JP2008035220A - 弾性表面波装置及び通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 挿入損失劣化を低減し、肩特性を向上できる優れた弾性表面波装置及びそれを用いた通信装置を提供すること。
【解決手段】 圧電基板1上に、一対の平行な共通電極4及び各共通電極4から互いに噛み合うように延びた複数の電極指からなるIDT電極3が形成されており、IDT電極3は、電極指の根元に弾性表面波の伝搬方向に突出した突起部5が形成されていることにより、フィルタ特性における挿入損失劣化を低減し、肩特性を向上させた弾性表面波装置を提供できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば携帯電話等の移動体通信機器に用いられる弾性表面波フィルタや弾性表面波共振器などの弾性表面波装置及びこれを備えた通信装置に関するものである。
近年、小形化、無調整化を図ることができる弾性表面波フィルタが各種通信装置に使用されるようになり、通信装置の高周波化、高機能化の進展にともない、弾性表面波フィルタを低損失化する要求が益々増大してきている。高周波化にともなって圧電基板材料に起因する固有損が増大するため、例えば2重モード弾性表面波共振器フィルタにおいて、周波数が高くなるほど挿入損失が劣化する傾向がある。
また、IDT電極(Inter Digital Transducer)の電極指ピッチは、高周波になるほど小さくなり、IDT電極の膜厚は薄くなる。例えば、1.9GHz帯弾性表面波フィルタのIDT電極の膜厚は、900MHz弾性表面波フィルタの約半分の膜厚で設計されることとなり、弾性表面波フィルタ間を接続する引き出し電極等の伝送線路におけるオーミック損失が高周波になるほど大きくなる。そのため、さらに挿入損失が劣化する傾向がある。
このような挿入損失の劣化を抑制するために、種々の提案がされている。例えば、圧電基板上に3つのIDT電極を設けた縦1次モードと縦3次モードを利用した2重モード弾性表面波共振器フィルタについて、次のような挿入損失を改善する手段が提案されている。
図6に、従来の共振器型弾性表面波フィルタの電極構造を上からみた平面図を示す。圧電基板202上に配設された複数の電極指を有するIDT電極204は、互いに対向させ噛み合わせた一対の櫛歯状電極からなり、この一対の櫛歯状電極に電界を印加し弾性表面波を生じさせるものである。IDT電極204の一方の櫛歯状電極に接続された入力端子215から電気信号を入力することにより、励振された弾性表面波がIDT電極204の両側に配置されたIDT電極203,205に伝搬される。また、IDT電極203,205のそれぞれを構成する一方の櫛歯状電極からIDT電極206,209を通じて出力端子216,217へ電気信号が出力される。なお、図中210,211,212,213はそれぞれ反射器電極である。このように、共振器電極パターンを2段縦続接続させることにより、1段目と2段目の定在波の相互干渉により、通過帯域外減衰量を高減衰化し、フィルタ特性の通過帯域外減衰量を向上させることができる。即ち、同様の特性をもつ弾性表面波フィルタを2段縦続接続の構成とすることで、1段目で減衰された信号が2段目でさらに減衰され、通過帯域外減衰量を約2倍に向上させることができる。
ここで、IDT電極204に接続された入力端子215に電気信号を入力することにより、弾性表面波を励振させ、この弾性表面波がIDT電極204の両側に位置するIDT電極203,205に伝搬され、IDT電極207,208に接続された出力端子216,217から電気信号が出力される。また、IDT電極203〜205の両端及びIDT電極206〜209の両端に位置する反射器電極210,211及び反射器電極212,213により弾性表面波が反射され、反射器電極210,211間及び反射器電極212,213間で定在波となる。
この定在波のモードには、3つのIDT電極により1次モードとその高次(3次)モードが含まれる。これらのモードで発生する共振により通過特性が得られるため、これらのモードで発生する共振周波数のピーク位置を制御することにより通過帯域内の挿入損失を改善することができる。従来、隣り合うIDT電極の端部に電極指の狭ピッチ部を設けることにより、IDT電極間におけるバルク波の放射損を低減して、共振モードの状態を制御することにより挿入損失の改善が図られていた(例えば、特許文献1,2を参照。)。
