JP3453313B2 - ポリアミド系樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

ポリアミド系樹脂発泡体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ポリアミド系樹
脂の発泡体を作るに適したように改質された発泡用ポリ
アミド系樹脂、及びその改質された樹脂を発泡させて得
られたポリアミド系樹脂発泡体、並びにその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド系樹脂は、強靱で、耐摩耗
性、潤滑性、耐薬品性、耐油性にすぐれている。従っ
て、ポリアミド系樹脂を発泡体とすれば、得られた発泡
体はこれらの特性を持った発泡体が得られる筈である。
ところが、ポリアミド系樹脂は、結晶性の樹脂であるた
めに、結晶融点付近で急激に溶融粘度を減少させる性質
を持っている。このため、ポリアミド系樹脂は発泡に適
した粘度を発現させにくく、従って発泡させることが困
難である。そこで、ポリアミド系樹脂に色々な添加剤を
加えて発泡に適した粘度を持つように改質し、これを発
泡させようとする試みがなされた。ところが、これらの
試みは何れも難点があって、満足なポリアミド系樹脂発
泡体を与えることができなかった。
【0003】例えば、特開昭55−125127号公報
は、ポリアミド系樹脂に金属イオン架橋α−オレフィン
系ポリマーを加えて混合物とし、この混合物を溶融し、
これに発泡剤を圧入してポリアミド系樹脂発泡体を製造
する方法を記載している。ところが、この方法では、添
加剤として加える金属イオン架橋α−オレフィン系ポリ
マーが、ポリアミド系樹脂100重量部に対して、40
〜90重量部もの大量でなければならないので、得られ
た発泡体はポリアミド系樹脂本来の特性を失ったものと
なる。
【0004】また、特開昭61−195134号公報
は、ナイロン4、6という特殊なポリアミド系樹脂を使
用し、これを押し出し発泡させてポリアミド系樹脂発泡
体とする方法を記載している。ところが、この公報が記
載する方法は、ナイロン4、6樹脂の特殊性を利用した
もので、一般のポリアミド系樹脂に対して用いることが
できないし、また発泡体の形もロッド状のものに限ら
れ、その他の形状のものを作ることができない。従っ
て、この方法は、一般的なポリアミド系樹脂発泡体の製
造方法とはなり得ない。
【0005】また、特公平7−76285号公報は、ポ
リアミド系樹脂に架橋剤を加えて、得られた混合物を押
し出し発泡させて発泡体とする方法を記載している。こ
の場合、この公報は架橋剤として使用するものを酸二無
水物と多官能エポキシ化合物とに限っている。酸二無水
物とは、1分子中にカルボン酸無水物基を2個だけ含ん
でいる化合物である。
【0006】ところが、このような架橋剤を用いたので
は、発泡させるに足る高い溶融粘度をポリアミド系樹脂
に与えることができなかった。このため、上記公報が教
える方法に従って押し出し発泡を行ったのでは、押し出
された樹脂が気泡を含んでいても、その気泡が潰れやす
く、また押し出された樹脂を引っ張ると樹脂が千切れた
り裂けたりするので、思い通りの形状の発泡体を得るこ
とができなかった。従って、この公報が教える方法で
は、ロッド状の発泡体を作ることができるだけで、板又
はシート状の発泡体を作ることはできなかった。
【0007】他方、ポリアミド系樹脂にビスフェノール
Aから作られたポリカーボネート樹脂を混合し、この混
合物を加熱混練すると、ポリアミド系樹脂が架橋結合を
起こして、混合物の溶融粘度が上昇することが知られて
いる。それは1992年の雑誌、Journal of Polymer S
cience第46巻1887−1897頁に記載されてい
る。しかし、この雑誌は、樹脂を発泡させることについ
て全く言及していない。
【0008】また、特公平8−5986号公報は、押出
機にポリアミド系樹脂を入れて溶融し、これに発泡剤と
してジメチルエーテルを圧入して、押し出し発泡させる
ことを記載している。この方法によれば、均一な気泡を
持った発泡体が得られるが、気泡が大きく平均1mm以
上であるため、得られた発泡体は外観のよいものとはな
らない。この方法では、ロッド状発泡体のほかにシート
状発泡体が得られたと記載しているが、この方法では押
し出される発泡性組成物の粘度が低いために、引っ張る
と気泡が破れるので、得られたシート状発泡体は連続気
泡率の大きいものとなる。
【0009】このように、これまでのポリアミド系樹脂
発泡体の製造方法では、均一微細に発泡していて、連続
気泡率の小さいポリアミド系樹脂の発泡した板又はシー
トを得ることができなかった。連続気泡率の大きい発泡
体は、熱や音の遮断性に乏しく、また強度も弱いので発
泡体としては価値が低い。そのため、均一微細に発泡し
た板又はシートであって、しかも連続気泡率の小さい発
泡体の出現が要望された。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上述のよ
うな要望に応じて生まれたものである。すなわち、この
