JP5304104B2 - ボールペン用水性インキ組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、極めて軽く滑らかに書け、しかもキャップをしないで、ペン先を開放にしたまま放置した場合、書き出しのカスレを極力抑制したボールペン用水性インキ組成物に関する。
従来、ボールペンは、繊維製ペン先や樹脂製ペン先を有する筆記具に比べて、比較的細い筆跡が得られると共に、長期間使用してもペン先の摩耗やつぶれなどによる筆跡幅の変化が少ないことから広く使用されている。
ボール受け座の摩耗は、インキ通路のボールで隠れる部分の割合が増加することになり、インキ吐出量が減少する。摩耗が進むと完全にインキ通路が塞がれることもあり、筆記不能となることもある。また、顔料インキの顔料の沈降を抑制するためにインキを高粘度としたものなどは、インキの流動性が低いので筆記抵抗が大きくなってしまうものであった。
そこで、ボールの回転によるボール受け座の摩耗を抑制するためや、筆記抵抗を軽いものとするためなどに、インキに潤滑剤を添加することが行われている。
例えば、特許文献1には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルを用いた例が、特許文献2には、剪断減粘性インキにポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルを用いた例が、特許文献3には、剪断減粘性インキにポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルを用いた例が開示されている。
特開昭55−66979(特許請求の範囲) 特開平2−251580号公報(第5頁第1欄14行〜第3欄4行) 特開平9−100435号公報(特許請求の範囲)
文献1に記載されている水性インキ中のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルは、そのオキシエチレンの数によって水に対する溶解性が異なる。即ち、オキシエチレンの数が多いほど水に溶解しやすくなり、反対にボールペンチップのボールホルダー内壁を構成する金属に対する吸着性が損なわれるようになる。オキシエチレンの数が5未満程度だと金属に対し十分に吸着するものと考えられるが、反対にインキ媒体である水に対する溶解度が低く、不使用状態で、水の乾燥が起こっていったときに、固形分として析出し、インキの流れをせき止めてしまい、筆記しようとした初期に筆跡が形成されないという問題がある。オキシエチレンの数が多いものでは水に溶解しやすい代わりに金属に対する吸着性が弱く、潤滑効果が弱いものである。
また、文献1に記載されているインキは、粘度が低いものであり、また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルは、界面活性効果が高いので、潤滑効果を高めるためにオキシエチレンの数が多いものを大量に使用しようとすると、インキの表面張力が下がり、筆跡が滲んでしまう。文献2に記載の発明に開示されているインキのように、擬塑性付与剤を使用してインキの粘度を高くして滲みにくくすることはできるが、文献1と同様に、十分な潤滑性の付与と析出による筆記しようとした初期に筆跡が形成されない状態の抑制とを両立できないものであった。
また、文献3に記載の発明では、2種類のリン酸誘導体を用いている例(実施例10では、オキシエチレンの数が1のものと6のものとを併用)があるが、オキシエチレンの数が1なので水への溶解性が劣りイオン化されにくいため金属への吸着量が少なくなるので潤滑効果は弱く、しかもペン先近傍での水の乾燥による析出の問題が発生するものである。
本発明は、着色剤と、多糖類と、水溶性有機溶剤と、水と、下記一般式(数1)にて示されるリン酸誘導体と、下記一般式(数2)にて示されるリン酸誘導体とを少なくとも含有し、(数1)、(数2)にて示されるリン酸誘導体の重量比率が1:1〜1:9であるボールペン用水性インキ組成物を要旨とするものである。


上記(数1)で示される化合物は、オキシエチレンが4個でやや親水性が弱く水への溶解性が低いが、金属への吸着が高く、大きな潤滑作用を示す。これだけではペン先で水が揮散すると、水への溶解性という点で析出しやすいが、類似構造でありながら親水性の強い前記(数2)にて示される化合物の存在により、上記(数1)は水性媒体中にて析出することなく存在できるので、潤滑効果を維持しつつ筆記しようとした初期に筆跡が形成されない状態を抑制することができるものと推察される。
