JP3792806B2 - ポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、ポリカーボネート樹脂の押出発泡性を著しく改善し、得られる発泡体が、厚みがあり、外観、独立気泡率、成型性に優れたポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂発泡体は、耐熱性、耐老化性、耐水性等が高く、電気的及び機械的性質にも優れていることから、自動車や建造物の内装材、包装材、各種容器等への用途展開が期待されている。また、耐熱性が要求される電子レンジ用やレトルト食品用の容器材料としては特に有望である。このように利点が多いが、発泡体を得ようとした場合、ポリカーボネート樹脂の流動開始温度がポリスチレン等のそれより大幅に高い上に、ポリカーボネート樹脂の発泡温度付近での溶融粘度は、発泡体の汎用基材樹脂であるポリスチレン等に比べて非常に高く、樹脂自体の特性として発泡温度付近での溶融張力が低いために、押出発泡性が悪いから、通常の押出発泡法で所望の発泡体を得るのは困難である。そのため、溶解度係数6.5以上の有機物を発泡剤とする方法(特開平2−261836号公報)、沸点50〜150℃のイソパラフィンを発泡剤とする方法(特開昭47−43183号公報)等が提案されている。
【0003】
また前記した押出発泡法の他、シート状のポリカーボネート樹脂に発泡剤を含浸させて加熱発泡させる方法、低級アルキルベンゼンと低沸点溶剤でゲル化したポリカーボネート樹脂を加熱発泡させる方法(特開昭46−31468号公報)等も提案されている。しかし、これらの方法で製造される発泡体は、外観、成形性が不十分であり、更に発泡倍率、厚み、幅、発泡セルの均一性などの調節が困難なため、前記した用途への展開は難しい。
そのため、ポリカーボネート樹脂発泡体において、外観の改良、成形性の改善や倍率、厚み、幅、発泡セルの均一性などの改善が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来押出発泡が難しいとされてきたポリカーボネート樹脂を基材として、前記特性を全て満足するポリカーボネート系樹脂押出発泡体を得るための製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリカーボネート樹脂100重量部と、粘度平均分子量が25万以上600万以下のポリエチレン樹脂0.1重量部以上、15重量部未満とからなる樹脂組成物を押出発泡するポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法が提供され、特に、前記樹脂組成物が、250℃における溶融張力の値が3g以上のものであり、かつ同温度におけるスウェル比が20%以上のものであることを特徴とする前記ポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法が提供される。
【0006】
本発明者らは、ポリカーボネート樹脂について、次の性質に着目した。
(1)ポリカーボネート樹脂は、ポリスチレン、ポリエチレン等の樹脂に比べて、発泡温度が高い上に、その時の溶融粘度が非常に高いため、押出発泡する際押出機への負荷が過大であり、また、気泡を成長させづらい。
(2)更に、その時の溶融張力が、ポリスチレン、ポリエチレン等の樹脂に比べて非常に小さいために、発泡セルが、発泡圧力に耐えきれず破裂しやすい。
(3)そのために、得られる発泡体は、気泡の破裂により外観が悪く、そのために発泡倍率は不十分で発泡セル径も不均一なものになる。
(4)またそのように樹脂の溶融張力が小さいため、ダイスリップ口から吐出された発泡シートを引取り、シーティングする時に、シートの裂け、ヒビ割れ等が起こるためシーティングが困難でこのような原因で引取りスピードを自由に変えられないため、表面状態が良好なさまざまな幅、厚みのシートを得ることが困難である。
【0007】
このようなポリカーボネート樹脂の特性を改善するために多くの研究を重ねた結果、その過程で、ポリカーボネート樹脂を改善し、発泡温度付近での溶融張力を上げるためにポリカーボネートオリゴマー、ABS、PET等のエンジニアリングプラスチック、また各種汎用樹脂等のブレンドの研究を進めていったところ、ポリオレフィン系樹脂、中でもポリエチレン系樹脂を0.5重量部以上7重量部未満ブレンドすることにより、溶融張力の急激な上昇が見られることが分かった。この現象について詳細な研究を進めていったところ、ポリエチレン系樹脂のなかでも低密度ポリエチレン樹脂、中でも多くの長鎖分岐をもつ低密度ポリエチレン樹脂では、非常に高い溶融張力の上昇が見られることがわかった。
【0008】
