JP6699223B2 - 圧電体評価装置 - Google Patents

圧電体評価装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6699223B2
JP6699223B2 JP2016032407A JP2016032407A JP6699223B2 JP 6699223 B2 JP6699223 B2 JP 6699223B2 JP 2016032407 A JP2016032407 A JP 2016032407A JP 2016032407 A JP2016032407 A JP 2016032407A JP 6699223 B2 JP6699223 B2 JP 6699223B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric body
surface potential
change
temperature
piezoelectric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016032407A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017152494A (ja
Inventor
秋山 善一
善一 秋山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2016032407A priority Critical patent/JP6699223B2/ja
Publication of JP2017152494A publication Critical patent/JP2017152494A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6699223B2 publication Critical patent/JP6699223B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)

Description

本発明は、圧電体評価装置に関する。
従来、圧電体の特性(誘電特性、焦電特性等)を測定する様々な圧電体評価装置及び圧電体評価方法が知られている。
例えば、焦電係数の測定方法としては、JIS R 1651:2002に記された「ファインセラミックスの焦電係数の測定方法」が知られている。この方法は、セラミックス試料の両面に電極を形成し、温度変化を与えてその際に生じる電流を測定することにより、焦電係数を求めるものである。
また、表面に電極対を設けた焦電体を2つの異なる温度に順次保持し、その際発生する焦電電荷をコンデンサに蓄積し、そのコンデンサ電極間の電圧値から焦電係数を求める焦電係数簡易測定装置も知られている(特許文献1)。
さらに、誘電特性の測定としては、圧電体表面に電極対を設け、LCRメータ、インピーダンスアナライザ等の市販の電気測定器にて静電容量を測定することが広く知られている。
しかしながら、上述のように、従来の圧電体の評価装置及び評価方法では、圧電体の両面に上下電極が形成された構造(サンドイッチ構造)の素子を準備し、その電極間の電流や電圧を測定することによって圧電体の特性を測定する。よって、従来の装置又は方法では、サンドイッチ構造の素子を形成する前の段階で、圧電体の誘電特性、圧電特性、焦電特性等を測定することはできない。そのため、素子に不具合があった場合に、その不具合が、圧電体に起因するものなのか電極に起因するものなのかを判断することはできなかった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、圧電体の両表面に上部電極及び下部電極が形成された構造(サンドイッチ構造)を準備しなくとも、圧電体の特性を測定することができる圧電体評価装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、基板と、前記基板上に形成された下部電極と、前記下部電極上に形成された圧電体とを含む試料に作用して前記圧電体の温度を変化させる温度変化部と、前記圧電体の表面電位を測定する表面電位測定部とを備えている圧電体評価装置であって、前記表面電位測定部が、前記温度変化部によって生じる前記圧電体の温度変化に対応する前記圧電体の表面電位の変化を測定する、圧電体評価装置を提供することを特徴とする。
本発明によれば、圧電体の表面に上部電極及び下部電極が形成された構造(サンドイッチ構造)を準備しなくとも、圧電体の特性を測定することができる圧電体評価装置を提供する。
