JP4417747B2 - 弾性表面波装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、携帯電話等の移動体通信機器に用いられる弾性表面波フィルタなどの弾性表面波装置に関し、圧電基板上にIDT(Inter Digital Transducer)電極を形成した弾性表面波装置に関する。
近年、電波を利用する電子機器のフィルタ,遅延線,発振器等の構成素子として多くの弾性表面波装置が用いられている。特に、小型・軽量でかつフィルタとしての急峻遮断性能が高い弾性表面波フィルタは、移動体通信分野において、携帯端末装置のRF段およびIF段のフィルタとして多用されるようになってきており、低損失かつ通過帯域外の遮断特性として、高い減衰特性と広い帯域幅とを有するものが要求されている。
携帯電話等のRF段に用いる弾性表面波フィルタに使用される電極形成用の基板には、タンタル酸リチウム(LiTaO)やニオブ酸リチウム(LiNbO)などの単結晶が一般的に用いられている。なぜなら、これらの単結晶材料は四ホウ酸リチウム(Li)単結晶や水晶基板などにくらべて電気機械結合係数が大きいので、広帯域で高い減衰特性を得ることができるからである。
ところが、一般に使用されているタンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムの単結晶基板は、温度変化によって基板表面に静電荷が発生する、いわゆる焦電効果と呼ばれる性質を持っている。このため、製造工程中で使用されるこれらの単結晶からなるウエハに温度変化を与えると、ウエハ上に作製されたIDT電極などの微細電極が容易に静電気で放電破壊してしまうという不具合が発生することが多かった。
そこで従来は、このような放電破壊防止のために、様々なプロセス上の工夫が提案されてきた。例えば、浮き電極(他の導体部分と導通しない電極)となる電極パターンの全てをグランド(ground)電極に対して高抵抗パターンを用いて接続することで、周波数特性は劣化させずに焦電効果によって発生した静電気をグランドに逃がすといったものである。
具体的な例としては、図10に示すように、不純物をドープしたシリコン(Si)パターンによって形成された高抵抗薄膜の高抵抗パターン9を浮き電極である電極パターンの全てに接続して、静電気をグランド電極に逃がしている(例えば、特許文献1を参照。)。なお、図中8は弾性表面波共振子を示す。
また別の例として、図11に示すように、高抵抗パターンとして、1μm程度の線幅の細かく折れ曲がったパターン(メアンダ(meander)ライン)を用いているものもある(例えば、特許文献2を参照。)。
特開2000−183680号公報 特開平10−200363号公報
しかしながら、このような弾性表面波装置の製造は電極パターン形成の工程が多くなり、製造が煩雑となるという問題があった。例えば、図10に示すようなSiパターンを用いて静電気を逃がす弾性表面波装置では、図9のフローチャートで示すような工程が必要となる。
まず、例えばタンタル酸リチウム単結晶からなる圧電基板を純水により洗浄した後に(ステップJ1)、この圧電基板の全面にAl電極を形成する(ステップJ2)。その後、フォトレジストをAl電極の所定領域に塗布形成した後に(ステップJ3)、露光する(ステップJ4)。次に、有機溶剤により現像処理を施した後に(ステップJ5)、RIE(反応性イオンエッチング)によりステップJ2で形成したAl電極に対してエッチングを施してIDT電極とする(ステップJ6)。次に、圧電基板の裏面に発生した電荷を中和させるために裏面電極を形成して(ステップJ7)、IDT電極の上に保護膜を形成する(ステップJ8)。次に、フォトレジストをステップJ8で形成した保護膜に塗布形成して(ステップJ9)、Si成膜のための領域に対して四角状の窓を形成してステップJ4と同様にして露光を行なう(ステップJ10)。次に、ステップJ5と同様な現像処理を行なう(ステップJ11)。次に、ステップJ8で形成した保護膜をエッチングして(ステップJ12)、窓を形成した箇所にSiをスパッタ法により成膜する(ステップJ13)。次に、リフトオフ法により、余分なSiを除去する(ステップJ14)。そして、上記ステップJ9〜J12の工程を繰り返し行なう(ステップJ15〜J18)。次に、パッケージとの接続用の厚膜を形成して(ステップJ19)、ステップJ14と同様なリフトオフを行なう(ステップJ20)。そして、ウエハ上でIDT電極の電気特性を確認するためのプローブ検査を実施する(ステップJ21)。このように、Siパターンを形成するための工程などが必要となり、製造が煩雑であり、完成までに多くの時間を要した。
また、図11に示す弾性表面波装置では、メアンダラインの線幅を細くすることで電気抵抗を高めており(数MΩ)、同様に焦電効果による電極破壊を防止していた(高抵抗配線とする理由は、高周波領域での特性変化を伴わずに静電気のみ取り除くことができるからである。)。しかし、この場合でも、ウエハプロセス(基板洗浄からプローブ検査までの一連のプロセス)が終了した後、ダイシング工程にてメアンダラインを切断するまでの間に、ウエハプローブ検査によってウエハ上の電極パターンの良品・不良品の選別が必要になるが、このウエハプローブ検査工程で、メアンダラインを接続してあると通常は周波数特性にひずみが発生するので、メアンダラインだけを別に除去する工程が必要となり、やはり工程数が増える。このように、通常の弾性表面波装置の作製工程では、焦電効果による微細電極の静電破壊を防止するためには、工程数の増加が避けられなかった。
そこで、本発明は上述の問題を解消するために提案されたものであり、その目的は、圧電基板の焦電効果による微細電極の静電破壊がなく、しかも簡単に製造が行なえる弾性表面波装置およびその製造方法を提供することにある。
本発明の弾性表面波装置は、1)タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶からなり、かつ酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の酸素含有量が周囲より多い表面の一領域上に、IDT電極を形成してなることを特徴とする。ここで、非焦電性の圧電基板とは、図12に示すように、帯電電圧が1kV未満の圧電基板をさすこととする。図12は、0.5μmL/S(線幅とスペースがともに0.5μm)の条件で作製したIDT電極に生じるスパークの発生率を測定した結果を示したものであり、帯電電圧とスパークの発生率との関係について示している。圧電基板の帯電電圧が1kV未満では、ほとんどスパーク発生が起こらない(0.7kV未満ではスパーク発生は皆無となる)が、これは現在主流である0.5μmL/Sの電極線幅のSAWフィルタの場合であり、これ以下の電極線幅のSAWフィルタではスパーク発生の下限電圧はより下がるものと思われる。したがって、非焦電性の圧電基板と最適なものは帯電電圧が0.7kV未満のものであるといえる。
また、本発明の弾性表面波装置の製造方法は、2)タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶からなり、かつ酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の表面を酸化する工程と、前記圧電基板の酸化表面にIDT電極を形成する工程と、前記圧電基板の前記IDT電極が形成されている表面の一領域を除く酸化表面を除去する工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の弾性表面波装置の製造方法は、3)タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶からなり、かつ酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の表面の一領域を酸化する工程と、前記圧電基板の表面の一領域上にIDT電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の弾性表面波装置によれば、タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウムの単結晶からなり、かつ酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の、酸素含有量が周囲より多い表面の一領域上に、IDT電極を形成してなるので、焦電効果によって発生する静電気によるIDT電極の破壊を防止することができる。このため、IDT電極の静電破壊防止のための構成を作製する工程が不要となるので、製造が簡便となる。また、圧電基板であるウエハが静電気で帯電することがないため、ウエハを治具等への吸着がなく、ウエハの良品不良品を判別するための工程において、ハンドリング性が格段に向上する。
また、本発明の弾性表面波装置の製造方法によれば、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウムの単結晶からなり、かつ酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の表面を酸化する工程と、前記圧電基板の酸化した表面にIDT電極を形成する工程と、前記圧電基板の前記IDT電極が形成されている表面を除く酸化表面を除去する工程と、を含む。前記圧電基板の前記IDT電極が形成されている表面を除く酸化表面を除去する工程においてドライエッチングを使用して行なう場合、IDT電極を構成する櫛歯状電極部分では、ドライエッチングのマイクロローディング効果によって微細電極部分でのエッチングレイトが遅いという性質から、還元処理された基板部分もしくは遷移金属元素の添加された基板部分が露出せずに酸化層が残る。このため、弾性表面波の伝搬損失の劣化が低減され、酸化層のない場合にくらべると低損失な弾性表面波素子および弾性表面波装置を実現できる。