しかし、このようにポリエチレン系樹脂をブレンドすることにより、ポリカーボネート樹脂の改質効果が得られるものの、樹脂組成物の溶融粘度の低下が顕著であり、押出発泡においては、溶融粘度の低下により適正発泡温度が低下するために樹脂組成物中にポリカーボネート樹脂の固化物が発生しやすくなった。そのため、押出発泡の条件が非常に厳密になるため、押出機に高い温度制御能力が要求されるものであった。また、ポリエチレン系樹脂自体の溶融粘度が、発泡温度付近でのポリカーボネート樹脂の溶融粘度に比べて低く、かつ、ポリエチレン系樹脂の融点も低いために、押出発泡により気泡が形成された後、樹脂組成物中のポリエチレン系樹脂部分が気泡に悪影響を与え、気泡に孔が開くためか、外観等は優れているものの、独立気泡率が低い傾向がみられた。
【0009】
そこで、発泡温度付近での、溶融粘度を低下させずポリカーボネート樹脂の溶融粘度に匹敵するものとし、そのために、押出条件を狭めず、また溶融粘度が高いために、押出発泡により形成された気泡に悪影響を与えないように、即ち、溶融粘度を低下させずに溶融張力を上げるべく鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、ポリカーボネート樹脂100重量部と、超高分子量ポリエチレン樹脂を0.1〜15重量部とからなる樹脂組成物とすることにより、溶融粘度の低下を最小限にし、しかも溶融張力の急激な上昇が見られることを発見した。その結果、前記のようなポリカーボネート樹脂の欠点は大幅に改善され発泡速度を適度に調整でき、種々の発泡剤の使用が可能となり、発泡温度付近での溶融張力が十分であるために、得られる発泡体は、発泡時の気泡の破裂がなく外観良好で、そのために、発泡倍率が十分に高く、独立気泡率が高く、発泡セル径の均一な発泡体を得ることが可能であり、特に、押出発泡においては、密度、厚み、シート幅が所望のものであって、外観、成形性に優れたポリカーボネート系樹脂押出発泡体を得ることが可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法の特徴を説明するために、押出発泡による発泡シートの一般的製造方法を以下に記述する。
▲1▼押出機内に樹脂と気泡調整剤等の添加剤とを仕込み、該機内で加熱・溶融・混練する工程
▲2▼混練物に所望量の発泡剤を圧入して混練物に発泡剤を練り込む工程
▲3▼発泡剤がねりこまれている混練物を所定温度で、押出機先端のサーキュラーダイスから低圧部に押出し、これを円柱形状の樹脂冷却装置(マンドレル)の表面上に引取って円筒状発泡体を形成させてから、押出方向に切り開いてシート状発泡体とする工程
を経ることにより製造される。
【0011】
ポリスチレン等の樹脂であれば、上記のようなプロセスで問題はなく押出発泡が可能である。
一方、ポリカーボネート樹脂の場合、前記したように、所定温度(発泡温度)での溶融粘度が、ポリスチレン等の樹脂に比べて非常に高くなるために気泡を形成させづらい上に、該温度での溶融張力が、ポリスチレン等の樹脂に比べて非常に小さいため、押出機先端のサーキュラーダイスから低圧部に押出され発泡するときに形成されたセルが発泡圧力に耐えきれず破壊してしまう。その結果、外観が気泡破壊により悪く、所望の発泡倍率のシートが得られず、独立気泡率が低くセル径の不均一な発泡体しか得られない。また、同様に樹脂の溶融張力の関係で、サーキュラーダイスから低圧部に押し出されたシートを、マンドレル表面上に引取る場合にも、シートが引取り時の張力に耐えられず、シートの裂け、表面のひび割れ等が起こってしまい、良好な発泡体は得られにくい。また、この時、通常シートの厚みは、押し出されたシートの引取スピードで調整するため、厚いシートを得るために引取スピードを遅くする必要がある。しかし、この場合、ポリカーボネート樹脂のスウェル比が不十分なため、発泡時のシートは、厚み方向への膨らみが不十分で、サーキュラーダイスとマンドレルの間に形成されるバルーンがたるんだ状態になり、安定しないため、発泡シートをマンドレルに密着させ、表面平滑な厚物シートを得ることが難しい。その上、外観美麗なシートを得ようとして気泡調整剤(タルク等の無機物粉体)を増量し、セル径を小さくしようとすると発泡セルの壁面が薄くなり、ダイスを出たばかりの発泡直後のシートの伸びが悪くなり、ますますマンドレルで引取ることが困難になってしまう。そのため表面状態が悪く、シート幅、厚み、倍率においても不十分な発泡シートしか得ることができない。従って、外観はデコボコしていて、セルも十分に配向された良好なものでないため、加熱成型時に張戻しがなく垂れ下がり(ドローダウン)が発生してしまい成型性に劣るシートしか得ることができない。
【0012】