本発明の一態様による圧電体評価装置の構成を概略的に示す図である。 本発明の一態様による圧電体評価装置の構成を概略的に示す図である。 本発明の一態様による圧電体評価装置の構成を概略的に示す図である。 表面電位の上昇及び下降の様子を表す図ある。
[1]第一の態様による圧電体評価装置及び圧電体評価方法
本発明の第一の態様による圧電体評価装置は、圧電体を含む試料に作用して前記圧電体の温度を変化させる温度変化部と、前記圧電体の表面電位を測定する表面電位測定部とを備えている圧電体評価装置であって、前記表面電位測定部が、前記温度変化部によって生じる前記圧電体の温度変化に対応する前記圧電体の表面電位の変化を測定するものである。
また、本発明の第一の態様による圧電体評価方法は、圧電体を含む試料を準備し、前記圧電体の温度を変化させ、前記温度変化に対応する前記圧電体の前記表面電位の変化を測定するものである。
このような圧電体評価装置によって、圧電体の表面に上部電極及び下部電極が形成された構造(サンドイッチ構造)を準備する必要なく、圧電体の焦電特性を測定でき、圧電体の焦電性能を評価することができる。焦電特性とは、例えば焦電係数を指す。
圧電体の表面に上部電極及び下部電極が形成された構造(サンドイッチ構造)を準備しなくとも、圧電体の特性を評価できるので、圧電素子(圧電体表面に上部電極及び下部電極を設けた素子)が完成する前の段階において、つまり圧電素子の製造過程の中間製造物において圧電体の特性を測定できる。例えば、上部電極が設けられていない、下部電極と圧電体との積層体において圧電体の特性を測定することができる。また、サンドイッチ構造が得られた後の段階であっても、圧電体の表面に、表面電位を測定することができる程度の露出部を有していれば、圧電体の測定を行うことが可能である。
(焦電特性の測定原理)
以下に、焦電係数の測定を例として、本発明の一態様による焦電特性の測定原理を説明する。
圧電体の中には自発分極を持つものがあり、そのような圧電体は、温度変化により自発分極(表面電荷)が変化する焦電特性を有する。焦電係数pは、次式で定義されることが知られている。
p=dPs/dT (1)
dPs:自発分極の変化
dT:温度変化
式(1)より、次式が導かれる。
p=Ip/(A・dT/dt) (2)
Ip:焦電電流
A:焦電体の電極面積
dT/dt:温度勾配
従来の焦電係数の測定では、表面に電極対を設けた焦電体を一定の昇温又は冷却速度dT/dtで加熱又は冷却し、その際に電極上に発生する焦電電荷を電流Ipとして取り出す。そして、式(2)に基づき焦電係数を求める。
これに対し、本発明の一態様による焦電係数の測定においては、温度変化部によって圧電体を加熱又は冷却することによって、圧電体の表面の温度を変化させて温度変化dTを与え、その変化に対応する自発分極の変化dPsを測定する。このdPsは、圧電体の表面電位の変化dVを測定し、その値に基づいて求めることができる。その算出には、次式(3)を用いる。
dPs=Q−Q=C(V−V)=C・dV (3)
dPs:自発分極の変化
dV:表面電位の変化
、Q:温度変化前後での電荷量
、V:温度変化前後での表面電位
C:静電容量
そして、得られた値を式(1)に当てはめることで焦電係数pを求めることができる。
以上のように、本発明の一態様によれば、表面電位測定部によって表面電位の変化を測定し、それの変化に基づき焦電特性を測定して、圧電体を評価する。従来の評価装置及び評価方法のように、圧電体に上下電極を設けた圧電素子を準備してその電極間の電流や電圧を測定する必要はない。
(装置の構成)
図1に、本発明の第一の態様による圧電体評価装置の基本的な構成を概略的に示す。本発明の一態様による圧電体評価装置100は、評価対象物である圧電体12を含む試料1に作用して圧電体12の温度を変化させることのできる温度変化部2と、圧電体の表面電位を測定することのできる表面電位測定部3とを備えている。
温度変化部2は、圧電体12の温度、具体的には圧電体12の表面の温度を変化させることのできるものであれば、特に限定はされない。温度変化部2は、圧電体12の温度を上昇させるよう作用する手段となっていてもよいし、圧電体12の温度を降下させるよう作用する手段となっていてもよい。
圧電体12の温度を上昇させるように作用する温度変化部2としては、レーザ光照射を利用したもの、フラッシュランプ集光を利用したもの等が挙げられる。中でも、応答性が高い(応答速度が速い)ことから、半導体レーザ(LD)が好ましい。温度変化部2として半導体レーザを用いた場合には、ピンホール等を用いることで所望の面積を照射することが容易となる。その場合、レーザの照射領域の形状は任意のものであってよい。また、形状が円形であれば、その照射面積の直径を、例えば0.5〜3mmに調整することができる。
