JP3881444B2 - ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法 - Google Patents

ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3881444B2
JP3881444B2 JP04420198A JP4420198A JP3881444B2 JP 3881444 B2 JP3881444 B2 JP 3881444B2 JP 04420198 A JP04420198 A JP 04420198A JP 4420198 A JP4420198 A JP 4420198A JP 3881444 B2 JP3881444 B2 JP 3881444B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyurethane
polyurethane elastic
elastic fiber
aluminum
zinc
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04420198A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10292225A (ja
Inventor
雅憲 土井
明彦 吉里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Fibers Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Fibers Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Fibers Corp filed Critical Asahi Kasei Fibers Corp
Priority to JP04420198A priority Critical patent/JP3881444B2/ja
Publication of JPH10292225A publication Critical patent/JPH10292225A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3881444B2 publication Critical patent/JP3881444B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法に関する。詳しくは、種々の塩素水環境下で劣化し難い、特に水着として殺菌用塩素を含んだ水泳プール中で使用した場合、劣化し難いポリウレタン弾性繊維及びこの繊維を安定に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ジイソシアネート、ポリアルキレングリコール及び多官能性水素含有化合物から得られるポリウレタン弾性繊維は、高度のゴム弾性を有し、引張応力、回復性等の機械的性質、熱的性質に優れているめに、伸縮性機能繊維素材として水着、ファンデーション、ストッキング、スポーツウェア等のストレッチ性を要求される用途に広く用いられている。
【0003】
しかしながら、ポリウレタン弾性繊維が使用された衣料製品を、塩素漂白剤に長時間浸せきし洗濯を行うことを繰り返すと、ポリウレタン弾性繊維の弾性機能が低下することが知られている。
ポリウレタン弾性繊維を使用した水着を、水泳プール等の活性塩素濃度0.5〜3ppmの殺菌用塩素水中に繰り返し暴露すると、ポリウレタン弾性繊維の弾性機能が著しく損われたり、断糸を生じる。特に、ポリアミド繊維とポリウレタン弾性繊維とからなる水着の場合は固着染料の変退色が生じる。
【0004】
ポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性を改善するため、脂肪族ポリエステルジオールを原料に用いたポリエステル系ポリウレタン弾性繊維が用いられていたが、塩素耐久性は不十分であった。しかも、脂肪族ポリエステルは生物活性が高いため、ポリエステル系ポリウレタンは黴に侵されやすいという欠点を有しており、使用中又は保管中に水着の弾性機能が低下したり、断糸が生じ易いという問題点があった。生物活性の極めて少ないポリエーテルジオールを原料に用いたポリエーテル系ポリウレタン弾性繊維は、黴による脆化は生じないけれども、塩素耐久性はポリエステル系ポリウレタンよりもさらに劣るという問題点があった。
【0005】
ポリエーテル系ポリウレタン弾性繊維の塩素による劣化を改善するための添加剤が提案されている。例えば、特公昭60−43444号公報に酸化亜鉛が、特公昭61−35283号公報に酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が、特開平6−81215号公報に酸化マグネシウムと酸化亜鉛との固溶体が開示されている。
【0006】
特公昭61−35283号公報に開示されている酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムの塩素劣化防止効果は、公報第4頁第1表に示されているように、比較例と比べて高くない。特公昭60−43444号公報に開示された酸化亜鉛は、酸性(PH3〜6)下での染色処理によって酸化亜鉛成分が繊維から溶出し、繊維中の残存量が著しく減少するため、塩素耐久性が大きく低下するという問題点がある。特開平6−81215号公報に開示された酸化マグネシウムと酸化亜鉛との固溶体は、酸化亜鉛と同様に改善効果は小さい。特開平3−292364号公報にはハイドロタルサイト(例えば、Mg4.5 Al2(OH)13 CO3 ・3.5H2 O)を用いて塩素耐久性を改善したポリウレタン組成物が開示されているが、満足すべきレベルに達していない。
【0007】
ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる水着の場合、水着に使用された染料がプールの水中に含まれている塩素により変退色するのを防止するために、染色後にタンニン液による染料固着処理が行われている。酸化マグネシウムや酸化マグネシウムと酸化亜鉛との固溶体を含有するポリウレタン弾性繊維は、染色処理後にタンニン液(pH3〜4.5)による染料固着処理を行うと、これら添加剤がポリウレタン弾性繊維から溶出してポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性がさらに低下する。
【0008】
