JP2007186706A - ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法及びポリオレフィン系樹脂発泡体 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法及びポリオレフィン系樹脂発泡体 Download PDF

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Abstract

【課題】包装材として用いた場合に接触する相手の表面を汚染する可能性が極めて小さく、外観に優れ、その表面全体にわたって均一な帯電防止特性が発揮されるポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法、及びポリオレフィン系樹脂発泡体を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法は、結晶化温度が110℃以下であると共に測定温度190℃、剪断速度100sec-1での溶融粘度が80〜1000Pa・sである高分子型帯電防止剤と、ポリオレフィン系樹脂と物理発泡剤とを押出機中にて、混練して発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を形成し、該発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を押出発泡させることによりポリオレフィン系樹脂発泡体を得る製造方法であって、該高分子型帯電防止剤をポリオレフィン系樹脂100重量部に対して2〜8重量部添加し、且つ発泡体の見掛け密度が65g/L以下になるように押出発泡する。
【選択図】なし

Description

本発明は、帯電防止性のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法及び帯電防止性のポリオレフィン系樹脂発泡体に関し、特に帯電防止性能に優れ、見掛け密度が低いポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法及びポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。
従来から、ポリオレフィン系樹脂製の発泡体は柔軟性及び緩衝性に富み、被包装体を傷つけにくいことから好適な緩衝材、包装材等として広く使用されてきた。特に、容易に高発泡させることができ、低価格で製造できることから、ポリエチレン系樹脂製の発泡体が広く使用されてきた。しかし、これらの発泡体は静電気の作用により、ほこりがつき易いという好ましくない性質があるので、帯電防止剤を用いて導電性を向上させた帯電防止性のポリオレフィン系樹脂発泡体が開発され、用いられてきた。
従来は、いわゆる界面活性剤タイプの帯電防止剤が、安価に入手可能であることから広く用いられてきた。該界面活性剤タイプとしては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルジエタノールアミド等が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、界面活性剤タイプの帯電防止剤を用いた場合の帯電防止効果は、帯電防止剤が樹脂中から表面にブリードアウトし、空気中の水分を吸着することにより発現するものである。そのため、比較的湿度の低い環境下、特に冬季では帯電防止効果が発現しにくいという問題がある。一方、比較的湿度の高い環境下、特に夏季では帯電防止効果は発現するものの、水分を吸収した帯電防止剤が被包装体に移行することにより、被包装体の表面がベトついたり、白化するなどの現象が発生し、被包装体の表面汚染が引き起こされるという問題がある。
特開平9−169072号公報(第3頁〜第4頁、段落番号0016)
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、包装材として用いた場合に接触する相手の表面を汚染する可能性が極めて小さく、外観に優れ、その表面全体にわたって均一な帯電防止特性が発揮されるポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法、及びポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上述した問題を解決することを目的として、高分子型帯電防止剤とポリオレフィン系樹脂とを押出機に供給して発泡体を製造することを試みた。このとき、発泡体の見掛け密度を特定の値とすることで意外にも少量の高分子型帯電防止剤で永久帯電防止性能が発現できることが分かった。即ち、本発明によれば、以下に示す帯電防止性に優れる、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法、及びポリオレフィン系樹脂発泡体が提供される。
〔1〕 結晶化温度が110℃以下であると共に測定温度190℃、剪断速度100sec-1での溶融粘度が80〜1000Pa・sである高分子型帯電防止剤と、ポリオレフィン系樹脂と物理発泡剤とを押出機中にて、混練して発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を形成し、該発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を押出発泡させることによりポリオレフィン系樹脂発泡体を得る製造方法であって、該高分子型帯電防止剤をポリオレフィン系樹脂100重量部に対して2〜8重量部添加し、且つ発泡体の見掛け密度が65g/L以下になるように押出発泡することを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
〔2〕 該ポリオレフィン系樹脂が、190℃での溶融張力が30〜400mNのポリエチレン系樹脂であることを特徴とする前記〔1〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
〔3〕 該ポリオレフィン系樹脂が、230℃での溶融張力が30〜400mNのポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする前記〔1〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
〔4〕 8重量%以下の高分子型帯電防止剤を含有し、見掛け密度が15〜65g/Lであり、エタノールを用いた超音波洗浄後の表面固有抵抗率が1×108〜1×1013(Ω)であり、平均気泡径が下記(1)、(2)及び(3)式を満足することを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体。
0.35 ≦Z/X≦ 1.2・・・(1)
0.35 ≦Z/Y≦ 1.2・・・(2)
0.2 ≦ Z ≦ 1.4 ・・・(3)
(但し、X、Y及びZは、押出方向の平均気泡径:X(mm)、幅方向の平均気泡径:Y(mm)及び厚み方向の平均気泡径:Z(mm)とする。)
〔5〕 該発泡体の連続気泡率が65%以下であることを特徴とする前記〔4〕記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
本発明の請求項1に係わる発明のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法によれば、結晶化温度が110℃以下であると共に測定温度190℃、剪断速度100sec-1での溶融粘度が80〜1000Pa・sである高分子型帯電防止剤をポリオレフィン系樹脂100重量部に対して2〜8重量部添加し、且つ発泡体の見掛け密度が65g/L以下になるように押出発泡するので、包装材として用いた場合に接触する相手の表面を汚染する可能性が極めて小さく、外観に優れ、その表面全体にわたって均一な帯電防止特性が発揮され、柔軟性と緩衝性を備える帯電防止性発泡体を製造することができる。
本発明の請求項2に係わる発明の帯電防止性ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法によれば、該ポリオレフィン系樹脂が、190℃での溶融張力が30〜400mNのポリエチレン系樹脂なので、見掛け密度の低い発泡体が容易に得られ、連続気泡化による剛性の低下が少なく、外観に優れる帯電防止性のポリエチレン系樹脂発泡体が得られる。
本発明の請求項3に係わる発明の帯電防止性ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法によれば、該ポリオレフィン系樹脂が、230℃での溶融張力30〜400mNのポリプロピレン系樹脂なので、見掛け密度の低い発泡体が容易に得られ、連続気泡化による剛性の低下が少なく、外観に優れる帯電防止性のポリプロピレン系樹脂発泡体が得られる。
本発明の請求項4に係わる発明によれば、高分子型帯電防止剤を8重量%以下含有させ、見掛け密度を15〜65g/Lとし、エタノールを用いた超音波洗浄後の表面固有抵抗率を1×108〜1×1013(Ω)とし、特定の関係式を満足する平均気泡径とすることにより、包装材として用いた場合に接触する相手の表面を汚染する可能性が極めて小さく、外観に優れ、その表面全体にわたって均一な帯電防止特性が発揮され、柔軟性と緩衝性を備える発泡体を提供することができる。
本発明の請求項5に係わる発明によれば、発泡体の厚みが薄くても包装用用途としての緩衝性に優れているポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することができる。
以下、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体(以下、単に「発泡体」ともいう。)の製造方法について詳細に説明する。
本発明の発泡体の製造方法としては、例えば、押出機の先端にTダイ、サーキュラーダイ等を取り付けた公知の製造方法が挙げられる。中でも、1000mm幅の発泡シート又は発泡板を容易に得ることができる上に、発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物が均一に延伸され、それにより永久帯電防止性能が発現できることからサーキュラーダイが好ましい。図1にその一例を示すように、ポリオレフィン系樹脂(I)と、高分子型帯電防止剤(II)物理発泡剤(III)とを少なくとも添加して押出機中にて、混練して発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物(IV)を形成し、該発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物(IV)を発泡適正温度に温度調節してから、押出発泡させて筒状発泡体を形成し、その一端を切り開くことにより、発泡体(V)が得られる。