本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法においては、ポリカーボネート樹脂100重量部と超高分子量ポリエチレン樹脂0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部とからなる樹脂組成物を用いることにより、ポリカーボネート樹脂単体の場合と比較しての溶融粘度の低下が最小限に抑えられ、該組成物の発泡温度が基材樹脂の発泡温度に比べて大きく低下しないために、発泡可能な温度範囲を狭めることなく安定した押出発泡が可能であり、しかも発泡温度付近の溶融張力が十分に高いために、押出機先端のダイスから低圧部に押し出され発泡するときに形成されたセルが、発泡圧力に耐えることができるために、発泡セルは破壊されずに形状を維持することができる。そのため、セル形状が均一で所望の発泡倍率を持つシートを得ることができ、また、超高分子量ポリエチレン樹脂の粘性が、発泡温度付近で十分に高いために、形成された気泡に微細な孔が開く等の悪影響がないために、独立気泡率が高い発泡シートを得ることができる。その上、サーキュラーダイスから押し出されたシートをマンドレル表面上に引取るときも、このポリカーボネート系樹脂の溶融張力が十分に高いため、シートは引取り時の張力に耐えることができ、シート表面は裂け、ひび割れ等のない表面平滑なものが得られる。更に、本発明の樹脂組成物のスウェル比が十分に高いため、発泡時のシートの厚み方向への膨らみが十分なので、厚物シートを得ようとして、引取りスピードを遅くしても、サーキュラーダイスとマンドレルの間に形成されるバルーンがたるんだ状態にならないため、安定して発泡シートをマンドレルに密着させ、表面平滑な厚物シートを得ることができる。その結果、シートの厚みは引取スピードにより自由に調節することが出来、0.5〜10mmの表面状態良好なシートが得られる。
また、本発明においてはダイス部における押出機内の圧力が減少しても、樹脂組成物が低圧部に押出される以前に発泡を開始してしまう、いわゆる内部発泡が生じにくく、発泡体中に粗大気泡が発生したり、発泡体表面でクレーター状に破泡して外観や物性に劣るものとなるおそれが少ない。このためダイスリップのクリアをより拡げた状態でも良好な発泡体を得ることができ、特に厚物のシートが容易に得られる。
以上、押出発泡体が発泡シートの場合について説明したが、本発明の発泡体シートの他、板状、ブロック状、柱状のものであってもよく、外観良好なものが得られる。
【0013】
本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法においては、例えば、主原料のポリカーボネート樹脂として、粘度平均分子量が20000以上、好ましくは25000以上で、250℃における溶融張力が2.0g以上、好ましくは2.3g以上、更に好ましくは3.0g以上のものを使用する。このようなポリカーボネート樹脂としては、三菱ガス化学社製ユーピロンS−1000〔粘度平均分子量26000、溶融張力2.4g(250℃)〕、ユーピロンE−1000〔粘度平均分子量32000、溶融張力6.4g(250℃)〕、ユーピロンE−2000〔粘度平均分子量29000、溶融張力2.9g(250℃)〕等が例示される。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が20000より低いものは、溶融張力が小さすぎて超高分子量ポリエチレン樹脂との樹脂組成物としても良好な発泡体を得ることが困難となる恐れがある。
【0014】
本発明の製造方法において主原料として使用される前記ポリカーボネート樹脂は、炭酸とグリコール又はビスフェノールから形成されるポリカーボネート樹脂である。そして、分子鎖にジフェニルアルカンを有する芳香族ポリカーボネートは、結晶性が高く高融点の上に、耐熱性、耐候性及び耐酸性に優れているから好適である。このようなポリカーボネートとしては、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)エタン等のビスフェノール原料として得られるポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0015】
本発明の製造方法において使用される副原料である超高分子量ポリエチレン樹脂は、ASTM D4020に規定されるものであり、また分子量が極めて大きく、ほとんど分岐鎖を有さない直鎖状の分子構造をもつポリエチレン樹脂であることが知られている。本発明においては、超高分子量ポリエチレン樹脂の粘度平均分子量Mvとして、ASTM D4020に示される方法に準じ、超高分子量ポリエチレン樹脂の粘度として固有粘度〔η〕(dl/g)の代わりに135℃における濃度0.05%のデカリン溶液の比粘度ηsp(dl/g)を用いて近似して下記式(I)によって計算した値を採用する。
Mv=5.37×104ηsp1.37・・・(I)
本発明に用いられる超高分子量ポリエチレン樹脂は、上記式(I)によって計算される粘度平均分子量が25万以上600万以下のものであり、粘度平均分子量が30万以上300万以下のものが、樹脂自体の溶融時の流動性が比較的高く、主原料ポリカーボネート樹脂に均一に分散しやすいために好ましい。粘度平均分子量が25万より低いと主原料ポリカーボネート樹脂との樹脂組成物の粘性が低下し好ましくなく、600万より高いと樹脂自体の流動性が著しく低いため、主原料ポリカーボネート樹脂との樹脂組成物とすることが、実質的に困難になるおそれがある。
【0016】
このような超高分子量ポリエチレン樹脂としては「ハイゼクス・ミリオン」(三井石油化学(株)製、商品名)、「ミペロン」(三井石油化学(株)製、商品名)等が挙げられ、分子量分布が広いタイプの方が、樹脂自体の流動性が高く主原料ポリカーボネート樹脂に均一分散しやすい上に、高分子量成分が含まれているために、主原料ポリカーボネート樹脂の改質効果が高く好ましい。
【0017】
本発明においては、このような優れた発泡性を付与するために、前記ポリカーボネート樹脂100重量部と、前記超高分子量ポリエチレン樹脂0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部とからなる樹脂組成物を用いる。0.1重量部より少ないと、基材樹脂のポリカーボネート樹脂の押出発泡性に対して十分な改質効果が得られない。また、15重量部以上であると、基材樹脂との相溶性が悪くなり、良好な発泡体を得ることができない。
【0018】
また、ポリカーボネート樹脂と超高分子量ポリエチレン樹脂との相溶性の改善には各種相溶化剤の使用が可能である。
【0019】
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート系樹脂押出発泡体をDSC(熱流束示差走査熱量計)により熱分析すると、ポリカーボネート樹脂単体による押出発泡体では、155℃付近にガラス転移点による小さな吸熱が見られるだけであるが、本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡体では、155℃付近のガラス転移点による小さな吸熱の他に、129℃付近に小さな吸熱ピークが確認できる。
【0020】
本発明で云う樹脂組成物には、ドライブレンド、溶融混練等の一般的ポリマーブレンドで得られるもの全てが包含され、更にまた、ブロック共重合、グラフト共重合を伴うものも包含される。また、ポリマーブレンドを行う場合の溶融混練方法に関しては、何等限定されず、各種の方法で行うことができるが、混練性、生産性などの点から例えば二軸押出機による一般的ポリマーブレンドが好ましい。
【0021】
また、特に、本発明に用いられるポリカーボネート系樹脂押出発泡体用組成物を一般的ポリマーブレンドにより製造する場合、ブレンド時のせん断力が足りないと、超高分子量ポリエチレン樹脂が十分に基材樹脂に分散せず、せん断力が強すぎると、超高分子量ポリエチレンの主鎖が分断してしまうことにより、十分な改質効果が得られない場合があるため、適宜これを調節する必要がある。
【0022】
本発明の製造方法によりポリカーボネート系樹脂押出発泡体を製造する場合、溶融張力が高いために、押出発泡時に気泡が形成される際の発泡圧力に耐える力が強い。そのために、独立気泡率が高く、引取スピードや発泡剤量を自由に変えることができるために、発泡倍率が高く、厚みのあるシートを得ることが出来る。しかし一方で、通常のポリカーボネート樹脂に比較してダイスから出た後、ゆっくりとセルが形成されていく傾向があり、発泡シートの製造条件が同じ場合、本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡体は、通常のポリカーボネート系樹脂発泡体より、発泡倍率を出しにくい傾向がある。この問題については、発泡剤量を増量するとか、冷却条件を工夫することにより、簡単に解決することができる。
【0023】
本発明の発泡体の製造方法において使われる発泡剤は、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤のいずれも使用可能であるが、押出発泡法の場合は分解型発泡剤を使うと発泡倍率の高い発泡体が得られにくいから、無機発泡剤や揮発性発泡剤を使用するのが好ましい。
