JP2000017079A - 無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子及びその成型体 - Google Patents
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子及びその成型体Info
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Abstract
率の無架橋ポリエチレン系発泡粒子、及び、該発泡粒子
を用いた表面平滑性に優れた高発泡倍率の成型体を提供
する。 【解決手段】 密度0.920g/cm3 以上のポリエ
チレン系樹脂粒子を発泡させて得られた、真の密度が
0.024〜0.042g/cm3 の発泡粒子におい
て、該発泡粒子の190℃、2.16kgfで測定した
メルトフローインデックスが0.1〜10g/10mi
n、190℃で測定したメルトテンションの値が2.5
g以下であり、且つ該発泡粒子を構成する気泡の平均径
が250μm以上であることを特徴とする無架橋ポリエ
チレン系樹脂発泡粒子を製造し、該発泡粒子を用いて成
型を行う。
Description
系樹脂発泡粒子及びその成型体に関する。
低密度ポリエチレン系樹脂発泡粒子、及び該発泡粒子を
用いて成型体を得る方法として、特開平6−27170
1に開示された方法が知られている。即ち、この方法は
示差走査熱量計を使用して所定の方法で測定したDSC
曲線における50℃〜〔融点−10℃〕における吸熱量
が50℃〜融解終了温度までの全吸熱量の50%以上で
あって、且つ高温側のピーク高さの1/2における温度
幅が5℃以上である無架橋低密度ポリエチレン系樹脂粒
子を用いて成型体を製造する方法である。この方法によ
れば、無架橋低密度ポリエチレン系樹脂粒子を密閉容器
内で分散媒に分散させ、発泡剤として無機ガスを含有せ
しめ、所定の温度・圧力下に保持した後、発泡剤を含有
した樹脂粒子を該容器内よりも低圧雰囲気下に放出させ
て発泡させる発泡方法において、良好に発泡させること
ができる温度範囲が広く、低密度ポリエチレン系樹脂発
泡粒子を安定して得ることができる。しかし、この方法
にて得られた発泡粒子は気泡が微細化し易いという問題
があった。該気泡が微細化した発泡粒子を用いて金型内
に充填し加熱成型すると、得られた成型体は成型後に収
縮し、更に収縮した状態からの回復が悪く、目的とする
寸法精度を有する成型体を得ることが難しかった。更
に、これらの問題は発泡剤として無機ガスを使用すると
特に顕著に現れた。
を解決する方法として、特開平8−113667におい
ては、低密度ポリエチレン系樹脂の発泡粒子中に、炭素
数15〜23の高級脂肪酸と、3〜7個の水酸基を有す
る多価アルコールとのエステルを0.2〜5.0重量%
含有させることが提案されている。上記方法によれば、
無機ガス発泡剤と揮発性発泡剤の混合物を発泡剤として
用いると、気泡の微細化を防いで成型が容易な高発泡倍
率の発泡粒子を安定して得ることはできる。しかし、こ
の方法は無機ガス発泡剤のみを発泡剤として用いると、
発泡粒子の気泡が細かくなる傾向にあり、気泡の微細化
を完全に防止するための更なる改良が求められる方法で
あった。
と、該発泡粒子を金型内に充填し蒸気等で加熱して成型
する際の成型可能な温度範囲が狭い上に、表面平滑性が
悪い成型体しか得ることができなかった。
究した結果、ポリエチレン系樹脂発泡粒子(以下、「発
泡粒子」と略称する。)の製造に使用する樹脂粒子を得
ることを目的としてポリエチレン系樹脂原料をペレタイ
ズする際に、該原料がペレタイズの温度条件により僅か
に架橋することにより(過酸化物、放射線等により積極
的に架橋構造を導入したものとは架橋の程度が異なり、
得られた発泡用樹脂粒子はあくまでも無架橋の範疇のも
のである。)その物性が変化し、この原料物性の変化が
気泡の微細化に繋がっていることを見出し本発明の完成
に至った。即ち、本発明者は、該原料をペレタイズする
際に、該原料のメルトインデックス(以下、「MI」と
略称する。)及びメルトテンション(以下、「MT」と
略称する。)が変化していることを見出し、樹脂粒子の
MT、MIを調整しながら原料をペレタイズすることが
気泡の微細化を防ぎ、該発泡粒子の真の密度が0.02