ここで、通常のタンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウムの単結晶からなる圧電基板のウエハを還元処理することにより、酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板、すなわち焦電効果が消えた圧電基板を作製できるメカニズムについて説明する。例えば、通常のタンタル酸リチウム単結晶からなる圧電基板は、表面に自発分極による電荷が発生するが、この原因はおもに酸素分子によるものと考えられる。このため、例えば水素雰囲気中でアニールを行なう等により、圧電基板の表面を酸素欠損にすることで、圧電基板の自発分極の量を低減することができる。このアニールを長時間行なうことにより、ウエハの厚み方向全てにわたって均一に自発分極の量を低減できる。これにより、温度変化によるスパークの発生を皆無にすることができる。
また、同様に電極成膜前に酸素雰囲気中でアニールを行なう。すなわち、短時間で圧電基板のごく表面(例えば、深さ数μm程度)の酸素欠損領域に対して酸素を補う。この理由は、IDT電極の形成領域に、酸素を供給してやることにより、IDT電極を形成した際に、結晶格子のひずみが低減し挿入損失の増大を極力防止することができるからである。
また、タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶からなり、かつ酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の表面の一領域を酸化する工程と、前記圧電基板の表面の一領域上にIDT電極を形成する工程と、を含む弾性表面波装置の製造方法では、酸化表面のエッチング工程などの除去工程を省略することができ、製造工程を簡略することができる。
以下、本発明の実施形態について模式的に示した図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に本発明の弾性表面波装置のIDT電極が圧電基板上に形成されている箇所の要部断面構造を示す。チョクラルスキー法により育成された通常のタンタル酸リチウム単結晶やニオブ酸リチウム単結晶の圧電基板を還元処理して、酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板(ウエハ)1とすることができる(タンタル酸リチウムを化学式LiTaO3−Xまたはニオブ酸リチウムを化学式LiNbO3−Xとしたときに、0<x<0.3)この圧電基板1の表面に、高温・酸素雰囲気の条件によるアニールによって酸素が多い酸化層2を形成し、次いで、この酸化層2の上に、薄膜形成方法とフォトリソグラフィ工程を用いて、例えば、Al−Cu系合金からなる微細電極であるIDT電極3を形成する。このとき、IDT電極3が形成されている領域(IDT電極形成部)と、それ以外の領域とでは、電極をエッチングする面積の相違から、マイクロローディング効果(IDT電極の電極指の太さによってエッチングレイトが異なる。つまり細い電極指ほどエッチングしにくい)により、酸化層の除去率に違いが現れる。
これにより、図1に示すように、IDT電極形成部では酸化層2が残ったままとなり、それ以外の部分では完全に酸化層が除去される。焦電効果による静電気発生はこの酸化層の除去と関係があり、IDT電極形成部の酸化層2の残部は焦電効果を緩和することはなく、一定量の静電気を発生させるが、結晶格子のひずみが少ないため、酸素欠損による弾性表面波の損失を防ぐことができる。また、IDT電極3が形成されている領域以外の、マイクロローディング効果の起こらない領域では、ドライエッチングにより表面の酸化層(厚さ数百Å)を十分に除去することができ、焦電効果による静電気発生を抑えることができる。なお、この領域での弾性表面波の損失は特性には影響しないので問題はない。
図2は図1の弾性表面波装置を形成する前に、すなわち、IDT電極3を形成する前の圧電基板1の表層部に酸化層2が形成されている様子を示す。圧電基板1は非焦電性であるので、上述したように、圧電基板の帯電電圧は1kV未満(より好ましくは0.7kV未満)のものである。
また、図3は本発明の別の形態を示した要部断面図であり、IDT電極を形成する前、およびエッチングでIDT電極の周囲を除去する前の様子を示す要部断面図である。すなわち、遷移金属元素を添加した場合の圧電基板4を示す要部断面図である。この遷移金属元素(特に、鉄(Fe))は結晶育成段階から原料に微量(数質量%)だけ混入させるが、圧電基板4の結晶全体にわたりほぼ均一に分布させることにより、圧電基板を還元処理した場合と同様の効果がある。この均一分布のためには、例えば結晶育成時の原料粉末中に微量添加するというような方法を用いる。なお、添加量の最適値は添加元素の種類により異なり、例えば遷移金属元素としてFe元素を選択した場合には、それを1質量%程度添加するのが望ましい。なぜなら、添加元素の質量に挿入損失の大きさは依存し、より重い元素では弾性表面波の伝搬損失がより多くなり挿入損失の増加を伴うからである。なお、添加元素として遷移金属元素を用いる理由は、その他元素に比べて導電率が高く、電子の移動が大きいため分極が緩和されやすいからである。
