JP3718933B2 - 電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、デジタル・ビデオ・ディスク装置(以下、DVD装置という)等の再生装置に使用して好適な電子機器に関し、特に前面パネルに電動式に開閉動作するようにした扉機構に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種、DVD装置等の電子機器においてオープン/クローズ・キーを操作することによって前面パネルからディスクが収容されるトレーが出し入れされるようにした機構が提案されている。このため、前面パネルには種々の操作キーや蛍光表示部が配置され、電子機器の操作は操作キーあるいはリモコン装置によって行われる。
【0003】
一方、別の電子機器において、オープン/クローズ・キーを操作することによって扉が前面パネルに対して下方へ垂直に開放し、この動作に連動してトレーが引き出されるようにした機構が提案されている。この場合も電子機器の操作は扉以外の前面パネルに配置した操作キーやリモコン装置によって行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した前者の電子機器では、通常頻繁に操作される操作キーと、それ以外の操作キーとが前面パネルに配置されているため、操作が煩雑化し、誤操作の原因となる。
【0005】
また、後者の電子機器では、扉は引っ張りばねにより閉止方向(上方)へ付勢されているので、扉の自重が大きくなるとその分引っ張りばねも大きなばね力が必要となり、この結果、扉の開放に大きな駆動力が必要となることとなる。
【0006】
さらに、後者の電子機器では、扉の駆動はシャーシ側に設けたアームで扉の中央部を駆動しているため、組み込み状態では駆動部分が内部に隠れた状態となり、保守,点検や製造時に手動で動作させることが困難であった。
【0007】
本発明は、上述したような課題を解消するためになされたもので、蛍光表示部及び使用頻度の高い操作キーを備えた扉が扉下部をパネル前方側に迫り出しながら下方へ開放動作し、使用頻度の低い操作キーが扉の閉止動作によって隠蔽されるようにした開閉扉を有する電子機器を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明による電子機器は、電子機器本体の前面パネルに表示部を有する開閉扉を備え、開閉扉は駆動機構により扉下部がパネル前方側に迫り出しながら下方へ開放動作し、開閉扉の開放位置ではその開閉扉と共に表示部やや上向き傾斜状態にした電子機器において、開閉扉の開閉動作は、扉上端部に備えた第1の支点軸が垂直なガイド軸受けに沿って移動する動作と、第1の支点軸の下方に備えた第2の支点軸が傾斜状のガイド軸受けに沿って移動する動作とによって行うと共に、開閉扉の開閉動作は、2つの同心円状のカム面とこのカム面の間に位置する扇形ギアを有する駆動ギアと、駆動ギアに噛合するギア部及びこのギア部に隣接して配置されると共に2つのカム面と選択的に係合し合う2つの湾曲凹面を有する連動ギアとにより駆動され、2つのカム面と2つの湾曲凹面が選択的に係合されることで連動ギアを回転不能にロックすることにより開閉扉を閉止位置及び開放位置においてロックされるように構成したものである。
【0009】
このように構成したことで、開閉扉の開放状態において表示部がユーザーの視認し易い角度となり、操作性の向上と共に前面パネルのデザイン性を高めることができる。また、開閉扉の下部がパネル前方側に迫り出しながら下方へ開放する動作を簡単な構成で確実に行うことができると共に、閉止状態及び開放状態の開閉扉を無理に開く方向あるいは閉じる方向に外力を加えても動くことはない。
【0010】
また、連動ギアが固定された軸に固定された駆動アームが、第2の支点軸と係合しながら回動することにより、開閉扉を開閉動作させるように構成した。
【0011】
また、駆動アームは連動軸の両端部に備えられ、開閉扉の両端部にある第2の支点軸をそれぞれ駆動するよう構成した。
【0012】
