JP5390158B2 - 筆記板用油性インキ組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ホワイトボードなどの筆記板用に好適な筆記板用油性インキ組成物に関し、更に詳しくは、インキの経時安定性に優れ、しかも、筆記描線の消去性に優れた筆記板用油性インキ組成物に関する。
従来より筆記板用インキ組成物は、多種多様のインキ組成が知られている。例えば、顔料、樹脂、溶剤及び添加剤からなる拭き消し可能な筆記板用マーキングインキにおいて、添加剤として、脂肪族二塩基酸エステルと、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル、炭素数12以下の飽和脂肪酸からなるトリグリセリド等からなる群から選ばれる物質と、全炭素数20以上の脂肪族一塩基酸の脂肪族アルコールエステルの3種を併用してなる筆記板用マーキングインキ(例えば、特許文献1参照)や、顔料、樹脂、有機溶剤及び添加剤とからなり、メラミン樹脂、ほうろう又はフツ素樹脂からなる筆記面に筆記するための消去性マーキングペンインキ組成物において、添加剤が炭素数6以上の脂肪酸と脂肪族アルコールとの一塩基酸エステル、脂肪酸トリグリセリド、常温で液状の高級脂肪族炭化水素及びポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルであることを特徴とする消去性マーキングペンインキ組成物(例えば、特許文献2参照)が知られている。
しかしながら、これらの筆記板用インキ組成物は、剥離剤としての高級脂肪酸エステルと、消去付与剤としての界面活性剤などを添加してなるものであり、飽和脂肪酸のトリグリセリドは、エチレンオキシドを含まず、剥離剤として使用されてきており、また、消去付与剤はポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル、リン酸エステル等のイオン系の界面活性剤が使用されてきているが、これらの筆記板用インキ組成物は、そのイオン系の性質から、顔料の分散系を不安定にし、結果としてインキで凝集が起こり、筆記不良の課題を有しているものである。
また、筆記板用マーキングインキの消去付与剤としてグリセリントリポリエチレンプロピレングリコールエーテルのような分岐鎖を有するアルキレングリコール重縮合物と、ブトキシヒマシ油脂肪酸−3−ペンチルオクチルエステルのような分岐鎖を有する高級脂肪酸と分岐鎖を有するアルコールからなる高級脂肪酸エステルを含有する筆記板用マーキングインキ(例えば、特許文献3参照)や、消去付与剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン系界面活性剤を含有してなる筆記板用マーキングインキ(例えば、特許文献4参照)が知られている。
しかしながら、上記特許文献3の筆記板用マーキングインキに用いられるアルキレングリコール縮合物は、ポリアルキレングリコールのみの集合体であるため界面活性が弱く、結果として消去性が十分ではなく、また、高級脂肪酸としてのブトキシヒマシ油脂肪酸−3−ペンチルオクチルエステルは、いわゆる剥離剤として使用した場合は、剥離性が不十分で消去時に筆記板を汚してしまうという課題を抱えており、更に、消去付与剤として使用した場合は、極性が弱く、消去性は不十分であった。
上記特許文献4に記載される筆記板用マーキングインキでは、ポリオキシエチレンを分子構造中に含むものの、アルキルエーテル型であるため、硬化ヒマシ油とは異なり、エステル結合は含まないため、本発明のポリオキシエチレン(ポリオキシエチレン以外のポリオキシアルキレンを含まない)水素添加硬化ヒマシ油とはその物性が異なり、また消去性も十分ではない点に課題がある。
更に、消去付与剤として、ひまし油のトリリシノレイン酸グリセライドの脂肪酸エステル部の3個のOH基にブロックポリマーのポリオキシエチレンポリオキシポリプロピレンがエーテル結合したものを添加してなる筆記板用マーキングインキ組成物が知られている(例えば、特許文献5参照)、
しかしながら、このトリリシノレイン酸は、不飽和結合を有し、更には脂肪酸付加アルキレングリコールが、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンの混合であることは、本願発明のポリオキシエチレン(ポリオキシエチレン以外のポリオキシアルキレンを含まない)水素添加硬化ヒマシ油とは異なるものであり、しかも、消去性が十分ではない点に未だ課題がある。