ポリウレタン弾性繊維を製造する際に、これらの添加剤をポリウレタン紡糸原液や溶融ポリウレタンに添加すると、二次凝集が生じて紡糸フィルターの目詰まりや、紡糸時の糸切れが増加する。特公昭60−43444号公報には粒径が0.1〜1μmの酸化亜鉛が、特公昭61−35283号公報には粒径5μm以下の酸化マグネシウムが、特開平6−81215号公報には粒径0.05〜3μmの酸化マグネシウムと酸化亜鉛との固溶体が使用されている。特開平3−292364号公報には、ハイドロタルサイト(例えば、Mg4.5 Al2(OH)13 CO3 ・3.5H2 O)の表面に脂肪酸のコーティングを施して、二次凝集を防止する方法が開示されている。しかし、いずれも十分な改善が達成されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、酸性(PH3〜6)での染色条件下や染色後のタンニン液(pH3〜4.5)による染料固着処理を行った後も、長期間にわたり優れた塩素耐久性を有するポリウレタン弾性繊維及びこのポリウレタン弾性繊維を安定に製造する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決するために鋭意研究した結果、2価金属M2+(但し、M2+は亜鉛及びマグネシウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種を表す)とアルミニウムを含み、アルミニウムに対する2価金属M2+のモル比が1〜5である複合酸化物粒子を、ポリウレタンに対し0.5〜10重量%含有するポリウレタン弾性繊維が、前記の添加剤を添加したポリウレタン弾性繊維と比較して一層優れた塩素耐久性を有するばかりでなく、驚くべきことに紡糸原液中の複合酸化物粒子の二次凝集によるフィルター目詰まりや紡糸時の糸切れが極めて少なく、安定に生産出来ることを見出した。
【0011】
本発明の複合酸化物粒子は、公知の方法で製造することができる。例えば、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等の混合物を1600℃で溶融後、600℃で焼きなまして徐冷する方法(Journal of Non−Crystalline solids、129、174〜182(1991))、酸化亜鉛とγ−水酸化アルミニウムとの混合物を900〜1000℃で焼成する方法(窯業協会誌、91(6)、281〜289(1983))、硝酸マグネシウムと硝酸アルミニウムとの水溶液に塩化リチウム、ケイ酸エチル、塩酸を加えて反応後に700〜1300℃で焼成する方法(Chemistry Express、(11)、885〜888(1990))、硝酸マグネシウムと硝酸アルミニウムとのエタノール溶液を740〜1030℃で加熱したチューブ中に噴霧し反応させる方法(Ceramics International、、17〜21(1982))等の製造方法がある。原料、原料組成比、反応(焼成)時間、反応(焼成)温度等を適宜、設定し、種々の組成、形態の複合酸化物を製造することができる。特に、好ましい製造例としては、特公昭51−37640公報や特公昭51−20997公報に記載されているように特定の複合化合物を焼成する方法である。
【0012】
本発明の複合化合物とは、複合酸化物の前駆体のことであり、複合化合物を焼成していく過程で酸化され、複合酸化物を形成しうる化合物を意味する。複合水酸化物として知られるハイドロタルサイト化合物がその代表例である。
以下、複合化合物としてハイドロタルサイト化合物を焼成して得られる複合酸化物粒子を例として本発明を説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0013】
本発明で使用されるハイドロタルサイト化合物は、一例として下記式(1)で表される。
2+ x Al2(OH)2x+6-nz (An-) z ・mH2 O (1)
(但し、(1)式中のM2+はZn又はMg、An-はOH、F、Cl、Br、NO3 、CO3 2ー 、SO4 2ー 、Fe(CN)6 3ー 、CH3 COO- 、シュウ酸イオン、サルチル酸イオン等のn価のアニオン、nはアニオンの価数、x>0、0<z≦2、m>0)
本発明中の複合酸化物粒子は、上記ハイドロタルサイトを焼成するこにより得られる。亜鉛はマグネシウムより高い塩素耐久性及び塩素水に対してより低い膨潤性を与えるので好ましい。本発明の複合酸化物は、特公昭51−37640号公報や特公昭51−20997公報に記載された製造方法にしたがって製造することができる。
【0014】
好適例として、M2+が亜鉛のハイドロタルサイト化合物を焼成して得られる複合酸化物の説明をする。
亜鉛とアルミニウムからなるハイドロタルサイトの好ましい例として、
Zn3 Al2(OH)10(CO3)・2H2
Zn4 Al2(OH)12(CO3)・3H2
Zn5 Al2(OH)14(CO3)・4H2
Zn6 Al2(OH)16(CO3)・5H2
等が挙げられる。
【0015】
ハイドロタルサイトの焼成温度は、300〜1200℃である。300℃未満では十分な酸化物構造が形成されず、原料であるハイドロタルサイトが残留し、塩素耐久性が十分ではない。焼成温度が1200℃を越えると、焼結が生じはじめ、粗大粒子が形成され、フィルター詰まりや紡糸時の糸切れを起こしやすくなる。最も好ましい焼成温度範囲は、700〜1200℃である。700℃以上になるとZnAl2 4 のスピネル構造が形成されるとともに活性が弱くなり、紡糸原液中に分散しやすくなる。300℃以上、700℃未満の焼成温度は酸化亜鉛と酸化アルミニウムの固溶体の形成領域であり、700〜1200℃の焼成領域に比べるとやや活性が高く、二次凝集が生じやすくなる。しかし、亜鉛結晶格子にアルミニウムが部分置換されているため、酸化亜鉛や酸化マグネシウムほどの強い二次凝集は起こらない。従って、この温度領域で焼成して得られる複合酸化物を含んだ紡糸原液は、酸化亜鉛や酸化マグネシウムを含んだ物よりも、より安定に紡糸できる。
【0016】
ハイドロタルサイト化合物を焼成すると、焼成温度によって固溶体を形成したり、金属酸化物とスピネル構造を形成(共析)することは、佐藤ら(Reactivity of Solids,,219−228(1988))によって報告されている。本発明者らは、得られる複合酸化物をポリウレタン弾性繊維に適用することによって、ポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性が著しく向上すること及び長期間安定にポリウレタン弾性繊維が製造できることを初めて明らかにした。
【0017】
本発明中において、ハイドロタルサイトを300〜700℃で焼成して得られる複合酸化物は主に固溶体であり、下記一般式(2)で表される。
【0018】
【化1】
Figure 0003881444
【0019】
700℃以上で得られる複合酸化物は、主に酸化亜鉛とアルミン酸亜鉛との共析物であり、下記一般式(3)で表わされる。
(x−1)ZnO・ZnAl2 4 (3)
(但し、x≧2の正数を示す。)
(2)式と(3)式の結晶構造が700℃を境に急激に変わるのではなく、650〜750℃の温度領域では(2)式と(3)式の構造が共存している。
【0020】
アルミニウムに対する亜鉛のモル比率(亜鉛/アルミニウム)は、1〜5が好ましく、より好ましくは2〜3である。亜鉛/アルミニウムが1未満の場合は、塩素耐久性効果が充分ではなく、亜鉛/アルミニウムが5を越える場合は、亜鉛の活性が強すぎるため二次凝集が起こり、フィルター目詰まりや紡糸時に糸切れが増加する。
