JP5877633B2 - ガラス板用間紙 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂発泡シートからなるガラス板用間紙に関する。特に各種の画像表示機器用のガラスパネル等に用いられるガラス板の包装、梱包等に使用される、ガラス板用間紙に関する。
従来から、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画像表示機器用のガラスパネルに用いられるガラス板の梱包、搬送時に、表面等への傷つきを防止するために、低密度ポリエチレン系樹脂発泡シートが上記ガラス板間に挿入され、該ガラス板と該発泡シートを交互に積み重ねて使用されている。
前記発泡シートをガラス板間に挿入する際には、通常、吸引アーム等が用いられ、ガラス板間に自動的に挿入される。しかし、ガラス板間に自動的に挿入する工程において、発泡シートの垂れ下がり等により発泡シートが折れ曲がり、給紙ミスのトラブルが発生することがあった。このトラブルを防止するために、垂れ下がりの少ない、コシの強い発泡シートが求められている。
従来、使用されている発泡倍率が15〜40倍程度の低密度ポリエチレン系樹脂発泡シートは、軽量で緩衝性には優れるものである(特許文献1)。しかしながら、低密度ポリエチレン系樹脂自体の樹脂特性により、発泡シートとしたときのコシの強さには限界があった。ガラス板用間紙用途としての取り扱い性には改良の余地があり、さらにコシの強い発泡シートが求められている。
また、低密度ポリエチレン系樹脂発泡シートは、コルゲートと呼ばれる周期的な厚みむら、発泡シート全体の波打ち現象を生じ易いものであった。上記発泡シートの波打ちは、ガラス板用間紙として発泡シートを積重ねた状態で使用する場合などに、波打ちの生じた発泡シートほど嵩高くなり、保管スペースや運搬スペースなどが必要以上に大きくなってしまうという問題があった。
また、低密度ポリエチレン系樹脂発泡シートと同程度の緩衝性を有し、剛性の点で低密度ポリエチレン系樹脂発泡シートより優れる発泡シートとして、ポリプロピレン系樹脂発泡シートがあるが、ポリプロピレン系樹脂発泡シートは耐寒衝撃性に劣るという難点があった。
一方、主原料を高密度ポリエチレン系樹脂とすれば、その樹脂特性から、発泡シートに十分な剛性を持たせることは可能である。しかしながら、厚さが薄く、高発泡倍率を有する発泡シートを得ることは困難であった。
特開2007−262409号公報
出願人は、厚みが薄く軽量性を有し、コシの強いガラス板の間紙や容器の仕切り板材や組立容器の厚紙の代替材として使用可能なポリエチレン系樹脂発泡シートとして、低密度ポリエチレン系樹脂と高密度ポリエチレン系樹脂とを用いた、見かけ密度が60〜350g/Lのポリオレフィン系樹脂発泡シートを提案した(特願2009−150766号、先願発明という)。先願発明のポリオレフィン系樹脂発泡シートは、ガラス板間紙としても十分に使用可能ではあるが、用途によっては、更に見かけ密度の低いものが求められている。
本発明は、厚みが薄く、見かけ密度が低く、軽量で緩衝性に優れ、その上コシが強く、ガラス板用間紙としての取り扱い性が良好な、ポリエチレン系樹脂発泡シートからなるガラス板用間紙を提供することを目的とする。
上記の目的を達成すべく検討を行い下記の発明を為した。すなわち、本発明は、
[1]厚みが0.2〜1.5mm、見かけ密度が20g/L以上60g/L未満、坪量が10〜50g/mであるポリエチレン系樹脂発泡シートからなり、該発泡シートの厚み方向の気泡数の平均1.4個以下であると共に、前記発泡シートを構成する樹脂の曲げ弾性率が300MPa以上であることを特徴とするポリエチレン系樹脂発泡シートからなるガラス板用間紙。
[2]前記ポリエチレン系樹脂発泡シートの剥離帯電圧が0.4kV以下であることを特徴とする上記[1]に記載のガラス板用間紙。
[3]前記ポリエチレン系樹脂発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度が110〜120℃であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載のガラス板用間紙。
[4]前記ポリエチレン系樹脂発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度+15℃での溶融張力が20cN以上であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載のガラス板用間紙。
[5]前記ポリエチレン系樹脂発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度+15℃、せん断速度13sec−1での溶融粘度が2000〜10000Pa・sであることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載のガラス板用間紙。
[6]前記ポリエチレン系樹脂発泡シートを構成する樹脂は高分子型帯電防止剤を含有し、該高分子型帯電防止剤の配合量が該ポリエチレン系樹脂100重量部に対して2〜25重量部であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載のガラス板用間紙。
[7]前記ポリエチレン系樹脂発泡シートの少なくとも片面に、ポリエチレン系樹脂層が積層されており、該樹脂層を構成する樹脂は高分子型帯電防止剤を含有し、該高分子型帯電防止剤の配合量が該樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂100重量部に対して5〜120重量部であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載のガラス板用間紙。を要旨とする。
本発明のガラス板用間紙は、特定のポリエチレン系樹脂、特定の見かけ密度、厚み、坪量のポリエチレン系樹脂発泡シートからなり、該発泡シートの厚み方向の気泡数を少なくして気泡壁の厚みを大きくすることにより、見かけ密度が低く軽量であっても、コシが強く、ガラス板用間紙としての取り扱い性が良好なものである。また、本発明のガラス板用間紙を構成するポリエチレン系樹脂発泡シートは、波打ちが少ないので、発泡シートを積み重ねた場合やガラス板間に間紙として使用した場合に、嵩高くならず、積載効率が向上する。また、本発明のガラス板用間紙を構成する発泡シートは、視認性を有することから、間紙を透かしてガラス板を確認することができるなど、取扱い性が向上する。
さらに、本発明のガラス板用間紙においては、ガラス板用間紙を構成する発泡シート、または発泡シートに積層される樹脂層に高分子型帯電防止剤を含有させて帯電防止機能を付与することができる。これにより、ガラス板用間紙を構成する発泡シートの表面抵抗率が低減し、発泡シートに埃などが付着し難くなる効果を奏する。
本発明のガラス板用間紙を構成する発泡シートの幅方向の断面拡大写真である。 発泡シートの垂れ下がり測定方法の説明図である。