また上記(数1)で示される化合物と上記(数2)で示される化合物との比率は、(数1)で示される化合物の比率が1:1より大きくなった場合、金属に吸着する分子数は変わらないので、潤滑効果に差はない。但し、ペン先で水が揮散すると、(数2)で示される化合物が相対的に少なくなっているため可溶化力が弱まるのでカスレの問題は解消されない。また(数1)で示される化合物の比率が1:9より少なくなると、(数2)で示される化合物の可溶化力と相俟って、潤滑効果が激減してしまう。従って、潤滑効果及び可溶化力を考慮すると(数1)で示される化合物と(数2)で示される化合物との比率は、1:1〜1:9が適切である。
使用される着色剤としては、従来公知の酸性染料、塩基性染料、直接染料といった水溶性染料や顔料を使用することができる。
酸性染料としては、C.I.アシッドブルー1、塩基性染料としては、C.I.ベーシックブルー7、直接染料としては、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ダイレクトオレンジ8等が挙げられる。
顔料としては、従来公知の顔料を使用することが出来、具体例として、ファーネストブラック、コンタクトブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン等の無機顔料、C.I.PIGMENT RED2、同3、同5、同17、同22、同38、同41、同48:2、同48:3、同49、同50:1、同53:1、同57:1、同58:2、同60、同63:1、同63:2、同64:1、同88、同112、同122、同123、同144、同146、同149、同166、同168、同170、同176、同177、同178、同179、同180、同185、同190、同194同206、同207、同209、同216、同245、C.I.PIGMENT ORANGE 5、同10、同13、同16、同36、同40、同43、C.I.PIGMENT VIOLET 19、同23、同31、同33、同36、同38、同50、C.I.PIGMENT BLUE 2、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同16、同17、同22、同25、同60、同66、C.I.PIGMENT BROWN 25、同26、C.I.PIGMENT YELLOW 1、同3、同12、同13、同24、同93、同94、同95、同97、同99、同108、同109、同110、同117、同120、同139、同153、同166、同167、同173C.I.PIGMENT GREEN 7、同10、同36等の有機顔料等が挙げられる。これらは、1種もしくは2種以上混合して用いることが出来る。
更に着色剤としての顔料は、分散剤を併用することが好ましい。分散剤としては、従来一般に用いられている水溶性もしくは水可溶性樹脂や、アニオン系もしくはノニオン系の界面活性剤などを用いることができる。その使用量は、水性組成物全量に対して1重量%以上、20重量%以下が好ましい。
また、市販の水分散タイプの顔料は取扱性や生産性が高まるので好ましく用いられる。水分散タイプの具体例としては、チバスペシャリティケミカルズ(株)製のunisperseシリーズ、クラリアントジャパン(株)製のHostfineシリーズ、大日本インキ化学工業(株)製のDisperseシリーズ、Ryudyeシリーズ、東洋インキ(株)製のRio Fastシリーズ、EM Colorシリーズ、山陽色素(株)製のEmacolシリーズ、Sandyeシリーズ、冨士色素(株)製のFUJI SP シリーズ、住化カラー(株)製のPoluxシリーズ、(以上、無機、有機顔料の分散体)、日本蛍光(株)製のNKWシリーズ、東洋ソーダ(株)製のコスモカラーシリーズ、シンロイヒ(株)製のシンロイヒ・カラーベースシリーズ(以上、蛍光顔料の分散体)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して使用することもできるものである。
多糖類として、グァーガム及びその誘導体、キサンタンガム、ウエランガム、ラムザンガム、アルカシーガム、ゼータシーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、サクシノグルカン等が使用できる。
多糖類の使用量は、インキ全量に対して0.10重量%以上1.00重量%以下が好ましい。0.10重量%未満では、ゲル構造が弱すぎて、顔料が沈降する場合がある。一方、1.00重量%を越えた場合、粘度が高くなり過ぎるため、筆跡の中心部が抜けやすくなる。