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂はオレフィン成分単位が50モル%以上の樹脂である。該ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。上記ポリオレフィン系樹脂は、表面硬度が低く柔軟性に優れ、被包装体の表面保護に優れることから好ましく用いられる。
該ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン成分単位が50モル%以上の樹脂が挙げられ、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体と高密度ポリエチレン樹脂の混合物、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等のエチレン系共重合体、さらにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのポリエチレン系樹脂の中でも、密度が935g/L以下のポリエチレン系樹脂を主成分とするものが好ましい。具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を用いることが好ましく、発泡性が良好な低密度ポリエチレンがより好ましい。
尚、密度が935g/L以下のポリエチレン系樹脂を「主成分」とするとは、該ポリエチレン樹脂の含有量が発泡体の全重量の50重量%以上であることをいう。また、ポリエチレン系樹脂の密度の下限は910g/Lである。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン重合体、またはプロピレンと共重合可能な他のオレフィンとの共重合体が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他のオレフィンとしては、例えば、エチレン、1‐ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセンなどの炭素数2〜10のα−オレフィンが例示される。また上記共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよく、さらに二元共重合体のみならず三元共重合体であってもよい。また、これらのポリプロピレン系樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
上記の共重合体を、発泡体を構成する基材樹脂として使用する場合、共重合体中に共重合成分のオレフィンが25重量%以下、特に15重量%以下の割合で含有されていることが好ましい。また共重合体中に含有する共重合成分の好ましい下限値は0.3重量%である。
上記の発泡体を構成する基材樹脂として使用されるポリプロピレン系樹脂の中でも押出発泡に好適な樹脂としては、一般のポリプロピレン系樹脂と比較して溶融張力が高いポリプロピレン系樹脂が好ましい。具体的には、例えば、特開平7−53797号公報に記載されているような、(1)1未満の枝分かれ指数と著しい歪み硬化伸び粘度とを有するポリプロピレンや、(2)(a)Z平均分子量(Mz)が1.0×106以上であるか、またはZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)が3.0以上であり、(b)かつ平衡コンプライアンスJ0が1.2×10-3Pa-1以上であるか、または単位応力当たりの剪断歪み回復Sr/Sが毎秒5m2/N以上であるポリプロピレンを用いたポリプロピレン系樹脂が好ましい。
また、本発明においては、(3)スチレン等のラジカル重合性単量体およびラジカル重合開始剤や添加剤などを含む配合物を、ポリプロピレン系樹脂が溶融し、かつラジカル重合開始剤の分解温度において溶融混練することによって改質されたポリプロピレン系樹脂、あるいは(4)ポリプロピレン系樹脂とイソプレン単量体とラジカル重合開始剤とを溶融混練して得られる改質ポリプロピレン系樹脂であってもよい。さらにこれら基材樹脂の中でも不溶解成分の割合が低いものが好ましい。不溶解成分の割合は、発泡体を試料とし、145℃のキシレン中に試料を入れ8時間煮沸した後、100メッシュの金網で速やかに濾過し、ついで金網上に残った沸騰キシレン不溶解成分を20℃のオーブン中で24時間乾燥したのち、不溶解成分の重量G(g)を測定し、下記式(4)により求められる不溶解成分の割合が0〜10重量%である場合を意味するが、好ましくは、0〜5重量%、より好ましくは0〜2重量%である。不溶解成分の割合が低い程リサイクル性に優れており、またコスト低減の点より好ましいものである。
乾燥後の不溶解成分の割合(重量%)=[G(g)/試料重量(g)]×100
………(4)
本発明においては、得られる発泡体の表面固有抵抗率が1×108〜1×1013(Ω)になるように押出発泡を行なう。
そのために、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して2〜8重量部の高分子型帯電防止剤を添加する。高分子型帯電防止剤の添加量が8重量部を超える場合では発泡が阻害され、連続気泡率が低く、かつ低密度の発泡体を得ることが出来ない。連続気泡率が高い発泡体は緩衝性に劣り、さらに気泡が粗大となるためその用途が限られてしまうものである。上記観点から7重量部以下が好ましく、6.5重量部以下がより好ましい。
一方、2重量部未満では、表面固有抵抗率1×1013(Ω)以下にすることができない。よって、高分子型帯電防止剤の添加量は、好ましくは3重量部以上、さらに好ましくは3.8重量部以上である。
本明細書において、得られた発泡体の表面抵抗率は、エタノールを用いた超音波洗浄後の表面抵抗率であり、後述する記載に従って測定される。
本発明では、高分子型帯電防止剤をポリオレフィン系樹脂に添加し、且つ発泡体の見掛け密度が65g/L以下になるように押出発泡させることにより、得られる発泡体の表面固有抵抗率を1×108〜1×1013(Ω)にすることができる。該高分子型帯電防止剤の効果は放置時間や湿度条件等に依存せず、製造直後から発泡体の表面抵抗率を1×108〜1×1013(Ω)にすることができる。
該高分子型帯電防止剤は、表面抵抗率が1×1012Ω未満の樹脂からなる。
具体的には、金属イオンとしてカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれたアルカリ金属を含むアイオノマー樹脂、ポリエーテルエステルアミドやポリエーテルを主成分とする親水性樹脂が好ましい。また高分子型帯電防止剤には発泡体を構成するポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させ、優れた帯電防止効果を与えると共に、帯電防止剤を添加することによる物性低下を抑制する効果を得るために、ポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂をブロック共重合させたものを用いることが更に好ましい。
特に好ましい高分子型帯電防止剤は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の一部又は全部がカリウム,ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれたアルカリ金属で中和されているアイオノマーや特開2001−278985号公報に記載されている組成物が挙げられる。
特開2001−278985号公報記載の組成物は、ポリオレフィン(a)のブロックと、体積固有抵抗値が1×105〜1×1011Ω・cmの親水性ポリマー(b)のブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有する数平均分子量(Mn)が2000〜60000のブロックポリマー(A)である。上記(a)のブロックと(b)のブロックとは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するものである。
尚、本発明で好ましく用いられる高分子型帯電防止剤については、後に詳述する。
本発明では、得られる発泡体の見掛け密度が65g/L以下になるように押出発泡させて発泡体を形成する。このように、高発泡させることにより発泡時の気泡の成長過程で高分子型帯電防止剤を配向させると、少ない添加量であっても劇的に帯電防止特性を向上させることができる。上記観点から、該見掛け密度は61g/L以下が好ましく、51g/L以下がより好ましく、44g/L以下がさらに好ましい。一方、見掛け密度の下限は、発泡体の物理的強度が低下する虞がある観点から、15g/L以上が好ましく、18g/L以上がより好ましく、21g/L以上がさらに好ましい。
本発明における発泡体の厚みは、緩衝性に優れる観点から0.3mm〜30mmが好ましく、0.3mm〜20mmがより好ましく、0.3mm〜10mmがさらに好ましい。特に、被包装物の表面を被覆して梱包する場合は、厚みが、0.3mm〜10mmであることが好ましい。厚みが0.3mm未満の場合は、発泡体の剛性や、緩衝性が不十分となる虞れがある。かかる観点から発泡体の厚みは、0.5mm以上であることが好ましく、0.8mm以上であることがより好ましい。一方、発泡体の厚みが厚すぎる場合は、被包装物を包装する際に取り扱いが悪い虞れがあることや熱成形する際、金型と同じ形状とすることが困難となる虞れがあることから、発泡体の厚さは、8mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましい。
厚みが30mmを超える発泡体とする場合には、発泡体を2層以上に接着してなる積層発泡体とすることができる。また、厚みが30mm未満の発泡体とする場合であっても、2層以上に接着してなる積層発泡体としても構わない。2層以上の積層発泡体とする場合には、同じ発泡体を積層することもできれば、厚み、気泡径、見かけ密度の異なる発泡体、さらには色、基材樹脂、機能性添加剤など処方の異なる異種の発泡体を積層することもできる。
尚、本明細書でいう発泡体の厚みは、後述するように少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂層を設ける場合、樹脂層を含まない厚みをいう。
発泡体の厚みは次のようにして測定する。
まず、発泡体を押出方向に直行する方向に垂直に切断し、該切断面の厚みを顕微鏡により等間隔に幅方向に10点撮影を行い、撮影した各点における発泡体の厚みを測定し、得られた値の算術平均値を発泡体の厚みとする。また、発泡体の少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂層を設ける場合、上記のように撮影した各点において、それぞれ発泡体の厚みと樹脂層の厚みとを測定し、得られた測定値の算術平均値を発泡体の厚み、樹脂層の厚みとする。
