JP7252751B2 - ポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法、及びポリエチレン系樹脂板状発泡体 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法、及びポリエチレン系樹脂板状発泡体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法、及びポリエチレン系樹脂板状発泡体に関する。
ポリエチレン系樹脂発泡体は、柔軟性やクッション性に優れていることから、緩衝材や梱包材として広く使用されている。特に、厚みのあるポリエチレン系樹脂板状発泡体は、内容物を傷つけずに非常に良好な緩衝性を発現するなど、優れた性能を示すことから特段の用途を有している。
このようなポリエチレン系樹脂板状発泡体の製造方法として、架橋バッチ発泡法、ビーズ発泡成形法、押出発泡法等が知られている。
架橋バッチ発泡法は、発泡剤を含んだ樹脂を架橋した後に発泡剤の膨張を利用して発泡させる方法である。樹脂を架橋することで、良好な発泡を行うために必要な溶融弾性が高まり、微細な気泡と高い独立気泡率を有し、外観や緩衝性に優れる発泡体が得られることが特徴である。
一方、該方法は、樹脂を架橋してしまうためにリサイクル性に劣るほか、間欠的なバッチ生産であるために生産性に劣るという課題を有している。
ビーズ発泡成形法は、あらかじめ一定の密度まで膨張させた、いわゆる発泡ビーズを型内に充填し、蒸気加熱等を利用してさらに発泡させて板状発泡体を得る方法である。低い密度と高い独立気泡率とを両立する発泡体を得やすく、極めて緩衝性に優れる発泡体が得られる。
一方で、該方法は、工程が多段階となり煩雑であるという課題を有しているほか、例えば異物の付着を極端に嫌う自動車部材の梱包材として使用する場合など、発泡ビーズの剥落が懸念されることがある。
押出発泡法は、連続した一段のプロセスにより発泡体を得ることから生産性に優れており、また、架橋を行わないことからリサイクル性に優れ、使用中の部分的な剥落の懸念も少ない発泡体を得ることができるという特徴を有している。
そのため、これまでにも押出発泡法によるポリエチレン系樹脂押出発泡体が知られている。
例えば、特許文献1には、特定の性状を有するポリエチレン系樹脂組成物を用い、小さな気泡径と高い独立気泡率を有する押出発泡体が記載されている。しかしながら当該例において得られた発泡体は見かけ密度が高く、緩衝材や梱包材として用いるには不適なものである。一般に密度を低くすると発泡体の気泡膜もより薄くなるため、高い独立気泡率を維持することはより困難となる。また、当該例で得られた発泡体は厚みが薄いシート状である。一般により厚みのある発泡体を得ようとする場合、押出された直後に外気で急冷される表面部の比率が低下し、内部の冷却が不十分となりやすい。このような場合、高い独立気泡率を維持することが困難になるという問題がある。
また例えば、特許文献2には、低密度ポリエチレンを用いた、比較的小さな気泡径と、比較的高い発泡倍率を有する押出発泡体が記載されている。しかしながら当該例で得られた発泡体も厚みの薄いシート状であることに加え、独立気泡率がそれほど高くないため、緩衝材や梱包材として用いるには不適なものである。一般に気泡径を小さくする場合も発泡体の気泡膜が薄くなり、高い独立気泡率を維持することがより困難となる。
さらに、比較的厚みのあるポリエチレン系樹脂押出発泡体も知られている。
例えば、特許文献3には、厚み20mm、密度が30kg/m程度の押出発泡体が記載されている。しかしながら当該例の発泡体において、気泡径はかなり大きいと考えられることから、外観や緩衝性で劣り、満足なものとは言いがたい。
さらに、特許文献4には、厚み55mmの板状であり、密度40kg/m程度、連続気泡率25%程度のポリエチレン系樹脂板状押出発泡体が記載されている。しかしながら当該例における発泡体の気泡径もおおよそ0.6mm以上と大きく、外観や緩衝性の点で不満足なものである。
以上のように、ポリエチレン系樹脂板状押出発泡体であって、外観や緩衝性に優れ、緩衝材や梱包材として優れたものがないのが現状である。より具体的には、十分な厚みを有する板状発泡体であって、小さな気泡径と高い独立気泡率を有し、緩衝材や梱包材として満足な密度であるポリエチレン系樹脂押出発泡体を提供することが望まれている。
特開2013-124300号公報 特開2009-270029号公報 特開2003-165858号公報 特開平7-11039号公報
本発明は、十分な厚みを有する板状発泡体においても、小さな気泡径と高い独立気泡率とを有し、緩衝材や梱包材に最適な密度を有することができ、かつ、生産性にも優れるポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法、及びポリエチレン系樹脂板状発泡体を提供することを課題とする。
ポリエチレン系樹脂の押出発泡において、気泡破壊を起こさず、独立気泡率を維持するためには、長鎖分岐構造を有する、高圧法低密度ポリエチレンを使用することが好ましいことは既に知られている。高圧法低密度ポリエチレンは、いわゆる溶融弾性に優れ、発泡時の気泡膜延伸時の抵抗力を高めることによって気泡破壊を防止するものと考えられている。
本発明者らも、同様の考え方に沿って検討を進めたが、一方で、適度な密度の板状発泡体において、満足な気泡径と独立気泡率を両立するためには、単に高圧法低密度ポリエチレンを使用するのみでは不十分で、ダイから押出される、ポリエチレン系樹脂、発泡剤、及び必要に応じて添加された添加材からなる発泡性組成物の温度をかなり低い適正温度に保つことが極めて重要であることを見出した。また一方で、そのような適正温度を保つには、発泡性組成物のせん断発熱を抑制することが極めて望ましいことを理解した。
そのためには、用いる高圧法低密度ポリエチレンの溶融弾性が高いことのみならず、実際の加工時のせん断下における溶融粘度を適正化することが必要と考えた。このような考えのもと、さらに検討を進めた結果、用いる高圧法低密度ポリエチレンの溶融弾性と溶融粘度をそれぞれ適切な範囲とすることで本発明の課題を解決できること、また、せん断発熱を起こしにくいことで、より高い吐出量を得るために押出機の回転数を高めるなどして、より高いせん断がかかる条件下においても、発泡性組成物を適正温度に保つことが容易になること、すなわち高い生産性を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(i)動的粘弾性測定により測定される、140℃、G=1000(Pa)におけるδが65以上73以下、(ii)キャピラリー型粘度計による粘度測定により測定される、140℃、見かけせん断速度γa=1220/secにおける見かけ溶融粘度ηaが250Pa・sec以上370Pa・sec以下、の(i)、(ii)を満たす高圧法低密度ポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物と発泡剤とを含む発泡性組成物を押出発泡する、ポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称することがある。)に関する。
本発明の製造方法においては、上記δが67以上72以下および/または上記ηaが270Pa・sec以上340Pa・sec以下であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、上記ポリエチレン系樹脂押出発泡体が無架橋ポリエチレン系樹脂押出発泡体であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、上記ポリエチレン系樹脂押出発泡体が板状押出発泡体であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、上記ポリエチレン系樹脂押出発泡体が、次の(a)~(d)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
(a)密度が20kg/m以上180kg/m未満、
(b)独立気泡率が70%以上、
(c)押出方向に垂直な断面における平均気泡径が100~400μm、
(d)厚み10mm以上、70mm以下。
また、本発明は、(i)動的粘弾性測定により測定される、140℃、G=1000(Pa)におけるδが65以上73以下、(ii)キャピラリー型粘度計による粘度測定により測定される、140℃、見かけせん断速度γa=1220/secにおける見かけ溶融粘度ηaが250Pa・sec以上370Pa・sec以下、の(i)、(ii)を満たす高圧法低密度ポリエチレン系樹脂を含む、ポリエチレン系樹脂板状発泡体(以下、「本発明の板状発泡体」と称することがある。)に関する。
本発明の板状発泡体においては、上記ポリエチレン系樹脂板状発泡体が押出発泡体であることが好ましい。
本発明の板状発泡体においては、上記ポリエチレン系樹脂板状発泡体が無架橋ポリエチレン系樹脂板状発泡体であることが好ましい。
本発明の板状発泡体においては、上記ポリエチレン系樹脂板状発泡体が次の(e)~(h)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
(e)密度が20以上180kg/m未満、
(f)独立気泡率が70%以上、
(g)押出方向に垂直な断面における平均気泡径が100~400μm、
(h)厚み10mm以上、70mm以下。
本発明の板状発泡体は、緩衝材および/または梱包材に好適である。
本発明の製造方法は、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂の溶融弾性、および特定のせん断条件下における溶融粘度を特定の範囲に制御することによって、十分な厚みを有する板状発泡体であっても、小さな気泡径と高い独立気泡率を有し、緩衝材や梱包材に適した密度を有する、ポリエチレン系樹脂押出発泡体を高い生産性で得ることができるという効果を奏する。また、本発明では、特定の高圧法低密度ポリエチレン系樹脂を用いることによって、緩衝材や梱包材として好適に用いられる、厚み、密度、平均気泡径、独立気泡率のバランスに優れたポリエチレン系樹脂板状発泡体を得ることができる。
本発明の製造方法の特徴は、次の(i)、(ii)を満たす高圧法低密度ポリエチレン系樹脂を用いることにある。
(i)動的粘弾性測定により測定される、140℃、G=1000(Pa)におけるδが65以上73以下。
(ii)キャピラリー型粘度計による粘度測定により測定される、140℃、見かけせん断速度γa=1220/secにおける見かけ溶融粘度ηaが250Pa・sec以上370Pa・sec以下。
上記(i)について説明する。
ここで、δとは、基材樹脂の粘弾性特性の指標であり、一定の力への応答が弾性的であるか粘性的であるかを示す。低いδは応答がより弾性的であることを意味し、一般にはより弾性的な応答を示す材料が独立気泡率維持に有利である。市販されている高圧法低密度ポリエチレン系樹脂の140℃、G=1000(Pa)におけるδは概ね60程度以上であるが、低すぎるδは後述するηaを高める傾向にあり、せん断発熱を高めることを通じ、押出発泡における発泡性組成物の冷却が困難になる傾向にある。
本発明において用いられる高圧法低密度ポリエチレン系樹脂のδは、140℃、G=1000(Pa)の条件において、65以上、73以下である。
δが65以上であることにより、上記冷却が容易になり、得られる押出発泡体が高い独立気泡率を有することができる。一方、δが73以下であることにより、樹脂組成物の溶融弾性が適切になり、発泡時の気泡膜破壊を発生させにくくなって、得られる押出発泡体が高い独立気泡率を有することができたり、、押出発泡体の密度を小さくすることができる。δの下限は好ましくは67以上であり、上限は好ましくは72以下である。
このようなδは、140℃の雰囲気下、平行板型粘弾性測定装置を用い、以下の要領で評価することができる。
はじめに、各周波数ω(rad/sec)が0.01~0.1の範囲にある複数のωにおいて、140℃、歪量γ=5%の条件で動的粘弾性測定を行い、各ωにおける貯蔵弾性率G´(Pa)、損失弾性率G´´(Pa)を測定する。
次に、得られたG´、G´´から、δおよび複素弾性率Gを(式1)、(式2)に従って算出する。