温度変化部2として半導体レーザを用いた場合、レーザ光照射によって圧電体を含む試料が加熱される。この加熱により、圧電体12の温度が上昇し、温度変化ΔTが生じる。この温度変化ΔTは、後述の温度測定部(図示せず)によって測定することができる。
レーザ光照射を利用する温度変化部2を用いる場合には、図1に示すように、基板10と下部電極11と圧電体12とを含む試料1を用い、基板10の裏側の面(基板10の、圧電体12が設けられていない側の面)からレーザ光照射を行うことが好ましい。基板の表側の面から光照射を行うと、レーザ光の100%が照射領域に供給されないことがあるからである。例えば、圧電体としてPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いた場合、圧電体の厚みに依存した干渉が生じることがあり、その場合、圧電体12の温度変化がその厚みに依存することになる。
また、温度変化部2を、圧電体12の表面温度を降下させるよう作用する手段とする場合には、例えば、ドライアイス、ペルチェ素子等の冷媒からの伝導等による冷却が挙げられる。
表面電位測定部3は、例えば、特開2007−64835号公報に開示された表面電位評価装置、TREK社製のmodel323、model325等の表面電位計を用いることができる。表面電位測定部3は、温度変化部2によって生じる圧電体の温度変化ΔTに対応する圧電体の表面電位の変化ΔVを測定する。
温度変化ΔTは、例えば、室温から圧電体の持つキュリー点温度以下の範囲内の任意の範囲とすることができる。好ましくは、表面電位計出力のS/N(SN比)を高めるためには、ΔT≧30℃であると好ましい。なお、式(3)には、単位時間当たりの温度変化(すなわち速度)の項は含まれていないが、実際の測定では、表面電位計のS/Nを稼ぐ方法として応答速度と同等の温度変化速度を与えることが好ましい。
上記の温度変化ΔT及び表面電位の変化ΔVに基づき、式(1)、(3)により焦電係数を算出することができる。この算出は、圧電体評価装置100にデータ処理部(図示せず)を設け、そのデータ処理部によって行ってもよい。
温度変化部2及び表面電位測定部3は、少なくとも1つが非接触式であることが好ましく、温度変化部2及び表面電位測定部3の両方が非接触式であれば、より好ましい。電極取出部を考慮する必要がないため、試料寸法に制約を与えることがないからである。
温度変化部2及び表面電位測定部3は、図1に示すように、圧電体12を含む試料1を挟んで互いに反対側に設けられていると好ましい。つまり、温度変化部2及び表面電位測定部3は、試料1の裏表に、互いに対応する位置に設けられていてよい。この構成により、圧電体12の面上の任意の箇所における温度変化と表面電位の変化とを測定することが容易になる。温度変化部2及び表面電位測定部3は、試料1の同じ側に、例えば試料1の上方に並列させて配置することもできる。その場合、表面電位測定部3は、温度を変化させるべき圧電体の所定領域の上方に配置され、温度変化部2は、温度を変化させるべき所定領域に対して、斜め方向から作用するように配置されている。
本発明の一態様では、圧電体12の温度変化を測定する温度測定部(図示せず)をさらに備えている。温度測定部は、非接触式の温度計、例えばパイロメータであってよい。
なお、上記の温度変化部2及び表面電位測定部3、並びに温度測定部が全て非接触式であると、電極取出部を考慮する必要がないため試料寸法に制約を与えることがないので、好ましい。
本発明の一態様では、圧電体評価装置100は、試料1を載置するための試料ステージ5を備えていてもよい。図2及び図3に、試料ステージ5を含む圧電体評価装置100の概略図を示す。図2は、圧電体評価装置100を上から見た図であり、図3は、圧電体評価装置100を側方から見た図である。試料ステージ5は、温度変化部2及び表面電位測定部3に対して相対的に移動可能となっている。これにより、圧電体12の面上の複数の箇所で表面電位を測定すること(多点計測)が容易になり、圧電体12の面における特性のばらつきを評価することができる。多点計測では、表面電位計の空間分解能である距離に応じた点数の箇所で圧電体の焦電特性の測定をすることができる。例えば、トレック社のmodel323を用いた場合には、その空間分解能は5mmであるので、6インチのウェハサイズの試料であれば400〜600点の箇所で圧電体の焦電特性の測定をすることができる。
なお、特性のばらつきは、中心値に対し標準偏差を求めることで評価することができる。その場合の中心値は絶対値である必要はなく、相対値として求めてもよよい。
