JP6847584B2 - 帯電防止性能を有するポリエチレン系樹脂発泡粒子及びポリエチレン系樹脂発泡成形体およびその製造方法 - Google Patents

帯電防止性能を有するポリエチレン系樹脂発泡粒子及びポリエチレン系樹脂発泡成形体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、帯電防止性能を有するポリエチレン系樹脂発泡粒子及び該ポリエチレン系樹脂発泡粒子からなるポリエチレン系樹脂発泡成形体に関する。
ポリエチレン系樹脂発泡成形体は、柔軟性、断熱性に優れる為、緩衝包装材や断熱材として種々の用途に利用されている。
ポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法としては、ポリエチレン系樹脂粒子をブタンガス等の発泡剤にて予め発泡(ビーズ発泡)させた発泡粒子を、型内に充填し、水蒸気等の熱媒を導入して加熱融着させる型内発泡成形が知られている。ビーズ発泡においては、発泡倍率が高く、耐熱性に優れる発泡体が容易に得られることから、成形体の原料として架橋ポリエチレンが用いられてきたが、無架橋のポリエチレン系樹脂でも成形性の良い成形体を製造することが提案されている(特許文献1、2参照)。
従来、当該分野で使用されている発泡剤としては、高発泡倍率の発泡粒子が得られることから、揮発性有機発泡剤が使用されてきた(特許文献1、2参照)。しかしながら、環境問題への関心の高まりから、近年では発泡剤として炭酸ガスなどの無機ガスが使用されるようになってきた(特許文献3、4参照)。
さらに、近年では、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に帯電防止性を付与する為に、帯電防止剤を含有するポリエチレン系樹脂発泡粒子を用いることが行われている。
例えば、特許文献5では、直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して、造核剤0.1重量部、帯電防止剤である多価アルコール脂肪酸エステル1.0重量部、親水性化合物0.2重量部含有するポリエチレン系樹脂組成物からなり、1粒当たりの重量が4.5gであるポリエチレン系樹脂粒子を、発泡剤として炭酸ガスを用いて発泡させて得られる発泡倍率15〜30倍のポリエチレン系樹脂粒子を、型内発泡成形してポリエチレン系樹脂発泡体を得ることが開示されている。
また、特許文献6では、造核剤0.04重量部、帯電防止剤である多価アルコール脂肪酸エステル1〜2重量部、親水性化合物0.2〜0.5重量部含有するポリエチレン系樹脂組成物からなり、1粒当たりの重量が1.3gであるポリエチレン系樹脂粒子を、発泡剤として炭酸ガスを用いて発泡させて得られる発泡倍率15〜30倍の、適度な収縮性を有するポリエチレン系樹脂粒子を、型内発泡成形してポリエチレン系樹脂発泡体を得ることが開示されている。
現在、成形体の軽量化や樹脂使用量の削減によるコストダウンの観点から、ポリエチレン系樹脂発泡体の更なる高倍化が望まれているが、これらの技術は発泡倍率35倍以上の高発泡倍率にした場合について述べられていない。高発泡倍率のポリエチレン系樹脂発泡体は、ヒケが発生しやすく寸法性が悪い為、ポリエチレン系樹脂粒子にあらかじめ内圧を付与して成形する成含成形が必須となる。しかしながら、帯電防止性能を有したポリエチレン系樹脂発泡体を高倍化すると、融着が悪化し満足な融着性を得る事が出来ないという課題がある。
特許1696651 特許2017449 特開2000−17079 特開2010−59393 国際公開WO2013/031745 国際公開WO2013/011951
本発明の目的は、簡便に、高発泡倍率の帯電防止性能を有するポリエチレン系樹脂発泡成形体を製造する事ができる、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を提供する事にある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、収縮を有する帯電防止剤を含有したポリエチレン系樹脂発泡粒子に内圧を付与し、型内発泡成形を行うことによって、驚くべき事に融着が良好な高発泡倍率の成形体が得られる事を見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下の構成よりなる。
[1] ポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.3重量部以上0.7重量部以下の帯電防止剤、0.01重量部以上10重量部以下の親水性物質 を含有する、密度が0.920g/cm以上0.940g/cm未満のポリエチレン系樹脂粒子の二段発泡粒子であって、発泡倍率が35倍以上42倍以下であり、ポリエチレン系樹脂発泡粒子において、下記式(1)で求められる収縮率が35%以上75%以下であることを特徴とする、ポリエチレン系樹脂発泡粒子。
収縮率 = (BD−VBD)×100÷VBD ・・・(1)
ここで、BDは、23℃、0.1MPa(標準大気圧下)におけるポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度であり、VBDは、23℃、0.002MPa以下の減圧下におけるポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である。
ここで、二段発泡粒子とは以下の工程を経て得られる発泡粒子である
一段発泡工程:
ポリエチレン系樹脂粒子と、発泡剤および水系分散媒を分散させ、発泡用ポリエチレン系樹脂粒子の軟化温度以上の温度まで加熱、加圧した後、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出することによりポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造する工程。
二段発泡工程:
一段発泡工程により得られた一段発泡粒子を、空気などにより内圧を付与し、水蒸気により加熱処理することで、さらに発泡させて、より発泡倍率の高いポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造する工程。
[2] 帯電防止剤が、高級脂肪酸のグリセリンエステル、ヒドロキシアルキルエタノールアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、[1]記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
[3] 親水性物質が、分子内にカルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホ基、またはポリオキシエチレン基を含有する化合物、当該化合物の誘導体、または、親水性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、[1]〜[2]記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
[4] [1]〜[3]のいずれか1項記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子のポリエチレン系樹脂型内発泡成形体。
[5] [1]〜[3]のいずれか1項記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子を、金型内へ充填する際、ポリエチレン系樹脂発泡粒子に0.01〜0.06MPaの内圧を付与することを特徴とする、ポリエチレン系樹脂発泡成型体の製造方法。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造法によれば、二段発泡粒子の発泡倍率が35倍以上42倍以下の高発泡倍率において、融着、寸法が良好な帯電防止性能を有する成形体を得る事が出来る。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、等が挙げられる。これらの中でも、高発泡のポリエチレン系樹脂型内発泡成形体が得られる点から、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(以下、「LLDPE」と略す場合がある)を用いることが好ましい。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂の組成としては、エチレンの単独重合体や、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
前記炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
これらα−オレフィンのポリエチレン系樹脂全体における含有量は1〜20重量%が好ましく、3〜10重量%が特に好ましい。α−オレフィンの含有率が20重量%を越える場合、曲げや圧縮等に対する強度が低下する傾向がある。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂の密度は、0.920g/cm以上0.940g/cm未満であり、0.925g/cm以上0.940g/cm未満が好ましい。ポリエチレン系樹脂の密度が0.920g/cm3より小さい場合は、得られるポリエチレン系樹脂発泡粒子やポリエチレン系樹脂発泡成形体の収縮が大きくなる傾向があり、0.940g/cm3以上の場合は、発泡可能な温度領域が狭い傾向がある。
本発明においては、ポリエチレン系樹脂の密度が0.920g/cm3以上0.940g/cm未満となるのであれば、密度等が異なるポリエチレン系樹脂を混合しても良く、LLDPEに低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等を混合して使用することもできる。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂のメルトインデックスMIは、好ましくは0.8g/10分以上3.0g/10分以下であり、より好ましくは1.0g/10分以上2.5g/10分以下である。
ポリエチレン系樹脂のMIが0.5g/10分未満の場合には、流動性が悪くなる為、外観良好な型内発泡成形体が得られにくくなる傾向がある。ポリエチレン系樹脂のMIが3.0g/10分を超える場合には、型内発泡成形体が連続気泡化しやすくなる傾向がある。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子は、ポリエチレン系樹脂粒子からなる。本発明におけるポリエチレン系樹脂粒子は、帯電防止剤を含有する。
本発明に用いられる帯電防止剤としては、脂肪酸のモノ、ジ、トリグリセリンエステル、アルキルモノまたはジエタノールアミン、アルキルモノまたはジエタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル類等の非イオン性界面活性剤、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン等の特殊カチオン界面活性剤、ポリエーテルエステルアミド、ポリスチレンスルホン酸等の高分子型帯電防止剤、等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらのうち、高級脂肪酸のグリセリンエステル、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミンが、本特許の効果が大きいため、好ましい。
本発明における帯電防止剤の含有量は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.3〜0.7重量部が好ましく、0.4〜0.6重量部が特に好ましい。帯電防止剤の含有量が0.3重量部より少ない場合は帯電防止性能が十分に発揮されず、0.7重量部を超える場合、得られる発泡成形体の融着が悪化する傾向がある。
本発明におけるポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、親水性化合物を0.01重量部以上10重量部以下含有し、0.05重量部以上2重量部以下含有することが好ましい。親水性化合物の含有量が0.01重量部未満では、得られる発泡粒子中の含水量が少ないため、発泡粒子の収縮率が小さくなりすぎる傾向があるだけでなく、親水性化合物を樹脂粒子全体に均一に分散させることが困難であり、発泡粒子間で品質にバラツキが出やすくなる。親水性化合物の含有量が10重量部を超えると、得られる発泡粒子中の含水量が多いため、水分が抜けた後の発泡粒子の収縮が大きくなりすぎる傾向があるだけでなく、得られる発泡粒子のセルが不均一になりやすい傾向がある。
前記親水性化合物とは、分子内にカルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、エステル基、スルホ基、ポリオキシエチレン基などの親水性基を含有する化合物やその誘導体であり、親水性ポリマーも含まれる。親水性基を含有する化合物および誘導体の具体例としては、カルボキシル基を含む化合物として、ラウリン酸、ラウリン酸ナトリウムなどが、水酸基を含む化合物として、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。また、その他の親水性有機化合物として、メラミン(化学名:1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)、イソシアヌル酸、イソシアヌル酸縮合物等のトリアジン環を有する有機化合物等が挙げられる。
なお、親水性ポリマーとは、ASTM D570に準拠して測定された吸水率が0.5重量%以上のポリマーのことであり、水に溶けることなく、自重の数倍から数百倍の水を吸収し、圧力がかかっても脱水されがたいポリマーである吸水性ポリマー、および、常温ないし高温状態で水に溶解するポリマーである水溶性ポリマーを包含するものである。
親水性ポリマーの具体例としては、例えば、エチレン−アクリル酸−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基をナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオンや亜鉛イオンなどの遷移金属イオンで中和し、分子間を架橋させたアイオノマー系樹脂;
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などのカルボキシル基含有ポリマー;
ナイロン−6、ナイロン−6,6、共重合ナイロンなどのポリアミド;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のノニオン型吸水性ポリマー;
ペレスタット(商品名、三洋化成社製)等に代表されるポリエーテル−ポリオレフィン系樹脂ブロック共重合体;
アクアコーク(商品名、住友精化社製)等に代表される架橋ポリエチレンオキサイド系重合体;などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
親水性ポリマーの中では、ノニオン型吸水性ポリマー、ポリエーテル−ポリオレフィン系樹脂ブロック共重合体が、耐圧容器内での分散安定性が比較的良好であり、かつ比較的少量で吸水性を発揮するため、好ましい。
これら親水性物質の中でも、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが、少量の含有量でも得られる発泡粒子の発泡倍率が高くなりやすく、発泡粒子のセルが微細化することないため、成形時の発泡力が高くなり、収縮率が小さく、表面伸びの良好な成形体が得られやすいため、好ましい。
本発明において、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.05重量部以上2重量部以下含有されることが好ましく、0.05重量部以上0.5重量部以下含有させることがより好ましい。グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が0.05重量部未満では発泡倍率が上がりにくい傾向があり、2重量部を超えて含有させても、発泡倍率の更なる向上は発現し難い傾向にある。
本発明のポリエチレン系樹脂には、必要に応じて、セル造核剤や、酸化防止剤、相溶化剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤などを含有させることができる。
本発明において用いられるポリエチレン系樹脂粒子は、例えば、次のようにして製造することができる。
具体的には、ポリエチレン系樹脂を上記帯電防止剤、親水性化合物やその他の添加剤と共に、ドライブレンド法、マスターバッチ法等の混合方法により混合した後、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー(登録商標)、ロール等を用いて溶融混練して、1粒の重量が好ましくは0.2〜10mg/粒、より好ましくは0.5〜6mg/粒のポリエチレン系樹脂粒子に加工する。本発明で用いられるポリエチレン系樹脂粒子の密度は、0.920g/cm以上0.940g/cm未満であり、0.925g/cm以上0.940g/cm未満が好ましい。ポリエチレン系樹脂の密度が0.920g/cm3より小さい場合は、得られるポリエチレン系樹脂発泡粒子やポリエチレン系樹脂発泡成形体の収縮が大きくなる傾向があり、0.940g/cm3以上の場合は、発泡可能な温度領域が狭い傾向がある。
また、液状の親水性化合物は、押出機に直接添加して溶融混練しても良い。
本発明におけるポリエチレン系樹脂発泡粒子は、例えば、次のようにして製造することができる。
ポリエチレン系樹脂粒子を、水、発泡剤、分散剤と共に、耐圧容器内に導入し、耐圧容器内を所定温度、所定圧力に保持した後、ポリエチレン系樹脂粒子を耐圧容器内より低圧雰囲気下に放出してポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造することができる。なお、以降、該発泡工程を「一段発泡工程」という場合がある。また、一段発泡工程で得られる発泡粒子を「一段発泡粒子」という場合がある。
更に、一段発泡粒子に対して、無機ガス(例えば空気や窒素、炭酸ガス等)を含浸して内圧を付与した後、特定の圧力の水蒸気と接触させることにより、一段発泡粒子よりも発泡倍率が向上した、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造することができる。なお、以降、一段発泡粒子を再度発泡させる工程を「二段発泡工程」という場合がある。また、二段発泡工程で得られる発泡粒子を「二段発泡粒子」と言う場合がある。
一段発泡工程において用いられる耐圧容器には特に限定はなく、ポリエチレン系樹脂発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよく、例えば、オートクレーブ型の耐圧容器が挙げられる。
発泡工程における水の使用量は、ポリエチレン系樹脂粒子の水中での分散性を良好なものにするために、ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対して、100重量部以上500重量部以下が好ましい。
一段発泡工程における分散剤としては、難水溶性無機化合物を用いることが好ましい。ここで、難水溶性無機化合物とは、25℃の水への溶解量が1重量%未満である無機化合物をいう。
難水溶性無機化合物の具体例として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸バリウム、硫酸バリウム、ピロリン酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩、カオリン、クレー等のアルミノ珪酸塩、などが挙げられる。
一段発泡工程における分散剤の使用量は、その種類や用いるポリエチレン系樹脂粒子の種類や量等によって異なり、一概に規定できないが、ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対して、0.2重量部以上5重量部以下であることが好ましく、0.2重量部以上3重量部以下がさらに好ましい。
一段発泡工程においては、分散剤と共に、分散助剤を併用してもよい。分散助剤としては、界面活性剤を使用することが好ましく、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン系高分子界面活性剤、ノニオン系高分子界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n−パラフィンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム等が例示できる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が例示できる。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等が例示できる。アニオン系高分子界面活性剤としては、例えば、ポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、マレイン酸α−オレフィン共重合体塩等が例示できる。
ノニオン系高分子界面活性剤としては、例えば、ポリビニルアルコール等が例示できる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して使用することができる。
一段発泡工程における好ましい分散助剤としては、使用する分散剤の種類によって変わるため一概に規定できないが、例えば、分散剤として第三リン酸マグネシウムまたは第三リン酸カルシウムを使用する場合は、アニオン系界面活性剤を使用することが、分散状態が安定になるため好ましい。
一段発泡工程における分散助剤の使用量は、その種類や用いるポリエチレン系樹脂の種類や量などによって異なり一概に規定できないが、通常、水100重量部に対して、分散助剤0.001重量部以上0.2重量部以下であることが好ましい。
本発明において用いられる発泡剤としては、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の脂肪族炭化水素およびそれらの混合物や、窒素、炭酸ガス、空気などの無機ガスや水が挙げられる。これらのうちでも、無機ガスや水が、環境への負荷が少なく、火災や爆発の危険もないため、好ましい。
発泡剤の使用量は、使用するポリエチレン系樹脂の種類、発泡剤の種類、目的とする発泡倍率等により異なり、一概には規定できないが、ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対して、2重量部以上60重量部以下であることが好ましく、4重量部以上15重量部以下であることがより好ましい。
以上の様にして耐圧容器内に調整された、ポリエチレン系樹脂粒子を含んでなる水分散物は、攪拌下、所定の圧力まで加圧され、所定の温度まで昇温され、一定時間(通常5〜180分間、好ましくは10〜60分間)保持された後、ポリエチレン系樹脂粒子を含んでなる加圧された水分散物を、耐圧容器下部に設けられたバルブを開放して低圧雰囲気下(通常は大気圧下)に放出することによりポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造する。
耐圧容器内を加熱する所定温度(以降、「発泡温度」と称す場合がある)は、用いるポリエチレン系樹脂の融点[以降、Tm(℃)]、種類等により異なり、一概には規定できないが、ポリエチレン系樹脂の軟化温度以上に加熱することが好ましく、Tm−30(℃)以上Tm+10(℃)以下に加熱することがより好ましい。
なお、ポリエチレン系樹脂の融点とは、示差走査熱量計を用いて、ポリエチレン系樹脂粒子4〜6mgを10℃/分の速度にて10℃から190℃まで昇温することによりポリエチレン系樹脂粒子を融解し、その後、10℃/分の速度にて190℃から10℃まで降温することにより結晶化させた後に、さらに10℃/分の速度にて10℃から190℃まで昇温したときに得られる、2回目の昇温時のDSC曲線における融解ピーク温度である。
耐圧容器内を加圧する所定圧力(以降、「発泡圧力」と称す場合がある)は、用いられるポリエチレン系樹脂の種類や、目標とする発泡粒子の発泡倍率等により異なり、一概には規定できないが、1.5MPa(ゲージ圧)以上5MPa以下(ゲージ圧)が好ましく、2MPa(ゲージ圧)以上4.5MPa以下(ゲージ圧)がより好ましい。発泡圧力が1.5MPa(ゲージ)未満であると、発泡倍率が低すぎる傾向にあり、5MPa(ゲージ圧)より高いと、得られる発泡粒子のセル径が細かくなりすぎる傾向にある。
発泡工程において水分散物を放出する雰囲気温度は、通常常温であるが、水蒸気等の加熱媒体により雰囲気温度を60〜120℃、好ましくは80〜110℃に加温もしくは加熱することにより、常温雰囲気中に放出する場合に比べて、より高発泡倍率となる。
以上のようにして一段発泡工程により得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)は、二段発泡工程により再度発泡させられ、目的とする発泡倍率のポリエチレン系樹脂発泡粒子(二段発泡粒子)として、型内発泡成形に使用される。
二段発泡は、公知の方法を採用でき、例えば、次のようにして行うことができる。
具体的には、一段発泡粒子を加圧タンク内に入れ、所定の圧力の空気で加圧することにより(すなわち、一段発泡粒子内に空気を導入して、一定時間放置することにより)、発泡粒子の内圧を大気圧より高めた後、一段発泡粒子を、好ましくは0.035MPa(ゲージ圧)以上0.15MPa(ゲージ圧)以下、より好ましくは0.040MPa(ゲージ圧)以上0.10MPa(ゲージ圧)以下の水蒸気で加熱することにより、二段発泡させる。
水蒸気の圧力が0.035MPa(ゲージ圧)未満では、二段発泡粒子の収縮率が小さくなるため、成形加熱時に蒸気が通りにくくなる傾向にあり融着が悪化してしまう、または、得られる二段発泡粒子の発泡倍率のバラツキが大きくなる傾向があり、成形体重量の変動が大きくなる虞がある。水蒸気の圧力が0.15MPa(ゲージ圧)を超えると、二段発泡粒子同士が融着してしまい、成形に使用できなくなる場合がある。
この際、一段発泡粒子の内圧を0.20〜0.70MPa(ゲージ圧)に、好ましくは0.30〜0.60MPa(ゲージ圧)に調整することが好ましい。一段発泡粒子の内圧が0.20MPa(ゲージ圧)未満では、発泡倍率を向上させるために高い圧力の水蒸気が必要となる傾向があり、0.70MPa(ゲージ圧)を超えると、一段発泡粒子を構成する気泡が二段発泡により連続気泡化しやすくなり、該発泡粒子を金型内に充填して型内発泡成形すると、得られるポリエチレン系樹脂発泡成形体が収縮したものとなる虞がある。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の発泡倍率は、二段発泡で高倍発泡を行う観点から、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率は、8〜14倍に、好ましくは10〜12倍にする事が好ましい。8倍未満では二段発泡時の水蒸気の圧力が高くなる傾向にあり、発泡粒子同士が融着する場合があり、14倍を超えると発泡粒子の気泡が連続気泡化しやすくなり、得られるポリエチレン系樹脂発泡成形体が収縮したものとなる虞がある。
ここで、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とは、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の重量w(g)を測定後、エタノールの入ったメスシリンダー中に沈め、メスシリンダーの水位上昇分(水没法)にて体積v(cm)を測定し、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の真比重ρb=w/vを算出し、さらに、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度ρrとの比(ρr/ρb)として算出した値である。
本発明における二段発泡粒子の平均気泡径は、200μm以上700μm以下であることが好ましく、300μm以上600μm以下であることがより好ましい。二段発泡粒子の平均気泡径が200μm未満では、得られるポリエチレン系樹脂発泡成形体の収縮が大きくなる傾向がある。平均気泡径が700μmを越えると、得られるポリエチレン系樹脂発泡成形体の外観が悪くなる傾向がある。
二段発泡粒子の気泡径を考慮し、本発明における一段発泡粒子の平均気泡径は50μm以上350μm以下であることが好ましく、150μm以上250μm以下であることがより好ましい。
ここで、平均気泡径は、次のようにして測定する。顕微鏡などで得られる発泡粒子の切断面の画像において、発泡粒子のほぼ中心を通る直線を引き、該直線が貫通している気泡数をn、および該直線と発泡粒子表面との交点から定まる発泡粒子径L(μm)を読み取り、式(2)によって求める。
平均気泡径(μm)=L÷n ・・・(2)
本発明においては、ポリエチレン系樹脂発泡粒子(二段発泡粒子)を、所定形状の金型内に充填した後、水蒸気等で加熱して、発泡粒子を互いに融着させる、型内発泡成形を行うことによって、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得ることができる。
型内発泡成形方法としては、例えば、イ)ポリエチレン系樹脂発泡粒子を無機ガス、例えば空気や窒素、炭酸ガス等で加圧処理してポリエチレン系樹脂発泡粒子内に無機ガスを含浸させ所定のポリエチレン系樹脂発泡粒子内圧を付与した後、金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、ロ)ポリエチレン系樹脂発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型に充填し、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の回復力を利用して、水蒸気で加熱融着させる方法、などの方法が利用し得る。
本発明の製造方法では、充填時の二段発泡粒子の付与内圧は0.01〜0.06MPa(ゲージ圧)が好ましい。
充填時の二段発泡粒子の内圧0.01MPa未満では、変形が大きく成形体の寸法が出ない傾向にあり、0.06MPa超の内圧では、成形体の融着が悪化する傾向にある。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子(二段発泡粒子)は、適度な収縮性を有している為、収縮が無い場合に比べて、成形加熱時に蒸気の通りが良くなり融着が改善される。また、成形前にポリエチレン系樹脂発泡粒子にあらかじめ内圧を付与しているので寸法についても問題が無い。
適度な収縮性を表現するために、様々な物性を検討したところ、本発明者は、23℃、0.1MPa(標準大気圧下)におけるポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度BDと、23℃、0.002MPa以下の減圧下におけるポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度VBDから、下記式(1)で求められる収縮率を用いることにより、適切に収縮性を表現できることを見出した。
なお、0.002MPa以下の減圧下とは、一般的な真空装置(真空恒温器等)において、概ね真空とされる程度である。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子は、下記式(1)で求められる収縮率が35%以上75%以下であることを、好ましくは45%以上65%以下であることを特徴とする。
収縮率=(BD−VBD)÷VBD×100 ・・・(1)
ここで、BDは、23℃、0.1MPa(標準大気圧下)におけるポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度であり、VBDは、23℃、0.002MPa減圧下におけるポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子の収縮率が35%未満の場合、型内発泡成形時に蒸気の通りが悪く、融着の悪いポリエチレン系樹脂発泡成形体となる傾向がある。収縮率が75%を越えると、ポリエチレン系樹脂発泡粒子に内圧を付与しても寸法が回復せず寸法性の悪いポリエチレン系樹脂発泡成形体となる傾向がある。
本発明において、収縮率が35%以上75%以下のポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る方法は特に限定されないが、好ましくは、以下の方法が挙げられる。
(1)二段発泡工程において、一段発泡粒子を発泡させる際の蒸気圧力を0.035MPa(ゲージ圧)以上0.15MPa(ゲージ圧)以下、好ましくは0.04MPa(ゲージ圧)以上0.10MPa以下、より好ましくは0.04MPa(ゲージ圧)以上0.07MPa以下とする方法
(2)二段発泡工程において、一段発泡粒子を耐圧容器内より低圧雰囲気下に放出する際の低圧雰囲気の温度を50℃以下に調整する方法、
(3)ポリエチレン系樹脂発泡粒子に内圧を付与することなく、水蒸気により加熱処理する方法、等がある。
これらの方法は、使用する原料樹脂や一段発泡粒子の性質により適宜調整され、単独で実施しても良いし、組み合わせて実施しても良い。
本発明において得られるポリエチレン系樹脂発泡成形体は、高倍発泡であっても融着が悪化しない。
次に、本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法を実施例及び比較例を挙げて、詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における評価は、以下の方法により行なった。
<メルトフローインデックスの測定>
メルトフローインデックス(MI)は、JIS K7210記載のMI測定器を用い、オリフィス径2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ8.000±0.025mm、荷重2160g、樹脂温度190±0.2℃の条件下で測定した。
<発泡倍率の測定>
得られた発泡粒子3g以上10g以下程度を取り、60℃で2時間乾燥した後、23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で1時間静置した後、重量w(g)を測定後、エタノールの入ったメスシリンダー中に沈め、メスシリンダーの水位上昇分(水没法)にて体積v(cm3)を測定し、発泡粒子の真比重ρ=w÷vを求め、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度ρとの比から、発泡倍率K=ρ÷ρを求めた。
なお、以下に示す実施例および比較例においては、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度は、いずれも0.926g/cmであった。
<嵩密度BDおよびVBDの測定>
BDおよびVBDは、以下のように求める。
測定する発泡粒子の重量をW1とし、23℃において大気圧(標準大気圧0.1MPa)下で、メスシリンダーを用いて体積V1を求める。式(3)に従って、23℃、0.1MPa(標準大気圧下)におけるポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である、BDを求める。
BD(g/L)=W1÷V1 ・・・(3)
測定する発泡粒子の重量をW2とし、目盛りのある耐圧容器に入れて、真空ホンプなどにより耐圧容器内を減圧する。0.002MPa以下の減圧状態下になったことを圧力計にて確認した後、バイブレーターを用いて耐圧容器を振動させ、発泡粒子上部の目盛りの変化がなくなるまで振動させた後、耐圧容器内の発泡粒子上部の目盛りを読み、それを体積Vとする。なお、減圧時は、発泡粒子同士が押し合って体積変化が阻害される場合があるため、耐圧容器を横にするなどして発泡粒子に体積変化が阻害されないようにし、徐々に減圧する。
式(4)に従って、23℃、0.002MPa以下の減圧下におけるポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度VBDを求める。
VBD(g/L)=W2÷V2 ・・・(4)
以下のポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する、帯電防止性能評価以外の評価に関しては、
得られた発泡成形体を75〜80℃雰囲気下で24時間乾燥させた後、23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で24時間静置させた後、該評価を実施した。帯電防止性能評価に関しては、75〜80℃雰囲気下で24時間乾燥させた後、23℃、湿度50%の恒温恒温恒湿室内で72時間静置させた後、実施した。
<発泡成形体の密度測定>
型内発泡成形により得られた発泡成形体を、75〜80℃雰囲気下で24時間乾燥させた後、23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で24時間静置した後に、発泡成形体の重量Wを測定する。発泡成形体を水中に水没させた時の体積変化Vを測定して、式(5)に従って、発泡成形体の密度(g/L)を求めた。
発泡成形体の密度(g/L)=W÷V ・・・(5)
<融着性>
得られた発泡成形体の中央付近にナイフなどで約5mmの深さのクラックを入れた後、該クラックに沿って発泡成形体を割り、破断面を観察する。
破断面の全粒子数における破壊粒子数の割合を求めて、成形体融着率とし、以下の基準にて評価した。
○:融着率が80%以上。
△:融着率が60%以上80%未満。
×:融着率が60%未満。
<対金型寸法収縮率>
得られた発泡成形体の長手寸法(400mm方向)を、デジタルノギス[Mitutoyo製]を用いて測定する。
対応する金型寸法をLとし、発泡成形体の寸法をLとして、式(6)により、対金型寸法収縮率を算出し、以下の基準にて評価した。
対金型寸法収縮率=(L−L)÷L×100 ・・・(6)
○:対金型寸法収縮率が3%以下。
△:対金型寸法収縮率が3%を超えて4%以下。
×:対金型寸法収縮率が4%より大きい。
<変形>
ヒケの発生しやすい、発泡成形体の長手方向端部から50mmかつ短手方向端部から50mmの場所において、ネックノギス[Mitutoyo製]を用いて、厚みを測定し、以下の基準にて評価した。
○:厚みが48.5mm以上。
△:厚みが47mm以上、48.5mm未満。
×:厚みが47mm未満。
<帯電防止性能>
得られた発泡成形体を、75〜80℃雰囲気下で24時間乾燥させた後、23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で72時間静置させた後、表面高抵抗率計[Hiresta HT−201、三菱油化製]を用いて、JIS K6911に準じて、500Vの電流を1分間流した際の表面抵抗率を測定した。1サンプルにつき5ヶ所を測定して、その平均値を求め、表面抵抗率とした。
(実施例1〜4)
[樹脂粒子の作製]
基材樹脂として、MI=2g/10分、融点123℃、コモノマーとして4−メチル−1−ペンテンを8.2重量%含む、樹脂密度0.926g/cmである直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して、親水性化合物としてグリセリン[ライオン(株)製、精製グリセリンD]0.2重量部、帯電防止剤としてステアリン酸モノグリセリド[理研ビタミン社製、KF25]0.5重量部および、気泡調整剤としてタルク[林化成社製、タルカンPKS]0.12重量部をドライブレンドした。
ドライブレンドした混合物を、一軸押出機を用いて、樹脂温度210℃で溶融混練し、押出機の先端に取り付けられた円形ダイを通してストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が4.5mg/粒のポリエチレン系樹脂粒子を得た。
[発泡粒子の作製]
得られたポリエチレン系樹脂粒子100重量部(80kg)、水200重量部、難水溶性無機化合物として第三リン酸カルシウム[太平化学産業社製]0.5重量部、界面活性剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.03重量部を容量0.3mの耐圧オートクレーブ中に仕込み、攪拌下、発泡剤として炭酸ガスを7重量部添加した。
オートクレーブ内容物を昇温し、123℃の発泡温度まで加熱した。その後、炭酸ガスを追加圧入してオートクレーブ内を3.0MPa(ゲージ圧)の発泡圧力まで昇圧し、前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、3.6mmφで1穴の開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を100℃雰囲気下に放出してポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の水分を飛ばした後、空気加圧処理により空気を含浸させて、表1記載の内圧および水蒸気圧力にて二段発泡を行った。
[型内発泡成形体の作製]
得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子の水分を飛ばした後、空気加圧処理により0.05MPa(ゲージ圧)の内圧を付与し、長手方向400×短手方向300×厚み方向50mmの金型内に充填し、0.11MPa(ゲージ圧)の蒸気圧力で型内発泡成形して、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。更に、得られた成型体を大気圧下で約1時間放置した後、75℃に設定したオーブンを使用して大気圧下、24時間乾燥することにより熟成させて成型体を得た。ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
(実施例5)
[樹脂粒子の作製]において、帯電防止剤としてステアリン酸モノグリセリドを0.3重量部に変更した事以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
(実施例6)
[樹脂粒子の作製]において、帯電防止剤としてステアリン酸モノグリセリドを0.7重量部に変更した事以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
(実施例7)
[樹脂粒子の作製]において、帯電防止剤としてヒドロキシアルキルエタノールアミン[ミヨシ油脂(株)製、ダスパー125B]を0.5重量部使用した事意外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
(実施例8)
[樹脂粒子の作製]において、親水性化合物として、ポリエチレングリコール[ライオン(株)製、PEG300]0.4重量部に変更した事以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
(実施例9)
[型内発泡成形体の作製]において、付与内圧を0.02MPa(ゲージ圧)にした事以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
(実施例10)
[型内発泡成形体の作製]において、付与内圧を0.06MPa(ゲージ圧)にした事以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子および ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
Figure 0006847584
(比較例1〜2)
[発泡粒子の作製]において、表2記載の内圧および水蒸気圧力にて二段発泡を行った以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表2に示した。
(比較例3)
[樹脂粒子の作製]において、帯電防止剤としてステアリン酸モノグリセリドを0.2重量部に変更した事以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表2に示した。
(比較例4)
[樹脂粒子の作製]において、帯電防止剤としてステアリン酸モノグリセリドを1.0重量部に変更した事以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表2に示した。
(比較例5)
[発泡粒子の作製]において、表2記載の内圧および水蒸気圧力にて二段発泡を行った以外は、実施例8と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表2に示した。
(比較例6〜7)
[発泡粒子の作製]において、表2記載の内圧および水蒸気圧力にて二段発泡を行い、付与内圧を0MPa(ゲージ圧)にした事以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表2に示した。
Figure 0006847584

Claims (5)

  1. ポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.3重量部以上0.7重量部以下の帯電防止
    剤、0.01重量部以上10重量部以下の親水性物質を含有する、密度が0.920g/cm以上0.940g/cm未満のポリエチレン系樹脂粒子の二段発泡粒子であって、発泡倍率が35以上42倍以下であり、当該ポリエチレン系樹脂粒子の二段発泡粒子において、下記式(1)で求められる収縮率が35%以上75%以下であり、
    前記ポリエチレン系樹脂粒子の1粒当たりの重量は4.5mg/粒以上10mg/粒以下であることを特徴とする、ポリエチレン系樹脂粒子の二段発泡粒子。
    収縮率 = (BD−VBD)×100÷VBD ・・・(1)
    ここで、BDは、23℃、0.1MPa(標準大気圧下)における前記ポリエチレン系樹脂粒子の二段発泡粒子の嵩密度であり、VBDは、23℃、0.002MPa以下の減圧下における前記ポリエチレン系樹脂粒子の二段発泡粒子の嵩密度である。
    ここで、二段発泡粒子とは以下の工程を経て得られる発泡粒子である
    一段発泡工程:
    ポリエチレン系樹脂粒子と、発泡剤および水系分散媒を分散させ、発泡用ポリエチレン系樹脂粒子の軟化温度以上の温度まで加熱、加圧した後、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出することによりポリエチレン系樹脂粒子の一段発泡粒子を製造する工程。
    二段発泡工程:
    一段発泡工程により得られた一段発泡粒子を、空気などにより内圧を付与し、水蒸気により加熱処理することで、さらに発泡させて、より発泡倍率の高いポリエチレン系樹脂粒子の二段発泡粒子を製造する工程。
  2. 帯電防止剤が、高級脂肪酸のグリセリンエステル、ヒドロキシアルキルエタノールアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1記載のポリエチレン系樹脂粒子の二段発泡粒子。
  3. 親水性物質が分子内にカルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホ基、またはポリオキシエチレン基を含有する化合物、当該化合物の誘導体、または、親水性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜2記載のポリエチレン系樹脂粒子の二段発泡粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエチレン系樹脂粒子の二段発泡粒子のポリエチレン系樹脂型内発泡成形体。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエチレン系樹脂粒子の二段発泡粒子を、金型内へ充填する際、ポリエチレン系樹脂発泡粒子に0.01〜0.06MPaの内圧を付与することを特徴とする、ポリエチレン系樹脂発泡成型体の製造方法。
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