JP7227851B2 - ポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート - Google Patents
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Description
[1]ポリエチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の少なくとも片面に積層接着されたポリエチレン系樹脂層とを有するポリエチレン系樹脂積層押出発泡シートにおいて、該樹脂層が、ポリエチレン系樹脂(B)と高分子型帯電防止剤とを含む樹脂組成物から形成されており、
該高分子型帯電防止剤がアイオノマー樹脂であり、該樹脂組成物中に、該ポリエチレン系樹脂から構成される連続相と、該連続相中に分散する該高分子型帯電防止剤から構成される分散相とが形成されており、該積層押出発泡シートの幅方向と直交する垂直断面において、該分散相の個数基準による分散面積の中央値が1×102~1×106nm2であると共に、該分散相の個数基準による厚み方向の分散径の中央値Aに対する、該分散相の個数基準による厚み方向と直交する方向の分散径の中央値Bの比(B/A)が2以上であり、該積層押出発泡シートの樹脂層側の表面抵抗率が1×1012Ω以下であり、該樹脂層中のポリスチレン系樹脂の含有量が5重量%未満であることを特徴とするポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
[2]前記樹脂層において、前記高分子型帯電防止剤の含有割合が5~30重量%である、前記1に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
[3]前記アイオノマー樹脂が、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体のカリウムアイオノマーである、前記1又は2に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
[4]前記アイオノマー樹脂のメルトフローレイトが、3g/10分以下である、前記1~4のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
[5]前記ポリエチレン系樹脂(B)の融点Tmpが100~120℃であり、
該ポリエチレン系樹脂の融点Tmpと前記アイオノマー樹脂の融点Tmiとの差(Tmp-Tmi)が5~30℃である、前記1~3のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
[6]前記積層押出発泡シートの見掛け密度が20~200kg/m3である、前記1~5のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
[7]前記樹脂層の片面あたりの坪量が1~20g/m2である、前記1~6のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
[8]前記垂直断面において、厚み方向に沿った直線上に前記分散相が平均1個以上存在している、前記1~7のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
本発明の積層押出発泡シートは、押出発泡方法により製造されたものである。該積層発泡シートは、ポリエチレン系樹脂発泡層(以下、単に発泡層ともいう。)とポリエチレン系樹脂層(以下、単に樹脂層ともいう。)とを有し、該樹脂層は該発泡層の少なくとも片面に積層接着されている。埃や塵等の付着をより防ぐために、該樹脂層は該発泡層の両面に積層接着されていることが好ましい。
なお、該積層発泡シートは、後述するように、共押出発泡方法により効率よく製造することができる。
本発明において、該発泡層はポリエチレン系樹脂(A)により構成される。該ポリエチレン系樹脂(A)としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のエチレンとコモノマーとの共重合体でエチレン成分が50モル%を超えるものや、これら2種以上の混合物が挙げられる。
これらのポリエチレン系樹脂(A)の中でも、押出発泡性に優れ、緩衝性に優れた積層発泡シートとなることから、低密度ポリエチレンを主成分とするポリエチレン系樹脂が好ましい。
本発明における樹脂層は、ポリエチレン系樹脂(B)と高分子型帯電防止剤とを含む樹脂組成物から構成される。