【0021】
2価金属M2+が亜鉛の場合を説明したが、これがマグネシウム、又は亜鉛とマグネシウムの混合であっても同様である。
本発明中の好適な複合酸化物の例として、
2ZnO・ZnAl2 4
3ZnO・ZnAl2 4
4ZnO・ZnAl2 4
5ZnO・ZnAl2 4
等を挙げることができる。
【0022】
本発明の複合酸化物の粉末X線回折スペクトル測定すると、酸化亜鉛結晶中にZnAl2 4 のスピネル構造を有する特有の結晶構造パターンを有し、酸化亜鉛の結晶パターンとは異なる。図1に3ZnO・ZnAl2 4 複合酸化物(900℃焼成物)の粉末X線回折パターンを、図2に酸化亜鉛(JIS特号)の粉末X線回折パターンを示す。粉末X線回折の測定には、Cu−Kα線、Niフィルターを用いた。
【0023】
フェロシアン化加里滴定法(「JIS−K1410 4.2(2)内部指示薬法」)を用いて本発明の複合酸化物の酸化亜鉛純度を測定すると、たとえば(3)式で表されるような3ZnO・ZnAl2 4 (900℃焼成物)では酸化亜鉛純度は57.0%であり、理論値(57.1%)とほぼ一致する。
(2)式で表される固溶体は、酸化亜鉛に酸化アルミニウムが固溶した、すなわち酸化亜鉛結晶中の亜鉛の位置にアルミニウムが部分置換した構造を形成している。
【0024】
本発明中の複合酸化物粒子を含有するポリウレタン弾性繊維は、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムと酸化亜鉛との固溶体を含有するポリウレタン弾性繊維に比較して、酸性(PH3〜6)染色条件下やタンニン液(pH3〜4.5)による染料固着処理条件下でも添加剤の溶出が極めて少なく、またポリウレタン弾性繊維の変色や塩素水中での膨潤も極めて少ない。更に、本発明中のポリウレタン弾性繊維は塩素漂白剤や水泳プールでの殺菌用塩素等に暴露されても、長期に渡り優れた塩素耐久性効果を発揮する。
【0025】
本発明の複合酸化物がこのような優れた効果を発揮する理由は、複合化合物がハイドロタルサイト化合物の場合、ハイドロタルサイト化合物の焼成により酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの固溶体(以下、(Zn,Al)O固溶体という)が形成されたり、酸化亜鉛表面上にZnAl2 4 微結晶が共析するため、強酸性染色処理やタンニン液処理に対してこれらが保護的役割を果たすためと考えられる。亜鉛に部分置換したアルミニウムや共析したZnAl2 4 は、酸化亜鉛の高い凝集エネルギ−を抑制し、優れた二次凝集防止効果を発揮するため、フィルター詰まりや糸切れを抑制し、安定した生産が出来るものと考えられる。
【0026】
図3の写真は、Zn4 Al2(OH)12(CO3)・3H2 Oを900℃で焼成して得られた3ZnO・ZnAl2 4 複合酸化物の電子顕微鏡写真の一例である。この写真から明らかなように、酸化亜鉛の六角板状結晶体表面にZnAl2 4 結晶が共析している。図4は、図3の写真中の結晶粒子Aを元素分析したチャートであり、亜鉛とアルミニウムが検出されている。図3及び図4は、堀場製作所(株)X線マイクロアナライザーEMAX−2770を装備した日立製作所(株)製 電子顕微鏡S−4100を用いて観察及び分析を行った写真及びチャートである(加速電圧25kV、倍率6000倍、カーボン蒸着)。
【0027】
本発明は、前記複合酸化物粒子がポリウレタン弾性繊維に対して0.5〜10重量%含有されていることを特徴としている。含有率が0.5重量%未満の場合は塩素耐久性効果が不充分であり、10重量%を越えると繊維の物理的性能に悪影響を及ぼすばかりでなく、紡糸時の糸切れが増加する。より好ましい含有率は、2〜8重量%である。
【0028】
本発明中の複合酸化物の粒径は小さいほど塩素耐久性に効果があり、フィルター詰まりや紡糸時の糸切れが極めて少ないため、生産安定性が高くなる。平均粒径は5μm以下が好ましい。5μmを越えるとフィルター詰まりや糸切れを起こしやすくなる。複合酸化物を、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等の極性溶媒とともにボールミル等で湿式粉砕して、平均粒子径を1μm以下にするのがより好ましい。
【0029】
ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維との交編編地からなる水着の場合、染色後、塩素による変退色を防止するために、通常、タンニン液処理を行い、染料を繊維に固着させている。タンニン液は、ポリウレタン弾性繊維の耐塩素剤として使用される金属酸化物を繊維から溶解させ、除去する作用がある。これを防止するために、本発明の複合酸化物粒子の表面を、特開平3−292364号公報に記載されているような脂肪酸、シラン系カップリング剤や、脂肪酸エステル、燐酸エステル、スチレン/無水マレイン酸共重合体及びその誘導体、チタネート系カップリング剤又はこれらの混合物で表面処理することが好ましい。
【0030】
これら表面処理剤は、複合酸化物に対して、0.1重量%以上付着させることが好ましい。0.1重量%未満の場合、十分な効果がなく、10重量%を越えても効果は殆ど向上しない。
表面処理に用いられる脂肪酸としては、炭素原子数10〜30の直鎖又は分岐したアルキル基を有するモノ又はジカルボン酸であり、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。また、脂肪酸エステルとしては、前記脂肪酸と炭素原子数1〜30の直鎖又は分岐したアルキル基を有するモノ又は多価アルコールとのエステルであり、グリセリルモノステアレート、ステアリルオレエート、ラウリルオレエート等が挙げられる。脂肪酸エステルよりは脂肪酸の方が効果があり、特に炭素数10〜20の直鎖又は分岐状の脂肪酸が好ましく、ステアリン酸が最も好ましい。
【0031】
燐酸エステルとしては、モノエステル型、ジエステル型あるいはこれらの混合型のいずれでもよいが、1つのエステルに付随する直鎖又は分岐したアルキル基の炭素原子数が4〜30のものが好ましい。燐酸エステルの例としては、ブチルアシッドフォスフェイト、2−エチルヘキシルアシッドフォスフェイト、ラウリルアシッドホスフェイト、トリデシルアシッドフォスフェイト、ステアリルアシッドホスフェイト、ジ−2−エチルヘキシルフォスフェイト、オレイルアシッドフォスフェイト等が挙げられる。より好ましくは、1つのエステルに付随する直鎖又は分岐したアルキル基の炭素原子数が8〜20のものであり、ステアリルアシッドホスフェイトが最も好ましい。
【0032】
スチレン/無水マレイン酸共重合体の好適例として下記(4)−1式を挙げることができるが、(4)−1式中のスチレン部分がポリスチレン化し無水マレイン酸との共重合体や、(4)−1式中のnが3〜20の範囲にあるものでもよい。