揮発性発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ヘキサン等の低級脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン等の低級脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の低級芳香族炭化水素;メタノール、エタノール等の脂肪族低級一価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;クロロメチル、クロロエチル、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン等の低沸点ハロゲン化炭化水素;等がまた無機発泡剤としては、炭酸ガス、窒素ガス等の無機ガス等が挙げられる。
以上に詳記した発泡剤は、単独又は二種以上混合して使用可能であり、例えば無機発泡剤と揮発性発泡剤のように異なった型の発泡剤の併用も可能である。
【0024】
発泡剤使用量は発泡剤の種類や所望する発泡倍率によっても異なり、しかも発泡倍率によって該発泡体の密度が定まるから、主に所望する発泡体の密度によって発泡剤の使用量を決定する。
本発明で得られた押出発泡体は、密度0.04〜0.4g/cm3が好ましく、特に好ましくは0.06〜0.24g/cm3である。なお、本発明の発泡体密度が0.04g/cm3未満ではポリカーボネート樹脂本来の特性である強度が低下し、密度が0.4g/cm3を超えると、発泡体特性の低下や重量増加の上に製造原価も増加する。
発泡体の密度は前記したように0.06〜0.24g/cm3とするのが好ましく、そのために必要な発泡剤量は樹脂100重量部当り揮発性発泡剤では0.5〜10重量部、無機発泡剤では0.2〜3.0重量部程度である。
【0025】
また、本発明の製造方法で得られた発泡体の平均セル径は0.07〜0.50mmが好ましく、0.1〜0.3mmのものがより好ましい。
このような平均セル径を有する発泡体は、外観において極めて優れている。該径が0.07mmより小さい場合、成形性が悪くなり好ましくなく、また、0.5mmより大きい場合、表面平滑性、外観が不良となって好ましくない。
【0026】
本発明の発泡体の製造方法においては、ポリカーボネート系樹脂を円滑に発泡させるために、樹脂と発泡剤との溶融混練物中に必要に応じて気泡調整剤を添加することができる。この場合の気泡調整剤としては、タルク、シリカ、マイカ、雲母等の無機粉末、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの混合物等が好ましい。また、これらの気泡調整剤は一種または二種以上併用して用いてもよい。
気泡調整剤の添加量は、樹脂100重量部当り0.01〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが良い。0.01重量部より少ないと十分な気泡調整効果が得られず、一方5重量部より多いとセル径が小さくなり過ぎて得られる発泡成形品の物性、成形性が低下するため好ましくない。
【0027】
また本発明の発泡体の製造方法においては、難燃剤、熱安定剤、耐候性向上剤、着色剤等のように、通常の発泡体に添加される公知の添加剤を添加することができる。
【0028】
本発明の製造方法によって得られる押出発泡体の厚みは、0.5〜10mm、好ましくは0.5〜7mmである。0.5mmより薄いと、発泡体の強度の不足によりシーティングが困難となり、また10mmより厚いと押出が困難であり、成形時の加熱の際に発泡体内部まで平均して加熱できず、熱成形が難しく用途が限定される。
【0029】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって、更に具体的に説明するが、本発明は、この実施例によって、限定されるものではない。
尚、表1中、PCはポリカーボネート樹脂を、またPEはポリエチレン樹脂を、更にLDPEは低密度ポリエチレン樹脂を表す。
【0030】
実施例1
ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量29000、密度1.2g/cm3、250℃での溶融張力2.9g)100重量部に、超高分子量ポリエチレン樹脂(135℃における濃度0.05%のデカリン溶液の比粘度ηsp=5.5(dl/g)、前述の式(I)により計算される粘度平均分子量50万、密度0.948g/cm3、融点136℃)を混合し、φ47二軸押出機を用いて溶融、混練、ペレタイズして樹脂組成物を得た。これに気泡調整剤としてタルク0.2重量部を加え、これを押出機内で加熱、溶融、混合してから、発泡剤としてn−ペンタンを0.17mol/kg樹脂となるように押出機内に圧入し、吐出量を50kg/hrとして直径65mmのサーキュラーダイから押出発泡し、環状発泡体の内部、外部から常温エアーを吹くことによりバルーンを形成させ、これを直径150mmのマンドレルで引き取ってから、押出方向に沿って切り開いてシート状発泡体を得た。このとき、シート状発泡体の密度を0.24g/cm3とし、内部発泡およびバルーンのたるみを生じない範囲で最も厚みが大きくなる条件に押出条件を調整した。
