JP4153367B2 - 発泡体およびその成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、緩衝性と柔軟性および水の吸収性に優れ、青果物などの食品包装材や仕切り緩衝材として有用な発泡体及びその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
発泡シートから成形された食品用トレー、特に発泡ポリスチレンシートを成形した食品用トレーは、一般に広く使用されている。
これらの発泡シートは一般に独立気泡率の高い発泡体であり、その独立気泡率の高さが青果物に対する緩衝性を高める働きをしている。
しかしながら、独立気泡率の高い発泡体は、発泡シート内の気泡がそれぞれ独立しているため、液体が発泡シート表面からその内部へ吸収されることはない。そのため、独立気泡率の高い発泡シートで成形したトレーは、パルプ成形品のトレーなどと比べて、被包装物から出た水様物や表面に付着した結露水を除去することができず、そのために被包装物が傷むといった問題を有していた。
【0003】
この水様物などの除去を目的として、ポリスチレン系樹脂に異種ポリマーをブレンドし、湿潤剤を添加し、発泡させて得られる、連続気泡率が高くて、水を吸収できる発泡シートが提案されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−145260号公報
【0005】
この特許文献1の発明は、ポリスチレン系樹脂に0.2〜9重量%の異種ポリマーを加えることにより、連続気泡を有する発泡体とすることを特徴としているが、明細書にも記載されている通り、使用する押出機の種類により異種ポリマーの添加量を増やす必要があり、例えばポリスチレン系樹脂と親和性のない異種ポリマーの添加量が増えると、混合樹脂の発泡性が低下して低密度の発泡体が得られなくなったり、ポリスチレン系樹脂と親和性のない異種ポリマーの溶融混合樹脂中での分散が悪くなって外観のよい均質な発泡体が得られなくなったりする問題を有している。また、ポリスチレン系樹脂と親和性のない異種ポリマーとの混合物は、発泡体にした場合、その硬度はポリスチレン系樹脂によって維持されるとしても、発泡体の脆性が強くなることが多く、そのため、もろい発泡体となってそれから成形した容器に割れが発生するなど実用上問題となる場合があった。また、この方法で得られたポリスチレン系樹脂連続気泡発泡体は、それ単独では十分な柔軟性を保持していないために、被包装物に対して緩衝性や容器のソフト感の求められる用途に対しては、十分なものではなかった。
【0006】
また、さらにこの方法では、連続気泡発泡体を製造する時の押出温度を、独立気泡発泡体を製造する時よりも高く設定する必要があるが、この場合もポリスチレン系樹脂の発泡体では、脆性が大きくなるという問題がある。
【0007】
柔軟性を改善する方法として、ポリスチレン系樹脂に柔軟性を付与するために、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を混合する方法が提案されている(特許文献2)。
【0008】
【特許文献2】
特公平4−49861号公報
【0009】
しかしながら、この方法により製造される発泡体は、独立気泡率が高くて、吸水性はなかった。また、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体は、分子内に保有する二重結合の影響により、経時での分子劣化を招きやすいため、耐候性等の耐久性に劣り、これを混合して発泡させた発泡体およびその成形品は、経時による割れ欠けの発生が問題となることがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高い連続気泡率を有し、水の吸収性に優れ、強度と柔軟性を兼ね備えた均質で外観美麗な、耐候性等の耐久性を有する発泡体及びその成形品を提供するところにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、強度と柔軟性のバランスを有し、しかも水の吸収性に優れていて、多様な被包装物に対応可能な発泡体を開発すべく種々研究を重ねた結果、ポリスチレン系樹脂にスチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物およびポリオレフィン系樹脂を添加し更に特定の界面活性剤を添加した樹脂組成物であって該スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物のJIS K 7215記載のデュロメータタイプA硬度(HDA)の値が20〜90である樹脂組成物は、広範な押出条件下において高い連続気泡率を有し、水の吸収性に優れ、強度と柔軟性を兼ね備えた均質で外観美麗な発泡体となることを見出し、この発明を完成した。しかも得られた発泡体は、耐衝撃性、耐候性にも優れ、経時による劣化も少ないものである。したがって、経時による劣化のために生じる発泡体の脆性が抑えられ、発泡体およびその成形品の長期の保管が可能となる。
【0012】
従来、連続気泡率の高い押出発泡体を低密度にすることは難しかったが、ポリスチレン系樹脂にスチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物およびポリオレフィン系樹脂を混合することにより、連続気泡率が高くて、低密度の発泡体を得ることができる。この発泡体を成形して得られる食品用トレーなどの成形品は、美麗で十分な強度と柔軟性を兼ね備えており、かつまた耐衝撃性、耐候性等耐久性にも優れおり、青果トレーなど食品用トレーに好適である。
【0013】
本発明によれば、60%以上の連続気泡率を容易に安定して達成でき、その発泡体成形品が優れた緩衝性や柔軟性を有するばかりでなく、被包装物からの水様物等の吸収性にも優れており、被包装物の損傷を防ぐことのできる発泡体およびその成形品が提供される。
