JP6449682B2 - 板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体 - Google Patents

板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体 Download PDF

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Description

本発明は、板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体に関する。
従来、厚み2〜30mm程度の板状ポリスチレン系樹脂発泡体は、ディスプレイ材、包装材、食品容器等の素材として使用されている。最近では、板状ポリスチレン系樹脂発泡体に機能性を付与するために、発泡芯層に薄膜の機能性樹脂層を積層した板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体が検討されている。
特に、機能性添加剤として、高分子型帯電防止剤をポリスチレン系樹脂に添加した帯電防止層とポリスチレン系樹脂発泡層とを共押出成形法により積層した板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体等は、板状ポリスチレン系樹脂発泡体が有する優れた表面平滑性や曲げ剛性は維持しつつ、帯電防止剤を使用しない板状ポリスチレン系樹脂発泡体に比して、ほこりを引きよせ難い機能性を有することから、ディスプレイ材や食品容器、包装材等といったほこりの付着防止が要請されるものに好適な素材として広く利用されている(特許文献1及び2)。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、この機能性樹脂層を設けた板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体は、裁断加工時や切断加工時に、裁断刃の種類や加工条件によっては、裁断面や切断面に、機能性樹脂層の一部がヒゲ状の切れ残りとして残る、所謂バリが生じて、良好な切断面が得られないことがあることが判明した。
一方、共押出法によりポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂発泡層とが積層されたポリスチレン系樹脂の発泡積層シートも提案されているが(特許文献3)、ここで得られる発泡シートは、厚みの薄い機能性樹脂層を有するものでなく、当然のことながら、上記のような機能性樹脂層を有する板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体の裁断時のバリの発生といった不具合やその解消策についてはなんら考慮されてはいない。
こうしたことから、裁断加工時や切断加工時に、裁断面等の一部や周囲にバリと呼ばれるヒゲ状の切れ残りや切粉が生ずるといった不具合が抑制され、製品加工性に優れるとともに帯電防止機能などの各種機能が十分に発揮され、表面平滑性、曲げ強度等も良好な板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体が強く要請されているが、未だ実現されていないのが現状である。
特開2005−145047号公報 特開2014−79946号公報 特許第3098376号
本発明は上記要請に鑑みなされたものであって、裁断加工時にバリの発生が抑制され、製品加工性に優れるとともに従来の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体と同様に帯電防止性能などの各種機能が十分に発揮され、表面平滑性、曲げ強度等も良好な新規な板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体を提供することを課題とする。
即ち、本発明は、以下の<1>から<5>に記載の新規な板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体を提供する。
<1>ポリスチレン系樹脂発泡体を熱融着により貼り合せてなる発泡芯層と、該発泡芯層の両面に共押出により積層された機能性発泡層とを有する、全体の見掛け密度30〜300kg/m、全体の厚み2〜30mm、総坪量150〜2500g/mの板状積層発泡体であり、該機能性発泡層はポリスチレン系樹脂と高分子型帯電防止剤とを含み、該高分子型帯電防止剤の配合量が、該機能性発泡層を構成するポリスチレン系樹脂と高分子型帯電防止剤との合計100重量%に対して3〜25重量%であり、該機能性発泡層の片面あたりの坪量が3〜50g/mであり、該発泡体の総坪量に対する機能性発泡層の片面あたりの坪量の比が0.08以下であり、かつ該機能性発泡層の最表面部の気泡膜厚みが1μm以上10μm未満であることを特徴とする板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体。
<2>前記機能性発泡層の片面あたりの厚みが0.05mm以上0.20mm未満であることを特徴とする前記<1>に記載の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体。
<3>前記機能性発泡層の合計厚みが全体厚みの15%以下であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体。
<4>前記発泡芯層の平面方向の平均気泡径D1が0.15〜1.0mmであり、機能性発泡層の最表面側に位置する気泡の平面方向の平均気泡径D2が0.05〜0.40mmであり、平均気泡径D1に対する平均気泡径D2の比D2/D1が0.3以上1未満であることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体。
