JP4493000B2 - ポリオレフィン系樹脂発泡シート - Google Patents

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本発明は、発泡層の少なくとも片面に帯電防止剤を含むポリオレフィン系樹脂層が積層されてなるポリオレフィン系樹脂発泡シートに関する。更に詳しくは、帯電防止性能、柔軟性、緩衝性に優れた多層構造のポリオレフィン系樹脂発泡シートに関する。
従来、緩衝材、包装材等の素材として、ポリオレフィン系樹脂からなる発泡体が使用されてきた。特に、樹脂中に導電性添加剤や帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂発泡体は、ほこりがつき難く柔軟性および緩衝性があることから、被包装体を傷つけにくく、精密機器、家電製品等の包装緩衝材として好適に利用されてきた。前記導電性添加剤としては、例えばカーボンブラックが用いられる(例えば、特許文献1参照。)。
また、ポリオレフィン系樹脂からなる発泡層にポリオレフィン系樹脂からなる導電性または帯電防止性のポリオレフィン系樹脂層を積層してなる多層発泡シートが公知である。前記ポリオレフィン系樹脂層は、熱可塑性樹脂を主体とし、それに導電性添加剤や帯電防止剤を配合したものが用いられる。前記帯電防止剤としては、いわゆる界面活性剤が用いられ、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルジエタノールアミド等が挙げられる(例えば、特許文献2参照。)。
特開2001-347589号公報(第3頁、段落番号0018) 特開平9-169072号公報(第3頁〜第4頁、段落番号0016)
前記特許文献1に記載されるように、カーボンブラックを添加した樹脂からなる発泡シートの場合、無機物のカーボンブラックを多量に添加することになるため発泡性が悪化し物性や外観が良好な発泡シートを得ることが難しくなる問題や、発泡シートの色が黒色に限定されてしまう等の問題がある。
また、グリセリン脂肪酸エステルなどの界面活性剤からなる帯電防止剤を添加した樹脂からなる発泡シートの場合、添加された界面活性剤のブリードアウトにより被包装体の表面汚染を引き起こしてしまう問題や、湿度の低い環境下では帯電防止機能が十分に発現しない問題があった。
また、グリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤からなる帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層を発泡シートに積層して帯電防止機能を付与した前記特許文献2に記載の多層発泡シートは、被包装体の表面汚染を引き起こしてしまう問題や、湿度の低い環境下では帯電防止機能が十分に発現しない問題があった。
本発明者らは、上記の低湿度環境下で帯電防止機能が発現しない問題を解決する為に、所謂、高分子型帯電防止剤をポリオレフィン系樹脂に添加して発泡シートを得ようとした。しかし、少量の高分子型帯電防止剤では帯電防止機能は充分発揮されず、一方、添加量を増量すると、みかけ密度の小さな良好なポリオレフィン系樹脂発泡シートが得られなかった。
次に、本発明者らは、高分子型帯電防止剤を含有する樹脂シートを発泡シートに積層して帯電防止機能を付与した多層発泡シートについての検討を行った。該検討により、適切な帯電防止機能を発現する為には、従来使用されている界面活性剤からなる帯電防止剤の場合には、1重量%未満の添加で十分であるのに対し、高分子型帯電防止剤の場合は、1重量%を大きく上回る量の添加が必要であるとの知見を得た。そして、適量の高分子型帯電防止剤を添加して形成した樹脂シートを別に形成した発泡シートに積層接着することにより、低湿度環境下で帯電防止機能が発現しない問題を解決する多層発泡シートを得ることに成功した。
しかしながら、適量の高分子型帯電防止剤を添加してなる溶融樹脂混合物においては伸びが不十分なため薄膜形成性が悪化して厚みの薄い樹脂シートを形成することが難しく、また該溶融樹脂混合物の伸びを改善して薄い樹脂シートを形成するために溶融時の流動性の高い樹脂を選択して該樹脂に適量の高分子型帯電防止剤を添加しても適切な帯電防止機能を発現するものは得られなかった。結局、十分な帯電防止効果を発現させるためには厚みが厚いものしか得られず、50μm未満の厚みに薄肉化するのは極めて困難なものであった。
そして、厚みの厚い該樹脂シートを積層してなる前記多層発泡シートは、軽量性、柔軟性、緩衝性において不十分なものとなり、また高分子型帯電防止剤の効果を発現するためには上記の濃度以上に添加しなければならず、更に高分子型帯電防止剤は高価なものであるため、該樹脂シートの厚み増加は高分子型帯電防止剤の使用量の増加に繋がり上記多層発泡シートは極めて高価なものにならざるを得ない状況であった。
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、空気中の湿度条件に大きく左右されずに帯電防止効果が得られ、柔軟性と緩衝性を備えたポリオレフィン系樹脂発泡シートを提供することを目的とする。
即ち本発明は、(1)ポリオレフィン系樹脂発泡層の少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂層を有する発泡シートにおいて、該ポリオレフィン系樹脂発泡層のみかけ密度が0.015〜0.06g/cmであり、該ポリオレフィン系樹脂層が、高分子型帯電防止剤を含み、該ポリオレフィン系樹脂層の坪量が0.1〜g/mであることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡シート、()高分子型帯電防止剤の数平均分子量が2000以上であることを特徴とする上記(1)に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート、()高分子型帯電防止剤がポリオレフィン系樹脂層の基材樹脂100重量部に対して5〜50重量部の割合で添加されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート、()ポリオレフィン系樹脂発泡層における平均気泡膜厚みが20μm以下であることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート、を要旨とする。
本発明発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂発泡層の少なくとも片面に高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層が積層されてなるものである為、該表面において湿度条件に依存することのない良好な帯電防止性能を有するものである。また、該帯電防止効果は発泡シートの表面を洗浄するなどしても帯電防止性能が失われることもない。
また、高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層の坪量が0.1〜g/mであるため、発泡層の特性を阻害することなく軽量性、柔軟性及び緩衝性、外観に優れた発泡シートが得られ、特に該発泡層のみかけ密度が小さい程その意義は大きい。
また、ポリオレフィン系樹脂層およびポリオレフィン系樹脂発泡層がポリエチレン系樹脂からなる場合は、表面硬度が低く被包装体の表面保護性に特に優れた柔軟性の良好な発泡シートが得られる。
また、ポリオレフィン系樹脂発泡層の平均気泡膜厚みを20μm以下とした場合、更に柔軟性に優れた発泡シートとなる。
また、本発明発泡シートは、製造直後においても十分な帯電防止効果が発揮されているため、ブタン等の燃焼性物理発泡剤を使用して発泡シートを製造する場合に、静電気に起因する着火事故等を防ぐことが可能であり、安全に発泡シートを製造することができる為、製造上大きな利点がある。
また、本発明発泡シートは、従来の界面活性剤からなる帯電防止剤が含まれるものを権利範囲から完全に排除するものではないが、該界面活性剤からなる帯電防止剤を使用しなくても十分な帯電防止性能が発揮でき、その場合には被包装体等の接触面を汚染することがないものとなる。
本発明発泡シートの用途としては、電子部品等の緩衝包装材、アクリル樹脂板等の樹脂板表面保護材等が例示される。
図1は本発明のポリオレフィン系樹脂発泡シート(以下、発泡シートと言う)の1例を示す要部断面図である。図1に示すように発泡シート1は、ポリオレフィン系樹脂発泡層2の少なくとも片面に高分子型帯電防止剤を含有してなるポリオレフィン系樹脂層3が積層されており、空気中の湿度条件に大きく左右されずに良好な帯電防止効果を有するものである。
さらにポリオレフィン系樹脂層3の坪量B3[g/m]は0.1〜g/mであり、ポリオレフィン系樹脂発泡層2はみかけ密度が0.015〜0.06g/cmの柔軟性と緩衝性を備えた発泡シートである。なお図1に示す態様の発泡シート1は、表裏両面にポリオレフィン系樹脂層3が積層されたものである。該表裏両面にポリオレフィン系樹脂層3は同じ組成及び坪量の樹脂層であることが好ましい。
本発明の発泡シート1の層構成としては、高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層3が、ポリオレフィン系樹脂発泡層2の片面側の表面層として積層されているものも好ましく、図1に示すようにポリオレフィン系樹脂発泡層2の表裏両面における表面層として、高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層3が積層されてなるものが特に好ましい。
また、上記の態様以外にも本発明の発泡シート1は、該ポリオレフィン系樹脂層3がポリオレフィン系樹脂発泡層2の少なくとも片面に積層され、更に該ポリオレフィン系樹脂層3の表面側に本発明の目的効果が達成できるような重合体層が積層されたもの(特に図示しない)であってもよい。更に、本発明において、ポリオレフィン系樹脂発泡層2とポリオレフィン系樹脂層3とは、両者の間にポリオレフィン系樹脂等からなる重合体層を介在させて積層する(特に図示しない)こともできる。但し、発泡シート1の柔軟性等の点からは、前記重合体層を設けずにポリオレフィン系樹脂発泡層2とポリオレフィン系樹脂層3とを積層したものが好ましい。なお、本発明の発泡シート1において該重合体層を設ける場合には、重合体層の坪量は、ポリオレフィン系樹脂層3と同様に0.1〜20g/m2、更に0.5〜10g/m2、特に1〜5g/m2の範囲とすることが好ましく、更に、該発泡層2に積層される樹脂層3と重合体層との坪量の合計は、該発泡層2の片面において50g/m2未満、特に20g/m2以下であることが所期の目的を達成する上で好ましい。