発明は、均一微細に発泡していて、しかも連続気泡率の
小さいポリアミド系樹脂製の発泡板又はシートを提供し
ようとするものであり、またそのような発泡板又は発泡
シートを製造するためのポリアミド系樹脂組成物、並び
にそれらの製造方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】これまでポリアミド系樹
脂を発泡させるために、これに架橋剤を加えて溶融粘度
を改良することが試みられて来たが、この発明者はこれ
までの試みが試行錯誤の繰り返しに過ぎず、科学的且つ
系統的でないことに気付いた。そこで、この発明者は、
ポリアミド系樹脂がどのような溶融粘度を持ったとき
に、これを発泡させることができるかを検討し、発泡さ
せるのに必要な溶融粘度の範囲を規定することから検討
を始めた。
【0012】さらに、この発明者は、ポリアミド系樹脂
を押し出し発泡させて、良好な発泡板又は発泡シートと
するためには、溶融粘度のほかに何が必要なのかを検討
した。その結果、この発明者は、押し出し発泡によって
ポリアミド系樹脂の良好な発泡板又はシートを得るに
は、ポリアミド系樹脂のダイスウェル比と、溶融張力と
が一定値以上であることが必要なことを見出した。
【0013】すなわち、この発明者は、ポリアミド系樹
脂を発泡させるには、ポリアミド系樹脂に改質剤を加え
て溶融混練することにより、ポリアミド系樹脂を改質す
ることを目指すが、その際、改質の目的としては、もと
のポリアミド系樹脂の融点より30℃だけ高い温度にお
いて、2,000〜20,000ポイズの溶融粘度を持
ち、また1.4以上のダイスウェル比と、2g以上の溶
融張力とを持つことを目指すべきであることを突き止め
た。しかも、これまでは、このような溶融粘度とダイス
ウェル比と溶融張力とを持ったポリアミド系樹脂が入手
できないために、良好な発泡板又は発泡シートが得られ
ないことを確認した。
【0014】また、この発明者は、上述のような溶融粘
度、ダイスウェル比及び溶融張力を持った発泡用ポリア
ミド系樹脂を得るためには、改質剤として、1分子中に
3個以上のカルボン酸無水物基を持った化合物、α、β
−不飽和カルボン酸無水物とスチレン及び/又はオレフ
ィンとの共重合体、又はポリカーボネート樹脂を用い、
この改質剤をポリアミド系樹脂と混合し、この混合物を
加熱溶融して作るのが適していることを見出した。この
発明はこのような知見に基づいて完成されたものであ
る。
【0015】この発明は、まずポリアミド系樹脂が格別
に改質されていて、これを溶融してこれに発泡剤を圧入
すれば、直ちに発泡体を作ることができる発泡用ポリア
ミド系樹脂を提供するものである。この発泡用樹脂は、
もとのポリアミド系樹脂の融点よりも30℃だけ高い温
度における溶融粘度が2,000〜20,000ポイズ
で、ダイスウェル比が1.4以上、溶融張力が2g以上
であることを特徴とするものである。
【0016】また、この発明は、上述の発泡用ポリアミ
ド系樹脂の製造方法をも提供するものである。その製造
方法は、1分子中に3個以上のカルボン酸無水物基を持
った化合物、α、β−不飽和カルボン酸無水物とスチレ
ン及び/又はオレフィンとの共重合体、又はポリカーボ
ネート樹脂を加え、得られた混合物を加熱下に混練する
ことを特徴とするものである。
【0017】また、この発明は上述の発泡用ポリアミド
系樹脂が発泡して得られた発泡体をも提供するものであ
る。この発泡体に関する発明は、ポリアミド系樹脂に改
質剤を加えて改質した樹脂よりなり、もとのポリアミド
系樹脂の融点よりも30℃だけ高い温度における溶融粘
度が2,000〜20,000ポイズであり、ダイスウ
ェル比が1.4以上、溶融張力が2g以上である改質樹
脂を、発泡剤により発泡させてなることを特徴とするも
のである。
【0018】さらに、この発明は、ポリアミド系樹脂発
泡体の製造方法を提供するものである。その製造方法
は、ポリアミド系樹脂に改質剤を加え、得られた混合物
を溶融混練して改質樹脂とし、改質樹脂に、もとのポリ
アミド系樹脂の融点よりも30℃だけ高い温度におい
て、2,000〜20,000ポイズの溶融粘度と、
1.4以上のダイスウェル比と、2g以上の溶融張力を
持たせ、これが押出機内で溶融状態にある間にこれに発
泡剤を含ませ、得られた発泡性樹脂を低圧領域へ押し出
して発泡させることを特徴とするものである。
【0019】上記の製造方法において、改質剤として
は、1分子中に3個以上のカルボン酸無水物基を持った
化合物、α、β−不飽和カルボン酸無水物とスチレン及
び/又はオレフィンとの共重合体、又はポリカーボネー
ト樹脂を用いるのが適している。
【0020】
【発明の実施の形態】この発明では、樹脂としてポリア
ミド系樹脂を用いる。ポリアミド系樹脂とは、酸アミド
結合−CONH−を繰り返し単位に持った高分子物であ
って、一般にナイロンと呼ばれているものである。この
樹脂は、ラクタムの開環重合、アミノカルボン酸の重縮
合、及びジアミンとジカルボン酸との重縮合によって製
造される。
【0021】ポリアミド系樹脂は、その製造の際のラク
タムの炭素数、アミノカルボン酸の炭素数、ジアミン及
