JP5294369B2 - ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子製品、精密機器、回路基盤、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの各種画像表示機器用のガラス基板などを包装するためのポリオレフィン系樹脂発泡体及びその製造方法、並びに該発泡体を用いたガラス基板搬送用包装体に関する。
近年、ポリオレフィン樹脂発泡シートは、柔軟性及び緩衝性に富み、機械的強度にも優れていることから、精密機器、回路基盤、ディスプレイ用ガラス基板など(以下、単に被包装体ともいう。)の緩衝材、包装材として使用されている。しかし、これらの用途においては、表面保護、破損防止のみならず、静電気の作用による塵や埃の付着を防止することが要求される。従って、帯電防止剤を用いて帯電防止性を向上させたポリオレフィン系樹脂発泡体が開発され用いられてきた。
更に前記帯電防止剤として、被包装体の表面を汚染する可能性が極めて小さく、外観に優れ、均一な帯電防止特性を湿度の影響を受けることなく発揮できる高分子型帯電防止剤が好ましく用いられている。例えば、高分子型帯電防止剤を用いた発泡シートを包装材として用いることが特許文献1に開示され、高分子型帯電防止剤を用いたポリオレフィン樹脂発泡シートが特許文献2に開示されている。
特開2005−231657号公報 特開2005−194433号公報
しかし、従来の高分子型帯電防止剤は、金属イオンの存在による精密機器、部材等に与える影響まで考慮したものではなく、この点で高分子型帯電防止剤を用いたポリオレフィン樹脂発泡シートを緩衝材、包装材として、精密機器、部材等の被包装体に使用する場合に新たな課題が見出された。
即ち、高分子型帯電防止剤には帯電防止性能を向上させることを目的としてナトリウム化合物が添加されており、これにより、高分子型の帯電防止剤を含むポリオレフィン樹脂発泡シートを緩衝材、合紙、包装材等として使用する場合に、ナトリウムイオンが被包装体へ移行したり、クリーンルーム中の空気を汚染したりすることが懸念される。
金属イオン、特にナトリウムイオンは被包装体に移行したり、空気を汚染したりすると、回路基盤などに使用されている金属腐食発生の原因となったり、シリコン半導体においてナトリウムイオンはモバイルイオンとも呼ばれ、性能低下や不良発生原因の一つとなるものである。また、カラーフィルター等のディスプレイ用ガラス基板においても、ナトリウムイオンは、基板上のデバイスの不良原因となる虞がある。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、電子製品、精密機器、回路基盤、各種画像表示機器用のガラス基板等の被包装体の表面保護、破損防止、塵や埃の付着防止、帯電防止剤の移行付着防止に加え、前記の通り悪影響が懸念されるナトリウムイオンの被包装体への移行やナトリウムイオンによる空気の汚染等による不具合の発生を防止可能なポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することを技術課題とするものである。
本発明によれば、以下に示すポリオレフィン系樹脂発泡体及びガラス基板搬送用包装体が提供される。
〔1〕帯電防止剤とポリオレフィン系樹脂と物理発泡剤とを押出機中にて、混練して発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を形成し、該溶融物を押出発泡する、厚み0.2〜5mm、密度0.015〜0.5g/cm、エタノールを用いた超音波洗浄後の表面抵抗率が1×10〜1×1014Ωの発泡体の製造方法であって、該帯電防止剤は、結晶化温度が110℃以下、測定温度190℃かつ剪断速度100sec−1での溶融粘度が80〜1000Pa・s、ナトリウムイオンの抽出量が2000ng/cm以下(但し、試料約10gを純水10ml中で85℃、1時間放置後の抽出量である。)のものであり、該帯電防止剤の配合量を10〜30重量%とし、引取速度/吐出量の値が3〜35m/kgとなる条件にてダイから押出発泡することを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法
本発明の製造方法により得られるポリオレフィン系樹脂発泡体は、電子製品、精密機器、回路基盤、各種画像表示機器用のガラス基板等の被包装体の表面保護、破損防止に優れ、更にエタノールを用いた超音波洗浄後の表面抵抗率が小さく、且つナトリウムイオンの抽出量が少ないものであることから、塵や埃の付着防止、帯電防止剤の移行付着防止に優れ、ナトリウムイオンの被包装体への移行等による不具合が解消できるものである。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法によれば、特定の押出発泡条件を選択することにより、ナトリウムイオンの抽出量が少ない高分子型の帯電防止剤を多量に添加することなく、優れた前記ポリオレフィン系樹脂発泡体を製造することができる。
前記ポリオレフィン系樹脂発泡体が用られたガラス基板搬送用包装体は、ポリオレフィン系樹脂発泡体を合紙として用い、複数枚のガラス基板を梱包したものであることから、ガラス基板を損傷することなく、塵や埃を付着させることなく、ナトリウムイオンの被包装体への移行等による不具合を発生させることなく、ガラス基板を保管し、搬送できるものである。
以下、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体について詳細に説明する。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体(以下、単に発泡体ともいう。)は、優れた帯電防止特性を発現させることができることから、ポリオレフィン系樹脂の押出発泡技術に基づいて製造されるものである。その形状としては、例えば、棒状、シート状、板状が挙げられ、中でも包装材として被包装体を梱包し易く、熱成形が容易であることからシート状又は板状が好ましい。
本発明の発泡体を構成するポリオレフィン系樹脂は、オレフィン成分単位が50モル%以上の樹脂である。具体的なポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、柔軟性、耐薬品性、緩衝性に優れるものであり、これらの中でも、表面硬度が低く柔軟性に特に優れ、被包装体の表面保護性に優れるという観点からはポリエチレン系樹脂が好ましく用いられ、作業性などの関連するコシ強度、表面平滑性の観点からはポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
該ポリエチレン系樹脂としては、エチレン成分単位が50モル%以上の樹脂が挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等のエチレン系共重合体、さらにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのポリエチレン系樹脂の中でも、密度が0.935g/cm以下、更に密度が0.925g/cm以下のポリエチレン系樹脂が好ましい。具体的には、上記密度範囲の低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を用いることが好ましく、発泡性が良好な低密度ポリエチレンが特に好ましい。
尚、ポリエチレン系樹脂の密度の下限は0.890g/cmである。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン成分単位が50モル%以上の樹脂が挙げられ、例えば、プロピレン重合体、プロピレンと他のモノマーとの共重合体、さらにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレン、1‐ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン等の炭素数2〜10のα−オレフィン、無水マレイン酸等が例示される。
前記のポリプロピレン系樹脂の中でも押出発泡に用いる樹脂としては、一般のポリプロピレン系樹脂と比較して溶融張力が高いポリプロピレン系樹脂が好ましい。具体的には、例えば、特開平7−53797号公報に記載されているような、(1)1未満の枝分かれ指数と著しい歪み硬化伸び粘度とを有するポリプロピレン系樹脂や、(2)(a)Z平均分子量(Mz)が1.0×10以上であるか、またはZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)が3.0以上であり、(b)かつ平衡コンプライアンスJが1.2×10−3Pa−1以上であるか、または単位応力当たりの剪断歪み回復Sr/Sが毎秒5Pa−1以上であるポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
また、本発明においては、(3)ポリプロピレンとスチレンやイソプレン等のラジカル重合性単量体とラジカル重合開始剤とを溶融混練して得られる改質ポリプロピレン系樹脂であってもよい。
本発明において使用されるポリプロピレン系樹脂は、沸騰キシレン不溶解成分の割合が0若しくは低いものである。該不溶解成分は、ポリプロピレン系樹脂発泡体或いはポリプロピレン系樹脂を試料とし、145℃のキシレン中に試料を入れ8時間煮沸した後、100メッシュの金網で速やかに濾過し、ついで金網上に残った沸騰キシレン不溶解成分を20℃のオーブン中で24時間乾燥したのち、不溶解成分の重量G(g)を測定し、下記式(3)により求められる。該不溶解成分の割合が0若しくは低いものとは、不溶解成分が0〜5重量%である場合を意味するが、好ましくは、0〜3重量%、より好ましくは0〜2重量%である。不溶解成分の割合が低いポリプロピレン系樹脂程リサイクル性に優れており好ましいものである。
乾燥後の不溶解成分の割合(重量%)=[G(g)/試料重量(g)]×100
………(3)
本発明の発泡体を構成するポリオレフィン系樹脂には、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、エチレンプロピレンゴム等のエラストマー、ポリブテン等のブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系樹脂などを添加することができる。その場合の添加量は40重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましく、10重量%以下が特に好ましい。
また、ポリオレフィン系樹脂には各種の添加剤を添加してもよい。各種の添加剤としては、例えば、着色剤、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤、抗菌剤、収縮防止剤等が挙げられる。その場合の添加量は10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下が特に好ましい。下限は概ね0.01重量%である。
本発明の発泡体の見掛け密度は0.015〜0.5g/cmであり、厚みは0.2〜5mmである。
見掛け密度が小さすぎる場合には、発泡体の機械的強度が不十分になり、ガラス基板等の合紙や包装材として使用できない虞がある。また、後述するように十分な帯電防止効果が得られない虞もある。一方、見掛け密度が大きすぎる場合には、発泡体の緩衝性や柔軟性が低下し、ガラス基板等の合紙や包装材として使用できない虞がある。かかる観点から、0.02〜0.4g/cmが好ましく、0.03〜0.3g/cmがより好ましい。
また、該発泡体の厚みが小さすぎる場合には、緩衝性や被包装体の表面保護製が不十分になる虞がある。一方、厚みが大きすぎる場合には、軽量性が損なわれる虞があり、被包装体の梱包効率が低下する虞がある。かかる観点から、0.3〜3mmが好ましく、0.5〜2mmがより好ましい。
尚、本明細書でいう発泡体の見掛け密度および厚みは、少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂層を設ける場合には、各々、樹脂層を含まない見掛け密度および厚みをいう。
本明細書において、発泡体の厚みは次のようにして測定する。
まず、発泡体を押出方向に直行する方向に垂直に切断し、幅方向切断面の厚みを等間隔に10点測定し、得られた値の算術平均値を発泡体の厚みとする。また、発泡体の少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂層が設けられている場合、樹脂層の厚みは、上記の発泡体の厚みと同様に等間隔に10点樹脂層の厚みを断面写真などに基づいて測定し、得られた測定値の算術平均値とする。
本明細書において、発泡体の見掛け密度(g/cm)は、発泡体の坪量を測定し、該発泡体の坪量(g/m)を前記発泡体の厚み(mm)で除した値を単位換算することにより求める。発泡体の坪量は、縦25mm×横25mm×発泡体の厚みの試験片を切り出し、試験片の重量(g)を測定した後、その重量を1600倍し、単位換算することで得られる(g/m)。
尚、発泡体の少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂層が設けられている場合には、ポリオレフィン系樹脂層の厚みと密度から、坪量を算出し(ポリオレフィン系樹脂層の坪量(g/m)は、前記厚み測定方法により得られた該樹脂層の厚みに該樹脂層を構成している基材樹脂の密度を乗じ、単位換算を行なって求める。)、積層発泡体の坪量から樹脂層の坪量を差し引いて発泡体の坪量を求め、以下、前述の発泡体の見掛け密度の測定方法と同様にして発泡体の見掛け密度を求めることができる。
本発明の発泡体においては、破れ難い発泡体とするために、少なくとも片面に厚さ5μm以上のポリオレフィン系樹脂層(以下、単に樹脂層ともいう。)を設けることが好ましく、厚さ8μm以上が好ましく、厚さ12μm以上がより好ましい。一方、該樹脂層の厚みが厚くなりすぎると重量が増して軽量性が劣る虞があるため、樹脂層の厚みは150μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。ポリオレフィン系樹脂層は、発泡体にポリオレフィン系樹脂フィルムを熱接着する等、公知の方法によって形成することができる。
該ポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂は、発泡体の外観を良好にする観点からメルトフローレート(MFR)が1g/10分以上のものが好ましい。一方、MFRの上限には特に制限はないが、通常20g/10分以下である。
該樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂としては、前述した発泡体を構成するポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
また、該樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂としては、前述した発泡体を構成するポリエチレン系樹脂が挙げられる。その場合、MFRは、1.5〜15g/10分が好ましく、2〜10g/10分がより好ましい。
また、該樹脂層を構成するポリプロピレン系樹脂としては、前述した発泡体を構成するポリプロピレン系樹脂の他に汎用のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。その場合、MFRは1.5〜15g/10分が好ましく、2〜10g/10分がより好ましい。
前記メルトフローレイト(MFR)は、JIS K7210(1976)に準拠して、ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂の場合、190℃、荷重21.17Nの条件とし、ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合、230℃、荷重21.17Nの条件で測定するものとする。
該樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂には、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリブテン等のブテン系樹脂、エチレンプロピレンゴム、熱可塑性エラストマー等を添加することができる。その場合の添加量は40重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましく、10重量%以下が特に好ましい。
該樹脂層は、例えば、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の機能性添加剤、金属イオンとしてカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれたアルカリ金属を含むアイオノマー樹脂、後述する帯電防止剤、無機充填剤等の各種添加剤を含有していても良い。
本発明の発泡体においては、ナトリウムイオンの抽出量が20ng/cm以下であり、10ng/cm以下が好ましく、5ng/cm以下がより好ましく、3ng/cm以下が更に好ましい。該抽出量が少なければ、ナトリウムイオンの被包装体への移行等による金属腐食、精密部品の性能低下や不良発生などの不具合を防ぐことができる。なお、該抽出量の下限は、0ng/cmである。
本明細書において、発泡体のナトリウムイオンの抽出量は次のように測定する。
まず、測定用の発泡体から、5cm角の試験片を切り出す。合計重量が1〜2gとなるように複数枚の試験片を、その重量を精秤すると共に表面積を算出してから、ポリプロピレン製袋に入れ、超純水10mlを加え密栓をする。これを、85℃の恒温槽に1時間放置し、抽出液を得る。なお、5cm角の発泡体試験片の表面積については、側面の気泡露出部分の表面積を算出する為に次の通り側面の面積を2倍することとする。即ち、5cm角の試験片の表面積(cm)は、〔(5cm×5cm×2)+(5cm×試験片厚み(cm)×4×2πr/πr)〕(但し、rは気泡の半径)により求められる。
前記抽出液について、イオンクロマトグラフィによりナトリウムイオンのピーク面積値を測定し、予め作製した検量線を用いてナトリウムイオン量を測定する。また、発泡体試料を用いずに、同様の条件下で空試験を行って測定値の補正を行い、抽出量(μg/g)を求める。尚、定量値の下限は、0.02μg/gの精度とする。次いで、先に求めた測定に使用した発泡体の単位重量あたりの表面積(cm/g)で該抽出量(μg/g)を除して単位換算することにより本発明における抽出量(ng/cm)を算出する。
また、本明細書において、帯電防止剤のナトリウムイオンの抽出量を測定する場合には、次のように測定する。
帯電防止剤ペレット約10gを、その重量を精秤すると共に表面積を算出してから、フッ素樹脂製容器に入れ、超純水40mlを加え密栓をする。これを、85℃の恒温槽に1時間放置し、抽出液を得る。得られた抽出液を前処理カートリッジ(GL sciennces製Aqusis PLS−3)を通した溶液について、イオンクロマトグラフィによりナトリウムイオンのピーク面積値を測定し、予め作製した検量線を用いてナトリウムイオン量を測定する。また、帯電防止剤ペレットを用いずに、同様の条件下で空試験を行って測定値の補正を行い、抽出量(μg/g)を求める。尚、定量値の下限は、0.04μg/gの精度とする。次いで、先に求めた測定に使用した帯電防止剤ペレットの単位重量あたりの表面積(cm/g)で該抽出量(μg/g)を除して単位換算することにより本発明における抽出量(ng/cm)を算出する。
なお、発泡体および帯電防止剤のナトリウムイオンの抽出量測定におけるイオンクロマトグラフィの測定条件は次の通りである。
装置 Dionox製DX−500
試料注入量 100μL
溶離液 10mMメタンスルホン酸
分離カラム 2mmφ×250mm:Ion Pac CS14
カラム温度 35℃
検出器 電気伝導度計
本発明の発泡体においては、エタノールを用いた超音波洗浄後の表面抵抗率が1×10〜1×1014Ωである。
該表面抵抗率が大きすぎる場合には、帯電防止特性が不十分となり、発泡体の表面には静電荷が蓄積し、埃が付着しやすくなる。埃がより付着しにくくするためには、該表面抵抗率は、5×1013Ω以下が好ましく、1×1013Ω以下がさらに好ましい。一方、発泡体の表面抵抗率が小さすぎる場合には、帯電防止性能においては問題ないが、包装材に要求される帯電防止性能が過剰となりコストが高くなる虞がある。
本明細書における「エタノールを用いた超音波洗浄後の表面抵抗率」は、試験片の状態調整を下記の通り行う以外はJIS K6911(1995)に準拠して測定する。具体的には、ビーカ中に23℃のエタノールを入れ、その中に発泡体から切り出した試験片(縦100mm×横100mm×厚み:試験片厚み)を沈めて超音波洗浄にて24時間洗浄した後、該試験片を温度30℃、相対湿度30%の雰囲気下で36時間放置して乾燥させることにより試験片の状態調整を完了し、印加電圧500Vの条件にて電圧印加を開始して1分経過後の表面抵抗率を求める。
本発明の発泡体は、エタノールによる超音波洗浄後であっても、帯電防止効果は失われない。これに対し、発泡体にモノグリセリンエステル等の界面活性剤系の帯電防止剤を主に添加して帯電防止効果を発現させたものの場合、エタノールによる超音波洗浄を行うと帯電防止効果が失われる。即ち、界面活性剤系の帯電防止剤による帯電防止効果は、帯電防止剤が成形品表面にブリードアウトし空気中の水分を取り込むことにより発揮される。従って、通常の状態では帯電防止特性が発現していても、エタノールによる超音波洗浄後には帯電防止剤が発泡体表面から洗い流されてしまうので、帯電防止特性は失われてしまう。よって、発泡体の帯電防止効果が、主に界面活性剤系の帯電防止剤によるものか、主に高分子型の帯電防止剤によるものかを判別する手段として、エタノールによる超音波洗浄後の表面抵抗の測定は有効である。
本発明の発泡体には、エタノールを用いた超音波洗浄後であっても表面抵抗率が1×10〜1×1014Ωであることを可能ならしめるために、高分子型帯電防止剤が10〜30重量%配合されている。帯電防止剤の配合量が、10重量%未満では、前記帯電防止特性を発揮できない虞がある。一方、該配合量が、30重量%超では、気泡径が粗大で外観が悪くなり、独立気泡率も低下し、更にコストが高くなってしまう。かかる観点から、帯電防止剤の配合量は、10〜25重量%が好ましく、15〜22重量%がより好ましい。
次に、本発明で用いられる帯電防止剤の構成について詳しく説明する。
本発明で用いる帯電防止剤は、表面抵抗率が1×1011Ω未満の樹脂からなる帯電防止剤(以下、高分子型帯電防止剤ともいう。)である。該帯電防止剤の数平均分子量としては、2000以上、好ましくは2,000〜100,000、更に好ましくは5,000〜60,000、特に好ましくは8,000〜40,000であり、界面活性剤からなる帯電防止剤とは区別される高分子型の帯電防止剤である。尚、該高分子型の帯電防止剤の数平均分子量の上限は概ね1,000,000である。高分子型の帯電防止剤の数平均分子量を前記の範囲とすることにより、被包装体へ帯電防止剤が移行して被包装体表面を汚染することもない。
なお、前記数平均分子量は、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて求められる。例えば、高分子型帯電防止剤がポリエーテルエステルアミドやポリエーテルを主成分とする親水性樹脂の場合にはオルトジクロロベンゼンを溶媒として試料濃度3mg/mlとし、ポリスチレンを基準物質としてカラム温度135℃の条件にて測定される値である。なお、前記溶媒の種類、カラム温度は、高分子型帯電防止剤の種類に応じて適宜変更される。
