JP4614496B2 - 油性消去性マーキングペン用インキ組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油性消去性マーキングペン用インキ組成物に関し、特に、非吸収性乃至非浸透性の筆記面、代表的には、所謂白板上に筆記した筆跡がその白板の表面の材料の種類にかかわらず、初期及び経時の消去性にすぐれる油性消去性マーキングペンインキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非吸収性乃至非浸透性の筆記面、代表的には、所謂白板上に筆記した筆跡を柔らかい布帛からなるイレーザー(白板拭き)にて軽く擦過することによって、筆記面から拭い去って、筆跡を消去するようにした油性の消去性マーキングペン用インキ組成物が種々知られている。このような消去性マーキングペン用インキ組成物は、一般に、有機溶剤に着色剤及び樹脂と共に、消去性付与剤又は剥離剤といわれる添加剤を配合してなるものである。
【0003】
例えば、特開昭58−42672号公報には、顔料、樹脂、低級脂肪族アルコールを主体とする溶剤及び消去性付与剤とからなる油性消去性マーキングペン用インキ組成物において、樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂を用いると共に、消去性付与剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルのリン酸エステル又は硫酸エステルを配合してなるものが記載されている。
【0004】
また、特開昭60−4574号公報には、顔料、樹脂、有機溶剤及び消去性付与剤とからなる油性消去性マーキングペン用インキ組成物において、消去性付与剤として、トリメチロールアルカン脂肪酸エステルを用いるものが記載されている。特開昭62−253678号公報には、消去性付与剤として、トリメチロールアルカン脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとを併用してなるものが記載されている。
【0005】
更に、特開昭64−79280号公報には、消去性付与剤として、脂肪酸エステルとグリセリン脂肪酸エステル(脂肪酸トリグリセリド)と高級脂肪族炭化水素とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとを併用してなる油性消去性マーキングペン用インキ組成物が記載されている。
【0006】
他方、特公平1−49391号公報や特公平3−32590号公報には、アルコール系又はグリコール系溶剤、着色剤、高級脂肪酸エステル及び樹脂に加えて、ショ糖脂肪酸エステルを配合して、ペン先を長時間、大気中に露出した場合でも、インキ組成物がペン先で乾燥しないようにした油性消去性マーキングペン用インキ組成物が提案されている。
【0007】
このように、従来、種々の消去性付与剤を用いる油性消去性マーキングペン用インキ組成物が提案されているが、他方において、所謂白板には、その筆記面が琺瑯、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂等、種々の材料が用いられており、従来の油性消去性マーキングペン用インキ組成物は、白板の表面の材料の種類によって、その消去性が異なり、白板によっては、筆記した後、1か月程度放置すれば、筆跡が消去し難い場合がある。即ち、従来のものは、消去性が白板表面の材質依存性を有する。
【0008】
特に、毒性や臭気の問題がないように、有機溶剤として、脂肪族低級アルコールを用いたインキ組成物において、その消去性の白板表面の材質依存性が著しいほか、筆跡の消去性自体が十分でない。更に、筆記後、長時間が経過した後の消去性、即ち、経時消去性に劣る傾向が著しい。
【0009】
そこで、特開平9−279079号公報には、低級脂肪族アルコール系溶剤、顔料、ポリビニルブチラール樹脂、脂肪酸エステル、トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルを含む油性消去性マーキングペン用インキ組成物が提案されている。しかし、このインキ組成物においても、例えば、メラミン樹脂白板の品質によっては、経時の消去性が十分でない場合がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、特に、脂肪族低級アルコールを溶剤とする油性消去性マーキングペン用インキ組成物における上述したような種々の問題を解決するために鋭意研究した結果、消去性付与剤として、高級脂肪酸エステルと共にトリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルを併用し、樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂を用いると共に、界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとHLB値が2〜7の範囲にあるショ糖脂肪酸エステルを併用することによって、その筆跡が白板の表面の材料にかかわらずに、初期及び経時のいずれの消去性にもすぐれ、特に、メラミン樹脂白板上での経時の消去性を改善した油性消去性マーキングペン用インキ組成物を得ることができることを見出して、本発明に至ったものである。
【0011】
