JP3721029B2 - 青果用トレー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多数の収納用凹部を有する青果用トレーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、桃や梨といった青果の収納包装には主として、ポリスチレン系樹脂発泡シート、架橋ポリエチレン樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂発泡シートなどの発泡シートをシート成形して得られた、多数の収納凹部を有するトレーや、あるいはパルプモールドによるトレーなどが使用されている。
これらのトレーにはそれぞれ、収納する青果の種類や収納形態などによって長所、短所があるため、使い分けがされている。
【0003】
たとえばポリスチレン系樹脂発泡シートからなるトレーは、ある程度重量があって表面の硬い梨の収納に多く使用され、また架橋ポリエチレン樹脂発泡シートからなるトレーは、表面が柔らかく傷の付きやすい桃の収納に使用される。さらにパルプモールドはりんごやトマトの収納に使用される。このように、青果用トレーとしては多種多様なものが必要である。
しかし、青果用トレーは一般に、青果の収穫時期よりも早めに、その年の生産量を見越してある程度の在庫を確保しておく必要がある。
【0004】
それゆえ上記のような多様なトレーを使用するためには、全てのトレーについて常に多量の在庫を確保しておく必要があることになり、その貯蔵場所の確保や在庫管理などに要する労力、経費などが嵩むという問題を生じる。
また、それぞれの素材にも課題がある。
たとえばポリスチレン系樹脂発泡シートからなるトレーは、樹脂自体の物性から耐衝撃性が低く、衝撃時に割れやすいという問題を有している。
【0005】
一方、ポリプロピレン系樹脂発泡シートからなるトレーの場合は、発泡シートを得ること自体が容易でなく、また発泡シートが得られるのは特定のポリプロピレン系樹脂に限定され、その樹脂自体が高価であるためコスト的に不利である。
架橋ポリエチレン発泡体からなるトレーは、その改良された粘弾性特性ゆえに外観美麗で、しかも成形性、緩衝性ともにすぐれているが、架橋構造を有するゆえにリサイクルが困難であり、また他の無架橋発泡体と比較して製造工程が複雑で設備的にも高価であり、コストが嵩むという問題がある。
【0006】
さらにパルプモールドは吸水性があるため、乾燥時には強度的に強いが、水分を含むことで弱く、かつもろくなるという問題がある。
そのため以前から、青果用トレーの素材を統一化するとともに、それぞれの素材の持つ問題を解消する試みがなされている。
たとえば特開平8−230963号公報には、比較的密度の低いポリプロピレン系樹脂発泡シートと、ポリスチレン系樹脂発泡シートとを積層、成形してなる青果用トレーが記載されている。
【0007】
この青果用トレーは、ポリプロピレン系樹脂の柔軟性と、ポリスチレン系樹脂の強度とを共存させることを狙ったものであるが、両樹脂を積層するために接着剤が必要であり、コスト的にも、またリサイクルの面でも、課題を完全に解決するものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、ポリスチレン系樹脂発泡シートからなるトレーの耐衝撃性を改善して、柔軟性を付与するために、たとえば通常のポリスチレンに代えてゴム変性ポリスチレンを使用したり(特開平8―231748号公報)、あるいはポリスチレン系樹脂にスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(いわゆるS−B−S型の熱可塑性エラストマー)を混合して発泡させたり(特公平4−49861号公報)することが提案されている。
【0009】
これらの技術の要点は、ポリスチレンに、当該ポリスチレンよりも耐衝撃性や柔軟性にすぐれたブタジエン系重合体ゴムやスチレン−ブタジエンブロック共重合体などのゴム系成分を加えることで、ポリスチレンの弱点であるこれらの特性を改善するというものである。
しかし発明者らの検討によると、前者は柔軟性付与に限度があり、後者は、ゴム系成分の添加量が増加するほど発泡シートの独立気泡率が低下したり、発泡剤の散逸が速くなったりするため、当該発泡シートをシート成形して青果用トレーを製造する際の、樹脂の二次成形性を保持することが困難となることが明らかとなった。
【0010】
そしてそれゆえに上記の技術では、樹脂の二次成形性を高めて、ポリスチレン系樹脂製のものと同程度の発泡倍率を有する青果用トレーを得るために、ゴム系成分の添加量が制限されることから、耐衝撃性はある程度改善されるものの、たとえば桃の収納包装などに適した他の柔軟な素材にとって代わることができるような、高い柔軟性を得るのは困難であることが判明した。
以上のような課題を解決するための検討は種々なされているものの、いまだに市場で満足の行く製品が得られていないのが現状である。
【0011】
