JP4543838B2 - プロピレン系樹脂製発泡シートの製造方法 - Google Patents
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Description
プロピレン系樹脂製発泡シートを製造するには、化学発泡剤を用いる場合と物理発泡剤を用いる場合とに大別されるが、コスト面から物理発泡剤が好ましく用いられている。発泡剤として物理発泡剤を用いる場合には、気泡が微細な発泡シートを製造するために、気泡核剤としてタルクとアゾジカルボンアミドを併用することが知られている(例えば特許文献1参照)。
本発明の目的は、気泡が微細であって、かつ、カーテン不良が低減されたプロピレン系樹脂製発泡シートの製造方法を提供することにある。
アゾジカルボンアミド濃度が10〜40重量%のアゾジカルボンアミド系気泡核剤の180℃におけるガス発生速度定数kが0.00074〜0.00101/secとなるように調整する工程と、
下記のメルトテンション測定方法で測定されたメルトテンション(MT(190)単位g)およびJIS K7210に従って、230℃、荷重2.16kgfで測定されたメルトフローレート(MFR(230)単位はg/10分)が下式Aを満足するプロピレン系重合体を含有するプロピレン系樹脂と、前記アゾジカルボンアミド系気泡核剤および物理発泡剤を押出機にて溶融混練し、Tダイから押出す工程と、を有し、
前記押出機から前記Tダイ出口までの滞留時間内における該アゾジカルボンアミド系気泡核剤からのガス発生量Vが0.01〜10cm 3 /gであることを特徴とするプロピレン系樹脂製発泡シートの製造方法を提供するものである。
メルトテンション測定方法:190℃で5分間加熱した5gのサンプルを、ピストン降下速度5.7mm/分で長さ8mm、直径2mmのオリフィスからストランド状に押出して、このストランドを直径50mmのローラーを用いて巻取速度100rpmで巻き取ったときに測定された張力をメルトテンション(MT(190))とする方法。
MT(190)≧7.52×MFR(230) (−0.576) [式A]
MT(190)≧7.52×MFR(230)(-0.576) [式A]
式Aを満たすプロピレン系重合体としては、例えば特開平11−228629号公報に開示された、超高分子量成分を導入したプロピレン系重合体(T)、すなわち、極限粘度が5dl/g以上の結晶性プロピレン系重合体部分(A)を製造する工程および極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン系重合体部分(B)を製造する工程を含む重合方法により得られ、極限粘度が3dl/g未満であり、結晶性プロピレン系重合体部分(A)の割合が0.05重量%以上35重量%未満であるプロピレン系重合体(T)が挙げられる。
プロピレン系樹脂に対する物理発泡剤の添加量は、所望の発泡倍率に応じて適宜設定される。物理発泡剤として炭酸ガスを用いる場合、その添加量は一般に0.1〜2PHRであり、例えば発泡倍率3倍の発泡シートを製造する場合には0.3PHR、発泡倍率5倍の場合には0.6PHR程度である。
一般に気泡核生成のメカニズムは、炭酸ガス等の物理発泡剤による均一核生成と、化学発泡剤やフィラー等を気泡核剤に用いる場合の不均一核生成の2つに大別される。
前者はビール等の炭酸飲料を開栓した場合に気泡が見られるのと同じメカニズムであって、樹脂中に物理発泡剤が溶解、分散された状態から圧力開放によって気泡が生成するメカニズムである。ただし、このメカニズムにおける気泡核生成の活性化エネルギーは高いため、マイクロセルラー発泡を除き、一般に物理発泡剤を用いて発泡シートを製造する場合において、このメカニズムによって発生する気泡核は非常に少ない。
後者の不均一核生成では、気泡核生成の活性化エネルギーを下げることができるため、前者より多くの気泡核を生成させることができる。特に気泡核剤として、タルクなどのフィラーよりも化学発泡剤を用いた方が気泡核を多く生成させることができる。生成する気泡核が少ない場合は、気泡が大きく成長することができるため、気泡が粗大な発泡シートとなる。よって微細な気泡の発泡シートを得るためには、できるだけ多くの気泡核を生成させることが求められる。1つの化学発泡剤粒子から生成させることができる最大気泡核数は1個である。しかしながら従来の成形方法では、化学発泡剤1粒子あたり10-5〜10-2個程度の気泡核しか発生させることができなかった。
またアゾジカルボンアミド系気泡核剤の分解速度を遅くするにつれて、Tダイ出口から押出される発泡シートの端部が波状となる発泡特有のカーテン不良現象を低減できることも見出した。
なお、本発明におけるアゾジカルボンアミド系気泡核剤とは、アゾジカルボンアミド粒子に後述する分解促進剤や分解抑制剤を必要に応じて配合したものである。
アゾジカルボンアミド系気泡核剤のガス発生速度定数kとは、以下の方法で求められる値である。なお押出成形温度とは、プロピレン系樹脂製発泡シートを製造する際にTダイ出口から外部へ押出された直後の樹脂温度であり、Tダイ出口から2〜3mm離れた地点で測定される温度である。
作製した気泡核剤のマスターバッチを正確に1.0g入れた試験管を、押出し成形温度と同じ温度に設定したオイルバス中に挿入し、熱分解して発生するガスをビュレットなどのガラス器具を用いて採集し、20℃、1気圧の状態における発生ガスの体積を経時記録する。別に、気泡核剤マスターバッチを入れずに空の同一形状の試験管を用いて同様に行い、体積を経時記録し、前記の体積から差し引いて測定開始からt秒後までに発生した真のガス発生量を求める。
発生ガスの体積が変化しなくなった数値を飽和ガス発生量A0とすると、時刻tにおける真のガス発生量はA0−Aで表すことができる。このときAとは、時刻tでの残ガス発生可能量である。真のガス発生量および飽和ガス発生量A0から、残ガス発生可能量Aを求めることができる。
Yerofyeevの式(文献:Comptes.Rendus(USSR)、52(1946)、511)である下式4を変形した下式5を用いてガス発生のデータを解析する。
A=A0×EXP(−(k×t)n) [式4]
ln(ln(A0/A))=n×ln(k)+n×ln(t) [式5]
A0:飽和ガス発生量(cm3/g)、A:残ガス発生可能量(cm3/g)
t:時間(s)、n:定数(−)、k:ガス発生速度定数(/s)
式5の左辺であるln(ln(A0/A))をY軸に、時間tの自然対数ln(t)をX軸にしてデータをプロットし、最小二乗法で傾きに対応する定数nと切片に対応するn×ln(k)を求める。これから、ガス発生速度定数kを求めることができる。
従来アゾジカルボンアミド粒子は、熱分解温度が200℃と高いため、プロピレン系樹脂を用いた押出発泡成形において単独で気泡核剤として使用されることはなく、分解促進剤を添加して分解温度を下げて、すなわち分解速度を速めて用いられることが多かった。しかしながら上記の方法で求めた180℃におけるアゾジカルボンアミド粒子単独でのガス発生速度定数kは、粒径によっても若干異なるが、0.00074〜0.00101/secであることから、後述する方法で求められるガス発生量Vが0.01〜10cm3/gとなる条件下においては、アゾジカルボンアミド粒子単体もしくはこれに分解抑制剤や少量の分解促進剤を添加したものをアゾジカルボンアミド系気泡核剤として使用できる。
気泡核剤中に分解促進剤を含有させる場合、その含有量は添加する分解促進剤の種類によって適宜調整すればよいが、通常アゾジカルボンアミド粒子100重量部に対して分解促進剤の重量が1〜300である。また複数の分解促進剤を組み合わせて用いてもよい。
気泡核剤中に分解抑制剤を含有させる場合、その含有量は添加する分解抑制剤の種類によって適宜調整すればよいが、通常アゾジカルボンアミド粒子100重量部に対して分解抑制剤の重量が1〜300である。また複数の分解抑制剤を組み合わせて用いてもよい。