試料ステージは、図2及び3に示すように、試料ステージ5の中心点Oを中心として、回転可能になっていると、上記の多点計測がさらに容易となる。なお、試料ステージ5は、温度変化部2及び表面電位測定部3に対して相対的に、直線方向に移動可能となっていてもよく、又は試料ステージ5の面が延びる平面における任意の方向に移動可能となっていてもよい。この場合、試料ステージ5は、例えば矩形形状を有し、直線方向に往復移動させる機構を備えていてよい。
(試料)
本発明の一態様では、評価対象となる圧電体を含む試料が用いられる。レーザ光照射を利用する温度変化部を用いる場合には、圧電体と下部電極とを含む試料が好ましい。温度変化部として、レーザ光照射を利用した加熱部を用いた場合には、レーザ光が下部電極に吸収され、熱に変換される。これにより、圧電体の厚みに依存することなく圧電体に熱エネルギーを供給することができる。
また、試料は基板を含むものであってもよい。例えば、基板と、基板上に形成された下部電極と、下部電極上に形成された圧電体とから構成される試料を用いることができる。また、圧電体の表面が、圧電体の表面電位を測定することができる程度の露出部を有しているのであれば、試料の圧電体上に何等かの層が設けられたものを、本発明の一態様による圧電体評価装置の試料として使用することができる。
なお、下部電極は、後の製造工程を経て得られる素子の下部電極であってもよいし、素子において実際に用いられる下部電極ではなく、測定用の仮の下部電極であってもよい。
圧電体としては、無機又は有機の圧電体、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛、ランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸ナトリウムカリウム、ポリフッ化ビニデン樹脂等の材料を挙げることができる。
本発明の一態様による圧電体評価装置によって評価される圧電体の厚みには、特段制限はない。PIEZO MEMS(圧電MEMS)の素子に利用される圧電体であれば、そその厚みは0.5〜10μm程度である。
試料に含まれる圧電体は、スパッタリング法、CSD(Chemical Solution Deposition)法等によって成膜することができる。スパッタリング法で圧電体を形成した場合、結晶格子欠陥の導入によって自発分極が生じている。よって、スパッタリング法で形成された圧電体は、分極処理をする必要はない。一方、CSD法を用いた場合には、成膜後の膜の自発分極は揃っていないので、分極処理等が必要となる。分極処理は、図2及び図3に示された帯電部4によって行うことができる。帯電部4としては、例えば、コロナ帯電器が挙げられる。帯電部4により、圧電体12の表面の自発分極を揃えるよう電荷の放出が調整される。
基板としては、シリコンを用いることができる。シリコン(Si)を用い、温度変化部2としてレーザを用いた場合には、シリコンに対し光吸収を持たない波長を選択する必要がある。好ましいレーザ波長は、約900〜1400nmである。このような波長の光であれば、シリコン基板を通過して下部電極で吸収され、熱に変換される。
[2]本発明の第二の態様による圧電体評価装置及び圧電体評価方法
本発明の第二の態様による圧電体評価装置は、本発明の第一の態様による構成に加えて、前記圧電体に電荷を付与する帯電部をさらに備え、前記表面電位測定部が、前記圧電体の表面電位が飽和に達した後の自己放電によって減少する前記表面電位の経時的な変化を測定するものである。なお、本発明の一態様による圧電体評価装置は、圧電体に電荷を付与する帯電部と、前記圧電体の表面電位を測定する表面電位測定部とを備えている圧電体評価装置であって、前記表面電位測定部が、前記圧電体の表面電位が飽和に達した後の自己放電によって減少する前記表面電位の経時的な変化を測定するものであってもよい。
また、本発明の第二の態様による圧電体評価方法は、圧電体を含む試料を準備し、前記圧電体の表面電位が飽和に達するまで前記圧電体を帯電させ、前記表面電位が飽和に達した後の自己放電により減少する前記表面電位の経時的な変化を測定するものである。
このような圧電体評価装置によって、圧電体の表面に上部電極及び下部電極が形成された構造(サンドイッチ構造)を準備しなくとも、圧電体の誘電特性を測定することができる。圧電体の誘電特性とは、具体的には、静電容量、誘電率、比誘電率、絶縁抵抗、誘電損失等を指す。
(誘電特性の測定原理)
以下に、静電容量の測定を主たる例として、本発明の一態様による誘電特性の測定原理を示す。