【0014】
すなわち、本発明によれば、ポリスチレン系樹脂、スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物およびポリオレフィン系樹脂との混合樹脂組成物100重量部に対し、界面活性剤を0.5〜5重量部含有する樹脂組成物であって、該スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物のJIS K 7215記載のデュロメータタイプA硬度(HDA)の値が20〜90である樹脂組成物を押出発泡することから連続気泡率が60%以上で吸水率が10%以上である発泡体が提供される。
【0015】
本発明の発泡体はそのままでも発泡体の断面から水を吸収することができるが、その表面に発泡体内部へ通じる開口部を設ければ、発泡体およびその成形品表面からの水の吸収性がより優れたものとなり好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明で使用されるポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体のほか、スチレンと他の単量体との共重合体およびゴム変性ポリスチレンなども挙げられる。これらのポリスチレン系樹脂はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を混合しても良い。
【0017】
スチレンと共重合すべき他の単量体としては、例えばα−メチルスチレン、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0018】
ゴム変性ポリスチレンは、ポリスチレンマトリックス中にゴムが粒子状に分散し、そのゴム粒子中にポリスチレンが更に分散した構造を有している。このゴム粒子は、サラミ状やコアシェル状など種々の形態をなしており、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上のゴム粒子を混合して用いてもよい。
なお、このゴム変性ポリスチレンは、発泡体の耐候性を確保するため、ゴム変性ポリスチレン以外のポリスチレン系樹脂その他の合成樹脂とあわせて使用するのが望ましい。
【0019】
前記ポリスチレン系樹脂に混合されるスチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物は、スチレンと共役ジエンとのブロックもしくはランダム共重合体の水素添加物であり、JIS K 7215記載のデュロメータタイプA硬度(HDA)の値が20〜90のものである。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2−エチルブタジエンなどの炭素数4〜10の共役ジエンがあげられる。好ましいスチレン−共役ジエン共重合体の水素添加物としては、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物である。これら共重合体の完全飽和型構造は、例えばスチレン−エチレン・ブチレン共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体などである。これらの共重合体はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を混合してもよい。
【0020】
本発明ではスチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物が使用される。水素添加されていないスチレンと共役ジエンとの共重合体は、分子内部に持つ二重結合の影響で耐候性が悪くなるため、発泡体およびその成形品の長期保存に問題が出るため好ましくない。この点で、本発明では、上記スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加量は可能な限り飽和されていることが好ましいが、完全飽和型構造に限定されるものではない。但し、完全飽和型構造又はこれに実質的に近いスチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物が好適である。
【0021】
また本発明では、上記スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物を添加することにより、ポリオレフィン系樹脂をポリスチレン系樹脂に混合した場合でも、広範な押出条件下で均質な発泡体でかつ高い連続気泡率を有するものを容易に得ることができ、しかも得られた発泡体は、スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物による、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶化効果による耐衝撃性向上と柔軟性付与効果によって、優れた柔軟性と緩衝性を有する。また、スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物を添加することにより、発泡体に柔軟性が付与されるだけでなく、経時による劣化のために生じる発泡体の脆性が抑えられる。
【0022】
また更に、スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物による柔軟性付与効果を高めるためには、スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物におけるJIS K 7215記載のデュロメータタイプA硬度(HDA)の値が90以下のものを使用することが好ましい。より好ましくは、HDAの値が20〜80のもので、特にHDAの値が50〜80のものが、強度保持と柔軟性付与効果について好ましい。柔軟性付与効果を高めることにより、より発泡体の脆性が抑えられるため、耐衝撃性の向上につながる。なお、HDAの値が20未満のスチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物では、柔軟になりすぎて強度が低下する。HDAの値が90を超えると柔軟性付与効果が少なくなって発泡体の耐衝撃性が不充分となる。
