JP3718298B2

JP3718298B2 - ヒンジ装置

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Publication number: JP3718298B2
Application number: JP25566296A
Authority: JP
Inventors: ウィー・ミン・スロー; シィン・ヨー・フーン; ベン・ホン・カン
Original assignee: Hewlett Packard Co
Current assignee: HP Inc
Priority date: 1995-09-28
Filing date: 1996-09-27
Publication date: 2005-11-24
Anticipated expiration: 2016-09-27
Also published as: US5666694A; GB9617345D0; JPH09130058A; GB2305689B; DE19618325C2; GB2305689A; DE19618325A1

Description

【０００１】
【産業上の技術分野】
本発明は、一般にヒンジ装置に関し、さらに詳細には、カバー・パネルを二枚貝状の装置内の底部パネルに対して選択的に旋回させるように動作する第１のヒンジと第２のヒンジと有するヒンジ装置に関する。本発明は、用途は広いが、以下では本発明についてハンドヘルド・コンピュータ手帳(handheld computer organizer)、すなわち特定の用途が示された装置という文脈で説明する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、コンピュータ手帳に対する要望、さらに詳細にはデスクトップ・コンピュータにもまた紙及びペンにも似た特徴を有するハンドヘルド・コンピュータ手帳に対する要望が高まっている。一般に、これらのコンピュータ手帳はキーボード及びディスプレイ・スクリーンを含む。ディスプレイ・スクリーンは、ユーザがそれによってディスプレイ・スクリーン上に絵を描くことができるペン状のスタイラスからの入力を受容するように構成されている。そのようなコンピュータ手帳は二枚貝状、つまり装置を開いたり閉じたりするために、底部パネルと、底部パネルに対して旋回するカバー・パネルと含む装置の形で実現されることが多い。一般に、底部パネルはキーボードを画定する。一般に、カバー・パネルはディスプレイ・スクリーンを画定する。従って、一つのコンピュータ手帳は、（キーボードとディスプレイ・スクリーンの両方を使用する）デスクトップ・コンピュータとしても、あるいはスタイラスを使用してその上に絵を描くことができる（ディスプレイ・スクリーンのみを使用する）ノート・パッドとしても動作させることができる。
【０００３】
従って、ハンドヘルド・コンピュータ手帳は、ユーザがディスプレイ・スクリーンとキーボードの両方にアクセスできる「横位置」でも、あるいはカバー・パネルがディスプレイ・スクリーンのみを露出させるために底部パネルに対して折り返される「縦位置」でも使用できるように構成されることが最適である。同様に、底部パネルとカバー・パネルは反対向きに折り畳むことができる、完全に開いたり閉じたりできる二枚貝状の装置を提供する。これには、カバー・パネルが底部パネルに対して３６０°の運動にわたって旋回する必要がある。この仕事は、底部パネルとカバー・パネルの厚さによって困難になることが多い。今までのところ、そのような旋回は、多くのユーザ操作を必要とする複雑なリンケージ装置を使用して達成されていた。一般に、これらの装置ではヒンジが使用されていた。そのようなヒンジは、カバー・パネルの全範囲の運動を達成するためにヒンジ位置を調整する必要のあるスロット内に格納されることが多い。他の装置では、カバー・パネルが多軸ヒンジ・アレイによって底部パネルにリンクされるリンケージ装置が使用されていた。しかしながら、そのような装置ではまた、さらに過度に複雑なヒンジ操作が必要であり、これらのヒンジが互いに独立して動作するために、装置の開閉が困難であった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
