JP6026843B2 - ポリスチレン系樹脂積層発泡シート - Google Patents
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Description
前記ポリスチレン系樹脂層は、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとからなるブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)とを含んで構成されており、
前記ブロック共重合体(A)の配合割合が3重量%以上25重量%以下(ただし、前記ブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)の配合割合の合計は100重量%である)であり、
前記ブロック共重合体(A)の表面抵抗率が1×105Ω以上1×1011Ω以下であり、且つ、前記ブロック共重合体(A)の融点が150℃以下であり、
前記ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度が800Pa・s以上2000Pa・s以下であり、前記ブロック共重合体(A)の溶融粘度が100Pa・s以上500Pa・s以下であり、且つ、前記ポリスチレン系樹脂(B)と前記ブロック共重合体(A)との粘度比が2以上15以下である、ことを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート、
(2)前記ブロック共重合体(A)の配合割合が、3重量%以上20重量%以下である、ことを特徴とする上記(1)に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート、
(3)前記ブロック共重合体(A)の配合割合が3重量%以上15重量%以下である、ことを特徴とする上記(1)に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート、
を要旨とする。
図面に基づき本発明を詳細に説明する。図1は本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートの実施例の1つを模式的に示す概略縦断面模式図である。ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1は、ポリスチレン系樹脂発泡層2の少なくとも片面に、ポリスチレン系樹脂発泡層2に対して直接又は間接に、ブロック共重合体(A)を含有する帯電防止樹脂層をなすポリスチレン系樹脂層3を積層して構成されている。この例ではポリスチレン系樹脂発泡層2の表裏両面に、ポリスチレン系樹脂層3、3が積層されており、ポリスチレン系樹脂層3、3がポリスチレン系樹脂積層発泡シート1の最外層である表面層となっている。なお、以下では説明の便宜上、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを積層発泡シート、ポリスチレン系樹脂発泡層を発泡層、ブロック共重合体(A)を含有するポリスチレン系樹脂層を樹脂層、と言うことがある。
本発明の積層発泡シート1を、長さ10cmの寸法にて、積層発泡シート1の全幅にわたってその幅方向に切断することで、シート片を切り出し形成し、このシート片を試験片とした。次に、この試験片の重量(g)を測定した。そして測定された重量を試験片の面積(積層発泡シート1全幅(m)×長さ0.1(m))で除することにより求めることができる。なお、試験片の厚みは、積層発泡シート1の厚みと同じである。
ポリスチレン系樹脂層3は、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとからなるブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)とを含んで構成されており、前記(A)の配合割合が、3〜25重量%である。ただし、ブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)との合計が100重量%であるものとする。
ブロック共重合体(A)は、上述したようにポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとからなり、すなわちポリオレフィン(a)のブロックと親水性ポリマー(b)のブロックとが繰り返し結合した構造を有する。このとき上記(a)のブロックと(b)のブロックとの結合構造は、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有することが好ましい。
ブロック共重合体(A)は、数平均分子量(Mn)が2,000以上100,000以下であることが好ましい。ブロック共重合体(A)の数平均分子量がこのような範囲にある場合、樹脂層を構成するポリスチレン系樹脂(B)との相溶性に優れる。この観点で、ブロック共重合体(A)の数平均分子量は、5,000以上60,000以下であることがより好ましく、10,000以上40,000以下であることがさらに好ましい。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、溶媒をオルトジクロロベンゼン、基準物質をポリスチレン、サンプル濃度3mg/ml、カラム温度135℃の条件で測定することができる。