本発明のガラス板用間紙として使用されるポリエチレン系樹脂発泡シートについて説明する。
本発明のガラス板用間紙を構成する発泡シートは、シート厚みが0.2〜1.5mm、見かけ密度が20g/L以上60g/L未満、坪量が10〜50g/mであって、該発泡シートの厚み方向の気泡数の平均1.4個以下であると共に、該発泡シートを構成する樹脂の曲げ弾性率が300MPa以上のものである。また、該発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度が110〜120℃であることが好ましい。さらに、該発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度+15℃における、該発泡シートを構成する樹脂の溶融張力が20cN以上であることが好ましい。さらに、該発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度+15℃、せん断速度13sec−1における、該発泡シートを構成する樹脂の溶融粘度が2000〜10000Pa・sであることが好ましい。
本発明のガラス板用間紙を構成する発泡シートは、シート厚みが0.2〜1.5mmのものである。発泡シートの厚みが薄すぎるとガラス板の保護性、緩衝性が不十分となる。一方、発泡シートの厚みが厚すぎる場合には、間紙として発泡シートを積重ねた際に、嵩高くなり、積重ねた厚みが厚くなりすぎて、積載効率が損なわれる。したがって、発泡シートの厚みは、好ましくは0.3〜1.3mm、更に好ましくは0.4〜1.2mmである。
本発明のガラス板用間紙を構成する発泡シートは、見かけ密度が20g/L以上60g/L未満である。見かけ密度が低すぎるとガラス板用間紙として十分なコシの強さを発揮できない。一方、見かけ密度が高すぎるとガラス板用間紙として要求される緩衝性、保護性が低下するおそれがある。このような点から、発泡シートの見かけ密度の上限は、好ましくは55g/Lである。一方、その下限は、好ましくは25g/Lであり、より好ましくは30g/Lであり、特に好ましくは35g/Lである。
本発明のガラス板用間紙に用いられる発泡シートを構成する樹脂は、ポリエチレン系樹脂を主成分とするものである。なお、本明細書におけるポリエチレン系樹脂を主成分とするとは、ガラス板用間紙を構成する発泡シートが、ポリエチレン系樹脂を50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%、特に好ましくは90重量%以上含有することをいう。
前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン成分が50モル%以上の樹脂が挙げられ、具体的には高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体,エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体などの直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、さらにそれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
本発明のガラス板用間紙に使用される発泡シートを構成する樹脂としては、特に、高密度ポリエチレン系樹脂を主成分とするものであることが好ましい。また、該発泡シートを構成する樹脂の密度は930g/L〜970g/Lであることが好ましい。
なお、本明細書における高密度ポリエチレン系樹脂を主成分とするとは、発泡シートを構成する樹脂が、高密度ポリエチレン系樹脂を50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上含有することをいう。
具体的には、高密度ポリエチレン系樹脂のみからなる樹脂、又は、高密度ポリエチレンに、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとのエチレン系共重合体(但し、炭素数3〜10のα−オレフィン成分単位が10モル%を超えて50モル%以下)等の低密度ポリエチレンを配合した2種以上の混合物を、発泡シートを構成する樹脂とすることが好ましい。特に、発泡シートの脆性を改善するという観点からは、前記低密度ポリエチレンを配合した混合物を、発泡シートを構成する樹脂として用いることが好ましく、前記低密度ポリエチレンの配合量は30重量%以下であることが好ましく、更には20重量%以下であることが好ましい。
発泡シートを構成する樹脂には、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、エチレンプロピレンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のエラストマー等が含まれていてもよい。その場合の含有量は30重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましく、20重量%以下が特に好ましい。また、発泡シートを構成する樹脂は、本発明の目的効果を阻害しない範囲において、例えば、造核剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、気泡調整剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の機能性添加剤、無機充填剤等を含有していても良い。
さらに、本発明のガラス板用間紙に使用される発泡シートを構成する樹脂は、曲げ弾性率が300MPa以上である。好ましくは400MPa以上であり、より好ましくは500MPa以上である。該曲げ弾性率が低すぎる場合には、曲げ剛性が低くなり、コシの強さが不足し、取扱い性が低下する虞がある。一方、その上限値は2000MPaが好ましく、より好ましくは1800MPaであり、更に好ましくは1500MPaである。該曲げ弾性率が高すぎると、緩衝性が低下してしまう虞がある。上記曲げ弾性率を満足する樹脂としては、例えば高密度ポリエチレンを主成分とするものが挙げられる。
前記曲げ弾性率の測定方法は、JIS K7171(1994年)に準じ、厚み2mm×幅25mm×長さ40mmの試験片を用いて、スパン間距離30mm、圧子の半径R1が5.0mm、支持台の半径R2が2.0mm、試験速度が2mm/分の条件で測定され、算出された値を採用する。なお、発泡シートを構成する樹脂の試験片としては、発泡シート(樹脂層が設けてある発泡シートの場合には、樹脂層を取り除いたもの)を加熱プレス、冷却プレスを使用して脱泡して非発泡の樹脂とし、該非発泡の樹脂を複数重ね合わせて、加熱プレス、冷却プレスを使用して前記した試験片の厚みの非発泡樹脂シートを得、該非発泡樹脂シートから上記試験片寸法に切り出されたものを使用する。