また、図7に従来の弾性表面波フィルタの電極構造の平面図を示す。低損失化を実現する他の手段として、IDT電極における共通電極の少なくとも一部の厚みが、電極指の厚みよりも厚くされていることにより、共通電極を伝搬する弾性表面波の音速が、電極指を伝搬する弾性表面波の音速に比べて遅くなり、弾性表面波のエネルギーが閉じ込められ、低損失化を実現した弾性表面波フィルタの例も提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。
特開2002−9587号公報 特表2002−528987号公報 特開2002−100952号公報 マサノリ ウエダ,「ハイ パフォーマンス SAW アンテナ デュプレクサ ユージング ウルトラ−ロー−ロス ラダー フィルタ アンド DMS フォー 1.9GHz ユーエス ピーシーエス」,イン:セカンド インターナショナル シンポジウム オン アコースティック ウエーブ デバイス フォー フューチャー モバイル コミュニケーション システムズ 2004(Masanori Ueda,"High Performance SAW Antenna Duplexer using Ultra-Low-Loss Ladder Filter and DMS for 1.9GHz US PCS", in:Second International Symposium on Acoustic Wave Devices for Future Mobile Communication Systems 2004)
しかし、特許文献1,2に開示されている弾性表面波装置では、IDT電極間における弾性表面波がバルク波へモード変換されることによる挿入損失の劣化を抑制することは可能であるが、IDT電極、隣接するIDT電極間及び隣接するIDT電極と反射器電極間における弾性表面波の伝搬方向に垂直な方向における弾性表面波のエネルギーの閉じ込めが不完全である。即ち、弾性表面波の伝搬方向においては、反射器電極により弾性表面波を反射させてエネルギーを閉じ込めることができる。しかし、弾性表面波の伝搬方向だけでなく、弾性表面波の伝搬漏れの光学的観察によって、伝搬方向に対して垂直な方向における漏れが発生することが分かっており、さらにコンピュータシミュレーションの結果、IDT電極の共通電極上の音速Vbに対してIDT電極の電極指上の音速Vgが遅い場合または等しい場合、弾性表面波の伝搬方向に対して垂直方向の漏れが発生すると報告されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
このため、弾性表面波の伝搬方向に垂直な方向においても弾性表面波のエネルギーを十分に閉じ込める必要がある。特許文献1,2に開示されている弾性表面波装置のように隣り合うIDT電極の端部に電極指の狭ピッチ部を設けることにより、挿入損失を改善しただけでは不充分であり、さらに弾性表面波の伝搬方向に対して垂直方向の漏れに起因する挿入損失の劣化を抑制する必要がある。
また、特許文献3に開示されているような弾性表面波装置では、IDT電極の一方の共通電極に形成された電極指の先端と相対する他方の共通電極までの領域は、電極が形成されておらず、弾性表面波の励振に寄与しない領域である。そのため、この領域の音速は電極指交差部と比較して早くなる。この電極指非交差部領域の音速が、弾性表面波の励振に寄与する電極交差部領域の音速に比べて早いことにより、弾性表面波の伝搬方向に対して垂直方向の漏れを抑制することが充分にできない。
また、IDT電極の共通電極の一部の厚みを厚くする手段として、Alより密度が大きい金属等を共通電極上に成膜して積層する手段、または予めAlまたはAl合金によりIDT電極の厚みを厚くして成膜した後、ドライエッチング等で電極指の部位の厚みを薄くして形成する手段があるが、前者の場合、弾性表面波素子の製造工程が増加する。また、後者の場合、エッチングを均一に制御して電極膜厚を一定に制御することが困難である。