多糖類の分子鎖には多く水酸基があり、分子鎖同士が水素結合により強固に結合している。そのため、該多糖類は水に対する溶解性が悪くなっているので、水に対する溶解性をあげてボールペン用インキに剪断減粘性をより醸し出すためには、80℃や90℃といった高温で溶解させるか、或いは高剪断力を有する機械を用いて溶解することが有効である。但し、高剪断力すぎると分子鎖が切断され逆効果となってしまう場合がある。
水溶性有機溶剤は、ペン先でのインキ乾燥防止、低温時、インキの凍結防止などの目的で使用する。具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等や、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独或は混合して使用することができる。その使用量はインキ組成物全量に対して10重量%以上、60重量%以下が好ましい。
水は主溶剤として用いる。
本発明に用いる上記(数1)、(数2)で示される化合物は、ボール受座の摩耗を防止し、更にペン先を開放にした場合、長期間にわたりカスレを発生させないために用いる。その使用量は固形分として上記(数1)、(数2)で示される化合物の合計が、インキ全量に対し、0.3重量%以上、4.0重量%以下が好ましい。0.3重量%未満では効果が発現され難く、4.0重量%を越えると筆跡が滲む傾向となる。但し、粘度調整剤として用いる多糖類が、アルカシーガムのような分子量が1×107〜9と非常に大きいと、分子鎖同士の水素結合による凝集力がより強く働くため、他の物質との親和性が劣ってくる。そのため、(数1)、(数2)で示される化合物は、環境の変化例えば0℃以下或いは50℃以上の高温の環境に置かれた場合、インキ全量に対し、4.0重量%を超えると析出する場合がある。
具体的なものとしては、(数1)で示される化合物としてフォスファノール RB−410(4オキシエチレンオレイルエーテルリン酸)、(数2)で示される化合物としてフォスファノール RS710(9オキシエチレンアルキル(12〜15)エーテルリン酸)以上東邦化学工業(株)製)が挙げられる。尚、これらリン酸誘導体はナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アミン塩などあらかじめ塩にしたものをインキに用いても、これらリン酸誘導体をインキ配合時に併用することによってインキ中で塩にして用いてもよく、その場合のアルカリの具体的な例としては水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
さらに、尿素、エチレン尿素、チオ尿素などの湿潤剤や、ベンゾチアゾリン系、オマジン系などの防腐剤、ベンゾトリアゾールなどの防錆剤、顔料を被筆記面に定着させるためにスチレン−アクリル共重合体やそのアルカリ塩、酢酸ビニル系やアクリル系やスチレン−アクリル系の樹脂等のエマルジョン、水酸化ナトリウムや2,2−アミノメチル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミン等のpH調整剤、シリコーン系エマルジョン等の消泡剤といった種々の添加剤を必要に応じて使用することもできる。
本発明のインキ組成物を製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できる。
例えば、高剪断力を有するヘンシェルミキサー等の撹拌機に水と多糖類を入れ撹拌溶解した後、ボールミル、ビーズミル、ロールミル等の分散機により分散した顔料やその他残りの成分を入れ、さらに混合撹拌することにより容易に得られる。脱泡機による泡の除去やろ過機による粗大物のろ過等を必要に応じて行っても良い。
(粘度調整剤溶液1)
イオン交換水 68.5重量部
エチレングリコール 25.0重量部
プロクセルGXL(防黴剤、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ICIジャパン(株)製) 0.5重量部
ケルザンAR(三晶(株)製) 6.0重量部
これらの配合物をヘンシェルミキサーに入れ、1400rpmで30分撹拌溶解後、取り出し、粘度調整剤溶液1を得た。
(粘度調整剤溶液2)
イオン交換水 72.5重量部
エチレングリコール 25.0重量部
プロクセルGXL 0.5重量部
ゼータシーガム(伯東(株)製) 2.0重量部
これらの配合物をヘンシェルミキサーに入れ、2800rpmで30分間撹拌溶解後、取り出し、粘度調整剤溶液2を得た。
(粘度調整剤溶液3)
イオン交換水 73.5重量部
エチレングリコール 25.0重量部
プロクセルGXL 0.5重量部
アルカシーガム(伯東(株)製) 1.0重量部
これらの配合物をヘンシェルミキサーに入れ、2800rpmで60分間撹拌溶解後、取り出し、粘度調整剤溶液3を得た。
(リン酸エステルのナトリウム塩調整液1)