ブロック共重合体(A)の表面抵抗率は、1×105Ω以上1×1011Ω以下である。上記範囲内であれば、帯電防止剤として使用することができ、特に、少ない添加量であっても良好な帯電防止性能を有する積層発泡シートとなる。帯電防止剤としての使用しやすさの観点から、ブロック共重合体(A)の表面抵抗率は、1×106Ω以上1×1010Ω以下が好ましい。
ブロック共重合体(A)の融点は、150℃以下である。ブロック共重合体(A)の融点が150℃以下であることで、共押出法による樹脂層3の形成過程において良好に延展されて帯電防止効果が発揮され易くなり、帯電防止剤の添加量抑制に繋がる。また、積層発泡シート1の表面平滑性の改善や剛性の改善が可能となる。このような効果を高める観点から、ブロック共重合体(A)の融点は、100℃〜145℃が好ましく、110℃〜140℃がより好ましい。
ブロック共重合体(A)の溶融粘度は、100Pa・s〜500Pa・sであることが好ましい。ブロック共重合体(A)の溶融粘度が上記範囲内であることにより、共押出時に樹脂層3内にブロック共重合体(A)のネットワーク構造を良好に形成することが可能となる。上記観点から、前記溶融粘度は120Pa・s〜400Pa・sがより好ましく、150Pa・s〜350Pa・sがさらに好ましく、200Pa・s〜300Pa・sがさらにより一層好ましい。なお、ブロック共重合体(A)のネットワーク構造は、導電性に優れた導電ネットワーク構造であり、樹脂層3に優れた帯電防止性能を発揮させる構造である。
ブロック共重合体(A)のポリオレフィンブロックを構成するポリオレフィン(a)は、親水性ポリマー(b)よりも疎水性の強いものである。前記ポリオレフィン(a)としては、カルボニル基(好ましくは、カルボキシル基。尚、以下に例示する全てのカルボニル基の好ましい態様として、カルボキシル基が挙げられる。)をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1)、水酸基をポリマーの両末端有するポリオレフィン(a2)、アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a3)、イソシアネート基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a4)等が挙げられる。さらに、カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a5)、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a6)、アミノ基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a7)、イソシアネート基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a8)等が挙げられる。このうち、変性のし易さからカルボニル基を有するポリオレフィン(a1)及び(a5)が好ましい。
ブロック共重合体(A)の親水性ポリマーブロックを構成する親水性ポリマー(b)としては、ポリエーテル(b1)が挙げられ、さらには、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、及びこれらの変性物等が挙げられる。
ブロック共重合体(A)は、ポリオレフィン(a)と親水性ポリマー(b)とを共重合させることで形成される。また、ブロック共重合体(A)の分子構造には、ポリオレフィン(a)のブロックと親水性ポリマー(b)のブロックとで構成されるブロック群の所定の繰り返しパターンが存在している。繰り返しパターンの類型としては、例えば、(a)−(b)型、(a)−(b)−(a)型、(b)−(a)−(b)型、(a−b)n型(nは2以上の整数)を挙げることができる。
ブロック共重合体(A)は、ポリオレフィン(a)のブロックと親水性ポリマー(b)のブロックと存在比に関し、ポリオレフィン(a)のブロックと親水性ポリマー(b)のブロックの総数に対するポリオレフィン(a)のブロック数の割合で、20%以上80%以下であることが好ましく、30%以上70%以下であることがより好ましい。
樹脂層3を構成するポリスチレン系樹脂は、スチレンの単独重合体、スチレンとその他の化合物との共重合体、これらの混合物等を挙げることができる。スチレンとその他の化合物との共重合体においては、その共重合体中に含まれるスチレンモノマー単位は少なくとも25重量%以上、好ましくは50重量%以上である。
ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度が800Pa・s以上2000Pa・s以下であることが好ましく、1000Pa・s以上1800Pa・s以下がより好ましく、1200Pa・s以上1600Pa・s以下であることがさらに好ましい。ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度が上記範囲内であることにより、共押出発泡に適する押出樹脂温度とすることが容易となり、発泡層の気泡を破壊することなく、良好な表面性を有する積層発泡シートが得られる。
