JP3716032B2 - 油性消去性マーキングペン用インキ組成物 - Google Patents

油性消去性マーキングペン用インキ組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油性消去性マーキングペン用インキ組成物に関し、特に、非吸収性乃至非浸透性の筆記面、代表的には、所謂白板上に筆記した筆跡がその白板の表面の材料の種類にかかわらず、しかも、温度依存性を改善した消去性にすぐれるマーキングペンインキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非吸収性乃至非浸透性の筆記面、代表的には、所謂白板上に筆記した筆跡を乾布や軟質紙にて軽く擦過することによって、筆記面から拭い去って、筆跡を消去するようにした油性の消去性マーキングペン用インキ組成物が種々知られている。このような消去性マーキングペン用インキ組成物は、一般に、有機溶剤に着色剤及び樹脂と共に、消去性付与剤又は剥離剤といわれる添加剤を配合してなるものである。
【0003】
例えば、特開昭58−42672号公報には、顔料、樹脂、低級脂肪族アルコールを主体とする溶剤及び消去性付与剤とからなる油性消去性マーキングペン用インキ組成物において、樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂を用いると共に、消去性付与剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルのリン酸エステル又は硫酸エステルを配合してなるものが記載されている。
【0004】
また、特開昭60−4574号公報には、顔料、樹脂、有機溶剤及び消去性付与剤とからなる油性消去性マーキングペン用インキ組成物において、消去性付与剤として、トリメチロールアルカン脂肪酸エステルを用いる油性消去性マーキングペン用インキ組成物が記載されている。特開昭62−253678号公報には、消去性付与剤として、トリメチロールアルカン脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとを併用してなるものが記載されている。
【0005】
更に、特開昭64−79280号公報には、消去性付与剤として、脂肪酸エステルとグリセリン脂肪酸エステル(脂肪酸トリグリセリド)と高級脂肪族炭化水素とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとを併用してなる油性消去性マーキングペン用インキ組成物が記載されている。
【0006】
このように、従来、種々の消去性付与剤を用いる油性消去性マーキングペン用インキ組成物が提案されているが、他方において、所謂白板には、その筆記面が琺瑯、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル、ポリプロピレン、フッ素樹脂等、種々の材料が用いられており、従来の油性消去性マーキングペン用インキ組成物は、白板の表面の材料の種類によって、その消去性が異なり、白板によっては、筆記した後、1か月程度放置すれば、筆跡が消去し難い場合がある。即ち、従来のものは、消去性が白板表面の材質依存性を有する。
【0007】
特に、毒性や臭気の問題がないように、有機溶剤として、脂肪族低級アルコールやグリコールモノエーテル等を用いたインキ組成物において、筆跡の消去性が十分でなく、特に、筆記後、長時間が経過した後の消去性、即ち、経時消去性に劣る傾向が著しい。
【0008】
更に、このように、脂肪族低級アルコールを溶剤とする消去性マーキングペンインキ組成物も、従来、幾つかが提案されている。例えば、特開昭61−197662号公報には、低級アルコールを溶剤とし、これに顔料と樹脂とミリスチン酸イソプロピルと高級炭化水素(流動パラフィン)と界面活性剤とを配合してなる消去性マーキングペンインキ組成物が記載されている。しかし、このようなインキ組成物も、流動パラフィン自体が、脂肪族低級アルコールやグリコールモノエーテル等に殆ど溶解しないので、消去性に問題があるほか、消去性が白板表面の材質依存性を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、特に、脂肪族低級アルコールやグリコールモノエーテルを溶剤とする油性消去性マーキングペン用インキ組成物における上述したような種々の問題を解決するために鋭意研究した結果、消去性付与剤として、トリメチロールアルカン脂肪酸エステルと脂肪酸エステルと共にある種の界面活性剤を併用すると共に、樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂を用いることによって、その筆跡が白板の表面の材料にかかわらずに、初期及び経時のいずれの消去性にもすぐれ、更に、消去性の温度依存性の問題をも解決することができることを見出して、本発明に至ったものである。
従って、本発明は、その筆跡が白板の表面の材料にかかわらずに、初期及び経時のいずれの消去性にもすぐれ、更に、消去性の温度依存性を改善した油性消去性マーキングペン用インキ組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による油性消去性マーキングペン用インキ組成物は、
Figure 0003716032
を含むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、マーキングペンとは、中空筒体からなるホルダーとこの中空筒体内のインキ貯蔵室と是に連通する多孔質のペン先とを備え、インキ組成物をこのインキ貯蔵室からペン先に供給して、筆記を可能とする筆記用具である。インキ貯蔵室は、単に、中空筒体内の中空の容器からなるものであってもよく、また、例えば、フェルトや繊維束からなる多孔質体であってよく、この場合、インキ組成物はこれに吸蔵されて、貯蔵される。多孔質のペン先もまた、フェルト、繊維束又は樹脂等からなり、インキ組成物は毛細管現象によって、ペン先に供給されて、筆記を可能とする。
【0012】
本発明による油性消去性マーキングペン用インキ組成物においては、有機溶剤として、特に、得られるインキ組成物に毒性や臭気がないと共に、筆跡が速やかに乾燥する点から、
(a) 炭素数2又は3の低級脂肪族アルコール、及び
(b) エチレングリコールモノアルキルエーテル又はプロピレングリコールモノアルキルエーテル
から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0013】
炭素数2又は3の低級脂肪族アルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコール又はn−プロピルアルコールが用いられる。他方、エチレングリコールモノアルキルエーテル又はプロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はプロピレングリコールモノエチルエーテルが好ましく用いられる。
【0014】
これらのなかでは、特に、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はこれらの2種以上の混合物が好ましく用いられる。特に、上記アルコールは、白板の表面素材として用いられることが多い種々の樹脂を損傷しないので好ましい。
これらの有機溶剤は、インキ組成物に基づいて、通常、70〜90重量%、好ましくは75〜85重量%の範囲で用いられる。インキ組成物に基づいて、有機溶剤が上記範囲外にあるときは、インキ組成物としての適度の粘度が得られないからである。
【0015】
本発明においては、必要に応じて、有機溶剤として上記以外に、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪族カルボン酸アルキルエステル類、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ヘキサン等の揮発性の飽和脂肪族炭化水素類等をインキ組成物に基づいて5重量%以下の範囲で用いることができる。
【0016】
本発明において用いる着色剤は、着色力を有し、粒子径が0.3μm以下であって、インキ組成物において安定な顔料であれば、特に限定されるものではなく、従来、消去性インキ組成物において用いられているもののいずれでもよい。このような顔料として、例えば、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントオレンジ43、クロモフタル DPP レッド BP、イルガジン DPP レッド BO(後二者は、いずれも、チバ・ガイギー社製製品)等を挙げることができる。
【0017】
所謂樹脂加工顔料は、有機溶剤中での分散性にすぐれるので、本発明において、顔料と樹脂とを兼ねるものとして、特に好ましく用いられる。このような樹脂加工顔料を用いる場合には、必ずしも後述する樹脂をインキ組成物に配合しなくともよい利点を有する。かかる樹脂加工顔料としては、例えば、いずれも富士色素(株)製フジASブルー、フジASグリーン、フジASレッド、フジASオレンジ等や、チバ・ガイギー社製マイクロリスブラックC−AB等、種々のものを市販品として入手することができる。
【0018】
このような顔料は、その種類や筆跡の所要濃度等に応じて、適当な量が配合されるが、インキ組成物において、顔料の含量が高すぎるときは、顔料の分散性が悪くなると共に、インキ組成物の粘度が高すぎて、ペン先でインキ組成物が目詰まりを起こしたり、また、書き味が悪くなり、他方、低すぎるときは、インキ組成物としての適度の発色に欠ける。従って、本発明においては、顔料は、インキ組成物に基づいて、通常、1〜10重量%、好ましくは、2〜5重量%の範囲で用いられる。
樹脂は、インキ組成物において、顔料を安定に分散させると共に、インキ組成物に適度の粘性と筆記面への筆跡の適度の付着性を与え、更に、筆記された後は、筆跡の被膜を形成し、筆跡の消去性を助ける作用を有する。
【0019】
本発明によるインキ組成物においては、樹脂成分として、特に、顔料を前記溶剤に安定に分散させることができ、従って、インキ組成物の保存性と消去性を確保するために、ポリビニルブチラール樹脂が用いられる。このポリビニルブチラール樹脂としては、市販品を好適に用いることができる。市販品の具体例として、例えば、電化ブチラール2000L、3000−1、3000−2、3000−K等(いずれも電気化学工業(株)製)、モビタールB20H、B30T等(ヘキスト社製)、エスレックBL−1、BL−2、BL−3、BM−1等( 積水化学工業(株)製)等を挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0020】
ポリビニルブチラール樹脂は、上述したように、顔料を溶剤に安定に分散させることができる効果を有するが、しかし、これを過多に配合するときは、インキ組成物の粘度を高くしすぎ、その消去性を阻害する。他方、配合量が余りに少ないときは、顔料の分散安定性に劣り、筆跡にむらが生じるので好ましくない。従って、本発明においては、ポリビニルブチラール樹脂は、インキ組成物に基づいて、通常、1.5〜10重量%、好ましくは2〜5重量%の範囲で用いられる。
【0021】
本発明によれば、必要に応じて、樹脂として上記以外に、ポリビニルピロリドン、スチレン−アクリル酸共重合樹脂、そのエステル化物、スチレン−マレイン酸共重合物の部分エステル化物、エチルセルロース等をインキ組成物に基づいて、1重量%以下の範囲で用いることができる。
【0022】
本発明による消去性マーキングペンインキ組成物においては、消去性付与剤又は剥離剤として、前記有機溶剤に可溶性であるが、樹脂と相溶せず、更に、蒸気圧が小さく、実質的に不揮発性である次の3種類のもの、即ち、
(a) トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステル、
(b) ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はこれらの塩、及び