本発明の目的は、多様な被包装物に対応することが可能な、新規な青果用トレーを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、発明者らは、発泡シートの原料である樹脂組成物の強度、柔軟性をコントロールすることで広い物性バランスを提供し、それによって多様な被包装物に対応することを可能とすべく種々研究を重ねた結果、ポリスチレン系樹脂に、柔軟成分としてのポリエチレン系樹脂と、両樹脂を相溶させるためのエチレンースチレン共重合体とを添加すればよいこと、ポリエチレン系樹脂としては、ポリスチレンとの相溶性、および柔軟性を付与する効果の点で、直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂が優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明の青果用トレーは、複数の収納用凹部を有するものであって、ポリスチレン系樹脂と、エチレンースチレン共重合体と、直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂との混合樹脂の発泡シートから成形されたことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を説明する。
本発明において、上記構成中の一部であるポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体の他、スチレンと他の単量体との共重合体や、あるいはゴム変性ポリスチレンなども使用可能である。
スチレンと共重合させる他の単量体としては、たとえばα−メチルスチレン、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、ブタジエン、無水マレイン酸などがあげられる。
【0015】
またゴム変性ポリスチレンは、ポリスチレンマトリックス中にゴムが粒子状に分散し、さらに粒子中にポリスチレンが分散した構造をとり、そのゴム粒子は、サラミ状やコアシェル状など種々の形態をなしている。
これらポリスチレン系樹脂はそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用してもよい。
ポリエチレン系樹脂としては、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE)が使用される
【0016】
α−オレフィンとしては1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル1−ペンテンなどがあげられる
【0017】
直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂は、とくにポリスチレンとの相溶性、および柔軟性を付与する効果の点で優れている
直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂は、それぞれ単独で使用される他、2種以上を併用してもよい。
エチレン−スチレン共重合体としては、エチレンとスチレンとを構成単位として含有する、種々の共重合体がそれぞれ単独で、あるいは2種以上混合して使用可能であるが、上記エチレン−スチレン共重合体の組成は、エチレンとスチレンの重量比で50/50〜20/80の範囲内であるのが好ましい。
【0018】
この範囲内であれば、ポリスチレン系樹脂および直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂と混合されるエチレン−スチレン共重合体として樹脂構成上、好適であるといえる。すなわち上記の範囲よりエチレンの割合が多い場合には、ポリスチレン系樹脂および直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂と混合した混合樹脂として、低密度の発泡体を得ることが困難となるおそれがあり、逆に上記の範囲よりエチレンの割合が少ない場合には、トレーに柔軟性を付与する効果が弱くなるおそれがある。エチレンとスチレンの重量比のさらに好ましい範囲は45/55〜25/75である。
【0019】
上記エチレン−スチレン共重合体としては、たとえば特開平3−163088号公報に開示された本質的にランダムなインターポリマーに属する、一般式(1):
【0020】
【化2】
Figure 0003721029
【0021】
〔式中、a、bおよびcはそれぞれ1以上の整数を示す。〕
で表されるものが好適である。
ここでいう本質的にランダムなインターポリマーとは、その主鎖中に、いずれか一方のモノマーのみからなる大きなブロックが生じないように、それぞれのモノマーが、若干の規則性を持って配列された共重合体を指す。
より具体的には、上記一般式(1)に示したように、スチレンモノマー起源のフェニル基がいずれも、主鎖上で互いに隣り合う炭素原子に置換しないように、2個以上のメチレン基によって分離して配置されたコポリマーを本質的にランダムなインターポリマーと規定する。