静電容量の測定においては、まず、帯電させようとする圧電体の表面の領域に対し、表面電位が十分飽和するまで電荷を供給する。次式で表されるように、帯電した圧電体には、電荷量Qに比例した表面電位Vが出現する。
Q=C・V (4)
Q:電荷量
C:静電容量
V:表面電位
上式(4)に基づき、表面電位が飽和に達するまで与えられた電荷量Qと、飽和に達した表面電位V(Vmax)との値が得られれば、静電容量Cを求めることができる。表面電位Vは、表面電位測定部によって測定される。
ここで、帯電部によって電荷を付与した後、表面電位測定部によって表面電位を測定するために、圧電体の表面電位が飽和に達して最大となった時点と、表面電位が測定される時点とでは時間差が生じる。その時間の間に自然放電が起こり、圧電体の表面電位は低下する。よって、圧電体の表面電位が飽和に達した時点での表面電位(真の最大表面電位)Vmaxを正確に測定することは難しい。そこで、圧電体の表面電位が飽和に達した時点で帯電部による帯電を停止し、その後の自己放電によって減少する表面電位の経時的な変化を測定する。つまり、所定時間に対応する表面電位の値を複数記録する。図4に、表面電位が飽和に達するまでの圧電体の表面電位の上昇、及び帯電停止後の自己放電による圧電体の表面電位の低下を表す。
そして、測定された表面電位の経時的な変化に基づき、静電容量を求める。具体的には、圧電体の表面電位が飽和に達して最大となった後に経過した時間tの対数(logt)を横軸に、表面電位を縦軸に取ってプロットする。プロットによりほぼ直線関係が得られるので、横軸のlogtを0に外挿した時の値を、真の最大表面電位Vmaxとすることができる。この静電容量の算出は、圧電体評価装置100にデータ処理部(図示せず)を設け、そのデータ処理部によって行ってもよい。
このようにして得られた真の最大表面電位Vmaxと、帯電部によって与えられた電荷量Qとを式(3)に当てはめることで、静電容量Cを求めることができる。
また、得られた静電容量の値から、誘電率、ひいては比誘電率を求めることができる。さらに、放電時定数、絶縁抵抗、相対誘電損失も求めることができる。
放電時定数τは、上記の片対数の近似によって求めることができる。放電時定数τとは、一般には、最大表面電位Vmaxの37%が放電されるまでに経過する時間を指す(図4を参照)。ただし、試料内の位置による特性の相対的な変化を検査する場合(すなわち製品の均一性を評価する場合)等には、最大表面電位Vmaxの37%が放電されるまでに経過する時間としての放電時定数τを求める必要はない。
帯電をOFFとした後の、図4において放電時定数と表示した領域の表面電位は、初期の急激に減少する領域と、その後になだらかに減少する領域とからなっている。初期の急激に減少する領域は相対誘電損失の成分に、なだらかに減少する領域は絶縁抵抗成分に分離・解析ができる。
絶縁抵抗Rは、以下のように求めることができる。Vmaxの37%が放電された時点での電位を初期電位Vとする。そして、その表面電位Vで材料中に存在する電荷Q(単位クーロン)が、漏れ電流としてグランド電位に流れた場合には、ΔQの減少が生じる。その場合、単位時間当たりのΔQに相当する電流Iを測定する。そして、この電流Iを初期表面電位Vで除した値が直流での絶縁抵抗に相当する。
上下電極により挟持された(サンドイッチ構造の)圧電体試料における圧電体の誘電性、導電性を定量化するには、比誘電率と電気伝導度が重要である。一方、一般に、理論的な取扱いにおいては誘電損失が用いられる。誘電損失は、交番電界周波数に対する誘電率を表す複素数の実数部と虚数部との比率に相当する。通常、このような特性の測定は、既存のLCRメータやインピーダンスアナライザなどの計測器で行うことができる。しかし、本発明の一態様の試料のように少なくとも一方の電極が形成されていない場合には、行うことができない。
相対誘電損失は、放電時定数を利用して求めることができる。具体的には、誘電損失が既知である材料に対して放電時定数を求めておき、その相対値として圧電体の誘電損失を定量化する。誘電損失が既知である材料としてはPVDF、ポリプロピレンなどの有機材料シートが好適である。
以上のように、本発明の一態様によれば、表面電位測定部によって表面電位の経時的な変化を測定し、その変化に基づき誘電特性を測定して、圧電体を評価する。従来の評価装置及び評価方法のように、圧電体に上下電極を設けた圧電素子を準備してその電極間の電流や電圧を測定する必要はない。
(装置の構成)
図2及び図3に、本発明の第二の態様の圧電体評価装置100の概略的な構成を示す。図2は、本発明の第二の態様の圧電体評価装置を上から見た図であり、図3は、圧電体評価装置100を側方から見た図である。第二の態様の圧電体評価装置100の基本的な構成は、図1〜3を用いて上述した第一の態様の圧電体評価装置100の構成と共通している。