本発明のガラス板用間紙を構成する発泡シートにおける優れた剛性は、主に、発泡シートを構成する樹脂の曲げ弾性率が300MPa以上であると共に、発泡シートの厚み方向の気泡数の平均1.4以下であるという構成の組合せにより発現するものである。即ち、厚み方向の気泡数の平均1.4以下の発泡シートは、発泡シートの見かけ密度との兼ね合いから気泡膜の厚みが厚いものとなり優れた剛性を有する。さらに、発泡シートを構成する樹脂の曲げ弾性率が300MPa以上であるポリエチレン系樹脂とすることにより、コシが強い発泡シートとなる。
発泡シートの厚み方向の気泡数の下限は、発泡シートの見かけ密度や厚み、坪量にも関連するが、概ね0.8個以上である。なお、発泡シートの厚み方向の気泡数が1個未満となる場合には、発泡シート表面の一部に、気泡が存在しない凹状の箇所が生じるようになり、表面性(発泡シートの厚み精度)や外観、強度が低下するおそれがある。上記観点から、発泡シートの厚み方向の気泡数の下限は、0.9個であることが好ましく、更には1個であることが好ましい。一方、気泡数の上限が2個を超える場合には、コシの強さを維持することが困難となるおそれがある。
さらに、本発明のガラス板用間紙を構成する発泡シートは、視認性を有し、間紙を透かして見ることが可能である。この視認性は、ガラス板用間紙を構成する発泡シートの厚み方向の気泡数の平均1.4以下であることにより発現される。従来の発泡シートでは、厚み方向の気泡数が多いことから、視認性を有する発泡シートを得ることは困難であった。本発明のガラス板用間紙を使用した場合には、ガラス板へ間紙を配置した際に、間紙を透かしてガラス板の状態を確認できるなど、取扱い性が向上する。
本発明において、発泡シートの厚み方向の気泡数の測定は、発泡シートの全幅に亘って幅方向に等間隔に10箇所、測定箇所を定める。該測定箇所の厚み方向の気泡数(個数)を求め、各測定箇所の厚み方向の気泡数の算術平均値を、本発明における厚み方向の気泡数(個数)とする。なお、上記各測定箇所の厚み方向の気泡数は、測定箇所を100倍に拡大した発泡シート幅方向断面写真を撮影し、得られた写真上の発泡シート厚み方向に直線を引き、該直線と交わる気泡の数を全てカウントすることにより求められる値である。なお、該断面拡大写真において、写真上の大部分を占める気泡と明らかに異なる微細な泡が見られる場合は、その微細な泡は気泡数としてカウントしないものとする。
本発明において、ガラス板用間紙を構成する発泡シートの坪量は10〜50g/mである。坪量が小さすぎるとコシの強さが十分発揮できない虞があり、一方、大きすぎると取扱い性が低下し、またコスト高をまねくことになる。このような点から坪量は、好ましくは15〜45g/mであり、更に好ましくは20〜40g/mである。
前記坪量の測定方法は、前記発泡シートから、縦25mm×横25mm×発泡シートの厚みの試験片を切り出して、該試験片の重量(g)を測定し、該重量を1600倍して、単位換算することで坪量(g/m)を求めることができる。
本発明のガラス板用間紙に使用される発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度は110〜120℃であることが好ましい。上記範囲を満足することにより、より剛性があり、コシの強い発泡シートとなる。また、結晶化温度は、シート厚みが薄い、高発泡の発泡シートを製造する際の押出発泡温度における発泡成形性と密接に関連する。結晶化温度が上記範囲である発泡シートを構成する樹脂としては、高密度ポリエチレン系樹脂を主成分とするものが挙げられる。
発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度は、JIS K7121(1987)に基づき熱流束示差走査熱量測定により得られるDSC曲線から求めることができる。
具体的には、発泡シートから切り出した試料を2〜4mg採取し、熱流束示差走査熱量計を用いて、加熱速度10℃/分で、23℃から200℃まで加熱し、この温度に10分間保った後、10℃/分の冷却速度で30℃まで冷却することにより測定することができる。このとき冷却時に得られたDSC曲線において、結晶化による発熱ピークの頂点の温度を結晶化温度(CP)とする。尚、結晶化による発熱ピークが2つ以上現れる場合には、最も面積の大きな結晶化ピークの頂点温度を結晶化温度とする。
該発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度+15℃における、該発泡シートを構成する樹脂の溶融張力は、20cN以上であることが好ましい。発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度+15℃における溶融張力が20cN以上であれば、より容易に押出発泡時の気泡の破泡を防止でき、気泡形状を維持することが可能となる。従って、厚み方向の気泡数が2個以下に制御され、波打ちが抑制された、見かけ密度が低い発泡シートをより容易に得ることができる。尚、結晶化温度+15℃という条件は、発泡シートを得る際の押出発泡温度に対応するものである。
本発明において、上記溶融張力の要件を満足する発泡シートが得られるポリエチレン系樹脂としては、例えば、市販の東ソー株式会社製ポリエチレン(グレード名:08S55A)を挙げることができる。
本発明の発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度+15℃での溶融張力は、例えば、以下のようにして、東洋精機製作所製メルトテンションテスターII型によって測定することができる。
具体的には、オリフィス孔径2.095mm、長さ8mmのオリフィス及び径9.55mmのシリンダーを有するメルトテンションテスターを用い、シリンダー内に投入された樹脂の温度を事前に前述の熱流束示差走査熱量計を用いた測定によって得られた樹脂の結晶化温度+15℃に制御して、4分間静置した後に、上記シリンダー内の溶融樹脂を速度10mm/分の条件でピストンにより押し込み、シリンダー下端に設置された上記オリフィスから紐状に押し出す。この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛けた後、1.3×10−2m/s 程度の加速度で15.7m/sまで引き取り速度を増加させて、溶融張力を測定する。尚、15.7m/sまで到達せず、紐状物が切断するときは切断時点の引き取り速度での計測値とする。
張力検出用プーリーと連結する検出器により検出される紐状物の溶融張力を経時的に計測し、縦軸に溶融張力(cN)を、横軸に時間(秒)をとったチャートに示すと、振幅をもったグラフが得られる。次に振幅の安定した部分の振幅の中央値(X)をとる。本発明ではこの値(X)を溶融張力とする。尚、測定に際し、まれに発生する特異的な振幅は無視するものとする。発泡シートを構成する樹脂の溶融張力測定用試料を調整する場合には、発泡シートを真空オーブンにて加熱し脱泡したものを試料とし、その際の真空オーブンでの脱泡条件は、発泡シートを構成しているポリエチレン系樹脂の融点以上の温度、かつ減圧下の状態とすることにより測定することができる。
