JP3716893B2 - ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色布帛の製造方法 - Google Patents
ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色布帛の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3716893B2 JP3716893B2 JP23826097A JP23826097A JP3716893B2 JP 3716893 B2 JP3716893 B2 JP 3716893B2 JP 23826097 A JP23826097 A JP 23826097A JP 23826097 A JP23826097 A JP 23826097A JP 3716893 B2 JP3716893 B2 JP 3716893B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyurethane elastic
- fiber
- polyamide
- elastic fiber
- polyalkylene ether
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Woven Fabrics (AREA)
- Coloring (AREA)
- Knitting Of Fabric (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色された布帛の製造方法に関するものである。
さらに詳しくは、水泳プール中のような塩素水環境における塩素耐久性が向上すると共に、染色堅牢度に優れ、主に競泳用水着として有用なポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色布帛の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維とを交編・交織し染色した布帛を用いた水着は、プール中で活性塩素濃度0.5〜3ppmの塩素水に繰り返し暴露されると、ポリウレタン弾性繊維は塩素により劣化して物理的性能が低下し、ポリアミド繊維に染着した染料は変退色するということが知られている。
【0003】
ポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性を改善するため、脂肪族ポリエステルジオールを原料に用いたポリエステル系ポリウレタン弾性繊維が用いられていたが、脂肪族ポリエステルは生物活性が高いため、ポリエステル系ポリウレタンは黴に侵されやすく、使用中または保管中に水着の弾性機能が低下したり断糸が生じやすいという問題があった。
【0004】
一方、生物活性の極めて少ないポリエーテルジオールを原料に用いたポリエーテル系ポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性は、ポリエステル系ポリウレタンよりも劣るという問題があった。
ポリエーテル系ポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性の改善に関しては、従来より各種塩素劣化防止剤の添加が提案されており、例えば酸化亜鉛(特公昭60−43444号公報)、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(特公昭61−35283号公報)、ハイドロタルサイト類化合物(特開昭59−133248号公報)、酸化マグネシウムと酸化亜鉛の固溶体(特開平6−81215号公報)などの無機金属化合物が提案されている。
【0005】
水泳プール中の塩素、洗濯、汗などに対して、ポリアミド繊維の染料変退色を防止する方法として、染色後にさらに染料を固着させるフィックス処理が現在広く行われている。フィックス処理に使用されるフィックス剤には、大別して、タンニン酸を含有する天然タンニンと、ジフェニールスルホンのホルマリン縮合物や4,4’−メチレンビスフェノールとナフタリンスルホン酸のホルマリン縮合物といった合成フィックス剤があるが、天然タンニンを含むフィックス処理の方がより優れた染色堅牢度の効果が得られる。
【0006】
しかし、前記無機金属化合物を含有したポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる布帛を、染色処理後にフィックス処理と、ポリウレタン弾性繊維中の無機金属化合物が溶出したり、また無機金属化合物表面へフィックス剤成分が吸着し活性低下を引き起こすため、ポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性が低下するという問題がある。特に優れた染色堅牢度を与える天然タンニンによるフィックス処理(pH3〜5)を行った場合には、この塩素耐久性の低下の幅が大きい。
【0007】
この問題を解決する手段として、無機金属化合物の溶出や活性の低下の起こりにくい条件でフィックス処理する方法が提案されている。例えば、フィックス剤としてアルカリとの接触においてキノン構造をとらないアニオン系フェノール化合物を使用する方法(特開平3−279472号公報)や、染色の前後にモノまたはポリヒドロキシベンゼン誘導体を含ませる方法(特開平6−264301号公報)など、天然タンニンを使用しない処理により染色堅牢度を向上させる方法が提案されている。しかし、これらの方法では、ポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性は向上するが、ポリアミド繊維の塩素に対する染色堅牢度が不十分となる。
【0008】
