JP4855138B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡体粒子及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡体粒子、その製造方法、さらに発泡成形体、及びその成形方法に関する。
ポリプロピレン系樹脂発泡体粒子は、その優れた性能とコストのバランスを特徴として、主に、断熱建材用途、自動車部材用途、包装緩衝材用途などに広く使われている。
例えば断熱建材用途としては、ポリプロピレン系樹脂発泡体粒子を成形して得られたポリプロピレン系樹脂の型物発泡成形体が、建築物の床や壁の内部に施工され、市場で広く受け入れられている。
また、自動車用途としては、ポリプロピレン系樹脂発泡体粒子を成形して得られたポリプロピレン系樹脂型物発泡成形体が、フロントやリアのバンパー芯材として用いられている。また、ドアトリムやサンバイザー芯材としてもポリプロピレン系樹脂型物発泡成形体がしばしば用いられている。
さらに例えば、包装緩衝材用途としては、ポリプロピレン系樹脂発泡体粒子を成形して得られる型物発泡成形体が、家電製品などの包装材料や、魚貝類、海産物の通い箱、IT部品の包装材料などにも広く用いられている。
これらの、ポリプロピレン系樹脂発泡体粒子は、このように非常に有用な素材として広く世の中で使われており、その製造方法も多く研究、実施されている。
ポリプロピレン系樹脂発泡体粒子を用いた型物発泡成形の特徴の一つは、複雑な形状の発泡成形体を作成することが可能なことであり、所謂押し出し発泡で得られる発泡ボードでは到底作ることのできない、曲面や、非常に微細な細部形状も成形体として作り出すことが可能なことにある。
ポリプロピレン系樹脂発泡体粒子の製造方法は、所謂ビーズ発泡法という名称で、現在広く世の中において実施されており、その工業的製造法の殆どを占めている。ポリプロピレン系樹脂のビーズ発泡法とは、加圧密閉容器中に水などに分散させたポリプロピレン系樹脂粒子に、炭化水素などの発泡剤を高温高圧下で含浸させた後に、急激に大気圧下へと放出し、所謂予備発泡粒子を製造する方法であり、さらに、その予備発泡粒子を型内に充填し、加熱冷却することにより型内成形物を得ることができる。
このような、ポリプロピレン系樹脂の発泡体粒子の製造方法であるビーズ発泡法は、ポリプロピレン系樹脂の発泡体粒子を作成するのに有用であるが、その製造工程は、工程数が多く、またバッチ式なので連続生産できないという欠点があった。
ビーズ発泡法における最初の工程は、ポリプロピレン系樹脂の再造粒工程である。すなわち、ポリプロピレン系樹脂は、通常数10ミリグラムから数100ミリグラムのペレット形状、もしくは直径1mm以下程度のパウダー形状で多くは供給されているが、これを、発泡剤が内部まで含浸しやすいように、形状を適切な大きさに溶融再造粒する必要がある。すなわち、ポリプロピレン系樹脂の粒子1粒あたりの質量を小さくする為に、押出機を用いて数ミリグラム程度の小さなペレットにする必要がある。
次の工程は、ポリプロピレン系樹脂の発泡剤の含浸工程である。すなわち、最初の工程で適切な大きさのペレットに再造粒されたポリプロピレン系樹脂粒子を、加熱・加圧密閉容器中で水中に分散させ、炭化水素などの発泡剤を含浸させる工程である。
次いで、発泡工程であり、この工程は先の含浸工程において発泡剤が含浸されたポリプロピレン系樹脂を、大気中に放出し、ポリプロピレン系樹脂の発泡体粒子にする工程である。先の発泡工程に次いでなされるのは、発泡工程で得られたポリプロピレン系樹脂の発泡体粒子を水洗、乾燥させる工程であり、付着した余分な水分や不純物を除去する工程である。
このように、ポリプロピレン系樹脂の発泡方法であるビーズ発泡法は、基本的に4段階という多くの工程数を有しており、連続生産に不向きであり、また各工程設備費用、工程管理費用に非常に多くのコストがかかってしまうという問題点があった。
一方、ポリプロピレン系樹脂発泡体の別の製造方法として押出法が挙げられる。押出法は、製造工程としては、押出機を用いてポリプロピレン系樹脂に無機発泡剤などを溶融混練し、ダイスなどを通じて発泡させる押出発泡工程だけが必要であり簡便である。しかも、連続生産が可能なので製造法としても優れている。
しかしながら、結晶性樹脂であるポリプロピレン系樹脂の発泡体を得る場合には、従来の技術では困難であった。すなわち、融点が高く結晶性樹脂であるポリプロピレン系樹脂は、温度に対する溶融張力および溶融粘度の変化が非常に大きいので、発泡を安定的に実施することは難しく、その特性を改良する為に、従来、様々な検討が行われてきた。
例えば特許文献1には、ポリプロピレン系樹脂に多官能モノマーと熱分解型発泡剤を添加し、予め溶融混合し、電子線を照射しポリプロピレン系樹脂を架橋させた後に、更に加熱して熱分解型発泡剤を分解させて発泡させる方法などが開示されている。