また前記発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度+15℃、せん断速度13sec−1における、前記発泡シートを構成する樹脂の溶融粘度は2000〜10000Pa・sであることが好ましい。発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度+15℃、せん断速度13sec−1における溶融粘度が前記の範囲であれば、押出機中で発泡性溶融樹脂から発泡剤が分離し放散されることがなく、より容易に見かけ密度の低い発泡シートを得ることができる。前記溶融粘度は2500〜8000Pa・sが好ましく、3000〜7000Pa・sであることがより好ましく、特に3000〜5000Pa・sであることがさらに好ましい。
前記溶融粘度は、例えば、東洋精機製作所製キャピログラフ1D等によって測定することができる。尚、発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度は、前述のJIS K7121(1987)に基づく熱流束示差走査熱量測定により得られるDSC曲線から求めることができる。
具体的には、オリフィス孔径2.095mm、長さ8mmのオリフィス及び径9.55mmのシリンダーを有するキャピログラフ1Dを用い、シリンダー内に投入された樹脂の温度を、事前に前述の熱流束示差走査熱量計を用いた測定によって得られた結晶化温度+15℃の温度に制御し、4分間静置した後に、上記シリンダー内の溶融樹脂を速度10mm/分の条件でピストンにより押し込み、シリンダー下端に設置された上記オリフィスから紐状に押し出す。このときピストンにかかる荷重から粘度を算出することができる。尚、せん断速度13sec−1の条件は、溶融張力の測定条件に対応させたものである。発泡シートを構成する樹脂の測定用試料を調整する場合には、発泡シートを真空オーブンにて加熱し脱泡したものを試料とし、その際の真空オーブンでの脱泡条件は、発泡シートを構成しているポリエチレン系樹脂の融点以上の温度、かつ減圧下の状態とする。
前記発泡シートを構成する樹脂の引張破断伸びは、10〜150%であることが好ましい。上記範囲内であれば、押出発泡時に発泡シートに発生する裂けをさらに防止することができる。上記観点から、好ましくは15〜130%、更には20〜100%であることが好ましい。
前記引張破断伸びの測定方法は、JIS K7127(1989年)に準拠した1mm厚みの2号型試験片のサンプルを用い、JISK7127(1989年)の引張破壊伸びの測定方法に準拠して測定される。この場合、前記サンプルを23℃、湿度50%の条件下、24時間放置後、試験速度500mm/分で引張試験を行い、試験片が破断した時のつかみ具間距離の増加量を、標線間距離25mmで除した値を算出する。上記測定を5回行い、得られた引張破断伸びの相加平均値を採用することとする。発泡シートを構成する樹脂の測定用試料を調整する場合には、発泡シートを真空オーブンにて加熱し脱泡したものを試料とし、その際の真空オーブンでの脱泡条件は、発泡シートを構成しているポリエチレン系樹脂の融点以上の温度、かつ減圧下の状態とすることにより測定することができる。
本発明のガラス板用間紙を構成する発泡シートにおいては、高分子型帯電防止剤を添加することにより、発泡シートの表面抵抗率を1×10〜1×1014Ω/□にすることができる。該表面抵抗率が上記範囲内であれば、十分な帯電防止特性が得られ、発泡シートの表面に埃が付着し難くなり、ガラス板用間紙としてより好適となる。上記観点からは、該表面抵抗率は、5×1013Ω/□以下が好ましく、1×1013Ω/□以下がさらに好ましい。
本発明における表面抵抗率は、下記の試験片の状態調節を行った後、JIS K6271(2001)に準拠して測定される。すなわち、測定対象物である発泡シートから切り出した試験片(縦100mm×横100mm×厚み:測定対象物厚み)を温度20℃、相対湿度30%の雰囲気下に36時間放置することにより試験片の状態調節を行い、印加電圧500kVの条件にて、電圧印加を開始して1分経過後の表面抵抗率を測定する。
発泡シートの表面抵抗率を1×10〜1×1014Ω/□にするためには、発泡シートを構成する樹脂の高分子型帯電防止剤の配合量が、発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂100重量部に対して、2〜25重量部であることが好ましい。上記範囲内であれば、所望の帯電防止性能を発揮でき、発泡の妨げになることもない。かかる観点から、高分子型帯電防止剤の配合量は、3〜20重量部が好ましく、4〜15重量部がより好ましい。
高分子型帯電防止剤の数平均分子量は、2000以上、好ましくは2000〜100000、更に好ましくは5000〜60000、特に好ましくは8000〜40000である。従って、該帯電防止剤は、界面活性剤からなる帯電防止剤とは区別される高分子型の帯電防止剤である。尚、該高分子型帯電防止剤の数平均分子量の上限は概ね1000000である。高分子型の帯電防止剤の数平均分子量を前記の範囲とすることにより、ガラス板へ帯電防止剤が移行してガラス板表面を汚染することが防止される。
なお、前記数平均分子量は、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて求められる。例えば、高分子型帯電防止剤がポリエーテルエステルアミドやポリエーテルを主成分とする親水性樹脂の場合にはオルトジクロロベンゼンを溶媒として試料濃度3mg/mlとし、ポリスチレンを基準物質としてカラム温度135℃の条件にて測定される値である。なお、前記溶媒の種類、カラム温度は、高分子型帯電防止剤の種類に応じて適宜変更される。
本発明で使用される高分子型帯電防止剤としては、体積抵抗率が10〜1011Ω・
cmの親水性樹脂と、ポリオレフィンとの共重合体が挙げられる。該親水性樹脂としては、ポリエーテルジオール,ポリエーテルジアミン,及びこれらの変性物等のポリエーテル、ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステルアミド,ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルアミドイミド,ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステル、ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルアミド,ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルウレタン等のポリエーテル含有親水性樹脂、非イオン性分子鎖で隔てられた2〜80個、好ましくは3〜60個のカチオン性基を分子内に有するカチオン性ポリマー、及びスルホニル基を有するジカルボン酸とジオール又はポリエーテルとを必須構成単位とし、かつ分子内に2〜80個、好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマーが使用できる。