【0022】
本質的にランダムなインターポリマーは、一種類以上のα−オレフィンモノマー、および一種類以上のビニルまたはビニリデン芳香族モノマー、および/または、一種類以上の立体障害性脂肪族または環状脂肪族ビニル、もしくはビニリデンモノマー、および、任意にその他の重合可能なエチレン性不飽和モノマーから誘導される重合単位を含有する。
本明細書で使用される“インターポリマー”という用語は、最低2種類の異なるモノマーを重合して製造されるポリマーをいう。
【0023】
本明細書で用いられる“本質的にランダム”(一種類以上のα−オレフィンモノマー、および、一種類以上のビニルまたはビニリデン芳香族モノマー、および/または、一種類以上の立体的障害性脂肪族または環脂肪族ビニルもしくはビニリデンモノマーから誘導されるポリマー単位を含有する本質的にランダムなインターポリマーにおいて)という用語は、当該インターポリマーのモノマーの分布を、ベルヌイ統計モデルで表すことができる。またはJ. C. Randall in POLYMER SEQUENCE DETERMINATION, Carbon-13 NMR Method, Academic Press New York, 1977, pp. 71-78.に記載されているような一次もしくは二次マルコフ統計モデルで表現できることを意味する。
【0024】
好ましくは、本質的にランダムなインターポリマーは、3単位以上の芳香族モノマーのブロック中のビニルまたはビニリデン芳香族モノマーを、総量の15%より多く含有しない。さらに好ましくは、本発明のインターポリマーは、高度のアイソタクチック性またはシンジオタクチック性のどちらも特徴としない。
これは、本発明の本質的にランダムなインターポリマーのC13NMRスペクトルにおいて、メソダイアドシーケンスまたはラセミックダイアドシーケンスのどちらかを表す主鎖のメチレンおよびメチン炭素に相当するピーク面積が、主鎖のメチレンおよびメチン炭素のピーク総面積の75%を超えないことを意味する。
【0025】
好適なα−オレフィンとしては、たとえば、2から約20個、好ましくは2から約12個、さらに好ましくは2から約8個の炭素を有するα−オレフィンをあげることができる。とくに好適なのは、エチレン、プロピレン、ブテン−1,4メチル1ペンテン、ヘキセン−1もしくはオクテン−1、または、エチレンとその他の1つ以上のプロピレン、ブテン−1,4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン−1もしくはオクテン−1との組み合わせである。これらのα−オレフィンは芳香族部分を含まない。
【0026】
その他の任意に重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、たとえばインターポリマーエチレン/スチレン/ノルボルネンになるような、ノルボルネンおよびC1-10アルキルまたはC6-10アリールで置換されたノルボルネンをあげることができる。
本発明のインターポリマーを製造するのに好適に用いられるビニルまたはビニリデン芳香族モノマーとしては、たとえば、下記一般式(2)で表されるものをあげることができる。
【0027】
【化3】
Figure 0003721029
【0028】
ここでR1は水素、および1から約4個の炭素原子を含むアルキルラジカルからなるラジカル群から選択され、好ましくは水素またはメチルである。R2はそれぞれ独立に水素、および1から約4個の炭素原子を含むアルキルラジカルからなるラジカル群から選択され、好ましくは水素またはメチルである。Arはフェニル基、またはハロ、C1-4アルキルおよびC1-4ハロアルキルからなる群より選択される1から5個の炭素原子を有する置換基によって置換されたフェニル基である。nは0から約4、好ましくは0から2、最も好ましくは0である。
【0029】
ビニル芳香族モノマーの例としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレンおよびそのすべての異性体などをあげることができる。とくに好適なモノマーとしては、スチレンとそのアルキルまたはハロゲンで置換された誘導体をあげることができる。好ましいモノマーは、スチレン、α−メチルスチレン、たとえばオルソ−、メタ−、もしくはパラ−メチルスチレンなどのスチレンの低級アルキル(C1−C4)またはフェニル環置換物、ハロゲン化スチレン、パラビニルトルエンもしくはそれらの混合物等を含む。さらに好ましい芳香族モノビニルモノマーはスチレンである。
【0030】
“立体障害性脂肪族または環状脂肪族ビニルまたはビニリデン化合物”という用語は、下記の一般式(3)で表されるような付加重合可能なビニルまたはビニリデンモノマーをいう。
【0031】
【化4】
Figure 0003721029
【0032】