χ=ρs/ρf [式1]
Ncell=(1−ρf/ρs)/〔(4π/3)×(D/20000)3×ρf〕
[式2]
Nnuc=〔m/(100×ρn)〕/〔(4π/3)×(d/20000)3〕
[式3]
χ:発泡倍率(−)
D:平均気泡径(μm)、d:アゾジカルボンアミド粒子の平均粒径(μm)
m:アゾジカルボンアミド粒子の添加量(PHR)
ρs:樹脂密度(g/cm3)、ρf:発泡シート密度(g/cm3)
ρn:アゾジカルボンアミド粒子密度(g/cm3)
Ncell:気泡数密度(個数/樹脂g)
Nnuc:アゾジカルボンアミド粒子数密度(個数/樹脂g)
押出機からTダイ出口までの滞留時間とは、気泡核剤を押出機に投入してからTダイ出口より押し出されるまでの時間である。滞留時間tは、顔料などをトレーサーとして押出機に投入してから、Tダイ出口より押し出されるのが観察されるまでの時間を測定することによって求められる。
滞留時間tと、予め求めたガス発生速度定数k、飽和ガス発生量A0、定数nとを式4に代入することにより残ガス発生量Aを求めることができ、A0およびAから実際に押出し成形を行なった場合のガス発生量V(=A0−A)を求めることができる。
ガス発生量Vを0.01〜10cm3/gとする方法は特に限定されるものではないが、例えば、使用するアゾジカルボンアミド系気泡核剤の選択や、滞留時間tや押出成形温度を適宜設定することによって制御することができる。
一般的な製造方法は、アゾジカルボンアミド系気泡核剤のマスターバッチとプロピレン系樹脂とをペレットブレンドしたものを押出機に投入して溶融混練しながら、該押出機の途中から炭酸ガスのような物理発泡剤を圧入した後、Tダイ出口より押出し成形する方法である。発泡シートは引取機によって引き取られた後、必要に応じて所定のサイズに切断される。使用するアゾジカルボンアミド系気泡核剤は、所望の発泡倍率および気泡径の発泡シートが得られるように選択し、該アゾジカルボンアミド系気泡核剤のガス発生速度定数kが0.0007〜0.003/sec、かつガス発生量Vが0.01〜10cm3/gとなるようにTダイ押出し成形を行なう。ガス発生速度定数kおよびガス発生量Vは、使用するアゾジカルボンアミド系気泡核剤に配合する分解促進剤や分解抑制剤の種類や量、気泡核剤の粒径や添加量、押出成形温度、滞留時間などにより制御することができる。
貼合する薄板状物としては用途に応じて公知のものを使用することができ、例えば、アルミニウムや鉄等の金属、熱可塑性樹脂、紙、合成紙、麻、ガラスウール等からなる薄板状物や、不織布、織布等を挙げることができる。
発泡シートを箱の仕切り板等として使用する場合には、内容物保護のため、発泡倍率の高い他の発泡シートを少なくとも片面に貼合することが好ましい。
熱成形法としては、公知の方法を用いることができ、例えば真空成形や熱罫線加工が挙げられる。本発明で得られる発泡シートは気泡微細であるため、熱成形性に優れている。
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。なお、結晶性プロピレン重合体部分(B)の極限粘度は結晶性プロピレン重合体部分(A)および全体のプロピレン系重合体(T)の極限粘度より特開平11−228629号公報に記載の計算式より求めた。
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。単位はg/10分。
東洋精機社製メルトテンションテスターMT−501D3型を用いて、サンプル量5g、加熱温度190℃、加熱時間5分間、ピストン降下速度5.7mm/分で、長さ8mm、直径2mmのオリフィスからストランドを押し出し、該ストランドを直径50mmのローラーを用いて巻取速度100rpmで巻き取ったときの張力を、メルトテンション(MT)として測定した(単位=g)。
JIS K7112に従い、水中置換法による測定方法を使用し発泡シートの密度ρfを求め、樹脂密度ρsを用いて下式1により発泡倍率χを計算した。
χ=ρs/ρf [式1]
ρs:樹脂密度(g/cm3)、ρf:発泡体密度(g/cm3)
発泡シートの幅方向中央部のシート幅方向断面を20倍の倍率でSEM(走査型電子顕微鏡)観察し、該断面の3mm×3mm中に存在する気泡について解析ソフト(WinRoof Ver5.0(三谷商事株式会社製))を用いて解析し、得られた円相当径を平均気泡径とした。
レーザー回析式粒度分布測定装置であるマスターサイザーMS−2000E Scirocco 2000M**(シスメックス株式会社製、乾式)を用いて測定した。
気泡核剤のマスターバッチを正確に1.0g入れた試験管を、押出成形温度と同じ温度に設定したオイルバス中に挿入し、熱分解して発生するガスをビュレットなどのガラス器具を用いて採集し、20℃、1気圧の状態における発生ガスの体積を経時記録した。別に、気泡核剤マスターバッチを入れずに空の同一形状の試験管を用いて同様に行い、体積を経時記録し、前記の体積から差し引いて測定開始からt秒後までに発生した真のガス発生量を求めた。なお、押出成形温度とは、プロピレン系樹脂製発泡シートを製造する際にTダイ出口から外部へ押出された直後の樹脂温度であり、Tダイ出口から2〜3mm離れた地点で測定された温度と同じ温度に設定した。
発生ガスの体積が変化しなくなった数値を飽和ガス発生量A0とすると、時刻tにおける真のガス発生量はA0−Aで表すことができる。このときAとは、時刻tでの残ガス発生可能量である。真のガス発生量および飽和ガス発生量A0から、残ガス発生可能量Aを求めることができる。
Yerofyeevの式(文献:Comptes.Rendus(USSR)、52(1946)、511)である下式4を変形した下式5を用いてガス発生のデータを解析した。
A=A0×EXP(−(k×t)n) [式4]
ln(ln(A0/A))=n×ln(k)+n×ln(t) [式5]
A0:飽和ガス発生量(cm3/g)、A:残ガス発生可能量(cm3/g)
t:時間(s)、n:定数(−)、k:ガス発生速度定数(/s)
式5の左辺であるln(ln(A0/A))をY軸に、時間tの自然対数ln(t)をX軸にしてデータをプロットし、最小二乗法で傾きに対応する定数nと切片に対応するn×ln(k)を求め、これからガス発生速度定数kを求めた。
顔料をトレーサーとして押出機に投入し、Tダイ出口より押し出されるのを観察することによって滞留時間tを測定した。滞留時間tと、前記求めたガス発生速度定数k、飽和ガス発生量A0、定数nとを式4に代入することにより残ガス発生可能量Aを求め、A0およびAからガス発生量V(=A0−A)を求めた。
特開平11−228629号公報に開示された方法により、プロピレン系重合体粉末を製造した。該プロピレン系重合体粉末は、極限粘度7.7dl/gの結晶性プロピレン重合体部分Aと、極限粘度1.2dl/gの結晶性プロピレン重合体部分Bを有するものであった。なお、AとBの重量比は11:89であり、プロピレン系重合体全体の極限粘度は1.9dl/gであった。
上記プロピレン系重合体粉末100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、商品名イルガノックス1010(チバガイギー株式会社製)0.05重量部、商品名スミライザーBHT(住友化学工業株式会社製)0.2重量部を加えて混合し、230℃で溶融混練し、メルトフローレートMFRが12g/10分であるペレット(プロピレン系樹脂PP1)を得た。このペレットのメルトテンションMTを測定したところ、4.7gであり、[式A]の右辺7.52×MFR(230)(-0.576)は1.80となり、[式A]を満足するものであった。
平均粒径が4.48μm、密度が1.65g/cm3であるアゾジカルボンアミド粒子をエチレン系樹脂に添加してバンバリーミキサーにて120℃で10分間溶融混合し、ペレット化して、アゾジカルボンアミド濃度15重量%の気泡核剤マスターバッチを製造した。
平均粒径が2.3μm、密度が1.095g/cm3であるステアリン酸亜鉛を分解促進剤として使用し、平均粒径が4.48μm、密度が1.65g/cm3であるアゾジカルボンアミド粒子と、アゾジカルボンアミド粒子:ステアリン酸亜鉛=150:100の重量比で混合した。この混合物をエチレン系樹脂に25重量%添加して合計100重量%とし、バンバリーミキサーにて120℃で10分間溶融混合し、ペレット化して気泡核剤マスターバッチを製造した。
分解促進剤として、平均粒径が2.3μm、密度が1.095g/cm3であるステアリン酸亜鉛と、平均粒径が0.4μm、密度が5.5g/cm3である酸化亜鉛とを併用し、平均粒径が4.48μm、密度が1.65g/cm3であるアゾジカルボンアミド粒子と、アゾジカルボンアミド粒子:ステアリン酸亜鉛:酸化亜鉛=100:33:67の重量比で混合した。この混合物をエチレン系樹脂に30重量%添加して合計100重量%とし、バンバリーミキサーにて120℃で10分間溶融混合し、ペレット化して気泡核剤マスターバッチを製造した。
分解促進剤として、平均粒径が2.3μm、密度が1.095g/cm3であるステアリン酸亜鉛と、平均粒径が0.4μm、密度が5.5g/cm3である酸化亜鉛と、平均粒径12μmの尿素とを併用し、平均粒径が4.48μm、密度が1.65g/cm3であるアゾジカルボンアミド粒子と、アゾジカルボンアミド粒子:ステアリン酸亜鉛:酸化亜鉛:尿素=100:33:100:5の重量比で混合した。この混合物をエチレン系樹脂に35.7重量%添加し合計100重量%とし、バンバリーミキサーにて120℃で10分間溶融混合し、ペレット化して気泡核剤マスターバッチを製造した。
平均粒径が1.74μm、密度が1.65g/cm3であるアゾジカルボンアミド粒子をエチレン系樹脂に添加してバンバリーミキサーにて120℃で10分間溶融混合し、ペレット化して、アゾジカルボンアミド濃度15重量%の気泡核剤マスターバッチを製造した。
平均粒径が1.92μm、密度が1.42g/cm3である5−フェニルテトラゾール粒子をエチレン系樹脂に添加してバンバリーミキサーにて120℃で10分間溶融混合し、ペレット化して、5−フェニルテトラゾール濃度15重量%の気泡核剤マスターバッチを製造した。
平均粒径が1.88μm、密度が1.46g/cm3であるヒドラゾジカルボンアミド粒子をエチレン系樹脂に添加してバンバリーミキサーにて120℃で10分間溶融混合し、ペレット化して、ヒドラゾジカルボンアミド濃度15重量%の気泡核剤マスターバッチを製造した。
下記に示す方法にてプロピレン系樹脂製発泡シートを作製した。
押出機として先端にギアポンプを設けた104mmΦ同方向回転2軸押出機(L/D=32、Lはスクリュー有効長さ、Dはスクリュー径)を用い、これにリップ部の樹脂流路幅が1600mmであるTダイを接続して使用した。
発泡シートを構成するプロピレン系樹脂として、参考例1で得られたプロピレン系樹脂PP1(MFR=12g/10分)を25重量部、プロピレン系樹脂PP2(住友化学工業株式会社製、ノーブレンAW191(MFR=11g/10分))を65重量部、直鎖状低密度ポリエチレンPE1(住友化学工業株式会社製、エクセレンFX、CX3502(MFR=4g/10分))を10重量部の配合物(プロピレン系樹脂組成物)を用い、該プロピレン系樹脂組成物に対して、参考例2で得られたアゾジカルボンアミド系気泡核剤マスターバッチ1を1.0PHR混合した。プロピレン系樹脂組成物の密度ρsは0.90g/cm3であった。