びジカルボン酸の炭素数によって、ナイロン6、ナイロ
ン6、6などと呼ばれる。例えば、ナイロン6はε−カ
プロラクタムの開環重合によって得られたポリアミド樹
脂であり、ナイロン6、6はヘキサメチレンジアミンと
アジピン酸との重縮合によって得られたポリアミド樹脂
である。
【0022】この発明で用いることのできるポリアミド
系樹脂は、ナイロン6、ナイロン6、6、ナイロン1
0、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、12、
ナイロン12、12、ナイロン4、6等である。これら
のポリアミド系樹脂は、単独でも用いることができる
が、また2種以上のものを混合して用いることもでき
る。
【0023】また、この発明では、ポリアミド系樹脂に
その特性を損なわない範囲内で、他の樹脂を混合して用
いることもできる。他の樹脂としては、ポリスチレン、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート等である。他の樹脂は、ポリアミド系樹脂の
50重量%以下とする。
【0024】ポリアミド系樹脂は、前述のように、発泡
に適した粘度を維持させにくいために、これを発泡させ
ることが困難である。この点を詳述すると次のとおりで
ある。一般に、ポリアミド系樹脂を押出機内で溶融し、
これに発泡剤を圧入して発泡性樹脂とし、この発泡性樹
脂を押出機の先端に取り付けた金型から押し出すと、押
し出された樹脂は一旦気泡を生成するが、樹脂の粘度が
低いためにその気泡はすぐに潰れてしまう。また、押し
出された樹脂中に気泡が残留していても、樹脂の粘度が
低いために、樹脂に僅かな力が加えられると、気泡が破
れて樹脂が千切れたり裂けたりする。このために、押し
出された樹脂を引っ張る必要がないロッド状の成形体
は、発泡体として作ることができるが、板又はシート状
の成形体は、押し出された樹脂を引き取る必要があるた
めに、これを作ることができない。
【0025】とくに、押し出された樹脂を板状又はシー
ト状にするためには、金型から出た樹脂をマンドレルに
沿って進行させるか、又はロールの間に導いて、板状又
はシート状に形を維持したり補正したりして、形を整え
つつ発泡させ、その後に冷却しなければならない。ポリ
アミド系樹脂は粘度が低いために、金型からマンドレル
又はロールに至るまでの間に、自重により垂れ下がろう
とする。この垂れ下がりを防止するために無理に支える
と、このためにまた気泡が潰れることになる。
【0026】押し出された樹脂をシートとしてマンドレ
ルに沿って進行させるためには、板又はシートがマンド
レルとの間で生じる摩擦抵抗に勝る大きな力でシートを
引っ張る必要がある。このため、溶融粘度の小さい樹脂
は、その引張力によって引き延ばされたり千切れたりす
る。また、押し出された樹脂をロールの間に通す場合に
は、押し出された樹脂を狭いロールの間隙内へ通さなけ
ればならないので、溶融粘度の小さい樹脂は、ロールの
間で圧力を受けて気泡が潰されることになる。このよう
な理由により、溶融粘度の小さいポリアミド系樹脂で
は、発泡した板又はシートを製造することができなかっ
たのである。
【0027】架橋剤として1分子中に2個のカルボン酸
無水物基を持った化合物又は多官能エポキシ化合物を用
い、これをポリアミド系樹脂に加えて溶融するという従
来の方法は、ポリアミド系樹脂の溶融粘度を多少上昇さ
せるだけで、発泡板又は発泡シートが得られる程度にま
で溶融粘度を大きくすることができなかった。その溶融
粘度は、もとのポリアミド系樹脂の融点よりも30℃だ
け高い温度においてたかだか1,000ポイズに過ぎな
かった。
【0028】この発明は、改質剤として1分子中に3個
以上のカルボン酸無水物基を持った化合物、α、β−不
飽和カルボン酸無水物とスチレン及び/又はオレフィン
との共重合体、又はポリカーボネート樹脂を加えて加熱
し混練することにより、ポリアミド系樹脂を改質し、も
とのポリアミド系樹脂の融点より30℃だけ高い温度に
おいて2,000〜20,000ポイズの溶融粘度を持
った改質樹脂を得て、これによりポリアミド系樹脂の発
泡板又はシートが得られることとしたのである。このこ
とは、これまで知られていなかった。
【0029】この発明において、改質剤として用いるこ
とのできる化合物の1つは、上述のように、1分子中に
3個以上のカルボン酸無水物基を持った化合物である。
この化合物は、例えばグリセロール(アンヒドロトリメ
リテート)である。このような3個以上のカルボン酸無
水物基を持った化合物は、2個のカルボン酸無水物基を
持った化合物に比べると、ポリアミド系樹脂の改質能力
が格別に異なっている。なぜならば、ポリアミド系樹脂
の架橋剤による架橋又は改質剤による改質は、ポリアミ
ド系樹脂分子の端に架橋剤又は改質剤が結合することに
より行われると考えられるところ、2個のカルボン酸無
水物基を持った架橋剤では三次元的に結合が起こる可能
性がないが、3個のカルボン酸無水物基を持った改質剤
によると、ポリアミド系樹脂の分子が三次元的に結合し
て、分子が巨大化することとなるからである。
【0030】この発明において、改質剤として用いるこ
とのできる他の化合物は、α、β−不飽和カルボン酸無
水物とスチレン及び/又はオレフィンとの共重合体であ
る。α、β−不飽和カルボン酸無水物としては、無水マ
レイン酸、メチル無水マレイン酸、クロロ無水マレイン
酸等が使用でき、スチレン及び/又はオレフィンとして
はスチレン、エチレン、プロピレン等を使用することが
できる。この共重合体の代表的なものは、無水マレイン
酸とスチレン又はエチレンとの共重合体である。このよ
うな共重合体は市販されている。例えばエルフアトケム
社から販売されているSMA樹脂や、アーコケミカル社
から販売されているダイラーク樹脂などである。共重合
体としては、平均して1分子中に3〜80重量%のカル
ボン酸無水物基を含んでいるものが好ましい。
【0031】この発明において用いることのできるさら
に別の化合物は、ポリカーボネート樹脂である。一般的
に云えばポリカーボネート樹脂とは、主鎖中に炭酸エス
テル結合−O−R−O−CO−を持った線状高分子物で
あるが、普通は上記RがビスフェノールAの核であるも
のを指している。ポリカーボネート樹脂はポリアミド系
樹脂と混合することが困難だとされている。また、ポリ
アミド系樹脂にポリカーボネート樹脂を加えて行くと、
その添加割合の変化によって、混合樹脂のメルトフロー
レートが減少したり増加したりすることが知られてい
る。しかし、ポリカーボネート樹脂の添加によりポリア
ミド系樹脂の発泡を容易にすることは、この発明をもっ
て嚆矢とする。
【0032】これらの改質剤は、単独で又は2種以上の
ものを混合して用いることができる。単独で混合する場
合には、これら改質剤のポリアミド系樹脂に対する添加
量は、次のようにする。すなわち、ポリアミド系樹脂1
00重量部に対し、1分子中に3個以上のカルボン酸無
水物基を持った化合物は、0.1〜20重量部、そのう
ちでは0.5〜15重量部とするのが好ましく、α、β
−不飽和カルボン酸無水物とスチレン及び/又はオレフ
ィンとの共重合体では、0.1〜20重量部、そのうち
では0.5〜15重量部とすることが好ましく、ポリカ
ーボネート樹脂は0.1〜10重量部、そのうちでは
0.5〜5重量部とすることが好ましい。
【0033】改質剤とポリアミド系樹脂との混合物は、
一旦これをヘンシェルミキサー、カレンダーロール又は
押出機等で混練して、ペレット状にすることもできる。
こうしてペレット状にしたものは、次いでこれを押出機
に入れて押し出し発泡させて発泡体にすることができ
る。このようにペレットにしないで、上記の混合物を直
ちに押出機に入れて、押し出し発泡させることもでき
る。
【0034】上述のペレットは、改質剤の量を適当にす
るだけで、もとのポリアミド系樹脂の融点よりも30℃
だけ高い温度において、溶融粘度を2,000〜20,
000ポイズ、ダイスウェル比を1.4以上、溶融張力
を2g以上のものとすることができる。こうして得られ
たペレットは、これを溶融しこれに発泡剤を含ませて適
度の温度で押し出すと、押し出された樹脂は発泡するに
適した粘度を持ったものとなる。このため、生成した気
泡を潰すことなく気泡を樹脂内に残したまま、押し出さ
れた樹脂を引っ張ることができる。また、押し出された
樹脂を引っ張っても千切れない。そこで、この樹脂をマ
ンドレルに沿い又はロール間に挟んで形を整えつつ、所
望の形に成形し、冷却して任意の発泡成形体とすること
ができる。
【0035】ここで溶融粘度の測定は、次のようにして
行う。上述のペレットについて溶融粘度を測定するに
は、ペレットを細かく粉砕し、110℃で3時間真空乾
燥したのち、この粉砕物をもとのポリアミド系樹脂の融
点より30℃だけ高い温度に加熱して、得られた溶融物
の粘度を(株)東洋精機製作所製のキャピログラフを使
用し、JIS K 7199に規定される方法に準じて
測定する。この場合、キャピラリーは直径が1.0m
m、長さが10mm、流入角度が90度のものを使用
し、剪断速度が608秒-1のときの見掛けの溶融粘度を
もって溶融粘度とする。
【0036】溶融粘度を測定する試料が、既に発泡した
発泡体であるときは、まず窒素雰囲気中で、もとのポリ
アミド系樹脂の融点よりも30℃だけ高い温度に保たれ
た熱板で3分間加圧し、気泡を除去して、非発泡の状態
にする。そののち、上述のペレットについてと全く同じ
ように溶融粘度を測定する。なお、ここでポリアミド系
樹脂の融点より30℃だけ高い温度とは、ポリアミド系
樹脂がナイロン6である場合には250℃であり、ポリ
アミド系樹脂がナイロン66である場合には290℃で
ある。
【0037】ダイスウェル比の測定は、上述の溶融粘度
の測定と同様に、(株)東洋精機製作所製のキャピログ
ラフを使用し、JIS K 7199に準じて測定す
る。用いるキャピラリーは、溶融粘度の測定のときと同
様に直径が1.0mm、長さが10mm、流入角度が9
0度のものとし、キャピラリー出口より15mm離れた
位置での吐出された樹脂の直径を測定し、その数値をキ
ャピラリーの直径で割った比をダイスウェル比とする。
【0038】溶融張力の測定も、(株)東洋精機製作所
製のキャピログラフを使用する。但し、ここで使用する