特公昭62−9149号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特公平8−6062号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特公平5−69869号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特公平1−23513号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平6−128522号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、インキの経時安定性に優れ、しかも、筆記描線の初期消去性及び経時消去性に優れた筆記板用油性インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、顔料と、特定物性の低級アルコールと、特定の分散剤及び剥離剤と、消去付与剤として特定のポリオキシエチレン水素添加硬化ヒマシ油とを少なくとも含有せしめることにより、上記目的の筆記板用油性インキ組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) 顔料と、沸点が120℃未満の低級アルコールと、分散剤としてポリビニルブチラール樹脂と、剥離剤として高級アルコールと高級カルボン酸とからなる高級脂肪酸エステルと、消去付与剤として下記式で示されるHLB値が9〜14であるポリオキシエチレン(ポリオキシエチレン以外のポリオキシアルキレンを含まない)水素添加硬化ヒマシ油とを少なくとも含有することを特徴とする筆記板用油性インキ組成物。
Figure 0005390158
(2) 更に、高級アルコールと二塩基酸との高級脂肪酸ジエステルを含有することを特徴とする上記(1)に記載の筆記板用油性インキ組成物。
(3) ポリオキシエチレン水素添加硬化ヒマシ油を構成する脂肪酸が、12−ヒドロキシオクタデカン酸であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の筆記板用油性インキ組成物。
本発明によれば、インキの経時安定性に優れ、しかも、筆記描線の消去性に優れた筆記板用油性インキ組成物が提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の筆記板用油性インキ組成物は、顔料と、沸点が120℃未満の低級アルコールと、分散剤としてポリビニルブチラール樹脂と、剥離剤として高級アルコールと高級カルボン酸とからなる高級脂肪酸エステルと、消去付与剤として下記式で示されるHLB値が9〜14であるポリオキシエチレン(ポリオキシエチレン以外のポリオキシアルキレンを含まない)水素添加硬化ヒマシ油を少なくとも含有することを特徴とするものである。
Figure 0005390158
本発明に用いる顔料としては、筆記板用に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボンブラック等の無機顔料や、アゾ系顔料、縮合ポリアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、金属錯塩顔料、チオインジゴ顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等の有機顔料が挙げられ、更に、表面を樹脂コーティングで加工した加工顔料、例えば、マイクロリスAタイプ各種、ASブラック、ASブルー、IKレッド等も使用することができる。
用いることができるカーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等が挙げられる。舞台的には、市販品の#1000、MA100、#990,#980、#970、#960、#52、MCF88(以上、三菱化学社製)、モナーク1000、モナーク800、モーグルL、リーガル400R(以上、キャボット社製)、カラーブラックFW200、カラーブラックFW1、スペシャルブラック5、プリンテックスU、スペシャルブラック25、プリンテックス35、プリンテックス45、プリンテックス85、スペシャルブラック10(以上、デグサ社製)等が挙げられる。
これらの顔料は、夫々単独で又は2種以上混合して使用することが可能であり、その含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、1〜20重量%(以下、単に「%」という)、更に好ましくは、2〜15%が望ましい。また、上記顔料と共に、油溶性染料、スピリットソルブル染料等のソルベント染料、ロイコ染料などの染料を併用することもできる。
この顔料の含有量が1%未満であると、描線濃度が不十分となり、一方、20%を超えると、筆記性が悪くなったり、消去性が悪くなったりし、好ましくない。
本発明に用いる沸点が120℃未満の低級アルコールとしては、例えば、エチルアルコ−ル、n−プロピルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、メチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の低級アルコール(変性、無変性含む)が挙げられる。
