JP6026843B2 - ポリスチレン系樹脂積層発泡シート - Google Patents

ポリスチレン系樹脂積層発泡シート Download PDF

Info

Publication number
JP6026843B2
JP6026843B2 JP2012229132A JP2012229132A JP6026843B2 JP 6026843 B2 JP6026843 B2 JP 6026843B2 JP 2012229132 A JP2012229132 A JP 2012229132A JP 2012229132 A JP2012229132 A JP 2012229132A JP 6026843 B2 JP6026843 B2 JP 6026843B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
polystyrene
block copolymer
foam sheet
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012229132A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014079946A (ja
Inventor
森田 和彦
和彦 森田
室井 崇
崇 室井
雅司 小野
雅司 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSP Corp
Original Assignee
JSP Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSP Corp filed Critical JSP Corp
Priority to JP2012229132A priority Critical patent/JP6026843B2/ja
Publication of JP2014079946A publication Critical patent/JP2014079946A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6026843B2 publication Critical patent/JP6026843B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートに関する。
ディスプレー材、緩衝材、包装材、食品容器等の素材として、ポリスチレン系樹脂からなる発泡シートが使用されている。特に、表面に帯電防止剤を塗布して得られるポリスチレン系樹脂発泡シートや帯電防止剤を基材樹脂中に練り込んで含有させたポリスチレン系樹脂発泡シートは、帯電防止剤を使用しないポリスチレン系樹脂発泡シートに比して、ほこりを引きよせ難く、ディスプレー材や包装材等といったほこりの付着防止が要請されるものに好適な素材として利用されている。
帯電防止剤を表面に塗布して塗布膜を形成したポリスチレン系樹脂発泡シートは、通常、帯電防止剤として陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤が適宜選択され、塗布膜中の帯電防止剤が空気中の水分を吸着して帯電防止効果が現れる。そのため、帯電防止効果が湿度の影響を受けやすく、比較的湿度の低い環境下では帯電防止効果が発現しにくい。また、比較的湿度の高い環境下では帯電防止効果は発現するものの、水分を吸着した帯電防止剤が被包装体の表面にべとつきや白化を生じさせ、被包装体の表面汚れの原因となってしまうという問題があった。また、帯電防止剤が表面に塗布されたポリスチレン系樹脂発泡シートは、帯電防止剤の脱落を生じやすく、帯電防止効果が持続せずに低下してしまい易いという問題も有していた。
一方、低分子量の帯電防止剤を発泡層の基材樹脂に含有させたタイプのポリスチレン系樹脂発泡シートについては、ガラス転移点(Tg)の高いポリスチレン系樹脂の場合に低分子量の帯電防止剤のブリードアウトが抑制される傾向にあるが、帯電防止効果を十分に発現させるためには、より多量の帯電防止剤を添加する必要がある。そのため用途によってはポリスチレン系樹脂発泡シートの物性が不十分なものとなる虞がある。また、このタイプのポリスチレン系樹脂発泡シートは、塗布型の帯電防止剤を用いたポリスチレン系樹脂発泡シートの場合と同様に、被包装体の表面汚染を引き起こしてしまう問題を抱えるものである。
このような帯電防止剤を塗布や練り込むなどして調製されたポリスチレン系樹脂発泡シートにおける諸問題を解決するために、特定の高分子型帯電防止剤を添加した樹脂層とポリスチレン系樹脂発泡層とを共押出成形法により積層して形成された多層ポリスチレン系樹脂発泡体が提案されている(例えば、特許文献1)。この多層ポリスチレン系樹脂発泡体は、湿度による帯電防止効果への影響を抑制でき、また帯電防止効果の持続性に優れ、さらに帯電防止剤を多量に添加する必要性を抑制することができる積層発泡体である。
特許第4845168号公報
ところが、近年、ポリスチレン系樹脂発泡シートには、さらに表面平滑性や曲げ剛性といった物性に優れることも要請されるようになってきている。これらの物性は、例えば、ポリスチレン系樹脂発泡シートの表面に紙を張って広告板として用いる場合に、より薄い紙を張っても表面が美麗となることから材料の軽量化が可能となるなどといった、産業上の好ましい効果をもたらす。
こうしたことから、ポリスチレン系樹脂発泡シートとして、表面平滑性や曲げ剛性に優れるポリスチレン系樹脂積層発泡シートが要請されている。
本発明は、上記要請に鑑み、湿度による帯電防止効果への影響を抑制でき、また帯電防止効果の持続性に優れるとともに、表面平滑性や曲げ剛性にも優れるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを提供することを目的とする。
本発明は、(1)ポリスチレン系樹脂発泡層の少なくとも片面に、坪量が0.5g/m以上250g/m以下であるポリスチレン系樹脂層が積層された、見かけ密度が0.03g/cm以上0.3g/cm以下であり、厚みが0.2mm以上30mm以下ある積層発泡シートにおいて、
前記ポリスチレン系樹脂層は、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとからなるブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)とを含んで構成されており、
前記ブロック共重合体(A)の配合割合が3重量%以上25重量%以下(ただし、前記ブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)の配合割合の合計は100重量%である)であり、
前記ブロック共重合体(A)の表面抵抗率が1×10Ω以上1×1011Ω以下であり、且つ、前記ブロック共重合体(A)の融点が150℃以下であり、
前記ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度が800Pa・s以上2000Pa・s以下であり、前記ブロック共重合体(A)の溶融粘度が100Pa・s以上500Pa・s以下であり、且つ、前記ポリスチレン系樹脂(B)と前記ブロック共重合体(A)との粘度比が2以上15以下である、ことを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート
(2)前記ブロック共重合体(A)の配合割合が、3重量%以上20重量%以下である、ことを特徴とする上記(1)に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート、
)前記ブロック共重合体(A)の配合割合が3重量%以上15重量%以下である、ことを特徴とする上記(1)に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート、
を要旨とする。
本発明によれば、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートとして、湿度による帯電防止効果への影響を抑制でき、また帯電防止効果の持続性に優れるとともに、表面平滑性や曲げ剛性に優れるものを得ることができる。
本発明におけるポリスチレン系樹脂積層発泡シートの実施例の1つを模式的に示す概略断面模式図である。 本発明におけるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造する方法を実施するための装置の1例を模式的に示す模式説明図である。
[ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1]
図面に基づき本発明を詳細に説明する。図1は本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートの実施例の1つを模式的に示す概略縦断面模式図である。ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1は、ポリスチレン系樹脂発泡層2の少なくとも片面に、ポリスチレン系樹脂発泡層2に対して直接又は間接に、ブロック共重合体(A)を含有する帯電防止樹脂層をなすポリスチレン系樹脂層3を積層して構成されている。この例ではポリスチレン系樹脂発泡層2の表裏両面に、ポリスチレン系樹脂層3、3が積層されており、ポリスチレン系樹脂層3、3がポリスチレン系樹脂積層発泡シート1の最外層である表面層となっている。なお、以下では説明の便宜上、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを積層発泡シート、ポリスチレン系樹脂発泡層を発泡層、ブロック共重合体(A)を含有するポリスチレン系樹脂層を樹脂層、と言うことがある。
積層発泡シート1は、発泡層2の少なくとも片面側に樹脂層3を積層した構成を備えていれば、本発明の目的と効果を没却しないような他の層を更に積層したもの(図示しない)であってもよい。このような他の層としては、例えば、抗菌性,ガスバリヤー性,保香性,光反射性,電磁波遮蔽性,接着性などの機能を適宜有するように構成された層等が挙げられる。
積層発泡シート1の厚みは、積層発泡シート1の剛性、軽量性、生産性の観点から、0.2mm以上30mm以下であり、0.5mm以上25mm以下であることが好ましく、1mm以上20mm以下であることがより好ましい。なお、積層発泡シート1の厚みは、積層発泡シート1の全体厚みを示し、例えば、図1に示す積層発泡シートの場合には、発泡層2の厚みおよび樹脂層3の厚みを合わせた厚みを示す。なお、本発明における積層発泡シート1の厚みは、積層発泡シートの全幅に亘って幅方向に1cm間隔で測定される厚み(mm)の算術平均値である。
