JP2015180534A - 多層発泡シート及びガラス板用間紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、従来のものより厚みが薄く軽量であっても、間紙として十分な緩衝性とコシ強度を有する、ガラス板の間紙として好適に使用可能な多層発泡シートを提供することを目的とするものである。
【解決手段】 本発明の多層発泡シートは、ポリエチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の両面側に共押出により積層接着された熱可塑性樹脂層とからなる、厚み0.05〜2mmの多層発泡シートであり、該発泡層は、曲げ弾性率300MPa未満のポリエチレン系樹脂Aから形成されており、該樹脂層は、曲げ弾性率300MPa未満のポリエチレン系樹脂Bと、曲げ弾性率2000MPa以上かつガラス転移温度120℃以下の非晶性熱可塑性樹脂Cと、ポリエチレン系樹脂Bと非晶性熱可塑性樹脂Cとの相溶化剤とを含む混合樹脂組成物から形成されており、該混合樹脂組成物中の非晶性熱可塑性樹脂Cの含有量が15〜70重量%であり、該樹脂層の片面あたりの坪量が1〜10g/m2であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
[1]ポリエチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の両面側に共押出により積層接着された熱可塑性樹脂層とからなる、厚み0.05〜2mmの多層発泡シートにおいて、
該発泡層は、曲げ弾性率300MPa未満のポリエチレン系樹脂Aから形成されており、
該樹脂層は、曲げ弾性率300MPa未満のポリエチレン系樹脂Bと、曲げ弾性率2000MPa以上かつガラス転移温度120℃以下の非晶性熱可塑性樹脂Cと、ポリエチレン系樹脂Bと非晶性熱可塑性樹脂Cとの相溶化剤とを含む混合樹脂組成物から形成されており、
該混合樹脂組成物中の非晶性熱可塑性樹脂Cの含有量が15〜70重量%であり、
該樹脂層の片面あたりの坪量が1〜10g/m2であることを特徴とする多層発泡シート。
[2]前記混合樹脂組成物中の非晶性熱可塑性樹脂Cの含有量が25〜50重量%である、前記1に記載の多層発泡シート。
[3]前記非晶性熱可塑性樹脂Cがポリスチレン系樹脂であり、前記相溶化剤がスチレン系エラストマーである、前記1又は2に記載の多層発泡シート。
[4]前記混合樹脂組成物中の相溶化剤の含有量が2〜20重量%である、前記3に記載の多層発泡シート。
[5]前記混合樹脂組成物がさらに高分子型帯電防止剤を含み、該混合樹脂組成物中の高分子型帯電防止剤の含有量が2〜30重量%である、前記1〜4のいずれかに記載の多層発泡シート。
[6]前記1〜5のいずれかに記載の多層発泡シートからなるガラス板用間紙。
本発明の多層発泡シートは、ポリエチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の両面側に共押出により積層接着された熱可塑性樹脂層とからなる、サンドイッチ構造を有するものである。さらに、該多層発泡シートを構成する樹脂層は、片面あたりの坪量が1〜10g/m2という極めて小さく薄いものであるにもかかわらず、後述するように特定の剛性に優れる混合樹脂組成物からなることにより、本発明の多層発泡シートは緩衝性を維持しつつも、全体としてコシが強くて取扱い性に優れるものである。
Vx:上記方法で測定されたカットサンプルの真の体積(cm3)であり、カットサンプルを構成する樹脂の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。
Va:測定に使用されたカットサンプルの外寸から計算されたカットサンプルの見かけ上の体積(cm3)。
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)。
ρ:多層発泡シートを脱泡して求められる樹脂の密度(g/cm3)
該発泡層を構成するポリエチレン系樹脂は、曲げ弾性率300MPa未満のポリエチレン系樹脂Aである。該樹脂Aの曲げ弾性率が300MPa以上であると発泡層の緩衝性が不十分となる虞がある。かかる観点から、ポリエチレン系樹脂Aの曲げ弾性率は200MPa以下が好ましく、100MPa以下がより好ましい。なお、その下限は、概ね50MPaである。
これらの中でも、発泡性に優れ、多層発泡シートがより緩衝性に優れたものとなることから、ポリエチレン系樹脂Aは、低密度ポリエチレンを主成分とすることが好ましい。なお、「主成分とする」とは、ポリエチレン系樹脂Aが低密度ポリエチレン系樹脂を50重量%以上含むことを意味する。同様な観点から、ポリエチレン系樹脂Aは低密度ポリエチレンを70重量%以上含むことがより好ましく、90重量%以上含むことがさらに好ましく、低密度ポリエチレンのみからなることが特に好ましい。
低密度ポリエチレンとは、長鎖分岐構造を有するポリエチレンであり、その密度は概ね910kg/m3以上930kg/m3未満である。
本発明における樹脂層は、弾性率300MPa未満のポリエチレン系樹脂Bと、曲げ弾性率2000MPa以上かつガラス転移温度120℃以下の非晶性熱可塑性樹脂Cと、ポリエチレン系樹脂Bと非晶性熱可塑性樹脂Cとの相溶化剤とを含む混合樹脂組成物から形成されている。このように本発明の多層発泡シートは、曲げ弾性率の強い、剛性に優れる非晶性熱可塑性樹脂Cを含有する樹脂層が積層接着されているので、コシが強くて取扱い性に優れるものとなる。
また、そのガラス転移温度は、JIS K7121−1987に従って、試験片の状態調節を「一定の熱処理を行なった後、ガラス転移温度を測定する場合」とし、熱流束DSCにより求めた中間点ガラス転移温度を意味する。
また、該樹脂Cがポリエステル樹脂の場合、マレイン酸などで変性された酸変性スチレン系エラストマーが挙げられる。