従って、本発明は上記従来の技術における問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、挿入損失の劣化を生じず、優れたフィルタ特性を有し、高品質な弾性表面波フィルタとしても機能できる弾性表面波装置及びそれを用いた通信装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の弾性表面波装置は、圧電基板上に、一対の平行な共通電極及び該各共通電極から互いに噛み合うように延びた複数の電極指からなるIDT電極が形成されており、該IDT電極は、前記電極指の根元に弾性表面波の伝搬方向に突出した突起部が形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の弾性表面波装置は、前記IDT電極は、一方の前記共通電極に形成された前記電極指の先端と対向する他方の前記共通電極の部位にダミー電極が形成されており、前記突起部は、弾性表面波の伝搬方向において前記電極指の先端と前記ダミー電極との間隙に隣接して形成されていることを特徴とするものである。
ここで、ダミー電極とは、IDT電極において一方の共通電極から延びた電極指先端と相対する他方の共通電極との間の間隔部に、他方の共通電極から突設させた小電極指のことをいう。
また、本発明の弾性表面波装置は好ましくは、上記各構成において、前記ダミー電極の幅W及び前記ダミー電極に対向する前記電極指の幅Wの2分の1をB(B=W/2)、前記ダミー電極に弾性表面波の伝搬方向において隣接する前記電極指の幅Wの2分の1をB(B=W/2)、幅Wの前記電極指とそれに隣接する幅Wの前記電極指との中心間距離をAとしたときに、前記突起部及び前記電極指の先端と前記ダミー電極との間隙の部位を除いて(B1+B2)/Aが一定となっていることを特徴とするものである。
本発明の通信装置は、上記いずれかの本発明の弾性表面波装置を有する、受信回路及び送信回路の少なくとも一方を備えたことを特徴とするものである。
本発明の弾性表面波装置によれば、圧電基板上に、一対の平行な共通電極及び各共通電極から互いに噛み合うように延びた複数の電極指からなるIDT電極が形成されており、IDT電極は、電極指の根元に弾性表面波の伝搬方向に突出した突起部が形成されていることから、以下のような作用効果を奏する。
図3に、IDT電極の位置におけるリーキー波SAW(Surface Acoustic Wave)モードの音速異方性の模式図を示す。図3で、Vxは伝搬方向(X方向)の音速、Vyは伝搬方向に垂直な方向(Y方向)の音速であり、横軸は1/Vxで縦軸は1/Vyである。リーキー波SAWの不要波としてのモードは、第1のモードとして圧電基板の内部方向に漏れる不要波が発生する。また、別の不要波発生モードが第2の発生モードとして、図3の音速カーブに対して法線方向の不要波(伝搬方向に対して斜め方向に放射されるモード。)が発生する。本発明の構成によれば、電極指の根元に弾性表面波の伝搬方向に突出した突起部が形成されていることにより、共通電極近傍における自由表面の面積が減少して、第1のモードの不要波が抑制され、共通電極近傍の音速Vxを遅くして、音速カーブ自体をシフトさせる(図3において音速カーブを(a)から(b)へシフトさせる)ことにより、ある周波数における第2のモードの不要波(弾性表面波の伝搬方向に対して斜め方向に放射されるモード)を抑制することができる。その結果、フィルタ特性における肩特性を向上させ、挿入損失を向上させることができる。
また、特許文献3に開示されているような弾性表面波装置では、共通電極の膜厚を厚くする工程をさらに付加する必要があり、工程数が増加するが、本発明の電極構造によれば、特に工程数はそのままで、電極構造を工夫することにより、2つのモードの不要波を抑制して挿入損失が向上した弾性表面波素子を提供することができる。
また、本発明の弾性表面波装置によれば、上記構成において好ましくは、IDT電極は、一方の共通電極に形成された電極指の先端と対向する他方の共通電極の部位にダミー電極が形成されており、突起部は、弾性表面波の伝搬方向において電極指の先端とダミー電極との間隙に隣接して形成されていることにより、IDT電極の電極指の根元部における弾性表面波の音速より、IDT電極の共通電極近傍における弾性表面波の音速がさらに遅くなり、弾性表面波の伝搬方向に対して垂直な方向のエネルギーの漏れをより防止することができ、フィルタ特性における挿入損失を充分に低減した弾性表面波素子を提供することができる。
