JP2006104459A - 筆記具用水性インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】紙等の吸収面に筆記しても、筆記直後は水でのばすことができ、且つ一定時間経過後は耐水性が生じる筆記具用水性インキ組成物を提供する。
【解決手段】水、顔料、酸性の分散剤樹脂及び該分散剤樹脂を中和して水溶性とする中和剤を含む筆記具用水性インキ組成物において、上記酸性の分散剤樹脂が10000以上の分子量と180以上の酸価を有する樹脂であり、上記中和剤が沸点150〜400℃の有機アミンであり、上記酸性の分散剤樹脂/顔料重量比が0.75以上であることを特徴とする筆記具用水性インキ組成物である。このようなインキ組成物を用いて、紙等の吸収性の筆記面に筆記したとき、筆記後暫くの間は、その筆跡を水で延ばすことができるが、一定時間経過後は、筆跡に耐水性が生じて、最早、水で延ばすことができない。このようなインキ組成物を用いて、例えば、耐水性のある水彩画を描くことができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、筆記具用水性インキ組成物に関し、詳しくは、紙等の吸収性の筆記面に筆記したとき、筆記して暫くの間は、その筆跡を水で延ばすことができるが、一定時間が経過した後は、筆跡が耐水性を有して、その筆跡を最早、水で延ばすことができない筆記具用水性インキ組成物に関する。本発明によるインキ組成物は、特に、サインペン又はボールペン用のインキ組成物として有用である。
従来、分子中にカルボキシル基のような酸性基を有する酸性樹脂をアルカリで塩形成させて水溶性とした所謂アルカリ可溶性樹脂を重要な成分とするインキ組成物として、例えば、特開平07−82518号公報(特許文献1)や特開平09−157576号公報(特許文献2)に記載されているように、顔料とアルカリ可溶性樹脂と水溶性樹脂を含有してなり、特に、ガラス面に筆記して形成した筆跡を水で濡らした布等にて拭くことによって消去することができるようにした水性のマーキングインキ組成物が知られている。
特開平07−82518号公報 特開平09−157576号公報
しかし、このようなマーキングインキ組成物は、ガラス面へのマーキングによって、特にガラスの存在を表示するためのものであり、マーキングが不必要となれば、上述したようにして、ガラス面から消去することができるようにしたものである。従って、そのようなマーキングインキ組成物を用いて紙等の吸収性の筆記面に筆記した場合には、その筆跡は、水を用いて拭いても、消去することができないものであり、勿論、筆記して暫くの間、その筆跡を水で延ばすことができる機能性はなく、更に、筆跡は、経時後にも耐水性をもたない。
本発明は、紙等の吸収性の筆記面に筆記したとき、筆記して暫くの間は、その筆跡を水で延ばすことができるが、一定時間が経過した後は、筆跡に耐水性が生じて、最早、水で延ばすことができないようにした筆記具用水性インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明によれば、水、顔料、酸性の分散剤樹脂及びこの酸性の分散剤樹脂を中和して水溶性とする中和剤を含む筆記具用水性インキ組成物において、上記酸性の分散剤樹脂が10000以上の分子量(重量平均分子量、以下、同じ。)と180(mgKOH/g、以下、同じ。)の酸価を有する樹脂であり、上記中和剤が沸点150〜400℃の有機アミンであり、上記酸性の分散剤樹脂/顔料比が0.75以上であることを特徴とする筆記具用水性インキ組成物が提供される。
本発明による筆記具用水性インキ組成物は、紙等の吸収性の筆記面に筆記したとき、暫くの間は、筆跡を水で延ばすことができるので、例えば、紙等の吸収性の筆記面に描いた描線を水筆等で自由に延ばすことができ、例えば、水彩画等を描くことができる。しかも、このようにして描いた描線は、一定時間が経過した後は、耐水性を有するので、筆記面上に固定することができる。このように、本発明による筆記具用水性インキ組成物を用いて描くことによって、耐水性を有する水彩画等を得ることができる。