また、連動ギアにはリミッタばねが挿入され、リミッタばねの両端部で軸に設けられた作動片を挟み付けるようにすることにより、開閉扉が閉止位置及び開放位置においてそれぞれの方向にばね付勢されるよう構成した。これによって、閉止状態及び開放状態の開閉扉のガタ付きを回避することができる。
【0013】
また、開閉扉に扉自重と釣り合うばね部材を備えた。これによって、開閉動作する開閉扉の自重とばね部材のばね力とが常に釣り合い、小さな駆動力で扉の開閉動作を行うことができる。
【0014】
また、開閉扉の閉止によって隠蔽される部分に操作キーを備えようにした。これによって、開閉扉の閉止状態では使用頻度の高い操作キーのみが外観上存在するだけであるため、操作が煩雑になることもなく誤操作を防止することができる。
【0015】
また、第1の支点軸の固定手段として、支点軸の圧入軸部にバリ状の突起を形成し、圧入軸部を扉上部に形成した圧入溝内壁に食い込ませて圧入固定するようにした。これによって、扉側の圧入溝に成形上の寸法交差が発生するような場合であっても支点軸を作業性よく確実に取り付けることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による電子機器をDVD装置の開閉扉に適用した実施例を例にとって図面を参照して説明する。
【0017】
図1はDVD装置の全体の外観斜視図である。符号1が装置本体部、2が前面パネルであり、前面パネル2にはほぼ全幅に亘って開閉扉3が配置されている。図1では開閉扉3は開放状態を示し、開放扉3の開放動作に連動してDVD又はCD等のディスクが収容される仮想線で示したトレー4が前面パネル2の一側部から電動式に引き出されるようになっている。
【0018】
開閉扉3には蛍光表示部5及びDVD装置の操作上、使用頻度の高い操作キー6が配置されている。この操作キー6は一例としてオン状態においてキー自体が発光する方式である。また、符号7は前面パネル2に配置され開閉扉3の開閉動作に連動してトレー4を出し入れ操作するためのオープン/クローズ・キー、8はトレー4が収納された状態で開閉扉3のみをオープン/クローズさせるスイッチ、9は電源キーである。尚、開閉扉3の内面側の前面パネルには使用頻度の低い操作キー群10が配置され、開閉扉3の開放状態において操作可能であるが、開閉扉3の閉止状態においては隠蔽されるようになっている。
【0019】
さて、上述した開閉扉3は扉駆動機構によって特殊な開放軌跡動作が行われる。すなわち、開閉扉3は前面パネル2に対して扉下部がパネル前方側へ迫り出しながら下方へ開放動作し、開閉扉3の開放完了位置では当該扉と共に蛍光表示部5がやや上向き傾斜状態になるようにされている。
【0020】
図2に開閉扉3が構成される扉機構11の構成部材を分離した状態の斜視図を示す。扉機構11は上述した前面パネル2及び開閉扉3とパネル本体部12から構成されている。
【0021】
前面パネル2はアルミ等の金属材の射出成形材から構成され、開閉扉3の前面側に配置され、中央部に開閉扉3が対応する開口部13を有する。開閉扉3はアルミ等の金属材の押出成形材から構成され、その裏面に蛍光表示部5や操作キー6の配線基板(図示せず)が組付けられている。また、パネル本体部12は開閉扉3の後方側に配置され、このパネル本体部12に左右一対のブロック部材14,15を介して開閉扉3が支承される。尚、両ブロック部材14,15はそれぞれの上下両端の支持部14a,14b及び15a,15bがパネル本体部12のそれぞれの取付部12a,12bにねじ固定される。
【0022】
一方、開閉扉3の上端部には左右両側面に突出するようにして第1の支点軸16,16が取り付けられている。この第1の支点軸16の取り付け構造については後述する。
【0023】
この第1の支点軸16,16の下方にアーム部材17(図3参照)を介して第2の支点軸18,18(図2では一方のみが見えている)が当該支点軸16と並行に支持されている。
【0024】
第1及び第2の支点軸16,18は図3に拡大して示した一方のブロック部材14について説明すると、第1の支点軸16はブロック部材14に形成した垂直ガイド孔19に挿入され、第2の支点軸18は同じくブロック部材14に形成した傾斜カム溝20に係合される。さらに詳しく説明すると、ブロック部材14内にはスライダー21が組み込まれる。スライダー21はその上部に延出した受け部22が垂直ガイド孔19に沿って上下に移動可能にされ、引っ張りコイルばね23により引き上げ方向にばね付勢される。そして、スライダー21の受け部22上に第1の支点軸16が乗架する。