ここでA1は、炭素数20までの立体的にかさ高な脂肪族または環状脂肪族の置換基である。R1は水素、および1から約4個までの炭素原子を含むアルキルラジカルからなるアルキル群から選択され、好ましくは水素またはメチルである。R2はそれぞれ独立に水素、および1から約4個の炭素原子を含むアルキルラジカルからなるラジカル群から選択され、好ましくは水素またはメチルである。または代わりにR1とA1は環システムを形成する。
【0033】
好ましい立体障害性脂肪族または環状脂肪族ビニルまたはビニリデン化合物は、エチレン性不飽和箇所のどれか一つの炭素原子が三級または四級置換されたモノマーである。そのような置換基の例として、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロオクテニルなどの環状脂肪族、またはそれらの環状アルキルもしくはアリール置換物、三級ブチルおよびノルボルニルなどを挙げることができる。最も好ましい脂肪族または環状脂肪族ビニルまたはビニリデン化合物は、様々な異性体のシクロヘキセンおよび置換シクロヘキセンのビニル−環置換誘導体、および5−エチレンジエン−2−ノルボルネンである。とくに好適なのは、1−、3−、および4−ビニルシクロヘキサンである。
【0034】
エチレンースチレン共重合体は、単独では、青果用トレーとして適する密度の発泡シートが得られない。
ちなみにエチレンとスチレンからなる合成樹脂の発泡体は、たとえば特公昭60−1338号公報や特公平4−11582号公報等にも見られる。どちらも独立気泡率に富む発泡体が得られ、柔軟性、緩衝性にすぐれた発泡体が得られるようであるが、前者は後者の明細書中にもあるように衝撃時の割れが問題とされており、本来相溶性のないポリスチレンとポリエチレンとの混合による物性低下が示唆されている。これを青果用トレーに適用した場合に、輸送時の割れにつながることは容易に推測される。
【0035】
また、後者はその耐衝撃性を克服したものであって、ポリスチレンとポリエチレンとの相溶性を向上させるために、その相溶化剤として水素化したスチレン−ブタジエン共重合体を添加することを特徴としている。しかし、この水素化したスチレン−ブタジエンブロック共重合体は非常に高価であり、コストアップの要因となる。さらに前述したように二次成形性を保持するためには、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の添加量が限られ、しかも気体透過性の高いポリエチレン樹脂を添加することで発泡剤の保持性が低下してしまうためその添加量もまた限られてしまう。
【0036】
よってこのいずれの場合にも、本発明のごとく強度と柔軟性とをコントロールすることで広い物性バランスを保有して、青果用トレーとして好適な発泡シート製品となりうるものではない。
これに対し本発明の場合は、エチレン−スチレン共重合体が、上述の水素化したスチレン−ブタジエン共重合体と同様に、ポリスチレン系樹脂と直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂との相溶化剤として働くだけでなく、その配合量を増しても発泡剤の保持性が低くならないために、従来以上のポリスチレン樹脂に対する改質効果を発現する。
【0037】
上記3種の樹脂、すなわちポリスチレン系樹脂、エチレンースチレン共重合体、および直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂の、発泡シートにおける混合割合は、ポリスチレン系樹脂96〜44重量%、エチレン−スチレン共重合体2〜50重量%、および直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂2〜30重量%の範囲内であるのが好ましい。この範囲内であれば、青果用トレーにシート成形する発泡シート素材としての、強度と柔軟性との相関関係上、好適であるといえる。
【0038】
すなわちポリスチレン系樹脂の割合が96重量%より多いと耐衝撃性が低下して、トレーに衝撃を与えると割れやすくなり、逆に44重量%より少ないと強度が低下して、とくに梨などの重くて硬い被収納物を保持することが困難となる。ポリスチレン系樹脂の割合は、好ましくは90〜50重量%であり、とくに好ましくは90〜60重量%である。
また、直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂の割合が30重量%より多いと発泡剤を長期間保持することが困難となって二次成形性に影響を与え、逆に2重量%より少ないと柔軟性が低下して、とくに桃などの表面が柔らかくて傷の付きやすい被収納物の収納に適さなくなる。直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂の割合は、好ましくは2〜20重量%、とくに好ましくは2〜15重量%である。
【0039】
さらに、エチレンースチレン共重合体の割合が50重量%より多いと低密度の発泡体を得ることが難しくなるおそれがあり、逆に2重量%より少ない場合には相溶化剤としての効果が十分に得られないために、連続気泡率が低く、気泡構造が均一で表面美麗な発泡体が得られなくなるおそれがある。