また、発泡層に高分子型帯電防止剤を含有させることもできる。押出時の発泡性と得られる多層発泡シートの帯電防止性能とのバランスの観点から、発泡層中の高分子型帯電防止剤の含有量は2〜15重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜8重量%である。
本発明の多層発泡シートの製造方法としては、樹脂層を形成する溶融樹脂と発泡シートを形成する溶融樹脂とをダイ内にて積層合流して押出発泡する共押出発泡法が採用される。該共押出発泡方法は、樹脂層の厚みを薄くできると共に、樹脂層と発泡シートとの間の接着力が高い多層発泡シートを得ることができるので好ましい。
まず、前記ポリエチレン系樹脂Aと、必要に応じて添加される気泡調整剤などの添加剤とを発泡層形成用押出機に供給し、加熱混練してから物理発泡剤を圧入し、さらに混練してポリエチレン樹脂発泡層形成用樹脂溶融物とする。同時に、前記ポリエチレン系樹脂Bと、前記非晶性熱可塑性樹脂Cと、前記相溶化剤と、必要に応じて添加される前記高分子型帯電防止剤などを樹脂層形成用押出機に供給し、加熱混練して熱可塑性樹脂層形成用樹脂溶融物とする。次に、該発泡層形成用樹脂溶融物と該樹脂層形成用樹脂溶融物を共押出用環状ダイに導入する。
また、共押出により樹脂層を積層する場合には、ポリエチレン系樹脂BのMFRは、ポリエチレン系樹脂AのMFRの1.0〜2.0倍の範囲であることが好ましい。なお、樹脂層に配合される非晶性熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂である場合、JIS K7210−1999に基づき条件H(200℃、荷重5kg)で測定される、ポリエチレン系樹脂BのMFRは、5.0〜15g/10minであることが好ましい。
なお、気泡調整剤の添加量は、基材樹脂100重量部当たり0.01〜3重量部、好ましくは0.03〜1重量部である。
表3に示す量の前記ポリエチレン系樹脂Aと、表3に示す量の気泡調整剤マスターバッチとをタンデム押出機の第一押出機の原料投入口に供給し、加熱混練し、約200℃に調整された溶融樹脂混合物とした。次に、該溶融樹脂混合物に、物理発泡剤として表3に示す量の混合ブタンを圧入し、次いで該溶融樹脂混合物を前記第一押出機の下流側に連結された第二押出機に移送して、表3に示す押出樹脂温度に温調して発泡層形成用樹脂溶融物とし、該発泡層形成用樹脂溶融物を表3に示す吐出量で前記共押出用環状ダイに導入した。
多層発泡シートの全体坪量は、多層発泡シートからシートの全幅に亘って10cmの幅の試験片を切り出し、シートの全幅×10cmにて試験片の重量を割算することにより求めた(n=5)。
また、樹脂層の坪量は、前記全体坪量をもとに、発泡層と樹脂層との吐出量の比から求めた。
多層発泡シートの見掛け密度は、多層発泡シートの全体坪量を多層発泡シートの厚みで割算し、単位換算することにより求めた。
○:得られた多層発泡シートの樹脂層に破れ無し
×:得られた多層発泡シートの樹脂層に破れ有り
得られたシートの押出方向と試験片の長手方向とを一致させて、多層発泡シートの無作為に選択した10箇所から幅100mm×長さ200mmの測定用試験片をそれぞれ10枚切り出した。試験片を水平な土台上に土台の端から長手方向に100mm突出させた状態で乗せ、さらにその上に錘を載せて固定し、土台上面から垂れ下がった試験片の最下部までの垂直方向の距離を測定した。この測定を各試験片に対して行い、各測定値の算術平均値を垂れ下がり量とした。
まず、得られた多層発泡シートから試験片(縦100mm×横100mm×厚み:試験片厚み)を無作為に3片切り出した。試験片の状態調節後、測定装置としてタケダ理研工業株式会社製「TR8601」を用い、印加電圧500Vで試験片に印加を開始してから1分後の表面抵抗率を測定した。なお、測定は試験片の両面に対して行ない(計6回)、得られた測定値の算術平均を多層発泡シートの表面抵抗率とした。
Claims (6)
- ポリエチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の両面側に共押出により積層接着された熱可塑性樹脂層とからなる、厚み0.05〜2mmの多層発泡シートにおいて、
該発泡層は、曲げ弾性率300MPa未満のポリエチレン系樹脂Aから形成されており、
該樹脂層は、曲げ弾性率300MPa未満のポリエチレン系樹脂Bと、曲げ弾性率2000MPa以上かつガラス転移温度120℃以下の非晶性熱可塑性樹脂Cと、ポリエチレン系樹脂Bと非晶性熱可塑性樹脂Cとの相溶化剤とを含む混合樹脂組成物から形成されており、
該混合樹脂組成物中の非晶性熱可塑性樹脂Cの含有量が15〜70重量%であり、
該樹脂層の片面あたりの坪量が1〜10g/m2であることを特徴とする多層発泡シート。
- 前記混合樹脂組成物中の非晶性熱可塑性樹脂Cの含有量が25〜50重量%である、請求項1に記載の多層発泡シート。
- 前記非晶性熱可塑性樹脂Cがポリスチレン系樹脂であり、前記相溶化剤がスチレン系エラストマーである、請求項1又は2に記載の多層発泡シート。
- 前記混合樹脂組成物中の相溶化剤の含有量が2〜20重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の多層発泡シート。
- 前記混合樹脂組成物がさらに高分子型帯電防止剤を含み、該混合樹脂組成物中の高分子型帯電防止剤の含有量が2〜30重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の多層発泡シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の多層発泡シートからなるガラス板用間紙。
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