本発明の第二の態様の圧電体評価装置は、温度変化部2、表面電位測定部3、及び帯電部4を備えている。表面電位測定部3と帯電部4とは、試料1の、圧電体12が設けられている側に配置されている。
帯電部4としては、電荷が飽和するように圧電体12に対して電荷を放出することができるものであってよい。例えば、コロナ帯電を利用する帯電部4が挙げられる。
本発明の一態様では、圧電体評価装置100は、試料1を載置するための試料ステージ5を備えていてもよい。試料ステージ5は、表面電位測定部3及び帯電部4に対して相対的に移動可能となっている。これにより、圧電体12の面上の複数の箇所で表面電位を測定すること(多点計測)が容易になり、圧電体12の面における特性のばらつきを評価することができる。
試料ステージ5は、図2及び3に示すように、試料ステージ5の中心点Oを中心として、回転可能になっていると、上記の多点計測がさらに容易となる。なお、試料ステージ5は、温度変化部2及び表面電位測定部3に対して相対的に、直線方向に移動可能となっていてもよく、又は試料ステージ5の面が延びる平面における任意の方向に移動可能となっていてもよい。この場合、試料ステージ5は、例えば矩形形状を有し、直線方向に往復移動させる機構を備えていてよい。
なお、本発明の一態様による圧電体評価装置及び圧電体評価方法は、近年、市場が立ち上がりつつあるPIEZO MEMS(圧電MEMS)の分野において、とりわけ有用である。
PIEZO MEMSの製造を請け負うファウンダリは、ウェハ基板上に電極膜(下部電極)、圧電膜を順に形成した構成体(「圧電膜/下部電極/基板」)を、製品としてユーザ(購入者)に納品する。しかし、上述のように、従来の装置及び方法によれば、圧電体の特性の測定は、圧電体の表面に上部電極及び下部電極が形成された構造(サンドイッチ構造)が得られた段階で初めて可能となる。つまり、従来、上部電極が設けられていない製品について、圧電体の特性を測定する術はなかった。よって、ファウンダリは、「圧電膜/下部電極/基板」という構成体における圧電膜の特性(誘電特性、焦電特性等)を出荷前に測定して、その情報をユーザに提供することはできなかった。また、ユーザ(購入者)も、納品された製品に上部電極を設ける前に、圧電膜自体が十分な性能を満たすのかどうかを判断することは困難であった。
本発明の圧電体評価装置及び圧電体評価方法によれば、圧電体の表面に上部電極及び下部電極が形成された構造(サンドイッチ構造)を準備することなく、つまり、上部電極を設ける前の段階であっても、圧電体の特性を測定することができるので、上記の問題を解決することができる。
(実施例1)
熱酸化膜を配置したシリコン基板の上に、200nmの厚みの白金膜を密着膜を介して堆積し、第1の電極(下部電極)とした。続いて、第1の電極上に、スパッタリング法によって、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を、厚みが2μmとなるように成膜した。
得られた試料の裏側から、半導体レーザによる光照射を行った。レーザ照射光の波長は、980nmとした。PZT膜表面の温度測定には、パイロメータ(チノー社製、デジタル放射温度計 IR−AHT0)を使用した。圧電体の表面の温度変化とそれに伴う表面電位の変化とに基づき、焦電係数を求めた。
(比較例1)
実施例1で作製した試料の上に、上部電極として、100nmの厚みの白金膜を堆積させた。この上部電極を含む素子について、JIS R 1651:2002に記された「ファインセラミックスの焦電係数の測定方法」によって焦電係数を求めた。
測定された焦電係数は、実施例1と比較例1とでは、ほとんど違いはなかった。
(実施例2)
実施例1で作成した試料のPZT膜を、自作のコロナ帯電器によって帯電させ、表面電位が飽和に達したところで帯電器を停止させた。その後、表面電位計(トレック社製、model323)を用いて、PZT膜の自己放電により表面電位が、表面電位の経時的な変化を測定し、上に述べたようにVmaxを求めた。式(3)より、静電容量の値を求めた。
(比較例2)
比較例1の試料について、HIOKI インピーダンスアナライザIM3750装置を用いて静電容量を求めた。
測定された静電容量は、実施例2と比較例2とでは、ほとんど違いはなかった。
1 試料
10 基板
11 下部電極(第1の電極)
12 圧電体(圧電膜)
2 温度変化部
3 表面電位測定部
4 帯電部
5 試料ステージ
100 圧電体評価装置
特開平6−160193号公報