本発明の青果用トレーの元になる発泡シートは、上記3種の樹脂の混合樹脂に、当該混合樹脂を発泡させるための発泡剤を加えつつシート状に押出発泡することで製造される。
【0040】
発泡剤としては、気体状、揮発性および分解型などの従来公知の種々の発泡剤が、いずれも使用可能であるが、たとえばプロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタンなどの揮発性炭化水素が好適であり、これらがそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
また発泡シートには、発泡剤の他に、発泡の際の気泡の大きさ等を調整する気泡調整剤としてのタルクなどや、あるいは顔料などの着色剤、安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、展着剤、分散剤などの種々の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
【0041】
かくして得られた発泡シートの密度は、0.020〜0.30g/cm3の範囲内であるのが好ましい。
かかる密度範囲内であれば、青果用トレーとしての形状保有のための強度と梨、桃等の被収納物に対する柔軟な当触に必要な柔軟性とを保有する上で好都合であるといえる。
すなわち密度が0.020g/cm3未満では強度が弱すぎて、被収納物を保持することが困難となり、逆に0.30g/cm3を越えると柔軟性が劣るために、被収納物を傷つけるおそれがある。なお発泡シートの密度は、とくに0.025〜0.15g/cm3の範囲が好ましい。
【0042】
かかる発泡シートを真空成形、圧空成形などの従来公知の種々の熱成形方法によってシート成形することで、本発明の青果用トレーが製造される。
かくして得られる本発明の青果用トレーの一例を図1、2に示す。
図の青果用トレーAは、梨、桃等の被収納物の形状に適した収納用凹部1を必要数、発泡シートからシート成形にて形成したものであって、図示していないが、収納用凹部1内の形状についても既知のごとくリブや突起などを形成して実施することが可能である。
【0043】
【実施例】
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1〜、比較例1〜
表1に示す各樹脂の合計100重量部に対して、気泡調整剤としてのタルク0.5部を添加、混合した混合物を、第1押出機(口径 φ50mm)および第2押出機(口径φ65mm)からなるタンデム押出機のうち第1押出機のホッパーに供給し、第1押出機のバレル中で加熱溶融した後、発泡剤として混合ブタンを圧入して溶融混合させた。
【0044】
ついで第2押出機に移送してバレル内で均一に冷却後、口径60mmの円筒状ダイから吐出速度20kg/hrで円筒状に押出発泡させ、得られた円筒状発泡体を冷却マンドレルで冷却成形し、円周上の1点でカッターにより切開して、表1に示す厚み、および密度を有する発泡シートを得た。
なお混合ブタンとして、実施例1、2および比較例1、2、4〜6ではそれぞれ、n−ブタンとイソブタンの混合比(重量比)が70/30のものを使用し、実施例5および比較例3ではそれぞれ両者の混合比(重量比)が30/70のものを使用した。
【0045】
また使用した樹脂は下記の通りである。
A:HRM−2(電気化学社製、ポリスチレン樹脂)
B:HIE−7(電気化学社製、ゴム変性ポリスチレン樹脂)
C:LF240(日本ポリケム社製、低密度ポリエチレン樹脂、密度0.924g/cm3
D:VL100(住友化学社製、直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂、密度0.90g/cm3
E:EG8100(ダウケミカル社製、直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂(エチレン−オクテン共重合体)、密度0.870g/cm3
F:LV540(日本ポリケム社製、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、VA含量20wt%)
G:DS201(ダウケミカル社製、エチレン-スチレンコポリマー(スチレン分69wt%)
ただし、比較例の樹脂Gのみ100%では、所望の密度を有する発泡シートが得られなかった。
【0046】
得られた発泡シートを、比較のための市販PP発泡シート(比較例)および市販PEシート(比較例)とともに、それぞれ梨と桃の輸送用のトレーに成形して輸送テストを実施した。
梨用のトレーは22個収納しうる形状のものとし、桃用は13個収納可能な形状のものとした。また梨の輸送は、梨を収納したトレーをダンボール箱に2段積みにして収納し、桃の輸送は、桃を収納したトレーをダンボール箱に1段収納した。そしてそれぞれのダンボール箱を、トラックにて約400km輸送した後、ダンボール箱を開封し、中のトレーの状態、および果実の表面状態を確認した。
【0047】