積層発泡シート1の見かけ密度は、0.03g/cm以上0.3g/cm以下である。積層発泡シート1の見かけ密度が低すぎる場合には、積層発泡シート1の曲げ剛性が極端に低下する虞があるとともに、その製造自体が困難となる虞も高まる。上記観点では、積層発泡シート1の見かけ密度は、0.035g/cm以上であることが好ましく、0.04g/cm以上であることがより好ましい。また、積層発泡シート1の見かけ密度が高すぎる場合には軽量性や緩衝性が低下する虞がある。上記観点から、積層発泡シート1の見かけ密度は、0.2g/cm以下であることが好ましく、0.15g/cm以下であることがより好ましい。なお、本発明における積層発泡シート1の見掛け密度は、積層発泡シート1から適宜寸法にて切り出されたシート片(たとえば、長さ10cmの寸法にて、積層発泡シート1の全幅にわたってその幅方向に切断して得られるシート片)でなる試験片の重量(g)を、その試験片の外形寸法から求められる体積(cm)で除した値を単位換算(g/cm)して求められる
積層発泡シート1の坪量は、15g/m以上2500g/m以下の範囲にあることが好ましく、30g/m以上2000g/m以下の範囲がより好ましく、100g/m以上1500g/m以下の範囲が更に好ましく、200g/m以上1000g/m以下の範囲がより一層好ましい。積層発泡シート1の坪量が上記範囲内であれば、積層発泡シート1は、曲げ弾性率等の機械的強度に優れたものとなる。
ここで、積層発泡シート1の坪量(g/m)は例えば次のように特定できる。
本発明の積層発泡シート1を、長さ10cmの寸法にて、積層発泡シート1の全幅にわたってその幅方向に切断することで、シート片を切り出し形成し、このシート片を試験片とした。次に、この試験片の重量(g)を測定した。そして測定された重量を試験片の面積(積層発泡シート1全幅(m)×長さ0.1(m))で除することにより求めることができる。なお、試験片の厚みは、積層発泡シート1の厚みと同じである。
積層発泡シート1の独立気泡率は60%以上であることが好ましい。この独立気泡率が低すぎると、熱成形時の二次発泡性や得られる成形体の強度等の物性が悪くなるおそれがある。上記観点から、前記独立気泡率は、70%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましく、85%以上が最も好ましい。
積層発泡シート1の独立気泡率は、ASTM−D2856−70の手順Cに従い、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用して測定することができる。
積層発泡シート1の表面抵抗率は、1×1014Ω以下であることが好ましく、1×10Ω以上1×1013Ω以下がより好ましく、1×10Ω以上1×1012Ω以下であることがさらに好ましい。上記範囲内であれば、帯電防止性発泡シートとして使用することができる。なお、表面抵抗率(単位:Ω)は、例えば、次のように特定することができる。得られた積層発泡シート1を切り出し(縦100mm×横100mm×厚み:測定対象物厚み)、試験片を作成する。そして、この試験片について、超絶縁計SM−8220(日置電機株式会社製)により、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下でJISK6911(1995)に準拠して表面抵抗率が測定される。
(ポリスチレン系樹脂層3)
ポリスチレン系樹脂層3は、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとからなるブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)とを含んで構成されており、前記(A)の配合割合が、3〜25重量%である。ただし、ブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)との合計が100重量%であるものとする。
ブロック共重合体(A)の配合割合が、少なすぎる場合は積層発泡シート1の帯電防止性能が不十分となる虞がある。この虞を考慮すれば、ブロック共重合体(A)の配合割合の下限値については、4重量%がより好ましく、5重量%が更に好ましい。また、ブロック共重合体(A)の配合割合が多すぎる場合には、ポリスチレン系発泡層とポリスチレン系樹脂層の接着強度が低下し、ポリスチレン系樹脂層の剥離が生じたり、積層発泡シート1の弾性率が低下したりする虞が生じる。この虞を考慮すれば、ブロック共重合体(A)の配合割合の上限値については、20重量%が好ましく、15重量%がより好ましい。
(ブロック共重合体(A))
ブロック共重合体(A)は、上述したようにポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとからなり、すなわちポリオレフィン(a)のブロックと親水性ポリマー(b)のブロックとが繰り返し結合した構造を有する。このとき上記(a)のブロックと(b)のブロックとの結合構造は、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有することが好ましい。
(ブロック共重合体(A)の分子量)
ブロック共重合体(A)は、数平均分子量(Mn)が2,000以上100,000以下であることが好ましい。ブロック共重合体(A)の数平均分子量がこのような範囲にある場合、樹脂層を構成するポリスチレン系樹脂(B)との相溶性に優れる。この観点で、ブロック共重合体(A)の数平均分子量は、5,000以上60,000以下であることがより好ましく、10,000以上40,000以下であることがさらに好ましい。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、溶媒をオルトジクロロベンゼン、基準物質をポリスチレン、サンプル濃度3mg/ml、カラム温度135℃の条件で測定することができる。
(ブロック共重合体(A)の表面抵抗率)
ブロック共重合体(A)の表面抵抗率は、1×10Ω以上1×1011Ω以下である。上記範囲内であれば、帯電防止剤として使用することができ、特に、少ない添加量であっても良好な帯電防止性能を有する積層発泡シートとなる。帯電防止剤としての使用しやすさの観点から、ブロック共重合体(A)の表面抵抗率は、1×10Ω以上1×1010Ω以下が好ましい。
表面抵抗率(単位:Ω)は、例えば、次のように特定することができる。表面抵抗率を特定しようとする物質にて構成されるペレットを試料として準備する。試料をなすペレットを200℃で溶融して溶融物となし、さらにその溶融物を、加圧プレス機を用いて成形してシート片を得る。シート片は、例えば、縦100mm×横100mm×厚み2mmの形状に形成されており、これを試験片とする。そして、この試験片について、超絶縁計SM−8220(日置電機株式会社製)により、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下でJISK6911(1995)に準拠して表面抵抗率が測定される。
(ブロック共重合体(A)の融点)
ブロック共重合体(A)の融点は、150℃以下である。ブロック共重合体(A)の融点が150℃以下であることで、共押出法による樹脂層3の形成過程において良好に延展されて帯電防止効果が発揮され易くなり、帯電防止剤の添加量抑制に繋がる。また、積層発泡シート1の表面平滑性の改善や剛性の改善が可能となる。このような効果を高める観点から、ブロック共重合体(A)の融点は、100℃〜145℃が好ましく、110℃〜140℃がより好ましい。
ブロック共重合体(A)の融点は、以下のJIS K7121(1987)に準拠する方法により測定することができる。即ちJIS K7121(1987)における試験片の状態調節(2)の条件(但し、冷却速度は10℃/分)により前処理を行い、10℃/分にて昇温することにより融解ピークを得る。そして得られた融解ピークの頂点の温度を融点とする。融解ピークが2つ以上現れる場合は、最も面積の大きな融解ピークの頂点の温度を融点とする。また、最も面積の大きな融解ピークが複数存在する場合は、それら複数の融解ピークの内、最も高温側の融解ピークの頂点の温度を融点とする。
(ブロック共重合体(A)の溶融粘度)
ブロック共重合体(A)の溶融粘度は、100Pa・s〜500Pa・sであることが好ましい。ブロック共重合体(A)の溶融粘度が上記範囲内であることにより、共押出時に樹脂層3内にブロック共重合体(A)のネットワーク構造を良好に形成することが可能となる。上記観点から、前記溶融粘度は120Pa・s〜400Pa・sがより好ましく、150Pa・s〜350Pa・sがさらに好ましく、200Pa・s〜300Pa・sがさらにより一層好ましい。なお、ブロック共重合体(A)のネットワーク構造は、導電性に優れた導電ネットワーク構造であり、樹脂層3に優れた帯電防止性能を発揮させる構造である。
なお、ブロック共重合体(A)の溶融粘度は、JIS K 7199に準拠し、キャピログラフ1D((株)東洋精機製作所製)等といった流動特性測定機を用いて、温度200℃、せん断速度100秒−1の条件にて、具体的に測定することができる。
また、ブロック共重合体(A)のSP(Solubility Parameter)値(溶解度パラメータ)は、7〜10であることが好ましい。SP値が範囲内であることにより、ブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)との混ざり合いが良好となり、ブロック共重合体(A)のネットワーク構造を良好に形成することが可能となる。なお、SP値は、例えば、Fedorsの方法などの公知の方法により算出することができる。
上記のような物性を有するブロック共重合体(A)を構成するポリオレフィン(a)のブロックと親水性ポリマー(b)のブロックに関して、具体的に以下のようなポリオレフィン(a)と親水性ポリマー(b)が挙げられる。
(ポリオレフィン(a))
ブロック共重合体(A)のポリオレフィンブロックを構成するポリオレフィン(a)は、親水性ポリマー(b)よりも疎水性の強いものである。前記ポリオレフィン(a)としては、カルボニル基(好ましくは、カルボキシル基。尚、以下に例示する全てのカルボニル基の好ましい態様として、カルボキシル基が挙げられる。)をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1)、水酸基をポリマーの両末端有するポリオレフィン(a2)、アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a3)、イソシアネート基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a4)等が挙げられる。さらに、カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a5)、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a6)、アミノ基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a7)、イソシアネート基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a8)等が挙げられる。このうち、変性のし易さからカルボニル基を有するポリオレフィン(a1)及び(a5)が好ましい。