本発明で使用される高分子型帯電防止剤としては、体積固有抵抗率が10〜1011Ω・cmの親水性樹脂(但し、上記帯電防止剤にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのナトリウムを含むアニオン系界面活性剤を添加しない、或いは最小限の添加にとどめたもの。)が挙げられる。
上記親水性樹脂としては、ポリエーテルジオール,ポリエーテルジアミン,及びこれらの変性物等のポリエーテル、ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステルアミド,ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルアミドイミド,ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステル、ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルアミド,ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルウレタン等のポリエーテル含有親水性樹脂、非イオン性分子鎖で隔てられた2〜80個、好ましくは3〜60個のカチオン性基を分子内に有するカチオン性ポリマー、及びスルホニル基を有するジカルボン酸とジオール又はポリエーテルとを必須構成単位とし、かつ分子内に2〜80個、好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマーが使用できる。
また高分子型帯電防止剤にはポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させ、優れた帯電防止効果を与えると共に、帯電防止剤を添加することによる物性低下を抑制する効果を得るために、ポリオレフィン系樹脂と同種或いは相溶性の高い樹脂をブロック共重合させたものが好ましく、例えば、ポリオレフィンのブロックと、体積固有抵抗率が10〜1011Ω・cmの上記親水性樹脂のブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有する数平均分子量(Mn)が2000〜60000のブロックコポリマー(但し、上記帯電防止剤にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのナトリウムを含むアニオン系界面活性剤を添加しない、或いは最小限の添加にとどめたもの。)が挙げられる。尚、上記ポリオレフィンのブロックと親水性樹脂のブロックとは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有することをいう。
また、高分子型帯電防止剤として好ましく用いられる前記ブロックポリマーのポリオレフィンのブロックとしては、カルボキシル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン、カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィンが好ましい。
上記のような高分子型帯電防止剤として更に詳しくは、特開2001−278985に記載の組成物の内、ナトリウムを含むアニオン系界面活性剤などのナトリウム化合物を添加しない、或いは最小限の添加にとどめたものが挙げられる。即ち、高分子型帯電防止剤には、帯電防止性を更に向上させるために、ナトリウムを含むアニオン系界面活性剤などが添加されるが、発泡体のナトリウムイオンの抽出量を20ng/cm以下にするためには、ナトリウム化合物が添加されていないもの、若しくは添加量を最小限にとどめたものを用いる。このような高分子型帯電防止剤には、例えば三洋化成工業株式会社製「ペレスタット201」がある。
上記高分子型帯電防止剤はそれぞれ単独で使用することができるが、複数組み合わせて使用してもよい。
本発明の発泡体は従来の界面活性剤タイプの帯電防止剤が発泡体に含まれるものを完全に排除するものではないが、界面活性剤タイプの帯電防止剤を使用しなくても十分な帯電防止性能が発揮でき、その場合には被包装体の接触面の汚染を確実に防止することができることから、界面活性剤タイプの帯電防止剤が実質的に含まれていないこと、更に全く含まれていないことが好ましい。尚、界面活性剤タイプの帯電防止剤が実質的に含まれていないとは、被包装体の接触面の汚染が用途に応じた許容範囲内に調整できるのであれば界面活性剤タイプの帯電防止剤が含まれていてもかまわないことを意味する。
また、高分子型帯電防止剤の融点は、好ましくは70〜270℃、より好ましくは80〜230℃、特に好ましくは80〜200℃であることが、帯電防止機能発現性の観点から望ましい。
高分子型帯電防止剤の融点は、以下のJIS K7121(1987)に準拠する方法により測定することができる。即ちJIS K7121(1987)における試験片の状態調節(2)の条件(但し、冷却速度は10℃/分)により前処理を行い、10℃/分にて昇温することにより融解ピークを得る。そして得られた融解ピークの頂点の温度を融点とする。尚、融解ピークが2つ以上現れる場合には、最も面積の大きな融解ピークの頂点の温度を融点とする。
前記高分子帯電防止剤はそれぞれ単独で使用することができるが、組み合わせて使用してもよい。
本発明の発泡体は、ナトリウムイオンの抽出量を20ng/cm以下にするために、上記高分子型帯電防止剤を用いるものである。しかし、該高分子型帯電防止剤は、ナトリウム化合物の存在量を抑制しているものであるため、帯電防止剤自体の帯電防止能力が低下している。そのような状況下で、該帯電防止剤を添加して得られる発泡体の帯電防止効果も低下するため、1×10〜1×1014Ωの表面抵抗率を確保するためには、該帯電防止剤を基材樹脂に単純に混合する場合、30重量%を超えて該帯電防止剤を多量に添加しなければならなくなる。しかし、高分子型帯電防止剤の添加量が多くなると、得られる発泡体の気泡径が粗大で外観が悪くなり、独立気泡率も低くなるという問題が発生する。
また、本発明者等の従来の知見では、ナトリウム化合物が添加された従来の高分子型帯電防止剤の場合、押出発泡時に発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を均一に延伸させて、高分子型帯電防止剤の導電ネットワーク構造を形成することにより、少量の添加量であっても十分な表面抵抗率を発揮できる。一方、従来の高分子型帯電防止剤の場合、添加量がポリオレフィン系樹脂100重量部に対して8重量部を超える場合には、発泡体製造時に発泡が阻害され、気泡径が粗大で外観が悪くなり、独立気泡率も低くなってしまう。
そこで、本発明において提供される発泡体はナトリウムイオン量を調整した高分子型帯電防止剤を用いるにもかかわらず、より優れた高分子型帯電防止剤の導電ネットワーク構造を形成することにより、30重量%超の添加量を必要とせず、10重量%以上の添加量で外観の低下、独立気泡率の低下を防ぎつつ1×10〜1×1014Ωの表面抵抗率を確保したものである。
本発明の発泡体は、後述するようにダイリップ先端での発熱を防ぐことにより押出発泡時のダイ内の圧力を調整すると共に、押出発泡時の引取速度と吐出量との関係を調節することにより、得られる発泡体の外観等の低下を防ぎながら、発泡体のナトリウムイオンの抽出量が20ng/cm以下を担保できる高分子型帯電防止剤を10〜30重量%配合し、発泡体の表面抵抗率を1×10〜1×1014Ωとすることに成功したものである。
本発明の発泡体においては、本発明発泡体の製造方法に起因して押出方向の平均気泡径:X(mm)、幅方向の平均気泡径:Y(mm)及び厚み方向の平均気泡径:Z(mm)が、下記(1)及び(2)式を満足することが好ましく、下記(3)及び(4)式を満足することがより好ましい。