δ=arctan(G´´/G´)・・・(式1)
(上記式1において、δの単位は、度として算出する。)
=(G´+G´´1/2 ・・・(式2)
得られたGとδについて、最小自乗法による直線近似を行い、得られた近似直線においてG=1000Paとなるときの値として、本発明におけるδが算出される。
上記(ii)について説明する。
ηaとは、キャピラリー型粘度計により測定される、140℃、見かけせん断速度1220/secにおける見かけ溶融粘度のことをいう。本発明におけるηaは、押出発泡時に近い、比較的高いせん断速度における溶融粘度に相当し、用いる樹脂組成物のせん断発熱の程度に関係すると考えられる。
ηaが低い場合、せん断発熱が小さくなる一方で押出発泡温度における必要なダイ圧力の維持が困難となる傾向にある。他方、ηaが高い場合は、せん断発熱を高めるため、押出発泡に用いられる樹脂組成物の冷却が困難になる傾向にある。
本発明において用いられる高圧法低密度ポリエチレン系樹脂のηaは、140℃、見かけせん断速度γa=1220/secの条件において、250Pa・sec以上、370Pa・sec以下であり、好ましくは270Pa・sec以上、340Pa・sec以下である。
ηaが250Pa・sec以上であると、得られる押出発泡体が高い独立気泡率を有することができ、小さな気泡径を有しうる。一方、ηaが370Pa・sec以下であると、得られる押出発泡体の独立気泡率を高くでき、発泡体の密度を小さくすることができる。
本発明において、ηaは、140℃の雰囲気下、キャピラリー型粘度計を用い、以下の要領で評価することができる。
はじめに、設定温度±0.2℃に調節された粘度計のバレル内に測定サンプルを詰め、5分間の予熱後に、ピストンを一定速度で降下させながら、備え付けられたキャピラリーを通じて溶融したサンプルを押出す。このときピストンにかかる力を測定し、安定した部分の力F(N)をバレル断面積Dで除して押出応力P(N/cm)を算出する。
さらに、用いたキャピラリーの半径r(cm)、キャピラリー長L(cm)を用い、(式3)に従ってせん断応力τ(Pa)を算出する。
τ=r・P/(2・L) ・・・(式3)
一方、ピストン降下速度から押出されるサンプルの体積流量V(cm/sec)を計算し、(式4)から見かけせん断速度γa(1/sec)を算出する。
γa=4・V/(π・r)・・・(式4)
ηaはτ、及びγaから(式5)に従って算出される。
ηa=τ/γa ・・・(式5)
γa=1220/secにおけるηaを得るためには、ピストン降下速度やキャピラリーの形状を調節して上記(式4)で得られるγaを1220/secに調整できる。ただし、上記調整が困難である場合は、γaが600~3000/secの範囲にある複数のγaで測定を行って得られたγaとηaから算出することもできる。具体的には、得られた複数のγaとηaを、それぞれ底を10とした対数に換算し、Log γaとLog ηaについて、最小自乗法による直線近似を行うことで得られる近似直線においてγa=1220/secとなるときの値として、本発明で用いられるηaを算出してもよい。
本発明において用いられる高圧法低密度ポリエチレン系樹脂は、上記のδおよびηaを満たす限り特段の制限はない。
好ましく用いられる高圧法低密度ポリエチレンの具体例としては、高圧法で得られるエチレン単独重合体や、エチレンと他の単量体の共重合体があげられる。共重合体において用いられる他の単量体の具体例としては、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどのオレフィン化合物:酢酸ビニル、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステルなどのビニル化合物があげられ、通常その使用量はエチレンと他の単量体100重量%に対し20重量%以下である。
高圧法低密度ポリエチレン系樹脂としては、上記δおよびηaを満たす高圧法低密度ポリエチレン系樹脂を一種のみを使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂を2種以上を組み合わせることで上記δおよびηaを満たすようにしたものであってもよい。例えば、比較的低いδを示す高圧法低密度ポリエチレンに対し、ηaを調整する目的で、適度なδと比較的低いηaを有する別の高圧法低密度ポリエチレンをブレンドする方法は、比較的容易に押出発泡の状態を調節できる観点から好ましく用いられる。
本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレン系樹脂のMFRには特段の制限はないが、190℃、2.16kgの条件において1.0g/10min以上、10g/10min以下の範囲にあることが好ましく、1.5以上8以下がより好ましい。MFRが1.0g/10min以上であると押出発泡に用いられる樹脂組成物の冷却がし易くなる。一方、10g/10min以下であると、押出発泡温度における必要なダイ圧力の維持が容易になる。
また、本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレン系樹脂の密度に特段の制限はない。一般に高圧法低密度ポリエチレンの密度は910~930kg/m程度の範囲にあり、本発明におけるδ、ηaを満たす限り、当該範囲であれば特に限定されない。必要な機械的強度を有し、かつ冷却時に意図しない結晶化を起こしにくいという観点から、915~925kg/mがより好ましい。
なお、二種類以上の高圧法低密度ポリエチレン系樹脂を使用する場合、その添加方法に特段の制限はない。すなわち、用いる全ての高圧法低密度ポリエチレンをペレット状で混合した混合物の状態で押出発泡工程に供給してもよいし、あらかじめ別途の手段で溶融混練し、均一化された溶融混練物として押出発泡工程に供給してもよい。
本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂に対し、耐熱性や耐磨耗性、帯電防止性等の機能付与等を目的に、別種のポリマー添加材を添加してもよい。
ポリマー添加材の具体例としては、高密度ポリエチレン、中低圧法による低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;本発明で用いる高圧法低密度ポリエチレンに該当しないエチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン系アイオノマー等のポリエチレン系共重合体;ホモポリプロピレンやランダムポリプロピレン等のポリプロピレン系重合体;ポリブテン系重合体;エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン-1共重合体、エチレン-ブテン-1共重合体、エチレン-ヘキセン-1共重合体、エチレン-4-メチルペンテン-1共重合体、エチレン-オクテン-1共重合体等のオレフィン系ゴム;ポリスチレン、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-エチレン共重合体等のスチレン系重合体;スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体、スチレン-イソブチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、及びそれらの水素添加物、等のスチレン系ゴム;ポリエステル系重合体;ポリアミド系重合体;熱可塑性ポリウレタン等があげられる。
これらポリマー添加材は、目的に応じ一種のみであってもよいし二種以上を組み合わせて用いることも可能である。
これらポリマー添加材を使用する場合、本発明の効果を十分発現させる観点から、その使用量は上記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂100重量部に対し30重量部以下であることが好ましく、より好ましくは25重量部以下である。
これらポリマー添加材の添加方法に特段の制限はなく、ペレット状で高圧法低密度ポリエチレンと混合した混合物の状態で押出発泡工程に供給してもよいし、あらかじめ別途の手段で高圧法低密度ポリエチレンと溶融混練し、均一化された溶融混練物として押出発泡工程に供給してもよい。
本発明の製造方法においては、上の高圧法低密度ポリエチレン系樹脂、必要に応じ用いられるポリマー添加材、および後述する任意成分である気泡核形成剤等から選択される添加材、からなるポリエチレン系樹脂組成物と、発泡剤とを溶融混練して発泡性組成物とし、冷却後ダイから押出して発泡成形する。
本発明における発泡剤としては、従来よりポリエチレン系樹脂発泡体の製造に用いられているものと同様に、無機系物理発泡剤、有機系物理発泡剤、分解性発泡剤を用いることができ、これら発泡剤は1種または2種以上を用いることができる。無機発泡剤としては例えば、酸素、窒素、二酸化炭素、空気、水等が挙げられる。有機系物理発泡剤としては例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素;1,1,1,2,-テトラフロロエタン、1,1-ジフロロエタン等のフッ化炭化水素;ジメチルエーテル、石油エーテル等のエーテル類;アセトンなどのケトン類が挙げられる。分解性発泡剤としては例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの無機炭酸塩;クエン酸などの有機酸又はその塩(クエン酸ナトリウムなど);2,2′-アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミドなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物;N,N′-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)などのニトロソ化合物;テレフタルアジドなどのアジド化合物などが挙げられる。これらのうち、所望の発泡倍率、独立気泡率、平均気泡径が得られやすいとの観点から、有機系物理発泡剤が好ましく、中でも炭素数3~6の脂肪族炭化水素がより好ましく、特にノルマルブタンおよび/またはイソブタンを主成分とするものが好適である。これらの発泡剤は、1種で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
発泡剤の使用量は、所望する押出発泡体の密度により、また使用する発泡剤の種類により異なるが、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂、またはポリマー添加材を用いる場合、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂とポリマー添加材との合計量100重量部に対して、0.1~20重量部が好ましく、より好ましくは0.3~15重量部、さらに好ましくは0.5~10重量部程度であってもよい。
本発明の製造方法においては、発泡体を製造する適当な工程において、必要により、気泡核形成剤等の添加材を併用してもよい。
気泡核形成剤は、本発明において得られる押出発泡体の気泡径を調節する目的で使用できる成分であり、従来よりポリエチレン系樹脂発泡体に一般的に用いられている、有機系気泡核形成剤、無機系気泡核形成剤のいずれも使用することができる。無機系気泡核形成剤としては、例えば、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重曹等が挙げられる。また有機系気泡核形成剤としては、例えば、リン酸-2,2-メチレンビス(4,6-t e r t-ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。またクエン酸と重曹、クエン酸のアルカリ塩と重曹等を組み合わせたもの等も気泡核形成剤として用いることができる。これらの気泡核形成剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
さらに、これら成分があらかじめポリエチレン系樹脂等でマスターバッチ化されたものも本発明で好適に使用することができる。
気泡核形成剤の使用量は、特に限定されず、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂、またはポリマー添加材を用いる場合、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂とポリマー添加材との合計量100重量部に対して、例えば、0.5~10重量部が好ましく、より好ましくは0.6~8重量部、さらに好ましくは0.7~5重量部程度であってもよい。
さらに、本発明において併用できるその他の添加材として、結晶造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、耐候剤、紫外線吸収剤、収縮防止剤、難燃剤等の機能性添加剤、無機充填剤、顔料等があげられる。これらは各添加剤の機能が発現する程度の量、添加方法により本発明の効果を損ねない範囲で添加され、その種類、添加量及び添加方法に特段の制限はない。
続いて、本発明のポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法についてより詳細に説明する。
本発明の製造方法において使用する装置については、前記したポリエチレン系樹脂組成物と、発泡剤とを溶融混練する機能、また得られた発泡性組成物を冷却する機能を有している限り特段の制限はない。
具体的に、単軸押出機、二軸押出機、単軸-単軸のタンデム型押出機、二軸-単軸のタンデム押出機、単軸、ないし二軸押出機と、発泡性組成物を一旦溜め込んだ後に調整された速度で押出可能とするように構成されたアキュムレータとの組み合わせからなる装置等が好適に使用でき、その中でも溶融混練が容易に進み、冷却機能が一般に高く、かつ生産性が高いという点で単軸-単軸のタンデム型押出機、二軸-単軸のタンデム型押出機が特に好ましく用いられる。
また、前記冷却機能を高めるために押出機先端とダイとの間に、さらに、スタティックミキサーを組み合わせる方法、押出速度およびダイ圧力を適切にコントロールする目的で、押出機先端とダイとの間に、さらにギヤポンプを組み合わせる方法も本発明で好適に用いられる。
ここで、前記した各成分を添加して溶融混練する方法には特段の制限がない。例えば、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂、必要に応じ用いられるポリマー添加材、発泡剤、および後述する任意成分である気泡核形成剤等からなる添加材を一括して押出機に供給し溶融混練してもよいし、発泡剤が常温常圧で気体である場合など、発泡剤を除くポリエチレン系樹脂組成物の各成分を押出機に供給し溶融混練したのち、装置の途中から発泡剤をポンプ等で供給しさらに溶融混練を行ってもよい。さらにはポリエチレン系樹脂組成物の成分の一部を押出機の途中からポンプ、ないしサイドフィーダー等の供給装置を使用して押出機の途中から供給してもよい。
溶融混練の際の温度についても特段の制限はないが、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂、必要に応じ用いられるポリマー添加材が確実に溶融し、かつ、発泡剤、発泡増核剤や添加剤との混練が十分に進む温度範囲にあることが好ましい。さらには、発泡増核剤や発泡剤、添加材の効果が損なわれない温度がさらに好ましく、例えば、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂に対し発泡剤としてブタン、発泡増核剤としてクエン酸-重曹の混合物を用いる場合、200~230℃の範囲であることが好ましい。
また、発泡性組成物を冷却する方法にも特段の制限はなく、押出機の先端、もしくはタンデム押出機にあっては下流側の押出機、アキュムレータを使用する装置にあってはアキュムレータの温度を、水またはオイル等による冷却機構を電気ヒータと組み合わせて適切な温度に調節する方法などが好ましい具体例としてあげられる。
冷却温度についても特段の制限はないが、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂ないし、必要に応じ用いられるポリマー添加材の結晶化等による固化が起こらない程度で、かつ十分に冷却することが必要である。
このようにして冷却された発泡性組成物は、押出機、若しくはスタティックミキサーやギヤポンプ、アキュムレータを組み合わせた場合においてはその先端に取り付けたダイから押出すことにより、押出発泡体とされる。目的とする発泡体の形状に応じて、押出機先端に取り付けるダイを選択することにより、板状、丸棒状、シート状など、各種形状の押出発泡体を製造することができるが、本発明においては、スリット状の開口部を有する矩形ダイと、押出された発泡体をさらに拘束・賦形するための成形金型との組合せとすることで、後述する、比較的厚みのある板状発泡体とすることができる。さらに、押出された発泡体を引き取るための引取り機を組み合わせることで、狙った厚みの板状発泡体を容易に得ることができる。
なお、本発明の好ましい一実施形態として、発泡性組成物をダイから押出発泡して成形する工程において、下記(式6)で表される成形係数αが1.5以上となる条件で押出成形する場合にも、効果的である。
成形係数 α=A/((Q/3600)/ρ) (2/3)・・・(式6)
(上記(式6)において、Aはポリエチレン系樹脂押出発泡体の断面積(m)を示し、Qは押出発泡時の吐出量(kg/hr)を示し、ρは、ポリエチレン系樹脂押出発泡体の密度(kg/m)を示す。)
上記成形係数αは、ダイから吐出される発泡性組成物の量(吐出量)に対して効率的に断面積の大きな発泡体が得られるか否かの指標となる。この成形係数αが大きいほど少ない吐出量でも比較的大きな断面積の発泡体が得られることとなるが、その際気泡径も大きくなる傾向にある。本発明の製造方法においてはこのような成形係数αの大きな場合でも気泡径の小さく、独立気泡率が高い発泡体を得ることが容易に可能となる。本発明の製造方法において、より効率的に断面積の大きな発泡体が得られるとの観点から、成形係数αは1.7以上が好ましく、さらには2.0以上であることが好ましい。
なお、本発明における吐出量、断面積、密度に関しては、使用する装置、所望する発泡体に応じて適宜設定することが可能である。
上記成形係数αを調整する方法としては、ダイから押出される発泡体の速度を調節する方法などが挙げられる。発泡体の速度を遅くすることで発泡体の断面積を大きくする、すなわち成形係数αを大きくすることが可能である。このような操作が可能な装置としては、発泡体をロールあるいはベルトで上下または左右から挟み込むなどして発泡体の速度を調整可能な機能を有している引取り機をあげることができる。また、本発明の製造方法において、引取り機と前記した成形金型を組み合わせ、成形金型の開口度と引取り機による引取り速度を適切に調節することにより、発泡体断面積の拡大が困難な気泡径が小さな発泡体でも、比較的容易に断面を拡大することが可能となる。
本発明においては、上記した、特定の高圧法低密度ポリエチレンを使用することにより、これまでに述べた押出発泡方法によって十分な厚みの押出発泡体を得ようとする際、溶融弾性とせん断発熱の程度のバランスに優れているため、小さな気泡径と高い独立気泡率を両立することが容易に可能となる。また、生産性を高めるために吐出量を高めても、発泡体特性の低下が起こりにくい。
本発明の製造方法は、上記のとおり、ダイから押出される発泡性組成物を適正温度に保つことができる点から、板状発泡体に成形するのに好適である。
本発明のポリエチレン系樹脂押出発泡体は、厚みが10mm以上であることが好ましい。様々な緩衝材形状への加工が可能であったり、積層構造に対し一体物で使用した緩衝材として均質なものが得られる点から20mm以上がより好ましく、30mm以上がさらに好ましく、40mm以上が尚更好ましい。一方、好ましい厚みの上限は設定されないが、外観や緩衝性に優れ、緩衝材や梱包材に好適に用いられるものが容易に得られる点から、150mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましく、70mm以下であることが更に好ましい。
本発明の製造方法によれば、得られるポリエチレン系樹脂押出発泡体は、無架橋であっても、比較的低い密度範囲において、細かい気泡径と高い独立気泡率を両立し、緩衝材や梱包材として好適に用いられる板状発泡体とすることができる。
本発明の製造方法によれば、比較的低い密度範囲のポリエチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。ポリエチレン系樹脂押出発泡体の密度は、好ましくは20kg/m以上180kg/m未満、より好ましくは50kg/m以上180kg/m未満である。密度が上記範囲にあることで、比較的圧縮強度が大きく、また硬すぎることがないために重量物を傷つけずに良好に保持することができ、緩衝材や梱包材に好適となる。
本発明の製造方法によれば、小さい気泡径と高い独立気泡率とを有するポリエチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。良好な緩衝性が保たれる点から、好ましい独立気泡率は70%以上であり、より好ましくは80%以上である。また、外観に優れる観点から、好ましい平均気泡径は、押出方向に垂直な断面において100μm以上が好ましく、120μm以上がより好ましく、150μm以上がさらに好ましく、200μm以上が尚更好ましい。一方、上限は600μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、400μm以下がさらに好ましく、370μm以下が尚更好ましい。
本発明の板状発泡体は、上記(i)および(ii)を満たす高圧法低密度ポリエチレン系樹脂を含むものであればよく、本発明の製造方法における上述のポリマー添加材、発泡剤、各種添加材を同様に使用することができ、これらの含有量も同様に適用できる。また、本発明の板状発泡体は、リサイクル性の観点から、無架橋発泡体であることが好ましい。
本発明の板状発泡体においても、上記密度、平均気泡径、独立気泡率、および厚みの好ましい範囲が同様に好適である。
本発明の板状発泡体は、板状に発泡成形できる公知の成形方法であれば特に限定されず製造されうるが、生産性の観点からは上述の製造方法で得られることが好ましい。
本発明の製造方法で得られる押出発泡体および本発明の板状発泡体は、以上述べたような特徴を有することから、緩衝材や梱包材として好適に用いることができる。
本発明の製造方法で得られる押出発泡体および本発明の板状発泡体は、適宜スライサーによるカット、トムソン刃等による打ち抜き、熱溶着や接着による多層化等の加工を施すことが容易にできる。また、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡体にすれば、容易にリサイクルすることも可能である。
以下に実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
実施例および比較例において、各種の評価方法に用いられた試験法および判定基準は次の通りである。
<高圧法低密度ポリエチレン系樹脂のδおよびηa>
実施例および比較例において得られた各混練ペレットのδおよびηaについて、次の通りに測定した。
(高圧法低密度ポリエチレン系樹脂のδ)
以下の装置、条件を用いて、下記測定周波数ω範囲における5点で貯蔵弾性率G´(Pa)、損失弾性率G´´(Pa)を測定した。
測定装置:TAインスツルメント製平行板型粘弾性測定装置ARES
設定温度:140℃
測定冶具:25mmΦパラレルプレート
ギャップ:1mm
歪量γ:5%
測定周波数ω:0.010、0.018、0.032、0.056、0.10(rad/sec)
得られたG´、G´´から、δおよび複素弾性率Gを(式1)、(式2)に従って算出した。
δ=arctan(G´´/G´)・・・(式1)
(上記式1において、δの単位は、度として算出する。)
=(G´+G´´1/2 ・・・(式2)
算出されたGとδについて、最小自乗法による直線近似を行い、得られた近似直線においてG=1000Paとなるときの値をδとした。
(高圧法低密度ポリエチレン系樹脂のηa)
以下の装置、条件により見かけせん断速度γaを1220/secである条件に調整し、ηaを測定した。
測定装置:東洋精機製作所製キャピログラフ
設定温度:140℃
キャピラリー:1.0mmΦ×10mm、流入角つき
ピストン降下速度:100mm/min
<密度>
実施例および比較例で得られた各発泡体から幅20mm、厚み20mm、長さ30mmの試験片を切り出した。得られた試験片の重量W(g)と下記水没法により求めた体積Va(cm)とから下記(式7)により求めた。
発泡体密度(g/cm)=W/Va ・・・・(式7)
<独立気泡率>
上記密度測定で得られた試験片について、ASTM D2856に記載の方法に準拠し、エアピクノメータ(東京サイエンス株式会社製空気比較式比重計モデル1000)を用いて、試験片の体積Vc(cm)測定した。次に測定後の同じ試験片をエタノールの入ったメスシリンダー内に沈め、メスシリンダーの液面上昇分(水没法)から見かけ上の体積Va(cm)を求め、下記(式8)に従って独立気泡率(%)を求めた。
独立気泡率(%)=(Vc/Va)×100・・・(式8)
<平均気泡径>
実施例および比較例で得られた各発泡体について、押出方向と垂直な面(MD面)が出るように、押出方向長さ20mmに切断し、サンプルAを作製した。さらにサンプルAのMD面中央部の10×10mmの面が取れるように両刃カミソリ[フェザー製、ハイステンレス両刃]を用いて、気泡膜(セル膜)が破壊されないように充分注意して切断しトリミングおよびMD面の面出しを行った。これを試験片としてMD面の切断面をマイクロスコープ[キーエンス社製、VHX-900]にて観察した。得られた画像において、厚み方向に長さ4000μmの線分を引き、該線分が通る気泡数nを測定し、下記(式9)により気泡径を算出した。
気泡径(μm)=4000/n ・・・(式9)
この測定を幅方向についても同様に行い、得られた気泡径の相加平均値を平均気泡径(μm)とした。
<発泡体断面積>
実施例および比較例で得られた発泡体を、押出方向と直行する任意の断面3箇所につき、押出方向長さ20mmに切断し、サンプルAを作製した。サンプルA(3個)につき、下記測定を実施した。
幅:押出方向と直交する水平方向の寸法を測定した。サンプル3個の平均値を幅寸法とした。
厚み:押出方向と直行する垂直方向の寸法を各サンプルにつき、幅中央、両端部から30mm内側、の3箇所を測定した。サンプル3個の平均値を厚み寸法とした。
断面積:上記幅寸法と厚み寸法を掛け合わせて断面積を算出した。
(実施例1)
高圧法低密度ポリエチレン(PE1:宇部丸善ポリエチレン製「C470」、MFR2.0g/10分、密度918kg/m)90重量部と、高圧法低密度ポリエチレン(PE3:宇部丸善ポリエチレン製「C410」、MFR3.5g/10分、密度918kg/m)10重量部とを混合した樹脂混合物を200℃に設定した二軸押出機(Φ45mm)に供給し、混練押出したのちストランド状に押出し、水槽で冷却後カットすることにより混練ペレットを得た。この混練ペレットについてδ、ηaを測定した。評価結果を表1に示す。
次に、得られた混練ペレット100重量部に対し、気泡核形成剤として化学発泡剤(永和化成製 EE275F、クエン酸-重曹系熱分解型発泡剤マスターバッチ)3.0重量部、収縮防止剤としてステアリン酸モノグリセライド1.0重量部加えたものを、Φ40二軸-φ90mm単軸タンデム押出機に供給した。210℃に設定した第1押出機(φ40二軸)中で溶融させた後、発泡剤としてのイソブタンを3.5重量部圧入混合し、89℃に設定した第2押出機(φ90mm)中で冷却した後、押出機先端に接続された矩形ダイ(開口部50mm×4mm)より、大気圧下に吐出量50kg/時間で押出した。ダイから押出された発泡体は、成形金型にてさらに賦形し、引取条件を調整した引取機で厚みが40mmとなるようにして引き取ることにより板状発泡体を得た。得られた発泡体の評価結果を表1に示す。
(実施例2~6、比較例1~4)
実施例1において、使用する樹脂混合物の種類および配合比を表1に示すようにそれぞれ変更したほかは実施例1と同様にして混練ペレットおよび板状発泡体を得た。得られた混練ペレットおよび発泡体の評価結果を表1に示す。
(実施例7~12、比較例5~8)
実施例1において、使用する樹脂混合物の種類および配合比を表2に示すようにそれぞれ変更し、また、押出発泡の際の吐出量を70kg/時間に変更したほかは実施例1と同様にして混練ペレットおよび板状発泡体を得た。得られた混練ペレットおよび発泡体の評価結果を表2に示す。
Figure 0007252751000001
Figure 0007252751000002
実施例1~6で示されるように、本発明の製造方法によれば、低密度と小さな平均気泡径、高い独立気泡率を満足する厚みの厚い板状発泡体が得られ、これらは緩衝性、外観等の観点から緩衝材、梱包材として好適に用いることができる。一方、比較例1~4においては独立気泡率、または独立気泡率と平均気泡径、さらには密度において不満足な発泡体となることが分かる。
さらには、実施例7~12で示されるように、本発明の製造方法によれば、吐出量の高い条件下においても、前記の点で満足な特性を示す発泡体が得られることが分かる。よって、本発明の製造方法は生産性に優れ、生産コスト優位なことは明らかである。

Claims (17)

  1. 以下の(i)および(ii)を満たす高圧法低密度ポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物と発泡剤とを含む発泡性組成物を押出発泡し、
    190℃、2.16kgの条件において、前記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂のMFRは、1.0g/10min以上、10g/10min以下であり、
    前記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂の密度は、910kg/m ~930kg/m である、
    ポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
    (i)動的粘弾性測定により測定される、140℃、G=1000(Pa)におけるδが65以上73以下、
    (ii)キャピラリー型粘度計による粘度測定により測定される、140℃、見かけせん断速度γa=1220/secにおける見かけ溶融粘度ηaが250Pa・sec以上370Pa・sec以下。
  2. 190℃、2.16kgの条件において、前記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂のMFRは、1.5g/10min以上、8g/10min以下である、請求項1記載のポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  3. 前記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂の密度は、915kg/m ~925kg/m である、請求項1記載のポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  4. 190℃、2.16kgの条件において、前記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂のMFRは、1.5g/10min以上、8g/10min以下であり、
    前記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂の密度は、915kg/m ~925kg/m である、請求項1記載のポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  5. 前記δが67以上72以下および/または前記ηaが270Pa・sec以上340Pa・sec以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  6. 前記ポリエチレン系樹脂押出発泡体が、無架橋ポリエチレン系樹脂押出発泡体である、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  7. 前記ポリエチレン系樹脂押出発泡体が、板状押出発泡体である、請求項1~のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  8. 前記ポリエチレン系樹脂押出発泡体が、次の(a)~(d)の少なくとも1つを満たす、請求項1~のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
    (a)密度が20kg/m以上180kg/m未満、
    (b)独立気泡率が70%以上、
    (c)押出方向に垂直な断面における平均気泡径が100~400μm、
    (d)厚み10mm以上、70mm以下。
  9. 以下の(i)および(ii)を満たす高圧法低密度ポリエチレン系樹脂を含み、
    190℃、2.16kgの条件において、前記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂のMFRは、1.0g/10min以上、10g/10min以下であり、
    前記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂の密度は、910kg/m ~930kg/m である、
    ポリエチレン系樹脂板状発泡体。
    (i)動的粘弾性測定により測定される、140℃、G=1000(Pa)におけるδが65以上73以下、
    (ii)キャピラリー型粘度計による粘度測定により測定される、140℃、見かけせん断速度γa=1220/secにおける見かけ溶融粘度ηaが250Pa・sec以上370Pa・sec以下。
  10. 190℃、2.16kgの条件において、前記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂のMFRは、1.5g/10min以上、8g/10min以下である、請求項9記載のポリエチレン系樹脂押出発泡体。
  11. 前記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂の密度は、915kg/m ~925kg/m である、請求項9記載のポリエチレン系樹脂押出発泡体。
  12. 190℃、2.16kgの条件において、前記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂のMFRは、1.5g/10min以上、8g/10min以下であり、
    前記高圧法低密度ポリエチレン系樹脂の密度は、915kg/m ~925kg/m である、請求項9記載のポリエチレン系樹脂押出発泡体。
  13. 前記ポリエチレン系樹脂板状発泡体が、押出発泡体である、請求項9~12のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂板状発泡体。
  14. 前記ポリエチレン系樹脂板状発泡体が無架橋ポリエチレン系樹脂板状発泡体である、請求項9~13のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂板状発泡体。
  15. 前記ポリエチレン系樹脂板状発泡体が、次の(e)~(h)の少なくとも1つを満たす、請求項9~14のいずれか一項のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂板状発泡体。
    (e)密度が20以上180kg/m未満、
    (f)独立気泡率が70%以上、
    (g)押出方向に垂直な断面における平均気泡径が100~400μm、
    (h)厚み10mm以上、70mm以下。
  16. 請求項9~15のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂板状発泡体からなる緩衝材。
  17. 請求項9~15のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂板状発泡体からなる梱包材。
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