ポリオレフィン(a)としては、前記ポリオレフィン(a1)〜(a8)を主成分とすることが好ましくより好ましくは75重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含有することが好ましい。
(a1)〜(a4)において、その数平均分子量(Mn)は、好ましくは800〜20,000、より好ましくは1,000〜10,000、さらに好ましくは1,200〜6,000ある。また分子内の二重結合は、炭素数1,000当たり好ましくは1〜40個、より好ましくは2〜30個、さらには4〜20個の二重結合を有することが好ましい。なお、変性のしやすさの点で、熱減成法による低分子量ポリオレフィン(特にMnが2,000〜20,000のポリエチレンおよび/またはポリプロピレン)を用いることが好ましい。熱減成法によれば、Mnが800〜6,000の範囲で、1分子当たりの平均末端二重結合量が1.5〜2個のポリオレフィンが容易に得られる。
(a5)〜(a8)において、その数平均分子量(Mn)は、通常2,000〜50,000、好ましくは2,500〜30,000、さらに好ましくは3,000〜20,000である。また、分子内の二重結合は、炭素数1,000当たり好ましくは0.3〜20個、より好ましくは0.5〜15個、さらに好ましくは0.7〜10個の二重結合を有するものである。なお、変性のしやすさの点で、熱減成法による低分子量ポリオレフィン(特にMnが2,000〜20,000のポリエチレンおよび/またはポリプロピレン)を用いることが好ましい。熱減成法によれば、Mnが5,000〜30,000の範囲で、1分子当たりの平均末端二重結合量が1〜1.5個のポリオレフィンが容易に得られる。
(親水性ポリマー(b))
ブロック共重合体(A)の親水性ポリマーブロックを構成する親水性ポリマー(b)としては、ポリエーテル(b1)が挙げられ、さらには、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、及びこれらの変性物等が挙げられる。
なお、前記ポリエーテル(b1)の数平均分子量(Mn)は、通常150〜20,000でありポリオレフィン(a)との反応性の観点から、好ましくは300〜18,000、より好ましくは500〜15,000、さらに好ましくは1,200〜8,000である。
(ブロック共重合体(A)の形成)
ブロック共重合体(A)は、ポリオレフィン(a)と親水性ポリマー(b)とを共重合させることで形成される。また、ブロック共重合体(A)の分子構造には、ポリオレフィン(a)のブロックと親水性ポリマー(b)のブロックとで構成されるブロック群の所定の繰り返しパターンが存在している。繰り返しパターンの類型としては、例えば、(a)−(b)型、(a)−(b)−(a)型、(b)−(a)−(b)型、(a−b)n型(nは2以上の整数)を挙げることができる。
(ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックの存在比率)
ブロック共重合体(A)は、ポリオレフィン(a)のブロックと親水性ポリマー(b)のブロックと存在比に関し、ポリオレフィン(a)のブロックと親水性ポリマー(b)のブロックの総数に対するポリオレフィン(a)のブロック数の割合で、20%以上80%以下であることが好ましく、30%以上70%以下であることがより好ましい。
なお、ブロック共重合体(A)のような、ポリオレフィンのブロックと親水性ポリマーのブロックとからなるブロック共重合体構造を特徴とする材料の分析方法としては、赤外吸収スペクトル分析が挙げられる。ブロック共重合体(A)について赤外吸収スペクトル分析を実施した場合には、ポリアミドのNH伸縮運動に由来する3300cm−1付近の吸収が認められないか、又は、3300cm−1付近の吸収強度が、親水性ポリマーブロックに含まれるエステル結合に由来する1650cm−1から1800cm−1の範囲に認められる吸収強度に対して50%以下となっていることが好ましい。なお、帯電防止剤として従前より使用されてきたポリエーテルエステルアミドについて赤外吸収スペクトル分析を実施した場合には、3300cm−1付近に大きな吸収が認められる。
ポリスチレン系樹脂からなるシート材に帯電防止効果を発揮させるために、従来、高分子型帯電防止剤として、ポリスチレン系樹脂との相溶性に優れる点でポリエーテルエステルアミドが好適に使用されてきた。ところが、ポリエーテルエステルアミドは一般に融点が高い。一方、発泡シートを調製する際には、160℃以下という比較的低温で発泡成形が実施されることが多いことから、ポリスチレン系樹脂にポリエーテルエステルアミドが十分に延展されず、十分な帯電防止効果を発揮できないおそれがあった。また、帯電防止効果を十分に発揮させるために高分子型帯電防止剤としてのポリエーテルエステルアミドの添加量を増やすと表面平滑性が損なわれやすくなり、外観良好な発泡シートを得ることが困難となっていた。この点、本発明の積層発泡シート1では、帯電防止剤として、上記のブロック共重合体(A)が添加されるため、上記したような比較的低温で発泡成形が実施されたとしても、ポリスチレン系樹脂に高分子型帯電防止剤としてのブロック共重合体(A)を十分に分散させることが容易であり、ブロック共重合体(A)の使用量を抑えつつも、表面平滑性と帯電防止効果の両方に優れた発泡シートを得ることができる。
樹脂層3の調製にあたり、ブロック共重合体(A)として一種類が用いられてよいほか、複数種類を組み合わせて用いられてもよい。
なお、上記したような条件を満たすブロック共重合体(A)について、三洋化成工業株式会社製のペレスタット(商標)VL300、ペレスタットHC250、ペレクトロン(商標)HS、ペレクトロンPVHなどを、市販されているものとして挙げることができる。
(ポリスチレン系樹脂(B))
樹脂層3を構成するポリスチレン系樹脂は、スチレンの単独重合体、スチレンとその他の化合物との共重合体、これらの混合物等を挙げることができる。スチレンとその他の化合物との共重合体においては、その共重合体中に含まれるスチレンモノマー単位は少なくとも25重量%以上、好ましくは50重量%以上である。
樹脂層3を構成するポリスチレン系樹脂の具体例を挙げるとすれば、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などの樹脂が例示される。また、これらの樹脂には、所望の目的に応じて、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、スチレン−共役ジエンブロック共重合体やその水添物等の熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム等のゴムなどの重合体を、40重量%以下の割合で含ませたものを使用することができる
(ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度)
ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度が800Pa・s以上2000Pa・s以下であることが好ましく、1000Pa・s以上1800Pa・s以下がより好ましく、1200Pa・s以上1600Pa・s以下であることがさらに好ましい。ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度が上記範囲内であることにより、共押出発泡に適する押出樹脂温度とすることが容易となり、発泡層の気泡を破壊することなく、良好な表面性を有する積層発泡シートが得られる。
ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度は、上記したブロック共重合体(A)の溶融粘度の測定と同様にして求めることができる。すなわち、ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度は、JIS K 7199に準拠し、キャピログラフ1D((株)東洋精機製作所製)等といった流動特性測定機を用いて、温度200℃、せん断速度100秒−1の条件にて、具体的に測定することができる。
(ブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)の粘度比)
樹脂層3を構成する前記ポリスチレン系樹脂(B)と前記ブロック共重合体(A)とは、その粘度比が2以上15以下であることが好ましい。ただし、粘度比は、(ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度)/(ブロック共重合体(A)の溶融粘度)で定められる。粘度比が上記したような範囲にあることで、樹脂層3におけるブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂との粘度バランスを良好に保つことが容易になり、効果的に、樹脂層3の表面及び/又はその近傍にブロック共重合体(A)のネットワークを形成することが可能となり、比較的少量の帯電防止剤の添加にて十分な帯電防止効果を得ることができるので、結果としてポリスチレン系樹脂層とポリスチレン系発泡層の接着強度に優れ良好な表面平滑性を有する積層発泡シートとなる。このような効果をより高める観点から、粘度比は、3以上12以下であることがより好ましく、4以上10以下であることが更に好ましく、5以上9以下であることが更により一層好ましい。
(ブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)の含有割合)
樹脂層3は、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとからなるブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)とを含有して構成されており、ブロック共重合体(A)の配合割合が、3〜25重量%である。ただし、ブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)との合計が100重量%である。ブロック共重合体(A)の配合割合が、3重量%未満である場合は、積層発泡シート1の帯電防止能が不十分となる虞がある。この虞を考慮すれば、ブロック共重合体(A)の配合割合の下限値については、4重量%がより好ましく、5重量%が更に好ましい。また、ブロック共重合体(A)の配合割合が25重量%を超えると、積層発泡シート1の曲げ弾性率などの物性が低下する虞や、樹脂層3の積層状態が悪化する虞がある。これらの虞を考慮すれば、ブロック共重合体(A)の配合割合の上限値については、20重量%がより好ましく、15重量%が更に好ましい。
ポリスチレン系樹脂発泡層の少なくとも片面に積層されているポリスチレン系樹脂層3は、坪量が0.5g/m以上250g/m以下である。樹脂層3の坪量が小さすぎる場合には、積層発泡シート1に十分な帯電防止性を付与することができない虞がある。樹脂層3の坪量が大きすぎる場合には、積層泡体シート1の用途によっては軽量性や緩衝性が不十分となる虞がある。上記観点から、前記坪量は、好ましくは5g/m以上200g/m以下、更に好ましくは7g/m以上100g/m以下特に好ましくは10g/m以上70g/m以下である。