【0025】
次に、開閉扉3の駆動機構を図3に示した分離状態の斜視図及び図4に示した組み立て状態を参照して説明する。
【0026】
ブロック部材14から一体化されて延びるフレーム14cに形成した軸受部24には全周にギアを有する駆動ギア25が軸ピン26によって回転可能に支持されている。この駆動ギア25は前面側にほぼ180°の位相で一体成形された2つの同心円状のカム面27a,27bと、両カム面27a,27bの間に位置する前面側に一体成形された扇形ギア28とを有する。
【0027】
一方、ブロック部材14の軸受部29には連動軸30の端部に備えた受け軸31が支持される。この受け軸31は連動軸30の両端部に備え、図2に示したブロック部材14の軸受部29にも支持される。そして、両受け軸31,31の端部に備えた二股状の駆動アーム30a,30aを上述した第2の支点軸18,18に係合させている。尚、軸受部29は半円状の軸受け形状であり、この軸受部29に連動軸30の受け軸31を側方から挿入したあと、開口部を図示しない軸受け板で押さえるようにされる。
【0028】
さて、一方の受け軸31の軸端31aには連動ギア32が回動可能に支持され、軸ピン33により抜け止めされる。連動ギア32は部分ギアからなるギア部32aを有しており、このギア部32と隣接する円周部には上述した駆動ギア25のカム面27a,27bと係合し合う湾曲凹面34a,34bが形成されている。連動ギア32のギア部32反対側に位置する周面は凹面状に切り欠かれた凹欠部35として形成されている。
【0029】
また、連動ギア32内にはリミッタばね36が挿入されている。このリミッタばね36のばね端部36a,36bは凹欠部35側に突出させ、両ばね端部36a,36bで上述した受け軸31から凹欠部35上に延出した作動片37を挟み付けるようにしている。つまり、連動ギア32はリミッタばね36を介在して受け軸31と一体に回転するようになっている。
【0030】
符号38が駆動ギア25を駆動するためのモータ機構であり、モータ39と減速ギア群40、41、42がシャーシ43に支持されている。そして、減速ギア42の出力ギア42aが駆動ギア25に噛み合わされる。また、減速ギア42の中心軸端44がブロック部材14に形成した軸受部45に緩衝ゴム材46を介して軸受けされる。モータ機構38のシャーシ43はパネル本体部12(図2参照)に緩衝ゴム材47を介してねじ固定される。
【0031】
尚、符号48はブロック部材14に支持されたセンサー基板であり、この基板48に取り付けられたセンサー49,50により駆動ギア25の回転位置を検出するようにしている。
【0032】
次に、図4〜図8を参照して開閉扉3の開閉動作について説明する。
図4は開閉扉3が閉止している動作位置である。この状態では駆動ギア25の一方のカム面27aに連動ギア32の湾曲凹面34aが面係合されていることで、連動ギア32が回転不能にロックされている状態となる。また、同時に駆動ギア25が反時計回り方向への回動付勢力が生じているので、連動ギア32はカム面27aによって時計回り方向へ所定角度範囲回動付勢されていることで、リミッタばね36がストロークS分、ばね力が発生する方向へ押し開かれる。これによって、開閉扉3は閉止位置で固定されるロック動作機能と共に、リミッタばね36のばね力により扉閉止方向へ付勢されているリミッタ動作機能とが生じている。すなわち、開閉扉3の閉止状態においては、扉を無理に開放しようとする外力を加えてもロック動作機能によって動くことはなく、またリミッタ動作機能によって閉止状態の開閉扉3がガタ付くことなく保持される。
【0033】