複雑なユーザ操作を必要とせずに二枚貝状の装置の開閉を制御できるリンケージ装置が必要である。従って、あるヒンジから他のヒンジへの旋回動作の制御された受け渡しが達成されるところの、第１のヒンジと第２のヒンジと有するヒンジ装置を提供することが望ましい。さらに具体的には、どの時点でもそのようなヒンジのうちの少なくとも１つのヒンジの旋回が自動的に規制されるところの第１と第２の互いに離間したヒンジを有する多軸ヒンジ装置を提供することが望ましい。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明では、それぞれ異なるトルクを加えると動作できる第１のヒンジと第２のヒンジを有するヒンジ装置を提供することによって上述の問題に対処する。第１のヒンジは、第１のトルクを加えると第１の運動の範囲にわたってこの構造を旋回させるように動作する。第１の範囲を越えると、第１のヒンジは比較的大きい規制力によって妨害される。第２のヒンジは、第１のトルクよりも大きいがこの規制力に打ち勝つには不十分な第２のトルクを加えると動作する。第２のトルクを加えると、この構造は第２の運動の範囲にわたって旋回できる。一般に、第２の範囲の運動は第１の範囲の運動の後に起こる。従って、ヒンジは、二枚貝状の装置の第１のパネルと第２のパネル（または構造）を旋回可能に結合するように協働的に動作する。
【０００６】
ヒンジは、好ましくは一対の互いに離間した旋回軸を画定する中間リンケージ要素上に取り付けられる。第１のヒンジは、第１のパネルをリンケージ要素に旋回可能に結合して第１のヒンジ軸を画定し、第２のヒンジは、第２の構造をリンケージ要素に旋回可能に結合して第２のヒンジ軸を画定する。ヒンジを動作させるのに必要なトルクが異なるために、第１のヒンジの動作中においては第２のヒンジは固定され、第２のヒンジの動作中においては第１のヒンジは固定されることが理解できよう。従って、リンケージ要素は、第１のヒンジの動作中においては第２のパネルに対して固定され、第２のヒンジの動作中においては第１のパネルに対して固定される。これにより、リンケージ要素を手動で調整する必要なしに、第１のパネルの第２のパネルに対する実質上３６０°の回転にわたる旋回を制御できる。
【０００７】
本発明のこれら及び追加の目的及び利点は、図面及び以下の詳細な説明を考察すればより容易に理解できよう。
【０００８】
【実施例】
図１に、底部パネル１２とカバー・パネル１４と有するハンドヘルド・コンピュータ手帳を１０で示す。図のように、底部パネル１２は、当分野で周知のタイプの標準のコンピュータ・キーボードに従って構成されたキーボード１２ａを画定する。また、底部パネルは、一般にペンの形をとるスタイラス１６を受容するように構成されたキャビティ１２ｂを画定する。カバー・パネル１４は、ユーザがそれによってディスプレイ・スクリーン上に絵を描くことができるペン状のスタイラスからの入力を受容するように構成されたディスプレイ・スクリーン１４ａを画定することに留意されたい。
【０００９】
コンピュータ手帳１０は、キーボードかディスプレイ・スクリーンまたはその両方を使用してデータを入力したり検索したりできる様々な構成において有用である。従って、コンピュータ手帳は二枚貝状の装置の形、つまり装置を開いたり閉じたりするためにカバー・パネルと底部パネルとが互いに旋回する装置の形で実現される。例えば、図２の（Ａ）ないし（Ｃ）は、カバー・パネルの完全に閉じた角度（図２の（Ａ））から完全に開いた角度（図２の（Ｃ））への旋回を示す。種々の中間的な角度が点線で示されている。これは、以下に説明する方法で底部パネルとカバー・パネルを旋回可能に結合するヒンジ装置１８によって達成される。
【００１０】