4〜0.042g/cm3 、気泡径が250μm以上の
成型可能な温度範囲が広い発泡粒子を得ることに繋がる
ことを見出し、本発明の完成に至った。
920g/cm3 以上のポリエチレン系樹脂粒子を発泡
させて得られた、真の密度が0.024〜0.042g
/cm3 の発泡粒子において、該発泡粒子の190℃、
2.16kgfで測定したメルトフローインデックスが
0.1〜10g/10min、190℃で測定したメル
トテンションの値が2.5g以下であり、且つ該発泡粒
子を構成する気泡の平均径が250μm以上であること
を特徴とする無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を要旨
とするものである。
発泡粒子は、ポリエチレン系樹脂粒子を無機ガス発泡剤
を使用して発泡させて得られたものであることが好まし
く、大気圧よりも高い内部圧力を有する発泡粒子を加熱
媒体により加熱して発泡させて得られたものであること
が好ましい。
発泡粒子は、基材樹脂100重量部当たり、炭素数15
〜23の高級脂肪酸と3〜7個の水酸基を有する多価ア
ルコールのエステルを0.05〜5重量部含有すること
が好ましい。
発泡成型体は、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を、
型内に充填して加熱し、粒子相互を融着せしめて得られ
た密度が0.017〜0.031g/cm3 の成型体で
あることが好ましい。
チレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体
(以下、「LLDPE」と略称する。)を主成分とする
ものを使用することが好ましく、上記炭素数4〜10の
α−オレフィンとしては1−ブテン、1−ペンテン、1
−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチ
ル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、
1−オクテン等が挙げられる。これらα−オレフィンの
LLDPE樹脂全体における含有率は通常1〜20重量
%が好ましく、特に3〜10重量%が好ましい。含有率
が20重量%を越える場合は、曲げや圧縮等に対する強
度低下が見られる。
m3 を超え、かつ0.940g/cm3 未満であること
が好ましい。0.920g/cm3 以下の場合は、発泡
粒子や成型体が収縮し易く、0.940g/cm3 以上
の場合は、発泡可能な温度範囲がさほど広がらない。
LLDPEどうしを混合したり、LLDPEに低密度ポ
リエチレン(以下、LDPEと略称する。)や高密度ポ
リエチレン(以下、HDPEと略称する。)を混合する
こともできる。
ドライブレンド法、マスターバッチ法等の混合方法で混
合し、該混合した樹脂を更に押出機によりペレタイズし
て発泡用樹脂粒子とする。
級脂肪酸と3〜7個の水酸基を有する多価アルコールの
エステルを0.05〜5.0重量%(但し、樹脂とエス
テルとの合計重量に対する割合であり、他の添加物は除
く。)発泡用樹脂粒子に含有させることが好ましい。
ルの一方の構成成分である炭素数15〜23の高級脂肪
酸としては、例えばパルミチン酸、ヘプタデシル酸、ス
テアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が
挙げられる。また他方の構成成分である水酸基が3〜7
個の多価アルコールとしては、例えばグリセリン、ジグ
リセリン、トリグリセリン、エリトリット、アラビッ
ト、キシリット、マンニット、ソルビット、ソルビタン
等が挙げられる。
ルが、炭素数15未満の高級脂肪酸や、水酸基の数3〜
7個以外の多価アルコールから構成される場合には、発
泡粒子中の該エステルが表面に移行し易く、成型体表面
にベタツキを生じたり、被包装物を汚染する等の問題が
生じる。又、成型品に収縮やヒケが生じ易くなり、成型
後に成型体の養生温度を高くしたり養生時間を長くして
も満足な成型品とならない等の問題も生じる。また上記
エステルを構成する高級脂肪酸の炭素数が23を超える
と、水酸基数3〜7個の多価アルコールであっても、成
型体の収縮が大きくなる。
は、完全エステルよりも部分エステルの方が成型体の収
縮防止効果に優れるため好ましく、特にステアリン酸モ
ノグリセライドが好ましい。
て酸化防止剤、紫外線吸収剤、塩素吸収剤等を含有させ
ることができる。しかし、これらには気泡調節剤として
気泡を微細化する作用があるので、添加量はできる限り
少なくすることが望ましい。例えば、塩素吸収剤として
ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸
金属塩類、ハイドロサルファイト類化合物を添加できる
が、添加量は1500ppm以下、特に900ppm以
下にすることが好ましい。
物を含有させることができる。該無機物としては、例え
ば水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグ
ネシウム等の無機水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、炭酸バリウム等の無機炭酸塩、亜硫酸カルシ
ウム、亜硫酸マグネシウム等の無機亜硫酸塩、硫酸カル
シウム、硫酸アルミニウム、硫酸マンガン、硫酸ニッケ
ル等の無機硫酸塩、酸化カルシウム、酸化アルミニウ
ム、酸化ケイ素等の無機酸化物、塩化ナトリウム、塩化
マグネシウム、塩化カルシウム等の無機塩化物、ホウ
砂、タルク、クレー、カオリン、ゼオライト等の粘土ま
たは天然鉱物等が挙げられる。
用いることができ、上記押出機によりペレタイズする際
に添加しておけばよい。無機物は通常、粉粒体として添
加され、粒径は0.1〜100μm、特に1〜15μm
のものを用いることが好ましい。
して気泡を微細化する作用があるので、添加量を100
0ppm以内にすることが好ましい。添加量が1000
ppmを超えると、気泡が微細化し、発泡粒子の成型性
が悪くなる虞がある。
着色剤を含有させることができる。着色剤としては、従
来から公知の有機及び無機の顔料、染料等を用いること
ができるが、耐熱性、耐紫外線性及び色移行性等を考慮
すると顔料を用いるのが望ましい。着色剤の含有量は、
0.0005〜1重量%が好ましい。着色剤の含有量が
1重量%を越えると、発泡粒子の気泡径が小さくなりす
ぎ、発泡粒子の成型性が悪くなる虞がある。
m、長さ:L=0.5〜5mm、L/D=1〜3程度の粒
状のものが好ましい。樹脂粒子のL/Dが1未満では発
泡粒子が扁平となり、3を越えると棒状となる。これら
の扁平、棒状の発泡粒子は金型内に均一に充填するのが
難しいので、均一な成型体を得ることができない。粒子
重量は、0.5〜10mg、特に2〜4mgが好まし
い。粒子重量が0.5mg未満では発泡粒子の気泡径が
細かくなり、10mgを越えると得られる成型体の表面
にボイドができ、表面平滑性が悪くなる虞がある。
造するには、所望の添加剤、例えば、LLDPE等の樹
脂に脂肪酸と多価アルコールとのエステル等を添加して
押出機内で溶融混練した後、押出機からストランド状に
押出し、該ストランドを冷却後にカットして粒状とする
方法がある。かかる際、添加剤を添加するには、マスタ
ーバッチを作製して添加することが好ましい。尚、LL
DPEを主成分とする樹脂を溶融混練する押出機は、押
出機内で過大に剪断されて分解、架橋等することによる
樹脂の変質を防ぐ構造にすることが肝要である。該押出
機としては、単軸押出機、二軸押出機等を使用すること
ができ、単軸押出機を使用する場合は、ダルメージ、マ
ドック等の混練装置を設けていない、スクリューの回転
数が小さくても必要な製造量を確保できる、例えばフル
フライトの押出機が好ましい。
機内で溶融混練する樹脂温度は、基材樹脂の〔融点+3
0℃〕〜250℃が好ましい。樹脂温度が〔融点+30
℃〕未満では、押出圧力が増加しすぎて必要な吐出量を
維持することができず生産性が悪くなる。樹脂温度が2
50℃を超えると樹脂の分解・架橋等の複雑な現象が起
きて樹脂の弾性が低下し高発泡倍率の発泡粒子を得るこ
とが出来なくなる。
発泡粒子製造用の樹脂粒子を得る際の原料のMTの増加
等に繋がる原料の架橋を防ぐことができる。本発明の発
泡粒子は、このようにして得られた樹脂粒子を以下に示
す特定の条件下で発泡させることにより得ることができ
る。尚、原料樹脂のMI及びMTは、発泡させる工程に
おいてはさほど変化しないため、目的とする発泡粒子の
MI及びMTは、ペレタイズによって得られる樹脂粒子
のMI及びMTを調節することによって得ることができ
る。
泡用樹脂粒子を密閉容器中で発泡剤とともに分散媒に分
散させながら加熱し、該樹脂粒子中に発泡剤を含浸させ
た後、樹脂粒子が軟化する温度以上の温度にて大気圧下
に放出することにより(以下、「一段発泡」とい
う。)、発泡用樹脂粒子を発泡させて発泡粒子(以下、
「一段発泡粒子」という。)を得る。
化炭素、窒素、アルゴン、空気等の無機ガス発泡剤が好
ましい。これらの発泡剤は単独でも、又混合して用いる
こともできるが、気泡径が均一な高発泡倍率の一段発泡
粒子を得ることができるという点で二酸化炭素が特に好
ましい。又、これらの無機ガス発泡剤にプロパン、ブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロヘキサ
ン、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン
等の揮発性発泡剤を混合して用いることもできる。又、
発泡剤として揮発性発泡剤を用いても良い。該発泡剤
は、目的とする発泡倍率の粒子を得るために必要な量を
添加する必要があり、一般的には樹脂100重量部に対
して5〜20重量部である。
容器中で分散させるための分散媒としては、例えば水、
エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノ
ール等が挙げられるが、通常は水が使用される。
させる工程は、該樹脂粒子を密閉容器内で分散媒に分散
させる工程の前・後のいずれでもよいが、通常は該樹脂
粒子を分散させる工程において同時に行う。この場合に
は、密閉容器中に該樹脂粒子と発泡剤及び分散媒を入れ
て攪拌しながら加熱、加圧する等の方法により発泡剤を
樹脂粒子中に含浸させる。
泡剤を分散媒に分散せしめて発泡温度まで加熱するに際
し、樹脂粒子の融着を防止するために融着防止剤を使用
することができる。融着防止剤としては、無機系、有機
系のいずれでもよいが、一般には無機系のものが好まし
い。無機系の融着防止剤としては酸化アルミニウム、酸
化チタン、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウ
ム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、リン酸三カルシ
ウム、ピロリン酸マグネシウム、タルク、マイカ等が挙
げられる。
100μm、特に0.001〜30μmのものが好まし
い。融着防止剤は、樹脂粒子100重量部に対し、通常
0.01〜10重量部を添加する。
っては、乳化剤を併用することもできる。上記乳化剤と
してはドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、オレ
イン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤が好適であ
る。乳化剤は樹脂粒子100重量部あたり通常0.00
1〜5重量部を添加する。
発泡剤を使用する場合、発泡剤を含有する発泡用樹脂粒
子と分散媒とを容器内より低圧の雰囲気下に放出して発
泡せしめる発泡温度は、上記樹脂粒子の軟化温度以上の
温度であって、融点付近の温度である必要があり、具体
的には〔融点−10℃〕以上、〔融点+5℃〕以下の範
囲である。
で加熱する昇温速度は1〜10℃/分、特に2〜5℃/
分であるのが好ましい。
と分散媒とを密閉容器内より放出する際の雰囲気圧力は
容器内圧力よりも低圧であればよいが、通常は大気圧で
ある。また、放出する際の雰囲気温度は通常は常温であ
るが、水蒸気等の加熱媒体により雰囲気温度を60〜1
10℃、好ましくは80〜100℃に加熱することによ
り、常温雰囲気中に放出する場合と比較して発泡倍率で
1.5〜2.0倍程度高い一段発泡粒子(例えば、15
倍程度のものが17倍程度のものになる。)が得られ
る。
250μm以上の発泡粒子を得るには、前述したMTの
増加等を防いだ樹脂粒子を使用することを前提として、
前記エステルを添加した樹脂粒子を使用する方法や、一
段発泡において樹脂粒子を密閉容器内から低圧の雰囲気
下に放出する際に少なくとも1つ以上のノズルを介して
低圧域へ放出する方法を採用することができる。後者の
方法においては、発泡剤を含有する樹脂粒子と分散媒の
混合物を密閉容器内より低圧の雰囲気下にノズルを介し
て低圧域へ放出発泡せしめる工程によって、混合物の放
出速度を適当な範囲内で均一に増大させることにより発
泡粒子の気泡径を調節することができる。具体的には、
内径:D=5〜20mm、長さ:L=30〜1000m
mのノズルを用いることができ、内径:D=5〜20m
m、長さ:L=80〜500mmのノズルが好ましい。
ノズルを使用することにより、気泡の平均径を大きくす
るという効果が得られる。ノズルの長さ若しくは内径
は、発泡粒子の大きさによって選択し、得られる発泡粒
子の中に相互に融着した発泡粒子が混入しないように考
慮する必要がある。
泡粒子を得ることができる。しかし、本発明の発泡粒子
を得るには一段発泡粒子を再度発泡させて目的とする発
泡倍率にすることが好ましい(以下、「二段発泡」とい
う。)。二段発泡を採用すると、一段発泡だけで目的と
する発泡倍率の発泡粒子を得る場合に比べ、後工程の加
熱成型において使用する発泡粒子の独立気泡率を向上さ
せること等ができる。二段発泡させることを前提とした
場合、一段発泡粒子は真の密度が0.049〜0.09
9g/cm3 となるように発泡させることが好ましい。一
段発泡粒子の真の密度が0.049g/cm3 未満、即ち
発泡倍率が大き過ぎる場合は、一段発泡粒子を構成する
気泡が連続気泡化し、該発泡粒子を金型内に充填して加
熱成型すると、得られる成型体が収縮したものとなる虞
がある。真の密度が0.099g/cm3 を超えると、即
ち発泡倍率が小さ過ぎる場合は、二段発泡を行っても目
的とする発泡倍率の発泡粒子を得ることが困難になる。
の発泡粒子をエタノールの入ったメスシリンダー中に沈
め、メスシリンダーの水位上昇分より測定される該発泡
粒子の体積Vcm3 を測定し、次式によって求める。 発泡粒子の真の密度(g/cm3 )=w÷V
が、本発明においては、一段発泡粒子を室温にて大気圧
下に放置したり、必要に応じて熱風乾燥する等して粒子
内圧を大気圧とほぼ等しい圧力に安定させた後(以下、
「熟成」と略称する。)、発泡粒子を加圧タンク内に入
れた状態で所定の圧力の空気を導入し、一定時間放置す
ることにより発泡粒子の内圧(以下、「粒子内圧」と略
称する。)を大気圧よりも高めた後、一段発泡粒子を加
圧タンクから取り出し、蒸気を使用して二段発泡させる
方法が好ましい。粒子内圧は、1.5〜7.0kg/c
m2 であること、特に3.5〜5.0kg/cm2 であ
ることが好ましい。粒子内圧が1.5kg/cm2 未満
では発泡倍率がそれほど増加せず、7.0kg/cm2
を超えると発泡粒子間の発泡倍率のバラツキが大きくな
る虞がある。
子(以下、「二段発泡粒子」と略称する。)は、真の密
度が0.024〜0.042g/cm3 であることを要す
る。二段発泡粒子の真の密度が0.024g/cm3 未
満、即ち発泡倍率が大き過ぎる場合は、該発泡粒子を金
型内に充填して加熱成型する際の成型可能な温度範囲が
狭くなる。真の密度が0.042g/cm3 を超えると、
即ち発泡倍率が小さい場合は、本発明で特定する発泡粒
子を使用しなくても発泡粒子成型体の収縮、回復には大
きな問題は発生しない。
平均径が250μm以上、特に250〜700μmであ
ることが好ましい。気泡の平均径が250μm未満、即
ち気泡が微細な場合は、成型可能な温度範囲が狭く、得
られた成型体の表面平滑性も悪くなる。気泡の平均径が
大きすぎると発泡粒子成型体の外観が悪くなり好ましく
ない。
た発泡粒子の切断面の画像上において、該発泡粒子のほ
ぼ中央を通る直線を引き、該直線が貫通している気泡の
数n、及び該直線と発泡粒子表面との交点から定まる発
泡粒子径L(μm)を読み取り、次式によって求める。 気泡の平均径(μm)=L÷n
Iは、0.1〜10g/10minの範囲が好ましく、
特に1〜3g/10minの範囲が好ましい。発泡粒子
のMIは、前記の方法により調整することができる。発
泡粒子のMIが10g/10minを超えると、得られ
る発泡粒子の独立気泡率が低くなり、該発泡粒子から得
られる成型体は成型後の収縮回復性が悪くなる。一方、
発泡粒子のMIが0.1g/10min未満の場合は、
発泡倍率が大きい発泡粒子を得ることが困難になる。
スを用いて190℃、100kg/cm2 の条件下で脱
泡して測定用試料を作製し、次いで、該サンプルをJI
SK7210に基づき試験温度190℃、試験荷重2.
16kgfの条件下で測定する。
Tは、2.5g以下が好ましく、特に0.5〜2.5g
が好ましい。発泡粒子のMTは、前記の方法により調整
することができる。発泡粒子のMTが2.5gを超える
と、発泡倍率が大きい良質の発泡粒子を得ることが困難
になる。発泡粒子のMTが0.5g未満の場合は、独立
気泡率の高い発泡粒子を得ることが困難になる。
定用試料を作製し、例えば、株式会社東洋精機製作所製
のメルトテンションテスターIIを使用して、内径2.0
95mm、長さ8.000mmの円筒状のオリフィスを
用い、試験温度190℃、押出ピストン速度10mm/
minの条件下で、樹脂を紐状に押出し、この紐状物を
直径45mmの張力検出用プーリーに掛けながら、直径
50mmの捲取りローラを用いて500rpmにて巻き
取ることにより測定した。前記測定によって得られたチ
ャート上には、MTの値が振幅をもったグラフとして描
かれ、本発明においては該グラフの振幅の安定した部分
における振幅の中央値をMTとして採用した。
示差走査熱量計を用いて測定した高温側ピークの吸熱量
が17〜35J/gであることが、金型内に充填して加
熱成型する際の発泡性及び成型後の寸法安定性の面から
好ましく、特に20〜30J/gであることが好まし
い。
粒子1〜8mgを示差走査熱量計を用いて10℃/mi
nの速度で220℃まで昇温して得たDSC曲線(図
1)における高温側ピークbの面積に相当し、次のよう
に求めることができる。まず、図1に示すようにDSC
曲線上80℃の点Iと、DSC曲線上の該樹脂の融解終
了温度を示す点IIとを結ぶ直線を引く。次に、固有吸熱
ピークaと高温側ピークbとの谷部にあたるDSC曲線
の点III を通りグラフ横軸の温度に対して垂直な直線
を、点Iと点IIとを結んだ直線へ引き、その交点をIVと
する。このようにして求めた点IVと点IIとを結ぶ直線、
点III と点IVとを結ぶ直線及び点III と点IIを結ぶDS
C曲線によって囲まれる部分(斜線部分)の面積が高温
側ピークの吸熱量に相当する。
れた特定の発泡粒子を、必要に応じて再度熟成させた
後、該発泡粒子を所定形状の型内に充填し蒸気等で加熱
して発泡させると共に発泡粒子相互を互いに融着せしめ
ることによって、密度0.017〜0.031g/cm
3 の発泡成型体を得ることができる。
しては、熟成後の発泡粒子をそのまま型内に充填して
成型する無加圧成型法、発泡粒子に無機ガスを加圧圧
入した後、型内に充填して成型する方法、発泡粒子を
型内に圧縮充填して成型する方法等がある。本発明にお
いては、上記いずれの成型方法も採用することができる
が、無加圧で成型できる上に製造工程が簡便な点におい
ての無加圧成型法が優れた方法である。
明する。 〔実施例1〕ステアリン酸カルシウム700ppmが配
合された密度0.925g/cm3、MI=1.3g/
10min、炭素数6のコモノマー含有量1.8mol
%のLLDPEに、フェノール系酸化防止剤300pp
m及び燐系酸化防止剤500ppmをマスターバッチに
て添加し、直径D=50mm:L/D=28の単軸押出
機で、該樹脂を樹脂温度が245℃になる条件下で溶融
・混練し、φ2mmのダイからストランド状に押出して
約20℃の水中で急冷した後、ペレタイザーにて切断
し、重量約3mgのペレット状の樹脂粒子を作製した
(以下、「発泡用樹脂粒子」と略称する。)。発泡用樹
脂粒子のMIは1.3g/10min、MTは2.2g
であった。
散剤としてマイカ500g、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム10g、発泡剤としてドライアイス10.
5kgを、内容積400リットルのオートクレーブに入
れて攪拌しながら、表1の温度まで昇温した後、該温度
に約20分間保持して該樹脂粒子に発泡剤を含浸させ
た。その後、該温度に保持しながら該温度における平衡
蒸気圧に等しい背圧を炭酸ガスを使用してかけ、該圧力
を保持したまま容器の下端に設置されたストップバルブ
を開放し、樹脂粒子と水の混合物を直径16mm、長さ
200mmのノズルを介して、蒸気を使用して95〜1
00℃に加熱された低圧雰囲気下へ、8分間で全量を放
出するようにして樹脂粒子を発泡させ、一段発泡粒子を
得た。
に保持し、空気により加圧して表2に示す内圧まで粒子
内圧を高めた後、表2に示す圧力の蒸気で二段発泡させ
た。
して表3に示す圧力の蒸気で加熱発泡させ成型を行っ
た。更に、得られた成型体を大気圧下で約1時間放置し
た後、80℃に設定したオーブンを使用して大気圧下、
24時間乾燥することにより熟成させて表3に示す密度
の成型体を得た。
ノグリセライドのマスターバッチをステアリン酸モノグ
リセライドの含有量が0.5重量%になるように添加し
た以外は実施例1で発泡用樹脂粒子を作製したのと同じ
方法、装置、製造条件により溶融混練、急冷した後、ペ
レタイザーにて切断し、重量約3mgのペレット状の発
泡用樹脂粒子を作製した。
合、方法、条件で発泡させて一段発泡粒子を得た。次
に、該一段発泡粒子を実施例1と同様な方法で熟成し、
表2に示す内圧まで加圧した後、表2に示す圧力の蒸気
で二段発泡させた。更に、該二段発泡粒子を熟成後、金
型内に充填して表3に示す圧力の蒸気で加熱発泡させ成
型を行った後、得られた成形体を実施例1と同様に熟成
させて表3に示す密度の成型体を得た。
0ppmの濃度になるようにマスターバッチで添加し、
実施例2と同様にステアリン酸モノグリセライド及び酸
化防止剤をマスターバッチで添加し、実施例2と同様に
溶融混練、急冷した後、ペレタイザーにて切断し、重量
約3mgのペレット状の発泡用樹脂粒子を作製した。
合、方法、条件で発泡させて一段発泡粒子を得た。次
に、該一段発泡粒子を実施例1と同様な方法で熟成し、
表2に示す内圧まで加圧した後、表2に示す圧力の蒸気
で二段発泡させた。更に、該二段発泡粒子を熟成後、金
型内に充填して表3に示す圧力の蒸気で加熱発泡させ成
型を行った後、得られた成型体を実施例1と同様に熟成
させて表3に示す密度の成型体を得た。
粒子を実施例1と同様な方法で熟成後、表2に示す内圧
まで加圧した後、表2に示す圧力の蒸気で二段発泡させ
た。更に、該二段発泡粒子を熟成後、金型内に充填して
表4に示す圧力の蒸気で加熱発泡させ成型を行った後、
得られた成型体を実施例1と同様に熟成させて表4に示
す密度の成型体を得た。
行われていた290℃になるように押出機の運転条件を
設定した以外は、実施例1にて発泡用樹脂粒子を作製し
た方法と同じ装置、方法、製造条件で溶融混練、急冷し
た後、ペレタイザーにて切断し、重量約3mgのペレッ
ト状の発泡用樹脂粒子を作製した。
合、方法、条件で発泡させて一段発泡粒子を得た。次
に、該一段発泡粒子を実施例1と同様な方法で熟成、表
2に示す内圧まで加圧した後、表2に示す圧力の蒸気で
二段発泡させた。更に、該二段発泡粒子を熟成後、金型
内に充填して表4に示す圧力の蒸気で加熱発泡させ成型
を行った後、得られた成型体を実施例1と同様に熟成さ
せて表4に示す密度の成型体を得た。
0℃になるように押出機の運転条件を設定した以外は、
実施例2と同様の配合、装置、方法、条件で発泡用樹脂
粒子を作製した。
合、方法、条件で発泡させて一段発泡粒子を得た。該一
段発泡粒子を実施例1と同様な方法で熟成、表2に示す
内圧まで加圧した後、表2に示す圧力の蒸気で二段発泡
させた。次に、該二段発泡粒子を熟成後、金型内に充填
して表4に示す圧力の蒸気で加熱発泡させ成型を行った
後、得られた成型体を実施例1と同様に熟成させて表4
に示す密度の成型体を得た。
ルを使用しないで、発泡剤を含有した発泡用樹脂粒子と
水の混合物を従来使用していたストップバルブから直接
放出した以外は、実施例1と同様の配合、方法、装置で
一段発泡粒子を作製した。該一段発泡粒子を実施例1と
同様な方法で熟成、表2に示す内圧まで加圧した後、表
2に示す圧力の蒸気で二段発泡させた。次に、該二段発
泡粒子を熟成後、金型内に充填して表4に示す圧力の蒸
気で加熱発泡させ成型を行った後、得られた成型体を実
施例1と同様に熟成させて表4に示す密度の成型体を得
た。
して使用するステアリン酸モノグリセライドのマスター
バッチは、基材樹脂にステアリン酸モノグリセライドを
5重量%添加し、147℃に加熱した加圧ニーダーを用
い溶融混練した後、圧縮ロールでプレスし、次に角ペレ
タイザーで切断することによって作製した。
発泡に使用した発泡用樹脂粒子のMT、MI、及び一段
発泡によって得られた一段発泡粒子の真の密度、高温側
ピークの吸熱量を表1に示す。又、二段発泡によって得
られた二段発泡粒子の真の密度、気泡の平均径、MT、
MI、高温側ピークの吸熱量を表2に示す。更に、実施
例1〜4で得られた成形体の成型後の回復性、表面平滑
性、表面固有抵抗値を表3に、比較例1〜4で得られた
成形体の成型後の回復性、表面平滑性、表面固有抵抗値
を表4に示す。
記ペレタイズをした後、60℃に設定したオーブンで2
4時間乾燥した発泡用樹脂粒子について前記方法により
測定した。
た。 ○ : 成型体各面の中央部と端部の厚みの差が1.5
%未満の場合 × : 成型体各面の中央部と端部の厚みの差が1.5
%以上の場合
さ100mm、幅100mm、厚さ5mmの試験片を、
片方の100mm×100mmの面に成型体のスキン面
をそのまま残した状態で切り出し、得られた試験片を室
温23℃、湿度50%RHの恒温室内に1週間放置後、
武田理研製TR8601を使用して、印加電圧500V
の条件下で該スキン面について測定した。
用試験片を切り出し、該試験片の外形寸法から求めた体
積(cm3 )で該試験片の重量(g)を割ることによっ
て求めた。
リエチレン系樹脂発泡粒子は、密度0.920g/cm
3 以上のポリエチレン系樹脂粒子を発泡させて得られ
た、真の密度が0.024〜0.042g/cm3 の発
泡粒子において、該発泡粒子の190℃、2.16kg
fで測定したメルトフローインデックスが0.1〜10
g/10min、190℃で測定したメルトテンション
の値が2.5g以下であり、且つ該発泡粒子を構成する
気泡の平均径が250μm以上である為、該発泡粒子を
金型に充填して蒸気を導入することにより加熱成型する
際の成型可能な温度範囲が従来の発泡粒子を使用する場
合と比較すると広い上に、本発明の発泡粒子を使用して
得られた成型体は形状等に左右されず、収縮回復性、表
面平滑性に優れている。更に、このような効果は、発泡
剤として無機ガスを使用して得られた発泡粒子において
特に顕著に現れる。又、特定の高級脂肪酸と多価アルコ
ールのエステルを前記発泡粒子に添加することにより、
前記成型性が更に良化し、添加量によっては帯電防止効
果を有する成型体を得ることができるという効果も有す
る。
吸熱量の測定方法を示す説明図である。
す点 III 固有吸熱ピークaと高温側ピークbとの谷部に
あたるDSC曲線の点
Claims (5)
- 【請求項1】 密度0.920g/cm3 以上のポリエ
チレン系樹脂粒子を発泡させて得られた、真の密度が
0.024〜0.042g/cm3 の発泡粒子におい
て、該発泡粒子の190℃、2.16kgfで測定した
メルトフローインデックスが0.1〜10g/10mi
n、190℃で測定したメルトテンションの値が2.5
g以下であり、且つ該発泡粒子を構成する気泡の平均径
が250μm以上であることを特徴とする無架橋ポリエ
チレン系樹脂発泡粒子。 - 【請求項2】 ポリエチレン系樹脂粒子を無機ガス発泡
剤を使用して発泡させて得られたものであることを特徴
とする請求項1記載の無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒
子。 - 【請求項3】 大気圧よりも高い内部圧力を有する発泡
粒子を加熱媒体により加熱して発泡させて得られたもの
である請求項1又は2記載の無架橋ポリエチレン系樹脂
発泡粒子。 - 【請求項4】 基材樹脂100重量部当たり、炭素数1
5〜23の高級脂肪酸と3〜7個の水酸基を有する多価
アルコールのエステルを0.05〜5重量部含有するこ
とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無架橋
ポリエチレン系樹脂発泡粒子。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の無架橋
ポリエチレン系樹脂発泡粒子を、型内に充填して加熱
し、粒子相互を融着せしめて得られる密度が0.017
〜0.031g/cm3 の無架橋ポリエチレン系樹脂発
泡成型体。
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