得られた発泡シートの密度等の物性を表1に示す。
【0031】
比較例1
原料として、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量29000、密度1.2g/cm3、250℃での溶融張力2.9g)を用いて、実施例1と同様に押出発泡を行った。なお、ここでもシート状発泡体の密度を0.24g/cm3とし、内部発泡およびバルーンのたるみを生じない範囲で最も厚みが大きくなる条件に押出し条件を調整した。
得られた発泡シートの密度等の物性を表1に示す。
【0032】
比較例2
原料として、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量29000、密度1.2g/cm3、250℃での溶融張力2.9g)100重量部に、LDPE(粘度平均分子量10万、密度0.920g/cm3、融点111℃)3重量部を、φ47二軸押出機を用いて溶融、混練、ペレタイズした樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に押出発泡を行った。なお、ここでもシート状発泡体の密度を0.24g/cm3とし、内部発泡およびバルーンのたるみを生じない範囲で、厚みが最も大きくなる条件に押出条件を調整した。
得られた発泡シートの密度等の物性を表1に示す。
【0033】
実施例及び比較例の各発泡シートの成形評価及び物性評価は、以下の基準で行った。
Figure 0003792806
上記条件で図1に示される装置(L1=300mm、L2=130mm、L3=450mm、θ=40°)でロードセルに記録される荷重(g)を溶融張力とした。
Figure 0003792806
上記条件でノズルから押出直後、ストランドを10℃の水で水冷し、以下式によりスウェル比を算出した。
スウェル比(%)=(押出ストランドの径−ノズル径)/ノズル径
〔独立気泡率〕
エアピクノメーター法(ASTM D2856)に準拠して発泡体実容積Vx(cm3)を測定し、下記式により独立気泡率を算出した。
Fo(%)={(Va−Vx)/〔Va−(Va・ρf/ρs)〕}×100
Fc(%)=100−Fo
Fo:連続気泡率(%)
Fc:独立気泡率(%)
Va:発泡体見掛け容積(cm3
Vx:発泡体実容積(cm3
ρf:発泡体密度(g/cm3
ρs:ポリカーボネート系樹脂密度(g/cm3
【0034】
【表1】
Figure 0003792806
【0035】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法においては、ポリカーボネート樹脂100重量部と粘度平均分子量が25万以上600万以下のポリエチレン樹脂0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部とからなる樹脂組成物を用いることにより、ポリカーボネート系樹脂組成物の発泡温度付近の溶融張力を十分に上昇させることができる。その結果、発泡時の気泡の破裂がなく、得られる発泡体は厚みがあり、外観良好で、発泡倍率が十分に高く、独立気泡率が高く、しかも、ポリカーボネート樹脂本来の特性、即ち、耐熱性、耐老化性、耐水性、耐衝撃性とを兼ね備えた押出発泡体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融張力の測定を説明する図である。

Claims (2)

  1. ポリカーボネート樹脂100重量部と粘度平均分子量が25万以上600万以下のポリエチレン樹脂0.1〜15重量部とからなる樹脂組成物を、発泡剤と共に溶融、混練し、次いで押出発泡することを特徴とするポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法。
  2. 前記樹脂組成物が、250℃における溶融張力の値が3.0g以上のものであり、かつ同温度におけるスウェル比が20%以上のものであることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法。
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