また、本発明の弾性表面波装置は好ましくは、上記各構成において、ダミー電極の幅W及びダミー電極に対向する電極指の幅Wの2分の1をB(B=W/2)、ダミー電極に弾性表面波の伝搬方向において隣接する電極指の幅Wの2分の1をB(B=W/2)、幅Wの電極指とそれに隣接する幅Wの電極指との中心間距離をAとしたときに、突起部及び電極指の先端とダミー電極との間隙の部位を除いて(B1+B2)/Aが一定となっていることから、以下のような作用効果を奏する。
本発明の弾性表面波装置における実施の形態の一例を示す図4に、圧電基板上に形成されたIDT電極の要部平面図を示す。図4に示すように、上記の構成となっていることにより、上記と同様に弾性表面波の伝搬方向と平行な方向の共通電極近傍における第1のモードの不要波と、弾性表面波の伝搬方向に対して斜め方向に放射される第2のモードの不要波の両方を抑制することができる。そのため、弾性表面波素子の挿入損失を向上させることができ、かつ共通電極近傍においてもIDT電極のデューティ(線幅比)を一定にすることができるので、安定した所望の弾性表面波装置のフィルタ特性を得ることができる。
本発明の通信装置は、上記いずれかの本発明の弾性表面波素子を有する、受信回路及び送信回路の少なくとも一方を備えたことにより、従来より要求されていた厳しい挿入損失を満たすことができるものが得られ、感度が格段に良好な通信装置を実現することができる。
以下、本発明の弾性表面波装置の実施形態について図面を参照にしつつ詳細に説明する。また、本発明の弾性表面波素子について、簡単な構造の共振器型の弾性表面波フィルタを例にとり説明する。また、以下に説明する図面において同一構成には同一符号を付すものとする。また、各電極の大きさや電極間の距離等、電極指の本数や間隔等については、説明のために模式的に図示している。
本発明の弾性表面波装置における実施の形態の一例として、図1に圧電基板上に形成されたIDT電極及び反射器電極の平面図を示す。図1に示すように、本発明の弾性表面波装置は、圧電基板1上に、一対の平行な共通電極4及びこの各共通電極4から互いに噛み合うように延びた複数の電極指からなるIDT電極3が形成されており、このIDT電極3は、電極指の根元に弾性表面波の伝搬方向に突出した突起部5が形成されている。
この構成により、電極指の根元に弾性表面波の伝搬方向に突出した突起部5が形成されていることにより、共通電極4近傍において弾性表面波が励振する自由表面が減少して、弾性表面波の伝搬方向に平行な第1のモードの不要波を抑制するとともに、弾性表面波の励振に寄与しないIDT電極3の共通電極4及び電極指非交差部領域(IDT電極3の一方の共通電極4に形成された電極指先端から相対する他方の共通電極4までの領域)における音速を、弾性表面波の励振に寄与する電極指交差部領域の音速より遅くすることができ、共通電極近傍の音速Vxを遅くして、音速カーブ自体をシフトさせる(図3において、音速カーブを(a)から(b)へシフトさせる)ことにより、ある周波数における第2のモードの不要波(弾性表面波の伝搬方向に対して斜め方向に放射される不要波のモード)を抑制することができる。そのため、通過帯域における肩特性を向上させ、フィルタ特性の挿入損失を向上させた弾性表面波装置を提供することができる。
本発明の弾性表面波装置において、突起部5の弾性表面波の伝搬方向における長さは、突起部5が形成されている電極指の中心から0.75λ〜1.25λ(λ:弾性表面波の波長)の長さであるのがよく、0.75λ未満では不要波の抑制効果が薄れることになり、1.25λを超えると隣り合う電極指に近づきすぎて、大きな電気的容量を発生させるために電気特性の劣化を招き易い。また、突起部5の電極指の長手方向における幅は、隣り合う電極指の先端から共通電極までの間隙の長さの90%〜110%であるのがよく、90%未満では不要波の抑制効果が薄れることとなり、110%を超えると隣り合う電極指に近づきすぎて、大きな電気的容量を発生させるために電気特性の劣化を招き易い。