0.15≦Z/X≦0.60 ・・・(1)
0.25≦Z/Y≦0.60 ・・・(2)
0.20≦Z/X≦0.50 ・・・(3)
0.30≦Z/Y≦0.50 ・・・(4)
Z/X、Z/Yの値が前記式に示す範囲であれば、前述の高分子型帯電防止剤を用いても、その配合量を大きく増量することなく表面抵抗率を目的の値に調整することができる。更に、前記式に示す範囲に調整された発泡体は、十分な表面抵抗率が発現されるものであることに加えて、外観に優れるものとなる。
Z/X、Z/Yの値が小さすぎる場合には、押出方向及び/又は幅方向の気泡の形状が、極端に扁平になっているので、連続気泡率が高いものとなり、発泡体の発泡倍率低下や圧縮クリープが大きくなり緩衝性能、機械的物性が不十分になる不具合や、本発明の範囲内での帯電防止剤の配合量では表面抵抗率が不十分なものとなる不具合が発生する虞がある。一方、Z/X、Z/Yの値が大きすぎる場合には、コルゲートと呼ばれる厚みむらを十分に防ぐことが難しくなって厚み精度が低下し、発泡体の外観が悪くなる虞があり、また、本発明の範囲内での帯電防止剤の配合量では十分な表面抵抗率を発現させることが難しい。
本発明の発泡体において、厚み方向の平均気泡径:Z(mm)は、下記範囲内にあることが好ましい。
0.1≦Z≦1.4 ・・・(5)
Zの値が前記(5)式で示す範囲であれば、表面平滑性において特に優れた発泡体となる。かかる観点からZの範囲は、0.1〜0.8mm、更に0.1〜0.5mmが好ましい。
本明細書において、押出方向の平均気泡径、幅方向の平均気泡径、厚み方向の平均気泡径は、それぞれ以下のようにして測定する。
押出方向の平均気泡径:発泡体の幅方向中央部を、押出方向に沿って垂直に切断し、その断面の中心部付近の押出方向に長さ30mmの線分を引き、この線分上にある気泡(該線分と一部において交わる気泡も含む)の数:n1(個)を測定し、線分の長さを(n1−1)で割った値を押出方向の平均気泡径:X(mm)として採用する。
幅方向の平均気泡径:発泡体の押出方向に対して直交する垂直断面の中心部付近に幅方向に長さ30mmの線分を引き、この線分上にある気泡(該線分と一部において交わる気泡も含む)の数:n2(個)を測定し、線分の長さを(n2−1)で割った値を幅方向の平均気泡径:Y(mm)として採用する。
厚み方向の平均気泡径:発泡体の幅方向中央部を、押出方向に沿って垂直に切断し、その断面の中心部付近に発泡体の全厚みに線分を引き、この線分上にある気泡の数:n3(個)を測定し、線分の長さをn3で割った値を厚み方向の平均気泡径:Z(mm)として採用する。
本発明の発泡体は、該発泡体の連続気泡率が70%以下であることが好ましい。連続気泡率がこの範囲内であると、発泡体の厚みが薄くとも包装用用途としての緩衝性に優れるものとなる。かかる観点から連続気泡率は60%以下が好ましく、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下である。
発泡体の連続気泡率:S(%)は、ASTM D2856−70に記載されている手順Cに準拠し、東芝ベックマン株式会社製の空気比較式比重計930型を使用して測定される発泡体試験片の実容積(独立気泡の容積と樹脂部分の容積との和):Vx(L)から、下記(6)式により算出される値である。
S(%)=(Va−Vx)×100/(Va−W/ρ)・・・(6)
但し、前記(6)式中の、Va、W、ρは以下の通りである。
Va:発泡体試験片の外寸法から計算される見掛け体積(L)
W:発泡体試験片の重量(g)
ρ:発泡体試験片を構成する樹脂の密度(g/L)
尚、発泡体試験片を構成する樹脂の密度ρ(g/L)及び発泡体試験片の重量W(g)は、発泡体を加熱プレスにより気泡を脱泡させてから冷却する操作を行い、得られた樹脂から求めることができる。発泡体試験片は、空気比較式比重計に付属のサンプルカップに非圧縮状態で収納しなければならないので、縦が25mm、横40mmで試験片の見掛け体積が概ね0.025L(25cm)となるように最小限の枚数とする。
本発明の発泡体の曲げ弾性率は、包装作業性、特に自動梱包ロボットによる包装作業性などのコシ強度と、緩衝性の観点から、好ましくは、80〜800MPa、更に好ましくは80〜500MPa、特に好ましくは100〜500MPaである。
上記曲げ弾性率を有する発泡体を得る為には、基材樹脂として密度890〜970kg/mのポリオレフィン系樹脂を30〜100重量%含むものを用いることが好ましい。該ポリオレフィン系樹脂の中でも、緩衝性と剛性のバランスから、ポリプロピレン系樹脂を用いることが更に好ましい。
本明細書における曲げ弾性率の測定は、JIS K 7221−2(1999)に基づき、発泡体の押出方向(MD)と幅方向(TD)について測定する。試験片として、長さ150mm×幅25mm×厚さ:発泡体の厚さのものを発泡体から切り出して使用し、支点先端のR=5(mm)、圧子先端のR=5(mm)、支点間距離100mm、曲げ速度10mm/分の条件にて測定を行う。尚、発泡体の押出方向と幅方向についてそれぞれ10個の試験片を測定し、各々の平均値を求め、その平均値のうち小さな値を本発明における曲げ弾性率とする。但し、発泡体の表面と裏面とで曲げ弾性率が異なる場合には、上記方法により求められる大きい方の値を本発明における発泡体の曲げ弾性率とする。
次に、本発明の発泡体を製造する方法について説明する。
本発明の発泡体は押出発泡法により得ることができる。即ち、前記高分子型帯電防止剤と前記ポリオレフィン系樹脂と物理発泡剤とを押出機中にて、混練して発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を形成し、該溶融物を発泡適正温度に調節してから押出発泡させる方法により、本発明の発泡体を製造する。
上記押出発泡法としては、押出機の出口にTダイ、サーキュラーダイ等のダイを取り付けて押出発泡を行う公知の方法を採用することができるが、1000mm以上の幅の発泡シート又は発泡板を他の方法に比べて容易に得ることができる上に、発泡体製造時に発泡体が均一に延伸され、それにより十分な永久帯電防止性能を発現させ易いことからサーキュラーダイを用いる押出発泡法が好ましく採用される。
本発明の発泡体を得るために用いるポリオレフィン系樹脂、高分子型帯電防止剤は前記した通りである。
また、上記物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、メタノール、エタノール等の低級脂肪族アルコール、メチルエーテル、エチルエーテルなどのジアルキルエーテル等の有機系物理発泡剤、窒素、二酸化炭素、空気等の無機系物理発泡剤が挙げられる。これらの物理発泡剤は、2種以上を混合して使用することが可能である。これらのうち、ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を選択した場合、樹脂との相溶性、発泡性の観点から有機系発泡剤が好ましく、中でもノルマルブタン、イソブタン、又はこれらの混合物を主成分とするものが好適である。また、被包装物が輸出入されるものの場合などは、可燃性の物理発泡剤を使用して得られた発泡体は、残存発泡剤として発泡体中に可燃性ガスが存在する可能性があるため安全性を十分に考慮しなければならず、その観点から物理発泡剤は、二酸化炭素を主成分とするものが好適である。
また、発泡体を製造する際には、通常、気泡調整剤が添加される。気泡調整剤としては有機系のもの、無機系のもののいずれも使用することができる。無機系気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。また有機系気泡調整剤としては、リン酸−2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。またクエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。