また、バット染料を用いアルカリ側で染色を行う方法(特開平4−352844号公報)、アルカリ側で染色を行い、かつモノスルホン酸型のアニオン染料を用いポリウレタン弾性繊維の汚染を少なくする方法(特開平6−330476号公報)、硫化染料により染色する方法(特開平9−132877号公報)など、耐塩素変退色の良好な染料を使用することにより、耐塩素水染色堅牢度を向上させ、さらに無機金属化合物の溶出を抑制する方法が提案されているが、いずれの場合も使用される染料が限定されるばかりか、塩素耐久性と染色堅牢度の両者を充分満足するものとは言えない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる布帛を酸性染料で染色後に、天然タンニンでフィックス処理(pH3〜5)を行うことによって、ポリアミド繊維に優れた染色堅牢度を付与すると共に、フィックス処理を行っても、塩素劣化防止剤により向上したポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性が低下することなく、長期間にわたって水泳プール中での使用に適したポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色された布帛の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維の交編布帛に使用するポリウレタン弾性繊維として、下記に示すように特定のアルキレンエーテルユニットを含有するポリアルキレンエーテルジオールを原料としたポリウレタン重合体を採用し、これに特定の無機金属化合物を含有させたポリウレタン弾性繊維を用いる場合、天然タンニンによりフィックス処理を行っても、塩素劣化防止剤により向上したポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性が損なわれないことを見出した。
【0011】
すなわち、本発明はポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる布帛を、酸性染料で染色後に天然タンニンでフィックス処理して、染色堅牢度及び塩素耐久性に優れた布帛を製造するに際し、ポリウレタン弾性繊維として、▲1▼(1)式で示す成分を5〜50モル%含む数平均分子量が500〜5000のポリアルキレンエーテルジオール、▲2▼有機ジイソシアネートおよび▲3▼有機ジアミンからなり、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムから選択された金属を含む酸化物、前記金属の水酸化物又はハイドロタルサイト化合物を、0.5〜10.0重量%含有するポリウレタン弾性繊維を用いることを特徴とするポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色布帛の製造方法である。
【0012】
【化3】
【0013】
本発明に用いられるポリアルキレンエーテルジオールは、上記(1)式のアルキル側鎖を有するアルキレンエーテルユニットと(2)式のブチレンエーテルユニットから構成され、かつ(1)式で示す成分を、5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%含む。(1)式で示されるアルキレンエーテルユニットが5モル%未満である場合、酸性染料による染色後の天然タンニンによるフィックス処理によるポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性の低下が大きくなり、また50モル%を越えるとポリウレタンの重合を行う際に困難が生じる。
【0014】
【化4】
【0015】
このポリアルキレンエーテルジオールは上記構造を有する共重合ポリアルキレンエーテルジオールを単独で用いても、上記構造を有する共重合ポリアルキレンエーテルジオールとポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を混合し、その混合ジオール中に含まれる(1)式で示されるアルキレンエーテルユニットが、5〜50モル%の範囲で存在する混合ポリアルキレンエーテルジオールを用いてもよい。この共重合ポリアルキレンエーテルジオールは、(1)式と(2)式のアルキレンエーテルユニットが、交互状、ブロック状またはランダム状のどの状態で結合していてもよい。
【0016】
さらに本発明に用いるポリアルキレンエーテルジオールの数平均分子量は、500から5000であり、1000から4000がより好ましい。数平均分子量が500未満の場合、弾性回復性が低下し、5000を越えると紡糸性が悪化する傾向がある。
本発明に用いられるジイソシアネート化合物としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンイジイソシアネート等のポリウレタンにおける常用の化合物があげられる。これらは単独で用いてもよいが必要に応じて予め2種類以上混合して用いてもよい。
【0017】
本発明において用いられるイソシアネート基と反応するジアミン化合物としては、イソシアネート基と反応し得る水素原子を少なくとも2個含有するジアミン化合物等を用いることができる。この具体例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ヒドラジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ピペラジン、ジヒドラジド等のジアミン化合物や、特開平5−155841号公報に開示されている2個のウレア基を含み両末端に活性水素を有するジアミノウレア化合物があげられる。上記有機ジアミン化合物は、単独で用いても、また予め2種類以上混合してから用いてもよい。また場合により、イソシアネート基と反応し得るジアルキルアミン等の活性水素を1個含有するモノアミン化合物と併用してもよい。
【0018】
ポリアルキレンエーテルジオール、ジイソシアネート化合物およびジアミン化合物を用いたポリウレタン重合体を製造する方法に関しては、公知のポリウレタン化反応の技術を用いることができる。たとえば、ポリアルキレンエーテルジオールと有機ジイソシアネートとを、1:1.2〜2.0、好ましくは1:1.3〜1.8(モル比)の割合で反応させ、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成し、ウレタン部分を得る。次いで、このウレタンプレポリマーをジアミン化合物で鎖伸長反応を行い、ウレア部分を製造することによって、ウレタン部分とウレア部分との交互ブロック共重合体であるポリウレタンを得ることができる。
【0019】
ポリウレタン化反応の操作に関しては、ウレタンプレポリマー合成時やこのウレタンプレポリマーとジアミンとの反応時に、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等の溶剤を用いてもよい。
また本発明で用いられる各種化合物の化学量論的割合は、ポリアルキレンエーテルジオールの水酸基とジアミン化合物等の活性水素の総和が、イソシアネート化合物のイソシアネート基に対して1.00〜1.07等量であることが望ましい。
【0020】
本発明においては、上記のポリウレタンに、少なくともマグネシウム、亜鉛及びアルミニウムから選択される金属を含む酸化物、前記金属の水酸化物又はハイドロタルサイト化合物を添加する。このような化合物としては、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト化合物Mg4 . 5 Al2 (OH)1 3 CO3 ・3.5H2 Oおよび2価金属M2 + (但しM2 + は亜鉛およびマグネシウムから選択される少なくとも1種類を表す)とアルミニウムを含み、アルミニウムに対する2価金属のモル比が1〜5である複合酸化物がある。特に好ましいのは上記の複合酸化物であり、この複合酸化物は、染色やフィックス処理における酸性条件下でのポリウレタン弾性繊維からの溶出がより少ないことから好適である。本発明の複合酸化物は、例として下記式(3)で表される。
【0021】
【化5】
【0022】
この複合酸化物は、公知の方法、例えば、ハイドロタルサイト化合物を焼成して得ることができる(特公昭51−37640号公報および特公昭51−20997号公報)が、これに限定されない。
前記無機金属化合物は、ポリウレタン重合体に対して、0.5〜10.0重量%、好ましくは、0.5〜5.0重量%含有させる。これらの無機金属化合物の過剰な添加は生産時の紡糸安定性や繊維の物理的性質に悪影響を及ぼすため好ましくない。本発明におけるこれらの無機金属化合物は、平均粒径1μm以下の微細な粉末であることが好ましい。これら無機金属化合物粒子の表面を脂肪酸、脂肪酸エステル、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤またはこれらの混合物で表面処理してもよい。
【0023】
ポリウレタン重合体組成物には、上記無機金属化合物以外に、ポリウレタン弾性繊維に用いられる公知の有機または無機の化合物、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、黄変防止剤、熱変色防止剤、粘着防止剤、顔料、帯電防止剤、防黴剤、着色剤、充填剤等を併用して添加してもよい。
この様にして得られたポリウレタン重合体組成物を、公知の乾式紡糸法、湿式紡糸法等により紡糸する。
【0024】
紡糸したポリウレタン弾性繊維に油剤として、ポリエステル変性シリコン、ポリエーテル変性シリコン、ポリオルガノシロキサン、アミノ変性シリコン、鉱物油、タルク、シリカ、コロイダルアルミナ等の鉱物性微粒子、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩粉末、高級脂肪族カルボン酸、高級脂肪族アルコール、パラフィン、ポリエチレン等の常温で固体のワックスなどを付与することができる。
【0025】
本発明に用いられるポリアミド繊維は、例えば、ナイロン66、ナイロン6があげられるが、これに限定されるものではない。ポリアミド繊維は、艶消剤、安定剤、制電剤などの添加剤を含んでいてもよい。
ポリアミド繊維と交編交織されるポリウレタン弾性繊維は、裸糸をそのまま用いても、ポリアミド繊維を巻き付けたカバリング糸を用いてもよい。
【0026】
ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる編地を作製するには種々の交編方法が用いられる。交編編地は、経編みでも緯編みでもよく、例えば、トリコット、ラッセル、丸編み等が挙げられる。また編組織は、ハーフ編み、逆ハーフ編み、ダブルアトラス編み、ダブルデンビー編み等いづれの編組織でもよい。また風合いの面から、編地表面がポリアミド繊維で構成されていることが好ましい。
【0027】
ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる織物は、通常の方法で製織される。ポリウレタン弾性繊維を経あるいは緯にのみ用いたワンウェーストレッチ、経緯両方に用いたツーウェーストレッチのいづれの織物でもよい。
ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる布帛を通常の条件で、精錬、リラックス、セットをおこなう。布帛の染色は、ポリアミド繊維の酸性染料による染色条件(pH3〜6)で行う。染料は、酸性染料、含金染料のほか、ポリアミド繊維用として使用されるている公知の染料を用いることができる。
【0028】
染色後に染料を固着させるためのフィックス処理として、天然タンニンを成分として含有するフィックス剤を用いる。フィックス剤での処理の際には、pHを3〜5に調整して、通常の昇温過程を経た後80℃〜100℃で処理する。フィックス処理時間は、長い方が良いが、20〜60分間が好ましい。必要に応じて、フィックス処理液に、スカム防止剤や浴中柔軟剤を混在させてもよい。
【0029】
本発明により、酸性染料で染色後に天然タンニンを含むフィックス処理を行っても、布帛中のポリウレタン弾性繊維が優れた塩素耐久性を保持する理由は明らかではないが、ポリアミド繊維中の染料を天然タンニンが固着させると同時に、ポリウレタン弾性繊維中へも天然タンニンが浸透する。その際、ポリアルキレンエーテルジオールに側鎖を有するユニットが存在するため、天然タンニンのポリウレタン弾性繊維内への浸透が遅くなり、ポリウレタン弾性繊維中の無機金属化合物の溶出や天然タンニンの吸着による失活が抑制されるものと考えられる。
【0030】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、実施例に記載評価項目の測定法は以下の通りである。
(1)塩素耐久性評価
編地を緯方向に80%伸長させて水泳用プールに12時間浸漬と12時間風乾を繰り返す。この12時間浸漬中の有効塩素濃度は3.0ppm、pH7、25℃に常時調整されており、12時間風乾は水道水(有効塩素濃度0.3ppm)で濯いでから行う。12時間浸漬から取り出すときに編地の欠点発生の有無を確認し、欠点の発生するまでの日数をその編地の塩素耐久日数とする。塩素耐久日数が多いほど塩素耐久性が高い。
(2)染色堅牢度
編地を、有効塩素濃度100ppm、pH7、25℃に調整された次亜塩素酸ナトリウム水溶液中に30分間入れ、原布からの変退色をJIS規格の変退色用グレースケールで判定した。
(3)有効塩素濃度
塩素水試料25mlを100mlの三角フラスコに秤量し、乾燥済みのヨウ化カリウム2gを加えて振り混ぜる。1/100Nのチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、溶液が橙色から薄黄色に変化した時点で澱粉溶液を加える。ヨウ素澱粉反応による青色が消えるまで1/100Nチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。別に、イオン交換水25mlを採取し、同上の操作により滴定し、ブランク滴定量を求める。有効塩素濃度Hは、数式(1)で与えられる。
【0031】
【数1】
【0032】
但し、Hは有効塩素濃度(ppm)、Vsは塩素水を滴定した時の1/100Nのチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量(ml)、Vbはイオン交換水を滴定したときの1/100Nのチオ硫酸ナトリウムの滴定量(ml)、fは1/100Nのチオ硫酸ナトリウムの力価、Wsは塩素水の重量(g)である。
【0033】
【実施例1】
ブチレン基(以下BGと略す)と2,2−ジメチルプロピレン基(以下NPと略す)からなる数平均分子量(Mn)1800の共重合ポリアルキレンエーテルジオール(NPの共重合率10モル%)400gと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと表す)80.5gとを乾燥窒素雰囲気下、80℃で3時間、撹拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーを得た。これを室温に冷却した後、ジメチルアセトアミド720gを加え溶解してポリウレタンプレポリマー溶液を調整した。
【0034】
一方、エチレンジアミン5.41gおよびジエチルアミン0.80gをジメチルアセトアミド390gに溶解し、これを前記プレポリマー溶液に室温下添加して、粘度4500ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液を得た。
このポリウレタン溶液に、ポリウレタン固形分に対して、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)を1重量%、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾールを0.5重量%及び平均粒径1μ以下の複合酸化物3ZnO・ZnAl2O4を4.0重量%添加し、これを乾式紡糸して40デニール/5フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0035】
このポリウレタン弾性繊維と、ポリヘキサメチレンアジパミドを溶融紡糸して得られたポリアミド繊維50デニール/17フィラメントとを、トリコット機を用いて編成し、経編2wayトリコットを作製した。編み組織はハーフ、編立ては、フロントにポリアミド繊維、バックにポリウレタン弾性繊維を配し、28ゲージ、フロントランナー160cm、バックランナー80cm、の条件で行った。
【0036】
得られた2wayトリコット生機を精錬、リラックス、乾燥、ヒートセットして、染色を行った。染色は、染料としてIrgalan Black BGL 2.7%owf、硫安3%owf、酢酸0.2%owfの浴中(pH5.5)にて、95℃で30分間処理した。
この染色した2wayトリコットに天然タンニンを含むフィックス処理を行った。フィックス処理は、ハイフィックスSLA(天然タンニン30%含有、大日本製薬(株)製 商品名)5%owfの浴中(pH3.7)にて、90℃で30分間処理した。
【0037】
【実施例2〜5】
実施例1の複合酸化物3ZnO・ZnAl2 O4 の代わりに、ハイドロタルサイト化合物Mg4 . 5 Al2 (OH)1 3 CO3 ・3.5H2 O、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムをそれぞれ用いて、実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色された2wayトリコットを作成した。
【0038】
【実施例6】
BGとNPからなり、NPの共重合率30モル%である数平均分子量(Mn)1800の共重合ポリアルキレンエーテルジオールを用いて、実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色された2wayトリコットを作成した。
【0039】
【実施例7】
BGと3−メチルペンチレン基(以下MPと略す)からなり、MPの共重合率16モル%である数平均分子量(Mn)1800の共重合ポリアルキレンエーテルジオールを用いて、実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色された2wayトリコットを作成した。
【0040】
【実施例8】
BGとNPからなる数平均分子量(Mn)1800の共重合ポリアルキレンエーテルジオール(NPの共重合率30モル%)と数平均分子量(Mn)1800のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)との1:2の混合ポリアルキレンエーテルジオール(NPの含有率10モル%)を用いて、実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色された2wayトリコットを作成した。
【0041】
【比較例1】
実施例1のBGとNPからなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールの代わりに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を用いて、実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色された2wayトリコットを作成した。
【0042】
【比較例2】
金属酸化物もしくは水酸化物をなにも添加しない以外は、実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色された2wayトリコットを作成した。
【0043】
【比較例3】
実施例1の天然タンニンを含むフィックス処理の代わりに、ジフェニールスルホンのホルマリン縮合物のスルホン化物を主成分とする合成フィックス剤(大日本製薬製 商品名 ハイフィックスGM)5%owfを含む浴中で、90℃で30分間処理をおこない、ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色された2wayトリコットを作成した。
【0044】
【比較例4】
染色後のフィックス処理を全く行わない以外は、実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色された2wayトリコットを作成した。
実施例1〜8、比較例1〜4で得られた布帛の塩素耐久性評価(有効塩素3ppm)及び染色堅牢度評価結果を表1、2及び3に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる布帛を酸性染料で染色後に、染色堅牢度を向上させるために行う天然タンニンによるフィックス処理を行っても、塩素劣化防止剤により向上したポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性がほとんど損なわれない。
【0049】
本発明により製造される布帛は、例えば、水泳プール中のような塩素水環境で多用される競泳用水着等の使用に適している。
Claims (4)
- ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる布帛を、酸性染料で染色後に天然タンニンでフィックス処理して、染色堅牢度及び塩素耐久性に優れた布帛を製造するに際し、ポリウレタン弾性繊維として、▲1▼(1)式で示す成分を5〜50モル%含む数平均分子量が500〜5000のポリアルキレンエーテルジオール、▲2▼有機ジイソシアネートおよび▲3▼有機ジアミンからなり、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムから選択された金属を含む酸化物、前記金属の水酸化物又はハイドロタルサイト化合物を、0.5〜10.0重量%含有するポリウレタン弾性繊維を用いることを特徴とするポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色布帛の製造方法。
- ポリアルキレンエーテルジオールが(1)式と(2)式で示す成分からなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールとポリテトラメチレンエーテルグリコールの混合物からなり、(1)式で示す成分を5〜50モル%含むことを特徴とする請求項1記載のポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色布帛の製造方法。
- マグネシウム、亜鉛及びアルミニウムから選択される金属を含む酸化物が、2価金属M2 + (但しM2 + は亜鉛およびマグネシウムから選択される少なくとも1種類を表す)とアルミニウムを含み、アルミニウムに対する2価金属のモル比が1〜5である複合酸化物であることを特徴とする請求項1記載のポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色布帛の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23826097A JP3716893B2 (ja) | 1997-09-03 | 1997-09-03 | ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色布帛の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23826097A JP3716893B2 (ja) | 1997-09-03 | 1997-09-03 | ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色布帛の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1181044A JPH1181044A (ja) | 1999-03-26 |
JP3716893B2 true JP3716893B2 (ja) | 2005-11-16 |
Family
ID=17027545
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23826097A Expired - Lifetime JP3716893B2 (ja) | 1997-09-03 | 1997-09-03 | ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色布帛の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3716893B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6063892A (en) * | 1999-10-05 | 2000-05-16 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Spandex prepared with hindered diisocyanates |
KR20030013529A (ko) * | 2001-08-08 | 2003-02-15 | 주식회사 효성 | 염색된 나일론/스판덱스 편직물의 견뢰도 향상방법 |
JP4639041B2 (ja) * | 2002-09-17 | 2011-02-23 | セーレン株式会社 | ポリアミド系繊維構造物の染色加工方法 |
JP2008261071A (ja) * | 2007-04-12 | 2008-10-30 | Opelontex Co Ltd | 染色布帛の製造方法 |
JP5192942B2 (ja) * | 2008-08-25 | 2013-05-08 | 旭化成せんい株式会社 | ポリウレタンモノフィラメント |
JP5639348B2 (ja) * | 2009-06-18 | 2014-12-10 | 旭化成せんい株式会社 | ポリアミド繊維とポリウレタン繊維との混用糸条又は布帛の染色品 |
CN106381727A (zh) * | 2016-08-29 | 2017-02-08 | 苏州馨格家居用品股份有限公司 | 氨纶面料的染色方法 |
-
1997
- 1997-09-03 JP JP23826097A patent/JP3716893B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1181044A (ja) | 1999-03-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH04209875A (ja) | 染色された交編編地とその製法 | |
KR100328109B1 (ko) | 폴리우레탄 탄성 섬유 및 이의 제조 방법 | |
JP2008261071A (ja) | 染色布帛の製造方法 | |
JP3716893B2 (ja) | ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色布帛の製造方法 | |
JPS59133248A (ja) | ポリウレタン組成物 | |
KR20010072288A (ko) | 폴리우레탄 탄성 섬유 | |
JP3671191B2 (ja) | 染色性良好なポリウレタン組成物および染色性改良剤 | |
JP3838773B2 (ja) | ポリウレタン弾性繊維及びその弾性布帛 | |
JP3868097B2 (ja) | 交編編地及びその製造方法 | |
JP3881444B2 (ja) | ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法 | |
JPWO2006062052A1 (ja) | ストレッチ織物生地 | |
JP4264912B2 (ja) | ポリウレタンウレア組成物およびポリウレタン弾性繊維 | |
JP3883278B2 (ja) | ポリウレタン弾性繊維の製造方法及びその水着用弾性布帛 | |
JP6063210B2 (ja) | ポリウレタン弾性繊維及びその繊維製品 | |
JP4416818B2 (ja) | ポリウレタン弾性繊維の製造方法 | |
JP2959034B2 (ja) | 染色物およびその製造方法 | |
JP4439638B2 (ja) | 防汚染性ポリウレタン弾性繊維およびその製法 | |
JPH0681215A (ja) | ポリウレタン系弾性繊維 | |
JP4100769B2 (ja) | ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法 | |
JP3252928B2 (ja) | 金属化合物含有ポリウレタン弾性糸・ポリアミド繊維交編織物の染色方法 | |
JPH059877A (ja) | 交編編地と染色方法 | |
JP2770896B2 (ja) | 交編編地 | |
JP2000198979A (ja) | 塩素劣化防止剤とポリウレタン組成物 | |
JPH0665868A (ja) | 交編編地染色物 | |
JP3134962B2 (ja) | 交編編地の染色方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040826 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050811 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050823 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050823 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090909 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100909 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100909 Year of fee payment: 5 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100909 Year of fee payment: 5 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110909 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110909 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120909 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130909 Year of fee payment: 8 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |