JP4063859B2 - 水性インキ組成物用水性顔料分散体、その製造方法および水性インキ組成物 - Google Patents

水性インキ組成物用水性顔料分散体、その製造方法および水性インキ組成物 Download PDF

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Description

本発明は、水性インキ組成物用水性顔料分散体およびその製造方法に関する。さらには当該水性インキ組成物用水性顔料分散体を用いた水性インキ組成物に関する。本発明の水性インキ組成物用水性顔料分散体は各種用途の水性インキ組成物に適用できる。特にサインペン、ボールペン、フェルトペン、筆ペン等の筆記具用水性インキ組成物として有用である。
従来、水中に顔料を分散させた水性顔料分散体を用いた水性インキでは、水性顔料分散体における顔料分散剤として、カルボキシル基を有する樹脂のアルカリ塩が用いられている。しかし、前記カルボキシル基を有する樹脂は、アルカリ塩化の際、溶解性が悪く白濁しやすい。かかる白濁した顔料分散剤は、顔料との濡れが悪く、水性顔料分散体中において顔料との混合が不十分であった。また混合後の脱泡工程における泡切れが悪く、脱泡に長時間を要する。
また筆記具用の水性インキでは筆跡に対する耐水性、耐アルカリ性を発現させるために、顔料分散剤をアルカリ可溶化させるアルカリ物質として、アンモニア等の揮発性アルカリ物質が一般に用いられている。
一方、キャップオフ性の点から、顔料分散剤としてカルボキシル基を有する樹脂の難揮発性アルカリ塩を用いた水性顔料分散体を含有する水性インキが知られている。しかし、当該水性インキは耐水性、耐アルカリ性が十分であるとはいえない。
本発明は、顔料との濡れがよく、水性インキ組成物用水性顔料分散体中において顔料との混合性の良好な水性インキ組成物用水性顔料分散体およびその製造方法を提供することを目的とする。
また本発明は、難揮発性アルカリ塩を用いた場合にも、耐水性、耐アルカリ性に優れた水性インキ組成物を提供しうる水性インキ組成物用水性顔料分散体およびその製造方法を提供することを目的とする。
さらには、当該水性インキ組成物用水性顔料分散体を用いた水性インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究したところ、以下に示す水性インキ組成物用水性顔料分散体およびその製造方法により、上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち顔料分散剤により水中に顔料を分散させた水性インキ組成物用水性顔料分散体において、
顔料分散剤が、カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の難揮発性アルカリ塩を含有し、かつ、溶解度パラメーター7.5〜11の水溶性有機溶剤を含有し、前記共重合体が前記水溶性有機溶剤に溶解した後、難揮発性アルカリ物質により前記共重合体を難揮発性アルカリ塩にした顔料分散剤を用いて、水中に顔料を分散させたものであることを特徴とする水性インキ組成物用水性顔料分散体、に関する。
上記本発明の水性インキ組成物用水性顔料分散体は、前記特定溶解度パラメーター値の水溶性有機溶剤を含有しているため、顔料分散剤になるカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の水への溶解性が良好になり、アルカリ塩化し易くなる。また本発明の水性インキ組成物用水性顔料分散体は顔料分散剤と顔料との濡れがよく、水性インキ組成物用水性顔料分散体中において両者の混合性の良好な水性インキ組成物用水性顔料分散体が得られる。また脱泡工程における泡切れも良好である。
また水溶性有機溶剤は適度な表面張力を有し、水性インキ組成物用水性顔料分散体の表面張力を低下させることができる。そのためサインペン等の筆記具用の水性インキにおいて、通常、毛管現象確保のために用いられる界面活性剤を添加しなくても良好な筆記性を示す。加えて界面活性剤を不添加とすることにより、界面活性剤に起因するニジミ等の水性インキの悪さを低減することもできる。また水溶性有機溶剤は耐水性、耐アルカリ性を向上させるうえでも好ましい。
前記水性インキ組成物用水性顔料分散体において、カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の難揮発性アルカリ塩が、酸価30〜140KOHmg/gのカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の難揮発性アルカリ塩であることが好ましい。
顔料分散剤として用いるカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の難揮発性アルカリ塩は、揮発性アルカリ塩に比べて耐水性、耐アルカリ性が不十分であるが、従来より酸価が低い範囲に調整されたカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の難揮発性アルカリ塩を用いることで耐水性、耐アルカリ性に優れた水性インキ組成物を提供できる。カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の酸価が低くなると、一般に水に溶け難くなるが、本発明では、前述の通り、水溶性有機溶剤を含有しているため、低酸価のカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体を用いた場合にも、水への溶解性が良好で、かつ耐水性、耐アルカリ性を満足できる。
カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の酸価が140KOHmg/gを超えると、水への溶解性が高くなり耐水性、耐アルカリ性の向上効果が低い。カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の酸価は140KOHmg/g以下、好ましくは130KOHmg/g以下、さらには120KOHmg/g以下であるのが好ましい。一方、前記酸価が30KOHmg/g未満では、難揮発性アルカリ塩とした場合にも水に溶けにくく、顔料分散剤として機能し難くなる。カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の酸価は30KOHmg/g以上、さらには50KOHmg/g以上であるのが好ましい。
前記本発明の水性インキ組成物用水性顔料分散体は、筆記具用の水性インキに適用される水性インキ組成物用水性顔料分散体として有用である。特に、筆跡に対する優れた耐水性、耐アルカリ性を発現する。
また本発明は、カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体を、溶解度パラメーター7.5〜11の水溶性有機溶剤に溶解した後、難揮発性アルカリ物質により前記カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体のカルボキシル基を難揮発性アルカリ塩にした顔料分散剤を用いて、水中に顔料を分散させることを特徴とする前記水性インキ組成物用水性顔料分散体の製造方法、に関する。
前記本発明の水性インキ組成物用水性顔料分散体は、カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体を、水溶性有機溶剤に溶解した後に、難揮発性アルカリ物質によりアルカリ塩化することができる。そのため、低酸価のカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体であっても、顔料との混合性の良好な顔料分散剤により水性インキ組成物用水性顔料分散体を効率よく製造できる。
さらに本発明は、水性インキ組成物用水性顔料分散体として前記水性インキ組成物用水性顔料分散体を用いた水性インキ組成物に関する。本発明の水性インキ組成物用水性顔料分散体を用いた水性インキ組成物は耐水性、耐アルカリ性に優れる。
また本発明は、顔料分散剤であるカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の難揮発性アルカリ塩により水中に顔料を分散させた水性インキ組成物用水性顔料分散体を用いた水性インキ組成物であって、不揮発分1gあたりを中和するのに必要な0.1モル/リットル塩酸の量が2〜6.5mlであることを特徴とする水性インキ組成物、に関する。
当該水性インキ組成物は、耐水性、耐アルカリ性に優れる。当該水性インキ組成物には、顔料分散体として前記低酸価のカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の難揮発性アルカリ塩を用いた水性インキ組成物用水性顔料分散体が用いられ、当該水性インキ組成物は、通常、前記塩酸量により特定することができる。前記塩酸量は4〜6mlであるのがより好ましい。
以下本発明の水性インキ組成物用水性顔料分散体、水性インキ組成物について説明する。
本発明の水性インキ組成物用水性顔料分散体は、カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の難揮発性アルカリ塩を顔料分散剤として用い、当該顔料分散剤により水中に顔料を分散させたものである。
カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体は顔料分散剤として機能しうるものを特に制限なく使用できる。カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の酸価は特に制限されないが、前述の通り、30〜140KOHmg/gの低酸価のカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体が好ましい。前記顔料分散剤は、通常、親水部と疎水部を有し、親水部にはカルボキシル基を有する。
前記カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体のカルボキシル基含有モノマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の一塩基酸、イタコン酸、マレイン酸等の二塩基酸、さらには二塩基酸の無水物、その半エステル等があげられる。疎水性モノマーとしては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、同メタクリル酸エステル、α−オレフィン、酢酸ビニル等のビニルエステル等が例示される。前記共重合体は、カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーを適宜に組み合わせて、その酸価が前記範囲になるように調整されたものを用いる。前記共重合体としては、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−マレイン酸系共重合体等が好ましい。特にスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体に代表される、疎水性モノマーとしてスチレンを、親水性モノマーであるカルボキシル基含有モノマーとしてアクリル酸を含有する共重合体が好ましい。なお、共重合体はオリゴマー、ポリマーのいずれでもよい。重量平均分子量は特に制限されないが、通常、1500〜20000程度である。
前記カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体のカルボキシル基をアルカリ塩化する難揮発性アルカリ物質は、常温(23℃)において、揮発しないものを特に制限なく使用できる。たとえば、沸点が常温より高いものとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン化合物等があげられる。
前記カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体のアルカリ塩化にあたっては、前記カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体を、溶解度パラメーター7.5〜11の水溶性有機溶剤に溶解しておき、これに難揮発性アルカリ物質を含有する水溶液を加えることにより行うことができる。
前記水溶性有機溶剤は、カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体を溶解することができ、かつ水溶性を示すものを特に制限なく使用することができる。かかる水溶性有機溶剤は前述の通り、溶解度パラメーターが7.5〜11である。水溶性有機溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレンエチレングリコールモノメチルエーテル等のジアルキレングリコールまたはそのモノアルキルエーテル、3−メトキシブタノール等があげられる。前記水溶性有機溶剤の使用量は特に制限されないが、通常、カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体100重量部に対して、0〜200重量部であるのが好ましい、さらには50〜150重量部であるのが好ましい。
カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の水溶性有機溶剤への溶解温度は特に制限されないが、通常、40〜60℃程度とするのが好ましい。ただし、共重合体のガラス転移温度(Tg)を超えないように調整するのが望ましい。水溶性有機溶剤にカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体を溶解しておくことで、前記カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体を難揮発性アルカリ物質によりアルカリ塩化して水溶化する際の前記化合物の析出を抑えられる。
なお、アルカリ塩化は、カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体が水に溶解できる程度にカルボキシル基をアルカリ塩化する。通常は、カルボキシル基の全部をアルカリ塩化することができる量またはそれ以上の難揮発性アルカリ物質を加えて中和する。アルカリ塩化後には、さらに水を加えて顔料分散剤を含有する水溶液の濃度を適宜に調整することができる。
水性インキ組成物用水性顔料分散体は、前記顔料分散剤により、前記顔料を分散することにより調製する。水性インキ組成物用水性顔料分散体の調製にあたっては、さらに水を加えて粘度を調整することができる。顔料としては、各種有機顔料、無機顔料を特に制限なく使用できる。たとえば、カーボンブラック、キナクドリン系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ジオキサン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、アンサンスロン系顔料、ペリノン系顔料、アゾメチン系顔料等があげられる。顔料の粒径は特に制限されないが、通常、0.02〜0.5μm程度とするのが好適である。顔料分散剤(固形分)の使用量は、通常、顔料100重量部に対して5〜100重量部程度、さらには10〜50重量部とするのが好適である。
水性インキ組成物用水性顔料分散体中の顔料の割合は、その割合が多くなると粘度が上昇しやすくなるため、通常、1〜50重量%程度、好ましくは3〜20重量%である。なお、水溶性有機溶剤の使用量は、前記カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体に応じて適宜に調整されるが、水性インキ組成物用水性顔料分散体中の水溶性有機溶剤の割合が多くなると水性インキ組成物用水性顔料分散体の顔料分散安定性が悪くなる傾向があるため、通常、60重量%程度以下、さらには10〜30重量%に調整するのが好ましい。
前記水性インキ組成物用水性顔料分散体は、各種の水性インキ組成物に適用できる。なお、水性インキ組成物の調製にあたっては水を加えて粘度を調整することができる。水性インキ組成物は、サインペン等の筆記具では詰まりやすくなるため、その割合が少なくなると、着色が薄くなるため、通常、その不揮発分濃度が3〜30重量%程度、さらには5〜20重量%程度に調製するのが好ましい。
前記水性インキ組成物の調製にあたっては、常法に従って適宜に分散器等を用いて撹拌し、分散される。水性インキ組成物用水性顔料分散体には、湿潤剤、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、粘度調整剤等の添加剤が適宜に加えられる。また、水性インキ組成物用水性顔料分散体の調製にあたっても同様の添加剤を加えることができる。
湿潤剤としては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、尿素、糖、さらにはその誘導体等があげられる。湿潤剤は水性インキ組成物の3〜60重量%程度、さらには5〜50重量%程度とするのが好ましい。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モルホリン、トリエチルアミン等のアミン化合物、アンモニア等があげられる。
なお、本発明の水性インキ組成物に、水溶性有機溶剤を含有する水性インキ組成物用水性顔料分散体を用いた場合には、水性インキ組成物の表面張力を低下できるため界面活性剤の添加は特に必要はないが、添加するのは任意である。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルリン酸エステル、アルキル硫酸エステル、アルキルフェニルリン酸エステル等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ソルビタンエステル類、アルキルスルホコハク酸、アルキルリン酸エステル等のノニオン系界面活性剤があげられる。界面活性剤は水性インキ組成物の3重量%程度以下、さらには1.5重量%以下とするのが好ましい。
以下、本発明の具体例を実施例等について説明する。なお、各例において用いたカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体(樹脂A、樹脂B、樹脂C、樹脂D)は、いずれも疎水性モノマーとしてスチレン、親水性モノマーとしてアクリル酸を含有する共重合体であって、その酸価、重量平均分子量は表1に示す通りである。
Figure 0004063859
(顔料分散剤A〜Dの調製)
樹脂A〜Dに樹脂A〜Dと同重量のエチレングリコールモノブチルエーテル(溶解度パラメーター8. 9)を加え、50℃の加温下で撹拌した。次いで、樹脂Aのカルボキシル基と等当量の50重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリ塩化を行った。さらに、イオン交換水を加えて、顔料分散剤A〜Dを得た。なお、顔料分散剤A〜D中の各成分の割合(重量%)を表2に示す。
Figure 0004063859
表2中の数値は重量%である。顔料分散剤A〜Dはいずれも樹脂が完全溶解し、透明な液が得られた。
(顔料分散剤A′〜D′の調製)
樹脂A〜Dに、樹脂A〜Dのカルボキシル基と等当量の50重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリ塩化を行った。さらに、イオン交換水を加えて、顔料分散剤A〜Dを得た。なお、顔料分散剤A〜D中の各成分の割合(重量%)を表3に示す。
Figure 0004063859
表3中の数値は重量%である。顔料分散剤A′は少々白濁を生じた液であった。顔料分散剤B′は樹脂が少し溶け残りを生じたうえに、少々白濁を生じた液であった。顔料分散剤C′は樹脂を全く溶解させることができなかった。顔料分散剤D′は樹脂が完全溶解し、透明な液が得られた。
実施例1(水性インキ組成物用水性顔料分散体の調製)
前記顔料分散剤Aを用いて、表4に示す配合の組成物を混合撹拌した後、脱泡した。次いで、前記組成物を分散して水性インキ組成物用水性顔料分散体Aを得た。
実施例2〜7(水性インキ組成物用水性顔料分散体の調製)
実施例1において、水性インキ組成物用水性顔料分散体の組成を表4に示す配合に変えたこと以外は実施例1と同様にして、水性インキ組成物用水性顔料分散体B〜Gを得た。
比較例1(水性インキ組成物用水性顔料分散体の調製)
前記顔料分散剤D′を用いて、表4に示す配合の組成物を混合撹拌した後、脱泡した。次いで、前記組成物を分散して水性インキ組成物用水性顔料分散体Hを得た。なお、得られた水性インキ組成物用水性顔料分散体Hは、顔料の濡れが悪く、顔料分散剤D′との混合が困難であった。また、混合した後の脱泡工程において泡切れが悪く、実施例に比べて脱泡工程に長時間を要した。
比較例2〜4(水性インキ組成物用水性顔料分散体の調製)
比較例1において、水性インキ組成物用水性顔料分散体の組成を表4に示す配合に変えたこと以外は比較例1と同様にして、水性インキ組成物用水性顔料分散体I〜Kを得た。なお、得られた水性インキ組成物用水性顔料分散体I〜Kは、顔料の濡れが悪く、顔料分散剤D′との混合が困難であった。また、混合した後の脱泡工程において泡切れが悪く、実施例に比べて脱泡工程に長時間を要した。
実施例および比較例で得られた水性インキ組成物用水性顔料分散体を用いて、耐水性および耐アルカリ性を評価した。結果を表4に示す。
(耐水性)
ケント紙(5cm×5cm)に間隙0.02mmのドクター型アプリケーターで一定の厚みに塗布し、塗布後1時間経過した後、試験片を静水中に1時間浸漬した。次いで、試験片を水から取り出し、滲みの程度を以下の基準で5段階に評価した。評価は3回行った。その平均値を示す。
<評価基準>
5:滲みがでない。
3:一部から滲みあり。
1:全体から滲みあり。
(耐アルカリ性)
ケント紙(5cm×5cm)に間隙0.02mmのドクター型アプリケーターで一定の厚みに塗布し、1日後、試験片をアンモニア水溶液(10重量%)中に24時間浸漬した。次いで、試験片をアンモニア水溶液から取り出し、乾燥後の筆記線の状態を以下の基準で5段階に評価した。評価は3回行った。その平均値を示す。
<評価基準>
5:変色しない。
4:少し変色している。
3:元のインキの色が判読できる。
2:完全に変色している。
1:退色し判読できない。
Figure 0004063859
表4中の顔料は、a:プリンテックス80(デグサ(株)製)、b:シムラファーストレッド4127(大日本インキ化学工業 (株)製)、ファーストオレンジRJW−A(山陽色素(株)製)、ファストゲンスーパーマゼンタRG(大日本インキ化学工業 (株)製)、ホスタパームブラウンHFR01(クリアラント社製)であり、コートサイドH(防カビ剤,武田薬品工業(株)製)、プロクセルXL−2(防腐剤,アビシア(株)製)である。
実施例1〜7、比較例1〜4(水性インキ組成物の調製)
前記水性インキ組成物用水性顔料分散体A〜Kを用いて、表5に示す配合の組成物を混合撹拌した後、遠心分離によって粗大粒子を除去して水性インキ組成物を得た。
なお比較例において表5中に示す界面活性剤を用いないこと以外は、別途、比較例と同様にして調製した水性インキ組成物では、表面張力が著しく高くなり、ペン先からの流出が困難であった。そのため、比較例では界面活性剤を用いている。
実施例および比較例で得られた水性インキ組成物を用いて、ピグマサインペン(登録商標)を作成し、以下の耐水性および耐アルカリ性を評価した。また、水性インキ組成物の表面張力、中和滴定を評価した。結果を表5に示す。
(耐水性)
上記サインペンを用い、ケント紙(6行)に手書きで連続4回V字を筆記後、所定時間毎(15秒、30秒、60秒、120秒)に水を軽く含ませた筆(サクラ画筆ネオセブロン(登録商標)平型−ENF14号)で筆記線を一定方向に2回なぞり、乾燥後の滲みの程度を以下の基準で5段階に評価した。V字一辺は10〜15mm、筆記速度はV字2個で1秒程度とした。評価は3回行った。その平均値を示す。
<評価基準>
5:滲みがでない。
3:始点、終点からにじみあり。
1:線全体から滲みあり。
(耐アルカリ性)
上記サインペンを用い、ケント紙(6行)に筆記し1時間後、試験片をアンモニア水溶液(10重量%)中に24時間浸漬した。次いで、試験片をアンモニア水溶液から取り出し、乾燥後の筆記線の状態を5段階に以下の基準で評価した。評価は3回行った。その平均値を示す。
<評価基準>
5:変色しない。
4:少し変色している。
3:元のインキの色が判読できる。
2:完全に変色している。
1:退色し判読できない。
(表面張力)
協和界面科学(株)製のCBVP SURFACE TENSIONMETER A3により、白金プレートを用いて測定した。
(表面張力安定性)
室温で3ケ月間放置後の表面張力安定性を下記の基準により評価した。
○:±1mN/m以内。
×:±1mN/mを超える。
(中和滴定)
水性インキ組成物5gを秤取し、テトラヒドロフラン100ml中に入れた。スターラーでゆっくりと撹拌しながら0.1モル/リットル塩酸で中和滴定を行った。滴定には自動滴定装置(三菱化学 (株)製,GT−06)を用いた。中和に要した0.1モル/リットル塩酸量(ml)を表5に示す。また、前記塩酸量を、水性インキ組成物5g中の不揮発分重量で除算して、不揮発分1gあたりを中和するのに必要な前記塩酸量を求めた値を表5に示す。なお、水性インキ組成物の不揮発分の重量は、110℃のオーブンで24時間乾燥させたときの重量をいう。
Figure 0004063859
表5中、サンモリン0T−70(界面活性剤,三洋化成工業(株)製)、ホスファノールPE−510(界面活性剤,東邦化学(株)製)、コートサイドH(防カビ剤,武田薬品工業(株)製)、プロクセルXL−2(防腐剤,アビシア(株)製)、NaOH水溶液:水酸化ナトリウム10重量%水溶液、である。
表5から、実施例の水性インキ組成物は耐水性、耐アルカリ性が良好であり、また表面張力の安定性が良好であると認められる。一方、比較例の水性インキ組成物は耐水性、耐アルカリ性が悪い。また比較例の水性インキ組成物では界面活性剤を用いていることから表面張力の安定性も良くない。

Claims (7)

  1. 顔料分散剤により水中に顔料を分散させた水性インキ組成物用水性顔料分散体において、
    顔料分散剤が、カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の難揮発性アルカリ塩を含有し、かつ、
    溶解度パラメーター7.5〜11の水溶性有機溶剤を含有し、
    前記共重合体が前記水溶性有機溶剤に溶解した後、難揮発性アルカリ物質により前記共重合体を難揮発性アルカリ塩にした顔料分散剤を用いて、水中に顔料を分散させたものであり、
    前記カルボキシル基が、難揮発性アルカリ物質により、完全に中和されていることを特徴とする水性インキ組成物用水性顔料分散体。
  2. カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の難揮発性アルカリ塩が、酸価30〜140KOHmg/gのカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の難揮発性アルカリ塩であることを特徴とする請求項1記載の水性インキ組成物用水性顔料分散体。
  3. 筆記具用に適用される請求項1または2記載の水性インキ組成物用水性顔料分散体。
  4. カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体を、溶解度パラメーター7.5〜11の水溶性有機溶剤に溶解した後、難揮発性アルカリ物質により前記カルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体のカルボキシル基を完全に中和して難揮発性アルカリ塩にした顔料分散剤を用いて、水中に顔料を分散させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水性インキ組成物用水性顔料分散体の製造方法。
  5. 水性インキ組成物用水性顔料分散体として請求項1〜3のいずれかに記載の水性インキ組成物用水性顔料分散体を用いた水性インキ組成物。
  6. 顔料分散剤であるカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーの共重合体の難揮発性アルカリ塩により水中に顔料を分散させた水性インキ組成物用水性顔料分散体を用いた水性インキ組成物であって、
    不揮発分1gあたりを中和するのに必要な0.1モル/リットル塩酸の量が2〜6.5mlであることを特徴とする請求項5記載の水性インキ組成物。
  7. 水性インキ組成物用水性顔料分散体として請求項1〜3いずれかに記載の水性インキ組成物用水性顔料分散体を用いた請求項6記載の水性インキ組成物。
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