本発明による筆記具用インキ組成物は水性であって、溶剤として水が用いられる。インキ組成物において、溶剤の割合は、後述するように、用いる顔料、酸性の分散剤樹脂、中和剤等の種類や量にもよるが、通常、40〜95重量%の範囲であり、好ましくは、60〜95重量%の範囲である。水の使用量が40重量%よりも少ないときは、得られるインキ組成物が過度に高い粘度を有し、ペン先からのインキ組成物の流出性が悪い。他方、溶剤としての水の使用量が95重量%を超えるときは、筆跡の乾燥性が悪く、実用性に問題を生じる。
本発明によるインキ組成物においては、顔料として、特に限定されることなく、種々の有機顔料や無機顔料が用いられる。有機顔料としては、例えば、β- ナフトール誘導体等から導かれるモノアゾ顔料、β- オキシナフトエ酸染料等のモノアゾ染料をレーキ化したアゾ顔料、ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノフタロン顔料、インダンスレン顔料、トリアリールメタン染料等の塩基性染料をレーキ化したレーキ顔料、金属錯体顔料等を挙げることができる。
このような有機顔料の具体例としては、例えば、ピグメント・イエロー1、ピグメント・イエロー3、ピグメント・イエロー42、ピグメント・イエロー74、ピグメント・イエロー83、ピグメント・イエロー106 、ピグメント・イエロー117、ピグメント・イエロー126、ピグメント・イエロー183、ピグメント・オレンジ5、ピグメント・オレンジ16、ピグメント・レッド3、ピグメント・レッド48:1、ピグメント・レッド48:4、ピグメント・レッド101、ピグメント・レッド112、ピグメント・レッド122、ピグメント・レッド267、ピグメント・バイオレット23、ピグメント・バイオレット27、ピグメント・ブルー1、ピグメント・ブルー15:1、ピグメント・ブルー15:3、ピグメント・ブルー61、ピグメント・グリーン7、ピグメント・グリーン36等を挙げることができる。
また、上記無機顔料の代表例としては、例えば、酸化鉄、フェリシアン化鉄、硫黄含有珪酸ナトリウムアルミニウム、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。このような無機顔料の具体例としては、例えば、ピグメント・イエロー42、ピグメント・ホワイト6、ピグメント・ブルー27、ピグメント・ブルー29、ピグメント・ブラック7等を挙げることができる。本発明においては、これらの顔料は、単独で、又は二種以上が組み合わせて用いられる。
本発明において、このような顔料の使用量は、インキ組成物において、通常、0.1〜40重量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜10重量%の範囲である。顔料の使用量がインキ組成物において0.1重量%よりも少ないときは、得られる筆跡の濃度が薄くて、実用性に劣り、他方、40重量%を超えるときは、インキ組成物中での分散性が悪く、保存性に劣り、同様に、実用性に劣る。
本発明によるインキ組成物は、溶剤である水と顔料と共に、10000以上の分子量(重量平均分子量、以下、同じ。)と180以上の酸価を有する酸性の分散剤樹脂とこの酸性の分散剤樹脂を中和して水溶性とする中和剤として沸点150〜400℃の有機アミンを含み、更に、上記酸性の分散剤樹脂は、顔料に対して重量比にて0.75以上にて用いられており、かくして、本発明によるインキ組成物を用いて紙のような吸収性の筆記面に形成した筆跡は、筆記して暫くの間(例えば、5〜30分程度)は、これを水で延ばすことができるが、一定時間(例えば、24時間)が経過した後は、その筆跡は、耐水性を有して、最早、水で延ばすことができない。
以下に、本発明によるインキ組成物における重要な成分である酸性の分散剤樹脂と中和剤について詳細に説明する。本発明によるインキ組成物において、顔料の分散剤として、10000以上の分子量と180以上の酸価を有する酸性の分散剤樹脂が用いられる。本発明によるインキ組成物が紙等の吸収性の筆記面に形成した筆跡、即ち、塗膜が、例えば、水で濡らした布等で擦るときに、塗膜中の顔料が水によって再分散し、かくして、筆跡が水で延びるように、顔料1重量部に対して、分散剤樹脂は0.75重量部以上が用いられる。