本発明の弾性表面波装置は以下のようにして作製する。図1の弾性表面波装置を例にとり説明する。図6に示すように、まず、タンタル酸リチウム単結晶からなる圧電基板であるウエハを有機溶剤によって洗浄し、続いてスピンドライヤーを用いて乾燥する(ステップS1)。次に、酸素アニール炉中で短時間、ウエハをアニールして酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の表面の一領域(IDT電極を形成するために必要な領域の表層部分)を酸化する(ステップS2)。次に、スパッタ装置によりウエハ上にAl−Cu電極を成膜する(ステップS3)。次に、スピンコーターにてフォトレジストを均一膜厚にコーティングする(ステップS4)。次に、縮小投影露光機にてレチクルを透過した紫外線をウエハの表面に焼き付ける(ステップS5)。次に、露光後のウエハ上に現像液を滴下し、数秒間静止した後振り切ることにより所望のパターンを表出させる(ステップS6)。次に、反応性ガスにてウエハをRIE装置によるプラズマ処理を施すことで、フォトレジストに覆われていない部分のAl−Cu合金のみをエッチング除去する(ステップS7)。次に、ウエハの裏面全面にAl−Cu電極をスパッタにて成膜する(ステップS8)。次に、CVD装置にて、Al−Cu電極表面に保護膜(SiO膜)を成膜する(ステップS9)。次に、保護膜の窓開けのために、スピンコーターにてフォトレジストを均一膜厚にコーティングする(ステップS10)。次に、保護膜の窓開けのために、縮小投影露光機にてレチクルを透過した紫外線をウエハ表面に焼き付ける(ステップS11)。次に、露光後のウエハ上に現像液を滴下し、数秒間静止した後振り切ることにより所望のパターンを表出させる(ステップS12)。次に、RIE装置にて不要なSiO保護膜をエッチング除去する(ステップS13)。次に、SiO保護膜を除去した部分に厚膜を成膜する(ステップS14)。次に、フォトレジストの剥離液中にウエハを浸漬することで、フォトレジストとともに不要な厚膜を除去する(ステップS15)。次に、完成したSAWウエハ上にRF用プローブを立てて、特性選別検査を行なう(ステップS16)。
また、基板のアニール工程(ステップS2)において、ウエハの表面の一部をフォトリソグラフィ等の工程により窓開け加工を施し、その後、酸化アニール処理を施した後に、フォトレジストの剥離を行ない、IDT電極の形成を行なうことも可能である。すなわち、酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の表面の一領域を酸化する工程と、圧電基板の表面の一領域上にIDT電極を形成する工程とにより、上述したステップS7の酸化表面のエッチング工程を省略することができる。
このように、本発明の製造工程は、ステップS2の圧電基板(ウエハ)のアニール工程は必要であるが、図9に示す従来の製造工程のステップJ9〜J14までの焦電対策に必要な工程を省略でき、きわめて簡便に弾性表面波装置を製造することができる。
上記のように製造したウエハレベルの弾性表面波装置を個々の弾性表面素子にダイシング工程により得る。これにより得られた弾性表面波素子は、例えば図7に示すように、圧電基板1上に弾性表面波共振子8が直列接続してなる直列共振子と、弾性表面波共振子8が並列接続してなる並列共振子が電気的に梯子型に接続された、いわゆるラダー型の弾性表面波フィルタなどの弾性表面波装置とすることができる。
かくして、本発明の弾性表面波装置およびその製造方法によれば、タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウムの単結晶からなり、かつ酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の酸素含有量が周囲より多い表面の一領域上に、IDT電極を形成してなるので、焦電効果によって発生する静電気によるIDT電極の破壊を防止することができる。このため、IDT電極の静電破壊防止のための構成を作製する工程が不要となるので、製造が簡便となる。また、圧電基板であるウエハが静電気で帯電することがないため、ウエハを治具等への吸着がなく、ウエハの良品不良品を判別するためのプローブ検査工程において、ハンドリング性が格段に向上する。
また、本発明の弾性表面波装置の製造方法によれば、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウムの単結晶からなり、かつ酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の表面を酸化する工程と、前記圧電基板の酸化した表面にIDT電極を形成する工程と、前記圧電基板の前記IDT電極が形成されている表面を除く酸化した表面をエッチング等により除去する工程と、を含む。これにより、IDT電極を構成する櫛歯状電極部分では、例えばエッチングのマイクロローディング効果によって微細電極部分でのエッチングレイトが遅いという性質から、還元処理された基板部分もしくは遷移金属元素の添加された基板部分が露出せず、酸化層が残る。このため、弾性表面波の伝搬損失の劣化が低減され、酸化層のない場合にくらべると低損失な弾性表面波素子および弾性表面波装置を実現できる。