(c) 炭素数8〜18の飽和脂肪酸と炭素数4〜20の飽和脂肪族アルコールとのエステルであって、炭素数の合計が20〜32であり、融点が10℃以下である脂肪酸エステル
が用いられる。
【0023】
第1の消去性付与剤は、トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルである。ここに、トリメチロールアルカンの好ましい具例としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン又はトリメチロールブタンを挙げることができるが、特に、トリメチロールプロパンが好ましく用いられる。
トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルは、化学的に単一のものである必要はなく、種々のトリメチロールアルカンの種々の脂肪酸の混合エステルであってもよい。
【0024】
トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルは、好ましくは、トリメチロールプロパン脂肪酸トリエステルであり、なかでも、好ましい具体例として、例えば、トリメチロールプロパンカプロン酸トリエステル、トリメチロールプロパンラウリン酸トリエステル、トリメチロールプロパンラウリン酸ステアリン酸混合トリエステル、トリメチロールプロパンイソステアリン酸トリエステル、トリメチロールプロパン−2−エチルヘキサン酸トリエステル等を挙げることができる。
【0025】
本発明においては、これらのなかでも、特に、トリメチロールプロパンラウリン酸トリエステル、トリメチロールプロパンラウリン酸ステアリン酸混合トリエステル又はトリメチロールプロパン−2−エチルヘキサン酸トリエステルが好ましく用いられる。このようなトリメチロールプロパントリエステルは、市販品を入手することができる。
トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルに代えて、脂肪酸トリグリセリドを用いると、白板の表面の材料によっては、経時消去性が劣ったままである。
【0026】
第2の消去性付与剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はこれらの塩から選ばれる界面活性剤である。このような界面活性剤は、種々の市販品を用いることができる。
【0027】
第3の消去性付与剤は、炭素数8〜18の飽和脂肪酸と炭素数4〜20の飽和脂肪族アルコールとのエステルであって、炭素数の合計が20〜32であり、融点が10℃以下である飽和脂肪酸(一塩基酸)エステルであり、これらは混合物であってもよい。本発明において、飽和脂肪酸エステルは、上記融点を有する代わりに、その曇点が10℃以下であってもよい。
【0028】
上記炭素数8〜18の飽和脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ネオデカン酸(2,2−ジメチルオクタン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等を挙げることができ、他方、炭素数4〜20の飽和脂肪族アルコールとしては、例えば、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、イソオクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール(ドデシルアルコール)、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等を挙げることができる。
【0029】
従って、本発明において用いる好ましい脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、オクタン酸セチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸ステアリル、オクタン酸イソステアリル、ネオデカン酸イソオクチルドデシル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸イソセチル、イソパルミチン酸イソオクチル、イソステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソオクチル等を挙げることができる。
【0030】
これらのなかでは、本発明においては、特に、ステアリン酸イソオクチル(ステアリン酸2−エチルヘキシル)、イソオクタン酸セチル、イソステアリン酸ブチル又はミリスチン酸イソセチルが好ましく用いられる。最も好ましいものは、ステアリン酸イソオクチルである。
飽和脂肪酸エステルの合計炭素数が上記範囲をはずれるときは、いずれも、白板の表面の材料による消去性の依存性が高く、材料によっては、経時消去性が著しく劣る。他方、飽和脂肪酸エステルの融点が10℃を越える場合も、白板の表面の材料によっては、消去性に温度依存性が認められるようになり、低温(例えば、5℃)での消去性が著しく劣ることとなる。
【0031】
これらの第1、第2及び第3の消去性付与剤は、インキ組成物において、それぞれが1〜15重量%、好ましくは、2〜10重量%の範囲で配合される。これらの第1、第2及び第3の消去性付与剤のいずれかの配合量が1重量%よりも少ないときは、消去性が十分ではなく、他方、10重量%よりも多いときは、インキ組成物の粘度が過度に高くなり、インキ組成物の流出性が悪く、書き味が悪くなり、また、消去性付与剤が樹脂との相溶性が低いところから、インキ組成物が保存性に劣るようになる。
【0032】
本発明によれば、このように、第1、第2及び第3の消去性付与剤を併用することによってはじめて、白板の表面が琺瑯、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル、ポリプロピレン、フッ素樹脂等、いずれであっても、初期及び経時消去性共にすぐれ、しかも、消去性の温度依存性を改善することができる。
【0033】