上記の通り、本発明の発泡シート1において、ポリオレフィン系樹脂層3の坪量Bは、0.1〜g/mである。ポリオレフィン系樹脂層3の坪量B3が0.1g/m未満の場合には、発泡シート1に十分な帯電防止性を付与することができない。一方、ポリオレフィン系樹脂層3の坪量B3が大きすぎる場合には、発泡シート1の用途によっては軽量性、柔軟性が不十分となる虞があり、発泡シート1の製造時の原材料費も高くなってしまう。
ポリオレフィン系樹脂層3においては帯電防止機能を発現させる為には高分子型帯電防止剤の連続層をポリオレフィン系樹脂中に形成しなければならないことから、該帯電防止剤を一定量以上の濃度で添加しなければならず、該樹脂層3の坪量が大きい分だけ高分子型帯電防止剤の添加量を増やすことを余儀なくされるためコスト上昇につながる。なお、本発明にて特定される坪量範囲内において予期せぬことに該坪量が小さい程、高分子型帯電防止剤の樹脂層3中の同濃度における表面固有抵抗率が小さくなる効果も本発明者らの研究の結果認められている。
また、ポリオレフィン系樹脂層3の厚みT3は、均一であることが好ましいが、本発明の目的、効果が達成される範囲内であれば、厚みむらがあってもかまわない。本発明において、上記のポリオレフィン系樹脂層3および必要に応じて設けられる重合体層の坪量は、以下の2通りの方法のいずれかにて求めることができる。
坪量測定の第1の方法としては、発泡シート1を製造する際に、押出し発泡条件の内、ポリオレフィン系樹脂層3または重合体層の吐出量X[kg/時]と、得られる発泡シートの幅W[m]、得られる発泡シート1の単位時間あたりの長さL[m/時]が判る場合には、以下の(1)式にてポリオレフィン系樹脂層3または重合体層の坪量[g/m2]を求めることができる。
(数1)
坪量[g/m2]=〔1000X/(L×W)〕・・・(1)
坪量測定の第2の方法としては、発泡シート1の押出方向に直交する方向の断面、即ち幅方向垂直断面から、ポリオレフィン系樹脂層3の厚みT3を等間隔に幅方向に10点測定し、得られた値の算術平均値をポリオレフィン系樹脂層3の平均厚みとし、該平均厚みに該ポリオレフィン系樹脂層3を構成している基材樹脂の密度を乗じ、単位換算してポリオレフィン系樹脂層3の坪量[g/m2]を求めることができる。
また、重合体層の坪量もポリオレフィン系樹脂層3の坪量測定と同様に、重合体層の平均厚みを測定し、得られた重合体層の平均厚みに該重合体層を構成している基材樹脂の密度を乗じ、単位換算して求めることができる。なお、ポリオレフィン系樹脂層3の厚み又は重合体層の厚みを測定し易いように、それらの層を着色することもできる。
本発明の発泡シート1の厚みT1[mm]は、発泡シート1の緩衝性および柔軟性に優れる点から、0.3〜10mmに形成することが好ましい。発泡シート1の厚みT1は、上記観点の内、特に柔軟性の点から、8mm以下が好ましく、更に5mm以下がより好ましい。なお、本発明の発泡シートは複数枚の発泡シートを貼り合わせたものとすることにより厚みを厚くしたものであってかまわない。この場合、厚みの上限は積層枚数を増すことにより任意に大きくすることができる。一方、発泡シート1が十分な緩衝性を得るという観点から、発泡シート1の厚みT1は0.5mm以上が好ましく、0.8mm以上がより好ましい。なお発泡シート1の厚みT1は、ポリオレフィン系樹脂発泡層2の厚みおよびポリオレフィン系樹脂層3の厚み、更に必要に応じて設けられる重合体層の厚みを合せた発泡シート1全体の厚み(全厚み)のことである。
本発明において発泡シート1の厚みT1[mm]は、以下の測定方法により得られるものである。まず、発泡シート1の幅方向垂直断面において、発泡シート1の厚みt[mm]を等間隔に幅方向に10点測定し、測定した各点における発泡シート1の厚みt[mm]の算術平均値を発泡シート1の厚みT1[mm]とする。
本発明においてポリオレフィン系樹脂発泡層2のみかけ密度P[g/cm]は、0.015〜0.06g/cmである。ポリオレフィン系樹脂発泡層2のみかけ密度Pが0.015g/cm未満であると発泡シート1の引張、引裂等の強度が不足する虞がある。上記観点からポリオレフィン系樹脂発泡層2のみかけ密度Pは0.016g/cm以上が好ましく、0.018g/cm以上がより好ましい。
一方、ポリオレフィン系樹脂発泡層2のみかけ密度Pが大きすぎると発泡シート1の緩衝性、軽量性および柔軟性が低下する虞がある。上記観点からポリオレフィン系樹脂発泡層2のみかけ密度は、0.06g/cm以下であり、0.045g/cm以下好ましい。
本発明においてポリオレフィン系樹脂発泡層2のみかけ密度Pは、例えば重合体層が設けられていない発泡層と樹脂層との積層体の場合で説明すると以下の操作にて測定することができる。まず前述した方法により、発泡シート1の厚みT1、ポリオレフィン系樹脂層3の厚みT3を予め測定する。次に発泡シート1の坪量B1、ポリオレフィン系樹脂層3の坪量B3を測定する。発泡シート1の坪量B1(g/m2)は、縦25mm×横25mm(厚みは発泡シート1の厚みT1のまま)の大きさに試験片を切り出し、この試験片の重量(g)を測定した後、その重量を1600倍することで得られる。またポリオレフィン系樹脂層3の坪量B3は、上記した2通りの測定方法のいずれかにより求めることができる。
次に、発泡シート1の坪量B1からポリオレフィン系樹脂層3の坪量B3を差し引いてポリオレフィン系樹脂発泡層2の坪量B2(g/m2)を求める。また、発泡シート1の厚みT1から上記の測定方法により求められるポリオレフィン系樹脂層3の厚みT3を差し引いてポリオレフィン系樹脂発泡層2の厚みT2を求める。そして、ポリオレフィン系樹脂発泡層2のみかけ密度Pは、前記ポリオレフィン系樹脂発泡層2の坪量B2(g/m2)を前記ポリオレフィン系樹脂発泡層2の厚みT2(mm)で除した値を単位換算し、発泡層2のみかけ密度P(g/cm3)とする。なお、重合体層が設けられている場合は発泡シート1の坪量B1からポリオレフィン系樹脂層3の坪量B3と重合体層の坪量を差し引いてポリオレフィン系樹脂発泡層2の坪量B2(g/m2)を求め、発泡シート1の厚みT1から上記の測定方法により求められるポリオレフィン系樹脂層3の厚みT3と重合体層の厚みを差し引いてポリオレフィン系樹脂発泡層2の厚みT2を求め、以下同様の操作にて発泡層2のみかけ密度Pを求めることができる。
本発明の発泡シート1を構成するポリオレフィン系樹脂発泡層2およびポリオレフィン系樹脂層3に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、更にそれら2種以上の混合物等が挙げられる。上記ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体のようなエチレンとコモノマーとの共重合体でエチレン成分が50モル%を超えるもの、更にそれら2種以上の混合物が挙げられる。また、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体,プロピレン-ブテン共重合体,プロピレン-エチレン-ブテン共重合体等のプロピレン系共重合体、更にそれら2種以上の混合物が挙げられる。前記ポリオレフィン系樹脂の中でも表面硬度が低く被包装体の表面保護性能に優れる等の柔軟性の観点からポリエチレン系樹脂が好ましく用いられる。
本発明において、上記ポリオレフィン系樹脂発泡層2およびポリオレフィン系樹脂層3に用いられるポリオレフィン系樹脂には、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、エチレンプロピレンゴム等のゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体等のエラストマー等のポリオレフィン系樹脂以外の重合体を添加することができる。その場合、ポリオレフィン系樹脂が50重量%以上、更に75重量%以上、特に85重量%以上含まれるようにすることが好ましい。
本発明発泡シート1において用いられる高分子型帯電防止剤は、ポリオレフィン系樹脂層3の基材樹脂100重量部に対して5〜50重量部配合されているのが好ましく、更に好ましくは基材樹脂100重量部に対して10〜25重量部の割合で配合されていることが、帯電防止性能発現性、ポリオレフィン系樹脂層の形成性の点から望ましい。
また、必要に応じて設けられる重合体層としては、上記ポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、導電性,抗菌性,ガスバリヤー性,保香性,光反射性,電磁波遮蔽性,接着性などの機能を有する或いは付加された機能性重合体等が挙げられる。
本発明発泡シート1の帯電防止性能としては、発泡シート1のエタノールを用いた超音波洗浄後の表面固有抵抗率が1.0×1013(Ω)以下であるのが好ましく、8.0×1012(Ω)以下であるのが更に好ましく、特に5.0×1012(Ω)以下であることがより好ましい。また、品質過剰とならない観点からは発泡シート1の該表面固有抵抗率は1.0×108(Ω)以上とすることが好ましい。
発泡シート1の該表面固有抵抗率が1.0×1013(Ω)を超える場合は、帯電防止性能が不十分となる虞があり、発泡シート1の表面には静電荷が蓄積し、埃が付着しやすい。また発泡シート1の該表面固有抵抗率が1.0×108(Ω)未満の場合は、帯電防止性能として品質過剰となりコスト高に繋がる。より埃が付着しにくい観点から、発泡シート1の表面固有抵抗率は、5.0×1012(Ω)以下が好ましく、1.0×1012(Ω)以下が更に好ましい。
高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層3は、エタノールによる超音波洗浄後であっても、帯電防止効果は失われない。ポリオレフィン系樹脂層3にグリセリンと脂肪酸との部分エステル等の界面活性剤からなる帯電防止剤を添加した場合は、通常の状態では、該帯電防止剤が成形品表面にブリードアウトし、空気中の水分を取り込み帯電防止効果を発揮していても、エタノールによる超音波洗浄後には該帯電防止剤が樹脂表面から洗い流されてしまい帯電防止効果は失われてしまう。よって、ポリオレフィン系樹脂層3に含有されている帯電防止剤が高分子型のものであるのか否かを判別する手段として、エタノールによる超音波洗浄後の表面固有抵抗率の測定は有効である。