<5>前記機能性添加剤が高分子型帯電防止剤であることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体。
本発明に係る板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体は、切断加工時や裁断加工時に、機能性樹脂層の一部が髭状に切れ残るといった不具合が抑制され、製品加工性に優れるとともに、従来の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体と同様に帯電防止能などの各種機能が十分に発揮され、また表面平滑性、曲げ強度等の機械的物性も良好なものである。
したがって、例えば帯電防止機能などの各種機能が要求される、サインボードや、短冊状に切断後、箱状に組み立てられて、弁当箱や菓子箱、折箱等として使用される原反(ポリスチレン系樹脂発泡板)として、広くその需要が見込まれる。
また、その製造においては、その工程も極めて簡便なものであるから、工業的に極めて有利に生産できる発泡板であるといった、数多くの利点を有するものである。
本発明の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体の厚み方向の模式断面図である。 図1の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体の一部拡大図面である。 本発明の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体の代表的な製造方法の説明である。 本発明で用いる代表的な環状ダイの説明図である。
<発泡板1>
以下、図面に基づき、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る代表的な板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体(以下、単に発泡板ともいう)1の厚み方向の模式断面図であり、2層のポリスチレン系樹脂発泡体2‘、2“とが熱融着により貼り合せてなるポリスチレン系樹脂発泡芯層2(以下、単に発泡芯層ともいう)の両面に、機能性添加剤を含有するポリスチレン系樹脂機能性発泡層3、3’(以下、単に機能性発泡層ともいう)が共押出により片面あたりの坪量が3〜50g/mとなるように積層されている。図2にみられるように、機能性発泡層3,3‘のそれぞれの最表面部には厚みの薄い気泡膜3a,3a’(1μm以上10μm未満)が形成されている。
(発泡板1の見かけ密度)
本発明の発泡板1の全体の見かけ密度は30〜300kg/mである。該見かけ密度が低すぎる場合には、発泡板1としての、強度を維持することが困難となるおそれがある。上記観点から、該見かけ密度の下限は、より好ましくは35kg/cm、さらに好ましくは40kg/mである。
一方、該見かけ密度が高すぎる場合には、軽量性を維持することが困難となるおそれがある。上記観点から該見かけ密度の上限は、より好ましくは200kg/m、さらに好ましくは150kg/mである。
なお、発泡板1の見かけ密度は、発泡板1の総坪量(g/m)を発泡板の厚み(mm)で割算した値をkg/mに単位換算することより求めることができる。
(発泡板1の厚み)
本発明の発泡板1の厚みは2〜30mmである。発泡板1の厚みが薄すぎる場合には、剛性の低いものとなり、ディスプレイ材やサインボード等に使用できないおそれがある。一方、発泡板1の厚みが厚すぎる場合には、軽量性、生産性が損なわれるおそれがある。
本発明の発泡板1は、上記観点から、発泡板の厚さの下限は2.5mmであることが好ましく、3mmがより好ましい。一方、発泡板の厚さの上限は、25mmが好ましく、20mmがより好ましく、15mmがさらに好ましい。
発泡板1の厚みは、発泡板1を幅方向に沿って、一方の端部から他方の端部に至るまで等間隔に複数箇所(5箇所以上)の地点について測定される厚み(mm)の算術平均値として求める。
(発泡板1の総坪量)
本発明の発泡板1の総坪量は150〜2500g/mである。上記範囲内であれば、加工に適する剛性を有し、かつ軽量性にも優れる発泡板1となる。該総坪量は、200〜2000g/mがより好ましく、250〜1500g/mが更に好ましい。
発泡板1の総坪量は、発泡板全幅に亘って任意の長さ(例えば250mm)の矩形状の試験片を切り出し、該試験片の重量(g)を該試験片の面積(例えば、発泡板全幅(mm)×250mm)で割り算し、1m当たりの積層発泡板の重量(g)に換算することにより求めることができる。
<発泡芯層2>
発泡芯層2は、ポリスチレン系樹脂発泡体2‘とポリスチレン系樹脂発泡体2“とが熱融着により貼り合されたものである。このような発泡芯層2は、たとえば、環状ダイから筒状に押出されたポリスチレン系樹脂発泡体の内面を熱融着させるなどの方法により得ることができる。
(発泡芯層の気泡径)
発泡芯層の気泡径には特に制限はないが、製品加工性、機械的物性等の観点から、発泡芯層の平面方向の気泡径D1は0.15〜1.0mmであることが好ましい。同様な観点から、気泡径D1の上限は、0.8mmが更に好ましく、0.6mmがより好ましい。
平面方向の気泡径D1はつぎのように測定される。
(発泡芯層の平面方向の平均気泡径D1)