また、例えば特許文献2には、特定の固有粘度を有するポリプロピレン(共)重合体と特定の固有粘度を有する高分子量エチレン(共)重合体とを含むプロピレン系重合体組成物を主成分とする樹脂組成物と、不活性の無機ガスまたは揮発性の有機化合物である発泡剤とを、押出機で高温高圧下に溶融混練した後、圧力開放しながら押出機より押出して発泡ストランドとし、ついでこの発泡ストランドをカットして予備発泡粒子とする方法が開示されている。
更に例えば、特許文献3には、押出法で粒子状発泡体を得る方法として円筒状ダイスと、前記ダイス外周面の長さ方向全体又はその一部に突出形成されたガイドと、前記ガイドに滑動可能に挿入された作動部材と、前記押出孔と連通可能な貫通孔をその幅方向の中心が下方に湾曲して前記押出孔に接するようにされたカッティングナイフを備えることを特徴とする方法が開示されている。
更に、特許文献4には、発泡ポリスチレンよりも優れた化学的不活性、耐熱性、剛性および耐衝撃性を有するプロピレン重合体の発泡ビ−ズを得る目的で、発泡剤の存在下にて溶融強度が5〜40cNと溶融状態で高い伸長粘度を有するプロピレン重合体を押し出をするプロピレン重合体の発泡ビーズの製造方法が開示されている。
特開平07−173317号公報 特開2000−159922号公報 特公表2004−525796号公報 特許3656961号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、前処理として架橋工程が必要であり、工程数、およびコストの増加になり連続大量生産には適していないという問題があった。その上、近年、環境問題などによりプラスチック成形品のリサイクル使用などが求められる傾向にある。しかし、ポリプロピレン系樹脂のプラスチック成形品は、リサイクル再生させる過程で溶融再ペレット化などの熱履歴を生じる結果、グラフト体の分解などが比較的容易に生じる為に、発泡に必要な溶融特性を保つことができず、リサイクル性に乏しいという問題があった。
また、特許文献2に記載された方法では、ポリプロピレン樹脂と高分子量ポリエチレン樹脂の混合組成物を用いる必要があり、例えばポリプロピレン系樹脂単独の場合と比較して耐熱性の低下、強度の低下が生じるという問題があった。更に、混合組成物を基本としているが故、リサイクル性に乏しいという問題もある。さらに、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂は分子レベルでは相溶しない為、系は不均質になり、実質上得られる発泡体粒子の発泡倍率も安定的に充分な倍率のものが得られないという難点があった。
更に、特許文献3に記載された方法では、連続的に熱可塑性樹脂組成物を発泡させ、裁断してその予備発泡粒子を作成することが可能であると説明され、熱可塑性樹脂組成物については、いくつかの樹脂の例示の中でポリプロピレン樹脂が挙げられている。
ところが、前述したポリプロピレン樹脂に関しては、その結晶性故に、溶融粘度特性がその融点近傍で著しく変化するので、所謂通常の汎用ポリプロピレン樹脂では高倍率の発泡体を得ることは実質上非常に困難である。そのため、折角のダイス近傍設備を改良した方法を用いても、ポリプロピレン系樹脂自体の改良がされていないと充分な発泡性能を有する発泡体は得られ難かった。
そして更に、例えば特許文献4では、溶融強度が5〜40cNのプロピレン重合体を押し出するプロピレン重合体の発泡ビーズの製造方法が開示されている。しかし、発泡体ストランドが安定的に高倍率で発泡し、且つ均質で十分小さなセルを有するためには、溶融強度としては5〜40cNでは不十分であり、高発泡ストランドを安定的に製造することが実質上難しく、これにより得られる発泡体は断熱性能に劣るという難点があった。
上記のように、従来技術では、ポリプロピレン系樹脂を高倍率に発泡させる為には、一般的にはポリプロピレン系樹脂にグラフト化や架橋変性を施す必要があり、そこにはコストの問題、工程数の問題、倍率の安定性の問題、リサイクル不可の問題があった。
また、押出法でポリプロピレン系樹脂の発泡体粒子を作成する場合、その押出方法として、押出機先端のダイスから直径数ミリのポリプロピレン系樹脂の発泡ストランドを単本もしくは複数本引取り、それを適切なサイズの発泡体粒子にカットする必要がある。熱可塑性樹脂のストランドをペレット状にする為の装置である、所謂ロール型回転刃を有する汎用ペレタイザーを用いると、発泡ストランドは未発泡樹脂ストランドに比べて剛直性に欠ける為、回転カッターの刃が発泡ストランド上を通過しても、発泡ストランドがひしゃげたり、たわんでブレたり、刃にひっかからずに滑ったりしてうまくカットできず、カット面がシャープであり、均一な特性のポリプロピレン系樹脂の発泡体粒子を製造することは到底困難であった。
本発明の目的は、上記問題点に鑑みて、ポリプロピレン発泡体粒子を汎用の型内成形機で容易に成形でき、高発泡倍率であり、密度あたりの強度が大きく、かつリサイクル可能であり、ポリプロピレン系樹脂の発泡体粒子を提供することにある。
また、本発明の別にあり、さらには発泡体粒子を成形して成形体としたときに熱性能、外観に優れる発泡成形体を提供することにある。
本発明は、上記の目的を達成するために鋭意研究を進めたところ、下記の要旨を特徴とする本発明に到達したものである。
(1)230℃における溶融張力が5〜30gであり、直鎖状のポリプロピレン系樹脂を主成分として含む樹脂組成物を、超臨界状態の二酸化炭素を少なくとも含有する発泡剤を用いて10倍以上に発泡させたストランドを粒子状にカットすることにより得られることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡体粒子。
(2)発泡体粒子における最大部の長さLを粒子径としたとき、平均粒子径が2〜8mmである前記(1)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体粒子。
(3)発泡体粒子における最小部の長さをDとしたとき、L/Dが1〜1.8である前記(2)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体粒子。
(4)平均セル径が200μm以下の微細セル構造を有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡体粒子。
(5)(a)230℃における溶融張力が5〜30gであり、直鎖状のポリプロピレン系樹脂を主成分として含むポリプロピレン系樹脂組成物と、超臨界状態の二酸化炭素を少なくとも含有する発泡剤とからなる混合物を作製する工程、(b)ダイス開口部直近の圧力を7〜20MPaとし、前記混合物を大気下に放出して発泡倍率を10倍以上に発泡させたストランドを得る工程、(c)前記ストランドを粒子状にカットする工程、とをこの順序で含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡体粒子の製造方法。
(6)前記ストランドを粒子状にカットする手段がファン型カッター又はスフカッターである前記(5)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体粒子の製造方法。
(7)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡体粒子を型内で加熱用水蒸気圧力3.5〜6kgf/cmで成形するポリプロプレン系樹脂発泡成形体の成形方法。
(8)前記(7)に記載の製造方法によって得られる、熱伝導率が34〜42mW/mKであるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
本発明の発泡体粒子は、発泡率が10倍以上であり、所謂型物発泡成形の成形性に優れる。また、該発泡体粒子を用いて加熱用水蒸気圧力3.5〜6kgf/cmで成形すると、熱性能の優れた型物成形体を得ることができる。さらに、再溶融、加熱混練、ペレット化などをしても、分子鎖切断などによる溶融特性の著しい劣化が生じないので、粉砕物、混練物をそのまま原材料として用いることができ、リサイクルが可能である。
本発明の発泡体粒子の製造方法は、大量に安定的に低コストで連続生産が可能である。また、超臨界状態の二酸化炭素を発泡剤として使用しているので、ポリプロピレン系樹脂組成物と発泡剤が非常に均質に混じり、極めて均一微細なセル構造を有する、ポリプロピレン系樹脂を主とする樹脂組成物の発泡粒子を製造することができる。
本発明の発泡体粒子は、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなるものである。ここでポリプロピレン系樹脂とは、ポリプロピレン単独重合体でもよいし、プロピレンと共重合可能な、プロピレン以外のα−オレフィンの一種又は二種以上との共重合体であってもよい。上記ポリプロピレンと共重合可能なプロピレン以外のα−オレフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。なかでも、押出発泡性や、得られる発泡体の性能が優れることから、比較的分子量の大きなプロピレン単独を用いた重合体や、プロピレンとエチレンとのプロピレンを主体とする共重合体が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂組成物を構成する樹脂はポリプロピレン系樹脂単独でもよいし、ポリプロピレン系樹脂を主成分とし、他の樹脂との組成物であってもよいが、ポリプロピレン系樹脂単独が好ましく用いられる。樹脂組成物を構成する他の樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂のような、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、ポリエチレン系樹脂が好ましく用いられる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂組成物は、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、フェノール系、リン系、アミン系、硫黄系などの酸化防止剤(老化防止剤);熱安定剤;光安定剤;紫外線吸収剤;リン系、窒素系、ハロゲン系、アンチモン系などの難燃剤;滑剤;金属害防止剤;帯電防止剤;充填剤;着色剤;セル造核剤;結晶核剤などの各種添加剤の1種もしくは2種以上を含有してもよい。
上記セル造核剤としては、特に限定されるものではないが、タルク、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、雲母、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、ガラス、石英、シリカ、アルミナ、ノバキュライト、水和アルミナ、鉄、酸化鉄、二酸化珪素、酸化チタンなどが挙げられる。
上記結晶核剤としては、特に限定されるものではないが一般的に、ロジン系の結晶核剤や、ソルビトール系の結晶核剤、燐酸エステル塩系の結晶核剤が挙げられる。ロジン系の結晶核剤としては、ロジン系の樹脂であればよく、特に限定されるものではないが、例えば新日本理化社製ジベンジリデンソルビトール(DBS)などが挙げられる。燐酸エステル塩系の結晶核剤としても、特に限定されるものではないが、例えば旭電化工業社製NA−11などが挙げられる。これらの結晶核剤は単独または複数を併用して用いてもよい。
前記ポリプロピレン系樹脂を主成分として含む樹脂組成物を構成する樹脂は実質上直鎖状である。直鎖状とは、ポリプロピレン系樹脂を構成しているα−オレフィン単量体が実質上相互に1本の紐状に重合したものの集合体であることをいう。これにより、化学架橋や電子線架橋などの架橋構造や、長鎖分岐などのグラフト構造を実質上有しないため、製造や品質の管理が比較的容易である。また、リサイクル時に施される再ペレット化などの工程で受ける再三の熱履歴に対しても、その分子構造の劣化が生じにくい。直鎖状は、C13NMR測定のC13ケミカルシフト、及びピークのスプリット状態を調べる事等で測定することができる。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂は、230℃における溶融張力が5〜30gであることが必要である。ここで溶融張力は、キャピログラフを用い、測定温度230℃、押出速度10mm/分、引き取り速度3.1mm/分によって求めることができる。溶融張力が5g未満であると発泡時にセルの破泡が生じやすく、柔軟性に富む高い発泡倍率の発泡体を得ることが困難である。逆に、溶融張力が30gを超えると発泡時に充分なセルの成長がせず、柔軟性に富む高い発泡倍率の発泡体を得るのが困難である。溶融張力は好ましくは6.5〜20gであり、より好ましくは7.5〜10gである。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂の溶融強度は実質上45〜200cNであることが好ましい。ここでいう溶融強度とは、具体的には、温度200℃で、直径(φ)1.0mmのキャピラリーを通じて得られるプロピレン重合体のストランドを引取り加速度0.012cm/sの一定値で引き取った場合における、ストランド破断時の強度である。本発明のポリプロピレン重合体は、溶融強度として非常に大きい範囲を有することが好ましく、本発明の10倍以上の高倍率の発泡体ストランドを得るためには特に好ましく採用される。溶融強度が45cN以下の場合は、発泡時にセルの破断が頻繁に生じ易く、十分な発泡倍率が得られず、また、200cN以上の場合は、非常に樹脂の溶融強度が高い為、発泡時にセルが十分成長することができず好ましくない。
更に、前記ポリプロピレン系樹脂は、230℃におけるメルトフローレート(MFR)と、230℃における溶融張力(MT)との関係が、下記式(1)を満たすものを主成分とすることが好ましい。ここでMFRは、ASTM−D1238に準ずる測定法により求められる。
Log(MT)>−1.33log(MFR)+1.2 ・・・(1)
本発明でポリプロピレン系樹脂組成物の溶融張力とMFRが上記式(1)を満たす場合には、溶融張力の増大に対し、樹脂の溶融流動性が同時に増大し、発泡の際の押出時における樹脂圧力が適正に保持される。また、発泡時にセルを形成する膜の充分な伸びが得られ、高倍率の発泡体が容易に得られるので熱性能に優れる。
本発明の発泡体は上記のようなポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、その発泡率が10倍以上とするものであり、好ましくは12〜50倍であり、なかでも15〜45倍が好ましい。発泡率が10倍より小さいと、発泡体の大きな特徴である、体積に対する軽量性が充分でなく、単位体積あたりコスト高となり、発泡体の主要市場である、断熱建材用途、自動車部材用途、緩衝材用途などの素材として用いることが殆どできない。また、発泡体粒子を型物成形するときに、成形加熱・加圧時に発泡体粒子の溶融伸び性が劣るため成形性が劣る上に、粒子間が充分に融着しあった型物発泡成形体を得ることが難しい。逆に50倍より大きいと、発泡体を構成するセル膜が薄くなりすぎてセル構造が不均質、不安定になり、発泡体の特徴である圧縮強度などの機械物性の大きな低下が生じる。上記範囲内であると、適切な密度を有し、セル構造が均一微細で安定な市場で有用な発泡体が得られる。
本発明の発泡体の大きさや形状は、成形後の成形体の用途などにより異なるが、発泡体粒子における最大部の長さLを粒子径としたとき、該平均粒子径は2〜8mmであるものが好ましく、特には3〜8mmが好適である。平均粒子径が8mmを超えると所謂成形した後、融着した粒子間の間隙が目立ち、表面性が悪く好ましくない。他方、平均粒子径が2mm未満であると発泡体を押出成形するダイス直径を、例えば、0.1mm程度の小さなものにしなければならず、ダイス加工上の問題が生じ好ましくない。
さらに、発泡体粒子の最小部の長さをDとしたとき、L/Dの値は1〜1.8であることが好ましく、特には1〜1.5が好適である。L/Dが1.8を超えると型物成形を行ったときに型物成形体の充填の均一性が劣り、密度の不均一性や機械物性の不均一性が生じ好ましくない。
発泡体粒子の形状は、球状もしくは円筒状に近い形状が型物成形体の表面性や型物成形体の充填の均一性の点で好ましい。
本発明の発泡体粒子の製造においては、以下に詳述するように適切な溶融樹脂温度、ダイス形状及びダイス部位の圧力損失を設定することで、平均セル径200μm以下の極めて均一微細なセル構造を有する発泡体粒子を製造できる。以下、本発明の発泡体粒子の製造方法について説明する。
本発明の発泡体は、超臨界状態の二酸化炭素を少なくとも含有する発泡剤を用いて製造される。ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物100質量部に対し、超臨界状態の二酸化炭素を含む発泡剤を、好ましくは4〜20質量部、特に好ましくは5〜15質量部用いる。前記値が4質量部未満であると発泡倍率の低下が生じ易く、20質量部を超えると過剰な二酸化炭素による大きな空隙(ボイド)が発泡体中に生じ易く、断熱性能が低下したり、発泡倍率が低下して柔軟性が損なわれる。発泡剤としては超臨界状態の二酸化炭素のみからなるものを用いるのが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂の発泡体粒子の製造方法は、押出機と、先端に取付けられたダイスとを有する発泡装置を用い、上記特定の物性を有するポリプロピレン系樹脂を主成分とするポリプロピレン系樹脂組成物と、超臨界状態の二酸化炭素を少なくとも含有する発泡剤とを混合させ、好ましくは160〜250℃で溶融押出しするものである。溶融押出し温度が160℃未満であると超臨界二酸化炭素の樹脂中への溶解及び拡散が劣り、逆に、250℃を超えるとポリプロピレン系樹脂の熱による分子鎖切断などの劣化が生じはじめるので好ましくない。
また、押出機におけるダイス開口部直近の圧力(圧力損失)は、好ましくは、7〜20MPaである。前記混合物を上記圧力のもとで大気下に放出し、10倍以上の発泡倍率で押出発泡させる。圧力(圧力損失)が7MPa未満であるとポリプロピレン系樹脂中に溶解している超臨界状態の二酸化炭素が押出機内部、及びダイス内部で気化しやすくなり、発泡が装置内部で生じ、セルの合泡、過剰な成長、発泡倍率の低下、著しい外観性の低下が生じ好ましくない。一方、圧力(圧力損失)が20MPaを超えると、セル形成時に大きな剪断がセルにかかりやすくなり、セルの破泡、セル構造の不均一化が生じ好ましくない。このようなセル構造の不均一化は、発泡体を例えば断熱材用途として用いる場合に障害となる。
上記押出機における押出吐出量は1〜1000kg/hrが好ましい。押出吐出量は、押出機の仕様にもよるが、スクリュー径の比較的小さいラボタイプにおいては、概ね1〜50kg/hrが好ましく、スクリュー径の比較的大きい実生産機タイプにおいては、20〜1000kg/hrが好ましい。吐出量が多すぎたり少なすぎたりすると、ダイス部位において発泡に適した圧力損失を保つことが難しくなり、充分な倍率の発泡体を得ることができなかったり、セルが破泡してしまったりする。
使用する押出機は、スクリュー直径(D)が好ましくは40〜80(mm)であり、スクリューの長さをLとしたときのL/Dが好ましくは15〜40であり、2本のスクリューを直列に組み合わせることを基本として構成されるタンデム型の押出機が好ましい。
タンデム型の押出機は、発泡に適したダイス部位の樹脂圧力損失条件と吐出量とを独立に、各スクリューの回転数で制御できるので発泡体の製造方法に適している。
押出機において使用するダイスについてはその形状は問わないが、一つあたりの開口部の圧力損失が7〜20MPaになるように開口部の数、形状、厚みが設計された多ホールダイスなどが挙げられる。上記の条件を満たしたダイスを選択することにより、性能的に満足できる発泡体を得ることができる。
また、押出し発泡後のストランド及びそのカットにより製造された発泡体粒子の外観性、形状の整えやすさの観点から、ダイス開口部は円形が好ましく、開口部の直径が0.1〜2.0mmが好ましく、0.3〜1.0mmがより好ましい。ダイスの深さは0.1〜10mmであることが好ましく、開口部はダイス前面上に複数個備えられていることが好ましい。開口部の直径が0.1mm未満であると、発泡体構成のストランド直径が小さすぎ、ストランド引き取り時にちぎれやすくなり好ましくない。一方、2.0mmを超えるとストランドの直径が大きすぎ、得られる発泡体粒子が大きくなりすぎ、発泡体粒子を型物成形するときに、金型内部に空気を送流する際に、フィードホース内部に詰まりやすくなるという問題が生じ好ましくない。
発泡したストランドをカット(裁断)するにあたっては、特に限定は無いが、ストランド引取り挿入方向に対して垂直に鋭利なプロペラ状の回転刃の連続集合体が接触する、所謂ファン型カッターや、円筒回転体の周囲側面に、薄い鋭利な刃物が刃面を外側に向けて放射状に等間隔で整然と配列したものであり、周囲側面にストランドを巻きつけ、ストランドを押し切る、所謂スフカッターを用いることが、発泡体粒子の切り口を鋭利にしミスカットを少くするため好ましい。
通常のドラム状回転刃を有しているペレタイザーを用いた場合、発泡体粒子の切り口がいびつになったり、充分に裁断しきらずに薄皮で発泡体粒子が部分的に結合している所謂ミスカット品が生じやすくなる問題がある。これらのミスカット品が多く存在すると、発泡体粒子の型内成形時に、型内に発泡体粒子を導入する際に通過するフィードホース内部に発泡体粒子が塊状体として詰まり易くなるという問題がある。また、これらの混粒ミスカット品が型物成形体の表面に位置した場合、表面美麗性の悪化が生じ問題となる。
発泡したストランドは、ダイスから出てから直接連続的にカッターに導入されて裁断され、発泡体粒子になるのが好ましいが、一旦、引き取り時に巻き取り機に巻き付けた後に、カッターに導入されてもよい。
ここで用いられるカッターの刃は充分研磨されて鋭利であるほうが、裁断面が綺麗で好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂の発泡体粒子は、型物成形が可能である。型物成形の方法としては、特に限定はないが、一般的には型物金型内部に発泡体粒子を送流し、充填して加熱融着し成形する方法がとられる。金型内部に充填された発泡体粒子を互いに融着させる為には、水蒸気を加熱媒体として使用するのが一般的であるが、電熱、熱風などその他の加熱媒体を用いてもよい。型物成形で得られた型物発泡成形体は、水などを用いて冷却され、また、収縮やヒケを解消する為に乾燥機で養生するのが好ましい。水蒸気を加熱媒体とする場合は、成形圧力は3.5〜6kgf/cmであることが好ましい。上記圧力が3.5kgf/cm未満であると発泡体粒子間の融着性が劣り、6kgf/cmを超えると発泡体の著しい収縮や変形が生じ易く好ましくない。
得られる成形体は、本発明の発泡体粒子を用いることで外観に優れるものである。成形体の密度は用途にもより特には定められないが、本発明の発泡体粒子を用いるには、15〜150g/lであることが好ましい。
また、得られる成形体は、本発明の発泡体粒子を用いることで、熱伝導率を34〜42mW/mKとすることが可能であり熱性能に優れるものである。
本発明をさらに詳しく説明する為に、以下に実施例を挙げるが、本発明の解釈はこれら実施例に限定されるものではない。実施例と比較例の結果を表1及び表2に示した。それぞれの物性の測定法についても記載した。
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂として、超高分子量体を含有した直鎖状ホモポリプロピレンを用いた(以下、この樹脂を「樹脂A」という)。樹脂Aは230℃におけるMFRが3.3g/10分であり、230℃における溶融張力が7.6gである。一段目に超臨界二酸化炭素供給機((株)カワタ社製CO2−3)からの二酸化炭素供給ラインが装着され、二段目先端にダイス(開口部の直径が0.5mmの8×48列の多ホールダイス)が装着されたタンデム型単軸押出機((株)カワタ社製KGT−50−65)に樹脂Aを供給した。
超臨界二酸化炭素の供給量は1.2kg/hrに設定し、樹脂A100質量部に対して6質量部含有するように押出量を一段目の押出機のスクリュー回転数で調整した。ダイス部位の樹脂圧力は8.7MPaになるように二段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、押出発泡することにより樹脂Aの発泡体ストランドを作製した。次いでスフカッターを用いて表1に示す大きさに裁断し、樹脂Aの発泡体粒子1を得た。
(実施例2)
超臨界二酸化炭素の供給量を1.5kg/hr、樹脂A100質量部に対して超臨界二酸化炭素7.5質量部含有するような押出量、ダイス部位の樹脂圧力を8.9MPaに調整した以外は実施例1と同様に押出発泡を行い、ファン型カッターで裁断を行い、樹脂Aの発泡体粒子2を得た。
(実施例3)
超臨界二酸化炭素の供給量を1.8kg/hr、樹脂A100質量部に対して超臨界二酸化炭素9質量部含有するような押出量、ダイス部位の樹脂圧力を9.2MPaに調整した以外は実施例2と同様に押出発泡、裁断を行い、樹脂Aの発泡体粒子3を得た。
(実施例4)
超臨界二酸化炭素の供給量を1.5kg/hr、樹脂A100質量部に対して超臨界二酸化炭素6質量部含有するような押出量、ダイス部位の樹脂圧力を8.8MPaに調整した以外は実施例2と同様に押出発泡、裁断を行い、樹脂Aの発泡体粒子4を得た。
(実施例5)
実施例1の樹脂Aのかわりに樹脂B(三井化学社製、研究試験用ホモPP)を使用した。樹脂Bの230℃におけるMFRは2.1g/10分であり、230℃における溶融張力は8.5gである。
発泡体粒子の作製は、超臨界二酸化炭素の供給量を1.2kg/hr、樹脂B100質量部に対して超臨界二酸化炭素6質量部含有するような押出量、ダイス部位の樹脂圧力を8.9MPaに調整した以外は実施例2と同様に行い、樹脂Bの発泡体粒子5を得た。
(実施例6)
実施例6で得られた樹脂Aの型物成形体1を、大鳥機械社製粉砕器SKR−25−360を用いて粉砕した後に、大型乾燥機中で180℃で2時間加熱して減容し、リサイクル回収減容粉砕物を得た。得られたリサイクル回収減容粉砕物10質量部と樹脂A90質量部を、実施例1と同じ押出機に供給した。発泡体粒子の作製は、超臨界二酸化炭素の供給量を1.2kg/hr、総ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して超臨界二酸化炭素6質量部含有するような押出量、ダイス部位の樹脂圧力を8.7MPaに調整した以外は実施例2と同様に行い、ポリプロピレン系樹脂の発泡体粒子1を得た。
(実施例7)
実施例1で得られた樹脂Aの発泡体粒子1を、ポリプロピレン系樹脂の発泡体粒子型物成形機(Kurtz社製K68HP5)を用いて成形水蒸気圧力を4.5kg/cmとして成形を実施し、型物成形体1を得た。用いた金型は、発泡体粒子の充填性、表面美麗性が充分に評価できる円盤状成形体の作製用である。金型のサイズは半径15cm、厚み3cmの円盤状であった。
(実施例8)
実施例5で得られたポリプロピレン系樹脂の発泡体粒子1を用いた以外は実施例7と同様に、型物成形を行い、型物成形体1を得た。
(比較例1)
実施例1の樹脂Aのかわりに樹脂C(プライムポリマー社製、J700GP)を使用した。樹脂Cの230℃におけるMFRは5g/10分であり、230℃における溶融張力は1.5gである。
発泡体粒子の作製は、超臨界二酸化炭素の供給量を1.2kg/hr、樹脂C100質量部に対して超臨界二酸化炭素6質量部含有するような押出量、ダイス部位の樹脂圧力を4.2MPaに調整した以外は実施例2と同様に行い、樹脂Cの発泡体粒子6を得た。
(比較例2)
超臨界二酸化炭素の供給量を1.2kg/hr、樹脂A100質量部に対して超臨界二酸化炭素6質量部含有するような押出量、ダイス部位の樹脂圧力を5.1MPaに調整した以外は実施例2と同様に押出発泡、裁断を行い、樹脂Aの発泡体粒子7を得た。
(比較例3)
比較例1で得られた樹脂Cの発泡体粒子6を用いた以外は実施例7と同様に、型物成形を行い、型物成形体6を得た。
(比較例4)
比較例2で得られた樹脂Aの発泡体粒子7を用いた以外は実施例7と同様に、型物成形を行い、型物成形体7を得た。
(1)密度・・・発泡体を20×20×2.5(cm)の試験小片に裁断し、その重量と各辺の長さを正確に計測して発泡体密度(g/l)を算出した。
発泡体密度算出の式
(発泡体密度g/l)=(発泡体質量g)/(発泡体体積l)
(2)熱伝導率・・・JIS A1412に準拠して、型物発泡成形体を20×20×2(cm)の試験小片に裁断し、英弘精機社製の熱伝導率測定装置にて測定した。
(3)平均セル径・・・発泡体を試験小片に裁断し、その断面積を、(株)島津製作所社製SEMスーパースキャン220を用いて電子顕微鏡(SEM)で50倍の倍率にして観察される画像から、無作為に実質2mmの長さにあたる直線を10本引き、その直線上のセル個数を数えることにより平均セル径を次の式により算出して求めた。
(平均セル径μm)=(2000×10)/(10本の直線上にあるセル個数)(4)発泡体粒子L/D・・・発泡体粒子の最大部の長さをL、最小部の長さをDとして、夫々10粒子をノギスで測定し、以下の式により、L/Dを算出した。
(発泡体粒子L/D)=(1/10)×
Σi(i=1〜10)((発泡体粒子の最大部の長さLi)/
(発泡体粒子の最小部の長さDi))
(5)発泡体粒子嵩密度V・・・発泡体粒子を500(ml)の計量カップで採取し、その質量を重量計で測定した。その重量を0.5で割り発泡体の嵩密度V(g/l)を算出した。
(6)発泡体平均粒子径・・・発泡体粒子の最大部の長さをLとして、10粒子をノギスで測定し、以下の式により算出した。
発泡体平均粒子径=(1/10)×
Σi(i=1〜10)(発泡体粒子の最大部の長さLi)
(7)発泡体粒子外観・・・得られた発泡体粒子の外観を目視で観察し形状の特に歪なものや、表面平滑性の特に悪いものを×、そうでないものを○とした。
(8)成形性・・・発泡体粒子を型物成形する際に、汎用成形機で用いることのできる0.8〜6kgf/cmの成形圧力範囲内での成形性の評価を以下のように行った。
○;発泡体粒子間の融着が充分であり、表面の凹凸が著しく顕著でない程の表面美麗性を有し、熱による過大な収縮や変形が無い成形体を得ることができたもの。
△;若干融着性に不具合のあるもの、若干表面に凸凹のあるもの、若干熱による収縮や変形が有るもの。
×;上記のような不具合が多大なものや、成形で形にならないもの。
(9)型物成形体外観・・・型物発泡成形体の外観を目視で観察し、以下のような評価を行った。
○;表面の凹凸が著しく顕著でない程の表面美麗性を有し、かつ形状の特に歪なものや熱変形による過大な収縮や変形が無いもの。
△;若干表面美麗性に欠けているもの、若干表面に凸凹があるもの。
×;上記のような不具合が多大なもの。
表1に、配合組成、押出条件、及び得られた発泡体の物性などを示す。
以上の結果から、実施例1〜7によるストランド及び発泡体粒子の発泡倍率は10倍以上であり、かかる発泡体粒子は外観に優れ、嵩密度が小さく、発泡体粒子の平均セル径も小さいものであった。一方、比較例1、2のストランド及び発泡体粒子は十分な発泡倍率が得られず、発泡体粒子は外観が劣り、嵩密度が大きく、平均セル径も大きいものであった。
このため、実施例1、6の発泡体粒子を特定の水蒸気圧で成形した成形体は、実施例7、8で示されるように、成形性に優れる上に、成形体の外観に優れ、熱性能に優れる発泡体であった。しかし、比較例1、2の発泡体粒子を特定の水蒸気圧で成形した成形体は、比較例3、4で示されるように、成形性が劣るため、良好な成形体が得られなかった。また、市販のビーズ法によって成形された成形体は熱性能が劣るものであった。
また、スフカッターまたはファンカッターによりカットされた発泡体粒子は、切り口が鋭利であり、ミスカットも少量であった。特にスフカッターによってカットされた発泡体粒子はミスカットが少ないものであった。
本発明の発泡体粒子を成形して得られる、熱性能、外観に優れる発泡成形体は、優れた性能とコストのバランスを特徴とし、断熱建材、自動車部材、包装緩衝材などに広く使われる。
Figure 0004855138
Figure 0004855138

Claims (8)

  1. 230℃における溶融張力が5〜30gであり、直鎖状のポリプロピレン系樹脂を主成分として含む樹脂組成物を、超臨界状態の二酸化炭素を少なくとも含有する発泡剤を用いて10倍以上に発泡させたストランドを粒子状にカットすることにより得られることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡体粒子。
  2. 発泡体粒子における最大部の長さLを粒子径としたとき、平均粒子径が2〜8mmである請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体粒子。
  3. 発泡体粒子における最小部の長さをDとしたとき、L/Dが1〜1.8である請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体粒子。
  4. 平均セル径が200μm以下の微細セル構造を有する請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡体粒子。
  5. (a)230℃における溶融張力が5〜30gであり、直鎖状のポリプロピレン系樹脂を主成分として含むポリプロピレン系樹脂組成物と、超臨界状態の二酸化炭素を少なくとも含有する発泡剤とからなる混合物を作製する工程、(b)ダイス開口部直近の圧力を7〜20MPaとし、前記混合物を大気下に放出して発泡倍率を10倍以上に発泡させたストランドを得る工程、(c)前記ストランドを粒子状にカットする工程、とをこの順序で含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡体粒子の製造方法。
  6. 前記ストランドを粒子状にカットする手段がファン型カッターまたはスフカッターである請求項5に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体粒子の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡体粒子を型内で加熱用水蒸気圧力3.5〜6kgf/cmで成形するポリプロプレン系樹脂発泡成形体の成形方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法によって得られる、熱伝導率が34〜42mW/mKであるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
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