また高分子型帯電防止剤としては、ポリエチレン系樹脂との相溶性を向上させ、優れた帯電防止効果を与えると共に、帯電防止剤を添加することによる物性低下を抑制する効果を得るために、ポリエチレン系樹脂と同種或いは相溶性の高い樹脂をブロック共重合させたものが好ましく、例えば、ポリオレフィンのブロックと、体積抵抗率が10〜1011Ω・cmの上記親水性樹脂のブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有する数平均分子量(Mn)が2000〜60000のブロック共重合体が挙げられる。これらの中でも、ポリエーテルとポリオレフィンとのブロック共重合体が前記相溶性にも優れているので好ましい。
尚、上記ポリオレフィンのブロックと親水性樹脂のブロックとは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有する。
また、高分子型帯電防止剤として好ましく用いられる前記共重合体のポリオレフィンのブロックとしては、カルボキシル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン、カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィンが好ましい。
上記のような高分子型帯電防止剤として、例えば、特開平3−103466号公報、特開2001−278985号公報に記載の組成物が挙げられる。特開平3−103466号公報記載の組成物は、(I)熱可塑性樹脂、(II)ポリエチレンオキサイドまたは50重量%以上のポリエチレンオキサイドブロック成分を含有するブロック共重合体、及び(III)上記(II)中のポリエチレンオキサイドブロック成分と固溶する金属塩からなるものであり、特開2001−278985号公報記載の組成物は、ポリオレフィン(a)のブロックと、体積抵抗率が1×10〜1×1011Ω・cmの親水性樹脂(b)のブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有する数平均分子量(Mn)が2000〜60000のブロック共重合体である。上記(a)のブロックと(b)のブロックとは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するものである。このような高分子型帯電防止剤は、例えば三井・デュポンポリケミカル株式会社製「SD100」、三洋化成工業株式会社製「ペレスタット300」などの商品名で市販されている。
本発明のガラス板用間紙を構成する発泡シートにおいては、前記発泡シートの少なくとも片面に樹脂層を積層した発泡シート(以下、積層発泡シートということがある)とすることができる。樹脂層を積層することにより、発泡シートの機械的強度が向上し、さらに樹脂層に前記高分子型帯電防止剤を配合すれば、発泡シートに配合する場合に比較して少量の配合量であっても、表面抵抗率を1×10〜1×1014Ω/□にすることができる。
前記樹脂層を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、具体的には、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするものを挙げることができる。該ポリオレフィン系樹脂は50モル%以上のオレフィン成分を含む樹脂である。該ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。さらに、樹脂層を構成する樹脂に配合される他の樹脂や添加剤等は、発泡シートについて前記したものと同様のものを使用することができる。発泡シートと樹脂層を構成する樹脂は同一である必要はなく、両者が積層可能でありさえすれば、前記した樹脂の範疇の中で採用することもできる。尚、製造安定性の観点からは、ポリエチレン系樹脂を樹脂層とすることが特に好ましい。
具体的には、ポリエチレン系樹脂層を発泡シートに積層し、該樹脂層を構成する樹脂が高分子型帯電防止剤を含有する場合には、該樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂100重量部に対して、高分子型帯電防止剤の配合量が5〜120重量部であることが好ましい。該配合量が上記範囲内であれば、十分な帯電防止特性を発揮することが可能となる。かかる観点から、樹脂層への高分子型帯電防止剤の添加量は、該樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂100重量部に対して、より好ましくは10〜100重量部、更に好ましくは10〜55重量部である。
本発明のガラス板用間紙を構成する発泡シートに樹脂層が積層された発泡シートである場合、樹脂層の坪量は一方の面あたり、0.5g/m以上が好ましく、より好ましくは0.7g/m以上であり、更に好ましくは1.0g/m以上である。該樹脂層の坪量測定の方法は、樹脂層が積層された積層発泡シートの垂直断面を顕微鏡などで適宜拡大して、樹脂層の厚みを等間隔に幅方向に10点測定し、得られた値の算術平均値を樹脂層の平均厚みとし、該平均厚みに樹脂層を構成している基材樹脂の密度を乗じ、単位換算して樹脂層の坪量(g/m)を求めることができる。ただし、この方法は樹脂層と発泡シートの界面が明確な場合に限られる。樹脂層と発泡シートの界面が不明な場合の坪量測定は、積層発泡シートが共押出や押出ラミネーションによって製造される場合、積層発泡シートを製造する際に、押出発泡条件の内、樹脂層の吐出量X[kg/時]と、得られる積層発泡シートの幅W[m]、積層発泡シートの単位時間あたりの長さL[m/時]から、以下の式(1)により樹脂層の坪量[g/m]を求めることができる。なお、発泡シートの両面に樹脂層を積層する場合には、それぞれの樹脂層の吐出量からそれぞれの樹脂層の坪量を求める。
(数1)
坪量[g/m]=〔1000X/(L×W)〕・・・(1)
なお、熱ラミネーションによりフィルムを積層して樹脂層を設ける場合、樹脂層の坪量は積層前に既知のフィルムの坪量が樹脂層の坪量に相当する。
本発明のガラス板用間紙を構成するポリエチレン系樹脂発泡シートは、波打ちが少なく、発泡シートを積み重ねた場合、嵩高くならないことから、搬送時の輸送効率が高いものである。この波打ちが少ない発泡シートとなるのは、曲げ弾性率が300MPa以上であるポリエチレン系樹脂を使用し、且つ厚さ方向の平均気泡数の平均1.4以下に制御することにより達成される。
なお、発泡シートをガラス板用間紙として用いた場合には、ガラス板上に配置した際に、間紙とガラス板との界面で電荷の移動が生じ、ガラス板から間紙を剥がすと、それぞれの表面上に移動した電荷が残って帯電した状態になることがある(以下、この現象を剥離帯電ということがある)。この剥離帯電が生じると、剥離帯電に起因する静電気により、間紙をガラス板からはがした時に、ガラス板に埃などが付着し易くなったり、ガラスが帯電することによるトラブルが発生したりするおそれがある。
本発明のガラス板用間紙を構成する発泡シートは、曲げ弾性率が300MPa以上の剛性を有するポリエチレン系樹脂を使用し、且つ厚さ方向の気泡数の平均1.4以下であることから、前記発泡シートをガラス板用間紙として用いた際に、ガラス板と間紙との接触を減らすことができ、従来よりも剥離帯電を低減することが可能となる。
また、上記のように高分子型帯電防止剤を配合し、発泡シートの表面抵抗率を上記範囲とすることで、剥離帯電をさらに低減することができる。
次に、本発明のガラス板用間紙を構成するポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法について説明する。本発明のガラス板用間紙を構成する発泡シートは、押出発泡により製造することができる。例えば、上記要件を満足するポリエチレン系樹脂と必要に応じて添加される高分子型帯電防止剤(以下、ポリエチレン系樹脂と必要に応じて配合される高分子型帯電防止剤とを、発泡シート形成用樹脂組成物ということがある)とを押出機に供給し、加熱溶融して樹脂溶融物とする。この際、気泡調整剤などの添加剤を添加することができる。次いで、該樹脂溶融物に物理発泡剤を圧入し、さらに混練して発泡シート形成用発泡性樹脂溶融物とし、押出機内において該発泡性樹脂溶融物を発泡可能な温度に調整し、環状ダイを通して大気中に押出して、該発泡性樹脂溶融物を発泡させて筒状発泡体を形成し、該筒状発泡体の内面を、円柱状冷却装置に沿わせて冷却しつつ引取りながら切り開くことにより、発泡シートとして得ることができる。なお、前記環状ダイ、押出機、円柱状冷却装置、筒状発泡体を切り開く装置等は、従来から押出発泡の分野で用いられてきた公知のものを用いることができる。なお、環状ダイの代わりにフラットダイを用いて押出発泡することもできる。
前記物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のフッ化炭化水素等の有機系物理発泡剤、酸素、窒素、二酸化炭素、空気、水等の無機系物理発泡剤、アゾジカルボンアミド等の分解型発泡剤が挙げられ、これらを併用することもできる。上記した物理発泡剤は、2種以上を混合して使用することが可能である。これらのうち、特にポリエチレン系樹脂との相溶性、発泡性の観点から有機系物理発泡剤が好ましく、中でもノルマルブタン、イソブタン、又はこれらの混合物を主成分とするものが好適である。
物理発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、目的とする見かけ密度に応じて調整することができる。例えば、発泡剤としてイソブタンを用いて前記の密度範囲の発泡シートを得るためには、イソブタンの添加量はポリエチレン系樹脂と高分子型帯電防止剤の合計100重量部当たり7〜25重量部、好ましくは8〜23重量部、より好ましくは9〜20重量部である。
主要な添加剤として、通常、気泡調整剤が添加される。気泡調整剤としては有機系のもの、無機系のもののいずれも使用することができる。無機系気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。また有機系気泡調整剤としては、リン酸−2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。またクエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。気泡調整剤の添加量は、目的とする気泡径に応じて調節することができ、タルクを用いた場合ポリエチレン系樹脂100重量部当たり、0.1〜2重量部、好ましくは1〜1.5重量部である。
発泡シートの厚み方向の気泡数を2個以下にコントロールする方法としては、気泡調整剤の添加量を少なく調整し、環状ダイ先端に平行ランドを有するリップを設け、発泡性樹脂溶融物の厚み方向への膨張(スエル)を押えながら押出すことにより調整することができる。また、コルゲートの発生を防ぎながら、平行ランドにおいて若干せん断発熱を誘発させて、気泡同士の結合を図ることで厚み方向の気泡数をコントロールする方法が挙げられる。
上記方法において、発泡シートの厚み方向の気泡数を少なく制御するために気泡調整剤の使用量を通常使用される量よりも少なくする場合には、気泡調整剤の押出機内での分散状態が不安定になりやすくなるおそれがある。気泡調整剤の分散が不均一である場合には、発泡シートの一部に気泡調整剤が偏って存在し、発泡が不均一となり緩衝性が低下したり、発泡シート表面に非発泡の凹状箇所が発生して外観が低下したりする虞がある。気泡調整剤を均一に分散させるという観点から、前記発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度+15℃における溶融粘度は、上記範囲であることが好ましい。
樹脂層を発泡シートに積層する場合には、予め製造した発泡シートの表面にフィルムを熱ラミネーションにより積層する方法や、押出ラミネーションにより積層する方法で製造することができる。また、共押出発泡法により製造することもできる。これらの方法の中では、発泡シートを共押出発泡法により製造することが、樹脂層の厚みを薄くできると共に、樹脂層と発泡シートとの間の接着力をより強くすることができることから好ましい。
共押出発泡法により積層発泡シートを製造する方法には、共押出用フラットダイを用いてシート状に共押出発泡させて積層する方法と、共押出用環状ダイを用いて筒状積層発泡体を共押出発泡し、次いで筒状発泡シートを切り開いてシート状の積層発泡シートとする方法等がある。これらの中では、共押出用環状ダイを用いる方法が、発泡シートの波打ち現象の発生を抑えることや、幅が1000mm以上の幅広の積層発泡シートを容易に製造することができるので、好ましい方法である。
前記共押出用ダイを用いて共押出する場合、共押出用ダイに発泡シート形成用押出機と樹脂層形成用押出機とが接続された装置を用いる。
まず、前記したように、発泡シート形成用押出機にて、発泡性樹脂溶融物を形成する。同時に、樹脂層形成用押出機に、樹脂層形成用の樹脂と必要に応じて添加される高分子型帯電防止剤(以下、樹脂層形成用の樹脂と、必要に応じて添加される高分子型帯電防止剤とをあわせて樹脂層形成用樹脂組成物ということがある)を供給し、加熱溶融し混練した後、必要に応じて揮発性可塑剤を添加し溶融混練して、樹脂層形成用樹脂溶融物とする。両者を共押出することにより積層発泡シートが得られる。
共押出法においては、前記樹脂層形成用樹脂溶融物には揮発性可塑剤が添加されることが好ましい。揮発性可塑剤としては、樹脂層形成用樹脂溶融物の溶融粘度を低下させる機能を有すると共に、樹脂層形成後に、該樹脂層より揮発して樹脂層中に存在しなくなるものが用いられる。揮発性可塑剤を樹脂層形成用樹脂溶融物中に添加することにより、共押出する際に、樹脂層形成用樹脂溶融物の押出樹脂温度を発泡シート形成用樹脂溶融物の押出樹脂温度に近づけることができる(温度低下効果)と共に、溶融状態の樹脂層の溶融伸びを著しく向上させることができる(伸張性改善効果)。これにより、押出発泡時に樹脂層の熱によって発泡シートの気泡構造が破壊されにくくなり、さらに該樹脂層の伸びが発泡シートの発泡時の伸びに追随するので、樹脂層の伸び不足による亀裂発生が防止される。
揮発性可塑剤としては、炭素数2〜7の脂肪族炭化水素や脂環式炭化水素、炭素数1〜4の脂肪族アルコール、又は炭素数2〜8の脂肪族エーテルから選択される1種、或いは2種以上のものが好ましく用いられる。滑剤のように揮発性の低いものを可塑剤として用いた場合、滑剤等は樹脂層に残存し、被包装体のガラス表面を汚染することがある。これに対し揮発性可塑剤は、樹脂層の樹脂を効率よく可塑化させ、得られる樹脂層に揮発性可塑剤自体が残り難いという点から好ましい。
前記炭素数2〜7の脂肪族炭化水素や脂環式炭化水素としては、例えば、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタンなどが挙げられる。
前記炭素数1〜4の脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ノルマルブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどが挙げられる。
前記炭素数2〜8の脂肪族エーテルとしては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルアミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルアミルエーテル、エチルイソアミルエーテル、ビニルエーテル、アリルエーテル、メチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテルなどが挙げられる。
揮発性可塑剤は樹脂層から揮発し易いものが用いられ、その沸点は、120℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以下である。揮発性可塑剤の沸点がこの範囲であれば、共押出した後、得られた積層発泡シートを放置しておけば、共押出直後の熱により、更に後の室温下でのガス透過により、揮発性可塑剤は樹脂層から自然に揮散して、自然に除去される。該沸点の下限値は、概ね−50℃である。
揮発性可塑剤の添加量は、樹脂層形成用の樹脂と必要に応じて添加される高分子型帯電防止剤との合計100重量部に対して7重量部〜50重量部であることが好ましい。上述の温度低下効果と伸張性改善効果の観点から、揮発性可塑剤の添加量は、9重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましい。
一方、揮発性可塑剤の添加量が、概ね50重量部以下であれば、樹脂層自体の物性低下を引き起こすことがなく、揮発性可塑剤が樹脂層形成用樹脂溶融物中に浸透して十分に混練されるので、ダイリップから揮発性可塑剤が噴き出したりすることがなく、樹脂層に穴が開いたり、表面が凹凸状となることを十分に押さえられるので、表面平滑性に優れた積層発泡シートとなる。かかる観点から、揮発性可塑剤の添加量は、40重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましく、25重量部以下が更に好ましい。揮発性可塑剤の添加量を上記範囲とすることで、共押出時の樹脂層形成用樹脂溶融物の押出樹脂温度低下効果と伸張性改善効果が確保される。
本発明のガラス板用間紙は、上述のようにして製造される発泡シートからなる、特定の発泡シートであることから、厚みが薄く、軽量で緩衝性に優れ、その上コシが強く、取り扱い性が良好なものとなる。なお、上記発泡シートについては、ガラス板用間紙としてだけでなく、梱包材や緩衝材など他の用途として使用することもできる。
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は実施例の記載の範囲に限定されるものではない。
実施例1、2、比較例2、4
発泡シート形成用押出装置として、スクリュー径90mmの第一押出機と、第一押出機の下流側にスクリュー径120mmの第二押出機が連結されたタンデム押出機を用い、環状ダイ先端に平行ランドを有するリップ径94mmの環状ダイを第二押出機の出口に取り付けた装置を用いた。
表1に示す種類の樹脂および配合量のポリエチレン系樹脂と、必要に応じて表1に示す高分子型帯電防止剤(三洋化成株式会社製 ペレスタット300、配合量は発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂100重量部に対する重量部である)と、表1に示す気泡調整剤(添加量は発泡シート形成用樹脂組成物100重量部に対する重量部である)を含有するマスターバッチとをタンデム押出機の第一押出機の原料投入口に供給し、溶融混練したのち、200℃に調整された樹脂溶融物とした。次いで該樹脂溶融物に、発泡剤としてイソブタン(添加量は発泡シート形成用樹脂組成物100重量部に対する重量部である)を圧入、混練し、第一押出機の下流側の第二押出機に導入して発泡シート形成用発泡性樹脂溶融物とし、表1に示す押出樹脂温度に調整して、該発泡シート形成用発泡性樹脂溶融物を100kg/hrの吐出量で大気中に押出し、発泡させて筒状発泡体を得た。該筒状発泡体を直径350mmの円柱状の冷却装置(マンドレル)に沿わせて引き取り、切り開いて発泡シートとした。
実施例3〜、比較例1、3、
発泡シート形成用押出装置として、実施例1に用いたと同様のタンデム押出機を用いた。また、樹脂層形成用押出機として、直径50mm、L/D=50の第三押出機を用いた。前記の第二押出機及び第三押出機のそれぞれの出口を共押出用環状ダイに連結し、それぞれの溶融樹脂を環状ダイ内で積層可能にした。
表1に示す種類及び量の樹脂と、必要に応じて添加される表1の高分子型帯電防止剤と、表1に示す気泡調整剤(添加量は発泡シート形成用樹脂組成物100重量部に対する重量部である)を含有するマスターバッチとをタンデム押出機の第一押出機の原料投入口に供給し、溶融混練したのち、略200℃に調整された樹脂溶融物とした。次いで該樹脂溶融物に、発泡剤としてイソブタン(添加量は発泡シート形成用樹脂組成物100重量部に対する重量部である)を圧入し、混練して第一押出機の下流側の第二押出機に導入して発泡シート形成用発泡性樹脂溶融物とし、表1に示す押出樹脂温度に調整して、該発泡シート形成用発泡性樹脂溶融物を共押出用環状ダイに導入した。