樹脂層3の坪量(g/m)は、例えば次のような第1の坪量測定方法や第2の坪量測定方法により求めることができる。
(第1の坪量測定方法)
第1の坪量測定方法は、積層発泡シート1の押出方向に直交する方向の断面、即ち幅方向垂直断面を顕微鏡などで適宜拡大し、積層発泡シート1の幅方向に等間隔に選択された10点の測定点位置のそれぞれにて、樹脂層3の厚みを測定する。そして、その算術平均値を算出し、この平均値が樹脂層3の厚みとなる。さらに、その樹脂層3の厚みに樹脂層3を構成している基材樹脂の密度を乗じるとともに単位換算することで、樹脂層3の坪量(g/m)を求めることができる。ただし、この方法は、樹脂層3と発泡層2の界面が明確な場合に用いられる。
(第2の坪量測定方法)
樹脂層3と発泡層2の界面が明確ではない場合の坪量測定については、樹脂層3の坪量(g/m)を求める方法として、次に示す(1)式にて坪量を特定する方法(第2の坪量測定方法)が用いられる。
Figure 0006026843
ただし、上記(1)式中、Xdは、積層発泡シート1を押出発泡成形法で製造する際における樹脂層3を構成する樹脂溶融物の吐出量(kg/時)である。また、Wは、得られる積層発泡シート1の幅(m)である。Lは、得られる積層発泡シート1の単位時間あたりの長さ(m/時)である。なお、発泡層2の両面に樹脂層3を積層する場合には、それぞれの樹脂層3の吐出量からそれぞれの樹脂層3の坪量を求める。
(ポリスチレン系樹脂発泡層2)
発泡層2を構成するポリスチレン系樹脂としては、樹脂層3を構成するポリスチレン系樹脂と同様のものを使用することができる。ポリスチレン系樹脂について具体例を挙げるとすれば、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などの樹脂が例示される。また、これらの樹脂には、所望の目的に応じて、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、スチレン−共役ジエンブロック共重合体やその水添物等の熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム等のゴムなどの重合体を、40重量%以下の割合で含ませたものを使用することができる。
発泡層2の坪量の下限は、剛性の観点から、15g/mが好ましく、30g/mがより好ましく、100g/mがさらに好ましい。一方、発泡層2の坪量の上限は、軽量性の観点から1000g/mが好ましく、800g/mがより好ましく、500g/mがさらに好ましい。
発泡層2の坪量(g/m)は、積層発泡シート1の坪量(g/m)から樹脂層3の坪量(g/m)を差し引くことで求めることができる。発泡層2の厚み(mm)は、積層発泡シート1の厚み(mm)から樹脂層3の厚み(mm)を差し引くことで求めることができる。
(各種の添加物)
積層発泡シート1を構成する発泡層2や樹脂層3などの各層は、前記した樹脂にて構成されるものに限定されず、各種の添加剤を更に添加されて構成されてもよい。各種の添加剤としては、例えば、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤、抗菌剤、収縮防止剤等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1は、例えば、次のように製造することができる。
[ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1の製造方法]
図2は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1の製造方法の一実施例を模式的に示す模式説明図である。ここでは、図1に示す積層発泡シート1の製造方法を例に挙げて説明する。
図2に示すように、まず、樹脂層3を構成するポリスチレン系樹脂(B)4及び高分子型帯電防止剤となるブロック共重合体(A)5、その他必要に応じて添加される添加剤等を第1の押出機11に供給し、加熱溶融し混練した後、必要に応じて揮発性可塑剤6を添加し溶融混練してポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物7とする。また、ポリスチレン系樹脂8と気泡調節剤、その他必要に応じて添加される添加剤を第2の押出機12に供給し、加熱溶融し混練してから物理発泡剤9を圧入して、更に混練しポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10とする。なお、ポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物7、ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10は、それぞれ樹脂層形成用溶融物7、発泡層形成用溶融物10と呼ばれることがある。
次に、上記ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10とポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物7とを、それぞれ適正温度に調整してから、一つの環状ダイ13に導入して、さらに環状ダイ13から共押出して発泡させ、筒状積層発泡体とする。
なお、積層発泡シート1の製造にあたって用いられる環状ダイ、押出機、円柱状冷却装置、筒状積層発泡体を切り開く装置等の各種装置や部品類等は、従来から押出発泡の分野で用いられてきた公知のものを適宜用いることができる。
上記では、発泡層2の表裏両面に樹脂層3が積層形成された積層発泡シート1を例に挙げ、その製造方法の一例として、共押出発泡法により得られた筒状積層発泡体を得る方法を、図2を用いて説明した。押出された筒状積層発泡体をピンチロールにてポリスチレン発泡層の内面同士を接合させてシート状とするか、あるいは筒状積層発泡体の一端を切り開いてシート状とすることができる。共押出発泡法によりポリスチレン系樹脂積層発泡シート1を製造することで、樹脂層3を坪量70g/m以下にて形成することが容易となり、経済性に優れたポリスチレン系樹脂積層発泡シート1を得ることができる。
発泡層形成用溶融物10の適正温度とは、発泡層形成用溶融物10が発泡層2を形成するのに最適な粘弾性を示す温度のことである。また樹脂層形成用溶融物7の適正温度とは、樹脂層形成用溶融物7が樹脂層3を形成するのに良好な伸長性を示し且つ発泡層2の形成を阻害しない温度のことである。これらの点を考慮して、具体的には、樹脂層形成用溶融物7の適性温度を満たす温度は、概ね130℃以上170℃以下の範囲にある。更に溶融物10の適正温度は、主原料の溶融粘度と発泡剤の注入量によって適正範囲が厳密には異なるが、140℃以上160℃以下の範囲であることが好ましい。
なお、積層発泡シート1の製造は、上記のように環状ダイを使用する押出発泡法により製造することが広幅のもの、見かけ密度の低いものが得られる観点から好ましいが、押出機先端に取り付ける環状ダイ13の形状は環状に限らずフラットダイが用いられてもよい。フラットダイを使用して積層発泡シート1を調製する場合における積層発泡シート1の製造方法に関しては、上述の環状ダイを用いて積層発泡シート1を得る製造方法と同様の工程を実施して構成されてよい。
なお、発泡体の製造方法において、樹脂層形成用溶融物7と発泡層形成用溶融物10とを共押出して樹脂層3と発泡層2とを積層してなる積層発泡シート1を得る方法では、樹脂層3を構成するポリスチレン系樹脂が混練の際に発熱し、その熱で発泡層形成用溶融物10の樹脂温度が上昇し、押出発泡時に発泡層2における気泡が破泡し易くなるおそれがある。この点、樹脂層形成用溶融物7の樹脂温度を下げるために、流動性が高いポリスチレン系樹脂を採用すると、見かけ密度の低い発泡層2を有する積層発泡シート1を得ることができる。ところが、この場合には、積層発泡シート1を構成する樹脂層3の帯電防止性能が不十分になる虞がある。樹脂層3に帯電防止性能を十分に発揮させるには、基材樹脂となるポリスチレン系樹脂(B)中にブロック共重合体(A)がネットワーク構造を形成して導電ネットワーク構造が形成されることが重要であり、それにはポリスチレン系樹脂(B)とブロック共重合体(A)との混練状態が重要である。一方、ポリスチレン系樹脂(B)の流動性が過度に高められてしまうと、ポリスチレン系樹脂(B)とブロック共重合体(A)との粘度バランスが崩れて、ブロック共重合体(A)のネットワーク構造が十分に形成できにくくなる虞がある。上記観点から、ポリスチレン系樹脂(B)と前記ブロック共重合体(A)との粘度比が2以上15以下であることが好ましく、3以上12以下であることがより好ましく、4以上9以下であることが更に好ましい。
積層発泡シート1において、樹脂層3は、ブロック共重合体(A)でネットワーク構造を形成して導電ネットワーク構造を形成して、効果的な帯電防止性能を発揮する。ブロック共重合体(A)でネットワーク構造をより効率的に形成する点を考慮すれば、樹脂層形成用樹脂溶融物7を押出して樹脂層3を形成する際に、適度な配向をかけることが好ましい。こうすることで樹脂層3中に導電ネットワーク構造がより容易に形成され易くなる。
(揮発性可塑剤6)
図2において、第1の押出機11のポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物7には、揮発性可塑剤6が添加されることが好ましい。揮発性可塑剤6は、樹脂層形成用樹脂溶融物7中に存在している状態で、溶融粘度を低下させる機能を有すると共に、樹脂層3形成後に、樹脂層3より揮発してその樹脂層3から除去されることの可能なものが用いられる。揮発性可塑剤6を樹脂層形成用樹脂溶融物7中に添加することにより、積層発泡シート1を共押出しにより製造する際に、樹脂層3の溶融伸びを著しく向上させることができ、樹脂層3の伸びを発泡層2の伸びに対応させて、樹脂層3の伸び不足による亀裂発生を防止できる。
揮発性可塑剤6の添加のタイミングについては、樹脂層3を構成するポリスチレン系樹脂とブロック共重合体(A)とを混練した後のタイミングで、樹脂層形成用樹脂溶融物7中に添加されることが好ましい。このようなタイミングで揮発性可塑剤6の添加が行われることで、ブロック共重合体(A)のネットワーク構造の形成を確実なものとすることが容易となる。また、樹脂層3と発泡層2とを共押出しで形成する際において、ブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)との混練物を可塑化させ該溶融物の樹脂温度を発泡層の発泡を阻害しない温度まで低下させる冷却調整が可能となると共に発泡層に追従する伸長性を付与することができる。このような揮発性可塑剤6の添加のタイミングを採用することは、特に発泡層2を、坪量の小さいもの、坪量を800g/m以下、更に500g/m以下、特に400g/m以下とする場合や、樹脂層3の坪量が小さいもの、坪量を50g/m以下、更には30g/m以下、特に20g/m以下とする場合に極めて効果的であり、良好な帯電防止効果を発揮可能で独立気泡率の高い積層発泡シート1の製造を行うことができる。