なお、ポリエチレン系樹脂(B)として、低密度ポリエチレンを用いる場合、前記ポリエチレン系樹脂(A)として、低密度ポリエチレンを用いることが、樹脂層と発泡層との接着性に優れることから好ましい。
なお、該樹脂層は、ポリスチレン系樹脂を実質的に含有しないことが好ましい。具体的には、前記樹脂層中のポリスチレン系樹脂の含有量が5重量%未満であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましく、該含有量が0であることが最も好ましい。樹脂層中のポリスチレン系樹脂の含有量を少なくすることで、積層発泡シートの緩衝性や、リサイクル性を高めることができる。
該アイオノマー樹脂は、表面抵抗率が小さく、積層発泡シートに良好な帯電防止性能を付与することができることに加え、低分子量成分の含有量が少ないため、被包装物への低分子量成分の移行による、被包装物の汚染を抑制することができる。
アイオノマー樹脂の中では、積層発泡シートに良好な帯電防止性能を付与できることから、金属イオンとしてカリウムを用いた、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体のカリウムアイオノマーが好ましい。
なお、市販されているアイオノマー樹脂としては、三井・デュポンポリケミカル株式会社製「エンティラSD100」、「エンティラMK400」などが挙げられる。
なお、アイオノマー樹脂の表面抵抗率は、後述するように、JIS K6271(2001年)の方法に準じて測定することができる。
従って、該含有割合の下限は6重量%であることがより好ましく、さらに好ましくは8重量%であり、特に好ましくは10重量%である。一方、該含有割合の上限は25重量%であることがより好ましく、さらに好ましくは20重量%である。
なお、前記高分子型帯電防止剤の含有割合は、ポリエチレン系樹脂(B)の含有量と、高分子型帯電防止剤の含有量との合計100重量%に対する割合である。
該中央値は、積層発泡シートの幅方向と直交する垂直断面における分散相の個数と各分散相の断面積(分散面積)を測定し、測定された分散相の断面積を大きさ順に並べたときの、分散相の総数の中央(分散相の個数の累計の50%)に位置する値である。中央値を採用することで、連続相中において存在率が高く、帯電防止性能に寄与する分散相の分散状態を適切に評価することができる。
該分散面積の中央値が前記範囲にあることは、アイオノマー樹脂(高分子型帯電防止剤)からなる分散径の小さい分散相が、ポリエチレン系樹脂(B)からなる連続相中に多く分散して存在していることを意味する。該中央値は、従来の樹脂層における中央値より小さく、従来においては実現することができなかった値である。
該中央値が小さすぎる場合、良好な帯電防止性能が発現しないおそれがある。また、前記中央値が大きすぎる場合、樹脂組成物中で高分子型帯電防止剤が良好に分散しておらず、良好な帯電防止性能が発現しないおそれがある。
積層発泡シートの帯電防止性能をより高めるためには、該中央値の下限は、5×102であることが好ましく、より好ましくは1×103である。該中央値の上限は1×105nm2であることが好ましく、より好ましくは5×104nm2であることがより好ましい。
なお、積層発泡シートの幅方向とは、積層発泡シートの押出方向及び厚み方向に直交する方向である。
本発明における樹脂層が帯電防止性を発現する理由としては、アイオノマー樹脂からなる分散径の小さい分散相が連続相中に多く分散して存在する(分散面積の中央値が小さい)ことに加え、分散相が引き延ばされて筋状に存在することにより、ポリエチレン系樹脂中にアイオノマー樹脂の導電性ネットワーク構造が形成されていることが考えられる。具体的には、積層発泡シートの幅方向と直交する垂直断面における、分散相の個数基準による厚み方向の分散径の中央値Aに対する、分散相の個数基準による厚み方向と直交する方向の分散径の中央値Bの比(B/A)が2以上であることを要する。
ここで、各分散径の中央値は、積層発泡シートの幅方向と直交する垂直断面における分散相の個数と各垂直フェレ径及び各水平フェレ径を測定し、測定された各フェレ径を大きさ順に並べたときの、分散相の総数の中央(分散相の個数の累計の50%)に位置する値を意味する。なお、垂直フェレ径は樹脂層の厚み方向における分散相の長さに相当し、水平フェレ径は前記厚み方向と直交する方向における分散相の長さに相当する。
該比(B/A)が大きいことは、分散相が一方向に延伸されており、アイオノマー樹脂の分散相が引き伸ばされた状態で存在していることを意味する。これにより、アイオノマー樹脂(高分子型帯電防止剤)の導電性ネットワーク構造が形成されやすくなり、より優れた帯電防止性が発現すると考えられる。