【0033】
【化2】
Figure 0003881444
【0034】
スチレン/無水マレイン酸共重合体の誘導体としては、エステル化誘導体(無水マレイン酸部分のアルコールによるエステル化)、スルホン化誘導体(スチレン部分のスルホン化)、イミド化誘導体(無水マレイン酸部分のアミンによるイミド化)、不飽和アルコールとの共重合体等がある。各種の誘導体の中で、エステル化誘導体が最も好ましく、望ましくはエステル化に用いるアルコールのアルキル基が3〜20の直鎖又は分岐状の炭素原子数のものがよい。下記(4)−2式にその一例を示す。
【0035】
【化3】
Figure 0003881444
【0036】
不飽和アルコールとの共重合体の例としては、下記(4)−3式で示されるスチレン/無水マレイン酸/アリルアルコールの共重合体とポリオキシアルキレングリコールとのグラフト重合体が挙げられる。
【0037】
【化4】
Figure 0003881444
【0038】
シラン系カップリング剤の例としては、γ−グリシドキシプロピル・トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル・トリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル・トリメトキシシラン等が挙げられる。チタネート系カップリング剤の例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等が挙げられる。
【0039】
以上の各種表面処理剤は、単独又は2種以上を混合して使用される。
これら表面処理剤の中で、脂肪酸、燐酸エステル、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のエステル化物の使用が望ましい。
本発明中の複合酸化物粒子に表面処理剤を付着させる方法として、例えば▲1▼複合酸化物と表面処理剤を直接加熱する方法、▲2▼有機溶剤に溶解させた表面処理剤を複合酸化物に直接噴霧又は混合処理後、有機溶剤を除去する方法、▲3▼表面処理剤を溶解させたポリウレタン溶剤中で複合酸化物を分散処理する方法、▲4▼複合酸化物を含有するポリウレタン溶液に表面処理剤を添加混合する方法、▲5▼ポリウレタン弾性繊維を紡糸して巻き取る際に油剤中に溶解又は分散せしめて油剤と共に付着させる方法、▲6▼複合酸化物を含有するポリウレタン弾性繊維と、ポリアミド繊維とからなる交編編地を表面処理剤を溶解又は分散せしめた溶液で処理する方法、及び▲7▼その他各種の公知の方法を用いることができる。好ましくは、表面処理剤を複合酸化物粒子すべてに効率よく直接付着させることのできる、前記▲1▼〜▲4▼例示のコーティングによる方法である。より好ましくは、▲2▼、▲3▼である。
【0040】
コーティングによる付着の具体例を以下に示す。本発明中の複合酸化物と、複合酸化物に対して2重量%のステアリン酸をヘンシェルミキサーの中に入れ加熱、撹はんする方法、複合酸化物と、メタノールに溶解させた複合酸化物に対して4重量%のラウリン酸をコニカルドライヤー中に入れ混合処理を行った後にメタノールを除去する方法、複合酸化物とポリウレタン用溶媒であるジメチルアセトアミドに直接溶解させた、複合酸化物に対して1重量%の、(4)−2式で示されるスチレン/無水マレイン酸共重合体のエステル化物を、ホモミキサーで分散処理する方法等がある。
【0041】
これら表面処理剤を、ポリウレタン弾性繊維を紡糸する以前の紡糸原液の段階で、複合酸化物表面に付着させた場合、、タンニン処理後の塩素耐久性を一層向上させる効果の他に、紡糸原液中で複合酸化物粒子の二次凝集を抑制する効果をも有する。従って、紡糸原液のフィルター詰まりが減少し、紡糸中の糸切れを減少させる効果もある。
【0042】
本発明に用いられるポリウレタンは、例えば、両末端にヒドロキシル基を有し、数平均分子量が600〜5000であるポリマーグリコール、芳香族ジイソシアネート及び多官能性活性水素原子を有する鎖延長剤から製造される。ポリマーグリコールとしては、実質的に線状のホモ又は共重合体からなる各種ジオール、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリアクリルジオール、ポリチオエステルジオール、ポリチオエーテルジオール、ポリカーボネートジオール又はこれらの混合物又はこれらの共重合物等が挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、4,4’ージフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート等が挙げられる。多官能性活性水素原子を有する鎖延長剤としては、例えば、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、ジヒドラジド、水、又はこれらの混合物等を主成分とするものが挙げられる。ポリウレタンは、公知のポリウレタン化反応技術を用いることができる。例えば、ポリアルキレングリコールと芳香族ジイソシアネートとを、芳香族ジイソシアネート過剰の条件下で反応させ、極性溶媒であるジメチルアセトアミド等で溶解しポリウレタンプレポリマー溶液を作成し、次いでこれに鎖伸長剤を反応させることによってポリウレタンが得られる。
【0043】
本発明中の複合酸化物は、通常、ポリウレタン溶液中に添加されるが、ポリウレタン原料中にあらかじめ添加したり 又はポリウレタンプレポリマー反応中や鎖伸長反応中に添加することも可能である。
このポリウレタン溶液に、本発明中の複合酸化物以外に、ポリウレタン弾性繊維に通常用いられる他の化合物、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐ガス安定剤、着色剤、艶消し剤、充填剤等を添加してもよい。
【0044】
このようにして得られたポリウレタン溶液は、公知の乾式紡糸、湿式紡糸等で繊維状に成形し、ポリウレタン弾性繊維を製造することができる。
得られたポリウレタン弾性繊維に、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性シリコン、ポリエーテル変性シリコン、アミノ変性シリコン、鉱物油、鉱物性微粒子、例えばシリカ、コロイダルアルミナ、タルク等、高級脂肪酸金属塩粉末、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等、高級脂肪族カルボン酸、高級脂肪族アルコール、パラフィン、ポリエチレン等の常温で固形状ワックス等の油剤を単独、又は必要に応じて任意に組み合わせ付与してもよい。
【0045】
本発明のポリウレタン弾性繊維は、そのまま裸糸として使用してもよく、他の繊維、例えばポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ウール、アクリル繊維、綿、再生繊維等、従来公知の繊維で被覆して被覆弾性繊維として使用することもできる。