樹脂層3中の揮発性可塑剤6は、樹脂層3を構成するポリスチレン系樹脂や揮発性可塑剤6の種類により、押出された時点で押出し時の熱によりほぼ樹脂層3の外部に揮散している場合と樹脂層3中に残存している場合とがある。なお樹脂層中に残存した揮発性可塑剤は、押出し後の経時により樹脂層3中から揮散するため、該樹脂層中の揮発性可塑剤残存量は経時により減少する。
揮発性可塑剤6は、沸点が120℃以下であることが、樹脂層3から揮発し易い点から好ましく、より好ましくは沸点が80℃以下である。揮発性可塑剤6が上記沸点を有するものであれば、共押出しを実施した後、その共押出した発泡シートを放置しておくことで、共押出しの直後の熱やその後の揮発性可塑剤6のガス透過により、揮発性可塑剤6が積層発泡シート1の樹脂層3から自然に揮散して、その樹脂層3から揮発性可塑剤6を除去することが出来る。なお、上記沸点の下限値については、概ね−50℃である。
揮発性可塑剤6としては、炭素数2以上7以下の脂肪族炭化水素、炭素数1以上3以下のハロゲン化脂肪族炭化水素、炭素数1以上4以下の脂肪族アルコール、又は炭素数2以上8以下の脂肪族エーテル等から選択される1種、または2種以上で構成されるものが好ましく用いられる。
揮発性可塑剤6の例に挙げた炭素数2以上7以下の脂肪族炭化水素としては、具体的には、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンが挙げられる。上記炭素数1以上3以下のハロゲン化脂肪族炭化水素としては、例えば、塩化メチル、塩化エチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタンが挙げられる。上記炭素数1以上4以下の脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールが挙げられる。上記炭素数2以上8以下の脂肪族エーテルとしては、例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルアミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルアミルエーテル、エチルイソアミルエーテル、ビニルエーテル、アリルエーテル、メチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテルが挙げられる。
(揮発性可塑剤6の添加量)
揮発性可塑剤6の添加量については、ポリスチレン系樹脂4とブロック共重合体5の混練物100重量部に対して0.1重量部〜15重量部であることが好ましい。揮発性可塑剤6の添加量が0.1重量部未満では、ポリスチレン系樹脂4とブロック共重合体5とを混練する際に混練物に発熱が生じ、共押出し時において、その熱が発泡層2を形成する樹脂溶融物の樹脂温度の上昇を招来し、発泡層2内の気泡が破泡して所望の見かけ密度の発泡層2を得ることが困難になる虞がある。さらに、樹脂層3が発泡層2に追随する伸張性に優れ、樹脂層3の厚みを均一に薄くしつつ樹脂層3と発泡層2との積層状態を良好に形成することを実現し易い観点から、揮発性可塑剤6の添加量は、0.3重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましい。一方、揮発性可塑剤6の添加量が混練物100重量部に対して15重量部を超えると、樹脂層3自体の物性低下や揮発性可塑剤が樹脂層3を形成するための混練物を構成する樹脂と十分に混練されないおそれが生じてダイリップから揮発性可塑剤が噴き出し、積層発泡シート1の樹脂層3に穴が開き、積層発泡シート1の表面に凹凸を生じて積層発泡シート1が表面平滑性に劣るものとなる虞がある。このような虞をより低減させる観点からは、揮発性可塑剤6の添加量は、ポリスチレン系樹脂4とブロック共重合体5の混練物100重量部に対して12重量部以下が好ましく、8重量部以下がより好ましい。揮発性可塑剤6の添加量を上記範囲とすることで、共押出時の樹脂層形成用樹脂溶融物の温度低下効果と伸張性改善効果をより一層確実に確保できる。
(物理発泡剤9)
発泡層形成用溶融物10には物理発泡剤9が添加される。この物理発泡剤9としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のフッ化炭化水素等の有機系物理発泡剤、二酸化炭素等の無機系物理発泡剤、アゾジカルボンアミド等の分解型発泡剤が挙げられる。上記した物理発泡剤9は、2種以上を混合して使用することが可能である。物理発泡剤9は、上記したなかでもポリスチレン系樹脂との相溶性、発泡効率の観点から有機系物理発泡剤が好ましく、中でもノルマルブタン、イソブタン、又はこれらの混合物を主成分とするものが好適である。
(気泡調整剤)
発泡層形成用溶融物10については、通常、気泡調整剤が添加される。気泡調整剤としては有機系のもの、無機系のもののいずれも使用することができる。無機系の気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。また有機系の気泡調整剤としては、リン酸−2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。またクエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。
(物理発泡剤9と気泡調整剤の添加量)
ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物10における物理発泡剤9の添加量は、物理発泡剤の種類や発泡層2に要請される坪量、見かけ密度等といった諸条件に応じて適宜調整される。
発泡層形成用樹脂溶融物10における気泡調整剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂8が100重量部あたり、0.05重量部以上10重量部以下、好ましくは0.2重量部以上5重量部以下である。通常、発泡剤としてイソブタン30重量%とノルマルブタン70重量%とのブタン混合物等の有機系物理発泡剤を用いた場合、有機系物理発泡剤の添加量はポリスチレン系樹脂8が100重量部あたり、0.5重量部以上10重量部以下、好ましくは1重量部以上8重量部以下、より好ましくは2重量部以上6重量部以下である。
なお、上記した積層発泡シート1の製造方法では、積層発泡シート1が、発泡層2の両面側に樹脂層3,3を積層した場合について説明したが、発泡層2の片面側に帯電防止剤を含有する樹脂層3が積層された積層発泡シート1を製造する場合も、発泡層2の両面側に樹脂層3,3を積層した積層発泡シート1を製造する場合と同様に、共押出発泡法を用いることができる。
以下、本発明の積層発泡シートについて、実施例により具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
(材料の準備)
実施例及び比較例で使用される材料として、表1,表2に示すようなポリスチレン系樹脂と帯電防止剤を準備した。発泡層及び樹脂層に含まれるポリスチレン系樹脂については、表1に示すようにS1からS3の3種類が準備された。また、樹脂層に含まれる帯電防止剤については、表2に示すとおり、B1からB5、及びP1の6種類が準備された。表2の組成欄に示すとおり、帯電防止剤のうち、B1からB5の5種類がブロック共重合体(A)に対応する組成物となっている。
Figure 0006026843
Figure 0006026843
(押出機の準備)
ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物を得るための押出機として内径(D)115mm、L/D=32の押出機と内径(D)150mm、L/D=34の押出機との2台の押出機からなるタンデム押出機を使用し、帯電防止剤を含有するポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物を得るための押出機として内径(D)65mm、L/D=36の押出機を使用した。
実施例1
(ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物の調製)
ポリスチレン系樹脂発泡層形成のために、表3に示すようなポリスチレン系樹脂(密度1050g/L、PSジャパン社製、GX251)100重量部に対して、気泡調整剤タルク35%マスターバッチを1.4重量部配合して、内径115mmの押出機の原料投入口に供給、加熱混練後、約200℃に調整し溶融樹脂混合物とした。溶融樹脂混合物に物理発泡剤としてノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%のブタン混合発泡剤を用いて、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して3.6重量部となるように圧入後、次いで前記内径115mmの押出機の下流側に連結された内径150mmの押出機に供給して、137℃のポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物を得た。
(ポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物の調製)
帯電防止剤を含有するポリスチレン系樹脂層形成のために、表3に示すポリスチレン系樹脂に対し、表3に示す帯電防止剤を(実施例1で用いたものは三洋化成工業社製、ペレクトロン(商標)HS)7重量%(ただし、ポリスチレン系樹脂とブロック共重合体(A)の合計配合量は100重量%)を内径65mmの押出機の原料投入口に供給し、加熱溶融して約200℃に調整された樹脂層形成用溶融樹脂混合物とし、溶融樹脂混合物に揮発性可塑剤としてノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%からなるブタン混合物を前記樹脂層形成用樹脂溶融物100重量部に対して表3に示すように4重量部にて圧入して、その後樹脂温度を155℃に調整して、ポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物を得た。なお、実施例1で用いた帯電防止剤は、ブロック共重合体(A)に相当する。
(発泡シートの押出成形)
得られたポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物及びポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物を合流ダイ中へ供給し、ポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物が表層になるように積層合流させて直径210mmの環状スリットを有する環状ダイから、ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物の吐出量を183kg/hr、ポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物の吐出量を17kg/hrとして共押出し、外側から樹脂層/発泡層の順に2層構成に積層された筒状積層発泡体を形成した。押出された筒状積層発泡体をピンチロールにてポリスチレン発泡層の内面同士を接合させて引き取り機で引取ることにより、最終形態として樹脂層/発泡層/樹脂層の3層構造の発泡シートとしてポリスチレン系樹脂積層発泡シートを得た。
Figure 0006026843
得られた発泡シートであるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは幅950mmであり、また、厚み、見掛け密度、独立気泡率、発泡層等の各層の坪量、表面抵抗率、表面粗さ、曲げ弾性率、剥離強度等について後述するように測定された。結果は、表4に示すとおりであった。
Figure 0006026843
実施例2
表3に示すように製造条件を変更し、発泡層形成用樹脂溶融物の吐出量を180kg/hr、樹脂層形成用樹脂溶融物の吐出量を20kgとした以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。
実施例3
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。実施例3は、実施例1に対して帯電防止剤となるブロック共重合体(A)の配合量を多くして樹脂層が形成されており、発泡シートの曲げ弾性率は若干低下しているものの、発泡シートの表面抵抗率が大きく低下しており帯電防止能が大きく向上していることが分かる。
実施例4
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。
実施例5
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。
実施例6
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。
実施例7
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。
実施例8
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。
実施例9
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。実施例9は、実施例1に対して帯電防止剤となるブロック共重合体(A)の配合量を増加させて樹脂層を形成しており、曲げ弾性率がやや低下しているものの、帯電防止効果は、向上している。
実施例10
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの物性等は表4に示すとおりであった。実施例1に対して帯電防止剤となるブロック共重合体(A)を変更すると共に、溶融粘度比を高くした条件としたことから、ポリスチレン系樹脂と帯電防止剤との混練状態が実施例1ほどには良好となりにくく、実施例1と比較して多くの帯電防止剤の添加を必要とした。その結果、実施例10で得られるポリスチレン系樹脂積層発泡シートについて、表面粗さは良好であるものの、樹脂層の剥離強度が実施例1と比較した場合には低いことが分かる。
比較例1
表3に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造した。比較例1では、実施例1と異なり、帯電防止剤として、ブロック共重合体(A)の代わりに、従来使用されていた帯電防止剤であるポリエーテルエステルアミドを使用している。この比較例1の場合には、実施例1等に比べて曲げ弾性率が低く、特に、表面粗さについては極めて大きくなっており、各実施例に比して表面平滑性に劣ることが分かる。
比較例2,3
比較例2,3については、表3に示すように、帯電防止剤を含有するポリスチレン系樹脂層を形成せず、発泡層単層で構成される発泡シートを調製した。発泡層を構成するポリスチレン系樹脂には、実施例1と同様なものが用いられ、また、発泡層の発泡倍率、厚みについては、実施例1の発泡層と同様とされた。比較例2,3で得られた単層の発泡シートの物性を、それぞれ表4に示す。比較例2,3で調製された単層の発泡シートでは、目的とする表面抵抗率を有するものを得ることができなかった。
(材料及び発泡シートの各種寸法及び各種物性の測定及び評価)
実施例及び比較例で得られる発泡シートを構成する各層を形成する材料及び発泡シートについて、それらの物性等の測定及び評価は、以下のように実施された。なお、これらの測定及び評価の結果は、表1,表2,表4に示される。
(材料の溶融粘度)
ポリスチレン系樹脂及び帯電防止剤といった各材料の溶融粘度(Pa・s)は、溶融粘度測定装置(株式会社東洋精機製作所製のキャピログラフ1D)を用い、溶融粘度の測定対象となる樹脂溶融物をその装置に付設された先端ノズルから、200℃、剪断速度100sec−1の条件で押出し流出させることによって測定された。この測定において、樹脂溶融物を流出させるノズルの孔直径Dは1.0mmとし、ノズルの長さLとノズルの孔直径Dとの比L/Dは10とされた。
(帯電防止剤の表面抵抗率の測定)
表面抵抗率の測定対象とされるものについてペレット状とされた試料を準備し、その試料のペレットを200℃で溶融し、加圧プレス機を用いて成形し、厚み2mm×直径約100mmの試験片を作成した。そして、試験片について、超絶縁計SM−8220(日置電機式会社製)より23℃、湿度50%RHの雰囲気下でJIS K6911(1995)に準拠して表面抵抗率(単位:Ω)が測定された。
(発泡シートの寸法等)
発泡シートの厚み、見かけ密度、坪量は、それぞれ前述の方法により求められた。
(独立気泡率(%))
発泡シートにおいて、独立気泡率は、次のようにして特定される。すなわち、独立気泡率Sは、ASTMD2856−70に記載されている手順Cに準拠し、比重計(東芝ベックマン株式会社製、空気比較式比重計930型)を使用して測定される発泡シートの実容積(Vx(L))(独立気泡の容積と樹脂部分の容積との和)から、下記(2)に示す式により算出される値として特定された。
Figure 0006026843
但し、上記(2)式中、Va、W、ρで示す内容は以下の通りである。
Va:測定に使用した発泡シートの見掛け容積(L)
W:試験片における発泡シートの重量(g)
ρ:発泡シートを構成する樹脂の密度(g/L)
尚、発泡シートを構成する樹脂の密度ρ(g/L)及び発泡シートの重量W(g)は、発泡シートを加熱プレスにより気泡を脱泡させてから冷却する操作を行い、得られたサンプルから求めることができる。
(発泡シートの表面抵抗率(Ω))
発泡シートの表面抵抗率(Ω)は、下記の試験片の状態調節を行った後、JIS K6911(1995)に準拠して測定した。すなわち、測定対象物である発泡シートから切り出した試験片(縦100mm×横100mm×厚み:測定対象物厚み)を温度20℃、相対湿度30%の雰囲気下に36時間放置することにより試験片の状態調節を行い、印加電圧500Vの条件にて、電圧印加を開始して1分経過後の表面抵抗率(Ω)を測定した。
(表面粗さRc(μm))
発泡シートの表面粗さは、株式会社小坂研究所製のサーフコーダSE1700αを使用して測定した。具体的には、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを任意の大きさに切り出して試験シートを調製し、この試験シートを水平な台に静置し、先端曲率半径が2μmの触針の先端を試験シートの表面に当接させて、試験シートを0.5mm/sにて押出方向に移動させ、触針の上下変位を順次測定することで表面粗さの値を測定した。試験シートの移動距離で特定される測定長さは、カットオフ値の3倍以上の所定の長さに定めた。なお、カットオフ値は8mmとし、そのほかのパラメータは、JIS B0601( 2001)の定義に準拠して、粗さ曲線要素の平均高さを得て、これを表面粗さRc(μm)とした。
(曲げ弾性率(MPa))
発泡シートの曲げ弾性率の測定は、JIS K7203(1982)に基づき、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの押出方向(MD)と幅方向(TD)について測定した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートから、押出し方向に沿った長さ100mm×幅25mmの寸法のものを切り出して試験片(試験片の厚みは、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートと同じである)とした。なお、幅寸法は、押出し方向を垂直に横切る方向に沿い且つポリスチレン系樹脂積層発泡シートの面方向に沿う寸法として特定される。幅寸法の定義は、後述の剥離強度の測定についても同様である。
次に、前記試験片を用い、支点先端のR=5mm、圧支先端のR=5mm、支点間距離50mm、曲げ速度10mm/minの条件にて曲げ弾性率の測定試験を行った。1個の試験片につき押出方向についての曲げ弾性率の値、及び、幅方向についての曲げ弾性率の値が測定した。また、同様にして5個の試験片それぞれについて測定を行い、こうして得られる押出方向についての曲げ弾性率の測定値、幅方向についての曲げ弾性率の測定値について算術平均値をそれぞれ求め、押出方向(MD)の曲げ弾性率(MPa)、幅方向(TD)の曲げ弾性率(MPa)とした。
(剥離強度(g/25mm幅))
発泡シートにおける樹脂層の剥離強度は、JIS Z0237(1991)に基づき、90度引きはがし法にて測定した。このとき、樹脂層の剥離強度は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの押出方向(MD)について測定した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートから、押出し方向に沿った長さ250mm×幅25mmの寸法のものを切り出して試験片とした。
次に、試験片を用い、引きはがし速度10mm/minの条件にて剥離した時の荷重を剥離強度として測定した。同様にして得た3個の試験片それぞれについて剥離強度の測定値を得て、測定値の算術平均値を算出した。なお、上記90度引きはがし法によっても樹脂層の剥離が認められなかった場合については、樹脂層の剥離強度欄に、「剥離せず」と記載した。
本発明は、ディスプレー材、緩衝材、包装材、食品容器等の素材等として使用可能な発泡シートの用途で有益である。
1 ポリスチレン系樹脂積層発泡シート
2 ポリスチレン系樹脂発泡層(発泡層)
3 ブロック共重合体(A)を含有してなるポリスチレン系樹脂層(樹脂層)
4 樹脂層を構成するポリスチレン系樹脂(B)
5 ブロック共重合体(A)
6 揮発性可塑剤
7 ポリスチレン系樹脂層形成用樹脂溶融物
8 発泡層を構成するポリスチレン系樹脂
9 物理発泡剤
10 ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物
11 第1の押出機
12 第2の押出機

Claims (3)

  1. ポリスチレン系樹脂発泡層の少なくとも片面に、坪量が0.5g/m以上250g/m以下であるポリスチレン系樹脂層が積層された、見かけ密度が0.03g/cm以上0.3g/cm以下であり、厚みが0.2mm以上30mm以下である積層発泡シートにおいて、
    前記ポリスチレン系樹脂層は、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとからなるブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)とを含んで構成されており、
    前記ブロック共重合体(A)の配合割合が3重量%以上25重量%以下(ただし、前記ブロック共重合体(A)とポリスチレン系樹脂(B)の配合割合の合計は100重量%である)であり、
    前記ブロック共重合体(A)の表面抵抗率が1×10Ω以上1×1011Ω以下であり、且つ、前記ブロック共重合体(A)の融点が150℃以下であり、
    前記ポリスチレン系樹脂(B)の溶融粘度が800Pa・s以上2000Pa・s以下であり、前記ブロック共重合体(A)の溶融粘度が100Pa・s以上500Pa・s以下であり、且つ、前記ポリスチレン系樹脂(B)と前記ブロック共重合体(A)との粘度比が2以上15以下である、ことを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  2. 前記ブロック共重合体(A)の配合割合が3重量%以上20重量%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  3. 前記ブロック共重合体(A)の配合割合が3重量%以上15重量%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
JP2012229132A 2012-10-16 2012-10-16 ポリスチレン系樹脂積層発泡シート Active JP6026843B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012229132A JP6026843B2 (ja) 2012-10-16 2012-10-16 ポリスチレン系樹脂積層発泡シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012229132A JP6026843B2 (ja) 2012-10-16 2012-10-16 ポリスチレン系樹脂積層発泡シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014079946A JP2014079946A (ja) 2014-05-08
JP6026843B2 true JP6026843B2 (ja) 2016-11-16