一方、表1に示す種類及び量の樹脂層形成用樹脂と、必要に応じて添加される高分子型帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製 ペレスタッド300、樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂100重量部に対する重量部)、揮発性可塑剤としてイソブタン(樹脂層形成用樹脂組成物100重量部に対して11重量部)とを、第三押出機に供給して溶融混練して樹脂層形成用樹脂溶融物とし、表1に示す押出樹脂温度に調整して共押出用環状ダイに導入した。共押出用環状ダイ内で発泡シート形成用発泡性樹脂溶融物の外側と内側に、樹脂層形成用樹脂溶融物を積層合流し、樹脂層/発泡層/樹脂層からなる3層構成からなる積層溶融物として大気中に押出し(発泡シート形成用発泡性樹脂溶融物の吐出量100kg/hr、樹脂形成用樹脂溶融物の吐出量10kg/hr)、筒状積層発泡体を形成した。押出された筒状積層発泡体を直径350mmの円柱状の冷却装置(マンドレル)に沿わせて引き取り切り開いて、樹脂層を積層した発泡シートとした。得られた発泡シートの物性を表2に示す。
発泡シートの特性につき下記により評価を行った。その結果を表3に示す。
(積重ね性評価)
実施例および比較例にて得られたガラス板用間紙を構成する発泡シートの幅の一方の端部から他方の端部までの厚みを10mmピッチで厚み計を用いて測定し、測定値の最大と最小の差が0.2mm以内であることを確認した。次にシート端部から全幅の25%、50%、75%の位置を基点とし、幅10mm×長さ25mmの試験片を順に10枚(発泡シート幅方向に計100mmに亘り)切り出した。本例で得られた発泡シートは、1000mm幅であるため、端部より250mm、500mm、750mmの位置を基点とし発泡シート幅方向に計100mmに亘り順次連続的に幅10mm×長さ25mmの試験片を10枚切り出した。この操作により、端部より250mm、500mm、750mmの各位置を基点として各10枚(計30枚)のサンプルを切り出した。そして、同じ作業を10回繰り返し計300枚のサンプルを切り出した。切り出されたサンプルを幅方向の切り出し位置を合わせて各10枚重ねの束とし、30個の10枚重ねの束を測定試料とした。次に、30個の測定試料の各々の積み重ね高さを測定した。得られた積み重ね高さを算術平均し平均値を得た。次いで、30個の測定試料の積み重ね高さの標準偏差を計算により求めた。得られた標準偏差値を以下の基準にて評価した。
積重ね性評価基準
◎:積み重ね高さの標準偏差が0.15以下
○:積み重ね高さの標準偏差が0.15超0.2未満
×:積み重ね高さの標準偏差が0.2以上
(剥離帯電圧)
ガラス板用間紙を構成する発泡シートの剥離帯電圧は以下により測定した。
ガラス板用間紙を構成する発泡シートと、40mm×40mmのガラス板を、60℃、50%RHの雰囲気下、荷重130kg/cmで18時間圧着した後、23℃、50%RHの雰囲気下で、剥離速度50m/minで発泡シートをガラス板から剥離し(剥離方向180°)、このときのガラス板表面の帯電圧を、静電電位測定器(シシド静電気株式会社製 スタチロンDZ3)により測定した。該剥離帯電圧を下記の評価基準により評価した。
◎:発泡シートの剥離帯電圧が0.2kV未満
○:発泡シートの剥離帯電圧が0.2kV以上0.4kV以下
×:発泡シートの剥離帯電圧が0.4kVを超える。
(垂れ下り評価)
縦方向測定用サンプルとして、得られた発泡シートの押出方向と試験片の長さ方向を一致させて、実施例、比較例で得られた発泡シート、或いは積層発泡シートから幅25mm×長さ150mmの試験片を5枚切り出した。同様に、得られた発泡シートの幅方向と試験片の長さ方向を一致させた試験片を5枚切り出した。
切り出した試験片を、図2に示すように、土台端から100mm突き出した状態で、土台上に乗せその上に錘を載せて固定した。試験片の先端と土台端からの距離を測定した。(垂れ下がらない場合は測定値100mmとなり、測定値が低い程垂れ下がりが大きいことを示す)測定データを算術平均した値を垂れ下がり量とした。
上記方法で、先ず垂れ下がり量を測定した。そして、さらに厚みの因子を考慮するため、以下の方法で垂れ下がり量を換算し、その結果を用いて評価を行った。
(1)測定値が100mm(全く垂れ下がらない場合)の場合には、データーをそのまま採用し、換算垂れ下がり量とした。
(2)測定値が99mm以下の場合には、測定値を厚みで除し、その値を換算垂れ下がり量とした。但し、換算垂れ下がり量が100mmを超えた場合は換算垂れ下がり量を100mmとした。
上記、方法で得た換算垂れ下がり量を以下の評価基準で評価した。
○:換算垂れ下がり量40mm以上
×:換算垂れ下がり量40mm未満

Claims (7)

  1. 厚みが0.2〜1.5mm、見かけ密度が20g/L以上60g/L未満、坪量が10〜50g/mであるポリエチレン系樹脂発泡シートからなり、該発泡シートの厚み方向の気泡数の平均1.4個以下であると共に、前記発泡シートを構成する樹脂の曲げ弾性率が300MPa以上であることを特徴とするポリエチレン系樹脂発泡シートからなるガラス板用間紙。
  2. 前記ポリエチレン系樹脂発泡シートの剥離帯電圧が0.4kV以下であることを特徴とする請求項1に記載のガラス板用間紙。
  3. 前記ポリエチレン系樹脂発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度が110〜120℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板用間紙。
  4. 前記ポリエチレン系樹脂発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度+15℃での溶融張力が20cN以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス板用間紙。
  5. 前記ポリエチレン系樹脂発泡シートを構成する樹脂の結晶化温度+15℃、せん断速度13sec−1での溶融粘度が2000〜10000Pa・sであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラス板用間紙。
  6. 前記ポリエチレン系樹脂発泡シートを構成する樹脂は高分子型帯電防止剤を含有し、該高分子型帯電防止剤の配合量が該ポリエチレン系樹脂100重量部に対して2〜25重量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラス板用間紙。
  7. 前記ポリエチレン系樹脂発泡シートの少なくとも片面に、ポリエチレン系樹脂層が積層されており、該樹脂層を構成する樹脂は高分子型帯電防止剤を含有し、該高分子型帯電防止剤の配合量が該樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂100重量部に対して5〜120重量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラス板用間紙。
JP2010160135A 2010-07-14 2010-07-14 ガラス板用間紙 Active JP5877633B2 (ja)

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