かくして、図示しないモータ機構38によって駆動ギア25が時計回り方向へ回動されると、まず、駆動ギア25のカム面27aによる連動ギア32の回動付勢力が開放され、図5に示すようにリミッタばね36のばね力が解除され開閉扉3の閉止方向への付勢力が解放される。さらに、駆動ギア25が時計回り方向へ回動されることで、扇形ギア28が連動ギア32のギア部分に噛み合い、連動ギア32が反時計回り方向へ回動し始める。この連動ギア32の回動に連動してリミッタばね36を介して駆動アーム30aが回動し開閉扉3の第2の支点軸18が移動動作される。この第2の支点軸18は傾斜カム溝20に沿って移動されるため、図6に示すように開閉扉3はまず、第1の支点軸16を中心として扉下部側が前面パネル2の前方側に迫り出す。この際、開閉扉3はその左右両側部に設けた2つの第2の支点軸18が連動軸30の2つの連動アーム30a,30aによって同位相で回動されるようにしているため、開閉扉3の幅長さが長い場合であっても円滑に開放動作させることができる。
【0034】
さらに、連動ギア32の回転により第2の支点軸18が傾斜カム溝20に沿って下方へ移動し始める動作に連動して第1の支点軸16が垂直ガイド孔19に沿って引っ張りコイルばね23のばね力に抗してスライダー21を押し下げながら移動し、これによって、図7に示すように開閉扉3は下方へ開放する。すなわち、開閉扉3の一連の開放動作は扉下部側が前方側へ迫り出した姿勢を保持しながら扉全体が下方へ移動する動作が行なわれる。そして、開放完了位置では扉と共に蛍光表示部がやや上向き傾斜状態となる。このことによって、開閉扉3の蛍光表示部5がユーザーの視認し易い角度となり操作性を向上することができる。
【0035】
また、開閉扉3の開放状態では引っ張りコイルばね23にばね力が生じた状態となり、当該ばね23に生じるばね力と開閉扉3の自重とが釣り合うようにばね係数を設定している。このように構成することで開閉扉3の開放動作を小さな駆動力で行うことができるので、モータ39は小型のもので済む。
【0036】
開閉扉3の開放が完了された図7の動作状態では駆動ギア25の扇形ギア28は連動ギア32から外れると同時に、駆動ギア25のカム面27bが連動ギア32の湾曲凹面34bに係合し始める。
【0037】
この図7の動作状態から駆動ギア25がさらに回動することで、図8に示すようにカム面27bが連動ギア32の湾曲凹面34bに完全に係合して連動ギア32が回転不能にロックされる状態となる。また、同時に駆動ギア25が時計回り方向へ回動付勢力が生じ、連動ギア32はカム面27bによって反時計回り方向へ所定角度範囲回動付勢されるので、リミッタばね36がストロークS分、ばね力が発生する方向へ押し開かれる。これによって、開閉扉3は開放位置で固定されるロック動作機能と共に、リミッタばね36のばね力により扉開放方向へ付勢されているリミッタ動作機能とが生じる。すなわち、開閉扉3の開放状態において、扉を無理に閉止しようとする外力を加えてもロック動作機能によって動くことはなく、またリミッタ動作機能によって開放状態の開閉扉3がガタ付くことなく保持されることになる。
【0038】
尚、駆動ギア25が図8に示した位置まで回動した時点で、その回動位置がセンサー49によって検出されモータ39は停止される。
【0039】
開閉扉3の閉止動作については上述した動作の逆の動作が行われるもので、すなわち、駆動ギア25が反時計回り方向に回動することで、まず、リミッタばね36が解除されたあと、開閉扉3が上動して最終的に図4に示すように閉止されリミッタばね36が機能する。この際、開閉扉3はその自重に逆らって上動するが、引っ張りコイルばね23のばね力が開閉扉3の自重と釣り合っているので、開閉扉3の閉止動作も小さな駆動力で済むことになる。
【0040】
また、駆動ギア25が図4に示した位置まで回動した時点で、その回動位置がセンサー50によって検出されモータ39は停止される。
【0041】
このように上述した開閉扉3の開放動作は扉下部が前面パネル2に対して迫り出しながら下方へ開放する方式であり、しかも、開閉扉3の開放完了位置において扉がやや上向き傾斜状態となるため、蛍光表示部5や操作キー6がユーザーの視認し易い角度となり操作性を向上することができると共に、開閉扉3の駆動機構の構成も極めてシンプルとなる。特に、開閉扉3の開閉動作も小さな駆動力で可能となるため、扉の開放時において扉とテーブル等の間に指等が挟まれたり、あるいは扉の閉止時において扉とパネル2の間に指等が挟まれたりした場合でも怪我等が生じることもなく安全生の高い扉開閉機構となる。
