JP3127439U - 食品容器用蓋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連続気泡率が60%以上の吸水性発泡層と連続気泡率が30%以下の発泡層とが積層されたポリスチレン系樹脂発泡シートの前記吸水性発泡層側に防曇フィルムが積層された積層シートからなる食品容器用蓋であって、前記防曇フィルム表面から吸水性発泡層に達する開口部が形成されていることを特徴とする食品容器用蓋。
【選択図】図1
Description
炊きたての米飯を食品容器に入れ、これを保温するため直ちに蓋閉じすると、米飯から発する湯気が蓋に触れることにより結露し、蓋の内側面に水滴が付く現象が生じる。そして、この水滴が容器内の米飯上に滴下すると、米飯の風味、食味を損ねることになる。
そこで、ポリスチレン樹脂発泡シートに不織布からなる吸水シートを積層し、蓋内面側を吸水性シートとしこの吸水性シートによって水蒸気を吸着保持することが試みられたが、吸水シートに米飯が付着すると取ることが難しいという問題があった。またこのような積層体は、ポリスチレン樹脂発泡シートへの不織布の積層が難しく、リサイクルもしにくいという問題があった。
特許文献1には、50%以上の連続気泡を有するポリスチレン系樹脂発泡シートからなり、表皮層の一部が破断もしくは除去されて湿気通路が形成されていることを特徴とする容器蓋が開示されている。
特許文献2には、ポリスチレン系樹脂発泡シートと吸湿性シートと通気性フィルムとの積層シートからなる食品容器用蓋体が開示されている。
特許文献3には、吸水性樹脂を含有したポリスチレン系樹脂発泡シートからなる基体の一方の面に非発泡樹脂を積層し、基体の非積層面に複数の切り込みを設けて吸水性及び水保持性を付与したポリスチレン系樹脂発泡シート積層体が開示されている。
特許文献4には、スチレン系樹脂にスチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物およびポリオレフィン系樹脂を加えた混合樹脂100質量部に対し、界面活性剤を0.5〜5質量部含有する樹脂組成物を発泡させて得られた吸水性を有する第一発泡体と、スチレン系樹脂からなる主として独立気泡で構成された第二発泡体とが積層されてなり、密度が0.05g/cm3以上〜0.2g/cm3以下、連続気泡率が40%以上であることを特徴とする積層発泡シートが開示されている。
特許文献1に記載された容器蓋は、なお水蒸気の吸水性が不足しており、連続気泡層に達する湿気通路が形成されていない部分において、結露した水蒸気が水滴となって蓋体表面に付着し、蓋を開けた時にこの水滴が容器内の米飯上に滴下し、米飯の風味、食味を損ねるという問題があった。湿気通路の表面積を増やすことで水滴の付着面積は減らせるが、連続気泡のポリスチレン系樹脂発泡シートを基材としていることもあり蓋の強度が低下する問題がある。
特許文献2に記載の食品容器用蓋体については、吸水性シートが発泡シートと異なる材質からなる不織布であり、積層に接着剤が必要であったり、強度が不十分であったり、高コストでリサイクル性に劣る問題がある。
特許文献3に記載のシート積層体は、吸水性樹脂を含み、高コストでリサイクル性に劣る。切り込みの形状によっては表面性が悪く、表面に米飯が付着すると取りにくい。また切り込みから裂けてしまい、成形し難い問題がある。
特許文献4に記載のシートは、蓋体として用いた時に強度、美麗性が不十分であり、また発泡シート表面に米飯が付着するとやや取れにくい問題がある。
また、防曇フィルムを積層したことで、米飯等の内容物が蓋表面に付着しにくくなる。
また、蓋内面に水蒸気が結露した水滴が付着しにくくなり、蓋を開けた時に米飯等の内容物に水滴が落下せず、食味を劣化させることが少なくなる。
また、ポリスチレン系樹脂発泡シートの防曇フィルムと反対面にもフィルムを積層することで、蓋の機械強度を高めることができ、外観美麗性やデザイン性が向上する。さらに、蓋の反りが少なくなる。
図1〜図3は、本考案の食品容器用蓋の一実施形態を示す図であり、図1は食品容器用蓋1の要部側面断面図、図2は内容物7を入れた容器本体6の開口に食品容器用蓋1を被せた状態を示す要部側面断面図、図3は食品容器用蓋1の底面図である。これらの図中、符号1は食品容器用蓋、2は独立気泡性発泡層、3は吸水性発泡層、4は防曇フィルム、5は開口部、6は容器本体、7は内容物、8は水蒸気である。
吸水性発泡層3に使用される前記樹脂としては、スチレン系樹脂、スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物およびポリオレフィン系樹脂が含まれる。前記スチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体のほか、スチレンと他の単量体との共重合体およびゴム変性ポリスチレンなども挙げられる。これらのポリスチレン系樹脂はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を混合しても良い。
なお、本考案におけるメルトマスフローレイトの測定方法は下記の通りである。
JIS K 7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」B法記載の方法により測定した。
測定装置(セミオートメルトインデクサー((株)東洋精機製作所製)のシリンダーに樹脂サンプル3〜8gを充てんし、充てん棒を用いて材料を圧縮する。ポリエチレン系樹脂は、試験温度190℃、試験荷重21.18N、ポリスチレン系樹脂は、試験温度200℃、試験荷重49.03N、ポリプロピレン系樹脂は、試験温度230℃、試験荷重21.18Nでそれぞれ測定した。各測定の予熱時間は4分。試験回数は3回で、その平均値をその樹脂のメルトマスフローレイトとした。
ポリオレフィン系樹脂は、発泡体の連続気泡率を増加させる作用効果を有していると考えられるが、混練時にポリスチレン系樹脂との混ざりがよすぎると連続気泡率が増加し難くなる傾向が見られ、一方で混ざりが悪すぎると発泡体の外観が悪化する傾向となる。本考案でのポリオレフィン系樹脂の好ましいメルトマスフローレイトは、ポリエチレン系樹脂では2〜10g/10分であり、ポリプロピレン系樹脂では3〜15g/10分である。
なお、本考案におけるメルトマスフローレイトの測定方法は、既述した通りである。
独立気泡性発泡層2に使用するスチレン系樹脂も、吸水性発泡層3で使用するものと同じものが使用できる。
ポリスチレン系樹脂発泡シートの密度は、0.05〜0.2g/cm3であることが好ましい。密度が小さいと、強度が不足する。密度が大きいと、軽量性、断熱性が不足する。
発泡シート密度(単位:g/cm3)=W/V
吸水性発泡層3及び独立気泡性発泡層2の各密度は、ポリスチレン系樹脂発泡シートの単位面積当たりの質量を測定し、各発泡層の押出量の比率より各発泡層の質量を計算し、後述する各発泡層の厚みで乗じて密度を算出する。
ポリスチレン系樹脂発泡シートの連続気泡率は、40%以上であり、40〜80%であることが好ましい。40%未満では吸水性能が不足する。80%を超えると強度が不足する。50〜80%がより好ましく、50〜70%が特に好ましい。
発泡シートより、押出方向に25mm×幅方向に25mmの試験片を切りだし、試験片を厚みが25mmに最も近くなる枚数を重ね合わせ、ノギスを用いて正確に見掛け体積を測定する。次に重ね合わせた試験片を空気比較式比重計1000型(東京サイエンス(株)製)を用いて1−1/2−1気圧法により体積を測定する。各測定値から次式を用いて計算する。
連続気泡率(容量%)=(見掛け体積−空気比較式比重計での測定体積)/見掛け体積×100
これを連続気泡率で言いかえるならば、連続気泡率は30%以下であり、20%未満がより好ましく、15%未満が特に好ましい。連続気泡率が小さいほど発泡シートの強度があり、成形時の二次発泡率も大きくなり、強度のあるポリスチレン系樹脂発泡シートが得られるので好ましい。
独立気泡率=100×{空気比較式比重計での発泡体の測定体積−(発泡体の質量/樹脂の密度)}/発泡体の見掛け体積
連続気泡率=100×(発泡体の見掛け体積−空気比較式比重計での発泡体の測定体積)/発泡体の見掛け体積
なお、独立気泡率=100−(連続気泡率+樹脂分の占める比率)である。
ポリスチレン系樹脂発泡シートの厚みが、0.5〜4.0mmであり、吸水性発泡層3の厚みと、独立気泡性発泡層2の厚みの比が、吸水性発泡層3の厚み:独立気泡性発泡層2の厚み=4.0:1〜1:1であることが好ましい。0.5mm未満では、断熱性、強度が不足する。4.0mmを超えると成形性が悪くなる。0.8〜3.5mmがより好ましい。
さらに、本考案の食品容器用蓋1において、ポリスチレン系樹脂発泡シートの防曇フィルム4と反対面にもフィルムを積層してもよい。これによって、蓋の機械強度を高めることができ、外観美麗性やデザイン性が向上する。さらに、蓋の反りが少なくなる。
また、防曇フィルム4を積層したことで、米飯等の内容物が蓋に付着しにくくなる。
吸水性第一発泡体用に、ポリスチレン樹脂(東洋スチレン社製「HRM−26」メルトマスフローレイト1.5g/10分)70質量%、スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物(旭化成社製「SS9000」)15質量%、高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製 HJ560W 密度 0.968g/cm3、メルトマスフローレイト5.0g/10分)5質量%、界面活性剤として商品名エレストマスターSー520(花王社製 アルキルスルホン酸系界面活性剤20質量%含有ポリスチレン樹脂マスターバッチ)を10質量%、を含む混合樹脂組成物100質量部に対し気泡調整剤としてタルク0.4質量部((宗和化学社製、商品名「タルペット40GS」(ポリスチレン樹脂/タルク=60/40(質量%)のマスターバッチで1.0質量部))を混合した混合原料を、内径115mmの第一押出機と、内径150mmの第二押出機が連結された押出機の第一押出機のホッパーに供給した。押出機のシリンダー温度は最高230℃とし、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=70/30)3.5質量部を圧入、混練して、第二押出機にて発泡性溶融混合物を冷却し、樹脂温度を161℃に調整して、150kg/hrの押出量で合流金型に流入した。
得られたポリスチレン系樹脂発泡シートの各層は次の通りであった。
・吸水性発泡層:厚み1.9mm、密度0.063g/cm3、連続気泡率72%。
・独立気泡性発泡層:厚み1.2mm、密度0.067g/cm3、連続気泡率13%。
前記で得られたポリスチレン系樹脂発泡シートの吸水性発泡層側にポリスチレン系樹脂防曇フィルムとして、旭化成社製、商品名OPSフィルムGMグレード(MBCタイプ)厚み25μmを熱ロール温度175℃、引取りスピード10m/minにて熱ラミネートした。
この発泡シートに前記防曇フィルム面より、直径1.2mmの針により、深さ1.5mm、開口面積1.13mm2の開口部を縦9mm、横9mmの間隔で全面に形成した。そして、この発泡シートを熱成形して縦205mm、横108mm、高さ2.4mmの略矩形状の食品容器用蓋を成形した。開口部割合は1.2%であった。
ポリスチレン系樹脂防曇フィルムの代わりに、通常の厚み25μmのポリスチレン系樹脂フィルムを熱ラミネートした以外は実施例1と同様にして食品容器用蓋を作製した。
前記食品容器用蓋を被せるポリスチレン系発泡シート製の縦205mm、横108mm、高さ45mmの略矩形状容器本体に炊き立ての米飯を260g入れて、直ちに予め質量を測定した食品容器用蓋を被せた。30分放置後、蓋内面の水滴付着を目視で確認し、食品容器用蓋に付着している水ごと食品容器用蓋の質量を測定した。つぎに、食品容器用蓋表面から水分を拭き取り、食品容器用蓋の質量を測定した。
(A)蓋への付着水分量(g)=30分後、蓋に付着している水ごと蓋の質量−被せる前の蓋質量
(B)蓋吸水量(g)=蓋表面から水分を拭き取り後の蓋の質量−被せる前の蓋の質量
実施例は、(A)が1.30g、(B)が0.88g、蓋内面の水滴付着は殆どなかった。
比較例は、(A)が2.71g、(B)が0.47g、蓋内面に水滴の付着が見られた。
Claims (6)
- 連続気泡率が60%以上の吸水性発泡層と連続気泡率が30%以下の発泡層とが積層されたポリスチレン系樹脂発泡シートの前記吸水性発泡層側に防曇フィルムが積層された積層シートからなる食品容器用蓋であって、
前記防曇フィルム表面から吸水性発泡層に達する開口部が形成されていることを特徴とする食品容器用蓋。 - 前記開口部の合計面積が、蓋内面の表面積の1〜30%の割合となるように開口していることを特徴とする請求項1に記載の食品容器用蓋。
- 前記開口部の面積が0.5〜2mm2/個の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品容器用蓋。
- 前記防曇フィルムに印刷が施されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の食品容器用蓋。
- 前記防曇フィルムがポリスチレン系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の食品容器用蓋。
- 前記ポリスチレン系樹脂発泡シートの防曇フィルムと反対面にもフィルムが積層されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の食品容器用蓋。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015000743A (ja) * | 2013-06-17 | 2015-01-05 | 株式会社エフピコ | 食品包装用容器の蓋及び食品包装用容器 |
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2006
- 2006-09-21 JP JP2006007679U patent/JP3127439U/ja not_active Expired - Lifetime
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