前記プロピレン系樹脂組成物およびアゾジカルボンアミド系気泡核剤マスターバッチ1の混合物を、定量フィーダーを経て押出機に投入して溶融混錬を行い、溶融が進んだ位置(L/D=20)で液化炭酸ガス0.30PHRをダイヤフラム式定量ポンプを用いて高圧で注入して十分溶融混練し溶融発泡性樹脂組成物とした後、吐出量160Kg/hとなるようにギアポンプを用いて調整しながらTダイ内へ導入した。Tダイ出口から押出された樹脂温度を、出口から2〜3mm離れた地点で測定したところ、樹脂温度は180℃であった。
Tダイより吐出した発泡シート状物を、ダイ吐出口直後に設置され、約60℃に温調された多数の210Φロールに密着させて冷却し、ニップロールを備えた引取機で引取り、所定寸法に裁断してプロピレン系樹脂製発泡シートを得た。なお、押出機からTダイ出口までの滞留時間は350secであった。
用いた気泡核剤マスターバッチの特性や添加量、得られた発泡シートの評価結果を表1にまとめた。
参考例3で得られたアゾジカルボンアミド系気泡核剤マスターバッチ2を用いた以外は実施例1と同様に行い、用いた気泡核剤マスターバッチの特性や添加量、得られた発泡シートの評価結果を表1にまとめた。
参考例4で得られたアゾジカルボンアミド系気泡核剤マスターバッチ3を用いた以外は実施例1と同様に行い、用いた気泡核剤マスターバッチの特性や添加量、得られた発泡シートの評価結果を表1にまとめた。
参考例5で得られたアゾジカルボンアミド系気泡核剤マスターバッチ4を用いた以外は実施例1と同様に行い、用いた気泡核剤マスターバッチの特性や添加量、得られた発泡シートの評価結果を表1にまとめた。
参考例6で得られたアゾジカルボンアミド系気泡核剤マスターバッチ5を用いた以外は実施例1と同様に行い、用いた気泡核剤マスターバッチの特性や添加量、得られた発泡シートの評価結果を表1にまとめた。
参考例7で得られた5−フェニルテトラゾール気泡核剤マスターバッチ6を用いた以外は実施例1と同様に行い、用いた気泡核剤マスターバッチの特性や添加量、得られた発泡シートの評価結果を表1にまとめた。
参考例8で得られたヒドラゾジカルボンアミド気泡核剤マスターバッチ7を用いた以外は実施例1と同様に行い、用いた気泡核剤マスターバッチの特性や添加量、得られた発泡シートの評価結果を表1にまとめた。
Claims (2)
- プロピレン系樹脂、アゾジカルボンアミド系気泡核剤および物理発泡剤を押出機にて溶融混練し、Tダイから押出し成形するプロピレン系樹脂製発泡シートの製造方法であって、
アゾジカルボンアミド濃度が10〜40重量%のアゾジカルボンアミド系気泡核剤の180℃におけるガス発生速度定数kが0.00074〜0.00101/secとなるように調整する工程と、
下記のメルトテンション測定方法で測定されたメルトテンション(MT(190)単位 g)およびJIS K7210に従って、230℃、荷重2.16kgfで測定されたメルトフローレート(MFR(230)単位 g/10分)が下式Aを満足するプロピレン系重合体を含有するプロピレン系樹脂と、前記アゾジカルボンアミド系気泡核剤および物理発泡剤を押出機にて溶融混練し、Tダイから押出す工程と、を有し、
前記押出機から前記Tダイ出口までの滞留時間内における該アゾジカルボンアミド系気泡核剤からのガス発生量Vが0.01〜10cm3/gであることを特徴とするプロピレン系樹脂製発泡シートの製造方法。
メルトテンション測定方法:190℃で5分間加熱した5gのサンプルを、ピストン降下速度5.7mm/分で長さ8mm、直径2mmのオリフィスからストランド状に押出して、このストランドを直径50mmのローラーを用いて巻取速度100rpmで巻き取ったときに測定された張力をメルトテンション(MT(190))とする方法。
MT(190)≧7.52×MFR(230)(−0.576) [式A] - 前記アゾジカルボンアミド系気泡核剤は、エチレン系樹脂とのマスターバッチである請求項1に記載のプロピレン系樹脂製発泡シートの製造方法。
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