図１に示すように、ヒンジ装置１８は、装置の開閉を可能にするために底部パネルとカバー・パネルを一対のヒンジを介して結合するリンケージ要素２０を含む。第１のヒンジ３０は、リンケージ要素をカバー・パネルに旋回可能に結合して第１のヒンジ軸Ａを画定する。第２のヒンジ４０は、リンケージ要素を底部パネルに旋回可能に結合して第２のヒンジ軸Ｂを画定する。２つのヒンジ軸は、カバー・パネルの底部パネルに対する実質上３６０°の回転にわたる旋回に適合するように互いに離れている。
【００１１】
図２の（Ａ）ないし（Ｃ）を参照すると、カバー・パネル１４は、第１のヒンジと第２のヒンジの両方を使用して底部パネル１２に対して旋回するが、第１のヒンジはカバー・パネルの第１の範囲の運動中にのみ動作し、第２のヒンジはカバー・パネルの第２の範囲の運動中にのみ動作することが理解できよう。装置を開くと、第２の範囲の運動は第１の範囲の運動の直後に起こる。これは、どの時点においても、第１のヒンジと第２のヒンジのうちの少なくとも１つのヒンジの動きが規制されることを意味する。従って、第１のヒンジと第２のヒンジの一方だけが一度に動作する。第１のヒンジ及び第２のヒンジという用語は本願では単一のヒンジと単一のヒンジ軸を画定する一連のヒンジのいずれをも表わすために概括的に使用されていることが、当業者にはもちろん理解できよう。
【００１２】
装置を開くには、リンケージ要素２０が底部パネル１２に対して固定されたまま、カバー・パネル１４を最初に第１のヒンジ３０を介して第１の軸Ａのまわりで旋回させる。ユーザがコンピュータ手帳をデスクトップ・コンピュータとして使用したい場合、カバー・パネルを１４’に示される「横位置角度」まで旋回させる。ユーザがコンピュータ手帳をノート・パッドとして使用したい場合、矢印５０によって示されるように第１の運動の全範囲にわたって旋回を続行する。所定の半開き角度に達すると（図２の（Ｂ））、カバー・パネル１４は、リンケージ要素２０に係合して、カバー・パネルが第１の軸Ａのまわりでそれ以上旋回するのを妨害する。図示の実施形態では、カバー・パネル外表面５２はリンケージ要素外表面５４と係合する。面５４はハード・ストップとして働く。これにより、カバー・パネルの第１の運動の範囲に対する限界が旋回角θ1で実効的に画定される。他方の限界は、装置が完全に閉じている場合、旋回角０度で画定される。その後、リンケージ要素とカバー・パネルはともに（図２の（Ｃ）の矢印６０によって示されるように）第２の軸Ｂのまわりで旋回する。カバー・パネルとリンケージ要素は、カバー・パネルが底部パネルに対して折り返される「横位置角度」まで第２の運動の全範囲にわたって旋回する。第２の運動の範囲の一方の限界は、図２（Ｃ）の１４”に示されるように第１の運動の範囲の限界に対応する。他方の限界は、図２の（Ｃ）に示されるように、カバー・パネルが底部パネルと係合する、完全に開いた角度である。従って、カバー・パネルは底部パネルに対して角度θ2まで旋回することが理解できよう。ここでθ2は実質上３６０°の回転にわたる旋回を表わす。従って、装置をひっくり返して、ディスプレイ・スクリーンをノート・パッドとして使用することができる。
【００１３】
従って、装置を図２の（Ｃ）の完全に開いた角度から閉じる場合、カバー・パネル１４を最初にリンケージ要素とともに前に識別した第２の運動の範囲にわたって第２の軸Ｂのまわりで旋回させる。半開き角度に達すると、リンケージ要素は自動的に適所にロックされて、それがもっと旋回するのを防ぐ。しかし、カバー・パネルは、図２の（Ａ）に示される完全に閉じた角度に達するまで、前に識別した第１の運動の範囲にわたって第１の軸Ａのまわりを引き続き旋回する。従って、第１のヒンジ３０は、カバー・パネルが第１の運動の範囲内で旋回している間に動作でき、第２のヒンジ４０はカバー・パネルが第２の運動の範囲内で旋回している間に動作できることが理解できよう。これは、第１のトルクＴ1を受けたとき動作できる第１のヒンジと、第１のトルクＴ1よりも大きい第２のトルクＴ2を受けたとき動作できる第２のヒンジという、異なるトルク特性を有する複数のヒンジを使用することによって達成される。
【００１４】
ヒンジ装置の動作について、ヒンジ装置１８の分解等角図を示す図３、及びアセンブルされたヒンジ装置を詳細に示す図４を参照してより完全に説明する。図のように、リンケージ要素２０は２部片構成になっている。そのような部片は結合して第１のヒンジ３０と第２のヒンジ４０を捕獲し、それによってコンピュータ手帳のなめらかな開閉が達成できる協働的ヒンジ装置を画定する。リンケージ要素は、それぞれ他方と結合するように特別に構成された背面部片２０ａと前面部片２０ｂを含む。例えば、背面部片２０は、前面部片の上側ソケット部位２２ｂ及び下側ソケット部位２４ｂと結合して上側ヒンジ・ソケット及び下側ヒンジ・ソケットを提供する上側ソケット部位２２ａ及び下側ソケット部位２４ａを含む。上側ヒンジ・ソケットには第１のヒンジ３０が着座し、下側ヒンジ・ソケットには第２のヒンジ４０が着座する。
【００１５】
各ヒンジ・ソケットは、そのヒンジが対応するヒンジ軸のまわりを旋回できるように構成されているが、下側ヒンジ・ソケットはまた、それによって第２のヒンジの旋回動作が妨害されるロッキング機構も画定する。従って、下側ソケット部位２４ａは床２６ａを有する第１の切欠きを画定し、下側ソケット部位２４ｂは床２６ｂを有する第２の切欠きを画定することが理解できよう。第１の切欠きは対向する側壁２５ａ、２７ａを有する。同様に、第２の切欠きは対向する側壁２５ｂ、２７ｂを有する。一般に、側壁２７ａ、２７ｂはそれぞれの切欠き床に垂直である。側壁２５ａ、２５ｂは、以下に説明するように、対応するカム式ロッキング・タブとカム式係合できるようにそれぞれの切欠き床に対して鈍角をなす。
【００１６】
次に、第１のヒンジ３０を参照すると、そのようなヒンジはハウジング３４内に取り付けられたシャフト３２を含むことが分かる。ハウジング３４は、実質的に一定の摩擦力でシャフト３２の旋回を妨害する摩擦ブッシング（図示せず）を含む。従って、シャフト３２は、摩擦ブッシングの妨害に打ち勝つ対応する第１のトルクＴ1を受けたときにのみハウジング３４内で回転できる。一般に、シャフト３２は約１１．２〜１６．０ニュートンミリメートルの第１のトルクＴ1の下で回転する。
【００１７】
シャフト３２は、シャフト３２をカバー・パネル１２に対して実効的に固定するカバー・パネル１４（図４）のスロット１４ｂ内に受容されるように構成されたタブ３２ａを含む。ハウジング３４は、リンケージ要素背面部片２０ａの対応するスロット２３内で受容されるように構成されたタブ３４ａを含む。これにより、ハウジング３４がリンケージ要素２０に対して実効的に固定される。第１のヒンジ３０は、トルクＴ1を加えると、カバー・パネルをリンケージ要素に対して第１の運動の範囲にわたって旋回させるように動作する。しかし、リンケージ要素は、公称上、第２のヒンジ４０のロッキング機構を解放できる（第１のトルクＴ1よりも大きい）第２のトルクＴ2を加えるまで底部パネルに対して固定される。従って、公称上、カバー・パネルは、完全に閉じた角度（図２の（Ａ））及び半開き角度（図２の（Ｂ））によって両端が画定された第１の運動の範囲にわたって底部パネルに対して旋回する。一般に、トルクＴ2は、第１の運動の範囲内にいる間で、第１のトルクＴ1の下で旋回が達成できる場合は印加されない。
【００１８】
次に、第２のヒンジ４０を参照すると、第２のヒンジは、カバー・パネル１２（図４）のスロット１２ｃ内に着座するタブ４２ｂを有するピントル４２を含むことが分かる。これにより、ピントルが底部パネルに対して実効的に固定される。ピントル４２はまた、下側ソケット部位２４ａ、２４ｂによって画定されたソケット内に着座する。しかし、そのような着座は、第２のトルクＴ2を加えるとリンケージ要素が底部パネルに対して旋回できるように、解放可能にロックされる。ピントルは、リンケージ要素の環状リブ（その一部が２８ａで示されている）を介してソケット内に取り付けられる。そのようなリブは、ピントル４２の対応する環状チャネル４８内にぴったり入り込むように構成されている。ヘリカル・スプリング４４が、固定されたワッシャ４４ａと関係する浮動ワッシャ４４ｂとの間でピントルに沿って延びる。ワッシャ４４ｂは、環状チャネル４８の一方の壁を画定する。他方の壁は、ピントル４２の境界によって画定される。従って、チャネルは、ヘリカル・スプリング４４のバイアスに打ち勝ったときに変化できる（すなわち広くなる）。
【００１９】
ピントル４２はまた、リンケージ要素２０の対応する切欠き内に密着してはまる一対のカム式ロッキング・タブ４６ａ、４６ｂがそこから延びるヘッド４３を含む。ロッキング・タブ４６ａ、４６ｂは、第２のヒンジを異なる視点から示す図３中の（Ａ）及び（Ｂ）に詳細に示されている。図に示されるように、各ロッキング・タブは、一般に対応するロッキング・タブの床を含む面に垂直な側壁４７ａ、４７ｂと、対応する切欠き側壁とカム式係合できるように対応するロッキング・タブの床を含む面に対して鈍角をなす側壁４５ａ、４５ｂを画定する。
【００２０】
その公称角度では、ピントル４２は、リンケージ要素に対してロックされる。ピントルは、ロッキング・タブ４６ａ、４６ｂがリンケージ要素の下側ソケットの対応する切欠き内にはまるロック位置に向かって（ヘリカル・スプリング４４によって）バイアスされる。しかしながら、ロッキング・タブと切欠きのカム式関係のために、ピントルに第２のトルクＴ2を加える（図２の（Ｃ）に矢印６０によって示される）ことによってスプリング・バイアスに打ち勝つことができることに留意されたい。一般に、第２のトルクＴ2は第１のトルクＴ1の少なくとも２倍であり、３０〜３２ニュートンミリメートルが好ましい。この第２のトルクにより、ロッキング・タブが切欠きからカム作用によって外れ、ロッキング・タブがカム式側壁２５ａ、２５ｂに乗り上げて下側ソケットの外表面上へ出てくる。従って、ピントル４２は、図４に７０で示すように横方向に移動できる。その後、ロッキング・タブが外表面に乗って動き、そのような回転に対する主要な妨害はロッキング・タブと外表面との間の摩擦力によって生じる。この場合には、ピントルはＴ2よりも小さくかつＴ1よりも小さいトルクＴ3の下で回転する。
【００２１】
従って、第１のヒンジは、カバー・パネルに第１のトルクを加えると、第１の範囲の運動にわたって旋回させるように動作する。第１の範囲を越えると、第１のヒンジは比較的大きい規制力によって妨害される。第２のヒンジは、第１のトルクよりも大きいがこの規制力に打ち勝つには不十分な第２のトルクを同様に加えると動作する。第２のトルクを加えると、カバー・パネルは第２の運動の範囲にわたって旋回する。第２の範囲の運動は通常は第１の範囲の運動の後に起こる。
【００２２】
これらのヒンジを動作させるのに必要なトルクが互いに異なるために、第２のヒンジは第１のヒンジの動作中には固定され、第１のヒンジは第２のヒンジの動作中には固定されることが理解できよう。従って、リンケージ要素は、第１のヒンジの動作中には底部パネルに対して固定され、第２のヒンジの動作中にはカバー・パネルに対して固定される。これにより、リンケージ要素の手動調整を必要とせずに、第１のパネルの第２のパネルに対する実質上３６０°の回転にわたる旋回を制御できる。
【００２３】
従って、本発明のヒンジ装置では、ハンドヘルド・コンピュータ手帳など、二枚貝状の装置の開閉が大幅に改善されることが分かる。装置を開くには、カバー・パネルを底部パネルに対して旋回させるだけでよく、これらの相の回転に当たってヒンジを旋回させるのに必要なトルクは、ヒンジ動作が所定の基準に従ってあるヒンジから他のヒンジへ自動的に受け渡されるように選択される。第１のヒンジは、トルクＴ1の下でカバー・パネルの第１の運動の範囲内で動作し、第１の範囲を越えると、ハード・ストップの形の妨害力に遭遇する。その後、第２のヒンジは、第２のトルクＴ2を加えると動作する。ロッキング機構が外れた後、第２のヒンジは、第２の運動の範囲にわたって第３のトルクＴ3の下で動作する。
【００２４】
以上、本発明について上述の動作原理及び好ましい実施形態を参照しながら図示説明したが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、他の形態及び詳細の変更を本発明に加えることができることが当業者には明らかであろう。例えば、ヒンジ装置はハンドヘルド・コンピュータ手帳の文脈で上述されているが、本発明はそのように限定されるものではなく、請求のヒンジ装置は、第１の構造を第２の構造に対して旋回させる事実上任意の装置の用途を説明するものであることが理解できよう。
【００２５】
以下に、本発明の実施の態様の例を列挙する。
【００２６】
〔実施態様１〕第１の構造を第２の構造に対して旋回させるのに使用するヒンジ装置において、
第１の構造を第２の構造に作動的に結合させ、第１のトルクの下で第１の構造を第２の構造に対して第１の運動の範囲にわたって旋回させるように動作でき、前記第１の範囲を越えるとその動作が規制力によって妨害される第１のヒンジと、
前記第１の構造を前記第２の構造に作動的に結合させ、前記第１のトルクよりも大きいが、前記規制力に打ち勝つには不十分な第２のトルクを加えると、前記第１の構造が前記第２の構造に対して第２の運動の範囲にわたって旋回できるように動作できる第２のヒンジ
とを含むヒンジ装置。
【００２７】
〔実施態様２〕前記第２のヒンジが前記第１のヒンジの動作中に旋回可能に固定され、前記第１のヒンジが前記第２のヒンジの動作中に旋回可能に固定されることを特徴とする、実施態様１に記載のヒンジ装置。
【００２８】
〔実施態様３〕前記第１のヒンジと前記第２のヒンジに結合されたリンケージ要素を含み、前記第１のヒンジが前記第１の構造を前記リンケージ要素に旋回可能に結合して第１のヒンジ軸を画定し、前記第２のヒンジが第２の構造を前記リンケージ要素に旋回可能に結合して第２のヒンジ軸を画定することを特徴とする、実施態様２に記載のヒンジ装置。
【００２９】
〔実施態様４〕前記リンケージ要素が、前記第１のヒンジの旋回中には前記第２の構造に対して固定され、前記第２のヒンジの旋回中には前記第１の構造に対して固定されることを特徴とする、実施態様３に記載のヒンジ装置。
【００３０】
〔実施態様５〕前記第１のヒンジ軸と前記第２のヒンジ軸が、前記第１の構造が前記第２の構造に対して実質上３６０°の回転にわたって旋回できるように互いに離れていることを特徴とする、実施態様３に記載のヒンジ装置。
【００３１】
〔実施態様６〕前記第１の構造によって作動的に係合するストップを含み、前記ストップが、前記第１の運動の範囲に従って前記第１のヒンジの旋回を規制する前記規制力を提供することを特徴とする、実施態様１に記載のヒンジ装置。
【００３２】
〔実施態様７〕前記第２のトルクが前記第１のトルクの約２倍であることを特徴とする、実施態様１に記載のヒンジ装置。
【００３３】
〔実施態様８〕前記第１の運動の範囲内の前記第１のトルクと前記第２の運動の範囲内の前記第２のトルクとの差により、前記第１の構造の前記第２の構造に対する半開き角度をもたらすことを特徴とする、実施態様１に記載のヒンジ装置。
【００３４】
〔実施態様９〕前記第２のヒンジがピントル及びソケットを含み、前記ピントルが前記ソケットの対応する切欠きに摩擦によって係合して前記ピントルを前記ソケットに対して解放可能にロックするように構成されたカム式ロッキング・タブを有し、前記ピントルが前記第２のトルクを加えると前記カム式ロッキング・タブが前記切欠きから外れるように旋回できることを特徴とする、実施態様１に記載のヒンジ装置。
【００３５】
〔実施態様１０〕第２のヒンジが、前記カム式ロッキング・タブが前記切欠きから外れると、第３のトルクの下で旋回でき、前記第３のトルクが前記第１のトルク及び前記第２のトルクよりも小さく、かつ前記規制力よりも小さいことを特徴とする、実施態様９に記載のヒンジ装置。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の好ましい実施形態に従って構成されたヒンジ装置が示されているハンドヘルド・コンピュータ手帳の部分破断図。
【図２】カバー・パネルの底部パネルに対する実質上３６０°の回転にわたる旋回を示す、図１に示されるハンドヘルド・コンピュータ手帳の側面図。
【図３】リンケージ要素と結合して動作する第１のヒンジと第２のヒンジと含む、好ましい実施形態のヒンジ装置及び各ヒンジを示す図。
【図４】好ましい実施形態のヒンジ装置が詳細に示された、図１のコンピュータ手帳の拡大図。
【符号の説明】
Ａ：第１のヒンジ軸
Ｂ：第２のヒンジ軸
１０：ハンドヘルド・コンピュータ手帳
１２：底部パネル
１２ａ：キーボード
１２ｂ：キャビティ
１４：カバー・パネル
１４ａ：ディスプレイ・スクリーン
１６：スタイラス
１８：ヒンジ装置
２０：リンケージ要素
２０ａ：背面部片
２０ｂ：前面部片
２２ａ：上側ソケット部位
２２ｂ：上側ソケット部位
２３：スロット
２４ａ：下側ソケット部位
２４ｂ：下側ソケット部位
２５ａ：側壁
２５ｂ：側壁
２６ａ：床
２６ｂ：床
２７ａ：側壁
２７ｂ：側壁
２８ａ：環状リブ（一部）
３０：第１のヒンジ
３２：シャフト
３２ａ：タブ
３４：ハウジング
３４ａ：タブ
４０：第２のヒンジ
４２：ピントル
４２ｂ：タブ
４３：ヘッド
４４：ヘリカル・スプリング
４４ａ：ワッシャ
４４ｂ：ワッシャ
４６ａ：カム式ロッキング・タブ
４６ｂ：ロッキング・タブ
４７ａ：側壁
４７ｂ：側壁
５２：カバー・パネル外表面
５４：リンケージ要素外表面

Claims

第１の構造を第２の構造に対して旋回させるのに使用するものであり、前記第１の構造を前記第２の構造に作動的に結合させる第１のヒンジであって、第１のトルクの下で前記第１の構造を前記第２の構造に対して第１の運動の範囲にわたって旋回させるように動作でき、前記第１の範囲を超えるとその動作が規制力によって妨害される第１のヒンジと、前記第１の構造を前記第２の構造に作動的に結合させる第２のヒンジであって、前記第１のトルクよりも大きいが、前記規制力に打ち勝つには不十分な第２のトルクを加えると、前記第１の構造が前記第２の構造に対してこれを介して第２の運動の範囲にわたって旋回できるように動作できる第２のヒンジとを含み、前記第２のヒンジがピントルおよびソケットを含み、前記ピントルが前記ソケットの対応する切欠きに摩擦によって係合して前記ピントルを前記ソケットに対して解放可能にロックするように構成されたカム式ロッキング・タブを有し、前記ピントルが前記第２のトルクを加えると前記カム式ロッキング・タブが前記切欠きから外れるように旋回できるヒンジ装置において、
前記第２のヒンジは、前記カム式ロッキング・タブが前記切欠きから外れると、第３のトルクの下で旋回でき、前記第３のトルクが前記第１のトルクおよび前記第２のトルクよりも小さく、かつ前記規制力よりも小さい、ヒンジ装置。
前記第２のヒンジが前記第１のヒンジの動作中に旋回可能に固定され、前記第１のヒンジが前記第２のヒンジの動作中に旋回可能に固定される、請求項１に記載のヒンジ装置。
前記第１のヒンジと前記第２のヒンジに結合されたリンケージ要素をさらに含み、前記第１のヒンジが前記第１の構造を前記リンケージ要素に旋回可能に結合して第１のヒンジ軸を画定し、前記第２のヒンジが前記第２の構造を前記リンケージ要素に旋回可能に結合して第２のヒンジ軸を画定する、請求項２に記載のヒンジ装置。
前記リンケージ要素が、前記第１のヒンジの旋回中には前記第２の構造に対して固定され、前記第２のヒンジの旋回中には前記第１の構造に対して固定される、請求項３に記載のヒンジ装置。
前記第１のヒンジ軸と前記第２のヒンジ軸が、前記第１の構造が前記第２の構造対して実質上３６０°の回転にわたって旋回できるように互いに離れている、請求項３に記載のヒンジ装置。
前記第１の構造によって作動的に係合するストップをさらに含み、前記ストップが、前記第１の運動の範囲に従って前記第１のヒンジの旋回を規制する前記規制力を提供する、請求項１に記載のヒンジ装置。
前記第２のトルクが前記第１のトルクの約２倍である、請求項１に記載のヒンジ装置。
前記第１の運動の範囲内の前記第１のトルクと前記第２の運動の範囲内の前記第２のトルクとの差により、前記第１の構造の前記第２の構造に対する半開き角度をもたらす、請求項１に記載のヒンジ装置。