該比(B/A)が小さすぎると、樹脂組成物中で高分子型帯電防止剤が良好に引き伸ばされた状態で存在していないので、良好な帯電防止性能が発現しないおそれがある。
かかる観点から、垂直断面において、分散相の個数基準による厚み方向の分散径の中央値Aに対する、分散相の個数基準による厚み方向と直交する方向の分散径の中央値Bの比(B/A)が3以上であることが好ましい。また、該比(B/A)の上限は、概ね20であることが好ましく、10であることがより好ましく、6であることがさらに好ましい。
なお、前記分散相の厚み方向は、積層発泡シートの厚み方向(樹脂層の厚み方向)と一致する方向である。
かかる観点から、前記分散相が平均2個以上存在していることがより好ましく、5個以上存在していることがさらに好ましい。また、前記分散相は、概ね平均100個以下存在していることが好ましく、平均30個以下存在していることがより好ましく、平均20個以下存在していることがさらに好ましい。
前記分散相の個数の平均は、無作為に選択された6箇所以上の積層発泡シートの幅方向と直交する垂直断面において、樹脂層の厚み方向に沿った直線を、樹脂層全体にわたって、2μm間隔で5本引き、この直線と交差する分散相の個数を計測した後、計測された分散相の個数の合計を、直線の本数の合計で除することで求められた値である。
本発明の積層発泡シートの前記樹脂層側の表面抵抗率は1×1012Ω以下である。該表面抵抗率が前記範囲内であれば、帯電防止性能が十分に発現された積層発泡シートとなり、埃等の付着を抑制することができる。
かかる理由により、該表面抵抗率は5×1011Ω以下であることがより好ましく、1×1011Ω以下であることがさらに好ましい。
なお、積層発泡シートの両面に樹脂層が積層されている場合、積層発泡シートの両面の夫々の表面抵抗率が1×1012Ω以下である。
なお、表面抵抗率が前記範囲であれば、樹脂層の表面に高分子型帯電防止剤を実質的に含まない表面樹脂層をさらに積層してもよい。
積層発泡シートから所定寸法(例えば、縦100mm×横100mm×厚み:シート厚み)の複数の試験片を切り出し、この試験片の樹脂層に対して、JIS K6271(2001年)の方法に準じて印加電圧500Vで印加してから1分後の表面抵抗値を測定し、得られた測定値の平均値から表面抵抗率を求めることができる。なお、高分子型帯電防止剤(アイオノマー樹脂)の表面抵抗率についても、アイオノマー樹脂が平板状に成形された試料に対して、JIS K6271(2001年)の方法に基づき、印加電圧500Vで印加してから1分後の表面抵抗値を測定し、得られた測定値の平均値から求めることができる。
表面抵抗率の測定装置として、例えばタケダ理研工業(株)製、型式:TR8601等を用いることができる。
また、積層発泡シートの全体見掛け密度は、前記積層発泡シートの坪量(g/m2)を積層発泡シートの全体厚み(mm)で除し、単位換算することで求められる。
かかる観点から、その上限は、1.5mmが好ましく、より好ましくは1.2mm、さらに好ましくは1.0mmである。一方、その下限は、より高い緩衝性を確保するために、0.1mmが好ましく、より好ましくは0.2mm、さらに好ましくは0.3mmである。
樹脂層全体の坪量[g/m2]=〔1000X/(L×W)〕・・・(1)
本発明の積層発泡シートは、ポリエチレン系樹脂と物理発泡剤とを混練してなる発泡層形成用樹脂溶融物と、ポリエチレン系樹脂と高分子型帯電防止剤と揮発性可塑剤とを混練してなる樹脂層形成用樹脂溶融物とを共押出することにより製造することができる。
具体的には、発泡層形成用押出機にポリエチレン系樹脂(A)を供給し、加熱溶融して溶融樹脂とした後、物理発泡剤を圧入し、さらに混練して発泡層形成用樹脂溶融物とする。
他方、樹脂層形成用押出機に、ポリエチレン系樹脂(B)と高分子型帯電防止剤(アイオノマー樹脂)とを供給し、加熱溶融して溶融樹脂とした後、揮発性可塑剤を圧入し、さらに混練して樹脂層形成用樹脂溶融物とする。得られた該発泡層形成用樹脂溶融物と該樹脂層形成用樹脂溶融物とを共押出用ダイに導入して積層し、低圧下(通常、大気圧)に共押出する。このように、樹脂層形成用樹脂溶融物と発泡層形成用樹脂溶融物とを積層し、発泡層形成用樹脂溶融物を発泡させることにより、樹脂層が発泡層に積層接着された積層発泡シートが得られる。
ポリエチレン系樹脂(B)のMFRは、前記ポリエチレン系樹脂(A)のMFRと同じか、ポリエチレン系樹脂(A)のMFRよりも高いことが好ましい。
