JP4577883B2 - ポリエチレン系樹脂連続気泡発泡体 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂連続気泡発泡体 Download PDF

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Description

本発明は、緩衝性に優れるポリエチレン系樹脂連続気泡発泡体に関する。
ポリエチレン系樹脂の発泡体は、従来より、緩衝材や包装材等の素材に汎用されている。発泡体のなかでも、素材の緩衝性や柔軟性が求められる果物の包装材等の分野においては、特に、連続気泡発泡体が好んで用いられる。かかる連続気泡発泡体は、特許文献1や特許文献2に開示された方法によって得ることができる。
すなわち、特許文献1には、メルトインデックス(以下、メルトフローレートということもある。)が10以上の高密度ポリエチレンとメルトインデックスが1以下の低密度ポリエチレンとを特定比率で混合して112℃〜120℃程度の温度で発泡させることにより連続気泡発泡体を得る方法が提案されている。
また、特許文献2には、融点が120℃以下であるポリオレフィン系樹脂50〜90重量部に、融点が115℃以下でメルトフローレート(以下、MFRということがある。)が20g/10分以上であるポリエチレン系樹脂50〜10重量部を混合して発泡させることにより連続気泡発泡体を得る方法が提案されている。
特開昭56−28837号公報 特開2000−7817号公報
しかしながら、特許文献1の方法によって得られる連続気泡発泡体は、連続気泡化率が高いものの、高密度ポリエチレンを含有しているため、緩衝性に劣る発泡体であった。
また、特許文献2の方法によって得られる連続気泡発泡体は、均一な連続気泡を有するものの、その連続気泡率は低く、緩衝性に劣るものであった。
本発明は、上記問題点に鑑み、連続気泡率が高く、緩衝性と柔軟性に優れるポリエチレン系樹脂連続気泡発泡体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、多角的に鋭意検討を行ったところ、使用するポリエチレン系樹脂のMFRと結晶化温度とに着目し、これらが特定の範囲内の値にある場合に、製造後の連続気泡発泡体の収縮が極めて少なく、高い連続気泡率の網目状又はシート状、若しくは棒状の連続気泡発泡体が安定的に得られることを見出し、本発明を為した。
すなわち、本発明は、(1)ポリエチレン系樹脂組成物に物理発泡剤を混練した発泡性樹脂溶融混練物をダイから低圧域に押出してなる発泡倍率が15から60倍で連続気泡率が85%以上の連続気泡発泡体であって、該ポリエチレン系樹脂組成物は、メルトフローレートが30〜100g/10分結晶化温度が75℃〜95℃であるポリエチレン系樹脂(A)70〜97重量%と、メルトフローレートが20g/10分以下で結晶化温度が100℃〜117℃であるポリエチレン系樹脂(B)3〜30重量%とを含有する(但し、(A)と(B)との合計量が100重量%である)ことを特徴とする連続気泡発泡体、
(2)ポリエチレン系樹脂(A)は、エチレン単独重合体、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとのエチレン系共重合体(但し、炭素数3〜10のα−オレフィン成分単位が10モル%を超えて50モル%以下)、これらの2種類以上の混合物から選択されるものである、上記(1)記載の連続気泡発泡体、
(3)ポリエチレン系樹脂(A)の樹脂の密度が、910g/L〜920g/Lである、上記(1)または(2)に記載の連続気泡発泡体、
(4)連続気泡発泡体が、多数の紐状発泡体を互いに交差させ融着してなる網目状発泡体である上記(1)から(3)のいずれかに記載の連続気泡発泡体、
(5)連続気泡発泡体が、シート状発泡体である上記(1)から(3)のいずれかに記載の連続気泡発泡体、
(6)連続気泡発泡体が、棒状発泡体である上記(1)から(3)のいずれかに記載の連続気泡発泡体、を要旨とする。
本発明のポリエチレン系樹脂連続気泡発泡体は、メルトフローレートが30〜100g/10分で、結晶化温度が75℃〜95℃であるポリエチレン系樹脂(A)70〜97重量%と、メルトフローレートが20g/10分以下で、結晶化温度が100℃〜117℃であるポリエチレン系樹脂(B)3〜30重量%とを含有するポリエチレン系樹脂組成物により製造された連続気泡発泡体であり、その発泡倍率が15〜60倍で連続気泡率が85%以上であるから、このポリエチレン系樹脂連続気泡発泡体は、発泡倍率や連続気泡率が高く、緩衝性と柔軟性に優れる。加えて、このポリエチレン系樹脂連続気泡発泡体は、表面が平滑であり外観も美麗で、しかも、ポリエチレン系樹脂に基づくものであるからリサイクルも容易である。
また、本発明の連続気泡発泡体は、特に桃、りんご、梨、メロン、トマト等の果物や野菜等の包装用のシート状、網目状発泡体、棒状発泡体として有用なものである。