また、酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の表面の一領域を酸化する工程と、圧電基板の表面の一領域上にIDT電極を形成する工程とにより、上述した酸化表面のエッチング工程などの表面除去工程を省略することができる。
なお、本発明では、圧電基板(ウエハ)の表面の少なくとも一領域を酸化した後で、IDT電極を形成する製造工程について説明したが、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、先に圧電基板の表面を酸化させて、その次に周囲だけエッチング除去して残った酸化領域にIDT電極を形成してもよいし、また、先にIDT電極を作製した後に、そのIDT電極の形成部分のみを酸化させるか、その周囲を還元処理するかなどを行なってもよく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
次に、本発明をより具体化した実施例について説明する。まず、基板となる36°Yカットのタンタル酸リチウム単結晶のウエハを還元処理するために、水素アニール炉にて300℃で10時間以上アニール処理を施した。水素流量は80sccm,ガス圧は7.5×10-3Torrとした。この条件で処理したウエハは、ウエハの厚み方向全てにわたってほぼ均一に還元処理された。次に、ウエハ上に、Al(98質量%)−Cu(2質量%)合金からなる電極をDCスパッタ装置にて成膜した。次に、酸素アニール炉にて、水素アニールと同様の条件で10分間アニールし、ウエハの表面に200〜300Åの厚みの酸化層を形成した。
次に、フォトレジストを約0.5μm厚みにウエハ上にスピンコートし、縮小投影露光装置(ステッパー)により、所望の部分に露光を行なった。次に、現像装置にて不要部分のフォトレジストをアルカリ系現像液で溶解させ、所望のレジストパターンを表出させた。レジストパターンの最小線幅は約0.5μmとした。
次に、RIE(Reactive Ion Etching)装置により、電極の露出した部分のドライエッチングを行ない、電極のパターンニングを行ないウエハの表面の一領域にIDT電極を形成した。この際、IDT電極の微細電極部分はマイクロローディング効果によって反応ガスの交換が起こりにくくエッチングが進みにくい。このため、微細電極部分以外の電極部分は、相対的にエッチングが進み過剰にエッチングされるため、ウエハ表面の酸化層が削られた。この後、SiO保護膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)装置にてウエハ上に成膜し、その後、再度フォトリソグラフィによってバンプの電極パッド部のパターニングを行ない、RIE装置によってバンプのボンディング用パッド部における不要SiO膜のエッチングを行なった。続いて、この上部からAl等の厚膜(厚み1μm以上)をスパッタ法により形成し、その後、不要部分をレジスト剥離液によってフォトレジストとともに溶解・剥離した。最後に、ウエハプローブ検査によって良品・不良品の検査を行なってウエハ工程を終了した。なお、本発明のウエハを使用することで工程中の製造装置において(例えば、ウエハプローバー(ウエハがあるかどうかの認識をするもの)のプリアライメントにおいて)、従来の透明基板でのウエハ認識率が0%であったのを、ほぼ100%まで向上することができた。なお、従来の透明基板を使用する際は、ウエハ認識のために特別な調整が必要だった。
次に、本基板上にAuバンプをバンプボンダーによって形成した。その後、本基板をダイシング線に沿って切断し、弾性表面波素子ごとに分割した。そして、ダイシングによって個片になった素子をダイマウント装置にてピックアップし、約150℃の温度でSMD(表面実装型)パッケージ内に接着・固定した。この後、リッドをパッケージにかぶせ、封止機にて溶接封止して弾性表面波装置を完成させた。この際、従来のタンタル酸リチウム単結晶基板を用いた弾性表面波装置であれば、約150℃の急激な温度変化をかけたことにより放電破壊を起こし、9割ほども不良となっていた。しかし、本発明の基板材料を使用することで、放電破壊による不良は皆無となった。
なお、図7に示す本発明のラダー型(はしご型)弾性表面波装置を構成する弾性表面波共振子は、IDT電極の対数(本数の1/2)が40〜120対、交差幅が10〜30λ(λは弾性表面波の波長)で、弾性表面波の波長λは直列と並列で違えてあるが約2μmとした。ここで、反射電極本数は直列共振子、並列共振子とも20本である。図7では直列共振子が3個、並列共振子が2個で構成される2.5段T型の例である。図10は比較のために作製した従来の圧電基板を用いたラダー型弾性表面波装置である。素子上の全ての浮き電極をSi等の高抵抗パターン9でグランド電極に接続するといったものであり、この高抵抗パターンを形成するために7つの余分な工程が必要となる。既に説明したように、図9にこの高抵抗Siパターンを形成するための工程フローチャートを示す。Siはホウ素(B)を微量添加したスパッタターゲットを用い、RFスパッタにて形成した。なお、Bを添加したSiの抵抗値は40×40μmのパッド、膜厚5000Åで8〜13MΩとなった。