本発明のポリウレタン弾性繊維の用途としては、特に水泳プールで使用される競泳用水着に好適であるが、これに限定されることなく一般の水着、タイツ、パンティストッキング、ファンデーション、靴下、口ゴム、コルセット、包帯、各種スポーツ衣料等にも用いることができる。
【0046】
性能評価のための、各種の前処理及び測定方法を以下に述べる。
[1]破断強度の測定
引張試験機(オリエンテック(株)製商品名UTM−III 100型)を使用し、20℃、湿度65%の条件下で試料長5cmの試験糸を50cm/分の速度で引張破断強度の測定を行う。
[2]有効塩素濃度の測定
塩素水試料25mlを100mlの三角フラスコに秤量し、乾燥済のヨウ化カリウム2gを加えてふり混ぜる。1/100Nのチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、溶液が橙色から薄黄色に変化した時点で澱粉溶液を加える。ヨウ素澱粉反応による青色が消えるまで1/100Nのチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。別に、イオン交換水25mlを採取し、同上の操作により滴定しブランク滴定量を求める。有効塩素濃度Hは、下記(5)式で求まる。
【0047】
Figure 0003881444
但し、Hは有効塩素濃度(ppm)、Vsは塩素水を滴定した時の1/100Nのチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量(ml)、Vbはイオン交換水を滴定した時の1/100Nのチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量(ml)、fは1/100Nのチオ硫酸ナトリウム溶液の力価、Wsは塩素水の重量(g)である。
[3]染色条件処理
試料(染色される繊維)の量に対し2重量%の染料(Irgalan Black BGL200[バイエル(株)製])と硫安12gを9リットルのイオン交換水に溶解し、酢酸でpH4の染色液に調整する。50%伸長下の試料を180℃×1分間熱セット処理し、その後95℃×40分間染色処理する。処理後に10分間水道水の流水中で水洗する。この染色処理を行った試料を一昼夜20℃で風乾する。
[4]タンニン液処理
イオン交換水6リットルにタンニン酸(商品名:ハイフィックスSLA、大日本製薬(株)製)4.5g及び酢酸2.7gを加えた液に、前述の染色条件処理を施した試料を50%伸長下に、処理液が25℃の時点で投入し、その後処理液を50℃まで昇温し、30分間浸漬処理を行う。この後10分間水道水の流水中で水洗する。このタンニン液処理を行った試験糸を一昼夜20℃で風乾する。
[5]塩素耐久性評価
タンニン液処理を行った試料を、次亜塩素酸ナトリウム液(佐々木薬品製)をイオン交換水で希釈して有効塩素濃度3ppmとし、クエン酸と燐酸水素ナトリウムの緩衝液でpHを7に調整した液中に、水温30℃で、50%伸長下で浸漬し、1サイクル8時間にて経時的に試料を採取し、破断強度を測定し、下記(6)式で表される強力保持率ΔTを求める。
【0048】
Figure 0003881444
但し、ΔTは強力保持率(%)、TSは処理後強力(g)、TS0 は処理前強力(g)である。
【0049】
強力保持率が50%になる時間τ1/2(Hr)で塩素耐久性を評価する。
τ1/2(Hr)が大きいほど、塩素耐久性が優れる。
[6]紡糸原液のフィルター詰まり性評価
ポリウレタン紡糸原液を3l/Hrの一定流量で、直径10mmの10μナスロンフィルター(日本精線(株)製)を通過させ、0.1Hr後と2Hr後の送液圧力から下記(7)式で表されるフィルター詰まり圧力上昇率ΔPを求める。
【0050】
Figure 0003881444
但し、P1 は送液0.1Hr後の送液圧力(Kg/cm2)、P2 は送液2Hr後の送液圧力(Kg/cm2)である。
【0051】
ΔPが大きいほど、フィルター詰まりが大きいことを表す。
[7]紡糸安定性評価
ポリウレタン紡糸原液を40μナスロンフィルター(日本精線(株)製)に通過させ、0.2mmφ×5個のノズルから吐出させ乾式紡糸を行い、40デニール/5フィラメントのポリウレタン弾性繊維を一旦巻き取り速度を300m/分に3分間固定後、巻き取り速度を徐々に上昇させ、紡糸筒内で糸切れが発生した時点の巻き取り速度がXm/分であった場合、(8)式にしたがって算出した1フィラメント当たりの極限単糸デニールで紡糸安定性を評価する。
【0052】
極限単糸デニール(d)=40/5×300/X (8)
1フィラメント当たりのデニール(極限単糸デニール)が小さいほど、そのポリウレタンは紡糸安定性が優れている。
[8]2wayトリコット編み地による塩素耐久性評価
フロントにカチオン可染エステル50デニール/17フィラメントのブライト糸(三菱レイヨン(株)製)、バックにポリウレタン弾性繊維を配し、28ゲージ、フロントランナー172cm、バックランナー75cmの編み条件で生機を編成する。次いで、この生機を190℃で1分間セット後、酢酸1.7g/l、硫酸ナトリウム1.0g/lの調整液(pH5)で95℃×60分処理する。最後に、180℃で1分間再度セットし仕上げる。
【0053】
この編み地を緯方向に80%伸長させて水泳用のプールに12時間浸漬と12時間風乾を繰り返す。12時間浸漬中の有効塩素濃度は2.5ppmに常時調整されており、又、12時間風乾は水道水(有効塩素濃度0.3ppm)で濯いでから行う。12時間浸漬から取り出す時に編み地の欠点発生有無を確認し、欠点の発生するまでの日数をその編み地の塩素耐久日数とする。塩素耐久日数が多いほど、塩素耐久性が高い。
[9]2wayトリコット編み地中の塩素耐久剤の定量
2wayトリコット編み地1gを400℃のマッフル電気炉の白金皿中で5時間灰化させる。このように生成させた残差を50%塩酸30mlに溶解し濾過によって不溶解物を除く。次いで、発光分光装置(ICP、日本ジャーレルアッシュ社製IRIS/AP型)で亜鉛又はマグネシウムの濃度を定量し、塩素耐久剤の量F(g/2wayトリコット編み地1g)を求める。一方、2wayトリコット編み地5gをジメチルアセトアミド300mlに浸漬させ、編み地中のポリウレタン弾性繊維を溶解させる。溶解後の編み地は、70℃で15時間乾燥させる。溶解前後の編み地の重量比率から、2wayトリコット編み地中のポリウレタン弾性繊維の混率W(%)を求める。ポリウレタン固形分に対する塩素耐久剤の含有量E(%)は、(9)式によって求めることができる。
【0054】
E(%)=F/(W/100) (9)
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