【0042】
また、扉の駆動機構が本体部1内において露出する位置に配置することができるので、保守,点検や製造時において駆動機構を手動で操作して開閉扉3の開閉動作を行うことができる。
【0043】
ここで、前述に説明した開閉扉3の第1の支点軸16の取り付けの詳細を図9及び図10について説明する。開閉扉3はアルミ等の金属材の押出成形されたフレームから構成され、このフレームの側端部に蟻溝状の圧入溝51が形成されている。第1の支点軸16もアルミ等の金属材から構成され、これと一体にダイキャスト成形された軸支持部52に圧入溝51内にほぼ形状一致して圧入される圧入軸部53が設けられている。そして、この圧入軸部53の4つのコーナー部分にバリ状の短い突起53aが形成されている。
【0044】
すなわち、第1の支点軸16の圧入軸部53を圧入溝51内に圧入し挿入することで、圧入軸部53の突起53aと圧入溝51の内壁との相互で食い込み合い固く結合させることができる。このような結合構成を採用することによって、圧入溝51の形状の寸法精度が異なる場合であっても、二次加工を必要とすることなく支点軸16を作業性よく取り付けを行うことかできる。
【0045】
本発明は、上述しかつ図面に示した実施例に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0046】
実施例ではDVD装置の開閉扉に適用した場合について説明したが、その他、CD(コンパクトディスク)やLD(レーザーディスク)等の再生装置、あるいはテープカセットが適用されるVTR装置等の電子機器の開閉扉に広く適用可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の電子機器は、電子機器本体の前面パネルに表示部を有する開閉扉を備え、開閉扉は駆動機構により扉下部がパネル前方側に迫り出しながら下方へ開放動作し、開閉扉の開放位置では当該扉と共に表示部がやや上向き傾斜状態になるようにしたことで、開閉扉の開放状態において表示部がユーザーの視認し易い角度となり、操作性の向上と共に前面パネルのデザイン性を高めることができる。
【0048】
また、開閉扉の開閉動作は扉上端部に備えた第1の支点軸が垂直なガイド軸受けに沿って移動する動作と、第1の支点軸の下方に備えた第2の支点軸が傾斜状のガイド軸受けに沿って移動する動作とによって行えるようにしたので、扉下部がパネル前方側に迫り出しながら下方へ開放する動作をシンプルな構成で確実に行うことができる。
【0049】
また、開閉扉の開閉動作は、2つの同心円状のカム面とこのカム面の間に位置する扇形ギアを有する駆動ギアと、駆動ギアに噛合するギア部及びこのギア部に隣接して配置されると共に2つのカム面と選択的に係合し合う2つの湾曲凹面を有する連動ギアとにより駆動され、2つのカム面と2つの湾曲凹面が選択的に係合されることで連動ギアを回転不能にロックすることにより開閉扉を閉止位置及び開放位置においてロックされるように構成したので、閉止状態及び開放状態の開閉扉を無理に開く方向あるいは閉じる方向に外力を加えても扉の動きを防止することができる。
【0050】
また、開閉扉が閉止位置及び開放位置においてそれぞれの方向にばね付勢するリミッタ機構を備え、そのリミッタ機構は、連動ギアにリミッタばねを挿入し、そのリミッタばねの両端部で軸に設けられた作動片を挟み付けるように構成したので、閉止状態及び開放状態の開閉扉のガタ付きを防止し信頼性の高い開閉扉となる。
【0051】
また、開閉扉に扉自重と釣り合うばね部材を備えたことによって、小さな駆動力で扉の開閉動作を行うことができる。
【0052】
また、開閉扉の閉止によって隠蔽される部分に操作キーを設けるようにしたので、開閉扉の閉止状態では使用頻度の高い操作キーのみが外観上存在するだけであるため、操作が煩雑になることもなく誤操作を防止することができる。
【0053】
また、第1の支点軸の固定手段として、支点軸の圧入軸部にバリ状の突起を形成し、圧入軸部を扉上部に形成した圧入溝内壁に食い込ませて圧入固定するようにしたので、扉側の圧入溝に成形上の寸法精度が異なる場合であっても二次加工を必要とすることなく支点軸を作業性よく確実に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子機器における前面パネルの扉開放状態の外観斜視図である。
【図2】同じく扉機構の分離状態の斜視図である。
【図3】開閉扉の駆動機構の分離状態の斜視図である。
【図4】開閉扉の閉止位置の動作図である。
【図5】同じく開閉扉の閉止時におけるリミッタばね開放状態の動作図である。
【図6】開閉扉の開放始めの動作図である。
【図7】開閉扉の開放時におけるリミッタばね開放状態の動作図である。
【図8】開閉扉の開放位置の動作図である。
【図9】開閉扉と第1の支点軸との分離状態の斜視図である。
【図10】第1の支点軸の圧入支持状態の側面図である。
【符号の説明】
2 前面パネル、3 開閉扉、5 蛍光表示部、6 操作キー、11 扉機構、12 パネル本体部、14,15 ブロック部材、16 第1の支点軸、18第2の支点軸、19 垂直ガイド孔、20 傾斜カム溝、21 スライダー、23 引っ張りコイルばね、25 駆動ギア、27a,27b カム面、28 扇形ギア、30 連動軸、32 連動ギア、34a,34b 湾曲凹面、36 リミッタばね、37 作動片、38 モータ機構、39 モータ、51 圧入溝、53 圧入軸部、53a バリ状の突起

Claims (8)

  1. 電子機器本体の前面パネルに表示部を有する開閉扉を備え、上記開閉扉は駆動機構により扉下部がパネル前方側に迫り出しながら下方へ開放動作し、上記開閉扉の開放位置では当該開閉扉と共に上記表示部やや上向き傾斜状態にした電子機器において、
    上記開閉扉の開閉動作は、扉上端部に備えた第1の支点軸が垂直なガイド軸受けに沿って移動する動作と、上記第1の支点軸の下方に備えた第2の支点軸が傾斜状のガイド軸受けに沿って移動する動作とによって行うと共に、
    上記開閉扉の開閉動作は、2つの同心円状のカム面と上記カム面の間に位置する扇形ギアを有する駆動ギアと、上記駆動ギアに噛合するギア部及び当該ギア部に隣接して配置されると共に2つの上記カム面と選択的に係合し合う2つの湾曲凹面を有する連動ギアとにより駆動され、上記2つのカム面と上記2つの湾曲凹面が選択的に係合されることで上記連動ギアを回転不能にロックすることにより上記開閉扉を閉止位置及び開放位置においてロックされるように構成したことを特徴とする電子機器。
  2. 請求項1記載の電子機器において、
    上記連動ギアが固定された軸に固定された駆動アームが、上記第2の支点軸と係合しながら回動することにより、上記開閉扉を開閉動作させるように構成したことを特徴とする電子機器。
  3. 請求項記載の電子機器において、
    上記駆動アームは連動軸の両端部に備えられ、上記開閉扉の両端部にある上記第2の支点軸をそれぞれ駆動するよう構成したことを特徴とする電子機器。
  4. 請求項記載の電子機器において、
    上記連動ギアにはリミッタばねが挿入され、上記リミッタばねの両端部で上記軸に設けられた作動片を挟み付けるようにすることにより、上記開閉扉が閉止位置及び開放位置においてそれぞれの方向にばね付勢されるよう構成したことを特徴とする電子機器。
  5. 請求項1記載の電子機器において、
    上記開閉扉に扉自重と釣り合うばね部材を備えたことを特徴とする電子機器。
  6. 請求項1記載の電子機器において、
    上記開閉扉の閉止によって隠蔽される部分に操作キーを備えていることを特徴とする電子機器。
  7. 請求項記載の電子機器において、
    上記第1の支点軸の固定手段として、支点軸の圧入軸部にバリ状の突起を形成し、上記圧入軸部を上記扉上部に形成した圧入溝内壁に食い込ませて圧入固定することを特徴とする電子機器。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器において、
    デジタル・ビデオ・ディスク装置に適用したことを特徴とする電子機器。
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