JP5470129B2 - 樹脂発泡シート及び樹脂発泡シートの製造方法 - Google Patents
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Description
このHMS−PPは、オレフィンブロックを導入させたポリプロピレン系ブロックコポリマーや、放射線や電子線などの活性エネルギー線による部分架橋、又は化学架橋による部分架橋が施されて、例えば、230℃における溶融張力が5cN以上もの高い値を示すようなポリプロピレン系樹脂であり樹脂発泡シートを作製する場合などにおいて原料に加えることで気泡の微細化効果を発揮することが知られている。
一般に、樹脂発泡シートにおいては、連続気泡率の増大とともに強度が低下する傾向にあるため高溶融張力ポリプロピレン樹脂を配合するなどして微細な独立気泡を形成させることがその強度を向上させる上で有効な手立てとなり得る。
まず、垂直方向に配された内径15mmのシリンダー内に試料となるポリプロピレン系樹脂(HMS−PP)を収容させて、230℃の温度で5分間加熱して溶融させた後に、シリンダーの上部からピストンを挿入して、該ピストンで押出し速度が0.0773mm/s(一定)となるようにしてシリンダーの下端に設けたキャピラリー(ダイ径:2.095mm、ダイ長さ:8mm、流入角度:90度(コニカル))から溶融樹脂を紐状に押し出させ、この紐状物を、上記キャピラリーの下方に配置した張力検出プーリーに通過させた後、巻き取りロールを用いて巻き取らせる。
このときの巻取り初めの初速を4mm/sとし、その後の加速を12mm/s2として徐々に巻取り速度を速め、張力検出プーリーによって観察される張力が急激に低下した時の巻取り速度を“破断点速度”とし、この“破断点速度”が観察されるまでの最大張力を“溶融張力”として測定する。
本実施形態の発泡シート(以下、単に「発泡シート」ともいう)は、高溶融張力ポリプロピレン樹脂を含むポリプロピレン系樹脂成分を主成分としたポリプロピレン系樹脂組成物が押出し機で押出し発泡されて形成されたものである。
(6 ≦ T) 且つ (5 ≦ V ≦ 10) ・・・条件(1)
ただし、過度に溶融張力の高いバージン材では溶融樹脂の粘りが強すぎて、押出し発泡自体ができなくなるおそれを有するためバージン材は、初期状態における溶融張力が30cN以下であることが好ましい。
このようなことから、バージン材の溶融張力は、15cN以上、25cN以下であることが好ましく、17cN以上、23cN以下であることがより好ましい。
なお、選択に際しては、先述の「ラボプラストミル」による押し出し試験と、「キャピラリーレオメータ」による測定とを実施すればよい。
このような長鎖分岐を有するポリプロピレン系樹脂としては、電子線や放射線などの活性エネルギー線の照射によって部分架橋が施されて自由末端長鎖分岐が形成されたものや、化学架橋によって自由末端長鎖分岐が形成されたものなどが挙げられる。
すなわち、オレフィンブロックとポリプロピレンブロックとを有するやや高めの溶融張力を示すポリプロピレン系樹脂(ブロックPP)や、ホモポリプロピレン系樹脂(ホモPP)などの一般的なポリプロピレン系樹脂と混合して使用されることが発泡シートの材料コストなどの観点から好ましい。
したがって、押し出し機通過後の溶融張力が6cN以上となるHMS−PPの全ポリマー成分における含有量は25質量%以上であることが好ましく30質量%以上であることがより好ましい。
ただし、過度に配合量を増やしてもそれ以上の効果が得られ難くなる一方で材料コストを増大させることになる。
さらに、いわゆる“縞立ち”と呼ばれる問題を発泡シートに発生させるおそれを有する。
すなわち、前記発泡体が周方向に波打つ状態になってしまい冷却条件や加わるテンションにバラツキが生じる結果、押し出し方向に連続する縞模様が発泡シートに形成されることになる。
すなわち、“縞立ち”を抑制させ得る点において押し出し機通過後の溶融張力が6cN以上となるHMS−PPの全ポリマー成分における含有量は50質量%未満とされることが好ましく45質量%以下とされることが特に好ましい。
このような観点からは、発泡シートの連続気泡率は、13%未満となるように製造されることが好ましく、10%未満の連続気泡率とされることが特に好ましい。
このようなことから前記HMS−PPとしては、押し出し機通過後の溶融張力が10cN以下であることが好ましい。
具体的には、連続気泡率が13%以上となって成形不良を生じさせやすくなるおそれを有する。
さらに、破断点速度が10m/minを超える場合は、得られる発泡シートの剛性が十分なものとならないおそれを有する。
なお、これらのガス成分は単独で使用されても複数併用されてもよい。
この核剤は、例えば、ポリオレフィン樹脂に予め含有させたマスターバッチ方式で発泡シートの形成材料に含有させることができ、前記核剤を5質量%以上、50質量%以下の範囲の内のいずれかのとなるようにポリオレフィン系樹脂に分散させたマスターバッチを用いることで、核剤をより効果的に使用することができる。
この加熱分解型の発泡剤については、10質量%以上、50質量%以下の範囲の内のいずれかの含有量となるようにポリオレフィン系樹脂に分散させてマスターバッチ化することで、より効果的に使用することができる。
例えば、タンデム押出し機の上流側の押出し機にポリプロピレン系樹脂成分などのポリマー成分を導入し、この押出し機中で、例えば、前記ガス成分の溶解に有利な温度条件で前記ポリマー成分の溶融混練を行った後、この押出し機の途中箇所において、例えば、ブタンなどのガス成分を注入してさらに混練を行って、該ガス成分を含む樹脂組成物を下流側の押出し機で押出しに適した温度条件に調整してフラットダイやサーキュラーダイから押出し発泡させて発泡シートを作製する方法などを採用することができる。
したがって、高い発泡倍率を有し外観良好なる樹脂発泡シートを容易に作製させ得る。
また、本実施形態においては、樹脂発泡シートや樹脂発泡シートの製造方法として、発泡シートや発泡シートの製造方法を例示しているが、本発明は、上記例示の発泡シートに限定するものでもない。
例えば、上記のような発泡シートを押し出して発泡層を形成させるとともに非発泡なソリッド層を共押し出しして、2層構造の発泡シートとする場合や、あるいは、両面にソリッド層を有する3層構成の発泡シートとする場合、さらには、4層以上の積層構造を有する発泡シートも本発明の意図する範囲のものである。
この樹脂発泡シートの作製方法においては、発泡樹脂の形成材料を溶融混合するための第1押し出し機として、口径が90mmの単軸押し出し機(上流側押し出し機)と、該単軸押し出し機に接続された口径が115mmの単軸押し出し機(下流側押し出し機)とからなるタンデム型押し出し機を用意し、下流側にサーキュラーダイを接続して押し出しを実施した。
まず、Borealis社から商品名「WB135」として市販のHMS−PPを39質量%、日本ポリプロ社から商品名「BC6C」として市販のブロックPPを45質量%、サンアロマー社から商品名「Q−100F」として市販のTPOを6質量%、日本ポリエチレン社から商品名「KS240T」(結晶化度:26%)として市販のエチレン−α−オレフィン共重合体を10質量%の割合で含むポリマー成分と、これらのポリマー成分の合計量を100質量部とした場合に、0.5質量部となる重曹−クエン酸系発泡剤(大日精化社製マスターバッチ、商品名「ファインセルマスターPO410K」)を含むポリプロピレン系樹脂組成物を上流側の口径が90mmの単軸押し出し機一段目のホッパーに供給し、200℃〜210℃の温度で加熱溶融した後、この溶融樹脂100質量部に対する割合が、4質量部となるようにガス成分であるブタン(イソブタン/ノルマルブタン=35/65質量%)を圧入し混練して発泡性樹脂組成物を作製した。
この押出し発泡によって作製された円筒状の発泡体を直径:414mm×長さ:500mmの冷却用マンドレル上に沿わせて拡径させるとともに、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却し、該マンドレルの周方向に対称となる(180度ひらいた)2点でカッターにより切開して2枚の帯状の樹脂発泡シートを作製した。
この樹脂発泡シートの作製方法においては、まず、発泡樹脂層の形成材料を溶融混合するための第1押し出し機として、口径が90mmの単軸押し出し機(上流側押し出し機)と、該単軸押し出し機に接続された口径が115mmの単軸押し出し機(下流側押し出し機)とからなるタンデム型押し出し機を用意した。
そして、Borealis社から商品名「WB135」として市販のHMS−PPを39質量%、日本ポリプロ社から商品名「BC6C」として市販のブロックPPを45質量%、サンアロマー社から商品名「Q−100F」として市販のTPOを6質量%、日本ポリエチレン社から商品名「KS240T」(結晶化度:26%)として市販のエチレン−α−オレフィン共重合体を10質量%の割合で含むポリマー成分と、これらのポリマー成分の合計量を100質量部とした場合に、0.5質量部となる重曹−クエン酸系発泡剤(大日精化社製マスターバッチ、商品名「ファインセルマスターPO410K」)を含む発泡樹脂層形成用のポリプロピレン系樹脂組成物を上流側の口径が90mmの単軸押し出し機一段目のホッパーに供給し、200℃〜210℃の温度で加熱溶融した後、この溶融樹脂100質量部に対する割合が、4質量部となるようにガス成分であるブタン(イソブタン/ノルマルブタン=35/65質量%)を圧入し混練して発泡性樹脂組成物を作製した。
この発泡性樹脂組成物を、下流側の押し出し機に供給し、発泡性樹脂組成物の温度を低下させ、120kg/時間の吐出量で押し出し機先端に接続された合流金型に供給した。
すなわち、Borealis社から商品名「WB135」として市販のHMS−PPを70質量%、日本ポリエチレン社から商品名「KS240T」(結晶化度:26%)として市販のエチレン−α−オレフィン共重合体を30質量%の割合で含むポリマー成分と、これらのポリマー成分の合計量を100質量部とした場合に2.0質量部となる非イオン性帯電防止剤(花王社製、商品名「TS−2B」)とを含む表面層形成用のポリプロピレン系樹脂組成物を第2押し出し機のホッパーに供給し、200℃の温度で加熱溶融した。
この押出し発泡によって作製された円筒状の発泡体を直径:414mm×長さ:500mmの冷却用マンドレル上に沿わせて拡径させるとともに、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却し、該マンドレルの周方向に対称となる(180度ひらいた)2点でカッターにより切開して2枚の帯状の樹脂発泡シートを作製した。
上記HMS−PP(商品名「WB135」)に関してバージン材ならびに押し出し機(前述のラボプラストミル・2軸押し出し機)を通過させた後の溶融張力及び破断点速度の測定をキャピラリーレオメータを用いて実施した。
この測定を製造ロットの異なるHMS−PP(商品名「WB135」)に対して実施し、押出し機を通過させた後の溶融張力が6cN以上であり且つ押出し機を通過させた後の破断点速度が5m/min以上10m/min以下となる6ロットのものを用いて実施例1〜6の発泡シートを作製した。
また、上記の規定外の6ロットのものを用いて比較例1〜6の発泡シートを作製した。
上記製法2の積層タイプの発泡シートに関して、シート外観を目視にて観察する外観評価を実施した。
そして、この評価においては、シート表面に“ムラ”などが見られる場合を「×」、見られない場合を「○」と判定した。
したがって、前記引張弾性率の測定を実施して、その結果が140MPa以上となった場合を「○」と判定し、140MPa未満となった場合を「×」として判定した。
そして、「成形性」については成形ゾーンが340℃に設定された単発成形機(東成産業株式会社、ユニック自動成形機)に発泡シートを導入し、発泡シートの表面温度が160℃になった時点で高さの異なる突起を設けた成形型で成形することによって評価した。
具体的には、底面積約500mm2で5度の抜き勾配を有する切頭四角錐(天面周囲をR0.5に曲面加工)でA〜Eの5種類(A:高さ27.8mm、B:高さ33.4mm、C:高さ39.0mm、D:高さ44.6mm、E:高さ50.1mm)の高さを有する突起が僅かな隙間を設けて配列された金型によって絞り加工を行って、A、Bの突起で破れが生じないものを「○」と判定し、A、Bいずれかでも破れた場合を「×」として判定した。
これらの結果を、表1に示す。
より具体的には、押し出し機通過後における「溶融張力」及び「破断点引取速度」において上記規定を満足する「WB135」を利用し、「製法1」に基づいて作製した発泡シートは、外観良好で、「成形性」、「強度」に関して上記「○」、「×」判定において合格となるものであり、低い「連気率」を有するものであることが確認された。
以上のことからも、本発明によれば高い強度を有しつつ良好なる外観を有する樹脂発泡シートが得られることがわかる。
Claims (4)
- 高溶融張力ポリプロピレン樹脂を含むポリプロピレン系樹脂成分を主成分とするポリプロピレン系樹脂組成物が押出し機で押出し発泡されて形成された樹脂発泡シートであって、
前記高溶融張力ポリプロピレン樹脂は、バージン材の溶融張力が15cN以上25cN以下でバージン材の破断点速度が2.4m/min以上3.0m/min以下であり、且つ押出し機を通過させた後の溶融張力が6cN以上9.4cN以下で押出し機を通過させた後の破断点速度が5m/min以上10m/min以下であることを特徴とする樹脂発泡シート。 - 前記高溶融張力ポリプロピレン樹脂が、化学架橋によって形成された自由末端長鎖分岐を有している請求項1記載の樹脂発泡シート。
- 高溶融張力ポリプロピレン樹脂を含むポリプロピレン系樹脂成分を主成分とするポリプロピレン系樹脂組成物を押出し機で押出し発泡させて樹脂発泡シートを作製する樹脂発泡シートの製造方法であって、
前記高溶融張力ポリプロピレン樹脂として、バージン材の溶融張力が15cN以上25cN以下でバージン材の破断点速度が2.4m/min以上3.0m/min以下であり、且つ押出し機を通過させた後の溶融張力が6cN以上9.4cN以下で押出し機を通過させた後の破断点速度が5m/min以上10m/min以下となる高溶融張力ポリプロピレン樹脂を用いることを特徴とする樹脂発泡シートの製造方法。 - 前記高溶融張力ポリプロピレン樹脂が、化学架橋によって形成された自由末端長鎖分岐を有している請求項3記載の樹脂発泡シートの製造方法。
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