図8には本発明の圧電基板を還元処理して得られた弾性表面波装置と従来構造の比較例との周波数特性をそれぞれ示す。比較例の特性7に比べ本発明の特性6は−25dB以上の減衰量で1dBほどの差がみられるが、これは設計上特に問題ではない。本測定にはネットワークアナライザ(アジレントテクノロジー社製,型番VNA8753D)と専用のテストフィクスチャ(Jコンタクト治具)を用いて行ない、Sパラメータ(S21通過特性)の測定を行なった。
本発明の構造の弾性表面波共振子および弾性表面波装置を用いた場合、焦電効果による圧電基板上の帯電量を低減することができる。図6は比較例のLiTaO単結晶の基板を用いた場合の温度変化による表面帯電量の変化を示した実験値であるが、温度上昇とともに徐々に電圧が上昇し、120℃を超えると−3kV以上の値となり、微細電極を容易に破壊するに足る電圧となっている。これに対して、図5に示す本発明の還元処理されたタンタル酸リチウム単結晶の圧電基板の場合、電圧は最大でも−0.5kVにも満たないものであった。なお、遷移金属元素としてFeを2〜3質量%添加したタンタル酸リチウム単結晶の基板の場合も同様な結果が得られた。
以上のように、本実施例においても、焦電効果による帯電を防止し、電極破壊を生じさせない信頼性に優れた弾性表面波装置を提供することができた。
本発明の弾性表面波装置の一例を示す要部断面図である。 圧電基板の表面に酸化層を形成した様子を示す要部断面図である。 遷移金属元素を添加した圧電基板の表面に酸化層を形成した様子を示す要部断面図である。 還元処理をしたタンタル酸リチウム単結晶基板の温度変化による帯電電圧変化を示す線図である。 還元処理をしていないタンタル酸リチウム単結晶基板の温度変化による帯電電圧変化を示す線図である。 本発明の弾性表面波装置の製造工程を説明するフローチャートである。 本発明の弾性表面波装置の電極構造の一例を説明する平面図である。 弾性表面波装置の周波数特性を示す特性図である。 従来の弾性表面波装置の製造工程を説明するフローチャートである。 従来の弾性表面波装置の電極構造の一例を説明する平面図である。 従来の弾性表面波装置の電極構造の他の例を説明する平面図である。 帯電電圧とスパーク発生率との関係を示す線図である。
符号の説明
1:圧電基板(ウエハ)
2,5:酸素含有量が多い領域
3:IDT電極
4:遷移金属元素を添加した圧電基板
6:本発明の弾性表面波装置の周波数特性
7:比較例の弾性表面波装置の周波数特性
8:弾性表面波共振子

Claims (4)

  1. タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶からなり、かつ酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板と、前記圧電基板上に、互いに間隔をあけた状態で配設される複数の電極指を有するIDT電極と、を備え、
    前記圧電基板の表面の前記電極指の直下領域および隣接する前記電極指間の直下領域は、酸素含有量が周囲より多い酸化層となっていることを特徴とする弾性表面波装置。
  2. 前記圧電基板の表面の前記電極指の直下領域および隣接する前記電極指間の直下領域を除く領域は、前記酸化層が除去されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波装置。
  3. タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶からなり、かつ酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の表面の一領域を酸化する工程と、前記圧電基板の表面の前記一領域上にIDT電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
  4. タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶からなり、かつ酸素含有量が化学量論比組成より少ない非焦電性の圧電基板の表面を酸化する工程と、前記圧電基板の酸化表面にIDT電極を形成する工程と、前記圧電基板の前記IDT電極が形成されている表面の一領域を除く酸化表面を除去する工程と、を含むことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
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