本発明発泡シート1は、高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層3からなる為、エタノールを用いた超音波洗浄前後において適切な帯電防止効果を示し、洗浄、乾燥直後においても帯電防止効果が発揮されており、その効果は湿度条件に殆ど依存することもない。
発泡シート1のエタノール洗浄後の表面固有抵抗率は、試験片の状態調整以降はJIS K6911(1995)に準拠して測定する。具体的には、測定対象物である発泡シートから縦100mm×横100mm(厚みは発泡シートの厚みのまま)の大きさに切り出した試験片を23℃のエタノール中に沈めて超音波洗浄を24時間行った後、該試験片を温度30℃、相対湿度30%の雰囲気下で36時間放置して乾燥することにより試験片の状態調整を完了し、印加電圧500Vの条件にて電圧印加を開始して1分経過後の表面固有抵抗率を求める。
ポリオレフィン系樹脂層3に含まれる高分子型帯電防止剤としては、数平均分子量が2000以上、好ましくは2000〜100000、更に好ましくは5000〜60000、特に好ましくは8000〜40000の帯電防止剤であり、界面活性剤からなる帯電防止剤とは区別される。尚、該高分子型帯電防止剤の数平均分子量の上限は概ね1000000である。また、高分子型帯電防止剤は表面固有抵抗率が1×1010Ω未満である樹脂が好ましい。高分子型帯電防止剤の数平均分子量を上記の範囲とすることにより、帯電防止性能が環境に左右されずより安定的に発現され、被包装体へ帯電防止剤が移行して被包装体表面を汚染することもない。
なお、上記数平均分子量は、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて求められる。例えば、高分子型帯電防止剤がポリエーテルエステルアミドやポリエーテルを主成分とする親水性樹脂の場合にはオルトジクロロベンゼンを溶媒として試料濃度3mg/mlとし、ポリスチレンを基準物質としてカラム温度135℃の条件にて測定される値である。なお、上記溶媒の種類、カラム温度は、高分子型帯電防止剤の種類に応じて適宜変更する。
また、該高分子型帯電防止剤は、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度が90Pa・s以上、更に100〜1200Pa・s、特に150〜500Pa・sのものが好ましい。該溶融粘度が上記範囲内であることにより、帯電防止剤とポリオレフィン系樹脂層に用いられるポリオレフィン系樹脂との粘度バランスが良好になるため比較的少量の帯電防止剤の添加にて十分な帯電防止効果を得ることができる。
上記温度190℃、剪断温度100sec-1の条件下での溶融粘度は、次のようにして求められる。溶融粘度測定装置として、チアスト社製のレオビス2100等を用い、帯電防止剤の溶融物をその装置に付設された先端ノズルから、樹脂温度190℃、剪断速度100sec-1の条件で押出し流出させることによって測定した。この場合、そのノズルの孔直径Dは1.0mmとし、ノズルの長さLとノズルの孔直径Dとの比L/Dは10とする。
また、高分子型帯電防止剤の融点は、好ましくは70〜270℃、より好ましくは80〜230℃、特に好ましくは80〜200℃であることが、ポリオレフィン系樹脂層形成性および帯電防止機能発現性の観点から望ましい。
高分子型帯電防止剤の融点は、以下のJIS K7121(1987)に準拠する方法により測定することができる。即ちJIS K7121(1987)における試験片の状態調節(2)の条件(但し、冷却速度は10℃/分)により前処理を行い、10℃/分にて昇温することにより融解ピークを得る。そして得られた融解ピークの頂点の温度を融点とする。尚、融解ピークが2つ以上現れる場合は、最も面積の大きな融解ピークの頂点の温度を融点とする。但し、最も面積の大きな融解ピークが複数存在する場合は、それらの融解ピークの内、最も高温側の融解ピークの頂点の温度を融点とする。
本発明で使用される高分子型帯電防止剤としては、金属イオンとしてカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれたアルカリ金属を含むアイオノマー樹脂、ポリエーテルエステルアミドやポリエーテルを主成分とする親水性樹脂が好ましい。また高分子型帯電防止剤にはポリオレフィン系樹脂層3の基材樹脂との相溶性を向上させ、優れた帯電防止効果を与えると共に、帯電防止剤を添加することによる物性低下を抑制する効果を得るために、ポリオレフィン系樹脂層3の基材樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂をブロック共重合させたものを用いることが更に好ましい。
特に好ましい高分子型帯電防止剤は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の一部又は全部がカリウム,ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれたアルカリ金属で中和されているアイオノマーや特開2001-278985号公報に記載されている組成物が挙げられる。
特開2001-278985号公報記載の組成物は、ポリオレフィン(a)のブロックと、体積固有抵抗値が105〜1011Ω・cmの親水性ポリマー(b)のブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有する数平均分子量(Mn)が2000〜60000のブロックポリマー(A)である。上記(a)のブロックと(b)のブロックとは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するものである。
高分子型帯電防止剤として用いられる上記ブロックポリマー(A)のポリオレフィン(a)のブロックとしては、カルボニル基(好ましくは、カルボキシル基。尚、以下に例示する全てのカルボニル基の好ましい態様として、カルボキシル基が挙げられる。)をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1)、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2)、アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a3)が使用できる。さらに、カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a4)、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a5)、アミノ基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a6)が使用できる。このうち、変性のし易さからカルボニル基を有するポリオレフィン(a1)及び(a4)が好ましい。
ブロックポリマー(A)を構成する親水性ポリマー(b)のブロックとしては、ポリエーテル(b1)、ポリエーテル含有親水性ポリマー(b2)、カチオン性ポリマー(b3)及びアニオン性ポリマー(b4)が使用できる。(b1)としては、ポリエーテルジオール(b1-1)、ポリエーテルジアミン(b1-2)、及びこれらの変性物(b1-3)が使用できる。(b2)としては、ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオール(b1-1)のセグメントを有するポリエーテルエステルアミド(b2-1)、同じく(b1-1)のセグメントを有するポリエーテルアミドイミド(b2-2)、同じく(b1-1)のセグメントを有するポリエーテルエステル(b2-3)、同じく(b1-2)のセグメントを有するポリエーテルアミド(b2-4)及び同じく(b1-1)又は(b1-2)のセグメントを有するポリエーテルウレタン(b2-5)が使用できる。(b3)としては、非イオン性分子鎖(c1)で隔てられた2〜80個、好ましくは3〜60個のカチオン性基(c2)を分子内に有するカチオン性ポリマーが使用できる。(b4)としては、スルホニル基を有するジカルボン酸(e1)と、ジオール(b0)又はポリエーテル(b1)とを必須構成単位とし、かつ分子内に2〜80個、好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマーが使用できる。
上記ブロックポリマー(A)の具体例として、以下のブロックポリマー(A1)〜(A4)が挙げられる
[ブロックポリマー(A1)]
(a1)のブロックと(b1)のブロックとが繰り返し交互に結合した構造を有するブロックポリマー(A1)であり、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリマーが含まれる。一般式(1)中、nは2〜50の整数、R1及びR2の一方は水素原子であり他方は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、yは15〜800の整数、E1はジオール(b0)から水酸基を除いた残基、A1は炭素数2〜4のアルキレン基、m及びm’は1〜300の整数を表し、X及びX’は一般式(2)〜(8)で示される基から選ばれる基及び対応する(2’)〜(8’)で示される基から選ばれる基、すなわち、Xが一般式(2)で示される基のとき、X’は一般式(2’)で示される基であり、一般式(3)〜(8)及び(3’)〜(8’)についても同様の関係である。
Figure 0004493000
一般式(2)〜(8)及び(2’)〜(8’)中、R3、R3’は炭素数2〜3の三価の炭化水素基、R4は炭素数1〜11の2価の炭化水素基、R5は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、R6は炭素数2〜22の炭化水素基、E2は有機ジイソシアネート残基を表し、rは1〜10、u及びvは0又は1である。又、Q、Q’、T及びT’は次式で示される基である。
Figure 0004493000