キャピラリーは、直径が2.095mm、長さが8m
m、流入角度が90度のものである。所定の温度に加熱
された樹脂をピストン速度10mm/分の一定の速度で
紐状に押し出し、押出物を張力検出プーリーに通し、巻
き取り速度10m/分の送りロールに導いて巻き取り、
その時の張力を読み取って、これを溶融張力(g)とす
る。但し、巻き取り速度が10m/分で紐状物が切断し
てしまい、このため測定が不可能となった場合には、切
断しない引き取り速度での張力値を読み取り、これを溶
融張力とする。
【0039】溶融粘度を2,000〜20,000ポイ
ズに限定した理由は、溶融粘度が2,000ポイズ未満
では、押出発泡に適した押出圧力を維持することが困難
となるだけでなく、圧力不足によって内部発泡を引き起
こすからであり、逆に20,000ポイズを超えると、
モーター負荷が高過ぎて押し出しが困難となり、発泡を
円滑に行うことができなくなるからである。
【0040】また、ダイスウェル比を1.4以上に限定
した理由は、ダイスウェル比が1.4未満では、押出発
泡時に樹脂が気泡破壊を制御するに充分な弾性を示さ
ず、従って発泡させることが困難となるからである。ま
た、ダイスウェル比が1.4未満では、押し出し発泡に
よって得られた発泡体を再び加熱して2次成形する場合
に、発泡体を2次成形することが困難となるからであ
る。ダイスウェル比は、厚みの大きい発泡体を得ようと
する場合には、さらに大きいことが好ましく、例えば
1.45以上、好ましくは1.5以上、またさらに高い
発泡倍率のものを得ようとする場合には、1.6以上と
することが好ましい。但し、3.0以下であることが好
ましい。
【0041】また、溶融張力を2g以上に限定した理由
は、溶融張力が2g未満では、押し出された樹脂が気泡
破棄を抑止するだけの張力を持たないために、気泡が潰
れてしまうだけでなく、押し出された樹脂が自重で垂れ
下がり切れてしまうからである。溶融張力は好ましくは
4g以上、さらに好ましくは6g以上である。また高い
発泡倍率のものを得ようとする場合には、10g以上と
することが好ましい。但し、100g以下とすることが
好ましい。
【0042】この発明では、上述の改質樹脂を押出機に
入れ、これを溶融してこれに発泡剤を含ませ、従来行っ
て来たように押し出し発泡を行う。この場合に用いるこ
とのできる発泡剤は、これまでスチレン系樹脂、オレフ
ィン系樹脂を発泡させるのに通常用いられて来たものと
同じものである。大別すれば、不活性ガス、ポリアミド
系樹脂の軟化点より低い沸点を持った炭化水素、ハロゲ
ン化炭化水素、ケトン類、エーテル類等を用いることが
できる。
【0043】この発明で発泡剤として用いることのでき
る不活性ガスは、炭酸ガス、窒素、空気等である。ま
た、ポリアミド系樹脂の軟化点より低い沸点を持った炭
化水素は、飽和脂肪族炭化水素と飽和脂環族炭化水素と
に分けられるが、前者に属するものの例は、メタン、エ
タン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等であ
り、後者に属するものの例は、メチルシクロプロパン、
シクロペンタン、シクロヘキサン等である。ポリアミド
系樹脂の軟化点より低い沸点を持ったハロゲン化炭化水
素は、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロフルオ
ロメタン、モノクロロジフルオロメタン、トリクロロト
リフルオロエタン等である。ポリアミド系樹脂の軟化点
より低い沸点を持ったケトン類は、アセトン、メチルエ
チルケトン、アセチルアセトンであり、エーテル類はジ
メチルエーテル、ジエチルエーテルである。
【0044】ポリアミド系樹脂は吸水性のものであるか
ら、使用前にまず乾燥して水分を除いておくことが好ま
しい。それには、普通の除湿乾燥機を用い、例えば10
0℃の空気を4時間程度循環させるようにして水分を除
くようにする。こうして乾燥した樹脂を上述の改質剤と
混合する。この場合は、前述のように押出機を用いてペ
レットにしてもよいが、また加熱ロールその他の混合機
によりペレットにしてもよく、さらにペレットとして取
り出すことなく、引き続きこれに発泡剤を含ませて、押
し出し発泡させてもよい。
【0045】押出機としては、単一スクリュを持った単
軸押出機でも、2個のスクリュを持った二軸押出機の何
れをも用いることができる。二軸押出機は、2個のスク
リュが互いに咬み合いながら同一方向に回転するもので
も、内向きの異方向に回転するものでも、何れをも用い
ることができる。押し出し発泡させるときの押出機に
は、出口に近いバレルの一部に圧入口を設けて、ここか
ら発泡剤を圧入するのが好ましい。
【0046】押出機の出口には金型を設ける。発泡体の
形状として板又はシートを得ようとするときは、金型に
板又はシートの断面に相当する開口を設ける。シートの
場合には、円環状の開口を設けて、樹脂を円筒として押
し出し、あとで円筒を切り開いてシートにすることがで
きる。
【0047】金型の先方には、押出物の形を所望の形に
整えるための成形具を付設する。成形具は、円環状の開