【0023】
なお、本発明においてデュロメータタイプA硬度(HDA)の値は、後述するデュロメータタイプA硬度(HDA)の測定条件で測定された値で特定されている。
【0024】
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を挙げることができる。また、上記ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリエチレンコポリマーなどが挙げられ、前記ポリプロピレン系樹脂としてはポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンコポリマー(PPc)などが挙げられる。これらのポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂は、単独で、または2種以上を適宜混合して用いてもよい。
【0025】
上記ポリオレフィン系樹脂の中で、発泡体の連続気泡率を上げやすくするためには、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン系樹脂を選択するのが好ましい。これは、樹脂の結晶化温度が混合組成物の発泡温度に近いためと考えられる。また、混合組成物中のポリオレフィン系樹脂が結晶化すると、発泡体表面に結晶化によるブツが出て、発泡体の表面状態が悪くなる。そのため、発泡温度はポリオレフィン系樹脂の結晶化温度以上に設定することが望ましい。しかしながら、ポリスチレン系樹脂については、一部のエンジニアリングプラスチックを除き、脆性が少なく、低密度の発泡体を得ようとすると一般的なポリプロピレン系樹脂の持つ結晶化温度付近まで発泡温度を下げる必要があり、ブツの発生しやすい状況での発泡となるため、本発明においては発泡温度を結晶化温度より高く設定しやすい点から、使用するポリオレフィン系樹脂としては高密度ポリエチレンが特に好ましい。
【0026】
ポリスチレン系樹脂とスチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物、更にポリオレフィン系樹脂との混合樹脂組成物の組成割合は、その全量を100重量%として、ポリスチレン系樹脂が50〜94重量%、スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物が5〜49重量%、ポリオレフィン系樹脂が1〜10重量%である。
【0027】
ポリスチレン系樹脂の割合が94重量%より多いと、連続気泡率が低下して目的とする水の吸収性が低下するので好ましくない。逆に、ポリスチレン系樹脂の割合が50重量%より少ないと、得られる成形品の強度が低下するため、重くて堅い物品を収容するには不向きとなる。スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物が49重量%より多いと、樹脂粘度が低下しすぎて、押出発泡の安定性が低下したり、またコストアップになるので、好ましくない。逆に、スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物が5重量%より少ないと、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶化作用が低下するため、好ましくない。またポリオレフィン系樹脂が10重量%より多いと、発泡体の剛性が低下し、成形品とした場合に内容物による変形などの不具合が生じるため好ましくない。逆に、1重量%より少ないと、高い連続気泡率が得られ難くなるため好ましくない。混合樹脂組成物として特に好ましい混合割合は、ポリスチレン系樹脂が52〜88重量%、スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物が10〜40重量%、ポリオレフィン系樹脂が2〜8重量%である。
【0028】
また、発泡体を製造するための好ましい樹脂選択の目安は、ポリスチレン系樹脂のメルトマスフローレイトが1〜7g/10分である。ポリスチレン系樹脂のメルトマスフローレートが1g/10分より低いものは、押出発泡の際に押出機負荷が高くなったり生産性が低下したりするために好ましくない。7g/10分を超えるものは、発泡シートにした場合に低密度のものが得られにくかったり、連続気泡発泡体を得るための最適な発泡温度とポリオレフィン系樹脂の結晶化温度が近くなり、押出の制御範囲が狭くなるため好ましくない。ポリスチレン系樹脂のメルトマスフローレイトは、1〜5g/10分のものが特に好ましい。
【0029】
ポリオレフィン系樹脂は、発泡体の連続気泡率を増加させる作用効果を有していると考えられるが、混練時にポリスチレン系樹脂との混ざりがよすぎると連続気泡率が増加し難くなる傾向が見られ、一方で混ざりが悪すぎると発泡体の外観が悪化する傾向となる。本発明でのポリオレフィン系樹脂の好ましいメルトマスフローレイトは、ポリエチレン系樹脂では2〜10g/10分であり、ポリプロピレン系樹脂では3〜15g/10分である。
【0030】
本発明の発泡体は、例えば、上記の混合樹脂組成物をタンデム型押出機に投入し、No1押出機の途中から発泡剤を圧入し、樹脂と溶融混練した後、No2押出機へ移送して発泡適性温度まで冷却した後、環状オリフィスをもつサーキュラーダイから円筒状に押出発泡したものを切開することにより製造される。押出発泡においてはこのほかTダイによりシート状の発泡体を得る方法もあるが、高倍率に発泡させるとシートに波打ちが発生し、テンターなどの特別な装置を必要とするので好ましくない。その点環状オリフィスを有するサーキュラーダイを用いる場合は、広幅のシートを得やすいという利点があり好ましい。
【0031】
上記の組成からなる混合樹脂組成物に界面活性剤を添加すると、連続気泡率の高い発泡体が水を吸収しやすくなる。界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホこはく酸エステル塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤または1〜3級アルキルアミン塩、4級アンモニウム塩などのカチオン系界面活性剤が使用できる。上記の組成からなる混合樹脂に対する親水性付与効果が大きいことから前記アニオン系界面活性剤がより好ましく、アルキルスルホン酸塩、スルホこはく酸エステル塩が特に好ましい。これらの界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
【0032】
界面活性剤の添加量は、前記混合樹脂組成物100重量部に対して0.5〜5重量部が適当であり、界面活性剤の添加量が0.5重量部より少ないと、発泡体の水を吸収する能力が低下し、また5重量部より多いと添加した界面活性剤の影響で押出が不安定になったり、得られた発泡体の表面に界面活性剤がブリードアウトして、発泡体や成形品の表面にぬめり感が出たり、被包装物へ界面活性剤が転移したりする問題が生じ、好ましくない。界面活性剤の特に好ましい添加量は、混合樹脂100重量部に対して1〜3重量部である。
【0033】
本発明に用いることができる発泡剤としては、公知の化学発泡剤、物理発泡剤のいずれも使用できる。化学発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミドなどの分解型のもの、重曹−クエン酸などの反応型のものが挙げられる。物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタンなどの炭化水素、窒素、二酸化炭素などの不活性ガス、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらの発泡剤はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。環境上の問題が少なくかつ熱成形時の二次発泡性の維持効果の大きいイソブタンを主体とするブタンが特に好ましい。
【0034】
本発明に用いることができる気泡調整剤としては、タルク、雲母、マイカ、モンモリロナイトなどの無機フィラー、フッ素樹脂などの有機微粒子、またはアゾジカルボンアミドなどの分解型化学発泡剤、重曹−クエン酸などの反応型化学発泡剤、窒素や二酸化炭素などの不活性ガスなどが使用できる。これらの気泡調整剤はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。気泡調整剤の添加量は、混合樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部である。
【0035】
なお、本発明の発泡体には、その他、着色剤、安定剤、充填剤、滑剤、添着剤、分散剤など、公知の添加剤を適宜加えることができる。
【0036】
本発明における発泡体の平均気泡径は0.5mm以下である。平均気泡径を0.5mm以下とすることで、連続気泡率の高いものを製造しやすくすることができる。しかし、気泡径を小さくしすぎると熱成形時の発泡シートの伸びが悪くなり成形品に亀裂が入ったりするので、0.2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上がより好ましい。
【0037】
本発明における発泡体は、少なくとも60%の連続気泡を有している。発泡体の連続気泡率が60%より低いと、発泡体内部の気泡と気泡のつながりが少なく、閉じた気泡の壁が数多く存在して水様物などを吸収する時の妨げとなり、水様物などの吸収性が低下する。発泡体の特に好ましい連続気泡率は70%以上である。発泡体の連続気泡率が70%以上であれば、水様物などを容易に吸収でき吸水率も向上する。但し、連続気泡率の上限は90%以下であることが好ましい。90%を超えると、シートおよび成形品の強度低下が大きくなり好ましくない。
【0038】
本発明の発泡体は、その内部にある連続気泡部分における吸水率が少なくとも10%である。発泡体の吸水率が10%より低いと、発泡体が自然に水様物などを吸収する能力が小さく、発泡体をトレーとした場合に、被包装物から出た水様物などの吸収が満足にできず、被包装物を傷める原因となる。吸水率が10%以上であれば、容易に水様物などを吸収できて好ましいが、特に好ましいのは吸水率が15%以上の発泡体である。
【0039】
また、本発明の発泡体の密度は、0.03〜0.2g/cm3の範囲内であるのが好ましく、0.045〜0.15g/cm3の範囲がより好ましい。発泡体の密度が上記の範囲内であれば、発泡体を青果用トレー等に成形した場合、形状保持のための強度と、梨、桃などの被収容物に対する柔軟な当触に必要な柔軟性とを兼ね備えており好都合である。発泡体の密度が0.03g/cm3より低いと、強度が不足して被収容物を保持するのが困難となり、逆に0.2g/cm3を上回ると、成形品の柔軟性が劣るために被収容物を傷つけるおそれがある。
青果用トレーなどでクッション性を重視するものは0.045〜0.09g/cm3の範囲内が好ましい。強度を重視するものは0.10〜0.2g/cm3が好ましい。
【0040】
本発明の発泡体は、真空成形、圧空成形など、従来公知の熱成形方法によってシート成形することにより、食品用トレーや青果用トレーなどの成形品とすることができる。成形品の被包装物収納部側壁の肉厚と、被包装物収納部の底部肉厚が不均一になると、成形品の強度が十分確保できない場合があるため、本発明の発泡体はマッチモールド真空成形で成形するのが好ましい。
【0041】
また、本発明では、押出発泡直後または成形と同時もしくは成形前に、本発明の発泡体の少なくとも一方の表面にその内部へ通じる開口部を設ければ、発泡体表面からその内部へ水を効率良く吸収することができる。開口部は、例えばピンの着いたロール間に発泡シートを通してシートに穴を穿つ方法、ピンを備えた成形型を用いて発泡体の熱成形と同時に開口部を設ける方法、成形品のトリミングと同時に穴を開ける方法など、種々の方法を採ることができる。なお、開口部は例えば、発泡体を貫通した穴、発泡体を貫通しない穴のほか、発泡体の表面層を削り取ってできるものでもよい。
【0042】
本発明に係る好ましい形態は、既述した本発明の発泡体を熱成形してなる成形品である。また、本発明に係る好ましい形態は、本発泡体を熱成形してなる成形品であって、該成形品の表面に発泡体内部へ通じる開口部を有する成形品である。また、本発明に係る好ましい形態は、図1に示すように、トレー本体1が本発明の発泡体を熱成形してなる成形品からなり、当該成形品は被包装物を収容する凹部2をトレー本体1の表面に備えており、少なくとも当該凹部2の内壁面2aの表面に、前記発泡体の内部へ通じるがトレー−本体1の裏面にまで貫通されていない開口部3を有する青果用トレーである。なお、図1に示す本発明の一実施形態のトレーは、前記凹部2の内壁面2aの表面も含め、トレー本体1の表面(上面)全面に上記開口部3が設けられている例である。
【0043】
なお、本発明における前記開口部の穴としては、穴径0.1〜1mm、1〜10個/cm2が好ましい。穴径が0.1mm未満或いは1個/cm2より少ないと水の吸収効率が低くなり、穴径が1mmを超えるか或いは10個/cm2より多すぎると発泡体や成形品の強度が低下する。
【0044】
また本発明の発泡体は、当該発泡体の少なくとも一方の面に、熱可塑性樹脂層または熱可塑性樹脂発泡層を少なくとも1層積層してなる積層発泡体とすることもできる。
【0045】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
【0046】
実施例1
商品名HRM−26(東洋スチレン社製 GPPS(汎用ポリスチレン)樹脂メルトマスフローレイト1.4g/10分)80重量%、商品名タフテックH1041(旭化成社製 スチレン・ブタジエン共重合体の水素添加物 HDA76)15重量%、商品名KM590L(日本ポリオレフィン社製 HDPE樹脂メルトマスフローレイト5g/10分)5重量%を含む混合樹脂組成物100重量部に対し、商品名デノン3200(丸菱油化社製 ステアリン酸金属塩含有アルキルスルホン酸ナトリウム界面活性剤)2重量部、タルク(気泡調整剤)0.8重量部を混合した混合原料を、口径40mmと口径65mmからなるタンデム型押出機のNo.1押出機ホッパーに供給し、No.1押出機バレル内で加熱溶融させた後、発泡剤として混合ブタン(n−ブタン/イソブタン=70/30)3.8重量部を圧入して混合原料と溶融混練した。
次いで、No.2押出機へ移送して、No.2押出機バレル内で均一に冷却後、No.2押出機先端に取り付けたスリットの口径が80mm、スリット間隔が0.33mmの環状スリットダイから円筒シート状に押出発泡させ、得られた円筒状シートを冷却マンドレルによって冷却成形後、マンドレル後部に取り付けたカッターにより円筒状シートを切開して表1に示す発泡シート(発泡体)を得た。なお、金型での溶融混合樹脂の温度は165℃であり、溶融混合樹脂の押出機からの吐出量は40kg/hrであった。
【0047】
実施例2
前記商品名HRM−26 82重量%、前記商品名タフテックH1041 15重量%、前記商品名KM590L 3重量%を含む混合樹脂組成物とした以外は、実施例1と同様にして発泡シートを得た。なお、金型での溶融混合樹脂の温度は168℃であり、溶融混合樹脂の押出機からの吐出量は39kg/hrであった。
【0048】
実施例3
前記商品名HRM−26 80重量%、前記商品名タフテックH1041 15重量%、商品名PM600A(サンアロマー社製 PP樹脂 メルトマスフローレイト7.5g/10分)5重量%を含む混合樹脂組成物とした以外は、実施例1と同様にして発泡シートを得た。なお、金型での溶融混合樹脂の温度は170℃であり、溶融混合樹脂の押出機からの吐出量は40kg/hrであった。
【0049】
実施例4
前記商品名HRM−26 75.0重量%、商品名SOE−SS L601(平成15年4月7日現在インターネットホームページ
URL:http://www.akelastomer.com/jpn/eel/pub/new/n_200206_1.htmlに記載の旭化成社製 スチレン・ブタジエン共重合体の水素添加物 HDA67)19.6重量%、前記商品名KM590L 5.4重量%からなる混合樹脂100重量部に対し、エレストマスターS−520(花王社製 アルキルスルホン酸塩系界面活性剤20%含有ポリスチレン樹脂マスターバッチ)を10重量部、タルク0.8重量部を混合した混合原料を、口径40mmと口径65mmからなるタンデム型押出機のNo.1押出機ホッパーに供給し、No.1押出機バレル内で加熱溶融した後、発泡剤として混合ブタン(n−ブタン/イソブタン=30/70)3.8重量部を圧入して混合原料と溶融混練した。
【0050】
次いで、No.2押出機へ移送して、No.2押出機バレル内で均一に冷却後、No.2押出機先端に取り付けたスリットの口径が80mm、スリット間隔が0.3mmの環状スリットダイから円筒シート状に押出発泡させ、得られた円筒状シートを冷却マンドレルによって冷却成形後、マンドレル後部に取り付けたカッターにより円筒状シートを切開して表1に示す発泡シート(発泡体)を得た。なお、金型での溶融混合樹脂の温度は165℃であり、溶融混合樹脂の押出機からの吐出量は44kg/hrであった。
【0051】
実施例5