特に、メルトフローレイト(MFR)が3g/10分以下のアイオノマー樹脂は、高分子型帯電防止剤中に含まれる低分子量成分の量が少ない傾向にあるため、より好ましい。
共押出により積層発泡シートを得る場合において、連続相を構成するポリエチレン系樹脂のMFRと、分散相を構成するアイオノマー樹脂のMFRとの差が大きくなると、樹脂層形成用樹脂溶融物を押出する際の温度条件が比較的低い温度に設定された際に、ポリエチレン系樹脂中にアイオノマー樹脂を分散させにくくなる。一方、本発明においては、後述するように、押出時に揮発性可塑剤を用いることによって、該差が前記範囲にある場合であっても、アイオノマー樹脂をポリエチレン系樹脂中に分散させることでき、樹脂層全体にわたって帯電防止性能に優れる積層発泡シートを安定して得ることができる。
共押出により積層発泡シートを得る場合においては、通常、樹脂層形成用樹脂溶融物を押出する際の温度条件を十分に高い温度に設定することで、連続相を構成する樹脂中に高分子型帯電防止剤を分散させやすくなる。しかし、発泡層の気泡構造を良好な状態に維持するために、樹脂層形成用樹脂溶融物の温度は過度に高温にできないことに加え、比較的低い温度条件下では、アイオノマー樹脂の溶融粘度が増加しやすいことから、従来、樹脂層を構成する樹脂組成物として、一定の融点差を有するような、ポリエチレン系樹脂とアイオノマー樹脂とを用いた場合には、ポリエチレン系樹脂中にアイオノマー樹脂を分散させることが難しかった。
一方、本発明においては、後述するように、押出時に揮発性可塑剤を用いることによって、前記範囲のような融点の差がある場合であっても、アイオノマー樹脂をポリエチレン系樹脂中に分散させることができ、樹脂層全体にわたって帯電防止性能に優れる積層発泡シートを安定して得ることができる。
なお、前記アイオノマー樹脂の融点Tmiは、概ね80~110℃であることが好ましく、85~100℃であることがより好ましい。
この効果により、アイオノマー樹脂が前記ポリエチレン系樹脂中に良好に分散した樹脂層が形成され、帯電防止性能に優れる積層発泡シートが得られるものと考えられる。
これらの中では、アイオノマー樹脂の溶融粘度を十分に下げることができると共に、積層発泡シート製造時に取扱いが容易であることから、エタノールを用いることが好ましく、少なくともエタノールを含むアルコールを用いることが好ましい。
かかる理由により、該配合量は、前記ポリエチレン系樹脂(B)と前記アイオノマー樹脂との合計1kgあたり、0.5~9molであることが好ましく、1~8molであることがより好ましく、2~7molであることがさらに好ましい。
該モル比率がこの範囲内であれば、ポリエチレン系樹脂とアイオノマー樹脂を共に可塑化することができ、均質な樹脂層を形成することができる。
かかる観点から、該配合量の下限は2molであることが好ましく、より好ましくは3molであり、さらに好ましくは4molであり、特に好ましくは6molである。一方、該配合量の上限は24molであることがより好ましく、さらに好ましくは20mol、特に好ましくは16molである。
実施例、比較例で使用したポリエチレン系樹脂、アイオノマー樹脂(高分子型帯電防止剤)、気泡調整剤、並びに評価方法を以下に記載する。
(1)略称「LDPE1」:NUC株式会社製「低密度ポリエチレン:商品名NUC8009」(密度0.917g/cm3、MFR9.0g/10分、融点107℃)
(1)略称「MK400」:三井・デュポンポリケミカル株式会社製エチレン系カリウムアイオノマー樹脂「エンティラMK400」(密度970kg/m3、MFR1.5g/10分、融点93℃、表面抵抗率1.0×107Ω)
混合ブタン(ノルマルブタン35重量%とイソブタン65重量%との混合物)
(1)エタノール:関東化学株式会社製「エタノール」:商品名エタノール(99.5)鹿1級
(2)ミックスエタノール:山一化学工業株式会社製「混合アルコール」:商品名ミックスエタノールNP
(エタノール:85.5wt%、イソプロピルアルコール4.9wt%、ノルマルプロピルアルコール9.6wt%)
(3)混合ブタン(ノルマルブタン35重量%とイソブタン65重量%との混合物)
(4)ジメチルエーテル
大日精化工業製:PO-217K(クエン酸-炭酸水素ナトリウム系化学発泡剤)
発泡層形成用の押出機として直径90mmの第一押出機と直径120mmの第二押出機2台の押出機が直列に接続されたタンデム押出機を使用し、樹脂層形成用の押出機として直径50mmの第三押出機を使用し、第二押出機の出口と第三押出機の出口が共押出用環状ダイに接続された装置を用いた。共押出用環状ダイは、ダイ中間部で樹脂層形成用樹脂溶融物が、筒状に流れる発泡層形成用樹脂溶融物の内側及び外側に合流積層される構造を有し、ダイ出口のリップの直径は94mmである。