Claims (18)

  1. 基板と、前記基板上に形成された下部電極と、前記下部電極上に形成された圧電体とを含む試料に作用して前記圧電体の温度を変化させる温度変化部と、
    前記圧電体の表面電位を測定する表面電位測定部と
    を備えている圧電体評価装置であって、
    前記表面電位測定部が、前記温度変化部によって生じる前記圧電体の温度変化に対応する前記圧電体の表面電位の変化を測定する、圧電体評価装置。
  2. 第一のデータ処理部をさらに備えており、
    前記第一のデータ処理部が、前記温度変化及び前記表面電位の変化に基づき、前記圧電体の焦電特性を測定する、請求項1に記載の圧電体評価装置。
  3. 温度測定部をさらに備えており、前記温度測定部が前記圧電体の温度変化を測定する、請求項1又は2に記載の圧電体評価装置。
  4. 前記温度変化部と前記表面電位測定部とが、前記試料を挟んで互いに反対側に設けられている、請求項1からのいずれか一項に記載の圧電体評価装置。
  5. 前記圧電体に電荷を付与する帯電部をさらに備えている、請求項1からのいずれか一項に記載の圧電体評価装置。
  6. 前記帯電部が、前記圧電体の分極処理を行う、請求項に記載の圧電体評価装置。
  7. 前記試料を載置する試料ステージをさらに備えており、
    前記試料ステージが、前記温度変化部及び前記表面電位測定部に対して相対的に移動可能となっている、請求項に記載の圧電体評価装置。
  8. 前記表面電位測定部が、前記帯電部による電荷の付与により前記圧電体の表面電位が飽和に達した後の自己放電によって減少する前記表面電位の経時的な変化を測定する、請求項に記載の圧電体評価装置。
  9. 第二のデータ処理部をさらに備えており、
    前記第二のデータ処理部が、前記表面電位の経時的な変化に基づき、前記圧電体の誘電特性を測定する、請求項に記載の圧電体評価装置。
  10. 前記試料ステージが、前記温度変化部、前記表面電位測定部、及び前記帯電部に対して相対的に移動可能となっている、請求項に記載の圧電体評価装置。
  11. 基板と、前記基板上に形成された下部電極と、前記下部電極上に形成された圧電体とを含む試料を準備し、
    前記試料に作用して前記圧電体の温度を変化させ、
    前記温度変化に対応する前記圧電体の表面電位の変化を測定する、圧電体評価方法。
  12. 前記温度変化及び前記表面電位の変化に基づき、前記圧電体の焦電特性を測定することをさらに含む、請求項11に記載の圧電体評価方法。
  13. 前記温度変化を測定することをさらに含む、請求項11又は12に記載の圧電体評価方法。
  14. 前記表面電位の変化を測定することを、前記試料の表側の面から行い、
    前記試料に作用して前記圧電体の温度を変化させることを、前記試料の裏側の面から行う、請求項11から13のいずれか一項に記載の圧電体評価方法。
  15. 前記圧電体の温度を変化させる前に、前記圧電体を帯電させることにより分極処理を行う、請求項11から13のいずれか一項に記載の圧電体評価方法。
  16. 前記圧電体の温度を変化させること、前記圧電体の表面電位の変化を測定すること、及び前記圧電体を帯電させることを非接触式に行う、請求項15に記載の圧電体評価方法。
  17. 基板と、前記基板上に形成された下部電極と、前記下部電極上に形成された圧電体とを含む試料を準備し、
    前記圧電体の表面電位が飽和に達するまで前記圧電体を帯電させ、
    前記表面電位が飽和に達した後の自己放電により減少する前記表面電位の経時的な変化を測定する、圧電体評価方法。
  18. 前記表面電位の経時的な変化に基づき前記圧電体の誘電特性を測定することをさらに含む、請求項17に記載の圧電体評価方法。
JP2016032407A 2016-02-23 2016-02-23 圧電体評価装置 Active JP6699223B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016032407A JP6699223B2 (ja) 2016-02-23 2016-02-23 圧電体評価装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016032407A JP6699223B2 (ja) 2016-02-23 2016-02-23 圧電体評価装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017152494A JP2017152494A (ja) 2017-08-31
JP6699223B2 true JP6699223B2 (ja) 2020-05-27