実施例4で得られた発泡シートとポリスチレン樹脂フィルム(大倉工業株式会社製、製品名:セロマー、厚み0.04mm)を重ね、180℃に加熱した熱板でプレスして、連続気泡発泡体層−非発泡フィルム層をもつ積層発泡体を得た。
【0052】
実施例6
実施例4で得られた発泡シートと、別途作成した低連続気泡率ポリスチレン系樹脂発泡シート(厚み1.5mm、密度0.067g/cm3、連続気泡率7.5%)を接着剤で貼り合わせ、連続気泡発泡体層−低連続気泡率発泡体層をもつ積層発泡体を得た。
【0053】
実施例7
図7に示す構成の青果用トレーを試作した。すなわち、実施例4で得られた発泡シートの片面に、剣山様の穴あけ器を用いて、シートを貫通しない穴(開口部)を多数あけた。(穴径約0.8mm、穴の密度 2個/cm2) この発泡シートを単発の熱成形機を用いて穴あけ面が被包装物の収納面側となるように青果用トレーに成形した。成形はマッチモールド真空成形で行った。成形機オーブン温度は上側200℃、下側180℃に設定し、加熱時間は13秒、真空時間は 3.5秒であった。得られたトレーの被包装物が接触する部分(成形品凹部壁面)に、スポイトを用いて水を1ml滴下すると、水はすべてトレー表面の穴からシートの内部へ吸収された。
【0054】
実施例8
商品名デノン3200を1.0重量部とした以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。なお、金型での溶融樹脂の温度は168℃であり、溶融樹脂の押出機からの吐出量40kg/hrであった。
【0055】
実施例9
商品名デノン3200を3.0重量部とした以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。なお、金型での溶融樹脂の温度は164℃であり、溶融樹脂の押出機からの吐出量43kg/hrであった。
【0056】
実施例10
商品名タフテックH10411(HDA76)を、HDA27の水添スチレン・イソプレンブロック共重合体(クラレ社製、商品名セプトン2063)とした以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。なお、金型での溶融樹脂の温度は157℃であり、溶融樹脂の押出機からの吐出量44kg/hrであった。
【0057】
比較例1
前記商品名HRM−26 95重量%、前記商品名PM600A 5重量%の混合樹脂原料を含む混合樹脂組成物100重量部に対し、前記商品名デノン3200 2重量部、タルク 0.8重量部を混合した混合原料を、口径40mmと口径65mmからなるタンデム型押出機のNo.1押出機ホッパーに供給し、No.1押出機バレル内で加熱溶融した後、発泡剤として混合ブタン(n−ブタン/イソブタン=70/30)3.8重量部を圧入して、混合原料と溶融混練した。
【0058】
次いで、No.2押出機へ移送して、No.2押出機バレル内で均一に冷却後、No.2押出機先端に取り付けたスリットの口径が80mm、スリット間隔が0.33mmの環状スリットダイから円筒シート状に押出発泡させ、得られた円筒状シートを冷却マンドレルによって冷却成形後、マンドレル後部に取り付けたカッターにより円筒状シートを切開して表1に示す発泡シートを得た。なお、金型での溶融混合樹脂の温度は168℃であり、溶融混合樹脂の押出機からの吐出量は40kg/hrであった。
【0059】
比較例2
前記商品名HRM−26 95重量%、前記商品名KM590L 5重量%の混合樹脂組成物とした以外は、比較例1と同様にして押出発泡させた。なお、金型での溶融樹脂温度は166℃であり、溶融樹脂の押出機からの吐出量は46kg/hrであった。
【0060】
比較例3
前記商品名HRM−26 85重量%、前記商品名SOE−SS L601 15重量%を含む混合樹脂組成物100重量部に対し、タルク 0.8重量部を混合した混合原料を口径40mmと口径65mmからなるタンデム型押出機のNo.1押出機ホッパーに供給し、No.1押出機バレル内で加熱溶融した後、発泡剤として混合ブタン(n−ブタン/イソブタン=30/70)3.8重量部を圧入して、混合原料と溶融混練した。
【0061】
次いで、No.2押出機へ移送して、No.2押出機バレル内で均一に冷却後、No.2押出機先端に取り付けたスリットの口径が80mm、スリット間隔が0.3mmの環状スリットダイから円筒シート状に押出発泡させ、得られた円筒状シートを冷却マンドレルによって冷却成形後、マンドレル後部に取り付けたカッターにより円筒状シートを切開して、表1に示す発泡シートを得た。なお、金型での溶融混合樹脂の温度は165℃であり、溶融混合樹脂の押出機からの吐出量は36kg/hrであった。
【0062】
比較例4
前記商品名HRM−26 80重量%、商品名ハイブラー5125(クラレ社製 スチレン・イソプレンブロック共重合体)15重量%、前記商品名KM590L 5重量%を含む混合樹脂組成物100重量部に対し、前記商品名デノン3200 2重量部、タルク 0.8重量部を混合した混合原料を、口径40mmと口径65mmからなるタンデム型押出機のNo.1押出機ホッパーに供給し、No.1押出機バレル内で加熱溶融させた後、発泡剤として混合ブタン(n−ブタン/イソブタン=30/70)3.8重量部を圧入して混合原料と溶融混練した。
次いで、No.2押出機へ移送して、No.2押出機バレル内で均一に冷却後、No.2押出機先端に取り付けたスリットの口径が80mm、スリット間隔が0.33mmの環状スリットダイから円筒シート状に押出発泡させ、得られた円筒状シートを冷却マンドレルによって冷却成形後、マンドレル後部に取り付けたカッターにより円筒状シートを切開して表1に示す発泡シートを得た。なお、金型での溶融混合樹脂の温度は164℃であり、溶融混合樹脂の押出機からの吐出量は41kg/hrであった。
【0063】
比較例5
前記商品名HRM−26 78.3重量%、商品名セプトン 2104(クラレ社製 水添スチレン−イソプレンブロック共重合体 HDA97)16.3重量%、前記商品名KM590L 5.4重量%からなる混合樹脂100重量部に対し、商品名エレストマスターS−520(花王社製 アルキルスルホン酸塩系界面活性剤20%含有ポリスチレン樹脂マスターバッチ)を10重量部、タルク0.8重量部を混合した混合原料を、口径40mmと口径65mmからなるタンデム型押出機のNo.1押出機ホッパーに供給し、No.1押出機バレル内で加熱溶融した後、発泡剤として混合ブタン(n−ブタン/イソブタン=30/70)3.8重量部を圧入して混合原料と溶融混練した。
次いで、No.2押出機へ移送して、No.2押出機バレル内で均一に冷却後、No.2押出機先端に取り付けたスリットの口径が80mm、スリット間隔が0.3mmの環状スリットダイから円筒シート状に押出発泡させ、得られた円筒状シートを冷却マンドレルによって冷却成形後、マンドレル後部に取り付けたカッターにより円筒状シートを切開して表1に示す発泡シートを得た。なお、金型での溶融混合樹脂の温度は168℃であり、溶融混合樹脂の押出機からの吐出量は44kg/hrであった。
【0064】
比較例6
商品名デノン3200を0.3重量部とした以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。なお、金型での溶融混合樹脂の温度は165℃であり、溶融混合樹脂の押出機からの吐出量は39kg/hrであった。
【0065】
比較例7
商品名デノン3200を8重量部とした以外は実施例1と同様にして押出発泡を試みたが、押出が不安定となり、良品の発泡シートが得られなかった。
【0066】
【表1】
※実施例5及び実施例6は、積層発泡体としての物性値
※実施例7は成形品、比較例7は押出不安定で良品の発泡シート得られず。
【0067】
(測定の方法)
明細書記載の各物性値の測定方法について説明する。
連続気泡率:
ASTM D2856‐87記載の測定方法に準じて測定した。
発泡シートより、押出方向に25mm×幅方向に25mmの試験片を切りだし、試験片を厚みが25mmに最も近くなる枚数を重ね合わせ、ノギスを用いて正確に見掛け体積を測定する。次に重ね合わせた試験片を空気比較式比重計1000型(東京サイエンス(株)製)を用いて1−1/2−1気圧法により体積を測定する。各測定値から次式を用いて計算する。
連続気泡率(容量%)=(見掛け体積−空気比較式比重計での測定体積)/見掛け体積×100
【0068】
吸水率:
まず、発泡体の連続気泡率および密度を測定する。次いで、発泡体をカットし、吸水率測定用サンプルを作成し、そのサンプルの重さW0を測定する。次いで、サンプルを水中に浸漬して発泡体が浮き上がらないように固定し、その状態で室温にて1時間放置した後水中より取りだし、サンプル表面の付着水を拭き取り、サンプルの重さWを測定する。そして、次の式により求められる値を発泡体の吸水率とする。
吸水率(%)=(W−W0)/{(W0/ρf)×(K/100)}×100
ここで、Wは水を吸収させた後の発泡体の重量(g)、W0は水を吸収させる前の発泡体の重量(g)、ρfは発泡体の密度(g/cm3)、Kは発泡体の連続気泡率(%)を表す。
【0069】
平均気泡径:
ASTM D2842−69の試験方法に準拠し測定した。すなわち試験体を押出方向(MD)、幅方向(押出方向に直行する方向:TD)及び厚み方向(VD)に沿って切断し、それぞれの切断面のカット面外側より1/10〜9/10以上内側を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−3000N)で17〜20倍(場合により200倍)に拡大して撮影する。撮影した画像をA4用紙上に4画像づつ印刷し、夫々の方向に平行な任意の一直線上(長さ60mm)にある気泡数から気泡の平均弦長(t)を下記式により算出した。但し任意の直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにした(接してしまう場合は気泡数に含める)。計測は6ヶ所とした。
平均弦長 t=60/(気泡数×写真の倍率)
そして次式により各方向における気泡径を算出した。
D=t/0.616
さらにそれらの算術平均を平均気泡径とした。
平均気泡径(mm)=(DMD+DTD+DVD)/3
また、試験片厚みが薄く、VD方向に60mm長さ分の気泡数を数えられない場合は、30mm又は20mm又は10mm分の気泡数を数えて60mm分の気泡数に換算した。
【0070】
耐衝撃性:
まず、各発泡シートから幅方向50mm×押出方向150mmの短冊状の測定サンプルを6枚切り出す。サンプルを80mmの間隔を開けて両端を固定し、サンプル真上部から直径41mm、重さ286gの鋼球を80mmの間隔を開けた真中に落下させ、サンプルが破壊する落下高さを測定する。この時落下高さは、鋼球の頂上部で測定した。6枚のサンプルについて試験を行ない、4枚以上のサンプルが破壊した時の鋼球の落下高さをそのサンプルの破壊高さとし、その値が15cm以上のものは○、15cm未満のものは×とした。なお、発泡シートは、製造してから直射日光に当たらない場所で保管し、1ヶ月後に測定した。
【0071】
発泡体密度:
発泡体サンプルの体積V(cm3)を測定し、そのサンプルの重量W(g)から下記式を用いて計算した。
発泡シート密度(単位:g/cm3)=W/V
【0072】
発泡シート厚み:
発泡シートの幅方向10個所を厚みゲージ((株)ミツトヨ社製 シックネスゲージ ID−TYPE )で厚み(mm)を測定し、その平均値をその発泡シートの厚みとした。
【0073】
耐候性:
まず、発泡シートの押出方向にダンベル状1号形(JIS K6251)試験片を10枚打ち抜き、促進暴露試験用サンプルとする。このうち、5枚を暴露0時間での引張り試験に使用し、残りの5枚を25時間の促進暴露試験後の引張り試験に使用する。暴露0時間の引張り破断点伸びA(mm)と、暴露25時間後の引張り破断点伸びB(mm)を求め、次式より引張り破断点伸び低下率(%)を求めた。そしてその値が40%未満のものを○、40%以上低下するものを×とした。引張り試験は、(株)オリエンテック社製 商品名テンシロンUCT−10を使用し、チャック間隔70mm、試験速度50mm/minにて行い、試験回数5回の平均値としてサンプルの引張り破断点伸びを求めた。促進暴露試験はJIS A1415に準拠して行い、スガ試験機(株)製 サンシャイン スーパーロングライフ ウェザーメーター WEL−SUN−HC・B型を用いて、照射条件をブラックパネル温度63℃、スプレー噴霧タイプ18分/120分、試験槽温度43℃、湿度30%に設定し行った。
引張り破断点伸び低下率(%)=(A−B)/A×100
【0074】
メルトマスフローレイト:
JIS K 7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」B法記載の方法により測定した。
測定装置(セミオートメルトインデクサー((株)東洋精機製作所製)のシリンダーに樹脂サンプル3〜8gを充てんし、充てん棒を用いて材料を圧縮する。ポリエチレン系樹脂は、試験温度190℃、試験荷重21.18N、ポリスチレン系樹脂は、試験温度200℃、試験荷重49.03N、ポリプロピレン系樹脂は、試験温度230℃、試験荷重21.18Nでそれぞれ測定した。各測定の予熱時間は4分。試験回数は3回で、その平均値をその樹脂のメルトマスフローレイトとした。
【0075】
デュロメータタイプA硬度(HDA):
高分子計器株式会社製デュロメータASKER A型と10Nの荷重がかけられる定圧荷重器を用いて、JIS K 7215:1986「プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法」記載の方法に準拠し測定した。その際測定サンプルは、30mm×50mm×4mmのピースを12枚作製し、これを2枚重ねることで厚み8mmの測定サンプルとして6回測定した平均をその樹脂のデュロメータタイプA硬度(HDA)の値とした。
【0076】
本発明の実施例の発泡体は、いずれも、連続気泡率が高く、また水の吸収性に優れ、耐候性があり、強度と柔軟性を兼ね備えた均質で外観美麗な発泡体である。
【0077】
【発明の効果】
本発明は、既述のように、ポリスチレン系樹脂にスチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物およびポリオレフィン系樹脂を加えた混合樹脂組成物と界面活性剤を含有する樹脂組成物を発泡させて得られる発泡体であるので、広範な押出条件下において高い連続気泡率を有し、水の吸収性に優れ、強度と柔軟性を兼ね備えた均質で外観美麗な発泡体を容易に得ることができ、得られた発泡体の耐衝撃性も優れたものとなる。
そして、この発泡体を成形して得られる青果用トレーなどの成形品は、青果物の輸送に十分耐えられる強度と柔軟性とを兼ね備え、しかも青果物表面の水様物や結露水などの付着水を取り除く能力に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る発泡体の一実施形態を示す成形品の青果トレーの概略斜視図である。
【符号の説明】
1 トレー本体
2 凹部
2a 内壁面
3 開口部
Claims (9)
- ポリスチレン系樹脂が50〜94重量%、スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物が5〜49重量%、およびポリオレフィン系樹脂が1〜10重量%の重量比で構成される混合樹脂組成物100重量部に対し、界面活性剤を0.5〜5重量部含有する樹脂組成物を発泡させて得られる連続気泡率が60%以上でかつ吸水率が10%以上である発泡体であって、
前記スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物のJIS K 7215記載のデュロメータタイプA硬度(HDA)の値が20〜90であることを特徴とする発泡体。 - 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、およびポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との混合樹脂のいずれかである請求項1に記載の発泡体。
- 前記界面活性剤が、アルキルスルホン酸塩、スルホこはく酸エステル塩、硫酸エステル、リン酸エステル塩、1〜3級アルキルアミン及び4級アンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の発泡体。
- サーキュラーダイを有する押出機からシート状に押出発泡することにより製造される発泡体であって、発泡体の平均気泡径が0.5mm以下、密度が0.03〜0.2g/cm3である請求項1〜3のいずれかの項に記載の発泡体。
- 請求項1〜4のいずれかの項に記載の発泡体の少なくとも一方の面に、熱可塑性樹脂層または熱可塑性樹脂発泡層を少なくとも1層積層してなる積層発泡体。
- 少なくとも一方の表面に発泡体内部へ通じる開口部を有した、請求項1〜5のいずれかの項に記載の発泡体。
- 請求項1〜6のいずれかの項に記載の発泡体を熱成形してなる成形品。
- 請求項1〜6のいずれかの項に記載の発泡体を熱成形してなる成形品であって、該成形品の表面に発泡体内部へ通じる開口部を有する成形品。
- 請求項1〜6のいずれかの項に記載の発泡体を熱成形してなる成形品からなり、当該成形品は被包装物を収容する凹部をトレー本体の表面に備え、少なくとも当該凹部の内壁面の表面に、前記発泡体の内部へ通じるがトレーの裏面にまで貫通されていない開口部を有する青果用トレー。
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