ただし、R5は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、R7は水素原子又はメチル基、tはR7がメチル基のとき0、水素原子のとき1である。一般式(1)で示される繰り返し単位中の{ }内のポリエーテルセグメント{(OA1)m-O-E1-O-(A1O)m’}は、前記ポリエーテル(b1)のポリエーテル部分により構成され、式中のE1,A1、m及びm’は前記と同様である。一般式(1)におけるE1は、脂肪族二価アルコール、二価フェノール又は三級アミノ基含有ジオールから水酸基を除いた残基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xが一般式(2)で示される基、X’が一般式(2’)で示される基であるブロックポリマー(A1)は、前記のカルボニル基を有するポリオレフィン(a1)とポリエーテルジオール(b1-1)とを直接反応させることにより得ることができる。一般式(2)及び(2’)中のR3及びR3’は、[化3]に示す。(R4は水素原子又はメチル基、tはR4が水素原子のとき1,R4がメチル基のとき0である。)で示される基であり、例えばポリオレフィンのカルボニル変性に、マレイン酸又はフマル酸を用いた場合は、R3は-CH2-CH<であり、 R3’は>CH-CH2-である。
Figure 0004493000
ブロックポリマー(A1)を構成するポリエーテル(b1)の量は、(a1)と(b1)との合計重量に基づいて、通常20〜90重量%、好ましくは25〜90重量%、特に好ましくは30〜70重量%である。(A1)のMnは、通常2000〜60000、好ましくは5000〜40000、特に好ましくは8000〜30000である。
ブロックポリマー(A1)の構造において、ポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数(Nn)は、通常2〜50、好ましくは2.3〜30、さらに好ましくは2.7〜20、特に好ましくは3〜10である。
[ブロックポリマー(A2)]
ブロックポリマー(A2)は、ポリオレフィン(a)のブロックと親水性ポリマー(b)のブロックとが(a)-(b)型または(a)-(b)-(a)型に結合されてなるブロックポリマーである。(A2)は、(b2)と一般式(9)〜(11)のいずれかで示されるカルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a4)との反応で得ることができる。
Figure 0004493000
Figure 0004493000
式中、R8はポリオレフィン残基、Q’は式-CH(R10)-CH=C(R10)-CH2-で示される基、R9は炭素数2〜3の三価の炭化水素基、R10は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、R11は水素原子又はメチル基である。(b2)としては、一般式(19)で示されるものが好ましい。式(19)中、E3はポリエーテル基含有親水性ポリマー残基、R12及びR13は水素原子、式-CO-NH-E2-NHCOO-R14-NH2、式-CO-NH-E2-NCO、式-G又は式-CH2CH(OH)CH2-O-E4-O-Gで示される基、pは0又は1、A2は炭素数2〜4のアルキレン基又は式-(R15-CO)r-で示される基、R15は炭素数1〜11の2価の炭化水素基(以下、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれをも含む)、rは1〜10の整数、R14は炭素数2〜12の2価の炭化水素基、E2は有機ジイソシアネートの残基、Gはグリシジル基、E4はジグリシジルエーテル(G-O-E4-O-G)からグリシジルオキシ基を除いた残基を表す。なお、R12およびR13は水素原子及び/又は式-CO-NH-E2-NCOで示される基であることが好ましい。一般式(19)中、E3は一般式(20)で示される基であるのが好ましい。一般式(20)中、E5はポリエーテル(b1)の残基、Dは酸素原子及び/又はイミノ基、Zはポリエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタンからなる群から選ばれるポリマーセグメントであり、一般式(21)〜(27)のいずれかで示されるセグメントであるのが好ましい。uは0又は1であり、wは通常2〜50、好ましくは3〜30である。なお、Zが一般式(21)で示されるポリエステルアミドセグメントであるのが好ましい。一般式(21)〜(27)中、E6は炭素数4〜20のジカルボン酸からカルボキシル基を除いた残基、E7は三価若しくは四価の芳香族カルボン酸から3個のカルボキシル基を除いた残基、E8は炭素数4〜12のジカルボン酸と炭素数2〜12のジアミンとのモノアミド及び炭素数6〜12のアミノカルボン酸からなる群から選ばれるポリアミド形成成分から末端のアミノ基とカルボキシル基とを除いた残基、E9は炭素数4〜12のジカルボン酸と前述したジオール(b0)とのエステル及び炭素数6〜12のオキシカルボン酸からなる群から選ばれるポリエステル形成成分から末端の水酸基とカルボキシル基を除いた残基、s、s'、s''は0又は1〜50の整数、(s+s')は少なくとも1、A3は炭素数2〜4のアルキレン基又は式-R16-CO-で示される基、R16は炭素数1〜11の2価の炭化水素基、qは0又は1〜10の整数、E10は式-CO-D-E11-D-CO-NH-E2-NH-で示される基、E2は有機ジイソシアネートの残基、Dは酸素原子及び/又はイミノ基、E11は鎖伸張剤の残基である。(A2)としては、(b2)の末端の一方又は両方が、下記の一般式(12)〜(14)で示される基{(b2)の末端が水酸基又はエポキシ基の場合}で置き換えられた構造のもの(エステル結合を介して結合);一般式(15)〜(17)で示される基{(b2)の末端がアミノ基又はイソシアネート基の場合}で置き換えられた構造のもの(アミド結合を介して結合);及び一般式(18)で示される基{(b2)の末端がアミノ基の場合}で置き換えられた構造のもの(イミド結合を介して結合)が挙げられる。
上記ポリオレフィン残基R8は、式R17-{CH(R18)-CH(R19)}y-(式中、R17は水素原子又はH2C=CH-で示される基、R18及びR19の一方は水素原子で他方は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、yは15〜800の整数を表す。)で示される基であることが好ましい。
ブロックポリマー(A2)を構成する(b2)の量は、(A2)の重量に基づいて、通常20〜80重量%であり、30〜70重量%が好ましい。(A2)のMnは、通常2000〜60000、好ましくは5000〜40000である。ブロックポリマー(A2)の構造において、ポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数(Nn)は、通常0.4〜2.1、好ましくは0.5〜2.0、さらに好ましくは0.6〜1.9、特に好ましくは0.7〜1.8である。
[ブロックポリマー(A3)]
ブロックポリマー(A3)は、親水性ポリマー(b)として分子内に非イオン性分子鎖(c1)で隔てられた2〜80個、好ましくは3〜60個のカチオン性基(c2)を分子内に有するカチオン性ポリマー(b3)のブロックを有するものであり、(a)と(b3)とが繰り返し交互に結合した構造を有する。(A3)のMnは、通常2000〜60000、好ましくは5000〜40000、特に好ましくは8000〜30000である。(A3)中のカチオン性基(c2)の含量は、(A3)1分子当り、2〜500個、好ましくは10〜300個、特に好ましくは15〜250個である。カチオン性基(c2)1個当りの(A3)のMnは、通常120〜30000、好ましくは200〜6000、特に好ましくは300〜4000である。
ブロックポリマー(A3)の構造において、ポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数(Nn)は、通常2〜50、好ましくは2.3〜30、さらに好ましくは2.7〜20、特に好ましくは3〜10である。
[ブロックポリマー(A4)]
ブロックポリマー(A4)は、(b)として、スルホニル基を有するジカルボン酸(e1)と、ジオール(b0)又はポリエーテル(b1)とを必須構成単位とし、かつ分子内に2〜80個、好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマー(b4)のブロックを有するものであり、(a)と(b4)が繰り返し交互に結合した構造を有する。(A4)のMnは、通常2000〜60000、好ましくは5000〜40000、特に好ましくは8000〜30000である。また、(A4)中のスルホニル基の含量は、(A4)1分子当り、2〜500個、好ましくは10〜300個、特に好ましくは15〜250個である。スルホニル基1個当りの(A4)のMnは、通常120〜30000、好ましくは200〜6000、特に好ましくは300〜4000である。
ブロックポリマー(A4)の構造において、ポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数(Nn)は、通常2〜50、好ましくは2.3〜30、さらに好ましくは2.7〜20、特に好ましくは3〜10である。
上記高分子帯電防止剤はそれぞれ単独で使用することができるが、組み合わせて使用してもよい。
尚、上記のような高分子型帯電防止剤は、例えば三井・デュポンポリケミカル株式会社製「SD100」、三洋化成工業株式会社製「ペレスタット300」という商品名で市販されている。
本発明の発泡シート1において、ポリオレフィン系樹脂発泡層2の連続気泡率は、特に優れた緩衝性を備えたものとするためには、60%以下に形成するのが好ましく、より好ましくは40%以下で、最も好ましくは30%以下である。ポリオレフィン系樹脂発泡層の連続気泡率:S(%)は、ASTM D2856-70(1976再認定)に記載されている手順Cに準拠し、東芝ベックマン株式会社製の空気比較式比重計930型等を使用して測定される試験片の実容積(独立気泡の容積と樹脂部分の容積との和):Vx(cm3)から、下記式により算出される値である。
S(%)=(Va-Vx)×100/(Va-M/ρ)
但し、上記式中の、Va、M、ρは以下の通りである。
Va:測定に使用した試験片の外形寸法から求められるみかけ容積(cm3)
M:試験片の重量(g)
ρ:試験片を構成する樹脂の密度(g/cm3)
尚、試験片を構成する樹脂の密度ρ(g/cm3) は、試験片の重量M(g)を測定に使用した試験片を加熱プレスにより気泡を脱泡させてから冷却する操作を行って得られたサンプル体積(cm3)にて除することにより求めることができる。また、試験片は、空気比較式比重計に付属のサンプルカップに非圧縮状態で収納しなければならないので、縦が25mm、横が40mm、厚みが発泡シートの厚みの発泡シート片を複数枚用意して、みかけ体積が概ね25cm3となるように最小限の枚数を積重ねて試験片として使用する。但し、発泡シートの厚みが厚すぎてサンプルカップに収納できない場合にはスライスすることにより厚みを25mmとし、縦が25mm、横が40mm、厚みが25mmの試験片を使用する。
また、本発明の発泡シート1において、ポリオレフィン系樹脂発泡層2の平均気泡膜厚みは20μm以下、更には15μm以下であることにより、特に優れた緩衝性、柔軟性および外観を示すものとなる点で好ましい。なお、該平均気泡膜厚みの下限は概ね2μmである。
平均気泡膜厚みth(μm)は下記式により求めることができる。
th(μm)=(0.46/ρp)ρf・D
但し、Dはポリオレフィン系樹脂発泡層の平均気泡径(μm)であり、ρpはポリオレフィン系樹脂発泡層の基材樹脂の密度(g/cm3)、ρfはポリオレフィン系樹脂発泡層のみかけ密度(g/cm3)である。なお、ポリオレフィン系樹脂発泡層の平均気泡径Dは、ASTM D3576‐77に基づいて次式にて算出される値である。
D=3方向(厚み方向、幅方向および押出方向)の平均気泡弦長の算術平均値(μm)/0.616
尚、上記平均気泡膜厚みは、ポリオレフィン系樹脂発泡層のみかけ密度及びポリオレフィン系樹脂発泡層の平均気泡径にて調整を行う事が可能である。ポリオレフィン系樹脂発泡層のみかけ密度の変更は発泡剤の添加量により調整可能であり、ポリオレフィン系樹脂発泡層の平均気泡径は発泡剤添加量を一定とした場合、押出発泡時のダイ内の圧力と気泡調整剤の添加量により調整可能である。具体的には、発泡剤添加量が一定の条件下において、ダイ内の圧力を大きくする程及び/又は気泡調整剤量を多くする程、ポリオレフィン系樹脂発泡層の平均気泡径は小さくする事ができる。
なお、本発明の発泡シート1は従来の界面活性剤からなる帯電防止剤がポリオレフィン系樹脂発泡層2及び/またはポリオレフィン系樹脂層3に含まれるものを権利範囲から完全に排除するものではないが、該界面活性剤からなる帯電防止剤を使用しなくても十分な帯電防止性能が発揮でき、その場合には被包装体等の接触面を汚染することがないものとなることから、ポリオレフィン系樹脂層中には界面活性剤からなる帯電防止剤が実質的に含まれていないこと、更に全く含まれていないことが好ましい。尚、帯電防止剤が実質的に含まれていないとは、被包装体の接触面の汚染が用途に応じた許容範囲内に調整できるのであれば界面活性剤からなる帯電防止剤が含まれていてもかまわないことを意味する。
図2は本発明発泡シートの製造方法の一例を示す説明図である。以下、本発明の発泡シート1の製造方法について説明する。図2に示すように、ポリオレフィン系樹脂4、高分子型帯電防止剤5及び炭化水素系化合物6を第1の押出機11にて混練してなるポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7と、ポリオレフィン系樹脂8、気泡調整剤及び物理発泡剤9を第2の押出機12にて混練してなるポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10とを合流ダイ中にて積層し該合流ダイから共押出発泡することによりポリオレフィン系樹脂発泡層の少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂層を有する発泡シート1が得られる。
なお、ポリオレフィン系樹脂発泡層2の基材樹脂においては、メルトフローレイト(MFR)が0.05〜10g/10分、更に0.1〜8.0g/10分、メルトテンション(MT)が3〜30cN、更に3.5〜25cNのポリエチレン系樹脂であることが、目的とするみかけ密度のポリオレフィン系樹脂発泡層2を得る上で好ましい。更に基材樹脂は、密度が0.900〜0.935g/cm3のポリエチレン系樹脂を主成分とするものが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10に用いられるポリオレフィン系樹脂8のメルトテンション(MT)は、例えば、株式会社東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII型等によって測定することができる。具体的には、ノズルの孔直径2.095mm、長さ8mmのノズルを取り付けたメルトテンションテスターを用い、上記ノズルから樹脂温度190℃、ピストン速度10mm/分の条件で樹脂を紐状に押し出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛けた後、5rpm/秒(紐状物の捲取り加速度:1.3×10-2m/秒2)程度の割合で捲取り速度を徐々に増加させていきながら直径50mmの捲取りローラーで捲取る。
ポリオレフィン系樹脂の溶融張力を求める具体的な方法は、捲取り速度500(rpm)において捲取りを行って張力検出用プーリーと連結する検出機により検出される紐状物の溶融張力を経時的に測定し、縦軸にMT(mN)を、横軸に時間(秒)を取ったチャートに示すと、振幅をもったグラフが得られる。次に振幅の安定した部分の、振幅の中央値(X)をとる。この値(X)を溶融張力とする。但し、張力検出用プーリーに掛けた紐状物が捲取り速度500(rpm)までに切断する場合は、紐状物が切断したときの捲取り速度R(rpm)を求める。次いでR×0.7(rpm)の一定の捲取り速度において、前述と同様にして得られるグラフより、振幅の中央値(X)を溶融張力として採用する。尚、測定に際し、まれに発生する特異的な振幅は無視するものとする。
共押出発泡法による発泡シート1の製造は、図1及び図2に示す態様では、ポリオレフィン系樹脂発泡層の表裏両面の表面層として高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層が積層されるように製造してなるものであるが、高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂発泡層の片面側のみに積層されているものなども同様の方法にて製造することができる。
第1の押出機11のポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7には、炭化水素系化合物6が添加されるが、該炭化水素系化合物6の添加時期は、ポリオレフィン系樹脂4に高分子型帯電防止剤5を十分に分散させた後に添加するのが好ましい。このことにより、ポリオレフィン系樹脂4と高分子型帯電防止剤5とを混練する場合、粘度をある程度高い状態に維持し、高分子型帯電防止剤5の分散を確実に行ってポリオレフィン系樹脂層に導電ネットワーク構造を確実に形成することができる。また、ポリオレフィン系樹脂発泡層と共押出しする際には、炭化水素系化合物を添加し、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物を可塑化させることにより、該溶融物の樹脂温度を発泡層の発泡を阻害しない温度まで低下させる冷却調整が可能となると共に発泡層に追従する伸長性を付与することができる。このような手段は、特にポリオレフィン系樹脂発泡層2を、高発泡倍率のものとする場合に効果的であり、良好な帯電防止効果と連続気泡率の低い発泡シート1の製造を行うことができる。
上記の発泡シートの製造方法において、ポリオレフィン系樹脂層中の炭化水素系化合物6は、押出された時点で押出し時の熱によりほぼ揮散している。なお炭化水素系化合物によっては、一部、発泡シートに残存している場合もあるが、時間の経過とともに揮散してポリオレフィン系樹脂層3中にはほとんど残らない。
ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7とポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10とは、各押出機11、12内において適正温度に調整してから、合流ダイ13内にて積層して該ダイ13から共押出すことにより、ポリオレフィン系樹脂発泡層2にポリオレフィン系樹脂層3が積層された発泡シートが形成させる。押出機先端の該ダイ13としてはフラットダイや環状ダイ等を用いることができる。
上記溶融物10の押出機12内における適正温度とは、ポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10が発泡層を形成するのに最適な粘弾性を示す温度のことである。また上記溶融物7の押出機11内における適正温度とは、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7が樹脂層を形成するのに良好な伸長性を示し且つ発泡層の形成を阻害しない温度のことである。具体的には、上記溶融物7、10の該適正温度は各層のオレフィン系樹脂の[結晶化温度+5℃]以上で[結晶化温度+30℃]以下であり、かつ溶融物7、10の該適正温度の関係が、樹脂層形成用樹脂溶融物7の温度が[発泡層形成用樹脂溶融物10の温度-30℃]以上で[発泡層形成用樹脂溶融物10の温度+30℃]以下であることが、発泡層の連続気泡率の低下や得られる発泡シートの収縮を抑える観点から好ましく、さらに好ましくは樹脂層形成用樹脂溶融物7の温度が[発泡層形成用樹脂溶融物10の温度-15℃]以上で[発泡層形成用樹脂溶融物10の温度+15℃]以下である。なお、本明細書において結晶化温度は、JIS K7122(1987)に準拠する方法に準拠して、加熱速度10℃/minにて常温から200℃まで加熱して溶融させたサンプルを冷却速度10℃/minにて40℃まで温度を降下させる際に得られるDSC曲線の結晶化熱量ピークの頂点温度を結晶化温度(℃)とする。
共押出発泡法により本発明の発泡シート1を得る方法についてさらに詳しく述べると、(1)フラットダイを用い、始めからシート状に共押出して発泡シートとする方法、(2)環状ダイを用いて共押出して筒状発泡体を製造し、次いで筒状発泡体を切り開いて発泡シートとする方法等がある。
前記した方法の中でも押出機先端のダイ13として(2)の環状ダイを用いる方法は、コルゲートと呼ばれる波状模様の発生を抑えることが可能となることや、幅が1000mm以上の幅広の発泡シートが容易に製造することができる利点がある。
上記(2)の環状ダイを用いて共押出発泡する場合、まず、ポリオレフィン系樹脂4及び高分子型帯電防止剤5等を第1の押出機11に供給し、加熱し混練した後、炭化水素系化合物6を添加し、更に混練してポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7とする。同時に、ポリオレフィン系樹脂8と気泡調節剤等を第2の押出機12に供給し、加熱し混練してから物理発泡剤9を圧入して、更に混練しポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10とする。
次に、上記発泡層形成用樹脂溶融物10と樹脂層形成用樹脂溶融物7とを、それぞれ適正温度に調整してから、一つの環状合流ダイ13に導入して、該ダイ13から筒状積層発泡体として共押出しする。次に、該筒状積層発泡体の内面を、円柱状冷却装置の側面上を通過させることにより冷却してから、筒状積層発泡体を切開くことにより、発泡シート1を形成することができる。
尚、共押出の方法においては、合流ダイの溶融樹脂出口にあたるスリット内や、該スリット外の直後においてポリオレフィン系樹脂層と発泡層とを積層することもできる。また、前記合流ダイ、押出機、円柱状冷却装置、筒状積層発泡体を切開く装置等は、従来から押出発泡の分野で用いられてきた公知のものを用いることができる。
上記製造方法では、高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層が充分な帯電防止性能を発揮するためには、樹脂中における高分子型帯電防止剤の分散状態が重要である。すなわちポリオレフィン系樹脂層の基材樹脂と高分子型帯電防止剤との混練により、得られる該樹脂層において高分子型帯電防止剤の分散状態が網状又は層状の連続層になることにより、高分子型帯電防止剤が樹脂中において導電ネットワークを形成する。一方、高分子型帯電防止剤の混練が不十分であると、高分子型帯電防止剤がポリオレフィン系樹脂中に均一に分散されずに、ばらばらに存在してしまい、該樹脂層中に充分な導電ネットワークを形成することができない。
高分子型帯電防止剤5を含有するポリオレフィン系樹脂層3は、内部に導電ネットワーク構造を形成することにより、表面固有抵抗率が好ましくは1.0×108 (Ω)〜1.0×1013 (Ω)に形成される。高分子型帯電防止剤5は、単純にポリオレフィン系樹脂4に配合すれば帯電防止性能を発揮するというものではなく、該高分子型帯電防止剤5がポリオレフィン系樹脂層3中に導電ネットワーク構造を形成している必要がある。導電ネットワーク構造とは、高分子型帯電防止剤5がポリオレフィン系樹脂層3を構成する樹脂に分散した際に連続層を形成した状態で配置されている構造である。
上記導電ネットワーク構造は、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7を押出してポリオレフィン系樹脂層3を形成する際に、適度な配向をかけることにより形成され易くなる。
ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7において、高分子型帯電防止剤5を導電ネットワークが形成されるように分散させるには、高分子型帯電防止剤5のメルトフローレイト(MFR)とポリオレフィン系樹脂層3の基材樹脂のメルトフローレイト(MFR)とのバランスが重要である。具体的には、高分子型帯電防止剤のメルトフローレイトの値に対してポリオレフィン系樹脂層の基材樹脂のメルトフローレイトの値が低くなるように選択することでバランスさせることができる。
本明細書においてメルトフローレイト(MFR)は、樹脂の種類によらず、JIS K7210(1999)A法に準拠して試験温度190℃、荷重21.18Nで測定される値を採用することとする。
本発明の発泡シート1において、坪量0.1〜g/mのポリオレフィン系樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7を調整するにあたって沸点が−100〜120℃の炭化水素化合物6を含有させることにより形成することができる。
ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7に含有させる炭化水素系化合物6は、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7中に溶解している状態で、溶融粘度を低下させる機能を有すると共に、ポリオレフィン系樹脂層3形成後に、該ポリオレフィン系樹脂層3より揮発してポリオレフィン系樹脂層3から除去可能なものとして選択される。
炭化水素系化合物6が添加されたポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7を使用することにより、本発明の発泡シート1を共押出しにより製造する際に、ポリオレフィン系樹脂層3の溶融伸びを著しく向上させることができ、ポリオレフィン系樹脂層3の伸びをポリオレフィン系樹脂発泡層3の伸びに追随させて、ポリオレフィン系樹脂層3の伸び不足による亀裂発生を防止できる。尚、該亀裂発生は帯電防止機能発現の妨げとなる。
よって、上記のように調整されたポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7を使用して、該樹脂層形成用樹脂溶融物7の吐出量と引き取り速度を調整することにより、ポリオレフィン系樹脂層3を目的の坪量に形成することができる。
なお、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7の吐出量を少なくして、炭化水素系化合物を使用しない通常の共押出し法により坪量0.1〜g/mのポリオレフィン系樹脂層を有する発泡シートを形成しようとしても、該溶融物7の温度を発泡層の形成を阻害しない温度に調整するとポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7の流動性は悪いものとなってしまう。また、前述したようにポリオレフィン系樹脂層に高分子型帯電防止剤のネットワーク構造を形成させる為の該樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂と高分子型帯電防止剤とのメルトフローレイトとのバランス調整が困難になる。
一方、ポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10は発泡剤を含有していることによる可塑化効果により流動性が向上している。
そこで、該溶融物7と該溶融物10とを共押出しする際には発泡層を形成するために該溶融物10を発泡に適する溶融粘弾性を示す適正温度に調整しなければならないために流動性が向上している該溶融物10を冷却しなければならない。また該溶融物7の温度は該溶融物10の発泡性を阻害しないように該溶融物10の適正温度に合わせて該適正温度とほぼ同じ温度に調整される。その結果、該溶融物10の発泡性は確保されるものの該溶融物7の流動性が悪く、該溶融物10の発泡による体積膨張と該溶融物7の伸びの不足により、ポリオレフィン系樹脂層3に亀裂発生を招き帯電防止機能が発現されない発泡シートとなってしまう。
また、上記ポリオレフィン系樹脂層3の亀裂発生を防ぐために該樹脂層の主成分を構成するポリオレフィン系樹脂としてメルトフローレイトの高いものを選択して亀裂発生を防いだとしても、ポリオレフィン系樹脂と高分子型帯電防止剤とのメルトフローレイトとのバランス調整が難しくなり適切な帯電防止機能を示す発泡シートを得ることができない。
本発明の発泡シートは、坪量0.1〜g/mのポリオレフィン系樹脂層が形成されているものである。該坪量の上限をg/mとする理由としては所期の目的、即ち軽量性および柔軟性を確保する以外に以下の理由がある。前記の共押出し法によりポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7の吐出量を多くして坪量の大きなポリオレフィン系樹脂層を形成しようとすると、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物中の炭化水素化合物6が発泡剤として作用してしまうため該坪量が大きすぎると良好なポリオレフィン系樹脂層を形成することができなくなり、得られる発泡シートの外観が悪いものとなってしまう。
上記の通り、坪量0.1〜g/mの樹脂層を有する本発明発泡シートを形成するためには、樹脂層形成用樹脂溶融物7と発泡層形成用樹脂溶融物10との温度を前記の通り適正温度に合わせる必要があり、その際の樹脂層形成用樹脂溶融物の流動性改善のために該溶融物中に炭化水素系化合物6を添加することが有効な手段であり、特にみかけ密度の小さな発泡シートを得る上で極めて有効な手段である。
また、前記した発泡シート1の厚みの調整は、共押出発泡における溶融樹脂の吐出量、引き取り速度を調整することにより前記した範囲に調整される。
前記の炭化水素系化合物6としては、炭素数2〜7の脂肪族炭化水素、炭素数1〜4の脂肪族アルコール、又は炭素数2〜8の脂肪族エーテルから選択される1種、或いは2種以上のものなどを使用することができ、特に炭素数3〜6の脂肪族炭化水素が好ましく用いられる。上記炭化水素系化合物6は、ポリオレフィン系樹脂層3の樹脂を効率よく可塑化させ、得られたポリオレフィン系樹脂層3に炭化水素系化合物自体が残り難いという点から好ましいものである。
上記炭素数2〜7の脂肪族炭化水素としては、例えば、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどが挙げられる。
上記炭素数1〜4の脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ノルマルブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールが挙げられる。
上記炭素数2〜8の脂肪族エーテルとしては、例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルアミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルアミルエーテル、エチルイソアミルエーテル、ビニルエーテル、アリルエーテル、メチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテルが挙げられる。
炭化水素系化合物6は、上記の作用、効果を発揮できる沸点が-100〜120℃のものであり、ポリオレフィン系樹脂層から揮発し易い点から沸点が80℃以下であるものが好ましい。炭化水素系化合物6は、共押出しした後、放置しておくことで、共押出しの直後の熱やその後の炭化水素系化合物のガス透過により発泡シートのポリオレフィン系樹脂層から自然に揮散して、該ポリオレフィン系樹脂層から除去することが出来る。
炭化水素系化合物6の添加量は、ポリオレフィン系樹脂4と高分子型帯電防止剤5の混練物100重量部に対して5重量部〜50重量部である。炭化水素系化合物6の添加量が5重量部未満では、ポリオレフィン系樹脂層を構成する高分子型帯電防止剤を添加してなるポリオレフィン系樹脂が混練により発熱してしまいその熱によりポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物と合流ダイにて積層される発泡層形成用樹脂溶融物の樹脂温度が上昇し、そのことにより発泡層形成用樹脂溶融物が押出発泡時に気泡が破泡してみかけ密度の小さい発泡層が得られない虞がある。また、ポリオレフィン樹脂層の溶融伸び不足により、製膜性自体が悪くなる虞がある。
さらに、該ポリオレフィン系樹脂4と高分子型帯電防止剤5の混練物100重量部に対する炭化水素系化合物6の添加量は、ポリオレフィン系樹脂層3がポリオレフィン系樹脂発泡層2に追随する伸張性に優れ、ポリオレフィン系樹脂層3の厚みが均一に薄く積層し易い観点から7重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましい。
一方、炭化水素系化合物6の上記添加量が50重量部を超えると、ポリオレフィン系樹脂層3自体の物性低下や炭化水素系化合物がポリオレフィン系樹脂層3の樹脂と混練性が不十分となるためダイリップから炭化水素系化合物が噴き出し、その結果、発泡シート1のポリオレフィン系樹脂層3に穴が開き、表面が凹凸状となり外観が低下したものとなる虞がある。上記観点から炭化水素系化合物6の添加量は45重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましい。
炭化水素系化合物6の添加量を上記範囲とすることで、共押出時のポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物の溶融粘度低下効果と伸張性向上効果を確保できる。
前記の通り、ポリオレフィン系樹脂発泡層3はポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10を押出発泡することにより形成される。ポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10に添加される物理発泡剤9としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2-テトラフロロエタン、1,1-ジフロロエタン等のフッ化炭化水素等の有機系物理発泡剤、水、酸素、窒素、二酸化炭素、空気等の無機系物理発泡剤が挙げられる。上記した物理発泡剤は、2種以上を混合して使用することが可能である。これらのうち、特にポリエチレン系樹脂との相溶性、発泡効率の観点から有機系物理発泡剤が好ましく、中でもノルマルブタン、イソブタン、又はこれらの混合物が好適である。
ポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10には、通常、気泡調整剤が添加される。気泡調整剤としては有機系のもの、無機系のもののいずれも使用することができる。無機系気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。また有機系気泡調整剤としては、リン酸-2,2-メチレンビス(4,6-tert-ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。またクエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10における発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、目的とするみかけ密度に応じて調整する。また気泡調整剤の添加量は、目的とする気泡径に応じて調節する。即ち、発泡剤としてイソブタン30重量%とノルマルブタン70重量%とのブタン混合物を用いた場合、該ブタン混合物の添加量はポリオレフィン系樹脂100重量部当たり3〜35重量部、好ましくは4〜33重量部、より好ましくは10〜30重量部である。気泡調整剤の添加量はポリオレフィン系樹脂100重量部当たり、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部である。
ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物7及びポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10には、前記した樹脂に各種の添加剤を添加してもよい。各種の添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤、抗菌剤、収縮防止剤等が挙げられる。その場合の添加量は10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下が特に好ましい。下限は概ね0.01重量%である。
以下、本発明の実施例を示す。
実施例1
低密度ポリエチレン〔a〕(密度920g/L、MFR=0.3g/10min、株式会社日本ユニカー製商品名「DFDJ6775」)に、気泡調整剤マスターバッチを配合して、内径115mmの押出機の原料投入口に供給し、加熱混練し、約200℃に調整された溶融樹脂混合物とした。該溶融樹脂混合物に物理発泡剤としてノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%のブタン混合発泡剤(表1中では単に「ブタン」とした)を用いて、低密度ポリエチレン〔a〕100重量部に対して20重量部となるように圧入し、その後樹脂温度を110℃に調整してポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物を得た。
一方、低密度ポリエチレン〔b〕(密度924g/L、MFR=1.5g/10min、日本ポリオレフィン株式会社製商品名「JE330N」)100重量部に対し、高分子型帯電防止剤としてポリエーテル-ポリプロピレンブロック共重合体(数平均分子量14000、MFR=25g/10min、融点136℃、密度990g/L、三洋化成工業株式会社製商品名「ペレスタット300」)18重量部、気泡調整剤マスターバッチ0.2重量部を配合し、内径65mmの押出機の原料投入口に供給し、加熱溶融して約200℃に調整された溶融樹脂混合物とした。該溶融樹脂混合物に炭化水素系化合物としてノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%からなる混合物(表中では単に「ブタン」とした)を低密度ポリエチレン〔b〕と高分子型帯電防止剤との溶融樹脂混合物100重量部に対して20重量部となるように圧入し、その後樹脂温度を110℃に調整して高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物を得た。
得られたポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物及びポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物を合流ダイ中へ供給し、該樹脂層形成用樹脂溶融物が表層になるように積層合流させて環状ダイの直径95mmの環状スリット部からダイス圧力70kg/cm2にて共押出し、外側から高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層/ポリオレフィン系樹脂発泡層/高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層の順に積層された3層構成の筒状積層発泡体を形成した。押出された筒状積層発泡体を円筒状冷却装置の側面に沿わせて引き取った後、該筒状積層発泡体を切開いて1100mm幅の発泡シートを得た。
なお、共押出発泡時のポリオレフィン系樹脂発泡層形成用溶融物の吐出量は95kg/hrであり、気泡調整剤マスターバッチの添加量を低密度ポリエチレン〔a〕100重量部に対して0.3重量部に調整することにより、平均気泡膜厚みを7.8μmに調整した。
更に、発泡シート製造時の引取り速度は71.6m/minであり、ポリオレフィン系樹脂発泡層の両面にそれぞれポリオレフィン系樹脂層の坪量が3.7g/m2となるようにポリオレフィン系樹脂層形成用溶融物の吐出量を35kg/hrに調整した。
得られた発泡シートは柔軟性および緩衝性に優れるものであった。
実施例2
発泡層形成用樹脂溶融物100重量部に対して発泡剤としてブタンを28重量部、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物100重量部に対して炭化水素系化合物としてブタン28重量部配合し、気泡調整剤マスターバッチの添加量を低密度ポリエチレン〔a〕100重量部に対して0.14重量部に調整した以外は、実施例1と同様の原料及び製造方法にて1100mm幅の発泡シートを製造した。なお、発泡層形成用樹脂溶融物の温度は111℃、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物の温度は111℃に調整した。
なお、共押出発泡時のポリオレフィン系樹脂発泡層形成用溶融物の吐出量は78kg/hrであり、気泡調整剤マスターバッチの添加量を低密度ポリエチレン〔a〕100重量部に対して0.14重量部に調整することにより、平均気泡膜厚みを4.9μmに調整した。
更に、発泡シート製造時の引取り速度は95.3m/minであり、ポリオレフィン系樹脂発泡層の両面にそれぞれポリオレフィン系樹脂層の坪量が0.95g/m2となるようにポリオレフィン系樹脂層形成用溶融物の吐出量を12kg/hrに調整した。
得られた発泡シートは柔軟性および緩衝性に優れるものであった。
実施例3