Family

ID=59741048

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016032407A Active JP6699223B2 (ja) 2016-02-23 2016-02-23 圧電体評価装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6699223B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7102733B2 (ja) 2018-01-04 2022-07-20 株式会社リコー イオン検出装置及び電界非対称波形イオン移動度分光分析システム
TWI747360B (zh) 2020-07-03 2021-11-21 馗鼎奈米科技股份有限公司 壓電薄膜之極化品質的監控方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06160193A (ja) * 1992-04-23 1994-06-07 Nippon Ceramic Co Ltd 焦電係数簡易測定装置
JP3714133B2 (ja) * 1999-08-13 2005-11-09 株式会社村田製作所 圧電体の分極処理方法
JP3433209B2 (ja) * 2000-10-25 2003-08-04 由紀夫 藤本 塗装構造物の応力測定法およびその装置
JP4113004B2 (ja) * 2003-02-20 2008-07-02 株式会社山寿セラミックス 圧電基板用単結晶、それを用いた弾性表面波フィルタおよびその製造方法
JP4220997B2 (ja) * 2003-03-06 2009-02-04 信越化学工業株式会社 タンタル酸リチウム結晶の製造方法
JP4417747B2 (ja) * 2004-02-26 2010-02-17 京セラ株式会社 弾性表面波装置およびその製造方法
JP4670050B2 (ja) * 2004-11-26 2011-04-13 国立大学法人 東京大学 エレクトレット及び静電誘導型変換素子
JP5638211B2 (ja) * 2008-09-12 2014-12-10 株式会社ユポ・コーポレーション エレクトレット化フィルム
KR101618141B1 (ko) * 2012-04-17 2016-05-04 고쿠리츠다이가쿠호진 사이타마 다이가쿠 일렉트릿 구조체 및 그 제조 방법 및 정전 유도형 변환 소자

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017152494A (ja) 2017-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Glass Dielectric, Thermal, and Pyroelectric Properties of Ferroelectric LiTa O 3
JP4195935B2 (ja) 熱物性測定方法及び装置
Yu et al. Pyroelectric energy harvesting devices based-on Pb [(MnxNb1− x) 1/2 (MnxSb1− x) 1/2] y (ZrzTi1− z) 1− yO3 ceramics
Liu et al. Spatially resolved imaging of electrocaloric effect and the resultant heat flux in multilayer capacitors
RU2720943C1 (ru) Способ и устройство калибровки термометра по месту
JP2011185697A (ja) 熱電材料評価装置及び熱電特性評価方法
JP6699223B2 (ja) 圧電体評価装置
Fialka et al. Measurement of thermal depolarization effects in piezoelectric coefficients of soft PZT ceramics via the frequency and direct methods
Weaver et al. High temperature measurement and characterisation of piezoelectric properties
Bette et al. Infrared-laser based characterization of the pyroelectricity in AlScN thin-films
JP7232513B2 (ja) ゼーベック係数測定装置及びその測定方法
Martinez et al. Dielectric constant tunability at microwave frequencies and pyroelectric behavior of lead-free submicrometer-structured (Bi 0.5 Na 0.5) 1-x Ba x TiO 3 ferroelectric ceramics
KR101662713B1 (ko) 열전박막의 수직방향 열전특성 측정센서유닛
Whatmore Characterisation of pyroelectric materials
Taylor et al. Thermal instability of electromechanical films of cellular polypropylene
Peng et al. An infrared pyroelectric detector improved by cool isostatic pressing with cup-shaped PZT thick film on silicon substrate
Leonov et al. Charge Retention in a Patterned ${\rm SiO} _ {2}/{\rm Si} _ {3}{\rm N} _ {4} $ Electret
Phermpornsakul et al. Determination of piezoelectric and pyroelectric coefficients and thermal diffusivity of 1-3 PZT/epoxy composites
Schwödiauer et al. High-accuracy characterization of pyroelectric materials: A noncontact method based on surface potential measurements
Hassine et al. Self heating under RF power in BAW SMR and its predictive 1D thermal model
JP2018018889A (ja) 電気特性評価装置
Moser et al. Determination of the thermoelectric figure of merit of doped polysilicon thin films by micromachined test structures
Filloy-Corbrion et al. Simultaneous measurement of surface temperature and space charge distribution with thermal pulse method
Liu et al. Improved nonlinear coefficient (0.7 pm/V) in silica thermally poled at high voltage and temperature
Shvartsman et al. Direct and indirect measurements of the electrocaloric effect (ECE) in metal oxides

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191017

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191211

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200331

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200413

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6699223

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151