ポリエチレン系樹脂(LDPE1)100重量部と、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、2重量部の前記気泡調整剤とを第一押出機の原料投入口に供給し、加熱溶融混練して約200℃に調整し、溶融樹脂とした。該溶融樹脂に物理発泡剤として、混合ブタンを12重量部圧入し、さらに混錬し、次いで第一押出機の下流側に連結された第二押出機に移送して、樹脂温度を約112℃に調整して発泡層形成用樹脂溶融物を得た。
揮発性可塑剤を、表1に示す種類、配合量に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン系樹脂積層発泡シートを得た。
まず、積層発泡シートの幅方向中央部及び幅方向両端部付近において、積層発泡シートの厚み方向及び押出方向に沿って、積層発泡シートを切断し、押出方向に沿った断面(押出方向垂直断面)を有する試料を3つ切り出した。
次に、切り出した3つの試料のそれぞれの断面から、樹脂層部分(マンドレルに面せずに引き取られた積層発泡シートの面側)を含む、超薄切片を作製した。次に、超薄切片を四酸化ルテニウムを用いて染色し、ポリエチレン系樹脂と高分子型帯電防止剤とを濃淡により区別できるようにした。次に、透過型電子顕微鏡(JEOL製JEM-1400Plus)を用い、加速電圧100kVにて染色した切片を観察し、拡大倍率7000倍及び70000倍の条件下で、樹脂層の断面写真を撮影した。なお、撮影した断面写真においては、より黒色度が高い部分が分散相(高分子型帯電防止剤)となる。図1、2に、実施例1で得られた積層発泡シートの断面写真(倍率:7000倍、70000倍)を、図3に、比較例1で得られた積層発泡シートの断面写真(倍率:7000倍)を示す。
その後、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフト「NS2K-pro」を用いて、下処理した断面写真に対して、以下の条件で画像処理及び測定を行った。
(1)モノクロ変換
(2)平滑化フィルタ(処理回数1~10回)
(3)NS法二値化(鮮明度41、感度10、ノイズ除去、濃度範囲45~255)
(4)フェレ径、面積計測
前記(1)~(4)の条件における測定により、全ての分散相の垂直フェレ径と水平フェレ径とを測定した。ここで、垂直フェレ径は樹脂層の厚み方向における分散相の長さに相当し、水平フェレ径は前記厚み方向と直交する方向における分散相の長さに相当する。
なお、測定範囲の境界部と交差する分散相については測定対象とし、その分散相の垂直フェレ径と水平フェレ径とを測定した。
この測定を上記3つの試験片に対して行い、3つの試験片で測定されたすべての分散相の垂直フェレ径あるいは水平フェレ径から、それぞれのフェレ径の個数基準における中央値を求めた。得られた垂直フェレ径の中央値を分散相の個数基準による厚み方向の分散径の中央値A、得られた水平フェレ径の中央値を分散相の個数基準による厚み方向と直交する方向の分散径の中央値Bとした。
なお、中央値は、分散相の各フェレ径を大きさ順に並べたとき、分散相の総数の中央(分散相の個数の累計の50%)に位置する値を意味する。
分散相が存在する樹脂層断面(積層発泡シートの幅方向と直交する垂直断面)の断面写真において、樹脂層の厚み方向に沿った直線を、樹脂層全体にわたって、2μm間隔で5本引き、この直線と交差する分散相の個数を計測した。この測定を異なる6つの断面写真に対して行い、計測された分散相の個数の合計を、直線の本数の合計で除することで、厚み方向に沿った直線上に存在する、厚み方向の分散相の個数の平均値を算出した。
積層発泡シート各面の表面抵抗率は、具体的には次のように測定した。得られた積層発泡シートから試験片(縦100mm×横100mm×厚み:試験片厚み)を無作為に3片切り出した。試験片の状態調節後、測定装置としてタケダ理研工業株式会社製「TR8601」を用い、印加電圧500Vで試験片に印加を開始してから1分後の表面抵抗率を3つの試験片に対して測定した。表面抵抗率の測定は試験片の両面に対して行ない、得られた測定値の算術平均を積層発泡シート各面の表面抵抗率とした。なお、表2中、M面はマンドレルに面して引き取られた積層発泡シートの面であり、S面はマンドレルに面せずに引き取られた積層発泡シートの面である。
表2中の帯電防止性は次の基準で評価した。