結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003721029
【0049】
表において連続気泡率は、エアーピクノメーター(空気比較式比重計)で測定した値である。
また発泡シートの外観、および二次成形性の評価は下記表2の通りである。
【0050】
【表2】
Figure 0003721029
【0051】
さらに輸送テストの評価は、下記表3の通りである。
【0052】
【表3】
Figure 0003721029
【0053】
また、実施例1、2および比較例1、4、6の発泡シートにおける残存発泡剤量を図3に示した。測定の方法としては、押出発泡された発泡シートを1時間後、5日後、10日後、20日後、および30日後にそれぞれ、150℃の恒温槽中に1時間放置した後の加熱減量を求め、そこからその時点での残存発泡剤量を算出した。
図に見るように実施例1、2はポリスチレン樹脂発泡シート(比較例)とほぼ同様の発泡剤保持率を示しているのに対し、比較例ではエチレン−スチレン共重合体を含まないために発泡剤が逸散していることがわかる。また比較例1ではポリエチレン樹脂の量の影響か、やや残存ガス量が低くなっていることもわかる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、上記したように、青果用トレーとして、梨、桃、トマトなどの青果輸送に充分耐えうる強度と柔軟性(弾性)とを兼ね備えた好適品を供給できる。
本発明の効果としては、ポリスチレン系樹脂とエチレン−スチレン共重合体と直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂との混合樹脂を発泡させることで、基本的な樹脂種は同様で、その配合比率を変えることで、耐衝撃性にすぐれ、ポリスチレン系樹脂に近い剛性を持つものからポリエチレン系樹脂発泡体に近い柔軟性を有するものまで広い物性を有するものを提供することができる。また発泡性が大きく低下せず、熱成形が可能で、とくに細かくて複雑な形状も鮮明に成形できる。その結果、硬軟両方に適する各種の青果用トレーに使用できる。
【0055】
またポリスチレン系樹脂にスチレン−ブタジエンゴムを添加したり、ポリエチレンを添加することによりポリスチレンの剛性を下げる試みがなされているが、どちらも添加量の増加に伴い発泡性が低下したり、残存発泡剤量が少なくなり二次成形性が劣るものとなる。そのため改質のための添加量は限られ、二次成形性を保持し、柔軟性を付与することは困難である。
しかし、本発明によれば、柔軟性に富む青果用トレーを得るために、ポリスチレン系樹脂と直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂とエチレン−スチレン共重合体との総量に対する重量比で、ポリスチレン系樹脂の割合が50%程度になっても押出発泡性および二次成形性が大きく低下することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の青果用トレーの、実施の形態の一例を示す平面図である。
【図2】上記青果用トレーの、図1中II−II線断面図である。
【図3】実施例、比較例の発泡シートにおける、製造後日数と残存発泡剤量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
A 青果用トレー
1 収納用凹部

Claims (5)

  1. 複数の収納用凹部を有する青果用トレーであって、ポリスチレン系樹脂と、エチレンースチレン共重合体と、直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂との混合樹脂の発泡シートから成形されたことを特徴とする青果用トレー。
  2. 発泡シートの密度が0.020〜0.30g/cm3である請求項1記載の青果用トレー。
  3. 発泡シートにおける、ポリスチレン系樹脂、エチレンースチレン共重合体、および直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂の混合割合が、ポリスチレン系樹脂96〜44重量%、エチレン−スチレン共重合体2〜50重量%、直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂2〜30重量%の範囲内である請求項1または2記載の青果用トレー。
  4. エチレン−スチレン共重合体の組成が、エチレンとスチレンの重量比で50/50〜20/80の範囲内である請求項1〜3のいずれかに記載の青果用トレー。
  5. エチレン−スチレン共重合体が、一般式(1):
    Figure 0003721029
    〔式中、a、bおよびcはそれぞれ1以上の整数を示す。〕で表されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の青果用トレー。
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