また、突起部5は電極指の根元の両側に形成されていることがよく、上記本発明の作用効果がより向上したものとなる。さらに、電極指の根元の両側に形成された突起部5は対称に形成されていることがよく、弾性表面波の乱れを抑制し、IDT電極全体における弾性表面波の分布を一様にすることができ、弾性表面波フィルタにおける電気的特性の向上に好都合なものとなる。
また、突起部5は、図1に示すように、電極指の根元に電極指の基部との間に隙間が形成されるように構成することが好ましい。これにより、突起部5を形成することによる電極指のデューテーの変化を最小限に抑えることができ、弾性表面波装置の損失が大きくなることを抑えることができる。
本発明の弾性表面波装置における実施の形態の他例として、図2に縦結合型2重モード弾性表面波装置の電極構造の平面図を示す。この例では、3つのIDT電極3,6,7が弾性表面波の伝搬方向に隣接して設けられており、圧電基板1上に、一対の平行な共通電極4及びこの各共通電極4から互いに噛み合うように延びた複数の電極指からなるIDT電極3,6,7が形成されており、このIDT電極3,6,7は、電極指の根元に弾性表面波の伝搬方向に突出した突起部5が形成されおり、IDT電極3,6,7は、一方の共通電極4に形成された電極指の先端と対向する他方の共通電極4の部位にダミー電極8が形成されており、突起部5は、弾性表面波の伝搬方向において電極指の先端とダミー電極8との間隙に隣接して形成されている。
この構成により、IDT電極3,6,7の電極指の根元部における弾性表面波の音速より、IDT電極3,6,7の共通電極4近傍における弾性表面波の音速が遅くなり、さらに弾性表面波の伝搬方向に対して垂直な方向のエネルギーの漏れを防止することができ、フィルタ特性における挿入損失を充分に低減した弾性表面波装置を提供することができる。
本発明において、ダミー電極8の弾性表面波の伝搬方向における幅は1.5λ〜0.75λであるのがよく、0.75λ未満では不要波の抑制効果が薄れ、1.5λを超えると電極指が長くなることによる電気抵抗の増加により損失が大きくなる。
また、ダミー電極8とそれと相対する電極指の先端との間の間隔は、0.1λ〜0.5λ程度であるのがよく、0.1λ未満では大きな電気的容量を発生させるために電気特性の劣化を招き易く、0.5λを超えると不要波の抑制効果が薄れることとなる。
本発明の弾性表面波装置における実施の形態の他例として、図4に圧電基板上に形成されたIDT電極の要部平面図を示す。図4に示すように、ダミー電極8の幅W及びダミー電極8に対向する電極指の幅Wの2分の1をB(B=W/2)、ダミー電極8に弾性表面波の伝搬方向において隣接する電極指の幅Wの2分の1をB(B=W/2)、幅Wの電極指とそれに隣接する幅Wの電極指との中心間距離をAとしたときに、突起部5及び電極指の先端とダミー電極8との間隙の部位を除いて(B1+B2)/Aが一定となっていることにより、上記と同様に弾性表面波の伝搬方向と平行な方向の共通電極4近傍における第1のモードの不要波と、弾性表面波の伝搬方向に対して斜め方向に放射される第2のモードの不要波の両方を抑制することができ、さらに弾性表面波素子の挿入損失を向上させることができる。
なお、IDT電極3,6,7、反射器電極2の電極指の本数は数本〜数100本にも及ぶので、簡単のため、図面においてはそれらの形状を簡略化して図示している。
本発明の弾性表面波装置は、圧電基板1上に導体層を形成し、この導体層を一対の平行な共通電極4と各共通電極4から互いに噛み合うように延びた複数の電極指及びダミー電極8とにパターニングしてIDT電極3,6,7を形成する。
ここで、圧電基板1としては、タンタル酸リチウム単結晶やニオブ酸リチウム単結晶や四ホウ酸リチウム単結晶等の基板を用いることができる。
また、圧電基板1上に形成される導体層としては、アルミニウム,アルミニウム合金,銅,銅合金,金,金合金,タンタル,タンタル合金、またはこれらの材料から成る層を複数層積層した積層膜、これらの材料の層とチタン層,クロム層等とを積層した積層膜を用いることができる。導体層の成膜方法としては、スパッタリング法や電子ビーム蒸着法を用いることができる。
この導体層をパターニングする方法としては、導体層の成膜後にフォトリソグラフィを行い、次いでRIE(Reactive Ion Etching)やウェットエッチングを行う方法がある。または、導体層の成膜前に圧電基板1の一方主面にレジストを形成しフォトリソグラフィを行って所望のパターンの開口を形成した後、導体層を成膜し、その後レジストを不要部分に成膜された導体層ごと除去するリフトオフプロセスを行ってもよい。
次に、IDT電極3,6,7を保護するための保護膜を成膜する。保護膜の材料としては、シリコン,シリカ等を用いることができる。その成膜方法としては、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、電子ビーム蒸着法等を用いることができる。保護膜をエッチングする方法としては、RIE等のドライエッチングやウェットエッチングを行う方法がある。
また、本発明の弾性表面波フィルタを通信装置に適用することができる。即ち、少なくとも受信回路または送信回路の一方を備え、これらの回路に含まれるバンドパスフィルタとして用いる。例えば、送信回路から出力された送信信号をミキサでキャリア周波数にのせて、不要信号をバンドパスフィルタで減衰させ、その後、パワーアンプで送信信号を増幅して、デュプレクサを通ってアンテナより送信することができる送信回路を備えた通信装置や、受信信号をアンテナで受信し、デュプレクサを通った受信信号をローノイズアンプで増幅し、その後、バンドパスフィルタで不要信号を減衰させて、ミキサでキャリア周波数から信号を分離し、この信号を取り出す受信回路へ伝送するような受信回路を備えた通信装置に適用可能であり、本発明の弾性表面波装置を採用すれば、感度が向上した優れた通信装置を提供できる。
以上により、本発明の優れた弾性表面波装置を有する受信回路や送信回路を備え、感度が格段に良好な優れた通信機等の通信装置を提供できる。
以下に、本発明をより具体化した実施例について説明する。
図2に示す弾性表面波フィルタとしての弾性表面波装置を具体的に作製した実施例について説明する。38.7°YカットのX方向伝搬とするLiTaO単結晶の圧電基板(多数個取り用の母基板)の各弾性表面波装置領域上に、Al(99質量%)−Cu(1質量%)合金からなるIDT電極3,6,7及び反射器電極2等の微細電極パターンを形成した。パターン形成は、スパッタリング装置、縮小投影露光機(ステッパー)、及びRIE装置によりフォトリソグラフィを行うことによって実施した。
まず、圧電基板をアセトン,IPA(イソプロピルアルコール)等によって超音波洗浄し、有機成分を落とした。次に、クリーンオーブンによって充分に圧電基板の乾燥を行った後、IDT電極等となる導体層の成膜を行った。導体層の成膜にはスパッタリング装置を使用し、Al(99質量%)−Cu(1質量%)合金から成る材料を用いた。このときの導体層の厚みは約0.15μmとした。
次に、導体層上にフォトレジスト層を約0.5μmの厚みにスピンコートし、縮小投影露光装置により、所望形状にパターニングを行い、現像装置にて不要部分のフォトレジストをアルカリ現像液で溶解させ、所望パターンを表出させた後、RIE装置により導体層のエッチングを行い、パターニングを終了し、弾性表面波フィルタを構成する弾性表面波共振器の電極パターンを得た。
この後、電極の所定領域上に保護膜を形成した。即ち、CVD装置により、電極パターン及び圧電基板上にSiO層を約0.1μmの厚みに形成した。次に、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層のパターニングを行い、RIE装置でフリップチップ実装するための電極パッド部分の保護膜の窓開けを行った。その後、その窓開け部に、スパッタリング装置を使用して、Alを主体とする電極パッドを成膜した。このときの電極パッドの厚みは約1.0μmとした。その後、フォトレジスト層及び不要箇所のAlをリフトオフ法により同時に除去し、フリップチップ用導体バンプを形成するための電極パッドを完成した。
次に、上記電極パッド上にAuからなるフリップチップ用導体バンプを、バンプボンディング装置を使用し形成した。導体バンプの直径は約80μm、その高さは約30μmであった。