平均分子量1,800のポリテトラメチレンエーテルグリコール1500g及び 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート312gを、窒素ガス気流中60℃において90分間撹拌しつつ反応させて、両末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを得た。ついで、これを室温まで冷却した後、ジメチルアセトアミド2700gを加え、溶解してポリウレタンプレポリマー溶液を調製した。
【0056】
エチレンジアミン23.4g及びジエチルアミン3.7gを乾燥ジメチルアセトアミド1570gに溶解し、これを前記プレポリマー溶液に室温で添加して、粘度2,200ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液を得た。
ポリウレタン固形分に対して、4,4’ーブチリデンビスー(3ーメチルー6ーtーブチルフェノール)を1重量%、2ー(2’ーヒドロキシー3’ーtーブチルー5’ーメチルフェニル)ー5ークロローベンゾトリアゾールを0.5重量%及び平均粒径1μ以下の3ZnO・ZnAl2 4 複合酸化物(Zn4 Al2 (OH)12(CO3)・3H2 Oの900℃焼成物)4重量%をジメチルアセトアミドに加え、ホモミキサーで分散させ、15重量%分散液を製造し、ポリウレタン溶液と混合した。
【0057】
このポリマー溶液を紡糸速度550m/分、熱風温度330℃で乾式紡糸して40デニール/4フィラメントの糸を製造した。この糸を染色処理、タンニン処理後、塩素耐久性を評価した。
〔実施例2〕
ヘンシェルミキサー中で、ステアリン酸30重量%のエタノール溶液を、実施例1の3ZnO・ZnAl2 4 粒子に噴霧して、粒子重量に対して1重量%のステアリン酸を粒子表面に付着させ、100℃のセーフティオーブン中で乾燥した。表面処理剤で被覆された3ZnO・ZnAl2 4 粒子を用いて実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維を製造した。
【0058】
〔実施例3、4〕
実施例1の3ZnO・ZnAl2 4 の代わりに、Zn3 Al2(OH)10(CO3)・2H2 Oを900℃で焼成して得た2ZnO・ZnAl2 4 及びZn8 Al2(OH)20(CO3)・7H2 Oを900℃で焼成して得た7ZnO・ZnAl2 4 を用いて実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維を製造した。
【0059】
〔実施例5〕
実施例1の3ZnO・ZnAl2 4 の代わりに、1150℃焼成の3ZnO・ZnAl2 4 を用いて実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維を製造した。
〔実施例6〕
実施例1の焼成温度900℃の3ZnO・ZnAl2 4 の代わりに、Zn4 Al2(OH)12(CO3)・3H2 Oの500℃焼成物((Zn,Al)O固溶体)を用いて実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維を製造した。
【0060】
〔実施例7、8〕
実施例1の3ZnO・ZnAl2 4 の代わりに、Mg4 Al2(OH)12(CO3)・3H2 Oを900℃で焼成して得た3MgO・MgAl2 4 及びMg5 ZnAl2(OH)16(CO3)・5H2 Oを450℃で焼成して得た(Mg,Zn,Al)O固溶体)を用いて実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維を製造した。
【0061】
〔比較例1〕
実施例1の3ZnO・ZnAl2 4 の代わりに、Zn1 4 Al2(OH)32(CO3)・13H2 Oを1400℃で焼成して得た13ZnO・ZnAl2 4 を用いて実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維を製造した。
〔比較例2〕
実施例1の3ZnO・ZnAl2 4 の代わりに、Zn1.4 Al2(OH)6.8( CO3)・0.4H2 Oを900℃で焼成して得た0.4ZnO・ZnAl2 4 を用いる以外は実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維を製造した。
【0062】
〔比較例3〕
実施例1の3ZnO・ZnAl2 4 の代わりに、ステアリン酸1重量%を実施例2と同様の方法で粒子表面に付着させたZn4 Al2(OH)12(CO3)・3H2 O(ハイドロタルサイト)を用いて実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維を製造した。
【0063】
〔比較例4、5、6〕
実施例1の3ZnO・ZnAl2 4 の代わりに、酸化亜鉛(市販品高純度99.7%以上で平均粒径1μm以下)及び酸化マグネシウムと酸化亜鉛との固溶体(酸化マグネシウム/酸化亜鉛=65/35)を用いる以外は実施例1と同様にポリウレタン弾性繊維を製造した。実施例1において3ZnO・ZnAl2 4 を添加しないで同様にポリウレタン弾性繊維を製造した。
【0064】
実施例1〜8及び比較例1〜6で得られたポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性及びポリウレタン紡糸原液のフィルター詰まり性、紡糸安定性の評価結果を表1、2に示す。
〔実施例9〕
実施例1で得られたポリウレタン弾性繊維を用いて、2wayトリコット編地を作成し、水泳プール中での塩素耐久性の試験を行った。
【0065】
〔比較例7〕
比較例4で得られたポリウレタン弾性繊維を用いて、2wayトリコット編地を作成し、水泳プール中での塩素耐久性の試験を行った。
実施例9及び比較例7の2wayトリコット編み地の染色処理前後の塩素耐久剤の量と水泳プール中での塩素耐久性の評価結果を表3、4に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0003881444
【0067】
【表2】
Figure 0003881444
【0068】
【表3】
Figure 0003881444
【0069】
【表4】
Figure 0003881444
【0070】
【発明の効果】
本発明のポリウレタン弾性繊維は、塩素が誘発する劣化に対して優れた耐久性を有し、染色後、タンニン液処理を行ってもポリウレタン弾性繊維の変色や塩素水中での膨潤が極めて少ない。従って、この発明のポリウレタン弾性繊維は、繰り返し長期にわたって塩素を含有するプール中で使用される水着に極めて好適である。
【0071】
本発明中の複合酸化物を含有するポリウレタン紡糸原液は、フィルター目詰まりや紡糸時の糸切れが極めて少なく、長期にわたって安定した紡糸を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3ZnO・ZnAl2 4 (900℃焼成)の粉末X線回折パターン図。
【図2】酸化亜鉛の粉末X線回折パターン図。
【図3】3ZnO・ZnAl2 4 (900℃焼成)の電子顕微鏡写真。
【図4】図3の結晶粒子Aの元素分析チャート図。

Claims (9)

  1. 2価金属M2+(但し、M2+は亜鉛及びマグネシウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種を表す)とアルミニウムを含み、アルミニウムに対する2価金属M2+のモル比が1〜5である複合酸化物粒子が、ポリウレタンに対し0.5〜10重量%含有されていることを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
  2. 2価金属M2+(但し、M2+は亜鉛及びマグネシウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種を表す)とアルミニウムを含み、アルミニウムに対する2価金属M2+のモル比が1〜5である複合化合物を焼成して得られる複合酸化物粒子が含有されていることを特徴とする請求項1記載のポリウレタン弾性繊維。
  3. 2価金属M2+(但し、M2+は亜鉛及びマグネシウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種を表す)とアルミニウムを含み、アルミニウムに対する2価金属M2+のモル比が1〜5である複合化合物を300〜1200℃の温度で焼成して得られる複合酸化物粒子が含有されていることを特徴とする請求項1記載のポリウレタン弾性繊維。
  4. 2価金属M2+が亜鉛であることを特徴とする請求項1記載のポリウレタン弾性繊維。
  5. 亜鉛とアルミニウムを含み、アルミニウムに対する2価金属M2+のモル比が1〜5の複合化合物を700〜1200℃の温度で焼成して得られる複合酸化物粒子が、ポリウレタンに対し0.5〜10重量%含有されていることを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
  6. 少なくとも1部の複合酸化物の表面に、脂肪酸、スチレン/無水マレイン酸共重合体及びスチレン/無水マレイン酸共重合体のエステル化物から選ばれた少なくとも1種が付着していることを特徴とする請求項1記載のポリウレタン弾性繊維。
  7. 2価金属M2+(但し、M2+は亜鉛及びマグネシウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種を表す)とアルミニウムを含み、アルミニウムに対する2価金属M2+のモル比が1〜5である複合酸化物粒子が、ポリウレタンに対し0.5〜10重量%含有されたポリウレタン紡糸原液を紡糸することを特徴とするポリウレタン弾性繊維の製造方法。
  8. 亜鉛とアルミニウムを含み、アルミニウムに対する亜鉛のモル比が1〜5である複合化合物を700〜1200℃の温度で焼成して得られる複合酸化物粒子がポリウレタンに対し0.5〜10重量%含有されたポリウレタン紡糸原液を紡糸することを特徴とするポリウレタン弾性繊維の製造方法。
  9. 脂肪酸、スチレン/無水マレイン酸共重合体及びスチレン/無水マレイン酸共重合体のエステル化物から選ばれた少なくとも1種を溶解又は分散させた溶液を、複合酸化物粒子に噴霧又は混合して、複合酸化物粒子の表面に付着させ、これをポリウレタン紡糸原液に混合して紡糸することを特徴とする請求項7記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
JP04420198A 1997-02-13 1998-02-12 ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3881444B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04420198A JP3881444B2 (ja) 1997-02-13 1998-02-12 ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2917097 1997-02-13
JP9-29170 1997-02-13
JP04420198A JP3881444B2 (ja) 1997-02-13 1998-02-12 ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10292225A JPH10292225A (ja) 1998-11-04
JP3881444B2 true JP3881444B2 (ja) 2007-02-14

Family

ID=26367327

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04420198A Expired - Fee Related JP3881444B2 (ja) 1997-02-13 1998-02-12 ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3881444B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6531514B2 (en) * 2000-03-15 2003-03-11 E.I. Du Pont De Nemours And Company Dispersant slurries for making spandex
JP2003113535A (ja) * 2001-10-04 2003-04-18 Toyobo Co Ltd ポリウレタン弾性繊維
WO2006062052A1 (ja) * 2004-12-06 2006-06-15 Asahi Kasei Fibers Corporation ストレッチ織物生地
KR100780602B1 (ko) * 2006-09-04 2007-11-30 태광산업주식회사 항염소성 폴리우레탄우레아 탄성섬유 제조용 조성물
JP5128142B2 (ja) * 2007-02-09 2013-01-23 旭化成せんい株式会社 ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法
JP5688601B2 (ja) 2011-06-23 2015-03-25 東レ・オペロンテックス株式会社 ポリウレタン糸ならびにそれを用いた布帛および水着
JP6425410B2 (ja) * 2014-04-23 2018-11-21 旭化成株式会社 ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10292225A (ja) 1998-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100328109B1 (ko) 폴리우레탄 탄성 섬유 및 이의 제조 방법
KR970009334B1 (ko) 폴리우레탄 조성물
JP4485871B2 (ja) ポリウレタン弾性体及び弾性繊維
JP3881444B2 (ja) ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法
MX2013015258A (es) Hilo de poliuretano, asi como tela y traje de baño que usa el mismo.
US6406788B1 (en) Elastic polyurethane fiber
KR20060046472A (ko) 변색 방지 처리된 내염소성 엘라스탄 섬유
JPH11315202A (ja) 帯電防止性を示すように仕上げられたポリウレタン類およびエラスタン繊維
JPH10168657A (ja) 耐塩素性エラスタン繊維
EP2021537B1 (en) Spandex fibers containing partially dehydroxylated hydrotalcite
JP3716893B2 (ja) ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維からなる染色布帛の製造方法
JP3838773B2 (ja) ポリウレタン弾性繊維及びその弾性布帛
JP4416818B2 (ja) ポリウレタン弾性繊維の製造方法
JP4728874B2 (ja) ポリウレタン弾性繊維および染色助剤
KR20040068490A (ko) 염소저항성 탄성섬유
JP2000119510A (ja) 染色性良好なポリウレタン組成物および染色性改良剤
EP1848845A1 (en) Process for preparing antimicrobial elastic fiber
JP3868097B2 (ja) 交編編地及びその製造方法
JP3883278B2 (ja) ポリウレタン弾性繊維の製造方法及びその水着用弾性布帛
JP4100769B2 (ja) ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法
JP3986679B2 (ja) ポリウレタン弾性繊維とその製造方法
JP2006161239A (ja) ポリウレタン系弾性繊維の処理方法、及び、染色弾性布帛の製造方法
KR100772793B1 (ko) 내염소성 폴리우레탄 탄성섬유

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20040130

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060714

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060725

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061110

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091117

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111117

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111117

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121117

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121117

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131117

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees