JP2011219688A - ポリエチレン系樹脂発泡粒子、およびポリエチレン系樹脂型内発泡成形体 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂発泡粒子、およびポリエチレン系樹脂型内発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】型内発泡成形体端部(エッジ部)の融着レベルが良好であると共に、外観も優れ、型内発泡成形体表面のしわやボイドもなく、表面性に優れた(表面が美麗な)、高発泡倍率のポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を製造するためのポリエチレン系樹脂発泡粒子を提供する。
【解決手段】発泡倍率10倍以上50倍以下であるポリエチレン系樹脂発泡粒子であって、10℃/分の昇温速度にて40℃から190℃まで昇温する示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、低温側融解熱量領域と高温側融解熱量領域の2つの領域を有し、かつ、該低温側融解熱量領域のDSC曲線の微分曲線中に極小値を有することを特徴とするポリエチレン系樹脂発泡粒子。
【選択図】図2

Description

本発明は、緩衝材、緩衝包材、通い箱、断熱材などに用いられるポリエチレン系樹脂発泡粒子、および該ポリエチレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形してなるポリエチレン系樹脂型内発泡成形体に関する。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、水蒸気等で加熱成形して得られる型内発泡成形体は、型内発泡成形体の長所である形状の任意性、軽量性、断熱性などの特徴を持つ。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子としては、種々な製法が知られており、ポリエチレン系樹脂粒子を架橋した後、発泡剤である二酸化炭素を気体状態で接触させて含浸し、その後、水蒸気加熱して発泡させる方法(例えば、特許文献1)が知られている。
また、特許文献2には、ポリエチレン系樹脂粒子を二酸化炭素(ドライアイス)と共に水系分散媒に分散させ、加温加圧して二酸化炭素を含浸させ、その後、低圧域に放出して発泡させることによって、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の気泡径が250μm以上であり、また、示差走査熱量測定(DSC)において、低温側融解ピークと高温側融解ピークの2つの融解ピークを有し、高温側融解ピーク熱量が17〜35J/gであるポリエチレン系樹脂発泡粒子が得られることが開示されている。
また、発泡剤として水系分散媒の水を用いる方法も知られており、効率的に水を吸収させるために、親水性化合物としてエチレン系アイオノマーをポリエチレン系樹脂に混合して用いている方法(例えば、特許文献3)が知られている。
また、発泡剤として水や二酸化炭素を用いると共に、新規な親水性化合物としてポリエチレングリコールやグリセリンを用いる技術もある(例えば、特許文献4)。
また、一度の発泡では高発泡倍率の発泡粒子が得られにくい場合に、得られた発泡粒子を再度発泡させて高発泡倍率の発泡粒子を得る方法も知られている。
特許文献2〜4に開示されているポリエチレン系樹脂発泡粒子は、いずれも、示差走査熱量測定(DSC)において、低温側融解ピークと高温側融解ピークの2つの融解ピークを有している。
特開平4−372630号公報 特開2000−17079号公報 特開平10−204203号公報 国際公開2009/075208号公報
しかしながら、上述の高発泡倍率のポリエチレン系樹脂発泡粒子を用いて型内発泡成形する場合、型内発泡成形体の表面にしわやボイドが発生する、型内発泡成形体端部(エッジ部)の融着レベルが悪く外観不良である、といった問題が散見され、型内発泡成形体の商品価値の低下や型内発泡成形体の生産性の悪化をもたすことが頻発していた。
本発明では、特に型内発泡成形体端部(エッジ部)の融着レベルが良好であると共に、外観も優れ、加えて、型内発泡成形体表面のしわやボイドもなく、表面性に優れた(表面が美麗な)、高発泡倍率のポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を製造するためのポリエチレン系樹脂発泡粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において低温側融解ピーク(融解熱量領域)と高温側融解ピーク(融解熱量領域)の2つの融解ピーク(融解熱量領域)を有しているポリエチレン系樹脂発泡粒子であって、前記低温側融解ピーク(融解熱量領域)に、DSC曲線の微分曲線中に極小値を有するポリエチレン系樹脂発泡粒子を使用して型内発泡成形を行うことにより、上記課題が解決することを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、以下の構成よりなる。
[1] 発泡倍率が10倍以上50倍以下であるポリエチレン系樹脂発泡粒子であって、10℃/分の昇温速度にて40℃から190℃まで昇温する示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、低温側融解熱量領域と高温側融解熱量領域の2つの領域を有し、かつ、低温側融解熱量領域のDSC曲線の微分曲線中に極小値を有することを特徴とする、ポリエチレン系樹脂発泡粒子。
[2] 前記極小値で、DSC曲線の微分曲線の最小値の温度が、105℃以上118℃以下である、[1]記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
[3] 前記低温側融解熱量(Ql)と、前記高温側融解熱量(Qh)から算出した、高温側融解熱量の比率[=Qh/(Ql+Qh)×100(%)]が15%以上35%以下である、[1]あるいは[2]記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
[4] 平均気泡径が150μm以上400μm以下である、[1]〜[3]の何れかに記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
[5] ポリエチレン系樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂である、[1]〜[4]の何れかに記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
〔6〕 少なくとも2回の発泡工程を経て得られる、[1]〜[5]の何れかに記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
〔7〕 [1]〜[6]の何れかに記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子を、型内発泡成形してなる、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子を用いれば、型内発泡成形を行って高発泡倍率のポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を製造する場合において、型内発泡成形体端部(エッジ部)の融着レベルが良好であると共に、外観も優れ、更には型内発泡成形体表面のしわやボイドもなく、表面性に優れた(表面が美麗な)ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を得ることができる。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線(温度vs吸熱量)の一例である。DSC曲線は、低温側融解熱領域と高温側融解熱領域の2つの融解熱量領域を有しており、更に、該低温側融解熱量の領域にショルダーを有している。 本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線の微分曲線(温度vs吸熱量の微分量)の一例である。微分曲線は、低温側融解領域のショルダー部分のDSC曲線の微分曲線は、最小値を有している。 ポリエチレン系樹脂の融点を求めるための、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温〜降温〜昇温の操作を行った2回目の昇温時のDSC曲線の一例である。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子は、示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、融解熱量は、低温側融解熱量と高温側融解熱量の2つの融解熱量に分けられ、前記低温側熱量領域のDSC曲線の微分曲線中に極小値を有することを特徴とし、発泡倍率は10倍以上50倍以下である。
ここで、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定(DSC)によって得られるDSC曲線とは、ポリエチレン系樹脂発泡粒子1mg以上10mg以下を、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/分の昇温速度にて40℃から190℃まで昇温した際に得られるDSC曲線のことである。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子のDSC曲線は、図1に示されるように、全融解熱量は、低温側融解熱量領域と高温側融解領域の2つの融解熱量領域に分けられる。
なお、本発明においては、全融解熱量(Q)、低温側融解熱量(Ql)と、高温側融解熱量(Qh)を、次のように定義する。
全融解熱量(Q)とは、得られたDSC曲線において、低温側融解熱が開始する温度50℃での吸熱量(点A)から、高温側融解が終了する温度での吸熱量(点B)を結ぶ線分ABを引き、線分ABとDSC曲線で囲まれた部分である。
DSC曲線の低温側融解熱量および高温側融解熱量の2つの融解熱量領域の間の最も吸熱量が小さくなる点を点Cとし、点Cから線分ABへ垂直に上げて交わる点をDとした時、線分ADと線分CDとDSC曲線で囲まれた部分が、低温側融解熱量(Ql)であり、線分BDと線分CDとDSC曲線で囲まれた部分が高温側融解熱量(Qh)である。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子において最も重要な点は、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の低温側融解熱量領域のDSC曲線に、更にショルダーを有していることである。本発明のDSC曲線の微分曲線では、図2に示すように、前記ショルダー部分に該当する位置に、極小値(点E)を有している。極小値点Eは、ショルダーの傾きが最大になる点を指し、ショルダーの存在を正確に表すことができる。
本発明における、低温側融解熱量領域において、DSC曲線の微分曲線中に極小値を有するポリエチレン系樹脂発泡粒子は、例えば、次のような方法を組み合わせることによって、容易に得ることができる。
(1)一旦、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得た後、無機ガス(例えば、空気、窒素、二酸化炭素等)を含浸して内圧を付与した後、特定の圧力の水蒸気と接触させるといった、少なくとも2回の発泡工程を経る方法、
(2)グリセリン、ポリエチレングリコール、炭素数が10以上25以下の脂肪酸のグリセリンエステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性化合物を0.05重量%以上2重量%以下含んでなるポリエチレン系樹脂粒子を発泡させる方法、
(3)複数のポリエチレン系樹脂をブレンドしたポリエチレン系樹脂粒子を原料として使用する方法、等が挙げられる。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子の低温側融解熱量領域のDSC曲線の微分曲線の極小値を示す温度は、105℃以上118℃以下であることが好ましく、110℃以上115℃以下であることがより好ましい。微分曲線での極小値を示す温度が105℃未満の場合、得られるポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の端部(エッジ部)の融着レベルや外観が低下する傾向にあり、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の表面性も低下する傾向にある。ここで、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の端部(エッジ部)とは、型内発泡成形体の面と面から形成させる稜線部をいい、一般的には、融着が不十分であるとポリエチレン系樹脂発泡粒子がかけやすい部分である。
また、微分曲線での極小値を示す温度が118℃を超えるポリエチレン系樹脂発泡粒子を得ようとした場合、ポリエチレン系樹脂発泡粒子同士が合着してブロッキングしてしまい、その後の型内発泡成形に供することができなくなる場合がある。
一方、高温側融解熱量(Qh)の比率[=Qh/(Ql+Qh)×100(%)](以下、「高温熱量比」という場合がある)の値としては、特に制限は無いが、好ましくは15%以上35%以下であり、より好ましくは、20%以上30%以下である。
高温熱量比が15%未満の場合、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡力が高すぎ、型内発泡成形する際の初期の段階で金型表面付近(型内発泡成形体表層部分)の発泡粒子のみが一気に発泡して発泡粒子同士が融着し、その結果、型内発泡成形に用いられる水蒸気が内部の発泡粒子まで浸透せず、型内発泡成形体内部が融着しない融着不良の型内発泡成形体となってしまう傾向がある。また、高温熱量比が35%を超える場合は、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡力が低すぎ、型内発泡成形体全体が融着不良となったり、あるいは、融着させるために高い成形圧が必要となる傾向がある。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率は、10倍以上50倍以下であり、好ましくは12倍以上35倍以下である。発泡倍率が10倍未満では、低温側熱量領域のDSC曲線の微分曲線中に極小値を有するポリエチレン系樹脂発泡粒子を得ることが困難となる傾向がある。また、発泡倍率が50倍を超えると、型内発泡成形したポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の圧縮強度などの機械特性が低下する傾向にある。
なお、本発明において、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とは、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の重量w(g)を測定後、水没法にて体積v(cm)を測定し、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の真比重ρb=w/vを求め、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度ρrとの比(ρr/ρb)である。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径について、特に制限は無いが、150μm以上400μm以下が好ましい。平均気泡径が150μm未満では、型内発泡成形した際にポリエチレン系樹脂型内発泡成形体表面のシワが目立ち、表面性が低下する傾向にある。また、平均気泡径が400μmを超えると、型内発泡成形して得られたポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の緩衝特性が低下する傾向にある。
なお、本発明において平均気泡径は、セル膜が破壊されないように充分注意して発泡粒子のほぼ中央を切断し、その切断面をマイクロスコープで観察し、得られた観察写真において、表層部を除く部分に長さ1000μmに相当する線分を引き、当該線分が通る気泡数nを測定し、気泡径を1000/n(μm)で算出してえられた気泡径を、10個の発泡粒子で求め、この気泡径の平均値を、平均気泡径とする。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、等が挙げられる。この中でも、高発泡のポリエチレン系樹脂型内発泡成形体が得られる点から、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましい。また、密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を複数ブレンドして用いることも可能である。さらには、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂に、高密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂の少なくとも1種をブレンドして用いることもできる。このような複数のポリエチレン系樹脂をブレンドして用いると、型内発泡成形する際の成形可能な圧力範囲が広げることができ、ポリエチレン系樹脂発泡粒子とした際に、低温側温度領域のDSC曲線の微分曲線中に、極小値を有する傾向がある。
前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂としては、例えば、融点115℃以上130℃以下、密度0.915g/cm以上0.940g/cm以下、メルトインデックス0.1g/10分以上5g/10分以下のものを用いることができる。
なお、メルトインデックスは、JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定した値である。
本発明においては、前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂は、エチレン以外の共重合可能なコモノマーを含んでいてもよい。エチレンと共重合可能なコモノマーとしては、炭素数4以上18以下のα−オレフィンを用いることができ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
共重合体の密度が前記範囲とするためには、コモノマーは、概ね3重量%以上12重量%以下で共重合することが好ましい。
本発明においては、ポリエチレン系樹脂粒子中に、グリセリン、ポリエチレングリコール、炭素数が10以上25以下の脂肪酸のグリセリンエステルから選ばれる少なくとも1種の親水性化合物を含有させることにより、高発泡倍率のポリエチレン系樹脂発泡粒子を容易に得ることができるようになる。なお、ポリエチレングリコールとは、エチレングリコールが重合した構造を有する非イオン性の水溶性ポリマーであり、分子量は概ね5万以下のものである。本発明で使用するポリエチレングリコールは、平均分子量が200以上9000以下であることが好ましく、200以上600以下であることがより好ましい。
また、炭素数が10以上25以下の脂肪酸のグリセリンエステルの中では、ステアリン酸とグリセリンからなるエステルが好ましい。
これらの化合物の中でも、低含有量で高発泡倍率のポリエチレン系樹脂発泡粒子を得やすく、更に型内発泡成形体にした際の端部(エッジ部)の融着レベルが良好で外観に優れる点から、グリセリンおよび/またはポリエチレングリコールがより好ましく、最も好ましくはグリセリンである。
本発明における、グリセリン、ポリエチレングリコール、炭素数が10以上25以下の脂肪酸のグリセリンエステルから選ばれる少なくとも1種の親水性化合物の含有量は、0.05重量%以上2重量%以下含有させることが好ましく、0.05重量%以上0.5重量%以下含有させることがより好ましい。前記親水性化合物の含有量が0.05重量%未満では、発泡倍率が上がりにくい傾向があり、2重量%を超えて含有させても、発泡倍率の更なる向上は発現し難い傾向にある。
なお、本発明の目的を損なわない程度に、他の親水性化合物を併用することも可能である。他の親水性化合物としては、具体例として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛等の水溶性無機物;メラミン、イソシアヌル酸、メラミン・イソシアヌル酸縮合物等の吸水性有機物;セチルアルコール、ステアリルアルコールといった炭素数12以上18以下の脂肪アルコール類、などが挙げられ、更には、1,2,4−ブタントリオール、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、D−マンニトール、エリスリトール、ヘキサントリオール、キシリトール、D−キシロース、イノシトール、フルクトース、ガラクトース、グルコース、マンノース等も挙げることができる。
本発明においては、発泡時に気泡核の形成を促す発泡核剤を含有させることができる。発泡核剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ゼオライト等の無機物質、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウムなどの脂肪酸金属塩などが挙げられる。これらの発泡核剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。これらの中でも、タルク、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウムが、安価で、取扱いが容易な点から、好ましい。更に粒径分布がシャープであることが望ましい。
本発明における発泡核剤の添加量は、使用する発泡核剤によって異なり、一概に決めることができないが、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部以上2重量部以下であることが好ましく、0.01重量部以上1重量部以下であることがより好ましい。また、発泡核剤としてタルクを使用する場合、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部以上1重量部以下であることが好ましく、は0.01重量部以上0.5重量部以下であることがより好ましく、0.02重量部以上0.2重量部以下であることがさらに好ましい。
発泡核剤の添加量が0.005重量部未満の場合は、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率を大きくすることができなかったり、気泡の均一性が低下してしまう場合がある。発泡核剤の添加量が2重量部を超える場合は、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径が小さくなり過ぎ、型内発泡成形性が不良となる傾向にある。
本発明においては、必要に応じて、相溶化剤、帯電防止剤、着色剤(カーボンブラック、ケッチェンブラック、鉄黒、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、コバルトバイオレット、コバルトブルー、紺青、群青、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄などの無機顔料、ペリレン系、ポリアゾ系、キナクリドン系、フタロシニアン系、ペリノン系、アントラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの有機顔料)、安定剤、耐候剤、難燃剤などの各種添加剤が、本発明の効果を損なわない程度に適宜添加可能である。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造するに際しては、まず、ポリエチレン系樹脂粒子を製造する。
ポリエチレン系樹脂粒子を製造する方法としては、押出機を用いる方法が挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレン系樹脂に予め必要に応じて親水性化合物や発泡核剤、その他の添加剤をブレンドし、ブレンド物を押出機に投入して溶融混練し、ダイスより押出し、冷却した後、カッターにて細断することにより、粒子形状とすることができる。
あるいは、液体状の親水性化合物を用いる場合は、押出機の途中より、溶融させたポリエチレン系樹脂に親水性化合物を液体状で添加し、混練しても良い。また、押出機にポリエチレン系樹脂を投入するホッパー部分において、親水性化合物を液体状で定量供給してもよい。その際、蒸散を少なくするため、押出機のシリンダー、ダイス部の温度を250℃以下、より好ましくは220℃以下の低めにすることが望ましい。
以上のようにして得られるポリエチレン系樹脂粒子を用いて、本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造することができる。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造する好ましい態様としては、(1)密閉容器内に、ポリエチレン系樹脂粒子を二酸化炭素などの発泡剤と共に水系分散媒に分散させ、ポリエチレン系樹脂粒子の軟化温度以上の温度まで加熱、加圧した後、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出する発泡工程を経て得るという、水分散系でポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造する方法が挙げられる。
具体的には、密閉容器にポリエチレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて、密閉容器内を真空引きした後、1MPa(ゲージ圧)以上2MPa以下(ゲージ圧)の発泡剤を導入し、ポリエチレン系樹脂の軟化温度以上の温度まで加熱する。加熱することによって、密閉容器内の圧力が約1.5MPa(ゲージ圧)以上5MPa以下(ゲージ圧)まで上がる。必要に応じて、発泡温度付近にてさらに発泡剤を追加して所望の発泡圧力に調整、さらに温度調整を行った後、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出することにより、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。
また、別の好ましい態様としては、(2)密閉容器にポリエチレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて密閉容器内を真空引きした後、ポリエチレン系樹脂の軟化温度以上の温度まで加熱しながら、発泡剤を導入してもよい。
さらに、別の好ましい態様としては、(3)密閉容器にポリエチレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、発泡温度付近まで加熱し、さらに発泡剤を導入し、発泡温度とし、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出してポリエチレン系樹脂発泡粒子を得ることもできる。
なお、低圧域に放出する前に、二酸化炭素、窒素、空気あるいは発泡剤として用いた物質を圧入することにより、密閉容器内の内圧を高め、発泡時の圧力開放速度を調節し、更には、低圧域への放出中にも二酸化炭素、窒素、空気あるいは発泡剤として用いた物質を密閉容器内に導入して圧力を制御することにより、発泡倍率や平均気泡径の調整を行うこともできる。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子は、前述したとおり、示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、低温側融解熱量と高温側融解熱量の2つの融解熱量を有する。
2つの融解熱量領域を有するポリエチレン系樹脂発泡粒子は、前述の水分散系でのポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造する方法において、発泡時の密閉容器内温度を適切な値に設定することにより容易に得られる。
発泡時の密閉容器内温度は、通常、基材となるポリエチレン系樹脂の融点をTm、融解終了温度をTfとする場合、Tm−10(℃)以上、好ましくはTm−5(℃)以上、Tf(℃)未満、より好ましくはTf−2(℃)以下の温度、から選定すれば良い。
ここで、前記ポリエチレン系樹脂の融点Tmとは、図3に示すように、示差走査熱量計DSCを用いて、ポリエチレン系樹脂1mg以上10mg以下を40℃から190℃まで10℃/分の速度で昇温し、その後40℃まで10℃/分の速度で冷却し、再度190℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線における、2回目の昇温時の融解ピーク温度である。
また、融解終了温度Tfとは、2回目の昇温時の融解ピークのすそが、高温側でベースラインの位置に戻る時の温度である。
本発明において、ポリエチレン系樹脂粒子を分散させる密閉容器には、特に制限はなく、発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよいが、例えば、オートクレーブ型の耐圧容器があげられる。
本発明で用いられる発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン等の飽和炭化水素類、ジメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、空気、窒素、二酸化炭素、水等の無機ガスが挙げられる。これらの中でも、特に環境負荷が小さく、燃焼危険性も無いことから、二酸化炭素や水を用いることが望ましい。
本発明において、水系分散媒としては水のみを用いることが好ましいが、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等を水に添加した分散媒も使用できる。特に、本発明において親水性化合物を含有させる場合、水系分散媒中の水も発泡剤として作用し、発泡倍率向上に寄与する。
本発明においては、水系分散媒中、ポリエチレン系樹脂粒子同士の合着を防止するために、分散剤を使用することが好ましい。分散剤として、例えば、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク、クレー等の無機系分散剤が例示できる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明においては、分散剤と共に、分散助剤を使用することが好ましい。分散助剤の例としては、N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型、アルキルスルホン酸塩、n−パラフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩等のスルホン酸塩型、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル型、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンリン酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩等のリン酸エステル型等の陰イオン界面活性剤をあげることができる。また、マレイン酸共重合体塩、ポリアクリル酸塩等のポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタルスルホン酸ホルマリン縮合物塩などの多価陰イオン高分子界面活性剤も使用することができる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
これらの中でも、分散剤として、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、硫酸バリウムまたはカオリンよりなる群から選ばれる少なくとも一種、および分散助剤としてn−パラフィンスルホン酸ソーダを併用することが好ましい。
本発明における分散剤や分散助剤の使用量は、その種類や、用いるポリエチレン系樹脂の種類と使用量によって異なるが、通常、水系分散媒100重量部に対して、分散剤は0.1重量部以上3重量部以下を配合することが好ましく、分散助剤は0.001重量部以上0.1重量部以下を配合することが好ましい。
本発明においては、ポリエチレン系樹脂粒子は、水系分散媒中での分散性を良好なものにするために、通常、水系分散媒100重量部に対して、20重量部以上100重量部以下使用するのが好ましい。
以上に述べたような、水分散系でポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造する方法の他に、水系分散媒を用いず、例えば、密閉容器中でポリエチレン系樹脂粒子に直接発泡剤を接触させ、発泡剤を含浸して発泡性ポリエチレン系樹脂粒子を得た後、この発泡性ポリエチレン系樹脂粒子に水蒸気を接触させるなどして発泡させ、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得ることもできる。
以上のように、ポリエチレン系樹脂粒子からポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る工程を「一段発泡工程」と称す場合があり、このようにして得たポリエチレン系樹脂発泡粒子を「一段発泡粒子」と呼ぶ場合がある。一段発泡粒子は、製造する際の発泡剤の種類にも依るが、発泡倍率が10倍に達しない場合がある。更には、一段発泡粒子のDSC曲線において、105℃以上118℃以下の低温側融解熱量の領域に、微分曲線の極小値が現れない場合もある。
このような場合には、一段発泡粒子に、無機ガス(例えば空気や窒素、二酸化炭素等)を含浸して内圧を付与した後、特定の圧力の水蒸気と接触させることにより、一段発泡粒子よりも発泡倍率が向上した、DSC曲線において、低温側融解熱量領域に、微分曲線の極小値を有する本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。
このように、ポリエチレン系樹脂発泡粒子をさらに発泡させてより発泡倍率の高いポリエチレン系樹脂発泡粒子とする工程を、「二段発泡工程」と称す場合がある。二段発泡工程を経ることにより、105℃以上118℃以下の低温側熱量領域のDSC微分曲線中に、極小値を有する本発明の発泡粒子を得ることができる。このような二段発泡工程を経て得られるポリエチレン系樹脂発泡粒子を「二段発泡粒子」と呼ぶ場合がある。
本発明において、二段発泡工程における水蒸気の圧力は、低温側熱量領域のDSC曲線の微分曲線中に極小値を有する二段発泡粒子を得る際に非常に重要であり、二段発泡粒子の発泡倍率を考慮した上で、0.045MPa(ゲージ圧)以上0.15MPa(ゲージ圧)以下で調整することが好ましく、0.05MPa(ゲージ圧)以上0.1MPa(ゲージ圧)以下で調製することがより好ましい。二段発泡工程における水蒸気の圧力が0.045MPa(ゲージ圧)未満では、微分曲線中に極小値を発現しない場合があり、0.15MPa(ゲージ圧)を超えると、微分曲線中に極小値は発現するものの、得られる二段発泡粒子同士が合着してブロッキングしてしまい、その後の型内発泡成形に供することができなくなる傾向がある。
一段発泡粒子に含浸する空気の内圧は、二段発泡粒子の発泡倍率および二段発泡工程の水蒸気圧力を考慮して適宜変化させることが望ましいが、0.2MPa以上(絶対圧)0.6MPa以下(絶対圧)であることが好ましい。一段発泡粒子に含浸する空気の内圧が0.2MPa(絶対圧)未満では、発泡倍率を向上させるために高い圧力の水蒸気が必要となり、二段発泡粒子がブロッキングする傾向にある。一段発泡粒子に含浸する空気の内圧が0.6MPa(絶対圧)を超えると、所望の発泡倍率を得るための水蒸気圧力が低くなり、微分曲線中に極小値を有さない二段発泡粒子となる傾向がある。
このように、一段発泡工程に比べ、二段発泡工程のように、2回以上の発泡工程を経て得られるポリエチレン系樹脂発泡粒子は、105℃以上118℃以下の低温側熱量領域のDSC曲線の微分曲線中に極小値を有するため、本発明において好ましい態様である。
以上のようにして得られるポリエチレン系樹脂発泡粒子は、従来から知られている型内発泡成形により、型内発泡成形体にすることができる。
例えば、イ)ポリエチレン系樹脂発泡粒子を無機ガス、例えば空気や窒素、二酸化炭素等で加圧処理してポリエチレン系樹脂発泡粒子内に無機ガスを含浸させ所定のポリエチレン系樹脂発泡粒子内圧を付与した後、金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、
ロ)ポリエチレン系樹脂発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型に充填し、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の回復力を利用して、水蒸気で加熱融着させる方法、
ハ)特に前処理することなくポリエチレン系樹脂発泡粒子を金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、などの方法が利用し得る。
以下、実施例および比較例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例および比較例において、使用した物質は、以下のとおりであるが、特に精製等は行っていない。
・ポリエチレン:MI=2.0g/10分、融点122℃の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂
・グリセリン:ライオン(株)製、精製グリセリンD
・ポリエチレングリコール:ライオン(株)製、平均分子量300
・ステアリン酸のグリセリンエステル:日光ケミカル(株)製、トリステアリン酸ポリグリセリル
・タルク:林化成(株)製、タルカンパウダーPK−S
なお、実施例および比較例における評価は、次の方法により行なった。
(発泡倍率)
得られた発泡粒子3g以上10g以下程度を取り、60℃で6時間乾燥した後、23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で状態調節し、重量w(g)を測定後、水没法にて体積v(cm)を測定し、発泡粒子の真比重ρb=w/vを求め、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度ρrとの比から発泡倍率K=ρr/ρbを求めた。
なお、以下に示す実施例および比較例においては、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度ρrは、いずれも0.93g/cmであった。
(平均気泡径)
得られた発泡粒子に対して、セル膜が破壊されないように充分注意して、ほぼ中央を切断し、その切断面をマイクロスコープで観察した。得られた観察写真において、表層部を除く部分に長さ1000μmに相当する線分を引き、該線分が通る気泡数nを測定し、気泡径を1000/n(μm)で算出した。同様のことを10個の発泡粒子で行い、それぞれ算出した気泡径の平均値を、平均気泡径とした。
(成形体融着性)
型内発泡成形体の設計外形寸法が400mm×300mm×50mmの金型を用い、成形圧力を0.08MPa(ゲージ圧)から0.14MPa(ゲージ圧)の範囲において0.01MPa間隔の圧力にて型内発泡成形を行った。得られた成形体を、23℃で2時間静置し、次に65℃で24時間養生した後、23℃で4時間放置して、評価対象の型内発泡成形体を得た。これらの型内発泡成形体表面にナイフで約5mmの深さのクラックを入れた後、クラックに沿って型内発泡成形体を割り、破断面を観察し、破断面の全粒子数に対する破壊粒子数の割合を求め、成形体融着率とした。
融着率が70%以上に達する最低成形圧力を、融着性の指標とした。
(成形体の表面性)
成形圧力0.11MPa(ゲージ圧)にて型内発泡成形して得られた型内発泡成形体の表面について、以下の基準にて、表面性を評価した。
○:しわや粒間がほとんどなく、表面凹凸も目立たず美麗である。
△:しわや粒間があり、表面凹凸がやや目立つ。
×:しわや粒間に加え、ヒケがあり、外観が明らかに不良である。
(成形体エッジ部(端部)の融着および外観)
成形圧力0.11MPa(ゲージ圧)にて型内発泡成形して得られた型内発泡成形体のエッジ部(端部)について以下の基準で評価した。
○:隣り合う発泡粒子同士がいずれの部分においてもきれいに融着しており、発泡粒子の間に隙間がない。
△:隣り合う発泡粒子同士が融着していない箇所が少し見られる。
×:隣り合う発泡粒子同士が融着していない箇所が多数見られる。
(成形体の寸法収縮率)
成形圧力0.11MPa(ゲージ圧)にて型内発泡成形して得られた型内発泡成形体の長手寸法(400mm方向)を測定し、対応する金型寸法に対する、金型寸法と型内発泡成形体の寸法との差の割合を対金型寸法収縮率とし、以下の基準で評価した。
○:対金型寸法収縮率が3%以下。
△:対金型寸法収縮率が3%を超えて7%以下。
×:対金型寸法収縮率が7%より大きい。
(実施例1)
<ポリエチレン系樹脂粒子の作製>