◎:積層発泡シートの各面の表面抵抗率が1×1011Ω以下である。
○:積層発泡シートの各面の表面抵抗率が1×1012Ω以下であり、かつ積層発泡シートの少なくとも一方の面の表面抵抗率が1×1011Ωを超える。
×:積層発泡シートの少なくとも一方の面の表面抵抗率が1×1012Ωを超える。
移行性の試験として、次のようなヘーズの測定を実施例1~3で得られた積層発泡シートに対して行った。
まず、被包装物として、松浪ガラス工業株式会社製プレクリンスライドガラスを10枚重ねてガラス積層体とした。次に、日本電飾工業(株)社製の「NDH2000」を用いて、ガラス積層体の厚み方向(ガラス積層方向)に対するヘーズ(1)を測定した。次に、サンプル(実施例で得られた積層発泡シート)11枚と、ガラス10枚とを交互に積層して積層体とし、この積層体を3.8g/cm2の圧力下及び温度60℃、相対湿度90%の条件下で24時間静置した。その後、サンプルを積層体から取り除き、ガラスを10枚重ねてガラス積層体として、(1)と同様にガラス積層体の厚み方向に対するヘーズ(2)を測定した。ヘーズ(2)の値(%)からヘーズ(1)の値(%)を引き算してヘーズの変化量(%)を求め、以下の基準で移行性を評価した。ヘーズの変化量が小さいほど、ガラスへの高分子型帯電防止剤に含まれる低分子量成分の移行が少ない積層発泡シートであることを意味する。
〇:ヘーズ変化量(%)が1.5以下
×:ヘーズ変化量(%)が1.5を超える
Claims (8)
- ポリエチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の少なくとも片面に積層接着されたポリエチレン系樹脂層とを有するポリエチレン系樹脂積層押出発泡シートにおいて、
該樹脂層が、ポリエチレン系樹脂(B)と高分子型帯電防止剤とを含む樹脂組成物から形成されており、
該高分子型帯電防止剤がアイオノマー樹脂であり、
該樹脂組成物中に、該ポリエチレン系樹脂(B)から構成される連続相と、該連続相中に分散する該高分子型帯電防止剤から構成される分散相とが形成されており、
該積層押出発泡シートの幅方向と直交する垂直断面において、該分散相の個数基準による分散面積の中央値が1×102~1×106nm2であると共に、
該分散相の個数基準による厚み方向の分散径の中央値Aに対する、該分散相の個数基準による厚み方向と直交する方向の分散径の中央値Bの比(B/A)が2以上であり、
該積層押出発泡シートの樹脂層側の表面抵抗率が1×1012Ω以下であり、
該樹脂層中のポリスチレン系樹脂の含有量が5重量%未満であることを特徴とするポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
- 前記樹脂層において、前記高分子型帯電防止剤の含有割合が5~30重量%である、請求項1に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
- 前記アイオノマー樹脂が、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体のカリウムアイオノマーである、請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
- 前記アイオノマー樹脂のメルトフローレイトが、3g/10分以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
- 前記ポリエチレン系樹脂(B)の融点Tmpが100~120℃であり、
該ポリエチレン系樹脂(B)の融点Tmpと前記アイオノマー樹脂の融点Tmiとの差(Tmp-Tmi)が5~30℃である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
- 前記積層押出発泡シートの全体見掛け密度が20~200kg/m3である、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
- 前記樹脂層の片面あたりの坪量が1~20g/m2である、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
- 前記垂直断面において、厚み方向に沿った直線上に前記分散相が平均1個以上存在している、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂積層押出発泡シート。
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