口を設けた金型の場合には、円筒状のマンドレルとす
る。また、成形具は、1組又は複数組のロールが平行に
配置されたものであってもよい。成形具は、初め円筒形
であったものが次第に平面に移行するような、なだらか
な曲面形状のものであってもよい。
【0048】この発明の好ましい実施態様は、ポリアミ
ド系樹脂を乾燥したのち、これに上述の改質剤を加えて
得られた混合物を押出機に入れ、押出機内で混合物を加
熱して溶融するとともに混練し、押出機のバレルに設け
た圧入口から発泡剤を圧入して発泡性組成物とし、この
発泡性組成物を押出機の出口に設けた金型の開口から、
低圧領域例えば大気中に押し出すことが好ましい。する
と、ポリアミド系樹脂は改質されて上述のような溶融粘
度、ダイスウェル比及び溶融張力を持ったものとなり、
金型の開口から押し出された樹脂は自重によって垂れ下
がって切れたりすることもなく、発泡ししかも生じた気
泡を潰すことなくそのまま保持し、押し出された樹脂は
進行に必要な程度の力を加えられただけでは、大きく変
形することもなく進行し、所望の発泡体となる。
【0049】この発明においては、ポリアミド系樹脂を
円滑に発泡させるために、上述の改質剤と発泡剤のほか
に、種々の添加剤を用いることができる。用いることの
できる添加剤は、従来から熱可塑性樹脂の加工に用いら
れて来たものである。例えば、気泡核調整剤、難燃剤、
酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、耐候性向上剤、着色
剤、結晶核剤、増粘剤などを用いることができる。
【0050】そのうちの気泡核調整剤について説明を補
足すると、次のとおりである。この発明では、気泡核調
整剤として無機化合物や樹脂の微粉末を用いることがで
きる。無機化合物としては、タルク、シリカ、マイカ、
雲母などを使用することができ、樹脂としてはポリエト
ラフルオロエチレンなどの弗素樹脂を使用することがで
きる。気泡核調整剤の添加量は、ポリアミド系樹脂10
0重量部に対し、0.01〜5重量部の範囲内とするこ
とが好ましい。この気泡核調整剤を添加することによ
り、ポリアミド系樹脂内に一様な直径を持った気泡を生
成させ易くすることができる。
【0051】
【発明の効果】この発明によって得られた発泡体は、ポ
リアミド系樹脂の特性を持ち、所望の形にすることがで
きるものであり、しかも均一微細に発泡し、高倍率に発
泡したものとすることができる。詳述すれば、この発泡
体はポリアミド系樹脂の特性を持つために、強靱で、潤
滑性、耐摩耗性、耐薬品性、耐油性にすぐれている。ま
た、この発泡体は所望の形にすることができるために、
厚みが0.1〜3.0mmの範囲内で、幅が500mm
以上のシートや、厚みが3.0〜20mmの範囲内で幅
が100mm以上の板の形にすることができる。また、
この発泡体は平均気泡径を0.1〜0.8mmの範囲内
の微細なものとすることができ、且つ気泡を均一に分散
したものとすることができ、とくに気泡径を0.15〜
0.4mmの範囲内に揃えて一様に分散させることがで
きる。また、この発泡体は密度を0.03〜0.7g/
cm3 の範囲内にすることができ、とくに0.05〜
0.6g/cm3 、さらに好ましくは0.1〜0.5g
/cm3 の範囲内にすることができる。
【0052】ここで云う平均気泡径はASTM D 2
842−69の方法に準拠して測定したものである。詳
述すれば、発泡体の押出方向(MD方向)及びそれと直
交する方向(TD方向)、ならびにMD及びTD方向と
直交する方向(VD方向)の断面の顕微鏡写真を撮影
し、その写真において一直線上(直線長さL)にかかる
気泡数Nから平均弦長Tを次式 T=L/N (式1) によって算出する。次いでこのTの値を用いて、平均気
泡径Dは次式 D=T/0.616 (式2) により算出した値である。
【0053】さらに、こうして得られた発泡体は、連続
気泡率が小さいという特色を持っている。すなわち、こ
の発泡体は連続気泡率が50%以下の小さな値を持つと
いう点で、これまで得られなかった特色のあるものとな
っている。このため、この発泡体を再加熱すると、発泡
体が再発泡して発泡倍率を増す。だから、この発泡体を
加熱し2次成形して、発泡体のまま例えばコップに成形
することができる。また断熱性、遮音性にもすぐれてい
る。従って、この発泡体は容器、建築用資材、構造材、
断熱材、防音材などとして使用することができる。
【0054】ここで連続気泡率は、次のようにして測定
する。縦25×横25mmの発泡体を積み重ね、厚みを
約30mmとした測定サンプルを使用して、測定機器と
して東京サイエンス(株)製のエヤ、コンパリスン、ピ
クノメーター、モデル1000を用い、ASTM D2
856のエヤピクノメーター法により真の容積Vxを測
定し、次式に従って連続気泡率を算出する。 連続気泡率(%)=(Va−Vx)/Va×100 但し、Vaは測定サンプルの外寸から求めた見かけ容積
(cm3 )である。
【0055】次に実施例と比較例とを挙げて、この発明
のすぐれている所以を具体的に明らかにする。以下で単
に部というのは重量部である。
【0056】
【実施例1】ポリアミド系樹脂としてはナイロン6(ユ
ニチカ社製、A1025、融点220℃)(以下、これ
をナイロン6(1)という)を用い、予め110℃で4
時間除湿乾燥機で乾燥したのち、この樹脂100部に、
気泡核調整剤としてタルクの微粉末1.0部と、改質剤
としてスチレン・無水マレイン酸共重合体(アーコケミ
カル社製、ダイラーク232)(以下、これをスチレン
−無水マレイン酸共重合体(1)という)を5部加え、
これをタンブラーで混合した。
【0057】この混合物を単軸押出機(口径65mm、
L/D30)のホッパーに供給して押出機内で溶融混練
し、この混練物に押出機バレルの途中から発泡剤として
ブタンを圧入した。押出機の先端にはサーキュラー金型
を取り付け、金型には直径80mmの円環状スリットを
設け、スリット幅を0.4mmとした。
【0058】押出時の樹脂温度を265℃として、金型
からポリアミド系樹脂を円筒状にして大気中に押し出
し、次いで円筒状マンドレル(口径205mm、長さ4
00mm)に沿って進行させ、その先で円筒状発泡体を
軸方向に沿って切断し開いてシートにして巻き取った。
その際、マンドレルには冷却水を循環させた。
【0059】得られた発泡体の密度は0.38g/cm
3 、厚みが1mm、連続気泡率は23%であって、良好
な発泡シートであることを認めた。
【0060】こうして得られた発泡シートの溶融特性
は、次のようにして測定した。まず発泡シートをナイロ
ン6の融点(220℃)より30℃だけ高い250℃に
加熱された熱板の間に挟み、雰囲気中で3分間加熱加圧
し、発泡シートに含まれている発泡剤と空気を除去し
た。こうして非発泡のシートを得て、これを冷却固化さ
せたのち、これを細かく粉砕し、110℃で3時間真空
乾燥した。こうして得られた試料について、さきに記載
した方法に従って改質された樹脂の溶融粘度、ダイスウ
ェル比、溶融張力を測定した。
【0061】もとのナイロン6の融点220℃より30
℃だけ高い温度における改質樹脂の溶融粘度は2265
ポイズであり、ダイスウェル比は1.84であり、溶融
張力は6.9gであった。
【0062】また、押出時の発泡シートの成形性は以下
のような基準に従って評価した。 発泡シート成形性 ○ 安定してシート化が可能である。また発泡体の厚みや坪
量の調整が容易にできる。 発泡シート成形性 △ 自重によりシートがやや垂れ下がったり、バルーンが不
安定である。 発泡シート成形性 × マンドレルに掛かるまでにシートが破れたり、裂けたり
して、シート状に展開することができない。もしくは、
張力が小さいために、自重により垂れ下がりシート状に
展開できない。
【0063】また、得られた発泡シートを再加熱して2
次加工をする際の成形性を、以下のような基準に従って
評価した。 シート2次加熱成形性 ○ 成形条件の幅が広く、ドローダウンも少ない。また、深
絞り性にも優れる。 シート2次加熱成形性 △ ドローダウンややあり、成形条件の幅がやや狭い。 シート2次加熱成形性 × ドローダウンが大きく、成形条件の幅が狭い。また、成
形伸びが悪く、深絞り部分が破れる。
【0064】実施例1で得られた発泡シートのシート成
形性は○であり、シート2次加熱成形性も○であった。
実施例1における諸条件及び得られた結果をまとめると
表1に示したとおりとなる。
【0065】
【実施例2〜17】この実施例では、ポリアミド系樹脂
として実施例1で用いたのと同じものを用いたり、又は
別のナイロン6(ユニチカ社製、A1030BRT)
(以下、これをナイロン6(2)という)を用いたり、
又はさらに別のナイロン6(ユニチカ社製、M104
0)(以下、これをナイロン6(3)という)を用いた
り、さらに他のナイロン66(ユニチカ社製、A14
2)(以下、これをナイロン66という)を用いたり
し、また改質剤としても、実施例1で用いたのと同じも
のを用いたり、又は別のスチレン−無水マレイン酸共重
合体(2)(エルフアトケム社製、SMA1000P)
を用いたり、別のポリカーボネート樹脂(出光石油化学
社製、タフロンA2500)を用いたりした。
【0066】それ以外は、実施例1と全く同様にして発
泡シートを得て、その発泡シートの溶融特性を測定し
た。その際の配合と溶融特性等を表1〜表3に示す。
【0067】
【比較例1〜9】この比較例は、実施例1〜17と同様
に実施したが、ただ改質剤を用いなかったり、その使用
量を格別に減らしたりした。
【0068】その際の配合と、溶融特性等を表1ないし
表3に併せて記載した。
【0069】
【実施例18〜26、比較例10〜18】表4〜5に示
すナイロン樹脂及び改質剤の種類・配合比率で、タンブ
ラーにて混合し、この混合物を単軸押出機(口径40m
m、L/D32)のホッパーに供給して溶融混合し、φ
5mmのペレット作成用ノズル金型より溶融物を紐状に
押し出し、水槽中を通し冷却し、押出物をペレタイザー
にて切断しペレットを得た。得られたペレットは、11
0℃、4時間真空乾燥した後、溶融特性測定に供せられ
た。溶融特性測定結果を表4〜5に示した。
【0070】次に、得られたペレットを除湿乾燥した
後、タルク1.0部とともにタンブラーにて混合し、こ
の混合物を単軸押出機(口径65mm、L/D30)の
ホッパーに供給して溶融混合し、この溶融混合物に押出
機の途中からブタン(発泡剤)を圧入した。金型は直径
80mm、環状出口間隙0.40mmのサーキュラー金
型を用いた。そして金型出口より筒状体を大気中に押し
出し、溶融混合物を発泡させつつ引き取り円筒状マンド
レル(口径205mm、長さ400mm)にて円筒状に
成形し、その円筒状発泡体の一部を切開しシート状とし
て巻き取った。その際、円筒形マンドレルには冷却水を
循環させた。
【0071】得られた発泡体の密度、厚み、連続気泡率
を表4〜5に示した。
【0072】
【実施例27〜30、比較例19〜20】表6に示すナ
イロン樹脂及び改質剤の種類・配合比率で、また気泡核
調整剤としてタルク1.0部をタンブラーにて混合し、
この混合物を単軸押出機(口径65mm、L/D30)
のホッパーに供給して溶融混合し、この溶融混合物に押
出機の途中からブタン(発泡剤)を圧入した。金型は幅
600mm、出口間隙0.8mmのTダイスを用いた。
そして、金型より板状体を大気中に押し出し、溶融樹脂
を発泡させつつ、Tダイスに近接した(約5mm)上下
一対のφ50mmの駆動冷却ロールの間隙を通過させ、
板状に成形した。その際冷却ロールには冷却水を循環さ
せた。また、冷却ロールの間隙は15mmとした。
【0073】得られた板状発泡体の密度、厚み、連続気
泡率を表6に示した。
【0074】なお、板状発泡体の成形性については、以
下の基準で評価した。 板状発泡体の成形性 ○ 外観が良好で、表面平滑性に優れる板状発泡体の成形が
可能である。 板状発泡体の成形性 △ 成形可能ではあるが、やや不安定である。 板状発泡体の成形性 × 成形不能もしくは波状のコルゲート消せず。また、発泡
体の高倍化が困難であり、発泡体内部に大きな空洞がで
きる。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/04 - 9/14 C08L 77/00 - 77/12

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド系樹脂に改質剤を加えて改質
    した樹脂であって、もとのポリアミド系樹脂の融点より
    も30℃だけ高い温度における溶融粘度が2,000〜
    20,000ポイズ、ダイスウェル比が1.4以上、溶
    融張力が2g以上であることを特徴とする、発泡用ポリ
    アミド系樹脂。
  2. 【請求項2】 ポリアミド系樹脂に改質剤を加え、得ら
    れた混合物を溶融混練して改質樹脂とし、改質樹脂に、
    もとのポリアミド系樹脂の融点よりも30℃だけ高い温
    度において、2,000〜20,000ポイズの溶融粘
    度と、1.4以上のダイスウェル比と、2g以上の溶融
    張力を持たせることを特徴とする、発泡用ポリアミド系
    樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリアミド系樹脂を改質剤により改質し
    た樹脂よりなり、もとのポリアミド系樹脂の融点よりも
    30℃だけ高い温度における溶融粘度が2,000〜2
    0,000ポイズであって、ダイスウェル比が1.4以
    上、溶融張力が2g以上である改質樹脂を、発泡剤によ
    り発泡させてなるポリアミド系樹脂発泡体。
  4. 【請求項4】 ポリアミド系樹脂に改質剤を加え、得ら
    れた混合物を溶融混練して改質樹脂とし、改質樹脂に、
    もとのポリアミド系樹脂の融点よりも30℃だけ高い温
    度において、2,000〜20,000ポイズの溶融粘
    度と、1.4以上のダイスウェル比と、2g以上の溶融
    張力を持たせ、これが押出機内で溶融状態にある間にこ
    れに発泡剤を含ませ、得られた発泡性樹脂を低圧領域へ
    押し出して発泡させることを特徴とする、ポリアミド系
    樹脂発泡体の製造方法。
  5. 【請求項5】 改質剤が、1分子中に3個以上のカルボ
    ン酸無水物基を持った化合物、α、β−不飽和カルボン
    酸無水物とスチレン及び/又はオレフィンとの共重合
    体、又はポリカーボネート樹脂であることを特徴とす
    る、請求項1に記載の発泡用ポリアミド系樹脂。
  6. 【請求項6】 改質剤が、1分子中に3個以上のカルボ
    ン酸無水物基を持った化合物、α、β−不飽和カルボン
    酸無水物とスチレン及び/又はオレフィンとの共重合
    体、又はポリカーボネート樹脂であることを特徴とす
    る、請求項3に記載のポリアミド系樹脂発泡体。
  7. 【請求項7】 改質剤が、1分子中に3個以上のカルボ
    ン酸無水物基を持った化合物、α、β−不飽和カルボン
    酸無水物とスチレン及び/又はオレフィンとの共重合
    体、又はポリカーボネート樹脂であることを特徴とす
    る、請求項2又は4に記載の製造方法。
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