発泡板を押出方向(MD)に沿ってスライスすることにより幅方向と直交する垂直断面を得る。該垂直断面の写真を撮影し、該断面写真において、発泡芯層の部分から無作為に20以上の気泡を選択し、選択した各気泡の押出方向の長さの最大値を計測し、これらの計測値の算術平均値を押出方向の平均気泡径とする。一方、発泡板を幅方向(TD)に沿ってスライスすることにより得られた押出方向と直交する垂直断面において、上記と同様な手順にて幅方向の平均気泡径を求める。平面方向の平均気泡径D1は、これらの押出方向(MD)の平均気泡径と幅方向(TD)の平均気泡径とを乗じた値の平方根として求める。
(発泡芯層の構成成分)
発泡芯層2は、ポリスチレン系樹脂、発泡剤、必要に応じて気泡調整剤及びその他の添加剤を加熱、混練した発泡芯層形成用溶融物を後述する機能性発泡層形成用溶融物と共押出して発泡させることにより形成されている。以下に、発泡芯層2を成形するために用いる材料の各成分について詳述する。
(ポリスチレン系樹脂)
ポリスチレン系樹脂としては、通常、ポリスチレン系樹脂発泡体に用いられるポリスチレン系樹脂であれば特に制限なく用いることができ、例えば、ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が例示される。また、発泡板の耐熱性を高める場合には、ポリスチレン系樹脂としてポリフェニレンエーテル樹脂を含むものを使用することができ、その割合は、ポリスチレン系樹脂中に10〜50重量%とすることが好ましい。
また、本発明では、上記ポリスチレン系樹脂に対し、所望の目的に応じて、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、スチレン−共役ジエンブロック共重合体やその水添物などの熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴムなどのゴム等の重合体を配合することができる。その割合は、上記ポリスチレン系樹脂100重量部に対して40重量部以下であることが好ましく、20重量部以下であることがより好ましく、10重量部以下であることがさらに好ましい。
(発泡剤)
発泡剤としては物理発泡剤を用いることができる。物理発泡剤としては、例えば、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの炭素数2以上7以下の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタンなどの炭素数1以上4以下のハロゲン化脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1以上4以下の脂肪族アルコール、又はジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどの炭素数2以上8以下の脂肪族エーテル等の有機物理発泡剤、窒素、二酸化炭素、水等の無機物理発泡剤が挙げられる。
これらの物理発泡剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、ポリスチレン系樹脂との相溶性、発泡効率の観点からノルマルブタン、イソブタン又はこれらの混合物を主成分とするものを好適に用いることができる。
物理発泡剤の添加量は、発泡体の見かけ密度などに応じて適宜調整することができるが、通常、発泡層2を形成するための発泡性樹脂溶融物1kgに対して0.1〜1.8molとすることが好ましく、0.2〜1.5molとすることがより好ましく、0.3〜1.2molとすることがさらに好ましい。
なお、発泡剤として、物理発泡剤以外に化学発泡剤を併用して用いることもできる。
(気泡調整剤)
気泡調整剤としては、有機系又は無機系のいずれのものを用いることができる。無機系の気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等を挙げることができる。
また、有機系の気泡調整剤としては、リン酸−2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等を挙げることができる。また、クエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も用いることができる。これらの気泡調整剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
気泡調整剤の添加量は、発泡芯層の所望の気泡径に応じて適宜調整することができるが、気泡調整剤としてタルクを用い、発泡芯層2の平面気泡径D1を0.15〜1.0mmの範囲に調整するためには、通常、発泡層の基材樹脂100重量部あたり、0.05重量部以上10重量部以下、より好ましくは0.1重量部以上5重量部以下の範囲である。
(その他の添加剤)
発泡層2を成形するための材料成分としては、上記成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤や熱安定剤などの従来公知の各種添加剤を添加することができる。
<機能性発泡層3,3‘>
機能性添加剤を含有するポリスチレン系樹脂機能性発泡層3、3’(機能性発泡層)は、発泡芯層2の両面に共押出により積層されている。
(機能性発泡層の坪量)
機能性発泡層の片面当たりの坪量は、機能性添加剤の効果の発現性からみて、3〜50g/mである。片面当たりの坪量が小さすぎると、機能性発泡層を発泡芯層に均等に積層することが難しくなり、機能性添加剤の種類によっては、所望の機能性が発現しなくなるおそれがある。上記観点から片面当たりの坪量の下限値は好ましくは4g/mであり、さらに5g/mであることが好ましい。一方、片面当たりの坪量が大きすぎると、用途によっては軽量性が不十分となるおそれがあり、積層発泡体の製造時の原材料費も高くなってしまうので好ましくない。また、機能性添化剤が多量に含まれると発泡板の機械的強度が低下するおそれがある。上記観点から片面当たりの坪量の上限値は好ましくは45g/mであり、さらに40g/mであることがより好ましい。さらに、同様な観点から、発泡板の総坪量に対する機能性発泡層の片面当たりの坪量の比が0.1以下であることが好ましく、より好ましくは0.08以下であり、さらに好ましくは0.06以下である。一方、その下限は0.01程度であることが好ましい。
機能性発泡層の片面当たりの坪量は、発泡板製造時の機能性発泡層の片面当たりの押出機吐出量をもとに求めることができる。後述するように、発泡層の外面に機能性発泡層が積層された筒状の発泡体をロールなどにて挟み込み、筒状の発泡体の内面を融着させて発泡板を得る場合には、機能性発泡層の片面当たりの坪量は、機能性発泡層形成用溶融物の押出機吐出量をL(kg/hr)、発泡板引取速度M(m/min)、発泡体全幅N(m)として、以下の式(1)により求めることができる。
機能性発泡層の坪量(g/m)=(L×10/2)/(M×N×60)・・・(1)
なお、機能性発泡層と発泡芯層とを切り分けることができる場合には、積層発泡体から切り分けた機能性発泡層の坪量を前記した積層発泡体の坪量の測定方法と同様な手順により測定することもできる。
(機能性発泡層の厚み)
機能性発泡層の片面当たりの厚みは、機能性添加剤の効果の発現性からみて、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。一方、機能性発泡層が厚すぎると経済性が悪くなることや、場合によっては発泡板の機械的強度を損なうおそれがあることから、0.2mm未満であることが好ましく、より好ましくは0.18mm以下である。
また、機能性発泡層の合計厚みは、上記と同様な観点からみて、発泡板の全厚みの15%以下であることが好ましく、12%以下であることが更に好ましい。
(機能性発泡層の気泡径)
機能性発泡層の最表面部の気泡膜厚みが後述する範囲内であれば、機能性発泡層の気泡径には特に制限はないが、裁断や曲げなどの加工性の観点から、機能性発泡層の最表面側に位置する気泡の平面方向の平均気泡径D2が0.05〜0.40mmであることが好ましく、0.1〜0.35mmであることがより好ましい。
また、より効果的にバリの発生を防止するという観点、平面平滑性の向上効果等の観点から、前記発泡芯層の平面方向の平均気泡径D1に対する機能性発泡層の最表面側における平面方向の平均気泡径D2の比D2/D1が0.3以上1未満であることが好ましく、より好ましくは0.4〜0.9である。
機能性発泡層の最表面側に位置する気泡の平面方向の平均気泡径D2はつぎのように測定される。
発泡芯層の平面方向の平均気泡径D1と同様に、押出方向に直交する垂直断面写真、及び幅方向に直交する垂直断面写真を撮影し、それぞれの写真において、機能性発泡層の最も外表面側に位置する気泡から無作為に片面あたり20以上の気泡を選択する以外は、発泡芯層の平面方向の平均気泡径D1と同様な方法により測定することができる。
<機能性発泡層3,3’の最表面部の気泡膜3a,3a’>
上記機能発泡層3,3’のそれぞれの最表面部には、1μm以上10μm未満の気泡膜3a,3a’が形成されている。
該最表面部の気泡膜の厚みが厚すぎる場合には、機能性樹脂層が発泡していても、切断加工時にバリが発生し二次加工特性が悪くなり、所望の板状発泡体が得られない。上記観点から、該気泡膜の厚みは8μm以下であることが好ましく、6μm以下であることがより好ましい。一方、最表面部の気泡膜の厚みは1μm以上である。該気泡膜の厚みが薄すぎると、表面平滑性や曲げ強度が低下し好ましくない。上記観点から該気泡膜の厚みは2μm以上であることが好ましく、3μmである以上であることがより好ましい。
なお、前記最表面部の気泡膜3a,3a’の厚みは、図2に示したように、最表面側に存在する気泡の幅方向中央部において、機能性発泡層3,3‘の表面から、その厚み方向に第一番目の気泡壁の内側表面までの厚み(T)を意味する。
(機能性発泡層の構成成分)
機能性発泡層は、ポリスチレン系樹脂、機能性添加剤、発泡剤、気泡調整剤、その他の添加剤を配合した機能性発泡層形成用樹脂溶融物を共押出ダイ内で、前記発泡芯層形成用樹脂溶融物に合流積層させ、該積層物を共押出させることにより形成される。以下に、機能性発泡層を成形するために用いる材料の各成分について詳述する。
(ポリスチレン系樹脂)
ポリスチレン系樹脂としては、発泡芯層を形成するポリスチレン系樹脂と同様のものを使用することができる。
(機能性添加剤)
機能性添加剤としては、帯電防止剤のほかに、例えば、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤、抗菌剤、着色剤などのこの種の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体に対して各種機能を付与するものであれば、いずれのものも使用できるが、高分子帯電防止剤を用いることが好ましい。以下、帯電防止剤について詳述する。
(帯電防止剤)
帯電防止剤としては、従来公知の界面活性剤型帯電防止剤や高分子型帯電防止剤などが用いられる。
界面活性剤型帯電防止剤としては、例えば,ヒドロキシアルキルアミン,ヒドロキシアルキルモノエーテルアミン,グリセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン系界面活性剤;アルキルスルホン酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩,アルキルホスフェート等のアニオン系界面活性剤;テトラアルキルアンモニウム塩,トリアルキルベンジルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤等が挙げられる。