上記発泡体を破れ難いものとするために、少なくとも片面に厚さ5μm以上のポリオレフィン系樹脂層を設けることが好ましく、厚さ8μm以上が好ましく、厚さ12μm以上がより好ましい。一方、帯電防止の効果を低下させないため、さらにこの樹脂層の厚みを厚くする必要があるが、厚くなりすぎると重量が増して軽量性が劣る虞れがあるため、樹脂層の厚みは150μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。ポリオレフィン系樹脂層は、発泡体にポリオレフィン系樹脂フィルムを積層する等、公知の方法によって形成することができる。
上記ポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂は、発泡体の外観を良好にする観点からメルトフローレート(MFR)が1g/10分以上のものが好ましい。一方、MFRの上限には特に制限はないが、通常20g/10分以下である。
上記メルトフローレイト(MFR)は、JIS K7210(1976年)に準拠して、ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂の場合、190℃、荷重21.17Nの条件とし、ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合、230℃、荷重21.17Nの条件で測定するものとする。
尚、試験片は、原料ペレットを用いることとし、上記測定温度は、溶融混練する際の溶融温度に基づくものである。
上記樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン成分単位が50モル%以上が挙げられ、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等のエチレン系共重合体、さらにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
上記樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂のMFRは、1.5〜15g/10分が好ましく、2〜10g/10分がより好ましい。上記MFRの測定条件は、前記した通りである。
上記樹脂層を構成するポリプロピレン系樹脂としては、前述した発泡体を構成するポリプロピレン系樹脂の他に汎用のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。その場合、MFRは1.5〜15g/10分が好ましく、2〜10g/10分がより好ましい。上記MFRの測定条件は、前記した通りである。
ポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂は、本発明の発泡体の目的及び効果を阻害しない範囲で、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、エチレンプロピレンゴム等のエラストマー、ポリブテン等のブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系樹脂を添加することができる。その場合の添加量は40重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましく、10重量%以下が特に好ましい。
前記したポリオレフィン系樹脂層は、例えば、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の機能性添加剤、金属イオンとしてカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれたアルカリ金属を含むアイオノマー樹脂、前記した発泡体に用いられる永久帯電防止剤、無機充填剤等の各種添加剤を含有していても良い。
本明細書における発泡体の見掛け密度の測定方法は以下の通りである。
まず、発泡体(E)の厚みを予め以下の通り測定する。
発泡体を押出方向に直行する方向に垂直に切断し、該切断面の厚みを顕微鏡により等間隔に幅方向に10点撮影を行い、撮影した各点における発泡体の厚みを測定し、得られた値の算術平均値を発泡体の厚みとする。
次に、発泡体(E)の坪量を測定する。発泡体(E)の坪量は、縦25mm×横25mm×発泡体の厚みの試験片を切り出し、試験片の重量(g)を測定した後、その重量に1600倍し、単位換算することで得られる(g/m2)。
前記発泡体の坪量(g/m2)を発泡体の厚み(mm)で除した値を単位換算し、発泡体の見掛け密度(g/L)とする。
尚、発泡体の少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂層がある場合は、ポリオレフィン系樹脂層の厚み、坪量をそれぞれ測定し、ポリオレフィン系樹脂層の坪量(g/m2) は、上記厚み測定方法により得られた該樹脂層の厚みに該樹脂層を構成している基材樹脂の密度を乗じ、単位換算を行なって求める。但し、無機物を多量に含有している場合は、発泡体から樹脂層を取り除き発泡体の坪量を前述の発泡体の坪量と同様に求め、少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂層が積層された発泡体の坪量から発泡体の坪量を差し引いた値を樹脂層の坪量として採用する。
発泡体の見掛け密度を上記範囲内にする方法としては、物理発泡剤の添加量、気泡調整剤の添加量、発泡温度を調製する方法がある。該発泡剤としては以下に示す物理発泡剤が挙げられる。
該物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のフッ化炭化水素等の有機系物理発泡剤、酸素、窒素、二酸化炭素、空気等の無機系発泡剤が挙げられる。これらの物理発泡剤は、2種以上を混合して使用することが可能である。これらのうち、ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン系樹脂を選択した場合、樹脂との相溶性、発泡性の観点から有機系発泡剤が好ましく、中でもノルマルブタン、イソブタン、又はこれらの混合物を主成分とするものが好適である。
また、発泡体の製造を製造する際には、気泡調整剤が添加される。気泡調整剤としては有機系のもの、無機系のもののいずれも使用することができる。無機系気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。また有機系気泡調整剤としては、リン酸−2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。またクエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。
上記発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、目的とする見掛け密度に応じて調整する。また気泡調整剤の添加量は、主として目的とする気泡径に応じて調節する。特に、本発明では気泡膜の形成による延伸効果が帯電防止性に関連があるため発泡剤の注入量は重要である。即ち、発泡剤としてイソブタン30重量%とノルマルブタン70重量%とのブタン混合物を用いた場合、ブタン混合物の添加量はポリオレフィン系樹脂100重量部当たり4〜35重量部、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは6〜25重量部である。また気泡調整剤として、例えば、ポリエチレン100重量部に対してタルク11.8重量部、クエン酸ナトリウム5.9重量部の配合量で作製したマスターバッチを用いた場合、気泡調整剤の添加量はポリオレフィン系樹脂100重量部当たり、0.3〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
本発明で用いる高分子型帯電防止剤においては、結晶化温度が110℃以下であると共に190℃での溶融粘度が80〜1000Pa・sである。
結晶化温度が110℃を超える場合、溶融時の混練が不十分となり、帯電防止効果が発揮されにくい。特に、高分子型帯電防止剤の結晶化温度がポリオレフィン系樹脂の結晶化温度よりも高い場合、帯電防止剤の結晶化温度が高すぎると、押出機内部で結晶化し発泡を阻害するという問題点がある。
ただし、結晶化温度の下限は60℃程度である。結晶化温度が低すぎると、樹脂組成物の物性低下を招くので好ましくない。
上記溶融物(IV)の押出機11内における適正温度とは、低密度の発泡体が容易に得られる温度のことである。具体的には、オレフィン系樹脂の[結晶化温度+5℃]以上[結晶化温度+30℃]以下であり、発泡体の連続気泡率の向上や得られる発泡体の収縮を抑える観点から好ましい。
発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物(IV)において、高分子型帯電防止剤(II)が均一に分散し、導電ネットワークを形成可能するには、高分子型帯電防止剤の結晶化温度と発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物(IV)の混練中の粘性のバランスが重要である。具体的には、発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物(IV)のポリオレフィン系樹脂(I)及び高分子帯電防止剤(II)を選択する場合、下記の結晶化温度と溶融粘度の関係を満足する必要がある。
Tb<[Ta+30℃]・・・(5)
但し、式中Tbは高分子型帯電防止剤(II)の結晶化温度(℃)であり、Taは発泡体に用いられるポリオレフィン系樹脂(I)の結晶化温度(℃)である。これは、高分子型帯電防止剤(B)とポリオレフィン系樹脂(I)の結晶化温度の関係が上記式を満足しない場合、つまり、Tbが[Ta+30℃]よりも高い場合、発泡体を製造する際、高分子型帯電防止剤(II)が結晶化し、塊となって発泡体の表面が凹凸状となる虞がある。したがって、ポリオレフィン系樹脂層(A)の溶融温度で十分に高分子型帯電防止剤(II)が溶融していることが重要である。
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂(I)及び高分子型帯電防止剤(II)の結晶化温度は、以下の方法で測定した値を採用する。
本明細書において、高分子型帯電防止剤の結晶化温度としては、JIS K7122(1987年)に準拠する方法で測定した値を採用する。詳細は下記の通りである。
試料を2〜4mg採取し、示差走査熱量計を用いて、加熱速度10℃/分で室温(約23℃)から230℃まで昇温し、その後40℃まで10℃/分の冷却速度で降温させて測定を行なう。このとき冷却時に得られた曲線において、ピークの頂点の温度を結晶化温度とする。尚、発熱ピークが2つ以上現れる場合は、最も面積の大きな発熱ピークの頂点の温度を結晶化温度とする。但し、大きな発熱ピークの面積が複数存在する場合は、それら中で最も高温側の発熱ピークの頂点を結晶化温度とする。
本発明の高分子型帯電防止剤における190℃での溶融粘度は、80〜1000Pa・sである。かかる溶融粘度の高分子型帯電防止剤は、十分に混練することができるので、好ましい導電性ネットワークを形成することができる。上記観点から150〜800Pa・sが好ましく、150〜500Pa・sがより好ましい。その結果、発泡体の見掛け密度が65g/L以下であるという構成と組合わせることにより、低添加量であっても発泡体中で優れた帯電防止機能を発揮する。
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂の190℃における溶融粘度(Ma)は、250〜6000Pa・sが好ましく、300〜5000Pa・sがより好ましい。溶融粘度(Ma)が、6000Pa・sを超えると押出機にかかる負荷が高くなりすぎて、押出しする際のコントロールが難しくなる上に、発泡時における樹脂の伸びも不十分となり、外観良好な発泡体が得られない虞がある。一方、溶融粘度(Ma)が250Pa・s未満では、高分子型帯電防止剤との混練性が悪くなり、高分子型帯電防止剤の均一な分散性に悪影響を与え、帯電防止効果が低下する虞がある。
上記ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン系樹脂を選択した場合、190℃における溶融粘度が300〜1600Pa・sのものを使用することが好ましく、より好ましくは700〜1500Pa・sである。ポリエチレン系樹脂製の発泡体の場合、緩衝性を要求される用途に使用されることが多く、気泡も微細である。ところが、高分子型帯電防止剤の溶融粘度は発泡には適さないため、それを補うため溶融張力の高いポリエチレン系樹脂を選択することが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレン系樹脂を選択した場合、190℃における溶融粘度が2000〜6000Pa・sの範囲内のものを使用することが好ましく、より好ましくは3000〜5500Pa・sであり、4000〜5000Pa・sの高粘度のものを使用することが特に好ましい。かかる高粘度のポリプロピレン系樹脂としては、前述したようなハイメルトテンションタイプのポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
本明細書における溶融粘度は、次のようにして測定される。
測定装置としてチアスト社製レオビス2100を使用し、オリフィス径1mm、オリフィス長10mm、測定温度190℃、剪断速度100sec-1の条件にて測定する。
尚、試験片は、原料ペレットを用いることとし、上記測定温度は、溶融混練する際の溶融温度に基づくものである。従って、高分子型帯電防止剤及びポリオレフィン系樹脂の190℃における溶融粘度が上記範囲内であることが混練性と均一な分散性との観点から好ましい。
本発明において、高分子型帯電防止剤を低添加量で効果を発揮させるためには、発泡による延伸効果以外に、高分子型帯電防止剤とポリオレフィン系樹脂との190℃における溶融粘度の関係が下記(6)式を満たすようにコントロールすることが好ましい。
Ma>Mb ・・・(6)
但し、(6)式中Maはポリオレフィン系樹脂の190℃における溶融粘度(Pa・s)であり、Mbは高分子型帯電防止剤の190℃における溶融粘度(Pa・s)である。
上記(6)式に示されているように、ポリオレフィン系樹脂の溶融粘度(Ma)を高分子型帯電防止剤の溶融粘度(Mb)よりも高くすることにより、所定の帯電防止特性を発揮させやすくなる。一方、ポリオレフィン系樹脂の溶融粘度(Ma)が、高分子型帯電防止剤の溶融粘度(Mb)と同じか或いは低くなると、高分子型帯電防止剤の導電ネットワーク構造を形勢する事が困難になる虞がある。
上記MaとMbとの関係は、高分子型帯電防止剤の添加量が少量で帯電防止特性を発揮することができる観点から、Mbが0.90Maよりも少ないことが好ましく(0.90Ma>Mb)、0.70Maよりも少ないことがより好ましい(0.70Ma>Mb)。
一方、その下限は所定の帯電防止特性を発揮することができる観点から、Mbが0.10Maを超えることが好ましく(Mb>0.10Ma)、Mbが0.15Maを超えることがより好ましい(Mb>0.15Ma)。
本発明で用いるポリエチレン系樹脂としては、190℃における溶融張力が30mN〜400mNのものが好ましい。190℃における溶融張力が30mN未満の場合は、倍率の低下や連続気泡化の虞がある。一方、190℃における溶融張力が400mNを超えると、樹脂の粘度が上昇し、押出する際、負荷が高く虞がある。ポリエチレン系樹脂の190℃における溶融張力は、低密度の発泡体を得るのが容易である点から、35mN以上であることがより好ましく、さらに好ましくは40mN以上である。また連続気泡率の低い発泡体を得るのが容易である点から、ポリエチレン系樹脂の190℃における溶融張力は、300mN以下であることがより好ましく、さらに好ましくは250mN以下である。190℃で測定する理由は、その温度が溶融物性が発泡する際の状態と相関があることによる。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂としては、230℃における溶融張力が30mN〜400mNのものが好ましい。230℃における溶融張力が30mN未満の場合は、倍率の低下や連続気泡化の虞がある。一方、230℃における溶融張力が400mNを超えると、樹脂の粘度が上昇し、押出する際、負荷が高く虞がある。ポリプロピレン系樹脂の230℃における溶融張力は、低密度の発泡体を得るのが容易である点から、30mN以上であることがより好ましく、さらに好ましくは50mN以上である。また連続気泡率の低い発泡体を得るのが容易である点から、ポリプロピレン系樹脂の230℃における溶融張力は、300mN以下であることがより好ましく、さらに好ましくは250mN以下である。尚、230℃で測定する理由は、その温度が溶融物性が発泡する際の状態と相関があることによる。
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂の溶融張力(メルトテンション或いはMTと記載することもある)は、例えば、株式会社東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII型等によって測定することができる。具体的には、測定するポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂の場合、次のように測定する。
ノズル径2.095mm、長さ8mmのノズルを有するメルトテンションテスターを用い、上記ノズルから樹脂温度190℃、押出のピストン速度10mm/分の条件で樹脂を紐状に押し出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛けた後、5rpm/秒(紐状物の捲取り加速度:1.3×10-2m/秒2)程度の割合で捲取り速度を徐々に増加させていきながら直径50mmの捲取りローラーで捲取る。
ポリオレフィン系樹脂の溶融張力を求める具体的な方法は、捲取り速度500(rpm)において捲取りを行って張力検出用プーリーと連結する検出機により検出される紐状物の溶融張力を経時的に測定し、縦軸にMT(mN)を、横軸に時間(秒)を取ったチャートに示すと、振幅をもったグラフが得られる。次に振幅の安定した部分の、振幅の中央値(X)をとる。本発明では、この値(X)を溶融張力とする。尚、測定に際し、まれに発生する特異的な振幅は無視するものとする。
但し、張力検出用プーリーに掛けた紐状物が捲取り速度100(rpm)までに切断した場合は、紐状物が切断したときの捲取り速度R(rpm)を求める。次いでR×0.7(rpm)の一定の捲取り速度において、前述と同様にして得られるグラフより、振幅の中央値(X)を溶融張力として採用する。
ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合、樹脂温度230℃とする以外はポリエチレン系樹脂の場合と同様に測定し、張力検出用プーリーに掛けた紐状物が捲取り速度500(rpm)までに切断した場合は、紐状物が切断したときの捲取り速度R(rpm)を求める。次いでR×0.7(rpm)の一定の捲取り速度において、前述と同様にして得られるグラフより、振幅の中央値(X)を溶融張力として採用する。
本発明においては、その目的及び効果を阻害しない範囲で、ポリオレフィン系樹脂にポリスチレン等のスチレン系樹脂、エチレンプロピレンゴム等のエラストマー、ポリブテン等のブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系樹脂を添加することができる。その場合の添加量は40重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましく、10重量%以下が特に好ましい。下限は概ね0.01重量%である。
また、ポリオレフィン系樹脂には各種の添加剤を添加してもよい。各種の添加剤としては、例えば、着色剤、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤、抗菌剤、収縮防止剤等が挙げられる。その場合の添加量は10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下が特に好ましい。下限は概ね0.01重量%である。
次に、本発明で好ましく用いられる高分子型帯電防止剤について詳述する。
本発明における高分子型帯電防止剤の数平均分子量としては、2000以上が好ましく、より好ましくは2000〜100000、更に好ましくは5000〜60000、特に好ましくは8000〜40000であり、界面活性剤からなる帯電防止剤とは区別される。尚、該高分子型帯電防止剤の数平均分子量の上限は概ね1000000である。高分子型帯電防止剤の数平均分子量を上記の範囲とすることにより、帯電防止性能が環境に左右されずより安定的に発現され、被包装体へ帯電防止剤が移行して被包装体表面を汚染することもない。