なお、沸点が120℃を超えるアルコール、例えば、n−ペンチルアルコール等は、描線の乾燥性が遅く(20秒以上と)なり、好ましくない。
これらの低級アルコールは、夫々単独で又は2種以上混合して使用することが可能であり、その含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、50〜90%、更に好ましくは、70〜85%が望ましい。
この低級アルコールの含有量が50%未満であると、インク粘度が大きくなり、良好なインク流出が得られなくなり、一方、90%を超えると、描線が薄くなり、好ましくない。
本発明に用いるポリビニルブチラール樹脂(PVB樹脂)は、上記溶剤となる低級アルコールに溶解するものであり、顔料の分散性向上、描線の塗膜形成のために用いるものである。
用いることができるPVB樹脂としては、好ましくは、平均重合度200〜1000のものが望ましく、例えば、デンカブチラール#2000−1、#2000−2、#2000−D、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#4000−2、#5000−S(以上、電気化学工業社製)、エスレックBL−1、BL−1H、BL−2、BL−3、BL−S、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BH−3、BX−1、BX−7(以上、積水化学工業社製)などが挙げられ、これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
これらのPVB樹脂の含有量は、インキ組成物全量に対して、1〜10%、好ましくは、2〜8%、更に好ましくは、3〜6%の範囲とすることが望ましい。
このPVB樹脂の含有量が1%未満であると、顔料の分散が不安定となり、逆に、10%を越えると、インキ流出量の低下、レベリング性の低下、インキ全体の粘度が高くなり、好ましくない。
本発明に用いる高級アルコールと高級カルボン酸とからなる高級脂肪酸エステルは、筆記描線の剥離性を向上させるために用いるものである。
用いることができる高級脂肪酸エステルとしては、例えば、オクタン酸セチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸ステアリル、オクタン酸イソステアリル、ネオデカン酸イソオクチルドデシル、ラウリル酸イソステアリル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソオクチル、ビス(2−エチルへキシル)セバケート、ビス(2−エチルへキシル)アジペート等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上混合して使用することができる。
好ましくは、剥離性を更に向上させる点から、イソオクタン酸セチル、ビス(2−エチルへキシル)セバケート、ミリスチン酸イソセチルが望ましい。
これらの高級エステルの含有量は、インキ組成物全量に対して、4〜20%、好ましくは、5〜16%、更に好ましくは、6〜14%とすることが望ましい。
この高級脂肪酸エステルの含有量が4%未満であると、消去性が不十分となり、逆に、20%を越えると、インキの安定性が不安定となり、好ましくない。
本発明で用いる下記式で示されるHLB値が9〜14であるポリオキシエチレン(ポリオキシエチレン以外のポリオキシアルキレンを含まない)水素添加硬化ヒマシ油は、初期消去性及び経時消去性を更に向上させるための消去性付与剤として用いるものである。
Figure 0005390158
本発明で使用されるポリオキシエチレン水素添加硬化ヒマシ油は、ポリオキシエチレン以外のポリオキシアルキレンを含まないものである。用いるポリオキシエチレン水素添加硬化ヒマシ油は、例えば、不飽和脂肪酸に水素添加して二重結合をなくしたものや、飽和脂肪酸であれば水素添加せずにそのまま使用でき、ヒマシ油または水素添加ヒマシ油に酸化エチレンを付加重合してなる、トリグリセリド構造のままポリオキシエチレン基を付加することなどにより得ることができる。
本発明に用いる上記水素添加硬化ヒマシ油は、HLB値が9〜14の間に入っているものが使用される。また、例えば、HLB値が10のものと、HLB値が13のものとを併用するというように、異なるHLB値のものを合わせて用いることもできる。このHLB値が9未満であると、ポリビニルブチラール樹脂を可塑化することができず、消去付与剤としての機能を発揮しないこととなる。また、HLB値が14を超えてより大きくなっても、ポリビニルブチラール樹脂を可塑化することができず消去付与剤としての機能を発揮しなかったり、インキ粘度が大きくなってしまったりするので、好ましくない。なお、本発明で規定するHLB値は、アトラス法、グリフィン法、デイビス法、川上法のいずれに基づいての算出でも良く、後述する実施例等ではグリフィン法に基づくものである。
用いることができる上記水素添加硬化ヒマシ油としては、例えば、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油,ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油等を用いることができ、市販品では青木油脂工業社製のブラウノンRCWシリーズ、日光ケミカルズ社製のHCOシリーズ、花王社製のエマノーンCHシリーズ、日本エマルジョン社製のエマレックスRWISシリーズなどが挙げられる。これら中でHLB値が9〜14の範囲に含まれるものとして、RCW−20,40、HCO−20,30,40,50,60、CH−25,40,60K、EMALEX RWIS 350、360が挙げられる。
また、本発明で用いるポリオキシエチレン水素添加硬化ヒマシ油は、エチレンオキシドのみで構成されるものが使用される。プロピレンオキシドやブチレンオキシドのようなアルキレングリコールは、極性を大きくすることなく不必要に分子量を大きくするので、インキに含有した場合、消去性も十分でなく、またインキ粘度が大きくなり、好ましくない。
更に、同じ非イオン系の界面活性剤でHLB値が9〜14のものでも、構造が本発明と異なっていると、その作用機構は定かでないが、消去性が十分でなく、例えば、HLB値が11.5のポリオキシエチレンラウリルエーテルを使用した場合の消去性は、本発明の水素添加硬化ヒマシ油を使用した場合と較べると消去性は大きく劣るものとなる。
好ましくは、水酸基へのエチレンオキシドの付加が可能であるという点から、ポリオキシエチレン水添硬化ヒマシ油を構成する脂肪酸が、12−ヒドロキシオクタデカン酸となるものが望ましい。
本発明に用いるポリオキシエチレン水素添加硬化ヒマシ油の含有量は、インキ組成物全量に対して、0.2〜5%、好ましくは、0.5〜4%、更に好ましくは、1〜3%とすることが望ましい。
この水素添加ヒマシ油の含有量が0.2%未満であると、消去性が不十分となり、逆に、5%を越えると、描線がやわらかくなりすぎて、消去時に筆記板を汚染することとなり、好ましくない。
更に、本発明では、描線の白化を抑制するという点から、高級アルコールと二塩基酸との高級脂肪酸ジエステルを、高級アルコールと高級カルボン酸とからなる高級脂肪酸エステルと併用することができる。
用いることができる高級脂肪酸ジエステルとしては、例えば、ドデカン二酸ジオクチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、ジイソデシルアジペート、ジブチルセバケート、ジエチルサクシネート等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上混合して使用することができる。
好ましくは、消去性、特に長期間保存された描線の経時消去性の点から、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチルの使用が望ましい。
これらの高級脂肪酸ジエステルの含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、1〜8%、更に好ましくは、2〜5%とすることが望ましい。
この高級脂肪酸ジエステルの含有量が1%未満であると、白化抑制効果は小さく、逆に、8%を越えると、白化抑制効果は発現するが、描線を消去するときに汚れが発生しやすくなり、好ましくない。
更に、本発明に用いる筆記板用油性インキ組成物には、上記各成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、可塑剤、無機塩類、乾燥防止剤、界面活性剤などを適宜必要に応じて含有することができる。
本発明に用いる筆記板用油性インキ組成物の調製法としては、例えば、混合分散機等に、上記顔料と、上記物性の低級アルコールと、ポリビニルブチラール樹脂と、高級脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレン(ポリオキシエチレン以外のポリオキシアルキレンを含まない)水素添加硬化ヒマシ油とを入れ、混合分散することにより、または、顔料と、ポリビニルブチラール樹脂と、沸点が120℃未満の低級アルコールの一部とを混合機等にて分散を行い、顔料分散液を調整後、この顔料分散液に、残部となる低級アルコールと、高級脂肪酸エステルと、上記物性のポリオキシエチレン水素添加硬化ヒマシ油を混合することなどにより、調製することができる。
このように構成される本発明の筆記板用マーキングインキ組成物では、顔料と、沸点が120℃未満の低級アルコールと、分散剤としてポリビニルブチラール樹脂と、剥離剤として高級アルコールと高級カルボン酸とからなる高級脂肪酸エステルと、消去付与剤として上記式で示されるHLB値が9〜14であるポリオキシエチレン(ポリオキシエチレン以外のポリオキシアルキレンを含まない)水素添加硬化ヒマシ油とを少なくとも含有することにより、インキの経時安定性に優れ、しかも、鮮明な描線を与えると共に、初期の消去性及び経時後であっても優れた経時消去性を発揮でき、ホワイトボード、樹脂板、金属板、ホーロー板、ガラス板などの非浸透性である筆記板用に好適な筆記板用油性インキ組成物が得られることとなる。
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〜7及び比較例1〜7〕
(実施例1)
カーボンブラック(デグサ社製プリンテックス85)8%と、ポリビニルブチラール(積水化学工業社製BL−1)8%と、エタノール84%をダイノーミルにて湿式分散を行い、カーボンブラック分散ベース1を得た。この分散条件は、ジルコニアビーズ0.5mm周束10m/s、充填率55%、容積300ccのバッチ式にて120分行った。得られたカーボンブラック分散ベース1は、粘度16mPa・s、平均粒子径は130nmであった。
次に、上記分散ベース1を用いて下記配合組成で筆記板用インキ組成物を調製した。
カーボンブラック分散ベース(分散ベース1) 60%
イソオクタン酸セチル(高級脂肪酸エステル、日光ケミカルズ社製) 10%
HCO−20(PEG−20水添ヒマシ油、HLB10.5、日光ケミカルズ社製) 2%
エタノール 28%
(実施例2)
実施例1のカーボンブラックに代えて、有機青顔料(チバスペシャリティケミカルズ社製、インダンスレンブルーA3R)8%を用いた以外は、実施例1と同条件にて分散ベースを得た。得られた分散ベース2は、粘度15mPa・s、平均粒子径148nmであった。
次に、上記分散ベース2を用いて下記配合組成で筆記板用インキ組成物を調製した。
インダンスレンブルー分散ベース(分散ベース2) 60%
イソオクタン酸セチル(高級脂肪酸エステル、日光ケミカルズ社製) 10%
HCO−30(PEG−30水添ヒマシ油、HLB11、日光ケミカルズ社製) 2%
エタノール 28%
(実施例3)
実施例1で得た分散ベース1を用いて下記配合組成で筆記板用インキ組成物を調製した。
カーボンブラック分散ベース(分散ベース1) 60%
ミリスチン酸イソセチル(高級脂肪酸エステル、日光ケミカルズ社製) 10%
HCO−40(PEG−40水添ヒマシ油、HLB12.5、日光ケミカルズ社製) 2%
エタノール 28%
(実施例4)
実施例1で得た分散ベース1を用いて下記配合組成で筆記板用インキ組成物を調製した。
カーボンブラック分散ベース(分散ベース1) 60%
ミリスチン酸イソセチル(高級脂肪酸エステル、日光ケミカルズ社製) 5%
DOS(高級脂肪酸ジエステル、大八化学工業社製) 5%
EMALEX RWIS−360(PEG−350イソステアリン酸型ヒマシ油、HLB10、日本エマルジョン社製) 2%
エタノール 28%
(実施例5)
有機赤顔料PIGMENT RED112 (PERMANENT RED FGR クラリアント社製)5%と、ポリビニルブチラール(積水化学工業社製BM−1)5%と、エタノール90%をダイノーミルにて湿式分散を行い、赤顔料分散ベース3を得た。この分散条件は、ジルコニアビーズ0.5mm周束10m/s、充填率55%、容積300ccのバッチ式にて120分行った。得られた赤顔料ベース3は、粘度16mPa・s、平均粒子径は170nmであった。次に、上記分散ベース3を用いて下記配合組成で筆記板用インキ組成物を調製した。
赤顔料分散ベース3(分散ベース3) 60%
イソオクタン酸セチル(高級脂肪酸エステル、日光ケミカルズ社製) 10%
HCO−30(PEG−20水添ヒマシ油、HLB10.5、日光ケミカルズ社製) 1%
HCO−40(PEG−40水添ヒマシ油、HLB12.5、日光ケミカルズ社製) 1%
トリグリセリンモノステアレート(太陽化学社製) 0.3%
エタノール 27.7%
(比較例1)
実施例1で得た分散ベース1を用いて下記配合組成で筆記板用インキ組成物を調製した。
カーボンブラック分散ベース(分散ベース1) 60%
イソオクタン酸セチル(高級脂肪酸エステル、日光ケミカルズ社製) 10%
BC−2(ポリオキシエチレンセチルエーテル、HLB8.0、日光ケミカルズ社製) 2%
エタノール 28%
(比較例2)
実施例1で得た分散ベース1を用いて下記配合組成で筆記板用インキ組成物を調製した。
カーボンブラック分散ベース(分散ベース1) 60%
イソオクタン酸セチル(高級脂肪酸エステル、日光ケミカルズ社製) 10%
BL−4.2(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB11.5、日光ケミカルズ社製) 2%
エタノール 28%
(比較例3)
実施例1で得た分散ベース1を用いて下記配合組成で筆記板用インキ組成物を調製した。
カーボンブラック分散ベース(分散ベース1) 60%
イソオクタン酸セチル(高級脂肪酸エステル、日光ケミカルズ社製) 10%
HCO−5(PEG−5水添ヒマシ油、HLB6.0、日光ケミカルズ社製) 2%
エタノール 28%
(比較例4)
実施例1で得た分散ベース1を用いて下記配合組成で筆記板用インキ組成物を調製した。
カーボンブラック分散ベース(分散ベース1) 60%
イソオクタン酸セチル(高級脂肪酸エステル、日光ケミカルズ社製) 10%
HCO−100(PEG−100水添ヒマシ油、HLB16.5、日光ケミカルズ社製) 2%
エタノール 28%
(比較例5)
実施例3で得た分散ベース3を用いて下記配合組成で筆記板用インキ組成物を調製した。
赤顔料分散ベース(分散ベース3) 60%
イソオクタン酸セチル(高級脂肪酸エステル、日光ケミカルズ社製) 10%
HCO−100(PEG−100水添ヒマシ油、HLB16.5、日光ケミカルズ社製) 2%
エタノール 28%
(比較例6)
実施例1で得た分散ベース1を用いて下記配合組成で筆記板用インキ組成物を調製した。
カーボンブラック分散ベース(分散ベース1) 60%
イソオクタン酸セチル(高級脂肪酸エステル、日光ケミカルズ社製) 10%
PBC−44〔ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(20EO)(8PO)HLB12.5〕 2%
エタノール 28%
(比較例7)
実施例1で得た分散ベース1を用いて下記配合組成で筆記板用インキ組成物を調製した。
カーボンブラック分散ベース(分散ベース1) 60%
イソオクタン酸セチル(高級脂肪酸エステル、日光ケミカルズ社製) 10%
RS−610(イオン系活性剤リン酸エステル HLB10.5、東邦化学工業社製) 2%
エタノール 28%
上記実施例1〜5及び比較例1〜7で得た筆記板用インキ組成物について、下記各評価方法により、初期の消去性、1ヶ月後の消去性、初期のインキの安定性、加温保存後のインキの安定性について評価した。
(初期の消去性の評価方法)
得られた各インキ組成物を筆記板用マーキングペン(三菱鉛筆株式会社製、PWB−4M)に充填し、サクラクレパス製の樹脂板(大きさ300×450mm)に筆記し、1分後にティッシュを重ねたものにステンレス製の重りをのせ、消去できたときの重量を測定した。重量が小さい程、消去性が良好なことを示す。
(1ヶ月後の消去性の評価方法)
上記初期の消去性の評価方法と同様に樹脂板に筆記した後、25℃で1ヶ月保存後、初期の消去性の評価法と同様にして消去性を評価した。
(初期のインキの安定性の評価方法)
初期のインキの安定性は、粘度測定と平均粒径測定によって行った。粘度測定はE型粘度計(東機産業社製TV20)を用い、平均粒径測定はコールターN4プラス(コールター社製)を用いた。
(加温保存後のインキの安定性の評価方法)
加温保存後のインキとは50℃の恒温層に1ヶ月間静置したあと、室温に放置したあとのインキの粘度と平均粒径を初期同様の測定機にて測定した。
Figure 0005390158
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜5は、本発明の範囲外となる比較例1〜7に較べて、初期及び経時後のインキの安定性に優れると共に、初期のインキの安定性、並びに、加温保存後のインキの経時安定性にも優れていることが判明した。
比較例を具体的に見ると、比較例1、2及び6では、消去性付与剤として非イオン界面活性剤であるポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(20EO)(8PO)を用いた場合であり、比較例3〜5は、本発明の範囲(HLB値が範囲外)となるポリオキシエチレン水素添加硬化ヒマシ油を用いた場合であり、比較例7では、リン酸エステルを用いた場合であり、これらの場合は、本発明の効果を発揮できないことが判明した。

Claims (3)

  1. 顔料と、沸点が120℃未満の低級アルコールと、分散剤としてポリビニルブチラール樹脂と、剥離剤として高級アルコールと高級カルボン酸とからなる高級脂肪酸エステルと、消去付与剤として下記式で示されるHLB値が9〜14であるポリオキシエチレン(ポリオキシエチレン以外のポリオキシアルキレンを含まない)水素添加硬化ヒマシ油とを少なくとも含有することを特徴とする筆記板用油性インキ組成物。
    Figure 0005390158
  2. 更に、高級アルコールと二塩基酸との高級脂肪酸ジエステルを含有することを特徴とする請求項1に記載の筆記板用油性インキ組成物。
  3. ポリオキシエチレン水素添加硬化ヒマシ油を構成する脂肪酸が、12−ヒドロキシオクタデカン酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の筆記板用油性インキ組成物。
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