高分子型帯電防止剤としては、表面抵抗率が1×1012Ω未満を示す樹脂が挙げられ、具体的には、金属イオンとしてカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれたアルカリ金属を含むアイオノマー樹脂、あるいはポリエーテルエステルアミドやポリエーテル等の親水性樹脂を主成分とするものが挙げられる。なお、汚染防止性や帯電防止効果の持続性等の観点から、帯電防止剤としては高分子型帯電防止剤を用いることが好ましい。
前記親水性樹脂としては、体積抵抗率が1×10〜1×1011Ω・cmの親水性ポリマー(以下、単に親水性ポリマーともいう。)や、親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックとのブロックポリマーなどが例示できる。なお、これらの中でも、親水性ポリマーとしてポリエーテルブロックを有し、疎水性ポリマーブロックとしてポリオレフィンブロックを有するブロック共重合体が好ましい。具体的には、三洋化成工業(株)製「ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体:ペレクトロンHS(融点134℃、表面抵抗率2.0×10Ω)、三洋化成工業(株)製「ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体:商品名:ぺレスタットVL300」(融点133℃、表面抵抗率1.2×10Ω)等の市販品が挙げられる。
前記アイオノマー樹脂としては、具体的には、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の一部または全部をアルカリ金属で中和することで得られる、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウムアイオノマーなどが挙げられる。なお、アイオノマー樹脂は、優れた帯電防止効果を有すると共に、アルカリ金属を介した擬似架橋構造をとることから、低分子量成分が溶出し難いという特性を有するので、食品容器等に用いるという観点から、好ましく用いられる。具体的には、三井デュポンポリケミカル(株)製MK400(融点93℃)等の市販品が挙げられる。
前記帯電防止剤の配合量は、機能性発泡層を構成するポリスチレン系樹脂と帯電防止剤との合計100重量%中に3〜25重量%とすることが好ましい。上記範囲内であれば、発泡体表面全体に帯電防止性能を発現させることが可能となる。
(相溶化剤)
なお、機能性発泡層に帯電防止剤としてアイオノマー樹脂を添加する際には、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体や、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体などの相溶化剤を配合することが好ましい。
(発泡剤)
発泡剤としては、発泡芯層で用いたと同様な物理発泡剤を使用することができる。
(気泡調整剤)
気泡調整剤としては、発泡芯層で用いたと同様な有機系又は無機系のいずれのものを用いることができる。
物理発泡剤の添加量及び気泡調整剤の添加量は、機能性発泡層の最表面部の気泡膜が所望の厚みとなるように、またその該表面の平均気泡径が所望の大きさとなるように調整することが好ましい。具体的には、物理発泡剤の添加量を増やして発泡倍率を高くするほど、気泡調整剤の添加量を増やして気泡径を小さくするほど、最表面部の気泡膜の厚みを薄く調整することができる。
通常は、物理発泡剤の添加量は、機能性発泡層を形成するための発泡性樹脂溶融物1kgに対して0.3〜1.8molとすることが好ましく、より好ましくは0.4〜1.5molであり、さらに好ましくは0.5〜1.2molである。また、気泡調整剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂と機能性添化剤との合計100重量部あたり、好ましくは0.1重量部以上10重量部以下、より好ましくは0.3重量部以上8重量部以下の範囲である。
なお、機能性発泡層の最表面部の気泡膜の厚みは、物理発泡剤、気泡調整剤の添加量を調整する以外に、ダイから発泡性樹脂溶融物が押出された直後の冷却条件によっても調整することができる。具体的には、冷却を弱くするほど、最表面部の気泡膜の厚みを薄く調整することができる。
(本発明の発泡板1の利点)
本発明に係る板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体は、切断加工時や裁断加工時に、切断面の一部や周囲にバリと呼ばれる髭状の切れ残りや切粉が生ずるといった不具合が抑制された製品加工性に優れるとともに従来の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体と同様に帯電防止能などの各種機能が十分に発揮され、表面平滑性に優れ、曲げ強度等の機械的物性も良好な発泡板である。
したがって、帯電防止機能などの各種機能が要求される、サインボードや、短冊状に切断後、箱状に組み立てられて、弁当箱や菓子箱、折箱等として使用される原反(ポリスチレン系樹脂発泡板)として、広くその需要が見込まれる。なお、本発明の発泡板の独立気泡率は、特に制限はないが、剛性を高く持たせる場合には、独立気泡率は60%以上が好ましく、より好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上である。
また、その製造においては、その工程数も僅か一工程という極めて簡便なものであるから、工業的に極めて有利に生産できる発泡板であるといった、数多くの利点を有するものである。
<本発明の発泡板1の製造方法>