更に、本発明によるインキ組成物を用いて紙等の吸収性の筆記面に形成した筆跡が一定時間経過した後に水不溶性、即ち、耐水性を有するように、分散剤樹脂としては、中和剤の存在下においては、これと塩形成して水溶性であるが、一定時間が経過したときは、中和剤の不存在下において、水不溶性である酸性樹脂が用いられる。本発明によれば、このように、上記中和剤としては、一定時間の経過後に筆跡から揮散するように、揮発性の有機アミンが中和剤として用いられる。
本発明において、インキ組成物の浸透性が高いときは、分散剤樹脂が紙中に深く浸透して、筆記の直後であっても、水で延ばすことができないので、本発明によれば、インキ組成物は、低い浸透性を有することが要求される。一般に、分散剤樹脂の分子量が高いほど、得られるインキ組成物は浸透性が低くなるので、本発明においては、分散剤樹脂は、分子量が10000以上であることが好ましい。分散剤樹脂の分子量が10000よりも小さいときは、得られるインキ組成物の浸透性が高く、筆記直後にも、筆跡を水で延ばすことができない。
しかし、分散剤樹脂の分子量が余りに高いときは、得られるインキ組成物の粘度が高すぎて、インキ組成物のペン先からの流出性が悪くなるので、好ましくは、分子量は50000以下である。 また、分散剤樹脂は、中和剤である有機アミンと容易に塩形成して水溶性となり、得られるインキ組成物の形成した筆跡が水で延ばすことができるように、酸価が180以上であることが好ましいが、しかし、酸価が余りにも高いときは、得られるインキ組成物において、顔料の分散性が悪くなることがあるので、酸価は800以下であることが好ましい。
本発明によれば、上述したような特性を有する分散剤樹脂として、親水性のカルボキシル基含有モノマーと疎水性のモノマーとの共重合体が好ましく用いられる。カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の一塩基酸、イタコン酸、マレイン酸等の二塩基酸、更には、二塩基酸の無水物、その半エステル等を挙げることができる。また、上記疎水性モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル、α−オレフィン、酢酸ビニル等のビニルエステル等を挙げることができる。
特に、本発明によれば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体等が好ましく用いられる。なかでも、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体に代表されるように、疎水性モノマーとしてスチレンを、カルボキシル基含有モノマーとしてアクリル酸をそれぞれ含有する共重合体が好ましい。ここに、(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタクリル酸を意味するものとする。
このようなスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体は市販されており、そのような分散剤樹脂の市販品の具体例として、例えば、ジョンクリル690(分子量16500、酸価240、ジョンソンポリマー(株)製)、同HPD671(分子量17250、酸価214、ジョンソンポリマー(株)製)、同ジョンクリル67(分子量12500、酸価213、ジョンソンポリマー(株)製)、同H−2190(分子量20000、酸価190、星光化学(株)製)等を挙げることができる。
このような分散剤樹脂の使用量は、インキ組成物において、0.05〜40重量%の範囲であり、好ましくは、0.1〜20重量%の範囲である。分散剤樹脂の使用量がインキ組成物において40重量%を超えるときは、得られるインキ組成物の経時安定性が悪くなり、筆記性も悪くなる。他方、分散剤樹脂の使用量がインキ組成物において0.05重量%よりも少ないときは、筆跡中の顔料を水によって再分散させるには、量が足りないので、筆記直後にも、筆跡を水で延ばすことができない。
本発明によれば、吸収性の筆記面上に筆跡を形成したとき、一定時間の経過の後には、筆跡中で分散剤樹脂と塩形成している中和剤が筆跡から揮散して、筆跡が水不溶性となって、耐水性を有するように、上記中和剤として揮発性を有する有機アミンが用いられる。特に、本発明によれば、この中和剤として、常圧での沸点が150〜400℃以の範囲にあるものが好ましく用いられる。
有機アミンの沸点が150℃よりも低いときは、筆跡を形成したとき、その筆跡からの揮発が早すぎる結果、筆記後、筆跡が直ちに耐水性になり、水で延ばすことができない。しかし、有機アミンの沸点が400℃を超えるときは、長時間の経過した後も、筆跡から揮散せず、従って、筆跡に耐水性が生じ難くなる。
このような中和剤を用いることによって、中和剤の存在下において、筆跡中の分散剤樹脂が水溶性であるので、筆記して暫くの間は、筆跡を水で延ばすことができるが、時間が経過するにつれて、中和剤が揮発し、それと共に分散剤樹脂が水不溶性となり、インキ組成物が水不溶性となり、かくして、一定時間の後には、筆跡は、耐水性になる。
本発明において、上記中和剤である有機アミンとしては、なかでも、一般式(I)
Figure 2006104459
(但し、式中、R1 はエチレン基、トリメチレン基又はプロピレン基を示し、R2 及びR3 はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基又は −R1−OH 基を示す。)
で表されるアルカノールアミンが好ましく用いられる。
このようなアルカノールアミンの具体例として、例えば、メチルエタノールアミン(沸点159℃)、モノイソプロパノールアミン(沸点159℃)、ジエチルエタノールアミン(沸点162℃)、モノエタノールアミン(沸点171℃)、プロパノールアミン(沸点187℃)、メチルジエタノールアミン(沸点247℃)ジエタノールアミン(沸点269℃)、トリエタノールアミン(沸点360℃)等を挙げることができる。
本発明においては、このような中和剤としての有機アミンは、その種類や、また、これと組み合わせる前記分散剤樹脂の種類や酸価にもよるが、通常、前記分散剤樹脂の有する酸価に対して、0.9〜2.0当量の範囲で用いられる。)有機アミンの使用量が余りに少ないときは、分散剤樹脂を水溶性化することができず、顔料を溶剤である水中に分散させることができない。しかし、有機アミンの使用量が余りに多いときは、得られるインキ組成物の経時安定性が損なわれるおそれがある。
更に、本発明によれば、インキ組成物において、分散剤樹脂は、分散剤樹脂/顔料重量比が0.75以上にて、好ましくは、0.75〜4.0の範囲にて用いられる。分散剤樹脂/顔料重量比が0.75よりも小さいときは、筆跡を水で延ばすことができるように、筆跡中の顔料を再分散させるには、分散剤樹脂の量が足りない。しかし、分散剤樹脂/顔料重量比が4.0を越えるときは、インキ組成物の経時安定性が悪くなるおそれがある。
本発明によるインキ組成物は、インキ組成物の粘度を調整するために、必要に応じて、水溶性の多糖類のような増粘剤を含有していてもよい。このような増粘剤の一例として、例えば、水溶性の微生物産系多糖類とその誘導体を挙げることができ、具体例として、例えば、プルラン、ザンサンガム、ウェランガム、ラムザンガム、サクシノグルカン、デキストラン等を挙げることができる。また、水溶性の植物系多糖類とその誘導体も増粘剤の好ましい例であり、具体例として、例えば、トラガカントガム、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、ガティガム、アラビノガラクタンガム、アラビアガム、クイスシードガム、ペクチン、デンプン、サイリュームシードガム、ペクチン、カラギーナン、アルギン酸、寒天等を挙げることができる。
更に、水溶性の動物系多糖類とその誘導体も増粘剤として用いられる。具体例として、例えば、ゼラチン、カゼイン、アルブミンを例示することができる。上記のほか、N−ビニルアセトアミド樹脂、架橋されたN−ビニルアセトアミド樹脂等のN−ビニルアセトアミド系樹脂等の水溶性の樹脂も増粘剤として用いられる。しかし、本発明においては、上述した種々の増粘剤のなかでは、特に、微生物産系多糖類とその誘導体が好ましく用いられる。本発明においては、このような増粘剤は、1種又は2種以上が混合して用いられる。特に、本発明によるインキ組成物をボールペン用のインキ組成物として用いる場合には、インキ組成物において、顔料の分散安定性を高めて、顔料が沈降しないように、上述した増粘剤を含有していることが好ましい。
このように、本発明によるインキ組成物において、増粘剤を用いる場合、増粘剤は、インキ組成物において、好ましくは、0.01〜40.0重量%の範囲で用いられる。増粘剤の使用量がインキ組成物において0.01重量%よりも少ないときは、顔料の分散安定性を高める効果が十分でなく、顔料がインキ組成物において、沈降するおそれがある。しかし、増粘剤の使用量がインキ組成物において40.0重量%を超えるときは、インキ組成物の粘度が高すぎて、流動性が低下する。増粘剤の最適の添加量は、増粘剤の種類によっても、幾分、異なるが、通常、0.1〜5.0重量%の範囲である。
本発明によるインキ組成物をボールペン用インキ組成物に用いる場合、このように、増粘剤を含有して、温度20℃における粘度が20〜10000mPa・sの範囲にあることが好ましく、他方、本発明によるインキ組成物をサインペン用インキ組成物に用いる場合には、増粘剤を含有せず、温度20℃における粘度が1〜20mPa・sの範囲にあることが好ましい。
ここに、上記粘度は、ELD型粘度計を用いて、粘度が1000mPa・s未満のときは、1°34′ローターを用い、回転数を粘度に合わせて調整して、測定し、粘度が1000mPa・s以上のときは、3°ローターを用い、回転数0.5rpmで測定した。しかし、本発明によるインキ組成物をサインペン用インキ組成物に用いる場合にも、必要ならば、増粘剤を含有していてもよい。
更に、本発明によるインキ組成物は、そのペン先での乾燥防止と凍結防止を図るために、湿潤剤として、水溶性有機溶剤を含有していてもよい。このような水溶性有機溶剤として、例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル等のグリコ−ル類、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の上記グリコール類のエーテル類を例示することができる。これらの有機溶剤は単独にて、又は2種以上が混合して用いられる。
本発明によれば、吸収性の筆記面上に形成した筆跡を水で延ばすことができるように、インキ組成物の浸透性は、前述したように、小さいことが好ましく、この点からは、本発明によるインキ組成物は、上記水溶性有機溶剤を含有しないのが望ましい。しかし、水溶性有機溶剤を用いる場合には、その使用量は、通常、インキ組成物において、0.01〜30.0重量%の範囲であり、好ましくは、0.1〜15.0重量%の範囲である。水溶性有機溶剤の使用量がインキ組成物において、0.01重量%よりも少ないときは、ペン先での乾燥を防止し、また、インキ組成物の凍結を防止する効果に乏しい。他方、水溶性有機溶剤の使用量がインキ組成物において、30.0重量%を超えるときは、得られるインキ組成物の浸透性が高すぎて、吸収性筆記面に形成した筆跡は、筆記直後であっても、水で延ばすことができない。
本発明によるインキ組成物は、界面活性剤を含有していてもよい。前述したように、インキ組成物の浸透性は小さいことが好ましく、この点からは、界面活性剤を用いないのが望ましい。しかし、界面活性剤を用いることが必要な場合には、アニオン活性剤(カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン型、リン酸エステル型)、ノニオン活性剤(エーテル型、エステル型、アミノエーテル型、アルキルアミド型)、フッ素系活性剤、シリコーン系活性剤、反応性活性剤等が用いられる。これらの界面活性剤は単独で、又は2種以上が組み合わせて用いられる。これらの界面活性剤の使用量は、インキ組成物において、5重量%以下,好ましくは0.01〜3重量%の範囲が好ましい。5重量%を超えるときは、インキ組成物の浸透性が過度に高くなって、筆記直後であっても、筆跡を水で延ばすことができなくなるおそれがある。
更に、本発明によれば、ペン先にキャップを被せるようにした筆記具において、ペン先からキャップを外して放置したような場合にも、ペン先が乾燥しないように、即ち、キャップオフ性の向上のために、尿素又はその誘導体、糖、糖エステル等をインキ組成物に加えてもよい。尿素のようなキャップオフ性の向上のための添加剤は、インキ組成物において、通常、0.1〜20重量%の範囲で用いられる。本発明によれば、その他、必要に応じて、インキ組成物にpH調整剤、防錆剤、防腐防黴剤等も適宜に加えてもよい。
本発明による筆記具用水性インキ組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、酸性の分散剤樹脂と有機アミンと適量の水を混合、加熱して、酸性の分散剤樹脂を有機アミンと塩形成させて、分散剤樹脂を水に溶解させ、次いで、この分散剤樹脂水溶液と顔料とを前記分散剤樹脂/顔料重量比にて混合し、これに適量の水を加えた後、ビーズミル等の適宜の分散手段を用いて顔料を水中に分散させて、顔料分散液を調製する。この後、この顔料分散液に、必要に応じて、増粘剤、湿潤剤、その他の添加剤を加え、撹拌、混合して得ることができる。
実施例
上述した方法によって、第1表に示す組成を有する実施例及び比較例のインキ組成物をそれぞれ調製した。第1表において、インキ組成物の各成分は重量%で示される。
Figure 2006104459
(注) 1)HPD671:ジョンソンポリマー(株)製スチレン−アクリル酸共重合樹脂(分子量17250、酸価214) 2)ジョンクリル690:ジョンソンポリマー(株)製スチレン−アクリル酸共重合樹脂(分子量16500、酸価240) 3)H−2190:星光化学(株)製スチレン−アクリル酸共重合樹脂(分子量20000、酸価190) 4)プリンテックス85:デグサ社製黒色顔料 5)ファーストゲンブルーTGR:大日本インキ化学工業(株)製青色顔料 6)ウェランガム:三晶(株)製 7)トリエチルアミン:沸点89℃
第1表に示す実施例1〜4及び比較例1、3のインキ組成物を(株)サクラクレパス製の中芯式サインペン(商品名「ピグマ」、線幅1.0mm)に充填した。また、実施例5〜8及び比較例2、4のインキ組成物を(株)サクラクレパス製直液式ボールペン(商品名「ボールサイン」、線幅0.8mm)に充填した。上記試験サンプルにおける分散剤樹脂/顔料重量比と共に、下記の方法にて調べた筆跡の延びと筆跡の耐水性を第1表に示す。
(筆跡の延び)
上記サインペン又はボールペンを用いて葉書用紙に筆記して15分経過したとき、水道水に浸した筆で筆跡を延ばすことを試みた。筆跡を水で延ばすことができたときを「良い」とし、筆跡を水で延ばすことができないときを「悪い」とした。
(筆跡の耐水性)
上記サインペン又はボールペンを用いて葉書用紙に筆記して24時間経過したとき、水道水に浸した筆で筆跡を延ばすことを試みた。筆跡を水で延ばすことができず、即ち、筆跡に耐水性があるときを「良い」とし、筆跡を水で延ばすことができたとき、即ち、筆跡に耐水性がないときを「悪い」とした。
第1表に示すように、比較例1〜4のインキ組成物による筆跡は、筆記してから15分経過したとき、既に、水で延ばすことができない。これに対して、実施例のインキ組成物による筆跡は、筆記してから15分経過したとき、筆跡を水で延ばすことができ、筆記してから24時間経過したときは、筆跡は、最早、水で延ばすことができず、耐水性を有している。







Claims (4)

  1. 水、顔料、酸性の分散剤樹脂及びこの酸性の分散剤樹脂を中和して水溶性とする中和剤を含む筆記具用水性インキ組成物において、上記酸性の分散剤樹脂が10000以上の分子量と180以上の酸価を有する樹脂であり、上記中和剤が沸点150〜400℃の有機アミンであり、上記酸性の分散剤樹脂/顔料重量比が0.75以上であることを特徴とする筆記具用水性インキ組成物。
  2. 有機アミンが一般式(I)
    Figure 2006104459
    (但し、式中、Rはエチレン基、トリメチレン基又はプロピレン基を示し、R2 及びR3 はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基又は −R1−OH 基を示す。)
    で表されるアルカノールアミンである請求項1に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  3. 酸性の分散剤樹脂がカルボキシル基含有モノマーと疎水性モノマーとの共重合体である請求項1に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  4. 酸性の分散剤樹脂がスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体である請求項1に記載の筆記具用水性インキ組成物。
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