が酸素プラズマ処理であり、該酸素プラズマ処理により、前記絶縁膜の表面のSiONをSiO2に変質させることにより周波数を変化させる、請求項1に記載の弾性表面波装置の周波数調整方法。
  5. 前記絶縁膜の最上層が、SiONからなり、絶縁膜のプラズマ処理が窒素プラズマ処理であり、該窒素プラズマ処理により、前記絶縁膜の表面のSiONをSi34に変質させることにより周波数を変化させる、請求項1に記載の弾性表面波装置の周波数調整方法。
  6. 前記絶縁膜が、複数の絶縁材料層を積層した構造を有し、最上層と、最上層以外の絶縁性材料層とが異なる材料で構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性表面波装置の周波数調整方法。
  7. 前記弾性表面波装置の絶縁膜が、単一の絶縁材料からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性表面波装置の周波数調整方法。

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