発泡層形成用樹脂溶融物100重量部に対して発泡剤としてブタンを28重量部、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物100重量部に対して炭化水素系化合物としてブタン28重量部配合し、気泡調整剤マスターバッチの添加量を低密度ポリエチレン〔a〕100重量部に対して0.2重量部に調整し、環状ダイからダイス圧力65kg/cm2にて共押出した以外は、実施例1と同様の原料及び製造方法にて1100mm幅の発泡シートを製造した。なお、発泡層形成用樹脂溶融物の温度は111℃、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物の温度は111℃に調整した。
なお、共押出発泡時のポリオレフィン系樹脂発泡層形成用溶融物の吐出量は78kg/hrであり、気泡調整剤マスターバッチの添加量を低密度ポリエチレン〔a〕100重量部に対して0.2重量部に調整することにより、平均気泡膜厚みを4.8μmに調整した。
更に、発泡シート製造時の引取り速度は68.6m/minであり、ポリオレフィン系樹脂発泡層の両面にそれぞれポリオレフィン系樹脂層の坪量が1.8g/m2となるようにポリオレフィン系樹脂層形成用溶融物の吐出量を16kg/hrに調整した。
得られた発泡シートは柔軟性および緩衝性に優れるものであった。
比較例1
低密度ポリエチレン〔a〕100重量部に対して、界面活性剤からなる帯電防止剤(東京インキ株式会社製商品名「PEX94AS-026」:分子量1000未満のポリオキシエチレンアルキルアミンノナデカン酸エステルを10重量%含有する低密度ポリエチレンベースマスターバッチ。尚、ポリオキシエチレンアルキルアミンノナデカン酸エステルの溶融粘度は190℃での測定温度では液状の為に測定不能。)を3重量部、気泡調整剤マスターバッチを0.2重量部添加し、加熱溶融後に発泡剤としてブタン28重量部を添加した。その後樹脂温度を112℃に調整して環状ダイの直径95mmの環状スリット部からダイス圧力65kg/cm2にて押出発泡を行って、帯電防止剤を添加した発泡層のみからなる1100mm幅のシートを得た。また、この時のポリオレフィン系樹脂発泡層形成用溶融物の吐出量は150kg/hrであり、上記の通り気泡調整剤マスターバッチを添加することにより、平均気泡膜厚みを5.5μmに調整した。
得られた発泡シートは、柔軟性および緩衝性に優れるものであったが、表面固有抵抗率においてエタノール洗浄後の表面固有抵抗率が極端に低下するものであった。
比較例2
低密度ポリエチレン〔a〕100重量部に対して実施例1で用いた高分子型帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製商品名「ぺレスタット300」)を17重量部、気泡調整剤マスターバッチを0.2重量部添加して、加熱溶融後に発泡剤としてブタン28重量部を添加した。その後樹脂温度を110℃に調整して環状ダイの直径95mmの環状スリット部から吐出150kg/hr、ダイス圧力65kg/cm2にて押出発泡を行ってことにより、帯電防止剤を添加した発泡層のみからなる1100mm幅の発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、柔軟性に優れるものであったが、発泡層における気泡が破泡し、それにより発泡シート表面が凹凸状となり外観が悪く、連続気泡率が高いものであった為十分な緩衝性を有する発泡シートを得ることができなかった。また、気泡が破泡する為に平均気泡膜厚みの調整も困難であった。
比較例3
低密度ポリエチレン〔a〕100重量部に対して、気泡調整剤マスターバッチを0.2重量部添加して、加熱溶融後に発泡剤としてブタン28重量部配合して、その後樹脂温度を110℃に調整して環状ダイの直径95mmの環状スリット部から吐出150kg/hr、ダイス圧力65kg/cm2にて押出発泡を行い、みかけ密度23g/L、厚み1mm、幅1100mmのポリエチレン系樹脂発泡シートを得た。次にTダイスから低密度ポリエチレン〔c〕(密度917g/L、結晶化温度93.5℃、MFR=4.6g/10min、株式会社日本ユニカー製商品名「NUC8008」)100重量部に対して、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製商品名「ぺレスタット300」)を18重量部配合して吐出60kg/hr、樹脂温度230℃、ライン速度15.2m/minにて1100mm幅になるようにシート状に押出しを行い、該ポリエチレン系樹脂発泡シートに熱ラミネートを行った。しかし、得られた樹脂層ラミネート発泡シートは緩衝性に優れるものであったが、樹脂層坪量が大き過ぎるものであった為に十分な柔軟性を有するものでは無かった。
なお実施例1〜3、比較例1〜3にて用いた気泡調整剤マスターバッチの組成は、低密度ポリエチレンが80重量%、重炭酸ナトリウムが4.5重量%、クエン酸ナトリウムが15.5重量%である。
実施例1〜3、比較例1〜3の発泡シートについて、ポリオレフィン系樹脂発泡層における樹脂の種類、MFR、MT、物理発泡剤の種類、配合量、ポリオレフィン系樹脂層における樹脂の種類、MFR、高分子型帯電防止剤の溶融粘度、数平均分子量及び配合量、炭化水素系化合物の種類、配合量を表1に示す。表中必要のない項目は「―」とし、低密度ポリエチレンを略してLDPEと表記した。
また、発泡層形成用樹脂溶融物の温度、樹脂層形成用樹脂溶融物の温度、発泡層のみかけ密度、発泡シート全体厚み、樹脂層坪量(発泡層の両面に積層された表裏各々のポリオレフィン系樹脂層坪量)、平均気泡膜厚み、表面固有抵抗率及び連続気泡率を測定した。結果を表2に示す。表中必要のない項目は「―」とした。なお、表面固有抵抗率の測定方法を以下に示した。
[エタノール洗浄前の表面固有抵抗率]
表面固有抵抗率は、基本的にJIS K6911(1995)に準拠して測定した。具体的には、発泡シートから切り出した試験片(縦100mm、横100mm、厚み:発泡シートの厚み)を23℃、湿度50%の雰囲気下に24時間放置して状態調整をした後に、タケダ理研工業(株)製「TR8601 HIGH MEGOHM METER」を使用して印加電圧500Vの条件で電圧印加を開始してから1分後の表面固有抵抗率を求めた。
[エタノール洗浄後の表面固有抵抗率]
洗浄後の表面固有抵抗率は、23℃のエタノール中に発泡シートから切り出した試験片を沈めて24時間超音波洗浄した後、該試験片を温度30℃、相対湿度30%の雰囲気下で36時間放置することにより乾燥させ、この乾燥操作直後の試験片を状態調整した試験片とする以外は、JIS K6911(1995)に準拠して測定した。洗浄後の表面固有抵抗率の測定方法における試験片の状態調整は、超音波洗浄装置として、ブランソン社製「BRANSONIC 220」を使用した。具体的な状態調整方法を以下に示す。
先ず最初に500ml用ビーカ中に500mlのエタノールを入れ、エタノールの温度を23℃に維持し、次いで、試験片(縦100mm、横100mm、厚みは発泡シートの厚み)を前記ビーカ中に、金網を使用して、沈めることにより、23℃のエタノール中に試験片を沈める作業を完了した。その後に、試験片が沈められたビーカにホイルで蓋をし、23℃の水が1.7リットル入った前記超音波洗浄装置の凹状収納部へ前記ビーカを入れて静置し、この超音波洗浄装置のスィッチを入れて洗浄を開始した。洗浄開始から8時間が経過した後に、さらに洗浄開始から16時間経過した後に、ビーカ中のエタノールが500mlとなるように23℃のエタノールを追加する操作を行った。なお、このエタノールの追加操作は、超音波洗浄によりエタノールが揮発して当初ビーカ中に存在していた量よりも減少してしまうので、それを補充する操作である。洗浄開始から24時間経過後に、超音波洗浄装置を停止させ、ビーカ中から試験片を取り出し、直ちにこの試験片を相対湿度30%、温度30℃の雰囲気下で36時間放置して乾燥し、これによって試験片の状態調整を完了した。
洗浄後の表面固有抵抗率が1×1013Ω以下を示す発泡シートは、適切な永久帯電防止効果が有ると言える。なお、上記エタノール洗浄後の表面固有抵抗率の測定は、前記洗浄前の表面固有抵抗率の測定と同様に、発泡シートから試験片を切り出し、上記エタノールによる超音波洗浄後の上記状態調整を行った各試験片に対して、タケダ理研工業(株)製「TR8601 HIGH MEGOHM METER」を使用して印加電圧500Vの条件で電圧印加を開始してから1分後の表面固有抵抗率を求めた。
Figure 0004493000
Figure 0004493000
本発明発泡シートの一例を示す断面図である。 本発明発泡シートの製造方法の一例を示す説明図である。
符号の説明
1 発泡シート
2 ポリオレフィン系樹脂発泡層
3 ポリオレフィン系樹脂層
4 ポリオレフィン系樹脂
5 高分子型帯電防止剤
6 炭化水素系化合物
7 ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物
8 ポリオレフィン系樹脂
9 物理発泡剤
10 ポリオレフィン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物
11 第1の押出機
12 第2の押出機

Claims (4)

  1. ポリオレフィン系樹脂発泡層の少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂層を有する発泡シートにおいて、該ポリオレフィン系樹脂発泡層のみかけ密度が0.015〜0.06g/cmであり、該ポリオレフィン系樹脂層が、高分子型帯電防止剤を含み、該ポリオレフィン系樹脂層の坪量が0.1〜g/mであることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡シート。
  2. 高分子型帯電防止剤の数平均分子量が2000以上であることを特徴とする請求項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
  3. 高分子型帯電防止剤がポリオレフィン系樹脂層の基材樹脂100重量部に対して5〜50重量部の割合で添加されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
  4. ポリオレフィン系樹脂発泡層における平均気泡膜厚みが20μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
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