一般に、インキ組成物において、トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルと脂肪酸エステルとを併用するときは、得られるインキ組成物の消去性を阻害する傾向があり、他方、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はこれらの塩は、それらのみをインキ組成物に配合しても、インキ組成物に実用的な消去性を与えることができないが、上記界面活性剤を脂肪酸エステルと併用すれば、脂肪酸エステルによる消去性を改善し得ることは既に知られている。しかし、白板の表面の材料による消去性の材料依存性や、経時消去性と消去性の温度依存性は、改善することができない。
【0034】
本発明によれば、第1、第2及び第3の消去性付与剤を併用することによって消去性の材料依存性と消去性、特に、経時の消去性のみならず、消去性の温度依存性をも改善して、高品質高性能で安全性にもすぐれる油性消去性マーキングペン用インキ組成物を得ることができる。
本発明によるインキ組成物において、必要に応じて、従来より知られている消去性付与剤、例えば、高級炭化水素(流動パラフィン)を併用してもよい。
【0035】
本発明によるインキ組成物は、インキ組成物のペン先での乾燥を防止するために、必要に応じて、ある種のアミンやアミド等、常温で固体の化合物の適宜量を配合してもよく、また、顔料の分散性を高めるために、前記以外の界面活性剤を適宜に配合してもよい。
本発明によるこのような油性消去性マーキングペン用インキ組成物は、従来、知られている通常の方法によって製造することができる。例えば、樹脂加工顔料を溶剤に加え、必要に応じて加熱下に撹拌して、顔料を溶剤中に一様に分散させ、次いで、消去性付与剤と溶剤とを加え、必要に応じて加熱下に撹拌して、溶剤中に溶解させることによって、マーキングペン用インキ組成物を得る。しかし、本発明によるインキ組成物は、その製造方法において、何ら限定されるものではない。
【0036】
【発明の効果】
本発明による油性消去性マーキングペン用インキ組成物は、以上のように、脂肪族低級アルコールやグリコールモノエーテルを溶剤として用いた油性消去性マーキングペン用インキ組成物において、消去性付与剤として、トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルと脂肪酸(一塩基酸)エステルと共にある種の界面活性剤を併用すると共に、樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂を用いることによって、白板の表面の材料にかかわらずに、その筆跡は、初期及び経時のいずれの消去性にもすぐれ、更に、消去性の温度依存性も殆どみられず、かくして、本発明によれば、従来にない高品質高性能で安全性にもすぐれる油性消去性マーキングペン用インキ組成物を得ることができる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、着色剤ほか、各成分の配合量は重量部数を示す。
得られたインキ組成物の消去性の評価は次のような方法によって行なった。初期消去性は、20℃の恒温室にて白板に筆記し、その白板を恒温室に1時間放置した後、筆跡の消去性を調べた。経時消去性は、20℃の恒温室にて白板に筆記し、その白板を恒温室に1か月間放置した後、その消去性を調べた。
【0038】
筆跡の消去性は、25cm2 のイレーザーに所定の重りを載せ、このイレーザーにて上記白板上の筆跡を所定回数擦ったときの筆跡の消去された程度から評価した。◎は重り100g、2往復で消去できた、○は重り200g、5往復で消去できた、△は重り400g、5往復で消去できた、×は重り400g、5往復で消去できなかった、をそれぞれ示す。また、5℃での消去性とは、5℃の恒温室で白板に筆記し、その白板を恒温室に所定時間放置したときの消去性を示す。
【0039】
筆跡の乾燥時間は、20℃の恒温室にて琺瑯白板に筆記し、5秒置きに筆跡を指で擦り、筆跡が延びることなく、消去し得るまでの時間を測定した。溶剤がエタノール、イソプロピルアルコール又はこれらの混合物であるときは、ほぼ20秒以内であり、エチレングリコールモノエチルエーテルであるときは、約1分であった。
【0040】
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【0041】
Figure 0003716032
【0042】
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【0043】
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【0044】
Figure 0003716032
【0045】
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【0046】
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【0047】
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【0048】
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【0049】
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【0050】
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【0051】
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【0052】
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【0053】
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【0054】