次に、本発明の発泡板の製造方法の一実施形態を図3、図4に示す。
本発明の発泡板1の製造方法は、図3に示すように、まず、先に説明した発泡芯層2を成形するための材料である、ポリスチレン系樹脂4、気泡調整剤5、その他必要に応じて添加される添加剤を第1押出機6に供給して加熱混練し、発泡剤7を圧入して更に混練し、発泡適正温度に調整し、発泡芯層形成用樹脂溶融物8とする。
また同時に、先に説明した機能性発泡層3、3‘を形成するための材料である、ポリスチレン系樹脂9、機能性添加剤10、気泡調整剤11、その他必要に応じて添加される添加剤等を第2押出機12に供給して加熱混練し、発泡剤13を圧入して更に混練し、発泡適正温度に調整し、機能性発泡層形成用樹脂溶融物14とする。
上記発泡芯層形成用樹脂溶融物8と機能性発泡層形成用樹脂溶融物14とを、得られる発泡板の片面当たりの機能性発泡層3,3‘の坪量が3〜50g/mとなるように機能性発泡層形成用樹脂溶融物14の吐出量を制御して環状ダイ15に導入する。環状ダイ15内で発泡芯層形成用樹脂溶融物8と機能性発泡層形成用樹脂溶融物14とを合流積層させてから、共押出を行うと共に両者を発泡させることにより、発泡芯層となる発泡層の外周面に機能性発泡層が積層接着された筒状積層発泡体16を製造する。この筒状積層発泡体16を引き取りながらピンチロール17に通過させて、筒状積層発泡体16の内側の発泡層の内面同士を融着させて貼り合せることにより、発泡芯層2の両面側に機能性発泡層3、3’が積層接着された本発明の発泡板1を得ることができる。
また、筒状積層発泡体16を押出方向に沿って切り開いてシート状の積層発泡体を得て、2枚のシート状の積層発泡体の機能性発泡層とは反対側の面同士を熱融着させて貼り合せて本発明の発泡板1を得ることもできる。
発泡板1の製造にあたって用いられるダイ、押出機等の各種装置は、従来押出発泡の分野で用いられてきた公知のものを適宜用いることができる。
発泡芯層形成用樹脂溶融物8及び機能性発泡層形成用樹脂溶融物14の発泡適正温度とは、これらが発泡するのに最適な粘弾性を示す温度を意味する。発泡適正温度は、ポリスチレン系樹脂の種類や溶融粘度、発泡剤の種類や添加量によって適宜定まるものであるが、概ね130℃以上170℃以下の範囲にある。
一般に、発泡体の表層部分の密度を高めるため、あるいは表面を平滑にするために、ダイから押出された直後の発泡体の表面に空気などを吹き付けて冷却することが行われる。この際、冷却が強すぎると、機能性発泡層の発泡倍率や気泡径によっては、機能性発泡層の最表面部の機能膜の平均厚みが厚くなりすぎることがあることから、冷却条件(空気の吹き付け量)は、0.1〜1.0m/minの範囲とすることが好ましい。
以下、本発明の発泡板について、実施例により具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
製造装置として、発泡芯層形成用押出機(第1押出機)として、バレル内径90mmの押出機と、該押出機に接続されたバレル内径120mmの押出機とからなるタンデム型の押出機を用い、該押出機の出口に共押出用環状ダイ(リップ径100mm)を取付け、さらに該共押出用環状ダイに、バレル内径50mmの機能性発泡層形成用押出機(第2押出機)を連結させた共押出装置を用いた。
なお、実施例、比較例における、発泡板の製造原料とその配合量および得られた発泡板の物性等を表1、2に記す。
なお、表1、2において、発泡芯層、機能性発泡層に用いた原料PS系樹脂は以下のポリスチレン系樹脂を意味する。
HH102:PSジャパン社製HH102:溶融粘度1230Pa・s
GX154:PSジャパン社製GX154:溶融粘度1430Pa・s
680:PSジャパン社製680:溶融粘度930Pa・s
なお、ポリスチレン系樹脂の溶融粘度は、JIS K7199−1999に基づき、キャピログラフ1D((株)東洋精機製作所製)の流動特性測定機を用い、ノズル径1.0mm、長さ10mmのオリフィスを用いて、温度200℃、せん断速度100秒−1の条件で測定した値である。
また、帯電防止剤としては、以下のものを使用した。
[ぺレクトロンHS];高分子型帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製:ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体)
[MK400]:高分子型帯電防止剤(三井デュポンポリケミカル株式会社製:エチレン/アクリル酸共重合体系のカリウムアイオノマー)
また、発泡剤としてはブタンを、気泡調整剤としてはポリスチレンを基材樹脂とする35重量%濃度のタルクマスターバッチを使用した。
(実施例1〜7)
表1に示す発泡芯層形成用ポリスチレン系樹脂、気泡調整剤としてタルクマスターバッチを表1に示す割合で第1押出機に供給して加熱、溶融、混練し、これに表1に示す量のブタンを注入し、表1に示す温度に調整して、発泡芯層形成用樹脂溶融物とし、表1に示す吐出量で共押出用環状ダイ中に導入した。
同時に、表1に示す機能性発泡層形成用ポリスチレン系樹脂、機能性添加剤として帯電防止剤、気泡調整剤としてタルクマスターバッチを表1に示す配合割合にて第2押出機に供給して、加熱、溶融、混練し、これに表1に示す量のブタンを注入し、表1に示す温度に調整して、機能性発泡樹脂層形成用樹脂溶融物とし、表1に示す吐出量で共押出用環状ダイに導入した。
共押出用環状ダイ中で、発泡芯層形成用樹脂溶融物と機能性発泡層形成用樹脂溶融物とを合流させ、発泡芯層形成用樹脂溶融物の外周面に機能発泡層形成用樹脂溶融物を積層してから筒状に共押出して、筒状積層発泡体を形成した。該筒状発泡体を表1に示す速度で引き取りながらピンチロールで挟み込んで、この内面同士を融着させて貼り合せることにより、本発明の機能性発泡層を有する板状ポリスチレン系樹脂発泡体を得た。なお、共押出直後に筒状積層発泡体の機能性発泡層側から20℃の空気を0.3m/minの条件で吹き付けた。