Family

ID=50784615

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012229132A Active JP6026843B2 (ja) 2012-10-16 2012-10-16 ポリスチレン系樹脂積層発泡シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6026843B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102164466B1 (ko) * 2019-06-26 2020-10-12 서기원 상품포장 트레이용 합성수지 적층시트의 제조방법

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6381306B2 (ja) * 2014-06-11 2018-08-29 株式会社ジェイエスピー ポリスチレン系樹脂発泡体
JP6473368B2 (ja) * 2015-04-02 2019-02-20 株式会社ジェイエスピー 押出積層発泡シートからなる間紙

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4845168B2 (ja) * 2003-10-24 2011-12-28 株式会社ジェイエスピー 多層ポリスチレン系樹脂発泡体
JP2006281452A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Dainippon Ink & Chem Inc 帯電防止性積層シート及びその成形品
JP4873567B2 (ja) * 2007-05-07 2012-02-08 株式会社ジェイエスピー ポリスチレン系樹脂発泡積層シート
JP5564343B2 (ja) * 2009-06-30 2014-07-30 積水化成品工業株式会社 ポリスチレン系樹脂フィルム及び積層シート

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102164466B1 (ko) * 2019-06-26 2020-10-12 서기원 상품포장 트레이용 합성수지 적층시트의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014079946A (ja) 2014-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101546544B1 (ko) 적층 폴리에틸렌 수지 발포 시트
JP4257826B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法
JP5557309B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡シート
KR102388639B1 (ko) 다층 발포 시트 및 유리판용 간지
JP4919371B2 (ja) 共押出積層発泡体及びその成形体
TW201418032A (zh) 聚乙烯系樹脂發泡片
JP6832260B2 (ja) 間紙
JP4878154B2 (ja) 共押出積層発泡体及びその成形体
JP6026843B2 (ja) ポリスチレン系樹脂積層発泡シート
JP6614697B2 (ja) 多層発泡シート及びガラス板用間紙
JP4493000B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡シート
JP6302731B2 (ja) ポリエチレン系樹脂発泡シート
JP4845168B2 (ja) 多層ポリスチレン系樹脂発泡体
JP6560948B2 (ja) ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体
JP6754295B2 (ja) ポリスチレン系樹脂板状積層発泡体
JP5336745B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート及びその製造方法
JP6473368B2 (ja) 押出積層発泡シートからなる間紙
JP2021000791A (ja) ポリエチレン系樹脂積層発泡シート、ポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法
JP6608652B2 (ja) 多層発泡シート
JP6212422B2 (ja) ポリスチレン系樹脂発泡板およびその製造方法
JP6449682B2 (ja) 板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体
JP5757622B2 (ja) 熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート
KR20230021019A (ko) 폴리에틸렌계 수지 다층 발포 시트, 유리판용 간지 및 폴리에틸렌계 수지 다층 발포 시트의 제조 방법
JP2022037690A (ja) ポリエチレン系樹脂多層発泡シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150910

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160613

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160622

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160819

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161005

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161013

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6026843

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250