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【0055】
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【0056】
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【0057】
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【0058】
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【0059】
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【0060】
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【0061】
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【0062】
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【0063】
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【0064】
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【0065】
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【0066】
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【0067】
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【0068】
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【0069】
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【0070】
Figure 0003716032
【0071】
Figure 0003716032
【0072】
以上の実施例及び比較例によるインキ組成物の白板上での初期及び経時消去性を表1から表4に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0003716032
【0074】
【表2】
Figure 0003716032
【0075】
【表3】
Figure 0003716032
【0076】
【表4】
Figure 0003716032
【0077】
以上の実施例及び比較例に示すように、本発明のインキ組成物によれば、白板の表面の材料にかかわらず、初期及び経時のいずれの消去性にもすぐれており、しかも、その消去性には、殆ど温度依存性がみられない。
【0078】
これに対して、比較例1及び4のインキ組成物は、消去性付与剤として、ジオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルのみを配合したものであり、比較例2のインキ組成物は、消去性付与剤として、トリメチロールプロパン脂肪酸トリエステルのみを配合したものであり、比較例3のインキ組成物は、消去性付与剤として、脂肪酸エステルのみを配合したものであり、概して、消去性が悪く、特に、経時消去性に劣る。
【0079】
比較例5及び9のインキ組成物は、消去性付与剤として、トリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル又は硫酸エステルと脂肪酸エステル(発明の規定内)とを配合したものであり、比較例6のインキ組成物は、消去性付与剤として、トリメチロールプロパン脂肪酸トリエステルと脂肪酸エステル(発明の規定内)とを配合したものであり、比較例7及び8は、消去性付与剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル又は硫酸エステルとトリメチロールプロパン脂肪酸トリエステルとを配合したものであり、いずれも、比較例1〜4のインキ組成物に比べれば、概ね、初期消去性は改善されているものの、経時消去性については、白板の表面の材料依存性が高く、材料によっては、経時消去性が著しく劣っている。
【0080】
比較例10のインキ組成物は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとトリメチロールプロパン脂肪酸トリエステルを含むが、脂肪酸エステルがラウリン酸ヘキシルであって、その合計炭素数が本発明で規定する範囲よりも少なく、経時消去性に劣る。
【0081】
比較例11のインキ組成物は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとトリメチロールプロパン脂肪酸トリエステルを含むが、脂肪酸エステルがステアリン酸ブチルであって、その融点が10℃を越えているので、白板の表面の材料の一部については、経時消去性が改善されているが、他の一部の材料については、経時消去性が劣るままである。また、消去性の温度依存性が改善されていない。
【0082】
比較例12のインキ組成物は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとトリメチロールプロパン脂肪酸トリエステルを含むが、脂肪酸エステルがイソステアリン酸イソセチルであって、その合計炭素数が本発明で規定する範囲を越えている。白板の表面の材料の一部については、初期及び経時のいずれの消去性についても、白板の表面の材料依存性が高いままであり、消去性が劣っている。
【0083】