また、実施例5では、機能性発泡層形成用樹脂組成物として、表1に示すポリスチレン系樹脂90重量部と、機能性添化剤(高分子型帯電防止剤)7重量部とともに、両者の相溶化剤としてスチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ株式会社製スチレン−ブチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体:製品名タフテックP2000)3重量部を用いた。
また、実施例6では、発泡芯層形成用樹脂組成物として、表1に示すポリスチレン系樹脂82重量部以外に、ポリエチレン系樹脂(住友化学株式会社製低密度ポリエチレン:製品名スミカセンF102)15重量部、両者の相溶化剤としてスチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ株式会社製スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体:製品名タフテックH1041)3重量部を用いた。
得られた発泡板の物性・評価を表2〜3に示す。
これらの発泡板は、筒状発泡体の発泡層の内面同士が熱融着に貼り合された発泡芯層の両面に機能性発泡層(帯電防止発泡層)が共押出により形成されており、帯電防止能に優れ、表面平滑性も良好で曲げ弾性率も従来の発泡板と遜色のないものであった。さらには、該機能性発泡層の最表面部の気泡膜の平均厚みが1μm以上10μm未満に調整されていることから、切れ残りや切粉の発生がなく裁断加工性に優れたものであった。
(比較例1)
実施例1において、機能性発泡層形成用樹脂溶融物を機能性樹脂層形成用樹脂溶融物(機能性発泡層形成用樹脂溶融物から気泡調整剤を除きブタンを揮発性可塑剤として作用させた樹脂溶融物)に代えた以外は実施例1と同様にして、比較例1の発泡板を得た。得られた発泡板の物性・評価を表2〜3に示す。この発泡板は、筒状発泡体の発泡層同士が融着された発泡芯層を有するものであるが、発泡層の両面には本発明のように機能性発泡層が形成されておらず、無発泡の機能性樹脂層が単に形成されたものであり、しかも発泡芯層の無発泡の機能性樹脂層を含む発泡板の最表面側の気泡膜の厚みが18.0μmのであることから、裁断時に切れ残りや切粉などのバリが発生し裁断加工性に劣るものであった。
(比較例2)
実施例2において、能性発泡層形成用樹脂溶融物を機能性樹脂層形成用樹脂溶融物(機能性発泡層形成用樹脂溶融物から気泡調整剤を除きブタンを揮発性可塑剤として作用させた樹脂溶融物)に代えた以外は実施例2と同様にして比較例2の発泡板を得た。得られた発泡板の物性・評価を表2〜3に示す。この発泡板は、筒状発泡体の発泡層同士が融着された発泡芯層を有するものであるが、発泡層の両面には本発明のように機能性発泡層が形成されておらず、無発泡の機能性樹脂層が単に形成されたものであり、しかも無発泡の機能性樹脂層を含む発泡板の最表面側の気泡膜の厚みが13.8μmであることから、裁断時に切れ残りや切粉などのバリが発生し裁断加工性に劣るものであった。
(比較例3)
実施例6において、機能性発泡層形成用樹脂溶融物を機能性樹脂層形成用樹脂溶融物(機能性発泡層形成用樹脂溶融物から気泡調整剤を除きブタンを揮発性可塑剤として作用させた樹脂溶融物)に代えた以外は実施例6と同様にして、比較例3の発泡板を得た。得られた発泡板の物性・評価を表2〜3に示す。この発泡板は、筒状発泡体の発泡層同士が融着された発泡芯層を有するものであるが、発泡層の両面には本発明のように機能性発泡層が形成されておらず、無発泡の機能性樹脂層が単に形成されたものであり、しかも無発泡の機能性樹脂層を含む発泡板の最表面側の気泡膜の厚みが13.5mmであることから、裁断時に切れ残りや切粉などのバリが発生し裁断加工性に劣るものであった。
Figure 0006449682
Figure 0006449682
Figure 0006449682
表2,3において、各特性は以下のようにして測定評価した。
(発泡板の厚み)
発泡板1の厚みは、発泡板1を幅方向に沿って、一方の端部から他方の端部に至るまで5cmおきに測定される厚み(mm)の算術平均値として求めた。
(発泡板の総坪量)
発泡板1の総坪量は、発泡板全幅に亘って押出方向の長さ250mmの矩形状の試験片を切り出し、該試験片の重量(g)を該試験片の面積(板幅(mm)×250mm)で割り算し、1m当たりの積層発泡板の重量(g)に換算し、これを積層発泡板の坪量(g/m)とした。
(発泡板の見かけ密度)
発泡板1の見かけ密度は、発泡板の総坪量(g/m)を発泡板の厚みで割算し、kg/cmに単位換算することにより求めた。
(機能性発泡層の片面当たりの坪量)
機能性発泡層の片面当たりの坪量(積層量)は、機能性発泡層形成用樹脂溶融物14の押出機吐出量をL(kg/hr)、発泡体引取速度M(m/min)、発泡体全幅N(m)として、以下の式(1)により求めた。
機能性発泡層の坪量(g/m)=(L×10/2)/(M×N×60)・・・(1)
(機能性発泡層の片面あたりの厚み)
まず、機能性発泡層形成用樹脂溶融物に着色剤を添加した以外は、各実施例・比較例と同条件で発泡板を得た。得られた発泡板の幅方向(押出方向と直交する方向)に沿って切断した垂直断面において、幅方向に沿って、一方の端部から他方の端部に至るまで5cmおきに着色された機能性発泡層の厚みを測定し、これらの算術平均値を機能性発泡層の片面あたりの厚み(mm)とした。
(機能性発泡層の最表面部の気泡膜の厚み)
機能性発泡層の最表面部の気泡膜の厚みの測定は次のようにして行った。まず、発泡板1の幅方向に沿って全幅に亘って切断した垂直断面をデジタル顕微鏡により観察した。垂直断面において、機能性発泡層の最表面部に位置する気泡から片面あたり50個(計100個)の気泡を無作為に選択し、各気泡において気泡の幅方向中央部の発泡板1表面から発泡板1の厚み方向に最表面部の気泡膜3a,3a’の厚みを測定し、各測定値の算術平均を最表面部の気泡膜の厚みとした。
なお、比較例1〜3の発泡板は実施例1〜7のように機能性発泡層がないので、機能性発泡層の最表面部の気泡膜厚みは測定していない。参考のため、機能性樹脂層を含めた発泡板の最表面部の気泡膜厚みを測定した。
[各気泡径]
発泡板の気泡径は次のようにして測定した。
まず、発泡板から発泡板の幅方向にわたって略等間隔に押出方向10cm×幅方向10cmの正方形状の試験片を5枚切り出した。前記方法に従い、各試験片ごとに機能性発泡層表面の平均気泡径及び発泡芯層の平均気泡径を求め、それらの値を算術平均した。なお、各試験片において各20個の気泡を無作為に選択した。
なお、比較例1〜3の発泡板は実施例1〜7のように機能性発泡層がないので、機能性発泡層の表面部(最表面側)の平均気泡径は測定していない。参考のため、機能性樹脂層直下の発泡芯層の最表面側の平均気泡径を測定した。
[平均気泡径比(表面/中心部)]
上記発泡芯層の平均気泡径に対する上記機能性発泡層表面部の平均気泡径の比(D2/D1)を求めた。
(発泡板の表面抵抗率(Ω))
発泡板の表面抵抗率(Ω)は、JIS K6911(1995)に準拠して測定した。発泡板から切り出した試験片(縦100mm×横100mm×厚み:発泡板厚み)を温度20℃、相対湿度30%の雰囲気下に36時間放置することにより試験片の状態調節を行い、印加電圧500Vの条件にて、電圧印加を開始して1分経過後の表面抵抗率(Ω)を測定した。
(表面粗さRa(μm))
発泡板の表面粗さは、株式会社小坂研究所製のサーフコーダSE1700αを使用して測定した。具体的には、発泡板から任意の大きさの試験片を切り出し、この試験片を水平な台に静置し、先端曲率半径が2μmの触針の先端を試験片の表面に当接させて、試験シートを0.5mm/sにて押出方向に移動させ、触針の上下変位を順次測定することで表面粗さの値を測定した。試験シートの移動距離で特定される測定長さは、カットオフ値の3倍以上の所定の長さに定めた。なお、カットオフ値は0.8mmとし、そのほかのパラメータは、JIS B0601(2001)に準拠して、算術平均粗さを得て、これを表面粗さRa(μm)とした。
(曲げ弾性率(MPa))
発泡体の曲げ弾性率の測定は、JIS K7203(1982)に基づき、発泡板の押出方向(MD)について行った。発泡板から、押出方向に沿った長さ100mm×幅25mmの寸法の試験片(試験片の厚みは、発泡板と同じである)を切り出して測定に用いた。
(裁断加工性)
得られた発泡板を長さ500mmに裁断機(ギロチン刃)により裁断加工したとき裁断面に切れ残りや切粉等のバリの発生の有無を光学顕微鏡写真により判定した。
○:裁断面に切れ残りや切粉などのバリの発生なし
×:裁断面に切れ残りや切粉などのバリの発生あり
1 板状ポリスチレン系樹脂積層発泡板
2 発泡芯層
2‘、2“ 発泡芯層を構成するポリスチレン系樹脂発泡体
3、3’ 機能性発泡層
3a、3a‘機能性発泡層の最表面部の気泡膜
4 発泡芯層を形成するするポリスチレン系樹脂
5 気泡調整剤
6 第1押出機
7 発泡剤
8 発泡芯層形成用樹脂溶融物
9 機能性発泡層を形成するポリスチレン系樹脂
10 機能性添加剤
11 気泡調製剤
12 第2押出機
13 発泡剤
14 機能性発泡層形成用樹脂溶融物
15 環状ダイ
16 筒状積層発泡体
17 ピンチロール

Claims (4)

  1. ポリスチレン系樹脂発泡体を熱融着により貼り合せてなる発泡芯層と、該発泡芯層の両面に共押出により積層された機能性発泡層とを有する、全体の見掛け密度30〜300kg/m、全体の厚み2〜30mm、総坪量150〜2500g/mの板状積層発泡体であり
    該機能性発泡層はポリスチレン系樹脂と高分子型帯電防止剤とを含み
    該高分子型帯電防止剤の配合量が、該機能性発泡層を構成するポリスチレン系樹脂と高分子型帯電防止剤との合計100重量%に対して3〜25重量%であり、
    該機能性発泡層の片面あたりの坪量が3〜50g/mであり
    該発泡体の総坪量に対する機能性発泡層の片面あたりの坪量の比が0.08以下であり、
    かつ該機能性発泡層の最表面部の気泡膜厚みが1μm以上10μm未満であることを特徴とする板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体。
  2. 機能性発泡層の片面あたりの厚みが0.05mm以上0.20mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体。
  3. 機能性発泡層の合計厚みが全体厚みの15%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体。
  4. 発泡芯層の平面方向の平均気泡径D1が0.15〜1.0mmであり、機能性発泡層の最表面側に位置する気泡の平面方向の平均気泡径D2が0.05〜0.40mmであり、平均気泡径D1に対する平均気泡径D2の比D2/D1が0.3以上1未満であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の板状ポリスチレン系樹脂積層発泡体。
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