本発明の連続気泡連発泡体(以下、単に「発泡体」ともいう)を構成するポリエチレン系樹脂組成物は、メルトフローレート(MFR)が30〜100g/10分、結晶化温度が75℃〜95℃であるポリエチレン系樹脂(以下、「ポリエチレン系樹脂(A)」又は単に「(A)」と呼ぶことがある。)97〜70重量%と、メルトフローレート(MFR)が20g/10分以下、結晶化温度が100℃〜117℃であるポリエチレン系樹脂(以下、「ポリエチレン系樹脂(B)」又は単に「(B)」と呼ぶことがある。)3〜30重量%とを含有する。但し、(A)と(B)との合計量を100重量%である。ポリエチレン系樹脂組成物がかかる構成であると柔軟性のあるポリエチレン系樹脂(A)が骨格を成すので、緩衝性に優れる連続気泡発泡体で、特に高発泡倍率の発泡体を得るためには有利である。なお、前記したMFRは、JIS K 7210(1976年)に準拠し、温度190℃、荷重21.17Nの条件で測定されたものである。また、前記した結晶化温度は、JIS K 7121(1987年)に準拠し、10℃/minで200℃まで昇温後、直ちに10℃/minで降温させた時に得られる熱流束示差走査熱量測定によるDSC曲線のピーク頂点を読んで得られる値である。
本発明によって得られる連続気泡発泡体における連続気泡化の機構は、定かでないが、以下のような機構によるものと推察される。
すなわち、本発明におけるポリエチレン系樹脂組成物において、MFRが大きく結晶化温度が低いポリエチレン系樹脂(A)と、該(A)よりもMFRが小さく結晶化温度が高いポリエチレン系樹脂(B)とを用い、該ポリエチレン系樹脂組成物中において(A)の配合比率を大と、(B)の配合比率を小として、押出温度をポリエチレン系樹脂(A)の結晶化温度以上で、ポリエチレン系樹脂(B)の結晶化温度以下の温度に調整し、このポリエチレン系樹脂組成物を用いた発泡性溶融樹脂混練物をダイから低圧域に押出して発泡体を形成する過程において、僅かに生じる結晶化したポリエチレン系樹脂(B)と、未だ結晶化していないポリエチレン系樹脂(A)との間の溶融伸び((A)のMFRと(B)のMFRに関連する)の差により、形成された気泡膜に微細な孔が生成し、その孔が連通して連続気泡化が起こるものと考えられる。この時点では気泡の連続化は不十分な状態で、また気泡の形成過程であることから気泡は内圧を有するので、発泡体は高い発泡倍率を有するように形成される。
その後、発泡体が徐々に冷える過程において、ポリエチレン系樹脂(B)の結晶化物が成長するとともに発泡体の体積収縮が起こり、発泡体の気泡膜に生成した微細な孔が大きくなり、気泡の連続化(連泡化)が促進され、連続気泡発泡体が形成される。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂組成物において、ポリエチレン系樹脂(B)は30重量%以下であるが、これが30重量%を超える量であると、樹脂溶融物の押出発泡時において結晶化したポリエチレン系樹脂(B)の量が大きくなりすぎて、押出発泡が困難となる虞れがあるばかりか、押出発泡が可能であっても、得られる発泡体は樹脂組成物の結晶化物により表面平滑性の悪いものとなる虞れがあり、このことから、ポリエチレン系樹脂(B)は、25重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂組成物において、ポリエチレン系樹脂(B)は3重量%以上であるが、これが3重量%未満の量であると、得られる発泡体は連続気泡率の低いものとなる虞れがあり、このことから、ポリエチレン系樹脂(B)は、5重量%以上であることが好ましく、8重量%以上であることがより好ましい。
本発明において、ポリエチレン系樹脂(A)のMFRは、30g/10分以上のものが選択される。MFRが30g/10分未満であるとポリエチレン系樹脂組成物を構成するポリエチレン系樹脂(B)との関係で目的とする連続気泡率が得られない虞れや連続気泡発泡体の発泡倍率を十分に確保する観点から、ポリエチレン系樹脂(A)のMFRは、35g/10分以上が好ましく、40g/10分以上がより好ましく、45g/10分以上がさらに好ましい。一方、その上限は、概ね100g/10分以下のものが使用される。MFRが100g/10分を超えるような樹脂では、発泡圧力を十分に確保できず高い発泡倍率の発泡体が得られないことから、緩衝性の低い連続気泡発泡体となる虞れがある。上記観点からポリエチレン系樹脂(A)のMFRは、80g/10分以下であることがより好ましく、70g/10分以下であることが更に好ましい。
本発明において、ポリエチレン系樹脂(B)は、MFR20g/10分以下のものが選ばれる。ポリエチレン系樹脂(B)のMFRが、20g/10分より大きいと、前記ポリエチレン系樹脂(A)のMFRとの関係で発泡体を形成する過程において伸びのズレが発生し難くなり微細な孔の形成ができない虞れがあり、発泡倍率の高い発泡体が得られるものの、得られる発泡体は大きく収縮して、養生期間が必要となる虞がある。上記観点からポリエチレン系樹脂(B)のMFRは、15g/10分以下であることが好ましく、10g/10分以下であることがより好ましく、5g/10分以下であることが更に好ましい。
一方、ポリエチレン系樹脂(B)のMFRが余りに低いと、ポリエチレン系樹脂(B)の分散性が悪く、均一な連続気泡化が困難になる虞れがあるばかりか、溶融樹脂の発泡時にポリエチレン系樹脂(B)の結晶化が進んでダイリップ付近にその結晶化物が生じてしまい、ダイから押出発泡すること自体が困難となる虞がある。従って、ポリエチレン系樹脂(B)のMFRは、0.5g/10分以上であることが好ましく、0.8g/10分以上であることがより好ましく、1.1g/10分以上であることが更に好ましい。
本発明におけるポリエチレン系樹脂(A)の結晶化温度は、75℃〜95℃であり、ポリエチレン系樹脂(B)の結晶化温度は、100℃〜117℃である。かかる構成であると発泡体を形成する過程において、結晶化温度の差により気泡膜に微細な孔が生成し、連続気泡化の高い発泡体が得られる。
前記ポリエチレン系樹脂(B)の結晶化温度が、低く、ポリエチレン系樹脂(A)の結晶化温度近くまで低い温度であると、得られる発泡体は連続気泡率の低いものとなってしまう。一方、ポリエチレン系樹脂(B)の結晶化温度が、高く、ポリエチレン系樹脂(A)の結晶化温度よりも過度に高い温度であると、押出発泡時において、ポリエチレン系樹脂(B)の結晶化が進んでその結晶化物が過度に発生してしまい、発泡性樹脂溶融物をダイから押出発泡することが困難となる。
また、得られる発泡体の収縮を十分に抑制するには、より低い発泡温度で発泡させることが望ましいものの、発泡温度が低過ぎると発泡剤の蒸気圧も低下して、高い発泡倍率の発泡体を得ることが困難となることから、発泡温度は、ある程度高い温度にする必要がある。そして、この発泡温度の点を考慮し、ポリエチレン系樹脂(A)の結晶化温度は77℃〜93℃が好ましく、79℃〜91℃が更に好ましい。
一方、上記観点からポリエチレン系樹脂(B)の結晶化温度は、102℃〜115℃であることが好ましい
本発明によれば、ポリエチレン系樹脂(A)とポリエチレン系樹脂(B)において、重量比、メルトフローレート及び結晶化温度が上記したような範囲内であることにより、連続気泡率が高く緩衝性に優れる発泡体が得られる。
なお、本発明におけるポリエチレン系樹脂(A)としては、メルトフローレートと結晶化温度が上記したような範囲内であるものであればいずれのポリエチレン系樹脂でも構わないが、ポリエチレン系樹脂(A)の樹脂の密度が910g/L〜920g/Lであるものが好ましく、910g/L〜920g/L未満であるものがより好ましい。前記ポリエチレン系樹脂(A)は、このような密度のものとすることで、発泡倍率が15倍以上の高発泡の連続気泡発泡体をより容易に得ることができ、しかも、そのような連続気泡発泡体は柔軟性にも優れるという効果を齎す。
尚、上記したような樹脂の密度は、ポリエチレン系樹脂(A)に物理発泡剤を加えないものをダイに導入して押出成形した試験片から重量(g)と体積(L)から求めることができる。
前記ポリエチレン系樹脂(A)の材料としては、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとのエチレン系共重合体(但し、炭素数3〜10のα−オレフィン成分単位が10モル%を超えて50モル%以下)、さらにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。前記ポリエチレン系樹脂(A)とは、エチレン成分単位が50モル%以上のものが好ましく、60モル%以上のものがより好ましく、70モル%以上のものがさらに好ましい。前記した中でも直鎖状ポリエチレン系樹脂と比較して高倍率の連続気泡発泡体となることから分岐状低密度ポリエチレン系樹脂が好ましく、その分岐状低密度ポリエチレン系樹脂の中でも分岐状低密度ポリエチレンが発泡体に優れた柔軟性を付与する観点から好ましい。
なお、本明細書でいう分岐状低密度ポリエチレン系樹脂とは、短鎖分布として炭素1000個あたり、10〜30個の短鎖分岐を有し、かつ長鎖分岐を有するものである。その長鎖分岐は主鎖に相当する鎖長の長鎖分岐であることが好ましい。前記短鎖分岐は、1〜6個の炭素の鎖長さであり、前記長鎖分岐は、少なくとも20個の炭素の鎖長さである。
また、本明細書でいう分岐状低密度ポリエチレンは、高圧法で得られる分岐状低密度ポリエチレンであることが好ましい。
前記ポリエチレン系樹脂(A)中のエチレン単独重合体、エチレン系共重合体、又はこれらの2種以上の混合物の割合は、50重量%以上のものが好ましく、60重量%以上のものがより好ましく、70重量%以上のものがさらに好ましい。
本発明におけるポリエチレン系樹脂(B)としては、メルトフローレートと結晶化温度が上記したような範囲内のものであればいずれのポリエチレン系樹脂でも構わないが、ポリエチレン系樹脂(B)の密度が920g/L〜950g/Lであることが好ましい。前記ポリエチレン系樹脂(B)は、このような密度のものとすることで、発泡性樹脂溶融混練物が発泡する際にポリエチレン系樹脂(B)の結晶化物の発生が抑えられて外観良好な連続気泡発泡体が得られ、しかも、連続気泡発泡体の柔軟性が保持される。尚、上記範囲の樹脂の密度は、ポリエチレン系樹脂(B)に物理発泡剤を加えないものをダイに導入して押出成形した試験片から重量(g)と体積(L)から求めることができる。
前記ポリエチレン系樹脂(B)の材料としては、例えば、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとのエチレン系共重合体(但し、炭素数3〜10のα−オレフィン成分単位が10モル%を超えて50モル%以下)、さらにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。かかるポリエチレン系樹脂であると発泡倍率15倍以上で連続気泡化しやすい。そのポリエチレン系樹脂の中でも、均一な連続気泡化のため多く入れても結晶化物が発生しにくいことや発泡体に柔軟性を付与する観点から直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
前記ポリエチレン系樹脂(B)としては、エチレン成分単位が50モル%以上のものが好ましく、60モル%以上のものがより好ましく、70モル%以上のものがさらに好ましい。
本明細書でいう直鎖状低密度ポリエチレンとは、中高圧法で得られるエチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなる直鎖状の低密度ポリエチレンであり、短鎖分布として炭素1000個あたり、3〜25個の短鎖分岐を有するが、長鎖分岐は有しないものである。前記短鎖分岐は、1〜6個の炭素の鎖長さである。通常、直鎖状低密度ポリエチレンにはエチレンから得られる成分単位が99.9〜90モル%および炭素数3〜10のα−オレフィンから得られる成分単位が0.1〜10モル%存在する。
前記ポリエチレン系樹脂(B)中のエチレン単独重合体、エチレン系共重合体、又はこれらの2種以上の混合物の割合は、50重量%以上のものが好ましく、60重量%以上のものがより好ましく、70重量%以上のものがさらに好ましい。
本発明におけるポリエチレン系樹脂(A)中或いはポリエチレン系樹脂(B)中には、前述したエチレン単独重合体、エチレン系共重合体、又はこれらの2種以上の混合物の他に、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、所望に応じて、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、アイオノマーやエチレン−プロピレンゴム等のエラストマー、ポリブテン等のブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系樹脂等を添加することができる。なお、これらを添加する場合、これらの添加量は、ポリエチレン系樹脂(A)中或いはポリエチレン系樹脂(B)中に各々全重量に対して40重量%以下となるような量とすることが好ましく、25重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることが更に好ましい。
本発明においては、ポリエチレン系樹脂組成物、或いは、このポリエチレン系樹脂組成物を発泡してなる連続発泡体を脱泡して得られる樹脂組成物が、前記した結晶化温度を測定した際、ピーク頂点を示す温度が複数存在するように構成されていることが好ましく、ピーク頂点の温度が2つあることがより好ましい。かかる構成であると緩衝性に優れる連続気泡発泡体が得られる。上記観点から低温側にあるピーク頂点の温度は、75〜95℃の範囲にあることが好ましく、高温側にあるピーク頂点の温度は、100〜120℃の範囲にあることが好ましい。
また、その高温側のピーク頂点の温度から低温側のピーク頂点の温度を引いた値が15〜35℃の範囲であることが、連続気泡率が高く柔軟な発泡体を得ることができることから好ましく、15〜30℃がより好ましく、17〜28℃が更に好ましい。
上記75〜95℃の範囲にある低温側のピーク頂点を示すものとしては、本発明の(A)を原材料として用いることが好ましく、上記100〜120℃の範囲にある高温側のピーク頂点を示すものとしては、本発明の(B)を原材料として用いることが好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂組成物は、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤等の添加剤を、更に含有してなるものでもよい。
本発明において、物理発泡剤は、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどを採用できる。なお、高い発泡倍率の連続気泡発泡体を効率よく得ることに鑑み、物理発泡剤は、炭素数3〜6の炭化水素であることが好ましい。
また、物理発泡剤としては、炭酸ガスや水、エタノール等の脂肪族アルコール又はこれらの混合物を併用しても良い。
本発明において、発泡温度は、前記ポリエチレン系樹脂組成物と、物理発泡剤とを混練してなる発泡性樹脂溶融混練物を発泡させる際における樹脂温度である。
樹脂温度は、押出機のバレル先端とダイとの間に設けられた熱電対により計測されるが、下記式(1)を満たすような値に調整されることが好ましい。なお、式(1)において、Eは樹脂温度(℃)、CPaはポリエチレン系樹脂(A)の結晶化温度(℃)、CPbはポリエチレン系樹脂(B)の結晶化温度(℃)である。
(数1)
Pa<E<CPb ・・・・(1)
さらに、樹脂温度は、上記(1)式を満たしつつ、下式(2)を満たすことが好ましい。発泡温度が、このように調整されると、結晶化物の発生を押さえられ、発泡直後からの収縮の少ない連続気泡発泡体が得られる。
(数2)
5(℃)≦CPb−E≦20(℃) ・・・・(2)
また、発泡温度を上記範囲に調整するには、発泡性樹脂溶融混練物を導入するダイを、極端に加熱したり冷却しないことが好ましい。ダイが極端に加熱されたり冷却されると、樹脂を発泡させる際に樹脂温度を指標として発泡をコントロールすることが困難になり、高い連続気泡率と高い緩衝性を有する連続気泡発泡体が得られ難くなる。
また、ポリエチレン系樹脂(B)の結晶化温度CPb(℃)からポリエチレン系樹脂(A)の結晶化温度CPa(℃)を引いた値が15〜35℃の範囲であることが発泡温度の設定を広くできることや連続気泡率が高く柔軟な発泡体が得られる観点から好ましい。なお、この値は上記観点から15〜30℃がより好ましく、17〜28℃が好ましい。
また、本発明で高い連続気泡率の発泡体を得る為には、発泡性樹脂溶融混練物の押出機内における冷却過程に関与する区間での攪拌が重要である。
ここで、この攪拌が重要な区間とは、発泡性樹脂溶融混練物に発泡剤を注入した後に押出機バレルの設定温度を大幅に下げて冷却を行っている区間の事であり、この区間の攪拌量は、スクリュウ回転数(rpm)とスクリュウ溝深さ(mm)、及び溶融樹脂のパスタイム(sec)で定めたせん断量の値に基づき評価可能であり、簡易的にこのせん断量は、下記(3)式で算出する事ができる。
(数3)
(せん断量)=(せん断速度)×(押出機冷却混練部のパスタイム)・・・・(3)
(ただし、(せん断速度(sec-1))=(スクリュウ回転数)×π×(押出機径(mm))/(スクリュウ溝深さ(mm))/60(sec))
このせん断量が小さすぎると、攪拌量が少なく、冷却過程における攪拌不足となり、ポリエチレン系樹脂(B)の結晶化のムラが押出機内で発生し、均一且高い連続気泡率を有する発泡体を得る事が困難となる。逆にせん断量が大きすぎると、攪拌量が過多になり、樹脂温度を目的の温度まで冷却する事自体が困難となってしまう。従って、このせん断量の適正な範囲は1600から8000程度であり、好ましくは2000から6000であり、更に好ましくは3000から5500にて良好な連続気泡発泡体を得る事ができる。
なお、せん断量の算出に使用するせん断速度算出の際に、冷却区間のスクリュウ溝深さが変化する場合(テーパー区間等)には、その区間の平均溝深さを使用してその区間の平均せん断量を簡易的に算出し、他の区間のせん断量と合算する事により、冷却区間全体のせん断量を算出する事ができる。
また、押出機を複数連結してラインとする事もできるが、その場合においても同様に冷却区間のせん断量の合算により、冷却区間全体のせん断量を算出する事ができる。
前記冷却過程に関与する区間としては、通常、押出機の先端付近或いは発泡性樹脂溶融混練物がダイに入る直前の押出機の区間が最も安定した冷却を施すことができる。したがって、これらの区間において上記したようにせん断量をコントロールすることで、より確実に連続気泡発泡体を得ることができる。
本発明の目的は製造後の発泡体の収縮が極めて少ない、高い発泡倍率の連続気泡発泡体とする事にあり、この収縮が極めて少ないとは、最初に測定した発泡倍率をC値とし、25℃の雰囲気下で1週間養生させた後の発泡倍率をD値として、その比C/Dが0.6以上にあることを言うが、比C/Dは好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上である。
なお、本発明において、ポリエチレン系樹脂組成物と、物理発泡剤とを混練してなる発泡性樹脂溶融混練物を、押出機に付設したダイから低圧域に押出すことにより得られる発泡体の形状は、特に限定されないが、発泡倍率が15から60倍で連続気泡率が85%以上である網目状、シート状、若しくは棒状の連続気泡発泡体を得ることができる。
前記網目状連続気泡発泡体は、円周上に多数のノズルを設けた外輪ダイと内輪ダイとが互いに逆方向に回転する環状回転ダイに発泡性樹脂溶融混練物を導入して、内輪ダイから押出発泡させて多数の紐状発泡体を形成させるとともに、外輪ダイからも押出発泡させることによって多数の紐状発泡体を形成させ、両ダイから形成された多数の紐状発泡体を互いに交差させて、これらをその交差部で融着又は一体化させることによって、全体が筒型網目状に形成される。
なお、網目状連続気泡発泡体を形成する紐状発泡体夫々の断面形状は、特に限定されず、円形状、楕円形状、多角形状等でもよい。また、網目状連続気泡発泡体における紐状発泡体の数は、環状回転ダイから押出された方向に幅1メートル当たり50〜400本の範囲であることが好ましい。
連続気泡発泡体は、このように全体として網目状に形成された網目状連続気泡発泡体であると、より大きな緩衝性と柔軟性を有する点で好ましいものである。また、これは、包装体として有効であり、表面に傷がつきやすい物を被包装体とするような場合に特に有効である。
なお、この筒型の網目状連続気泡発泡体は、その形成後に切り開いてシート型としてもよいし、所要の寸法に切断してなる筒型体としてもよい。
前記したシート状連続気泡発泡体の厚みは、0.3〜30mmが好ましい。厚みがかかる構成であると緩衝性に優れるものとなる。このシート状連続気泡発泡体は環状ダイやスリットダイから発泡させる事により連続的に得る事ができる。
前記した棒状連続気泡発泡体は、中空や中実の棒形状の連続気泡発泡体であり、その断面形状は目的に合わせて様々な形状を選択でき、例えばその断面形状は丸や四角、三角、筒状、多角形状等様々なものが挙げられる。この棒状連続気泡発泡体は環状のノズルや様々な断面形状のノズルから発泡させる事により連続的に得る事ができる。
本発明の連続気泡発泡体は、連続気泡率が85%以上のものである。85%未満の連続気泡率を有する連続気泡発泡体は、緩衝性と柔軟性の低いものとなり、被包装体の表面に傷をつける虞があるため、本発明における連続気泡発泡体は85%以上の連続気泡率を有することが好ましく、90%以上のものであることがより好ましく、95%以上のものであることが更に好ましく、100%のものであることが特に好ましい。
連続気泡率は、ASTM D 2856−70の手順Cに準拠しており、連続気泡発泡体の試験片の実容積と、この試験片の見掛けの容積、この試験片の重量と、連続気泡発泡体を構成する樹脂の密度と、下記式(4)とから算出される。この式(4)において、Sは連続気泡率(%)、Vaは試験片の見掛けの容積(L)、Vxは連続気泡発泡体の試験片の実容積(L)、Wは試験片の重量(g)、ρは連続気泡発泡体を構成する樹脂の密度(g/L)を表している。
なお、連続気泡発泡体の試験片の実容積は、独立気泡の容積と樹脂部分の容積の和を示しており、空気比較式比重計(東芝ベックマン株式会社製の空気比較式比重計930型)によって計測される。
(数4)
S=((Va−Vx)/(Va−W/ρ))×100 ・・・・(4)
前記連続気泡発泡体の試験片は、見掛け容積約15〜16cm3として、空気比較式比重計に附属のサンプルカップに非圧縮状態で収納可能に調整される。ここで見掛け容積Va(L)は温度23℃、体積100cm3の水を収容したメスシリンダーに、温度23℃、大気圧下において48時間以上放置された連続気泡発泡体から切り出された試験片の重量W(g)を予め測定し、水没させることにより増加した水の体積分を体積C(L)とし、この試験片を水から引き上げ水滴が落ちなくなった後のメスシリンダーの水の減少分つまりは連続気泡発泡体の内部に付着した水分の体積D(L)を求め、前記増加した水の体積C(L)から水没時に連続気泡発泡体の内部に付着した水の体積D(L)を差し引いた値を見掛け容積Va(L)とする。
前記連続気泡発泡体の試験片の実容積Vx(L)は、アルコールを入れたメスシリンダーに前記試験片を入れ、アルコール中に沈めた時の、増加したアルコールの体積分から求められる試験片の容積を試験片の実容積Vx(L)とする。
尚、連続気泡率を測定した後、同じ試験片を前記見掛け容積を測定する試験片とした。
前記連続気泡発泡体を構成する樹脂の密度ρ(g/L)は、ヒートプレスにより連続気泡発泡体の気泡を脱泡したものについて計測された密度を採用する。
本発明における連続気泡発泡体の発泡倍率は、15から60倍である。15倍未満の発泡倍率を有する連続気泡発泡体は、その連続気泡発泡体は全体として緩衝性及び柔軟性が低く、被包装体の表面に傷を付ける虞がある。なお、上記観点から25倍以上の発泡倍率を有する連続気泡発泡体であることが好ましく、30倍以上のものがより好ましく、35倍以上のものが更に好ましい。
また、本発明において、発泡倍率が60倍より大きい連続気泡発泡体は、気泡膜の厚みの乏しいものとなって緩衝性の低いものとなる虞があることから、55倍以下の発泡倍率を有する連続気泡発泡体であることが好ましく、50倍以下のものであることがより好ましく、45倍以下のものであることが更に好ましい。
本発明における発泡倍率は、連続気泡発泡体を構成する樹脂の密度(g/L)を連続気泡発泡体の見掛け密度(g/L)で除すことにより算出される。
前記連続気泡発泡体を構成する樹脂の密度(g/L)及び連続気泡発泡体の見掛け密度(g/L)は、上記連続気泡率で用いられた試験片の見掛けの容積Va(L)、試験片の重量W(g)、連続気泡発泡体を構成する樹脂の密度ρ(g/L)によって算出できる。なお、網目状連続気泡発泡体について発泡倍率を算出する場合には、試験片は多数の紐状発泡体の互いに融着又は一体化した交差部を除いた部分を用いる。
本発明によって得られる連続気泡発泡体は、高発泡倍率で連続気泡率が高いものであり、緩衝性や柔軟性に優れるものである。したがって、本発明によって得られる連続気泡発泡体は、桃、りんご、梨、メロン、トマトなどの果実や野菜などの包装体として好適なものである。
しかも、ポリエチレン系樹脂組成物はポリエチレン系樹脂の混合物であることから、本発明によって得られる連続気泡発泡体はリサイクル性にも優れる点で利点がある。
実施例1
ポリエチレン系樹脂(A)(東ソー株式会社製、分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)「ペトロセン248」、結晶化温度84℃、MFR58g/10分、密度917g/L)と、ポリエチレン系樹脂(B)(東ソー株式会社製、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)「TZ260」、結晶化温度110℃、MFR1.6g/10分、密度934g/L)とを表1に示す配合量で混合したポリエチレン系樹脂組成物100重量部に対して、静電防止剤としてステアリン酸モノグリセライド(融点65℃、理研ビタミン株式会社製、「S−100」)1重量部、気泡調整剤として大日本精化工業株式会社製「ファインセルマスター SSC−PO208K」をポリエチレン系樹脂組成物100重量部に対して、1重量部を添加し、これを押出機に投入してポリエチレン系樹脂溶融物とした。このポリエチレン系樹脂溶融物に対してノルマルブタン/イソブタンの重量比を7/3に構成してなるこれらのブタン混合物(表1では単に「ブタン」と示した)を発泡剤としてポリエチレン系樹脂溶融物100重量部に対して表1に示す配合量を圧入、混練することによって約200℃の発泡性樹脂溶融混練物を構成し、この発泡性樹脂溶融混練物を表1に示す樹脂温度に押出機冷却区間において、せん断量4500にて攪拌、冷却して調整した後に、これをストランドダイに導入して、ダイリップから低圧域に押出発泡させた。この押出発泡時の吐出は10kg/hrであり、また、押出機のサイズは直径50mmでありスクリュウ回転数は41rpmであった。
なお、ステアリン酸モノグリセライドの添加は、結晶化温度92.5℃の低密度ポリエチレンをベース樹脂とした10%のマスターバッチを用いた。
こうして、表2に示すように、初期倍率42倍、太さ4mmの棒状発泡体を16本同時に得た。また、この棒状発泡体を25℃の雰囲気中に1週間養生した後、測定した発泡倍率(D)は初期の発泡倍率(C)と同じ42倍であった。
Figure 0004577883
なお、表1には、ポリエチレン系樹脂(A)の種類、結晶化温度(表内では「CPa」とした)、MFR、樹脂密度(表内では「密度」と示した)、ポリエチレン系樹脂組成物に対するポリエチレン系樹脂(A)の配合量(表内では「配合量」と示した)、ポリエチレン系樹脂(B)の種類、結晶化温度(表内では「CPb」と示した)、MFR、樹脂密度(表内では「密度」と示した)、ポリエチレン系樹脂組成物に対するポリエチレン系樹脂(B)の配合量(表内では「配合量」と示した)、発泡剤の種類、ポリエチレン樹脂組成物100重量部に対する発泡剤の配合量(表内では「配合量」と示した)、発泡温度、攪拌量として吐出、スクリュウ回転数、せん断量を示した。
実施例2
発泡剤をイソペンタンとする他は実施例1と同様にして、初期の発泡倍率33倍、太さ4mmの棒状発泡体を16本同時に得た。この棒状発泡体を25℃の雰囲気中に1週間養生した後、測定した発泡倍率は33倍であった(表2)。
実施例3
ポリエチレン系樹脂(B)を、結晶化温度102℃、MFR20g/10分、密度920g/Lの東ソー株式会社製、直鎖状低密度ポリエチレン「ニポロンLM65」とする他は実施例1と同様にして、初期倍率32倍、太さ3mmの棒状発泡体を16本同時に得た。この棒状発泡体を25℃の雰囲気中に1週間養生した後、測定した発泡倍率は37倍であった(表2)。
実施例4
実施例1と同様にしてポリエチレン系樹脂組成物を調整し、これを直径65mm押出機、直径90mm押出機のタンデム押出機に投入し、ノルマルブタン/イソブタンの重量比を7/3に構成してなるブタン混合物(表1では単に「ブタン」と示した)を発泡剤としてポリエチレン系樹脂溶融物100重量部に対して表1に示す配合量を圧入、混練することによって約200℃の発泡性樹脂溶融混練物を得て、この発泡性樹脂溶融混練物を表1に示す樹脂温度になるように押出機冷却区間においてせん断量3700にて攪拌、冷却して調整し、その後に、これを環状回転ダイに導入して、ダイリップから低圧域に発泡性樹脂溶融混練物を筒状に押出発泡させ、一端を切り開いてシート型の網目状発泡体を得た。上記の点以外の諸条件は実施例1と同様にした。その結果、初期倍率38倍の網目状発泡体を得た。またこの網目状発泡体を25℃の雰囲気中に1週間養生した後、測定した発泡倍率も38倍であった(表2)。この時の吐出は65kg/hrであり、冷却用押出機のサイズは直径90mm、スクリュウ回転数は22.5rpmであった。
実施例5
ポリエチレン系樹脂(A)(東ソー株式会社製、分岐状低密度ポリエチレン「ペトロセン248」、結晶化温度84℃、MFR58g/10分、密度917g/L)と、ポリエチレン系樹脂(B)(東ソー株式会社製、直鎖状低密度ポリエチレン「TZ260」、結晶化温度110℃、MFR1.6g/10分、密度934g/L)とを表1に示す配合量で混合したポリエチレン系樹脂配合物100重量部に対して、静電防止剤としてステアリン酸モノグリセライド(融点65℃、理研ビタミン株式会社製、「S−100」)1重量部、気泡調整剤として大日本精化工業株式会社製「ファインセルマスター SSC−PO208K」をポリエチレン系樹脂組成物100重量部に対して、1重量部を添加し、これを直径65mm押出機、直径90mm押出機のタンデム押出機に投入してポリエチレン系樹脂溶融混練物とした。このポリエチレン系樹脂溶融混練物に対してノルマルブタン/イソブタンの重量比を7/3に構成してなるブタン混合物(表1では単に「ブタン」と示した)を発泡剤としてポリエチレン系樹脂溶融混練物100重量部に対して表1に示す配合量を圧入、混練することによって約200℃の発泡性樹脂溶融混練物を得て、この発泡性樹脂溶融混練物を、押出機冷却区間においてせん断量3800にて攪拌しつつ、表1に示す樹脂温度に冷却して、その後に、これを環状ダイに導入して、ダイリップから低圧域に筒状に押出発泡させ、その一端を切り開いてシート状発泡体を得た。この時の吐出は50kg/hrであり、冷却用押出機のサイズは直径90mm、スクリュウ回転数は17.5rpmであった。
比較例1
ポリエチレン系樹脂(B)を、結晶化温度96℃、MFR2.4g/10分、密度922g/Lの日本ユニカー株式会社製、分岐状低密度ポリエチレン「NUC8321」として、他は実施例1と同様にして、初期の発泡倍率31倍の棒状発泡体を得た。得られた発泡体は養生後39倍であったが、連続気泡率が低い為に緩衝性の劣るものであった(表2)。
なお、スクリュウ回転数は37rpmであり、押出機冷却区間のせん断量は4000であった。
比較例2、3
ポリエチレン系樹脂(A)を、結晶化温度96℃、MFR0.4g/10分、密度922g/Lの住友化学株式会社製、分岐状低密度ポリエチレン「F−102」とし、ポリエチレン系樹脂(B)を、結晶化温度134℃、MFR11g/10分、密度956g/Lの出光石油化学株式会社製、高密度ポリエチレン「130J」とする他は実施例1と同様にして、表2に示す倍率の棒状発泡体を得た。それぞれ得られた発泡体は連続気泡率が低く、緩衝性の低いものであった。また発泡体の表面は、若干凹凸が見られた。この時の吐出は10kg/hr、スクリュウ回転数は43rpmであり、押出機冷却区間のせん断量はそれぞれ4700であった。
比較例4
ポリエチレン系樹脂(B)を、結晶化温度118℃、MFR1.0g/10分、密度956g/Lの日本ポリオレフィン株式会社製、高密度ポリエチレン「KL371A」として、他は実施例1と同様にして棒状発泡体を得ようとしたが、樹脂温度を表1の発泡温度まで冷却したところでダイリップに固形物が詰まり押出し不可となった。
比較例5
ポリエチレン系樹脂(A)を65重量%、ポリエチレン系樹脂(B)を35重量%とした以外は実施例1と同様にして棒状発泡体を得ようとしたが、樹脂温度を表1の発泡温度まで冷却したところでダイリップに固形物が詰まり押出し不可となった。
発泡体を得ることができた実施例1から5、および比較例1から3の網目状、シート状、棒状発泡体について、連続気泡率、発泡直後の発泡倍率、25℃の雰囲気中に1週間養生した後における発泡倍率を測定した。なお、初期の発泡倍率は発泡10分後とし、養生後の発泡倍率は1週間後とした。
これらの結果は、表2に示した通りである。
この結果より、実施例1から5で得られた連続気泡発泡体は、比較例1から3の発泡体に比べ、表面が平滑であり外観が良好で、高い連続気泡率を有するばかりか、収縮が少ないため、発泡体を連続気泡化するための後工程や収縮した連続気泡発泡体を回復させるための後工程を必要とせず、さらに緩衝性にも優れる点で利点がある。特に実施例1と実施例4で得られた発泡体は、発泡倍率が35倍以上であることから被包装体の表面に傷をつけにくい等の柔軟性に優れる。
Figure 0004577883

Claims (6)

  1. ポリエチレン系樹脂組成物に物理発泡剤を混練した発泡性樹脂溶融混練物をダイから低圧域に押出してなる発泡倍率が15から60倍で連続気泡率が85%以上の連続気泡発泡体であって、該ポリエチレン系樹脂組成物は、メルトフローレートが30〜100g/10分結晶化温度が75℃〜95℃であるポリエチレン系樹脂(A)70〜97重量%と、メルトフローレートが20g/10分以下で結晶化温度が100℃〜117℃であるポリエチレン系樹脂(B)3〜30重量%とを含有する(但し、(A)と(B)との合計量が100重量%である)ことを特徴とする連続気泡発泡体。
  2. ポリエチレン系樹脂(A)は、エチレン単独重合体、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとのエチレン系共重合体(但し、炭素数3〜10のα−オレフィン成分単位が10モル%を超えて50モル%以下)、これらの2種類以上の混合物から選択されるものである、請求項1記載の連続気泡発泡体。
  3. ポリエチレン系樹脂(A)の樹脂の密度が、910g/L〜920g/Lである、請求項1または2に記載の連続気泡発泡体。
  4. 連続気泡発泡体が、多数の紐状発泡体を互いに交差させ融着してなる網目状発泡体である請求項1〜3のいずれかに記載の連続気泡発泡体。
  5. 連続気泡発泡体が、シート状発泡体である請求項1〜3のいずれかに記載の連続気泡発泡体。
  6. 連続気泡発泡体が、棒状発泡体である請求項1〜3のいずれかに記載の連続気泡発泡体。
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