比較例13のインキ組成物は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルと脂肪酸エステル(発明の規定内)を含むが、トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルに代えて、脂肪酸トリグリセリドを配合したものであって、白板の表面の材料の一部については、初期及び経時のいずれの消去性についても、白板の表面の材料依存性が高いままであり、経時消去性に劣るものもある。
【0084】
比較例14のインキ組成物は、初期の消去性は比較的よいものの、白板の表面素材によっては、経時消去性が著しく劣る。
以上の実施例及び比較例によるインキ組成物において用いた材料は次のとおりである。
加工顔料
【0085】
【表5】
Figure 0003716032
【0086】
マイクロピグモ ブラック(ポリビニルブチラール樹脂を10.3重量%、C.I.77266を10.3重量%、エチルアルコール混合溶剤79.4重量%からなる加工顔料ベース(オリエント化学工業(株)製)
【0087】
ポリビニルブチラール樹脂
電化ブチラール2000L(電気化学工業(株)製)
エスレックBL−1(積水化学工業(株)製)
【0088】
トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステル
エヌジェルブTPO(トリメチロールプロパンカプリン酸トリエステル(新日本理化(株)製)
ユニスターH−310(トリメチロールプロパンカプリン酸トリエステル)、
ユニスターH−334R(トリメチロールプロパンラウリン酸ステアリン酸混合トリエステル)
ユニスターH−312R(トリメチロールプロパンラウリン酸トリエステル)
(いずれも日本油脂(株)製)
トリアラン308(トリメチロールプロパン−2−エチルヘキサン酸トリエステル)
トリアラン318(トリメチロールプロパンイソステアリン酸トリエステル)
(いずれも日光ケミカルズ(株)製)
【0089】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル
ニッコールTCP−5(ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム)
ニッコールDDP−2(ジオキシエチレンアルキルエーテルリン酸)
ニッコールTDP−4(トリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸)
(いずれも日光ケミカルズ(株)製)
プライサーフA212C(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸)
プライサーフA208S(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸)
プライサーフA207H(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸)
(いずれも第一工業製薬(株)製)
【0090】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル
ハイテノール08(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩)(第一工業製薬(株)製)
ニッコールSBL−2T−36(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン)
ニッコールNES−303−36(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン)
(いずれも日光ケミカルズ(株)製)
【0091】
脂肪酸トリグリセリド
ニッコールトリファットS308(トリス(2−エチルヘキサン酸)グリセリド)(日光ケミカルズ(株)製)
【0092】
脂肪酸エステル
【0093】
【表6】
Figure 0003716032
【0094】
【表7】
Figure 0003716032
【0095】
流動パラフィン
ホワイトミネラルオイル(三光化学工業(株)製流動パラフィン、平均分子量400)
その他
ソフター1000(アルキルアミドアルコール)
ソフター706(アルキルアミドアルコール)
(いずれも日本油脂(株)製)

Claims (7)

  1. Figure 0003716032
    を含むことを特徴とする油性消去性マーキングペン用インキ組成物。
  2. エチレングリコールモノアルキルエーテル又はプロピレングリコールモノアルキルエーテルがメチル又はエチルエーテルである請求項1に記載の油性消去性マーキングペン用インキ組成物。
  3. トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルがトリメチロールプロパン脂肪酸トリエステルである請求項1に記載の油性消去性マーキングペン用インキ組成物。
  4. 脂肪酸エステルがステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸イソセチル、イソステアリン酸ブチル及びイソオクタン酸セチルから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の油性消去性マーキングペン用インキ組成物。
  5. トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルがトリメチロールプロパンラウリン酸トリエステル、トリメチロールプロパンラウリンステアリン酸混合トリエステル及びトリメチロールプロパン2−エチルヘキサン酸トリエステルから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の油性消去性マーキングペン用インキ組成物。
  6. Figure 0003716032
    を含む請求項1に記載の油性消去性マーキングペン用インキ組成物。
  7. Figure 0003716032
    を含む請求項1に記載の油性消去性マーキングペン用インキ組成物。
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