従って、本発明は、その筆跡が白板の表面の材料にかかわらずに、初期及び経時のいずれの消去性にもすぐれ、特に、メラミン樹脂白板上での経時の消去性を改善した油性消去性マーキングペン用インキ組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明による油性消去性マーキングペン用インキ組成物は、低級脂肪族アルコール系溶剤から選ばれる少なくとも1種の溶剤、顔料、ポリビニルブチラール樹脂、高級脂肪酸エステルとトリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルとからなる剥離剤と共に、更に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル1〜5重量%とHLB値が2〜7の範囲にあるショ糖脂肪酸エステル0.1〜0.5重量%を含むことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、マーキングペンとは、第1には、フェルトペンともいわれる筆記具であって、フェルト、繊維束、筒状の本体の先端にプラスチック成形物等からなるペン先を備えると共に、本体内にフェルト、繊維束等にインキを含浸させてなるインキ貯蔵手段を備え、このようなインキ貯蔵手段からペン先に毛細管現象を利用してインキを供給し、筆記を可能とする筆記具、所謂中芯式マーキングペンをいい、第2には、筒状の本体内にインキをそのまま、直接に貯蔵し、このインキをペン先に供給するようにした非中芯式又は所謂フリー・インキ型マーキングペンをいい、本発明による油性消去性マーキングペンインキ組成物は、このような筆記具に好適に用いることができる。
【0014】
本発明による油性消去性マーキングペン用インキ組成物においては、溶剤として、低級脂肪族アルコールが用いられる。上記低級脂肪族アルコール系溶剤としては、特に、炭素数1〜4の低級脂肪族アルコールが好ましく、このようなアルコール系溶剤の具体例として、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等を挙げることができる。このようなアルコール系溶剤のなかでは、特に、エタノールやn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールが好ましい。これらのアルコール系溶剤は、単独で、又は2種以上の混合物して用いられる。
【0015】
必要に応じて、上記低級脂肪族アルコール系溶剤と共に、グリコール系溶剤を併用してもよい。このようなグリコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール又はジプロピレングリコール等の炭素数2〜6のモノ又はジアルキレングリコールのモノアルキルエーテル又はモノアルキルエーテルアルキレートが用いられる。
【0016】
モノ又はジアルキレングリコールのモノアルキルエーテルの具体例としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等を挙げることができる。また、モノ又はジアルキレングリコールのモノアルキルエーテルアルキレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
【0017】
本発明において、このような溶剤は、インキ組成物において、通常、40〜80重量%、好ましくは、50〜70重量%の範囲で用いられる。溶剤の割合が多すぎるときは、所要の濃度の筆跡を得ることができない。しかし、溶剤の割合が少なすぎるときは、得られるインキ組成物の粘度が高すぎて、筆記性が悪くなって、筆跡が割れたり、掠れたりし、また、顔料や樹脂等のインキ組成物への溶解性が悪くなる。
【0018】
本発明によるインキ組成物は、顔料が着色剤として用いられる。顔料としては、着色力を有し、インキ組成物において安定であれば、特に限定されるものではなく、従来、消去性インキ組成物において用いられているもののいずれでもよい。このような顔料として、例えば、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントオレンジ43、クロモフタル DPP レッド BP、イルガジン DPP レッド BO(後二者は、いずれも、チバ・ガイギー社製製品)等を挙げることができる。
【0019】
所謂樹脂加工顔料は、有機溶剤中での分散性にすぐれるので、本発明においては、特に、樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(PVB樹脂)を用いた樹脂加工顔料が顔料と樹脂とを兼ねるものとして好ましく用いられる。このようなポリビニルブチラール樹脂加工顔料を用いる場合には、必ずしも後述するポリビニルブチラール樹脂をインキ組成物に配合しなくともよい利点を有する。かかる樹脂加工顔料としては、例えば、いずれも富士色素(株)製フジASブラック、フジASレッド、フジASブルー、フジASグリーン等、種々のものを市販品として入手することができる。
【0020】
このような顔料は、その種類や筆跡の所要濃度等に応じて、適当な量が配合されるが、インキ組成物において、顔料の含量が高すぎるときは、顔料の分散性が悪くなると共に、インキ組成物の粘度が高すぎて、ペン先でインキ組成物が目詰まりを起こしたり、また、書き味が悪くなり、他方、低すぎるときは、インキ組成物としての適度の発色に欠ける。従って、本発明においては、顔料は、インキ組成物に基づいて、通常、1〜10重量%、好ましくは、2〜5重量%の範囲で用いられる。
【0021】
インキ組成物において、樹脂は、顔料を有機溶剤中に安定に分散させると共に、インキ組成物に適度の粘性と筆記面への筆跡の適度の付着性を与え、更に、筆記された後は、筆跡の被膜を形成し、筆跡の消去性を助ける作用を有する。
【0022】
本発明によるインキ組成物においては、樹脂として、特に、顔料を前記低級脂肪族アルコール系溶剤に安定に分散させることができ、従って、インキ組成物の保存性と消去性を確保するために、ポリビニルブチラール樹脂が用いられる。このポリビニルブチラール樹脂としては、市販品を好適に用いることができる。市販品の具体例として、例えば、電化ブチラール2000L、3000−1、3000−2、3000−K等(いずれも電気化学工業(株)製)、モビタールB20H、B30T等(ヘキスト社製)、エスレックBL−1、BL−2、BL−3、BM−1等( 積水化学工業(株)製)等を挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0023】
ポリビニルブチラール樹脂は、上述したように、顔料を溶剤に安定に分散させることができる効果を有するが、しかし、これを過多に配合するときは、インキ組成物の粘度を高くしすぎ、その消去性を阻害する。他方、配合量が余りに少ないときは、顔料の分散安定性に劣り、筆跡にむらが生じるので好ましくない。従って、本発明においては、ポリビニルブチラール樹脂は、インキ組成物に基づいて、通常、2〜10重量%、好ましくは、3〜6重量%の範囲で用いられる。
【0024】
本発明によれば、必要に応じて、樹脂として上記以外のもの、例えば、ポリビニルピロリドン、スチレン−アクリル酸共重合樹脂、そのエステル化物、スチレン−マレイン酸共重合物の部分エステル化物、エチルセルロース等をインキ組成物に基づいて、1重量%以下の範囲で用いることができる。
【0025】
本発明による油性消去性マーキングペンインキ組成物においては、消去性付与剤又は剥離剤として、前記有機溶剤に可溶性であるが、樹脂と相溶せず、更に、蒸気圧が小さく、実質的に不揮発性である高級脂肪酸エステルとトリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルとが用いられる。
【0026】
上記高級脂肪酸エステルは、好ましくは、炭素数8〜18の飽和脂肪酸と炭素数4〜20の飽和脂肪族アルコールとのエステルであって、炭素数の合計が20〜32であり、融点が10℃以下である飽和脂肪酸(一塩基酸)エステルであり、これらは混合物であってもよい。本発明において、飽和脂肪酸エステルは、上記融点を有する代わりに、その曇点が10℃以下であってもよい。
【0027】
上記炭素数8〜18の飽和脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ネオデカン酸(2,2−ジメチルオクタン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等を挙げることができ、他方、炭素数4〜20の飽和脂肪族アルコールとしては、例えば、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、イソオクチルアルコール、カプリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール(ドデシルアルコール)、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等を挙げることができる。
【0028】
従って、本発明において用いる好ましい脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、2−エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸ステアリル、オクタン酸イソステアリル、ネオデカン酸イソオクチルドデシル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸イソセチル、イソパルミチン酸イソオクチル、イソステアリン酸ブチル、ステアリン酸2−エチルヘキシル等を挙げることができる。
【0029】
これらのなかでは、本発明においては、特に、ステアリン酸2−エチルヘキシルや2−エチルヘキサン酸セチル等が好ましく用いられる。
【0030】
このような脂肪酸エステルは、インキ組成物に基づいて、2〜8重量%、好ましくは、2.5〜5重量%の範囲で用いられる。配合割合が2重量%よりも少ないときは、インキ組成物に基本的な消去性を与えることができず、他方、8重量%を超えるときは、インキ組成物を過多に高粘度とするので、筆記性が悪くなり、また、筆跡に所謂弾きが生じる。
【0031】
本発明によれば、消去性付与剤又は剥離剤として、上記高級脂肪酸エステルと共にトリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルを併用することによって、得られるインキ組成物の特にメラミン樹脂白板上での経時の消去性を改善することができる。ここに、トリメチロールアルカンの好ましい具例としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン又はトリメチロールブタンを挙げることができるが、特に、トリメチロールプロパンが好ましく用いられる。
【0032】
トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルは、化学的に単一のものである必要はなく、種々のトリメチロールアルカンの種々の脂肪酸の混合エステルであってもよい。
【0033】
トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルは、好ましくは、トリメチロールプロパン脂肪酸トリエステルであり、なかでも、好ましい具体例として、例えば、トリメチロールプロパンカプロン酸トリエステル、トリメチロールプロパンラウリン酸トリエステル、トリメチロールプロパンラウリン酸ステアリン酸混合トリエステル、トリメチロールプロパンイソステアリン酸トリエステル、トリメチロールプロパン−2−エチルヘキサン酸トリエステル等を挙げることができる。
【0034】
本発明においては、これらのなかでも、特に、トリメチロールプロパンラウリン酸トリエステル、トリメチロールプロパンラウリン酸ステアリン酸混合トリエステル又はトリメチロールプロパン−2−エチルヘキサン酸トリエステルが好ましく用いられる。このようなトリメチロールプロパントリエステルは、市販品を入手することができる。
【0035】
本発明によれば、消去性付与剤として、上記高級脂肪酸エステルとトリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルとが併用されると共に、界面活性剤として、特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル1〜5重量%とHLB値が2〜7の範囲にあるショ糖脂肪酸エステル0.1〜0.5重量%とが併用される。
【0036】
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルはアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩でもよい。このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルは、ショ糖脂肪酸エステルと共に、前記剥離剤によるインキ組成物の白板上での消去性、特に、メラミン樹脂白板上での経時の消去性を高める効果を有する。インキ組成物において、その配合割合が1重量%よりも少ないときは、インキ組成物のメラミン樹脂白板上での経時の消去性を高める効果に乏しく、他方、5重量%を超えるときは、インキ組成物の消去性を却って悪くし、更に、インキ組成物の保存性をも悪くする。本発明によれば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルは、インキ組成物において、好ましくは、2〜4重量%の範囲で含まれる。
【0037】
他方、上記ショ糖脂肪酸エステルは、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルと共に、インキ組成物の消去性の白板表面の素材依存性をなくし、白板の表面の素材の如何にかかわらず、インキ組成物にすぐれた消去性、特に、メラミン樹脂白板上での経時のすぐれた消去性を与える。ショ糖脂肪酸エステルは、好ましくは、インキ組成物において、0.2〜0.4重量%の範囲で含まれる。
【0038】
ショ糖脂肪酸エステルのHLB値が7を超えるときは、インキ組成物の消去性の白板表面の依存性、特に、メラミン樹脂白板上での経時の消去性を改善することができない。しかし、ショ糖脂肪酸エステルのHLB値が2よりも小さいときは、溶剤への溶解度が非常に小さく、所要量をインキ組成物に配合することが困難となる。同様に、その配合割合が0.5重量%を超えるときも、溶剤に溶解し難くなり、インキ組成物中に不溶分として残存したり、また、インキ組成物中で析出することがある。しかし、0.1重量%よりも少ないときは、メラミン樹脂白板上での経時の消去性を改善することができない。
【0039】
本発明において、上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸成分は、特に、限定されるものではなく、炭素数2〜30の飽和又は不飽和脂肪酸であってよいが、好ましくは、炭素数5〜22、特に、好ましくは、炭素数12〜20の飽和又は不飽和脂肪酸である。
【0040】
本発明による油性マーキングペン用インキ組成物は、必要に応じて、粘度調整剤、構造粘性付与剤、乾燥性付与剤等、種々の添加剤を適量配合してもよい。
【0041】
本発明による油性消去性マーキングペン用インキ組成物は、その製造方法において、特に、限定されないが、例えば、樹脂加工顔料を溶剤に加え、加熱攪拌して溶解させた後、これに更に溶剤と他の成分を加え、攪拌、混合して、調製することができる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において示すインキ組成物の成分の量は重量部にて表示されている。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
得られたインキ組成物の消去性の評価は次のような方法によって行なった。上記実施例及び比較例によるインキ組成物をそれぞれ中芯式マーキングペンに充填した。初期消去性は、20℃の恒温室にて白板に筆記し、その白板を恒温室に1時間放置した後、筆跡の消去性を調べた。経時消去性は、20℃の恒温室にて白板に筆記し、その白板を恒温室に1か月間放置した後、その消去性を調べた。
【0052】
筆跡の消去性は、25cm2 のイレーザーに所定の重りを載せ、このイレーザーにて上記白板上の筆跡を所定回数擦ったときの筆跡の消去された程度から評価した。◎は重り100g、2往復で消去できた、○は重り200g、5往復で消去できた、△は重り400g、5往復で消去できた、×は重り400g、5往復で消去できなかった、をそれぞれ示す。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】
本発明による油性消去性マーキングペン用インキ組成物は、消去性付与剤として、高級脂肪酸エステルと共にトリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルを併用し、樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂を用いると共に、界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとHLB値が2〜7の範囲にあるショ糖脂肪酸エステルを併用することによって、その筆跡が白板の表面の材料にかかわらずに、初期及び経時のいずれの消去性にもすぐれ、特に、メラミン樹脂白板上での経時の消去性が改善されている。
Claims (2)
- 炭素数1〜4の低級脂肪族アルコール系溶剤から選ばれる少なくとも1種の溶剤、顔料、ポリビニルブチラール樹脂、炭素数8〜18の飽和脂肪酸と炭素数4〜20の飽和脂肪族アルコールとのエステルであって、炭素数の合計が20〜32であり、融点又は曇点が10℃以下である飽和脂肪酸エステルとトリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルとからなる剥離剤と共に、更に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル1〜5重量%とHLB値が2〜7の範囲にあるショ糖脂肪酸エステル0.1〜0.5重量%を含むことを特徴とする油性消去性マーキングペン用インキ組成物。
- トリメチロールアルカン脂肪酸トリエステルにおけるトリメチロールアルカンがトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン又はトリメチロールブタンである請求項1に記載の油性消去性マーキングペン用インキ組成物。
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