次に、圧電基板をダイシング線に沿ってダイシング加工を施し、各弾性表面波フィルタのチップごとに分割した。その後、各チップをフリップチップ実装装置にて電極形成面を下面にしてパッケージ内に接着した。その後、N雰囲気中でベーキングを行い、弾性表面波フィルタを完成した。パッケージは2.5×2.0mm角のセラミック層を複数層積層した積層構造のものを用いた。
比較例のサンプルとして、図2に示すIDT電極等と同様な微細電極パターンであって、電極指の根元に弾性表面波の伝搬方向に突出した突起部及びダミー電極が形成されていない電極パターンを形成した弾性表面波フィルタを、上記実施例と同様の工程で作製した。
次に、本実施例及び比較例の弾性表面波フィルタの特性測定を行った。0dBmの信号を入力し、周波数1760〜2160MHz、測定ポイントを800ポイントの条件にて測定した。サンプル数は各30個、測定機器はマルチポート・ネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー社製「E5071A」)である。
測定によって得られた通過帯域近傍の周波数特性のグラフを図5に示す。図5は、弾性表面波フィルタの伝送特性を表す挿入損失の周波数依存性を示すグラフである。本実施例品のフィルタ特性は非常に良好であった。図5の実線に示すように、本実施例品の挿入損失は2.23dB、リップルは0.20dBであった。一方、図5の破線に示すように、比較例品の挿入損失は2.35dB、リップルは0.30dBであった。
このように本実施例では、フィルタ特性において挿入損失を低減し、通過帯域の肩特性を向上させた弾性表面波装置を実現することができた。
本発明の弾性表面波装置における実施の形態の1例を示す平面図である。 本発明の弾性表面波装置における実施の形態の他例を示す平面図である。 本発明の弾性表面波装置における弾性表面波の音速を模式的に示す線図であり、(a)は従来の弾性表面波装置における弾性表面波の音速を模式的に示す線図、(b)は本発明の弾性表面波装置における弾性表面波の音速を模式的に示す線図である。 本発明の弾性表面波装置におけるIDT電極の要部平面図である。 実施例及び比較例の弾性表面波装置について、通過帯域及びその近傍における挿入損失の周波数特性をそれぞれ示す線図である。 従来の弾性表面波装置について、電極位置と電極指ピッチの関係を模式的に説明する線図、及び電極構造例を模式的に示す平面図である。 従来の弾性表面波装置の電極構造例を模式的に示す平面図である。
符号の説明
1:圧電基板
2:反射器電極
3,6,7:IDT電極
4:共通電極
5:突起部
8:ダミー電極

Claims (4)

  1. 圧電基板上に、一対の平行な共通電極及び該各共通電極から互いに噛み合うように延びた複数の電極指からなるIDT電極が形成されており、該IDT電極は、前記電極指の根元に弾性表面波の伝搬方向に突出した突起部が形成されていることを特徴とする弾性表面波装置。
  2. 前記IDT電極は、一方の前記共通電極に形成された前記電極指の先端と対向する他方の前記共通電極の部位にダミー電極が形成されており、前記突起部は、弾性表面波の伝搬方向において前記電極指の先端と前記ダミー電極との間隙に隣接して形成されていることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波装置。
  3. 前記ダミー電極の幅W及び前記ダミー電極に対向する前記電極指の幅Wの2分の1をB(B=W/2)、前記ダミー電極に弾性表面波の伝搬方向において隣接する前記電極指の幅Wの2分の1をB(B=W/2)、幅Wの前記電極指とそれに隣接する幅Wの前記電極指との中心間距離をAとしたときに、前記突起部及び前記電極指の先端と前記ダミー電極との間隙の部位を除いて(B1+B2)/Aが一定となっていることを特徴とする請求項1または2記載の弾性表面波装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか記載の弾性表面波装置を有する、受信回路及び送信回路の少なくとも一方を備えたことを特徴とする通信装置。

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