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂[MI=2.0g/10分、融点122℃]100重量部に対し、発泡核剤としてタルク[林化成(株)製、タルカンパウダーPK−S]0.03重量部を加え、ブレンドした。得られたブレンド物を50φ単軸押出機に供給し、溶融混練した後、直径1.8mmの小孔を有する円筒ダイより押出し、水冷後、カッターで切断し、円柱状の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂粒子(1.3mg/粒)を得た。
<ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の作製>
得られた直鎖低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部を、純水200重量部、第3リン酸カルシウム0.5重量部およびn−パラフィンスルホン酸ソーダ0.05重量部とともに耐圧密閉容器に投入した後、脱気し、攪拌しながら二酸化炭素7.5重量部を耐圧密閉容器内に導入し、122℃に加熱した。この時の耐圧密閉容器内の圧力は3.5MPa(ゲージ圧)であった。
次いで、密閉容器下部のバルブを開いて、水分散物(樹脂粒子および水系分散媒)を、オリフィスを通じて、大気圧下の発泡筒に放出して発泡粒子(一段発泡粒子)を得た。この際、放出中は耐圧密閉容器内の圧力が低下しないように、二酸化炭素を追加圧入して圧力を保持した。また、前記発泡筒には、蒸気を吹き込んで加温した状態とし、放出されてくる発泡粒子と蒸気が接触するようにした。
得られた一段発泡粒子は、示差走査熱量測定において、117℃および128℃のピーク温度を有する2つの低温側融解熱量領域および高温側融解熱量領域を有し、高温熱量比は24%であり、低温側融解熱量領域のDSC微分曲線中に極小値は有していなかった。また、発泡倍率、平均気泡径を測定した結果、発泡倍率8倍、平均気泡径150μmであった。
<ポリエチレン系樹脂発泡粒子(二段発泡粒子)の作製>
得られた一段発泡粒子を60℃にて6時間乾燥させた後、耐圧容器内にて、加圧空気を含浸させて、内圧を0.39MPa(絶対圧)にした後、0.07MPa(ゲージ圧)の水蒸気と接触させることにより、二段発泡させた。
得られた二段発泡粒子は示差走査熱量測定において、119℃と128℃に2つの融点を示し、高温熱量比は24%であり、低温側融解熱量領域の微分曲線の極小値のピーク温度は113℃であった。また、発泡倍率、平均気泡径を測定した結果、発泡倍率27倍、平均気泡径270μmであった。
<型内成形体の作製>
得られた二段発泡粒子を、400mm×300mm×50mmの金型内に導入し、型内発泡成形を行った。型内発泡成形は、成形圧力を0.08MPaから0.14MPa(ゲージ圧)の範囲において、0.01MPa間隔の成形圧力で行った。いずれの成形圧力においても、排気/一方加熱/逆一方加熱/両面加熱時間は、それぞれ、3/7/7/10秒とした。
得られた型内発泡成形体について、融着性、表面性、エッジ部外観、寸法収縮率を評価した。その評価結果を、表1に示す。
(実施例2〜11)
添加剤種や発泡条件などの条件を、表1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、直鎖低密度ポリエチレン系樹脂粒子、一段発泡粒子、二段発泡粒子、型内発泡成形体を得た。なお、実施例11のみは、二段発泡粒子を得た後、同様の操作で三段発泡粒子を得て、これを型内発泡成形に供した。
得られた型内発泡成形体について、融着性、表面性、エッジ部外観、寸法収縮率を評価した。それぞれの評価結果を、表1に示す。
(比較例1,2)
添加剤種や発泡条件などの条件を、表1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、直鎖低密度ポリエチレン系樹脂粒子、発泡粒子、型内発泡成形体を得た。ただし、これら比較例の発泡粒子の低温側融解熱量領域のDSC曲線の微分曲線中には、極小値は存在していなかった。
得られた型内発泡成形体について、融着性、表面性、エッジ部外観、寸法収縮率を評価した。それぞれの評価結果を、表1に示す。
Figure 2011219688

Claims (7)

  1. 発泡倍率が10倍以上50倍以下であるポリエチレン系樹脂発泡粒子であって、
    10℃/分の昇温速度にて40℃から190℃まで昇温する示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、低温側融解熱量領域と高温側融解熱量領域の2つの領域を有し、かつ、低温側融解熱量領域のDSC曲線の微分曲線中に極小値を有することを特徴とする、ポリエチレン系樹脂発泡粒子。
  2. 前記極小値で、DSC曲線の微分曲線の極小値の温度が、105℃以上118℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
  3. 前記低温側融解熱量(Ql)および前記高温側融解熱量(Qh)から算出される、高温側融解熱量の比率(Qh/(Ql+Qh)×100)(%)が15%以上35%以下であることを特徴とする、請求項1あるいは2に記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
  4. 平均気泡径が150μm以上400μm以下であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
  5. ポリエチレン系樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
  6. 少なくとも2回の発泡工程を経て得られることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子を、型内発泡成形してなることを特徴とする、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体。
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