樹脂層3を構成する前記ポリスチレン系樹脂(B)と前記ブロック共重合体(A)とは、その粘度比が2以上15以下であることが好ましい。ただし、粘度比は、(ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度)/(ブロック共重合体(A)の溶融粘度)で定められる。粘度比が上記したような範囲にあることで、樹脂層3におけるブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂との粘度バランスを良好に保つことが容易になり、効果的に、樹脂層3の表面及び/又はその近傍にブロック共重合体(A)のネットワークを形成することが可能となり、比較的少量の帯電防止剤の添加にて十分な帯電防止効果を得ることができるので、結果としてポリスチレン系樹脂層とポリスチレン系発泡層の接着強度に優れ良好な表面平滑性を有する積層発泡シートとなる。このような効果をより高める観点から、粘度比は、3以上12以下であることがより好ましく、4以上10以下であることが更に好ましく、5以上9以下であることが更により一層好ましい。
樹脂層3は、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとからなるブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)とを含有して構成されており、ブロック共重合体(A)の配合割合が、3〜25重量%である。ただし、ブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)との合計が100重量%である。ブロック共重合体(A)の配合割合が、3重量%未満である場合は、積層発泡シート1の帯電防止能が不十分となる虞がある。この虞を考慮すれば、ブロック共重合体(A)の配合割合の下限値については、4重量%がより好ましく、5重量%が更に好ましい。また、ブロック共重合体(A)の配合割合が25重量%を超えると、積層発泡シート1の曲げ弾性率などの物性が低下する虞や、樹脂層3の積層状態が悪化する虞がある。これらの虞を考慮すれば、ブロック共重合体(A)の配合割合の上限値については、20重量%がより好ましく、15重量%が更に好ましい。
第1の坪量測定方法は、積層発泡シート1の押出方向に直交する方向の断面、即ち幅方向垂直断面を顕微鏡などで適宜拡大し、積層発泡シート1の幅方向に等間隔に選択された10点の測定点位置のそれぞれにて、樹脂層3の厚みを測定する。そして、その算術平均値を算出し、この平均値が樹脂層3の厚みとなる。さらに、その樹脂層3の厚みに樹脂層3を構成している基材樹脂の密度を乗じるとともに単位換算することで、樹脂層3の坪量(g/m2)を求めることができる。ただし、この方法は、樹脂層3と発泡層2の界面が明確な場合に用いられる。
樹脂層3と発泡層2の界面が明確ではない場合の坪量測定については、樹脂層3の坪量(g/m2)を求める方法として、次に示す(1)式にて坪量を特定する方法(第2の坪量測定方法)が用いられる。
発泡層2を構成するポリスチレン系樹脂としては、樹脂層3を構成するポリスチレン系樹脂と同様のものを使用することができる。ポリスチレン系樹脂について具体例を挙げるとすれば、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などの樹脂が例示される。また、これらの樹脂には、所望の目的に応じて、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、スチレン−共役ジエンブロック共重合体やその水添物等の熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム等のゴムなどの重合体を、40重量%以下の割合で含ませたものを使用することができる。
積層発泡シート1を構成する発泡層2や樹脂層3などの各層は、前記した樹脂にて構成されるものに限定されず、各種の添加剤を更に添加されて構成されてもよい。各種の添加剤としては、例えば、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤、抗菌剤、収縮防止剤等が挙げられる。
図2は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1の製造方法の一実施例を模式的に示す模式説明図である。ここでは、図1に示す積層発泡シート1の製造方法を例に挙げて説明する。
図2において、第1の押出機11のポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物7には、揮発性可塑剤6が添加されることが好ましい。揮発性可塑剤6は、樹脂層形成用樹脂溶融物7中に存在している状態で、溶融粘度を低下させる機能を有すると共に、樹脂層3形成後に、樹脂層3より揮発してその樹脂層3から除去されることの可能なものが用いられる。揮発性可塑剤6を樹脂層形成用樹脂溶融物7中に添加することにより、積層発泡シート1を共押出しにより製造する際に、樹脂層3の溶融伸びを著しく向上させることができ、樹脂層3の伸びを発泡層2の伸びに対応させて、樹脂層3の伸び不足による亀裂発生を防止できる。
揮発性可塑剤6の添加量については、ポリスチレン系樹脂4とブロック共重合体5の混練物100重量部に対して0.1重量部〜15重量部であることが好ましい。揮発性可塑剤6の添加量が0.1重量部未満では、ポリスチレン系樹脂4とブロック共重合体5とを混練する際に混練物に発熱が生じ、共押出し時において、その熱が発泡層2を形成する樹脂溶融物の樹脂温度の上昇を招来し、発泡層2内の気泡が破泡して所望の見かけ密度の発泡層2を得ることが困難になる虞がある。さらに、樹脂層3が発泡層2に追随する伸張性に優れ、樹脂層3の厚みを均一に薄くしつつ樹脂層3と発泡層2との積層状態を良好に形成することを実現し易い観点から、揮発性可塑剤6の添加量は、0.3重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましい。一方、揮発性可塑剤6の添加量が混練物100重量部に対して15重量部を超えると、樹脂層3自体の物性低下や揮発性可塑剤が樹脂層3を形成するための混練物を構成する樹脂と十分に混練されないおそれが生じてダイリップから揮発性可塑剤が噴き出し、積層発泡シート1の樹脂層3に穴が開き、積層発泡シート1の表面に凹凸を生じて積層発泡シート1が表面平滑性に劣るものとなる虞がある。このような虞をより低減させる観点からは、揮発性可塑剤6の添加量は、ポリスチレン系樹脂4とブロック共重合体5の混練物100重量部に対して12重量部以下が好ましく、8重量部以下がより好ましい。揮発性可塑剤6の添加量を上記範囲とすることで、共押出時の樹脂層形成用樹脂溶融物の温度低下効果と伸張性改善効果をより一層確実に確保できる。
発泡層形成用溶融物10には物理発泡剤9が添加される。この物理発泡剤9としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のフッ化炭化水素等の有機系物理発泡剤、二酸化炭素等の無機系物理発泡剤、アゾジカルボンアミド等の分解型発泡剤が挙げられる。上記した物理発泡剤9は、2種以上を混合して使用することが可能である。物理発泡剤9は、上記したなかでもポリスチレン系樹脂との相溶性、発泡効率の観点から有機系物理発泡剤が好ましく、中でもノルマルブタン、イソブタン、又はこれらの混合物を主成分とするものが好適である。
発泡層形成用溶融物10については、通常、気泡調整剤が添加される。気泡調整剤としては有機系のもの、無機系のもののいずれも使用することができる。無機系の気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。また有機系の気泡調整剤としては、リン酸−2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。またクエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。
ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10における物理発泡剤9の添加量は、物理発泡剤の種類や発泡層2に要請される坪量、見かけ密度等といった諸条件に応じて適宜調整される。
実施例及び比較例で使用される材料として、表1,表2に示すようなポリスチレン系樹脂と帯電防止剤を準備した。発泡層及び樹脂層に含まれるポリスチレン系樹脂については、表1に示すようにS1からS3の3種類が準備された。また、樹脂層に含まれる帯電防止剤については、表2に示すとおり、B1からB5、及びP1の6種類が準備された。表2の組成欄に示すとおり、帯電防止剤のうち、B1からB5の5種類がブロック共重合体(A)に対応する組成物となっている。
ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物を得るための押出機として内径(D)115mm、L/D=32の押出機と内径(D)150mm、L/D=34の押出機との2台の押出機からなるタンデム押出機を使用し、帯電防止剤を含有するポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物を得るための押出機として内径(D)65mm、L/D=36の押出機を使用した。
(ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物の調製)
ポリスチレン系樹脂発泡層形成のために、表3に示すようなポリスチレン系樹脂(密度1050g/L、PSジャパン社製、GX251)100重量部に対して、気泡調整剤タルク35%マスターバッチを1.4重量部配合して、内径115mmの押出機の原料投入口に供給、加熱混練後、約200℃に調整し溶融樹脂混合物とした。溶融樹脂混合物に物理発泡剤としてノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%のブタン混合発泡剤を用いて、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して3.6重量部となるように圧入後、次いで前記内径115mmの押出機の下流側に連結された内径150mmの押出機に供給して、137℃のポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物を得た。
帯電防止剤を含有するポリスチレン系樹脂層形成のために、表3に示すポリスチレン系樹脂に対し、表3に示す帯電防止剤を(実施例1で用いたものは三洋化成工業社製、ペレクトロン(商標)HS)7重量%(ただし、ポリスチレン系樹脂とブロック共重合体(A)の合計配合量は100重量%)を内径65mmの押出機の原料投入口に供給し、加熱溶融して約200℃に調整された樹脂層形成用溶融樹脂混合物とし、溶融樹脂混合物に揮発性可塑剤としてノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%からなるブタン混合物を前記樹脂層形成用樹脂溶融物100重量部に対して表3に示すように4重量部にて圧入して、その後樹脂温度を155℃に調整して、ポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物を得た。なお、実施例1で用いた帯電防止剤は、ブロック共重合体(A)に相当する。
得られたポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物及びポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物を合流ダイ中へ供給し、ポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物が表層になるように積層合流させて直径210mmの環状スリットを有する環状ダイから、ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物の吐出量を183kg/hr、ポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物の吐出量を17kg/hrとして共押出し、外側から樹脂層/発泡層の順に2層構成に積層された筒状積層発泡体を形成した。押出された筒状積層発泡体をピンチロールにてポリスチレン発泡層の内面同士を接合させて引き取り機で引取ることにより、最終形態として樹脂層/発泡層/樹脂層の3層構造の発泡シートとしてポリスチレン系樹脂積層発泡シートを得た。
表3に示すように製造条件を変更し、発泡層形成用樹脂溶融物の吐出量を180kg/hr、樹脂層形成用樹脂溶融物の吐出量を20kgとした以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。実施例3は、実施例1に対して帯電防止剤となるブロック共重合体(A)の配合量を多くして樹脂層が形成されており、発泡シートの曲げ弾性率は若干低下しているものの、発泡シートの表面抵抗率が大きく低下しており帯電防止能が大きく向上していることが分かる。
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。実施例9は、実施例1に対して帯電防止剤となるブロック共重合体(A)の配合量を増加させて樹脂層を形成しており、曲げ弾性率がやや低下しているものの、帯電防止効果は、向上している。
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。実施例1に対して帯電防止剤となるブロック共重合体(A)を変更すると共に、溶融粘度比を高くした条件としたことから、ポリスチレン系樹脂と帯電防止剤との混練状態が実施例1ほどには良好となりにくく、実施例1と比較して多くの帯電防止剤の添加を必要とした。その結果、実施例10で得られるポリスチレン系樹脂積層発泡シートについて、表面粗さは良好であるものの、樹脂層の剥離強度が実施例1と比較した場合には低いことが分かる。
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。比較例1では、実施例1と異なり、帯電防止剤として、ブロック共重合体(A)の代わりに、従来使用されていた帯電防止剤であるポリエーテルエステルアミドを使用している。この比較例1の場合には、実施例1等に比べて曲げ弾性率が低く、特に、表面粗さについては極めて大きくなっており、各実施例に比して表面平滑性に劣ることが分かる。
比較例2,3については、表3に示すように、帯電防止剤を含有するポリスチレン系樹脂層を形成せず、発泡層単層で構成される発泡シートを調製した。発泡層を構成するポリスチレン系樹脂には、実施例1と同様なものが用いられ、また、発泡層の発泡倍率、厚みについては、実施例1の発泡層と同様とされた。比較例2,3で得られた単層の発泡シートの物性を、それぞれ表4に示す。比較例2,3で調製された単層の発泡シートでは、目的とする表面抵抗率を有するものを得ることができなかった。
実施例及び比較例で得られる発泡シートを構成する各層を形成する材料及び発泡シートについて、それらの物性等の測定及び評価は、以下のように実施された。なお、これらの測定及び評価の結果は、表1,表2,表4に示される。
ポリスチレン系樹脂及び帯電防止剤といった各材料の溶融粘度(Pa・s)は、溶融粘度測定装置(株式会社東洋精機製作所製のキャピログラフ1D)を用い、溶融粘度の測定対象となる樹脂溶融物をその装置に付設された先端ノズルから、200℃、剪断速度100sec−1の条件で押出し流出させることによって測定された。この測定において、樹脂溶融物を流出させるノズルの孔直径Dは1.0mmとし、ノズルの長さLとノズルの孔直径Dとの比L/Dは10とされた。
表面抵抗率の測定対象とされるものについてペレット状とされた試料を準備し、その試料のペレットを200℃で溶融し、加圧プレス機を用いて成形し、厚み2mm×直径約100mmの試験片を作成した。そして、試験片について、超絶縁計SM−8220(日置電機式会社製)より23℃、湿度50%RHの雰囲気下でJIS K6911(1995)に準拠して表面抵抗率(単位:Ω)が測定された。
発泡シートの厚み、見かけ密度、坪量は、それぞれ前述の方法により求められた。
発泡シートにおいて、独立気泡率は、次のようにして特定される。すなわち、独立気泡率Sは、ASTMD2856−70に記載されている手順Cに準拠し、比重計(東芝ベックマン株式会社製、空気比較式比重計930型)を使用して測定される発泡シートの実容積(Vx(L))(独立気泡の容積と樹脂部分の容積との和)から、下記(2)に示す式により算出される値として特定された。
Va:測定に使用した発泡シートの見掛け容積(L)
W:試験片における発泡シートの重量(g)
ρ:発泡シートを構成する樹脂の密度(g/L)
発泡シートの表面抵抗率(Ω)は、下記の試験片の状態調節を行った後、JIS K6911(1995)に準拠して測定した。すなわち、測定対象物である発泡シートから切り出した試験片(縦100mm×横100mm×厚み:測定対象物厚み)を温度20℃、相対湿度30%の雰囲気下に36時間放置することにより試験片の状態調節を行い、印加電圧500Vの条件にて、電圧印加を開始して1分経過後の表面抵抗率(Ω)を測定した。
発泡シートの表面粗さは、株式会社小坂研究所製のサーフコーダSE1700αを使用して測定した。具体的には、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを任意の大きさに切り出して試験シートを調製し、この試験シートを水平な台に静置し、先端曲率半径が2μmの触針の先端を試験シートの表面に当接させて、試験シートを0.5mm/sにて押出方向に移動させ、触針の上下変位を順次測定することで表面粗さの値を測定した。試験シートの移動距離で特定される測定長さは、カットオフ値の3倍以上の所定の長さに定めた。なお、カットオフ値は8mmとし、そのほかのパラメータは、JIS B0601( 2001)の定義に準拠して、粗さ曲線要素の平均高さを得て、これを表面粗さRc(μm)とした。
発泡シートの曲げ弾性率の測定は、JIS K7203(1982)に基づき、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの押出方向(MD)と幅方向(TD)について測定した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートから、押出し方向に沿った長さ100mm×幅25mmの寸法のものを切り出して試験片(試験片の厚みは、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートと同じである)とした。なお、幅寸法は、押出し方向を垂直に横切る方向に沿い且つポリスチレン系樹脂積層発泡シートの面方向に沿う寸法として特定される。幅寸法の定義は、後述の剥離強度の測定についても同様である。
発泡シートにおける樹脂層の剥離強度は、JIS Z0237(1991)に基づき、90度引きはがし法にて測定した。このとき、樹脂層の剥離強度は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの押出方向(MD)について測定した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートから、押出し方向に沿った長さ250mm×幅25mmの寸法のものを切り出して試験片とした。
2 ポリスチレン系樹脂発泡層(発泡層)
3 ブロック共重合体(A)を含有してなるポリスチレン系樹脂層(樹脂層)
4 樹脂層を構成するポリスチレン系樹脂(B)
5 ブロック共重合体(A)
6 揮発性可塑剤
7 ポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物
8 発泡層を構成するポリスチレン系樹脂
9 物理発泡剤
10 ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物
11 第1の押出機
12 第2の押出機
Claims (3)
- ポリスチレン系樹脂発泡層の少なくとも片面に、坪量が0.5g/m2以上250g/m2以下であるポリスチレン系樹脂層が積層された、見かけ密度が0.03g/cm3以上0.3g/cm3以下であり、厚みが0.2mm以上30mm以下である積層発泡シートにおいて、
前記ポリスチレン系樹脂層は、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとからなるブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)とを含んで構成されており、
前記ブロック共重合体(A)の配合割合が3重量%以上25重量%以下(ただし、前記ブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)の配合割合の合計は100重量%である)であり、
前記ブロック共重合体(A)の表面抵抗率が1×105Ω以上1×1011Ω以下であり、且つ、前記ブロック共重合体(A)の融点が150℃以下であり、
前記ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度が800Pa・s以上2000Pa・s以下であり、前記ブロック共重合体(A)の溶融粘度が100Pa・s以上500Pa・s以下であり、且つ、前記ポリスチレン系樹脂(B)と前記ブロック共重合体(A)との粘度比が2以上15以下である、ことを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。 - 前記ブロック共重合体(A)の配合割合が3重量%以上20重量%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
- 前記ブロック共重合体(A)の配合割合が3重量%以上15重量%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
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