なお、上記数平均分子量は、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて求められる。例えば、高分子型帯電防止剤がポリエーテルエステルアミドやポリエーテルを主成分とする親水性樹脂の場合にはオルトジクロロベンゼンを溶媒として試料濃度3mg/mlとし、ポリスチレンを基準物質としてカラム温度135℃の条件にて測定される値である。なお、上記溶媒の種類、カラム温度は、高分子型帯電防止剤の種類に応じて適宜変更する。
高分子型帯電防止剤として用いられる上記ブロックポリマー(A)のポリオレフィン(a)のブロックとしては、カルボニル基(好ましくは、カルボキシル基。尚、以下に例示する全てのカルボニル基の好ましい態様として、カルボキシル基が挙げられる。)をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1)、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2)、アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a3)が使用できる。さらに、カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a4)、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a5)、アミノ基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a6)が使用できる。このうち、変性のし易さからカルボニル基を有するポリオレフィン(a1)及び(a4)が好ましい。
ブロックポリマー(A)を構成する親水性ポリマー(b)のブロックとしては、ポリエーテル(b1)、ポリエーテル含有親水性ポリマー(b2)、カチオン性ポリマー(b3)及びアニオン性ポリマー(b4)が使用できる。(b1)としては、ポリエーテルジオール(b1-1)、ポリエーテルジアミン(b1-2)、及びこれらの変性物(b1-3)が使用できる。(b2)としては、ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオール(b1-1)のセグメントを有するポリエーテルエステルアミド(b2-1)、同じく(b1-1)のセグメントを有するポリエーテルアミドイミド(b2-2)、同じく(b1-1)のセグメントを有するポリエーテルエステル(b2-3)、同じく(b1-2)のセグメントを有するポリエーテルアミド(b2-4)及び同じく(b1-1)又は(b1-2)のセグメントを有するポリエーテルウレタン(b2-5)が使用できる。(b3)としては、非イオン性分子鎖(c1)で隔てられた2〜80個、好ましくは3〜60個のカチオン性基(c2)を分子内に有するカチオン性ポリマーが使用できる。(b4)としては、スルホニル基を有するジカルボン酸(e1)と、ジオール(b0)又はポリエーテル(b1)とを必須構成単位とし、かつ分子内に2〜80個、好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマーが使用できる。
上記ブロックポリマー(A)の具体例として、以下のブロックポリマー(A1)〜(A4)が挙げられる
[ブロックポリマー(A1)]
(a1)のブロックと(b1)のブロックとが繰り返し交互に結合した構造を有するブロックポリマー(A1)であり、下記表1の一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリマーが含まれる。一般式(1)中、nは2〜50の整数、R1及びR2の一方は水素原子であり他方は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、yは15〜800の整数、E1はジオール(b0)から水酸基を除いた残基、A1は炭素数2〜4のアルキレン基、m及びm’は1〜300の整数を表し、X及びX’は下記表1の一般式(2)〜(8)で示される基から選ばれる基及び対応する(2’)〜(8’)で示される基から選ばれる基、すなわち、Xが一般式(2)で示される基のとき、X’は一般式(2’)で示される基であり、一般式(3)〜(8)及び(3’)〜(8’)についても同様の関係である。
Figure 2007186706
表1の一般式(2)〜(8)及び(2’)〜(8’)中、R3、R3’は炭素数2〜3の三価の炭化水素基、R4は炭素数1〜11の2価の炭化水素基、R5は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、R6は炭素数2〜22の炭化水素基、E2は有機ジイソシアネート残基を表し、rは1〜10、u及びvは0又は1である。又、Q、Q’、T及びT’は下記表2で示される基である。
Figure 2007186706
ただし、R5は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、R7は水素原子又はメチル基、tはR7がメチル基のとき0、水素原子のとき1である。一般式(1)で示される繰り返し単位中の{ }内のポリエーテルセグメント{(OA1)m-O-E1-O-(A1O)m’}は、前記ポリエーテル(b1)のポリエーテル部分により構成され、式中のE1,A1、m及びm’は前記と同様である。一般式(1)におけるE1は、脂肪族二価アルコール、二価フェノール又は三級アミノ基含有ジオールから水酸基を除いた残基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xが一般式(2)で示される基、X’が一般式(2’)で示される基であるブロックポリマー(A1)は、前記のカルボニル基を有するポリオレフィン(a1)とポリエーテルジオール(b1-1)とを直接反応させることにより得ることができる。一般式(2)及び(2’)中のR3及びR3’は、[表3]に示す。(R4は水素原子又はメチル基、tはR4が水素原子のとき1,R4がメチル基のとき0である。)で示される基であり、例えばポリオレフィンのカルボニル変性に、マレイン酸又はフマル酸を用いた場合は、R3は-CH2-CH<であり、R3’は>CH-CH2-である。
Figure 2007186706
ブロックポリマー(A1)を構成するポリエーテル(b1)の量は、(a1)と(b1)との合計重量に基づいて、通常20〜90重量%、好ましくは25〜90重量%、特に好ましくは30〜70重量%である。(A1)のMnは、通常2000〜60000、好ましくは5000〜40000、特に好ましくは8000〜30000である。
ブロックポリマー(A1)の構造において、ポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数(Nn)は、通常2〜50、好ましくは2.3〜30、さらに好ましくは2.7〜20、特に好ましくは3〜10である。
[ブロックポリマー(A2)]
ブロックポリマー(A2)は、ポリオレフィン(a)のブロックと親水性ポリマー(b)のブロックとが(a)-(b)型または(a)-(b)-(a)型に結合されてなるブロックポリマーである。(A2)は、(b2)と表4の一般式(9)〜(11)のいずれかで示されるカルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a4)との反応で得ることができる。
Figure 2007186706
Figure 2007186706
式中、R8はポリオレフィン残基、Q’は式-CH(R10)-CH=C(R10)-CH2-で示される基、R9は炭素数2〜3の三価の炭化水素基、R10は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、R11は水素原子又はメチル基である。(b2)としては、一般式(19)で示されるものが好ましい。式(19)中、E3はポリエーテル基含有親水性ポリマー残基、R12及びR13は水素原子、式-CO-NH-E2-NHCOO-R14-NH2、式-CO-NH-E2-NCO、式-G又は式-CH2CH(OH)CH2-O-E4-O-Gで示される基、Pは0又は1、A2は炭素数2〜4のアルキレン基又は式-(R15-CO)r-で示される基、R15は炭素数1〜11の2価の炭化水素基(以下、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれをも含む)、rは1〜10の整数、R14は炭素数2〜12の2価の炭化水素基、E2は有機ジイソシアネートの残基、Gはグリシジル基、E4はジグリシジルエーテル(G-O-E4-O-G)からグリシジルオキシ基を除いた残基を表す。なお、R12およびR13は水素原子及び/又は式-CO-NH-E2-NCOで示される基であることが好ましい。一般式(19)中、E3は一般式(20)で示される基であるのが好ましい。一般式(20)中、E5はポリエーテル(b1)の残基、Dは酸素原子及び/又はイミノ基、Zはポリエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタンからなる群から選ばれるポリマーセグメントであり、一般式(21)〜(27)のいずれかで示されるセグメントであるのが好ましい。uは0又は1であり、wは通常2〜50、好ましくは3〜30である。なお、Zが一般式(21)で示されるポリエステルアミドセグメントであるのが好ましい。一般式(21)〜(27)中、E6は炭素数4〜20のジカルボン酸からカルボキシル基を除いた残基、E7は三価若しくは四価の芳香族カルボン酸から3個のカルボキシル基を除いた残基、E8は炭素数4〜12のジカルボン酸と炭素数2〜12のジアミンとのモノアミド及び炭素数6〜12のアミノカルボン酸からなる群から選ばれるポリアミド形成成分から末端のアミノ基とカルボキシル基とを除いた残基、E9は炭素数4〜12のジカルボン酸と前述したジオール(b0)とのエステル及び炭素数6〜12のオキシカルボン酸からなる群から選ばれるポリエステル形成成分から末端の水酸基とカルボキシル基を除いた残基、s、s’、s''は0又は1〜50の整数、(s+s’)は少なくとも1、A3は炭素数2〜4のアルキレン基又は式-R16-CO-で示される基、R16は炭素数1〜11の2価の炭化水素基、qは0又は1〜10の整数、E10は式-CO-D-E11-D-CO-NH-E2-NH-で示される基、E2は有機ジイソシアネートの残基、Dは酸素原子及び/又はイミノ基、E11は鎖伸張剤の残基である。(A2)としては、(b2)の末端の一方又は両方が、下記の一般式(12)〜(14)で示される基{(b2)の末端が水酸基又はエポキシ基の場合}で置き換えられた構造のもの(エステル結合を介して結合);一般式(15)〜(17)で示される基{(b2)の末端がアミノ基又はイソシアネート基の場合}で置き換えられた構造のもの(アミド結合を介して結合);及び一般式(18)で示される基{(b2)の末端がアミノ基の場合}で置き換えられた構造のもの(イミド結合を介して結合)が挙げられる。
上記ポリオレフィン残基R8は、式R17-{CH(R18)-CH(R19)}y-(式中、R17は水素原子又はH2C=CH-で示される基、R18及びR19の一方は水素原子で他方は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、yは15〜800の整数を表す。)で示される基であることが好ましい。
ブロックポリマー(A2)を構成する(b2)の量は、(A2)の重量に基づいて、通常20〜80重量%であり、30〜70重量%が好ましい。(A2)のMnは、通常2000〜60000、好ましくは5000〜40000である。ブロックポリマー(A2)の構造において、ポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数(Nn)は、通常0.4〜2.1、好ましくは0.5〜2.0、さらに好ましくは0.6〜1.9、特に好ましくは0.7〜1.8である。
[ブロックポリマー(A3)]
ブロックポリマー(A3)は、親水性ポリマー(b)として分子内に非イオン性分子鎖(c1)で隔てられた2〜80個、好ましくは3〜60個のカチオン性基(c2)を分子内に有するカチオン性ポリマー(b3)のブロックを有するものであり、(a)と(b3)とが繰り返し交互に結合した構造を有する。(A3)のMnは、通常2000〜60000、好ましくは5000〜40000、特に好ましくは8000〜30000である。(A3)中のカチオン性基(c2)の含量は、(A3)1分子当り、2〜500個、好ましくは10〜300個、特に好ましくは15〜250個である。カチオン性基(c2)1個当りの(A3)のMnは、通常120〜30000、好ましくは200〜6000、特に好ましくは300〜4000である。
ブロックポリマー(A3)の構造において、ポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数(Nn)は、通常2〜50、好ましくは2.3〜30、さらに好ましくは2.7〜20、特に好ましくは3〜10である。
[ブロックポリマー(A4)]
ブロックポリマー(A4)は、(b)として、スルホニル基を有するジカルボン酸(e1)と、ジオール(b0)又はポリエーテル(b1)とを必須構成単位とし、かつ分子内に2〜80個、好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマー(b4)のブロックを有するものであり、(a)と(b4)が繰り返し交互に結合した構造を有する。(A4)のMnは、通常2000〜60000、好ましくは5000〜40000、特に好ましくは8000〜30000である。また、(A4)中のスルホニル基の含量は、(A4)1分子当り、2〜500個、好ましくは10〜300個、特に好ましくは15〜250個である。スルホニル基1個当りの(A4)のMnは、通常120〜30000、好ましくは200〜6000、特に好ましくは300〜4000である。
ブロックポリマー(A4)の構造において、ポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数(Nn)は、通常2〜50、好ましくは2.3〜30、さらに好ましくは2.7〜20、特に好ましくは3〜10である。
また、高分子型帯電防止剤の融点は、好ましくは70〜270℃、より好ましくは80〜230℃、特に好ましくは80〜200℃であることが、帯電防止機能発現性の観点から望ましい。
高分子型帯電防止剤の融点は、以下のJIS K7121(1987年)に準拠する方法により測定することができる。即ちJIS K7121(1987年)における試験片の状態調節(2)の条件(但し、冷却速度は10℃/分)により前処理を行い、10℃/分にて昇温することにより融解ピークを得る。そして得られた融解ピークの頂点の温度を融点とする。尚、融解ピークが2つ以上現れる場合は、最も面積の大きな融解ピークの頂点の温度を融点とする。但し、最も面積の大きな融解ピークが複数存在する場合は、それらの融解ピークの内、最も高温側の融解ピークの頂点の温度を融点とする。
上記高分子帯電防止剤はそれぞれ単独で使用することができるが、組み合わせて使用してもよい。
尚、上記のような高分子型帯電防止剤は、例えば三井・デュポンポリケミカル株式会社製「SD100」、三洋化成工業株式会社製「ペレスタット300」という商品名で市販されている。
本発明の発泡体は、高分子型帯電防止剤が発泡体に8重量%以下含有し、該発泡体の見掛け密度が15〜65g/Lであり、エタノールを用いた超音波洗浄後の表面固有抵抗率が1×108〜1×1013(Ω)である。
上記発泡体を得るには、例えば、前述した製造方法が挙げられる。本発明の発泡体は前述した高分子型帯電防止剤が均一に分散している。従って、該発泡体は永久帯電防止の機能を有し、製造後の放置時間や湿度条件等に依存することなく、製造後直ちに優れた帯電防止特性を発揮する。また、被包装体の表面がベトついたり、白化するなどの表面汚染が起きることが殆どない。高分子型帯電防止剤としては、前述したものが好ましく挙げられる。
本発明における発泡体の形状としては、例えば、棒状、シート状、板状が挙げられる。中でも包装材として被包装物を梱包し易い点と、熱成形が容易である点からシート状又は板状が好ましい。
本発明の発泡体においては、高分子型帯電防止剤の含有量は8重量%以下であると共に見掛け密度が15〜65g/Lである。見掛け密度がこの範囲であると、高分子型帯電防止剤を含んだポリオレフィン系樹脂が発泡時に引き伸ばされる。従って、高分子型帯電防止剤の含有量が8重量%以下であっても、表面固有抵抗率が1×108〜1×1013(Ω)であるという優れた帯電防止特性を発揮する。また、被包装体の表面汚染を引き起こすことす可能性が極めて小さい。
高分子型帯電防止剤の含有量が8重量%を超えると、気泡径が粗大で外観が悪くなり、独立気泡率も低くなる虞がある。上記観点から高分子型帯電防止剤の含有量は7重量%以下が好ましく、6.5重量%以下がより好ましい。一方、その下限は、表面固有抵抗率が1×108〜1×1013(Ω)であるという帯電防止特性を発揮することができない虞れがあることから2重量%以上が好ましく、3.5重量%以上がより好ましく、4重量%以上が特に好ましい。
発泡体の見掛け密度が65g/Lを超えると、発泡時の気泡の成長による高分子型帯電防止剤を含んだポリオレフィン系樹脂の引き伸ばし効果がなく、帯電防止特性が悪くなる虞がある。かかる観点から61g/L以下が好ましく、51g/L以下がより好ましく、44g/L以下がさらに好ましい。一方、該見掛け密度が15g/L未満となると、発泡倍率が大きすぎて包装材料に要求される物理的強度が低下する虞がある。かかる観点から15g/L以上が好ましく、18g/L以上がより好ましく、21g/L以上がさらに好ましい。
本発明の発泡体においては、エタノールを用いた超音波洗浄後の表面固有抵抗率が1×108〜1×1013(Ω)である。
該表面抵抗率が1.0×1013(Ω)を超える場合は、帯電防止特性が不十分となり、発泡体の表面には静電荷が蓄積し、埃が付着しやすくなる。より埃が付着しにくくするためには、該表面抵抗率は、5×1012(Ω)以下が好ましく、1×1012(Ω)以下がさらに好ましい。
一方、発泡体の表面抵抗率が1×108(Ω)未満の場合は、包装材に要求される帯電防止特性が品質過剰となり、コストが高くなる虞がある。
本発明の発泡体は、エタノールによる超音波洗浄後であっても、帯電防止効果は失われない。これに対し、発泡体にモノグリセリンエステル等の界面活性剤系の帯電防止剤を添加した場合、エタノールによる超音波洗浄を行うと帯電防止効果が失われる。即ち、界面活性剤系の帯電防止剤を用いた場合、帯電防止剤が成形品表面にブリードアウトし空気中の水分を取り込むことにより、帯電防止効果が発揮される。従って、通常の状態では帯電防止特性が発現していても、エタノールによる超音波洗浄後には帯電防止剤が樹脂表面から洗い流されてしまうので、帯電防止特性は失われてしまう。よって、樹脂層の帯電防止特性の持続性を判別する手段として、エタノールによる超音波洗浄後の表面抵抗の測定は有効である。
本明細書における「エタノールを用いた超音波洗浄」は、ビーカー中に23℃のエタノールを入れ、その中に発泡体から切り出した試験片(縦100mm×横100mm×厚み:試験片厚み)を沈めて超音波洗浄にて24時間洗浄した後、該試験片を温度30℃、相対湿度30%の雰囲気下で36時間放置することにより乾燥させることにより行なう。エタノールによる超音波洗浄後の表面固有抵抗率は、該超音波洗浄操作直後の試験片を状態調整した後、JIS K6911(1979年)に準拠して測定される。
本発明の発泡体において、押出方向の平均気泡径:X(mm)、幅方向の平均気泡径:Y(mm)及び厚み方向の平均気泡径:Z(mm)との間には、下記に示す関係が成り立つ。
0.35 ≦Z/X≦ 1.2・・・(1)
0.35 ≦Z/Y≦ 1.2・・・(2)
Z/X、Z/Yの値が上記(1)、(2)式に示す範囲であれば、高分子型帯電防止剤が少量でも表面固有抵抗率を低くすることができ、Z/X、Z/Yの値が1.0に近いほど、即ち気泡形状が球形に近いほど発泡体の圧縮強度が良好となる。Z/Y、Z/Yの値が0.35未満の場合、圧縮強度が悪化する虞れがある。かかる観点からZ/Y、Z/Yの範囲は、0.4以上が好ましく、0.45以上がより好ましい。一方、Z/X、Z/Yの値が1.2超える場合、コルゲートと呼ばれる厚みむらが発生し外観が悪くなる虞れがある。かかる観点からZ/Y、Z/Yの範囲は、1.1以下が好ましく、1.0以下がより好ましい。
本発明の発泡体において、厚み方向の平均気泡径:Z(mm)は、下記に示す関係が成り立つことが好ましい。
0.2 ≦Z≦ 1.4・・・(3)
Zの値が上記(3)式で示す範囲であれば、発泡体の表面平滑性に優れ、外観が良好なものとなる。Zの値が0.2未満の場合、連続気泡率の高い傾向になるため圧縮強度等の剛性が低いものとなる虞れがある。かかる観点からZの範囲は、0.3以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。一方、1.4超える場合、コルゲートと呼ばれる厚みむらが発生し外観が悪くなる虞れがある。かかる観点からZの範囲は、1.3以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。
本発明の発泡体の厚みが1〜2mmの発泡体の場合、包装用緩衝材として用いられることが多い。その場合、上記Z/X、Z/YおよびZの値の範囲は下記に示す範囲がさらに好ましい。
0.5 ≦Z/X≦ 0.85・・・(7)
0.5 ≦Z/Y≦ 0.85・・・(8)
0.3 ≦ Z ≦ 0.6 ・・・(9)
Z/X、Z/Y及びZの値が上記(7)、(8)及び(9)式で示す範囲内であれば、外観に優れると共に緩衝性に優れる発泡体となる。
また、本発明の発泡体の厚みが3mm以上の厚物シートの場合、熱成形や樹脂層を積層する等の二次加工を伴うケースが多い。その場合、Z/X、Z/YおよびZの値は下記に示す範囲がさらに好ましい。
0.7 ≦Z/X≦ 1.05・・・(10)
0.7 ≦Z/Y≦ 1.05・・・(11)
0.6 ≦ Z ≦ 1.2 ・・・(12)
Z/X、Z/Y及びZの値が上記(10)、(11)及び(12)式で示す範囲内であれば、発泡体の配向が少なく、熱により元に戻ろうとする復元力が小さいので、熱成形する場合は、発泡体に亀裂が発生しにくくなり、二次加工する場合は、発泡体と樹脂層との積層面にシワがよる等の二次加工性不良が生じにくい。
本明細書において、押出方向の平均気泡径、幅方向の平均気泡径、厚み方向の平均気泡径は、それぞれ以下のようにして測定したものである。
押出方向の平均気泡径:発泡体の幅方向中心部を、押出方向に沿って垂直に切断し、その断面の中央部付近に押出方向に長さ30mmの線分を引き、この線分上にある気泡の数を測定し、線分の長さを気泡数で割った値を押出方向の平均気泡径:X(mm)として採用する。
幅方向の平均気泡径:発泡体の押出方向に対して直交する垂直断面の中央部付近に幅方向に長さ30mmの線分を引き、この線分上にある気泡の数を測定し、線分の長さを気泡数で割った値を幅方向の平均気泡径:Y(mm)として採用する。
厚み方向の平均気泡径:切り取った発泡体試験片の幅方向中心部を、押出方向に沿って垂直に切断し、その試験片断面における中央部付近に発泡体の全厚みに線分を引き、この線分上にある気泡の数を測定し、線分の長さを気泡数で割った値を厚み方向の平均気泡径:Z(mm)として採用する。
なお、これらの線分の始点は気泡壁の外側の端から引くこととする。
平均気泡径の調整方法としては、用いるポリオレフィン系樹脂にもよるが例えば、ダイの圧力を上げることによって平均気泡径を小さくする方法や前記した気泡調整剤の量で調整することができる。
また、Z/X、Z/Yの気泡形状の調整方法としては、用いるポリエチレン系樹脂にもよるが例えば、押出方向に気泡を偏平状とする場合、具体的にはZ/Xの値が0.35≦Z/X<1.0とする場合には吐出量を減少させる、引き取り速度を上げる等の方法で調整できる。一方、押出方向に気泡をほぼ球状とする場合、具体的にはZ/Xの値が1.0に近づける場合或いは1.0以上1.2以下にする場合には吐出量を増加させる、引き取り速度を下げる等の方法で調整できる。
幅方向に気泡が偏平状とする場合、具体的にはZ/Yの値が0.35≦Z/Y<1.0とする場合には、発泡体が幅方向に広がるように押出する方法で調整でき、環状ダイを用いる場合は、環状ダイの吐出口径と筒状の冷却装置であるマンドレルの直径との比(筒状の冷却装置であるマンドレルの直径/環状ダイの吐出口径)を大きくする方法で調整できる。
一方、幅方向に気泡が球状とする場合、具体的にはZ/Yの値を1.0に近づける場合或いは1.0以上1.2以下にする場合には、発泡体が幅方向に広がらないように押出する方法で調整でき、環状ダイを用いる場合は、環状ダイの吐出口径と筒状の冷却装置であるマンドレルの直径との比を小さくする方法で調整できる。さらにこれらの方法を組み合わせて調整することができる。
本発明の発泡体は、該発泡体の連続気泡率が65%以下であることが好ましい。
連続気泡率がこの範囲内であると、発泡体の厚みが薄くとも包装用用途としての緩衝性に優れている。さらに、熱成形する場合、金型再現性に優れ、金型と同じ形状に成形できる。かかる観点から連続気泡率は60%以下が好ましく、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下、最も好ましくは0%である。
発泡体の連続気泡率:S(%)は、ASTM D2856−70に記載されている手順Cに準拠し、東芝ベックマン株式会社製の空気比較式比重計930型を使用して測定される発泡体試験片の実容積(独立気泡の容積と樹脂部分の容積との和):Vx(L)から、下記(13)式により算出される値である。
S(%)=(Va−Vx)×100/(Va−W/ρ)・・・(13)
但し、上記(13)式中の、Va、W、ρは以下の通りである。
Va:測定に使用した発泡体試験片の外寸法から計算されるの見掛け容積(L)
W:発泡体試験片の重量(g)
ρ:発泡体試験片を構成する樹脂の密度(g/L)
尚、発泡体試験片を構成する樹脂の密度ρ(g/L)及び発泡体試験片の重量W(g)は、発泡体を加熱プレスにより気泡を脱泡させてから冷却する操作を行い、得られた樹脂から求めることができる。発泡体試験片は、空気比較式比重計に付属のサンプルカップに非圧縮状態で収納しなければならないので、縦が25mm、横40mmで試験片の見掛け体積が概ね0.025L(25cm3)となるように最小限の枚数とする。
本発明の発泡体を構成するポリオレフィン系樹脂組成物の190℃での溶融張力は、30〜400mNが好ましい。該溶融張力が30mN未満の場合は、発泡性が低下するので軽量な発泡体とならない虞れや、熱成形用途に使用する場合、伸びが悪い等の熱成形性が劣る発泡体となる虞れがある。また、発泡体の外観も悪いものとなる虞れがある。かかる観点からポリエチレン系樹脂組成物の溶融張力は、35mN以上であることがより好ましく、40mN以上であることが更に好ましい。一方、該溶融張力が400mNを超える場合、押出発泡する際にダイ圧の上昇による発熱により連続気泡率が高くなり、剛性が低下する虞れがある。また、熱成形性が低下する虞れがある。かかる観点から、溶融張力は300mN以下が好ましく、250mN以下ががより好ましい。
発泡体を構成するポリエチレン系樹脂組成物の190℃における溶融張力は、試験片を発泡体から切り取ったもの脱泡して用いること、樹脂層が積層されている場合は樹脂層を切りとったものを脱泡して用いること以外は前述した方法と同様に測定される。なお、本発明の発泡体における溶融張力は、前述した方法において例示した溶融張力のポリエチレン系樹脂を用いて調整される。
本発明の発泡体を構成するポリプロピレン系樹脂組成物の190℃での溶融張力は、30〜400mNが好ましい。該溶融張力が30mN未満の場合は、発泡性が低下するので軽量な発泡体とならない虞れや、熱成形用途に試用する場合、伸びが悪い等の熱成形性が劣る発泡体となる虞れがある。また、発泡体の外観も悪いものとなる虞れがある。かかる観点からポリエチレン系樹脂組成物の溶融張力は、35mN以上であることがより好ましく、40mN以上であることが更に好ましい。一方、該溶融張力が400mNを超える場合、押出発泡する際にダイ圧の上昇による発熱により連続気泡率が高くなり、剛性が低下する虞れがある。また、熱成形性が低下する虞れがある。かかる観点から、溶融張力は300mN以下であることが好ましく、250mN以下であることがより好ましい。
発泡体を構成するポリプロピレン系樹脂組成物の190℃における溶融張力は、試験片を発泡体から切り取ったものを脱泡して用いること、樹脂層が積層されている場合は樹脂層を切りとったものを脱泡して用いること以外は前述した方法により測定される。
本発明の発泡体を構成するポリエチレン系樹脂組成物の溶融張力は、発泡体を脱泡して得られた試験片を用いて測定する。従って、溶融張力の調整方法は、押出機から発泡体を押出した際の発泡層を形成するポリエチレン系樹脂組成物に対応するものを用いて調整される。具体的には、ポリエチレン系樹脂組成物として既に二軸押出機やニーダーを用いて溶融混練されたポリエチレン系樹脂組成物を押出機に投入して発泡体を製造する場合は、投入するポリエチレン系樹脂組成物を予め測定して調整する。また、ポリエチレン系樹脂組成物として二種以上の樹脂を別々に押出機に投入して発泡体を製造する場合や、既に溶融混練されたポリエチレン系樹脂組成物と気泡調整剤を別々に押出機に投入して発泡体を製造する場合は、それらの押出機投入後の想定される溶融混練条件にて予め二軸押出機やニーダーを用いて溶融混練して得られた試料を用いてその結果をもとに調整することとする。
なお、ポリプロピレン系樹脂樹脂組成物も上記と同様に調整される。
本発明の発泡体は、湿度などの雰囲気温度に依存せず帯電防止効果があり、埃や塵が付着し難いことから緩衝材、建築用断熱材、食品用容器等に好適で特に、被包装物の表面を汚染することがないことから包装物の緩衝材として有用である。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
なお実施例1〜4、比較例1〜4で用いた気泡調整剤として、低密度ポリエチレン100重量部に対してタルク(松村産業株式会社製商品名「ハイフィラー#12」)を11.8重量部、クエン酸ナトリウムを5.9重量部配合してなる気泡調整剤マスターバッチを用いた。
ポリオレフィン系樹脂として、以下に示すものを用いた。
PE1:住友化学工業株式会社製低密度ポリエチレン「F102」(結晶化温度97.8℃密度:922g/LMFR:0.3g/10分)
PE2:株式会社日本ユニカー製低密度ポリエチレン「NUC8008」(結晶化温度93.5℃、密度:917g/L、MFR:4.5g/10分)
PP1:サンアロマー株式会社製プロピレン−エチレンブロック共重合体「SD632」(結晶化温度128℃、密度:900g/L、MFR:3.2g/10分)
高分子型帯電防止剤として、以下に示すものを用いた。
高分子帯電防止剤P1:三洋化成工業株式会社製ポリエーテル−ポリプロピレンブロック共重合体「ぺレスタット300」(融点136℃、数平均分子量14000、密度990g/L)
高分子帯電防止剤P2:チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製(ポリエーテルエステルアミドとポリアミドの混合物)「IRGASTAT P18」(融点180℃、数平均分子量19000、密度1043g/L)
実施例1
発泡体製造用の押出機として直径90mmと直径120mmの2台の押出機からなり、押出機の出口に直径95mmの環状ダイが取付けられたタンデム押出機を使用した。
ポリオレフィン系樹脂としてPE1(低密度ポリエチレン)100重量部に対して、気泡調整剤マスターバッチを2重量部配合し、高分子帯電防止剤として高分子帯電防止剤を低密度ポリエチレン100重量部に対して6.4重量部添加して、直径90mmの押出機の原料投入口に供給し、加熱混練し、約200℃に調整された樹脂溶融物とした。該樹脂溶融物に物理発泡剤としてノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%の混合ブタンを、低密度ポリエチレン100重量部に対して25重量%となるように圧入し、次いで前記直径90mmの押出機の下流側に連結された直径120mmの押出機に輸送し、冷却して樹脂溶融物の樹脂温度(発泡温度)を110℃、ダイ圧を7〜10MPa(G)に調節して発泡性樹脂溶融物とし、該発泡性樹脂溶融物を前記環状ダイを通して押出して筒状発泡体を形成した。押出された筒状発泡体を冷却された円筒に沿わせて引き取りながら切開いて、目的の発泡体を得た。
実施例2
ポリオレフィン系樹脂としてPE2(低密度ポリエチレン)を主原料として用い、混合ブタンの配合量を27重量%とし、樹脂温度(発泡温度)を108℃に調節した以外は、実施例1と同様に発泡体を得た。
実施例3
物理発泡剤の配合量を23重量部とし、高分子帯電防止剤としてP1「ぺレスタット300」を4.7重量部添加し、樹脂温度(発泡温度)を111℃に調節した以外は、実施例1と同様に発泡体を得た。
実施例4
表1に示したPP1を用い、物理発泡剤の配合量を8重量部とし、樹脂温度(発泡温度)を152℃に調節した以外は、実施例1と同様に発泡体を得た。
実施例1〜4におけるポリオレフィン系樹脂(主原料)の種類、190℃での溶融粘度、溶融張力、高分子型帯電防止剤の種類、190℃での溶融粘度、結晶化温度を表6にまとめて示し、高分子型帯電防止剤の添加量、発泡剤の注入量、発泡温度、ブロー比、引取速度及び吐出量等をまとめて表7に示した。
なお、表6のポリオレフィン系樹脂における測定温度190℃、剪断速度100sec-1での溶融粘度(表中では「190℃での溶融粘度」と表示した。)、溶融張力、高分子型帯電防止剤における190℃での溶融粘度、結晶化温度は、前述した測定方法により測定し、原料ペレットを用いて得られた値である。
得られた発泡体における高分子帯電防止剤の含有量、ポリオレフィン系樹脂の溶融張力(表中では「PO系樹脂の溶融張力」と表示した。)、見掛け密度、発泡体の厚み、連続気泡率、(エタノール洗浄後の)表面固有抵抗率、気泡形状、外観の評価及び総合評価を表8に示した。
なお、表8のポリオレフィン系樹脂の溶融張力は、前述した測定方法により測定し、発泡体を脱泡して得られた非発泡樹脂を用いて得られた値である。
比較例1
三洋化成株式会社製高分子帯電防止剤「ぺレスタット300」を低密度ポリエチレン100重量部に対して17.6重量部添加し、低密度ポリエチレン100重量部に対して混合ブタンの配合量を25重量部とし、樹脂温度(発泡温度)を108℃に調節した以外は、実施例1と同様に発泡体を得た。
比較例2
物理発泡剤の配合量を8重量部とし、樹脂温度(発泡温度)を113℃に、ブロー比、引取速度を表7に示した値に調節した以外は、実施例1と同様に発泡体を得た。
比較例3
高分子帯電防止剤「ぺレスタット300」を1.5重量部添加し、樹脂温度(発泡温度)を111℃に調節した以外は、実施例1と同様に発泡体を得た。
比較例4
高分子型帯電防止剤としてチバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「IRGASTAT P18」を用いた以外は、実施例1と同様に押出発泡を行なった。しかし、押出し直後に結晶化物が発生し、表面凹凸状の発泡体しか得られず、表面固有抵抗率が測定できるような発泡体ではなかった。従って、表面固有抵抗率の測定は行なわなかった。押出し直後の結晶化物は、高分子型帯電防止剤の「IRGASTAT P18」によるものと考えられる。
比較例1〜4におけるポリオレフィン系樹脂(主原料)の種類、測定温度190℃、剪断速度100sec-1での溶融粘度(表中では「190℃での溶融粘度」と表示した。)、溶融張力、高分子型帯電防止剤の種類、190℃での溶融粘度、結晶化温度を表6に示し、高分子型帯電防止剤の添加量、物理発泡剤の注入量、発泡温度、ブロー比、引取速度及び吐出量等を表7に示した。
得られた発泡体における高分子帯電防止剤の含有量、ポリオレフィン系樹脂の溶融張力(表中では「PO系樹脂の溶融張力」と表示した。)、見掛け密度、発泡体の厚み、連続気泡率、(エタノール洗浄後の)表面固有抵抗率、気泡形状、外観の評価及び総合評価を表8に示した。
Figure 2007186706
Figure 2007186706
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実施例及び比較例における押出方向の平均気泡径:X(mm)、幅方向の平均気泡径:Y(mm)及び厚み方向の平均気泡径:Z(mm)の調整方法として、気泡調整剤を用い、気泡形状を調整する条件として、発泡温度(℃)、吐出量(kg/hr)、環状ダイの吐出口径と筒状の冷却装置であるマンドレルの直径との比(表中では、ブロー比として示した)及び引取速度(m/min)を表1に示した。尚、発泡温度は、環状ダイのオイル温調されたダイの金型温度をいう。
表6に示した高分子型帯電防止剤の結晶化温度は前記した測定方法にて求めた。
発泡体における高分子帯電防止剤の含有量、見掛け密度、連続気泡率の測定、(エタノール洗浄後の)表面固有抵抗率、外観の評価及び総合評価は次のように行なった。
なお、気泡形状の測定は前記した測定方法にて求めた。
<高分子帯電防止剤の含有量>
発泡体を製造する際、高分子帯電防止剤の添加量から求めた。
<表面固有抵抗率の測定>
発泡体から3片切り出した試験片(縦100mm×横100mm×厚み:試験片厚み)をサンプルとした。
前述したJIS K6911(1979年)の方法に準じて印加電圧500Vで印加してから1分後の表面抵抗値を採用し、得られた測定値の平均値から表面抵抗率を求めた。測定装置はタケダ理研工業株式会社製「TR8601」を用いた。
表中のエタノール洗浄後の表面抵抗率は、未処理の表面抵抗率を測定後、その試験片を下記に示す状態調整後、直ちに23℃、50%RH環境下にて表面抵抗を測定した。その際、前述したJIS K6911(1979年)の方法に準じて印加電圧500Vで印加してから1分後の表面抵抗値を採用し、得られた測定値の平均値から表面抵抗率を求めた。測定装置はタケダ理研工業株式会社製「TR8601」を用いた。
[試験片の状態調整]
超音波洗浄装置として、ブランソン社製「BRANSONIC 220」を使用した。まず最初に500ml用ビーカ中に500mlのエタノールを秤量し、エタノールの温度を23℃に維持した。次いで、試験片をビーカ中に金網を使用して沈めることにより純度99.5Vol%以上のエタノール中に浸漬した。その後、試験片が沈められた前記ビーカにホイルで蓋をし、23℃の水1.7リットルが入った前記超音波洗浄装置の凹状収納部へ前記ビーカを入れて静置したのち超音波洗浄装置の電源を入れて洗浄を開始した。洗浄開始から8時間が経過した後に、さらに洗浄開始から16時間経過した後に、ビーカ中のエタノールが500mlとなるように23℃のエタノールを追加する操作を行った。なお、このエタノールの追加操作は、超音波洗浄によりエタノールが揮発して当初ビーカ中に存在していた量よりも減少してしまうので、それを補充する操作である。洗浄開始から24時間経過後に、超音波洗浄装置を停止させ、ビーカ中から試験片を取り出し、直ちにこの試験片を相対湿度30%、温度30℃の雰囲気下で36時間放置して乾燥して、試験片の状態調整を完了した。
<外観の評価>
得られた発泡体を目視にて外観の評価を以下の評価基準で行なった。
○:気泡の形状が全体に均一で、微細な気泡径であり、表面平滑性に優れる。
△:気泡の形状が全体に均一で、微細な気泡径であるが、ところどころにわずかな巨大気泡が見られ、部分的に凹凸が見られる。
×:巨大気泡が見られ、表面がやけたような状態で全体が凹凸が見られる。
<総合評価>
総合評価は、連続気泡率、表面固有抵抗率及び外観の評価を基に以下の評価基準で行なった。
◎:◎が1以上あり、残りが○である
○:全て○である
×:×が一つ以上ある
連続気泡率を以下のような評価基準で行なった。
◎:連続気泡率が40%以下
○:連続気泡率が40%を超え70%以下。
×:連続気泡率が70%超
表面固有抵抗率を以下のような評価基準で行なった。
◎:1.0×108〜1.0×1010(Ω)
○:1.0×1010(Ω)を超えて1.0×1013以下
×:1.0×1013(Ω)超
見掛け密度、連続気泡率の測定は前記した方法で得られた値を採用した。
本発明発泡体の製造方法の1例を示す説明図である。
符号の説明
11 押出機
12 ダイ
I ポリオレフィン系樹脂
II 高分子型帯電防止剤
III 物理発泡剤
IV 発泡性ポリオレフィン系樹脂脂溶融物
V 発泡体

Claims (5)

  1. 結晶化温度が110℃以下であると共に測定温度190℃、剪断速度100sec-1での溶融粘度が80〜1000Pa・sである高分子型帯電防止剤と、ポリオレフィン系樹脂と物理発泡剤とを押出機中にて、混練して発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を形成し、該発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を押出発泡させることによりポリオレフィン系樹脂発泡体を得る製造方法であって、該高分子型帯電防止剤をポリオレフィン系樹脂100重量部に対して2〜8重量部添加し、且つ発泡体の見掛け密度が65g/L以下になるように押出発泡することを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  2. 該ポリオレフィン系樹脂が、190℃での溶融張力が30〜400mNのポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  3. 該ポリオレフィン系樹脂が、230℃での溶融張力が30〜400mNのポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  4. 8重量%以下の高分子型帯電防止剤を含有し、見掛け密度が15〜65g/Lであり、エタノールを用いた超音波洗浄後の表面固有抵抗率が1×108〜1×1013(Ω)であり、平均気泡径が下記(1)、(2)及び(3)式を満足することを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体。
    0.35 ≦Z/X≦ 1.2・・・(1)
    0.35 ≦Z/Y≦ 1.2・・・(2)
    0.2 ≦ Z ≦ 1.4 ・・・(3)
    (但し、X、Y及びZは、押出方向の平均気泡径:X(mm)、幅方向の平均気泡径:Y(mm)及び厚み方向の平均気泡径:Z(mm)とする。)
  5. 該発泡体の連続気泡率が65%以下であることを特徴とする請求項4記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
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