本発明の発泡体を得るには、高分子型帯電防止剤とポリオレフィン系樹脂と物理発泡剤等からなる発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を、厚みが0.2〜5mmとなるように押出発泡し、更にエタノールを用いた超音波洗浄後の表面抵抗率が1×10〜1×1014Ωであると共に、見掛け密度が0.5〜0.015g/cmとなるように押出発泡させなければならない。
発泡体の見掛け密度を前記範囲内にするには、主として物理発泡剤の添加量、発泡温度を調製すればよい。また、発泡体の厚みは、ダイリップの開度、吐出量と引取速度と見掛け密度のバランスをとることにより調整することができる。また、発泡体の気泡径は、主として気泡調整剤の添加量により調節する。本発明方法において、物理発泡剤の添加量はポリオレフィン系樹脂100重量部に対して1〜18重量、気泡調整剤の添加量は0.05〜5重量%の範囲で通常調整される。
表面抵抗率が1×10〜1×1014Ωとなるようにするには、前記高分子型帯電防止剤を10〜30重量%添加して押出発泡を行なわなければならない。帯電防止剤の配合量が10重量%未満では、所望される帯電防止特性を発揮できない虞がある。一方、該配合量が30重量%超では、気泡径が粗大で外観が悪くなり、連続気泡率も高く、更にコストが高くなってしまう。
本発明で使用される前記高分子型帯電防止剤は、ナトリウムイオン抽出量が少ないものであるため帯電防止能力が、該イオン抽出量が多い通常の高分子型帯電防止剤と比較して低く、ポリオレフィン系樹脂に十分な帯電防止性能を付与するためには一般に30重量%を超えるような多量の該帯電防止剤を樹脂に配合しなければならないことが想定される。しかし、本発明においては上記の外観、連続気泡率の問題から多量のナトリウムイオン抽出量が少ない高分子型帯電防止剤を配合することはできない。
そこで、本発明の帯電防止性能に優れ、外観等も良好な発泡体を得るには、高分子型帯電防止剤の添加量が10〜30重量%の範囲内で、気泡径の粗大化による外観の悪化、連続気泡率の増加を防ぎつつ、十分な帯電防止効果を発現させなければならない。そのためには、押出発泡時の発泡性溶融樹脂の吐出量(kg/hr)と該樹脂の押出発泡体の引取速度(m/min)との割合を調整することが重要である。具体的には、引取速度/吐出量の値が3〜35m/kgとなる条件にて調整する。引取速度/吐出量の値の調整により適切な帯電防止効果の発現性が左右されるが、その他、該値が小さすぎる場合には、表面凹凸が大きくなり外観悪化の虞があり、一方、大きすぎる場合には、連続気泡率や見掛け密度の増加、緩衝性や機械物性の低下の虞がある。かかる観点から、引取速度/吐出量の値は4〜25がより好ましく、12〜22が更に好ましい。
更に、押出発泡時の条件としてブローアップ比(以下、BURともいう)を1.5〜5.0とすること、環状ダイの先端部の樹脂流路の幅を広げて溶融樹脂の大きなせん断発熱を防ぐことが好ましい。尚、本明細書におけるブローアップ比とは、環状ダイの場合にはダイリップ直径に対するダイの下流側に設けられる円筒状の冷却装置(マンドレル)のダイ側先端部直径の比、Tダイの場合には、ダイリップ幅に対する発泡体幅の比として求められ、押出発泡時における発泡体断面長さの拡大比のことである。
ブローアップ比が上記範囲内であれば、特に機械的物性、厚み精度の高い発泡体を得ることができる。かかる観点から、ブローアップ比は1.8〜4.5がより好ましく、2.0〜4.2が更に好ましい。
また、環状ダイ内での強いせん断応力による発熱を抑制するためには、ダイ内の樹脂流路間隔を調整し、ダイ内せん断速度、及びパスタイムのバランスをとることが重要である。具体的には、押出機の吐出量にもよるが、樹脂流路の間隔(環状ダイの場合には流路外径と流路内径との差の1/2)を7〜18mmとし通常の樹脂流路の間隔よりも広く設定すればよい。
ナトリウムイオン抽出量の少ない高分子型帯電防止剤を用いて表面抵抗率を低くし、連続気泡化を防き、発泡体の機械的物性の低下を防ぐことのできる発泡体は、上記製造方法に起因して押出方向の平均気泡径:X(mm)、幅方向の平均気泡径:Y(mm)及び厚み方向の平均気泡径:Z(mm)が、下記(1)及び(2)式を満足するような気泡が形成されていることが好ましい。
0.15≦Z/X≦0.60 ・・・(1)
0.25≦Z/Y≦0.60 ・・・(2)
このような気泡形状の発泡体を得るには、上記ブローアップ比、引取速度/吐出量の値を調整することにより可能となる。具体的には、引取速度/吐出量の値を大きくすることによりZ/Xの値は小さくなり、ブローアップ比を大きくすることによりZ/Yの値は小さくなる。
更に、本発明方法にて用いる高分子型帯電防止剤は前記構成に加えて、30重量%以下の添加量で前記範囲の表面抵抗率且つ前記ナトリウムイオンの抽出量を20ng/cm以下の発泡体を得るために、ナトリウムイオンの抽出量が2000ng/cm以下のものを用いることが好ましく、更に800ng/cm以下、特に400ng/cm以下のものを用いることが好ましい。また、高分子型帯電防止剤自体の表面抵抗率が1×1011Ω以下のものを用いることが好ましい。
本発明では、高分子型帯電防止剤を用いるので、製造後の放置時間や湿度条件等に依存せず、製造直後から得られる発泡体の表面抵抗率を1×10〜1×1014Ωにすることができる。
得られる発泡体の見掛け密度が0.5g/cm以下になるように押出発泡させるのは、緩衝性を高めることに加えて、高発泡させることにより発泡時の気泡の成長過程で高分子型帯電防止剤を配向させて導電ネットワークを形成し、表面抵抗率1×10〜1×1014Ωの発泡体にするためである。
本発明の発泡体に配合する高分子型帯電防止剤は、結晶化温度が該帯電防止剤を配合するポリオレフィン系樹脂の結晶化温度+30℃以下の範囲内であると共に190℃での溶融粘度が80〜1000Pa・sのものが好ましい。両者の結晶化温度が上記関係を満足することにより、高分子型帯電防止剤をポリオレフィン系樹脂中に均一に分散させて良好な導電ネットワークを形成し易くなり、また、該帯電防止剤が配合されたポリオレフィン系樹脂を押出発泡する際に該帯電防止剤の結晶化が起きないので、発泡体に孔が開いたり、表面が凹凸になったりして、外観が悪くなることが防止される。一方、高分子型帯電防止剤の結晶化温度が高すぎると、押出機内部で結晶化し発泡を阻害するという問題点がある。なお、高分子型帯電防止剤の結晶化温度の下限は60℃程度である。結晶化温度が低すぎると、樹脂組成物の物性低下を招く。
本発明方法においては、発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を発泡適正温度に調節してから、ダイを通して押出発泡を行う。この適正温度とは、目的とする見掛け密度の発泡体が容易に得られる温度のことである。具体的には、オレフィン系樹脂の[結晶化温度+5℃]以上[結晶化温度+50℃]以下が、発泡体の連続気泡率の向上や得られる発泡体の収縮を抑える観点から好ましい。
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂及び高分子型帯電防止剤の結晶化温度として、JIS K7122(1987)に準拠する方法で測定した値を採用する。詳細は下記の通りである。
試料を2〜4mg採取し、示差走査熱量計を用いて、加熱速度10℃/分で室温(約23℃)から転移ピーク終了時より30℃高い温度まで昇温し、この温度に10分間保った後、40℃まで10℃/分の冷却速度で降温させて測定を行なう。このとき冷却時に得られた曲線において、発熱ピークの頂点の温度を結晶化温度とする。尚、発熱ピークが2つ以上現れる場合には、最も面積の大きな発熱ピークの頂点の温度を結晶化温度とする。
高分子型帯電防止剤の190℃での溶融粘度(Mb)は、80〜1000Pa・sが好ましい。このような溶融粘度の高分子型帯電防止剤は、ポリオレフィン系樹脂と十分に混練することができるので、好ましい導電性ネットワークを形成することができる。この観点から溶融粘度(Mb)は150〜800Pa・sがより好ましく、150〜500Pa・sが更に好ましい。溶融粘度が80〜1000Pa・sの高分子型帯電防止剤が配合された発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を、見掛け密度が0.5g/cm以下になるように延伸しながら発泡させると、良好な導電性ネットワークを形成することができる。
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂の190℃における溶融粘度(Ma)は、250〜6000Pa・sが好ましく、300〜5000Pa・sがより好ましい。溶融粘度(Ma)が、6000Pa・sを超えると押出機にかかる負荷が高くなりすぎて、押出しする際のコントロールが難しくなる上に、発泡時における樹脂の伸びも不十分となり、外観良好な発泡体が得られない虞がある。一方、溶融粘度(Ma)が250Pa・s未満では、高分子型帯電防止剤との混練性が悪くなり、高分子型帯電防止剤の均一な分散性に悪影響を与え、帯電防止効果が低下する虞がある。
前記ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン系樹脂を選択した場合、190℃における溶融粘度が300〜1600Pa・sのものを使用することが好ましく、より好ましくは700〜1500Pa・sである。ポリエチレン系樹脂製の発泡体の場合、緩衝性を要求される用途に使用されることが多く、気泡も微細であることが要求される。ところが、高分子型帯電防止剤の溶融粘度は発泡には適さないため、それを補うため溶融張力の高いポリエチレン系樹脂を選択することが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレン系樹脂を選択した場合、190℃における溶融粘度が2000〜6000Pa・sの範囲内のものを使用することが好ましく、より好ましくは3000〜5500Pa・sであり、4000〜5000Pa・sの高粘度のものを使用することが特に好ましい。かかる高粘度のポリプロピレン系樹脂としては、前述したようなハイメルトテンションタイプのポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
本明細書における溶融粘度は、次のようにして測定する。
測定装置として東洋精機製作所社製形式1Dキャピログラフを使用することができ、オリフィス径1mm、オリフィス長10mm、測定温度190℃、剪断速度100sec−1の条件にて測定する。尚、試験片は、原料ペレットを用いることとし、前記測定温度は、溶融混練する際の溶融温度と相関するものである。従って、高分子型帯電防止剤及びポリオレフィン系樹脂の190℃における溶融粘度が前記範囲内であることが混練性と均一な分散性との観点から好ましい。
本発明の発泡体を得るには、高分子型帯電防止剤を発泡体の外観低下が起きないような少ない添加量で効果を発揮させるために、発泡などによる延伸効果以外に、高分子型帯電防止剤とポリオレフィン系樹脂との190℃における溶融粘度の関係が下記(7)式を満たすようにコントロールすることが好ましい。
Ma>Mb ・・・(7)
但し、(7)式中Maはポリオレフィン系樹脂の190℃における溶融粘度(Pa・s)であり、Mbは高分子型帯電防止剤の190℃における溶融粘度(Pa・s)である。
前記(7)式に示されているように、ポリオレフィン系樹脂の溶融粘度(Ma)を高分子型帯電防止剤の溶融粘度(Mb)よりも高くすることにより、所定の帯電防止特性を発揮させやすくなる。一方、ポリオレフィン系樹脂の溶融粘度(Ma)が、高分子型帯電防止剤の溶融粘度(Mb)と同じか或いは低くなると、高分子型帯電防止剤の導電ネットワーク構造を形成する事が困難になる虞がある。
前記MaとMbとの関係は、高分子型帯電防止剤の添加量が少量であっても帯電防止特性を発揮させる観点から、Mbが0.90Maよりも少ないことが好ましく(0.90Ma>Mb)、0.70Maよりも少ないことがより好ましい(0.70Ma>Mb)。
一方、その下限は所定の帯電防止特性を発揮することができる観点から、Mbが0.10Maを超えることが好ましく(Mb>0.10Ma)、Mbが0.15Maを超えることがより好ましい(Mb>0.15Ma)。
本発明の発泡体を得るために用いるポリエチレン系樹脂としては、190℃における溶融張力が30mN〜400mNのものが好ましい。190℃における溶融張力が30mN未満の場合には、倍率の低下や連続気泡化の虞がある。一方、190℃における溶融張力が400mNを超えると、樹脂の粘度が上昇し、押出する際、負荷が高くなる虞がある。ポリエチレン系樹脂の190℃における溶融張力は、発泡性の観点から、35mN以上であることがより好ましく、さらに好ましくは40mN以上である。また連続気泡率の低い発泡体を得るのが容易である点から、ポリエチレン系樹脂の190℃における溶融張力は、300mN以下であることがより好ましく、さらに好ましくは250mN以下である。
本発明方法で用いるポリプロピレン系樹脂としては、230℃における溶融張力が30mN〜400mNのものが好ましい。230℃における溶融張力が30mN未満の場合には、倍率の低下や連続気泡化の虞がある。一方、230℃における溶融張力が400mNを超えると、樹脂の粘度が上昇し、押出する際、負荷が高くなる虞がある。ポリプロピレン系樹脂の230℃における溶融張力は、発泡性の観点から、30mN以上であることがより好ましく、さらに好ましくは50mN以上である。また連続気泡率の低い発泡体を得るのが容易である点から、ポリプロピレン系樹脂の230℃における溶融張力は、300mN以下であることがより好ましく、さらに好ましくは250mN以下である。
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂の溶融張力(メルトテンション或いはMTと記載することもある)は、例えば、株式会社東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII型等によって測定することができる。具体的には、測定するポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂の場合、次のように測定する。
ノズル径2.095mm、長さ8mmのノズルを有するメルトテンションテスターを用い、前記ノズルからポリエチレン系樹脂の場合には樹脂温度190℃、押出のピストン速度10mm/分の条件で樹脂を紐状に押し出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛けた後、5rpm/秒(紐状物の捲取り加速度:1.3×10−2m/秒)程度の割合で捲取り速度を徐々に増加させていきながら直径50mmの捲取りローラーで捲取る。
ポリオレフィン系樹脂の溶融張力を求める具体的な方法は、捲取り速度100(rpm)において捲取りを行って張力検出用プーリーと連結する検出機により検出される紐状物の溶融張力を経時的に測定し、縦軸にMT(mN)を、横軸に時間(秒)を取ったチャートに示すと、振幅をもったグラフが得られる。次に振幅の安定した部分の、振幅の中央値(X)をとる。本発明では、この値(X)を溶融張力とする。尚、測定に際し、まれに発生する特異的な振幅は無視するものとする。
但し、張力検出用プーリーに掛けた紐状物が捲取り速度100(rpm)までに切断した場合には、紐状物が切断したときの捲取り速度R(rpm)を求める。次いでR×0.7(rpm)の一定の捲取り速度において、前述と同様にして得られるグラフより、振幅の中央値(X)を溶融張力として採用する。
ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合、溶融張力の測定は、樹脂温度230℃とする以外はポリエチレン系樹脂の場合と同様にして測定される。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体は、柔軟性及び緩衝性に富み、機械的強度、帯電防止特性にも優れており、更に、被包装体へのナトリウムイオンの移行量が少ないことから、ナトリウムイオンの存在量が問題となる精密機器、回路基盤、ディスプレイ用ガラス基板などの緩衝材、包装材として好適に使用することができる。
特に、本発明の発泡体は、複数枚のガラス基板を積層して搬送する際の合紙として好適に使用できるものである。即ち、本発明の発泡体を介して、複数枚のガラス基板を積層し、パレット上に、或いは箱体内に配置してガラス基板搬送用包装体を形成することにより、多数のガラス基板搬を安全に保管し、搬送することができる。
前記ガラス基板搬送用包装体においては、通常、短辺の長さが35cm以上の大きさのガラス基板が本発明の発泡体を介して10枚以上重ね合わされて梱包される。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は実施例により限定されるものではない。
気泡調整剤として、ポリエチレン系樹脂80重量%に対してタルク(松村産業株式会社製商品名「ハイフィラー#12」)を20重量%配合してなる気泡調整剤マスターバッチを用いた。
以下に示すポリオレフィン系樹脂を用いた。
F102:住友化学工業株式会社製、分岐状低密度ポリエチレン「F102」(結晶化温度95℃、密度0.922g/cm、融点109℃、溶融張力172mN、MFR:0.3g/10分)
PF814:サンアロマー株式会社製、ホモポリプロピレン樹脂「PF814」(結晶化温度134℃、密度0.9g/cm、融点159℃、溶融張力230mN、MFR:3.2g/10分)
以下に示す高分子型帯電防止剤を用いた。
高分子帯電防止剤P201:三洋化成工業株式会社製、ポリエーテル−ポリプロピレンブロック共重合体を主成分とする永久帯電防止剤「ぺレスタット201」(結晶化温度88℃、融点133℃、数平均分子量14000、密度0.990g/cm、溶融粘度380Pa・s、ナトリウムイオン抽出量197ng/cm
高分子帯電防止剤P300:三洋化成工業株式会社製、ポリエーテル−ポリプロピレンブロック共重合体を主成分とする永久帯電防止剤「ぺレスタット300」(結晶化温度90℃、融点136℃、数平均分子量14000、密度0.990g/cm、溶融粘度270Pa・s、ナトリウムイオン抽出量5416ng/cm
発泡体製造用の装置として、直径150mmのシングル押出機、または直径90mmの第一押出機と直径120mmの第二押出機からなるタンデム押出機に環状ダイが取付けられたものを使用した。
実施例1
ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン樹脂「F102」に、表1に示す量の気泡調整剤マスターバッチを配合し、高分子帯電防止剤として「P201」を表1に示す量配合して、直径150mmのシングル押出機に供給し、加熱混練し樹脂溶融物とした。該樹脂溶融物に物理発泡剤としてノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%の混合ブタンを表2に示す量圧入して発泡性樹脂溶融物とし、次いで冷却して発泡性樹脂溶融物の樹脂温度を調節してから、環状ダイを通して、表2に示すブローアップ比(BUR)等の押出条件で押出して筒状発泡体を形成した。押出された筒状発泡体を円筒状の冷却装置(マンドレル)に沿わせて引き取りながら切開いて厚み0.5mmの発泡体を得た。尚、発泡性樹脂溶融物の樹脂温度は、環状ダイの金型温度(発泡温度)とダイ内の樹脂流路の間隔にて調整した。
実施例2
表1、2に示した、発泡剤の注入量、発泡温度、ダイ圧、BUR等の押出条件を代えて見掛け密度を0.083g/cmとした以外は実施例1と同様にして、厚み0.3mmの発泡体を得た。
実施例3〜5
ポリオレフィン樹脂としてポリプロピレン樹脂「PF814」を用い、更にサンアロマー株式会社製のポリオレフィン系ゴム「Q100F」を15重量%配合し、直径90mmの第一押出機と直径120mmの第二押出機からなるタンデム押出機を用い、表1、2に示す押出条件にて発泡体を得た。
比較例1
高分子帯電防止剤「P300」を8重量%配合した以外は実施例1と同様にして、厚み0.5mmの発泡体を得た。
比較例2
高分子帯電防止剤「P300」を7重量%配合し、実施例3と同様にして、厚み1.0mmの発泡体を得た。
比較例3
高分子帯電防止剤「P201」を8重量%配合し、実施例3と同様にして、厚み1.0mmの発泡体を得た。
比較例4
引取り速度/吐出量を変更した以外は実施例1と同様にして、押出発泡を試みたが発泡体を得ることができなかった。
比較例5
樹脂流路の間隔が狭い従来のタイプのダイを用い、引取/吐出量を調整すること以外は実施例1と同様にして発泡体を得た。
実施例及び比較例にて得られた発泡体の諸物性を表3に示す。
Figure 0005294369
Figure 0005294369
Figure 0005294369
なお、発泡体におけるエタノール洗浄後の表面抵抗率は次のように行なった。また、気泡形状の測定は前記した測定方法にて求めた。
<表面抵抗率の測定>
発泡体から3片切り出した試験片(縦100mm×横100mm×厚み:試験片厚み)をサンプルとした。
表中のエタノール洗浄後の表面抵抗率は、試験片を下記に示す状態調整後、直ちに23℃、50%RH環境下にて表面抵抗を測定した。その際、前述したJIS K6911(1979)の方法に準じて印加電圧500Vで印加してから1分後の表面抵抗値を採用し、得られた測定値の平均値から表面抵抗率を求めた。測定装置はタケダ理研工業株式会社製「TR8601」を用いた。
[試験片の状態調整]
超音波洗浄装置として、ブランソン社製「BRANSONIC 220」を使用した。最初に500ml用ビーカ中に500mlのエタノールを秤量し、エタノールの温度を23℃に維持した。次いで、試験片をビーカ中に金網を使用して沈めることにより純度99.5Vol%以上のエタノール中に浸漬した。その後、試験片が沈められた前記ビーカにホイルで蓋をし、23℃の水1.7リットルが入った前記超音波洗浄装置の凹状収納部へ前記ビーカを入れて静置したのち超音波洗浄装置の電源を入れて洗浄を開始した。洗浄開始から8時間が経過した後に、さらに洗浄開始から16時間経過した後に、ビーカ中のエタノールが500mlとなるように23℃のエタノールを追加する操作を行った。なお、このエタノールの追加操作は、超音波洗浄によりエタノールが揮発して当初ビーカ中に存在していた量よりも減少してしまうので、それを補充する操作である。洗浄開始から24時間経過後に、超音波洗浄装置を停止させ、ビーカ中から試験片を取り出し、直ちにこの試験片を相対湿度30%、温度30℃の雰囲気下で36時間放置して乾燥して、試験片の状態調整を完了した。

Claims (1)

  1. 帯電防止剤とポリオレフィン系樹脂と物理発泡剤とを押出機中にて、混練して発泡性ポリオレフィン系樹脂溶融物を形成し、該溶融物を押出発泡する、厚み0.2〜5mm、密度0.015〜0.5g/cm、エタノールを用いた超音波洗浄後の表面抵抗率が1×10〜1×1014Ωの発泡体の製造方法であって、該帯電防止剤は、結晶化温度が110℃以下、測定温度190℃かつ剪断速度100sec−1での溶融粘度が80〜1000Pa・s、ナトリウムイオンの抽出量が2000ng/cm以下のものであり、該帯電防止剤の配合量を10〜30重量%とし、引取速度/吐出量の値が3〜35m/kgとなる条件にてダイから押出発泡することを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
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