フォスファノールRB410(上記(数1)で示される化合物、4オキシエチレンオレイルエーテルリン酸、東邦化学工業(株)製) 20.0重量部
イオン交換水 80.0重量部
これらをスリーワンモータにて攪拌しながら、20%水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加え、pH8.0±0.5に調整する。
(リン酸エステルのナトリウム塩調整液2)
フォスファノールRS710(上記(数2)で示される化合物、9オキシエチレンアルキルエーテルリン酸、東邦化学工業(株)製) 20.0重量部
イオン交換水 80.0重量部
これらをスリーワンモータにて攪拌しながら、20%水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加え、pH8.0±0.5に調整する。
(リン酸エステルのナトリウム塩調整液3)
プライサーフA212C(6オキシエチレントリデシルエーテルリン酸、第一工業製薬(株)製) 20.0重量部
イオン交換水 80.0重量部
これらをスリーワンモータにて攪拌しながら、20%水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加え、pH8.0±0.5に調整する。
(リン酸エステルのナトリウム塩調整液4)
フォスファノールPE510(6オキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸、東邦化学(株)製) 20.0重量部
イオン交換水 80.0重量部
これらをスリーワンモータにて攪拌しながら、20%水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加え、pH8.0±0.5に調整する。
(実施例1)
イオン交換水 34.2重量部
プロピレングリコール 6.0重量部
グリセリン 14.0重量部
ベンゾトリアゾール 0.4重量部
コートサイドS(防黴剤、武田薬品工業(株)製) 0.1重量部
TSA739(消泡剤、シリコーンエマルジョン、GE東芝シリコーン(株)製)
0.1重量部
リン酸エステルのナトリウム塩調整液1 2.0重量部
リン酸エステルのナトリウム塩調整液2 5.0重量部
ジョンクリルJ734(スチレン・アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー
1.0重量部
FUJI SP BLACK 8970(顔料分散体、冨士色素(株)製)
25.0重量部
ジエタノールアミン(pH調整剤) 0.2重量部
粘度調整剤溶液1 12.0重量部
これらの配合物をヘンシェルミキサーに入れ、1300rpmで30分間混合撹拌し、取り出した。その後、ろ過を行い、減圧脱泡機にて脱泡して黒色のボールペン用水性インキを得た。
(実施例2)
イオン交換水 29.7重量部
エチレングリコール 10.0重量部
グリセリン 10.0重量部
ベンゾトリアゾール 0.4重量部
コートサイドS 0.1重量部
TSA739 0.1重量部
リン酸エステルのナトリウム塩調整液1 1.0重量部
リン酸エステルのナトリウム塩調整液2 9.0重量部
ジョンクリル450(スチレン・アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー
(株) 2.0重量部
FUJI SP RED 5653(顔料分散体、冨士色素(株)製)
25.0重量部
ジエタノールアミン 0.2重量部
粘度調整剤溶液2 12.5重量部
これらの配合物をヘンシェルミキサーに入れ、1400rpmで60分間攪拌後、取り出した。その後、ろ過を行い、実施例1と同様に脱泡して赤色のボールペン用水性インキを得た。
(実施例3)
イオン交換水 32.2重量部
プロピレングリコール 10.0重量部
グリセリン 10.0重量部
ベンゾトリアゾール 0.4重量部
コートサイドS 0.1重量部
TSA739 0.1重量部
リン酸エステルのナトリウム塩調整液1 3.0重量部
リン酸エステルのナトリウム塩調整液2 3.0重量部
ジョンクリルJ775(スチレン・アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー
(株)製) 5.0重量部
FUJI SP BLUE 6474(顔料分散体、冨士色素(株)製)
18.0重量部
FUJI SP VIOLET 9602(顔料分散体、冨士色素(株)製)
2.0重量部
トリエタノールアミン 1.2重量部
粘度調整剤溶液2 15.0重量部
これらの配合物をヘンシェルミキサーに入れ、1300rpmで30分間攪拌後、取り出した。その後、ろ過を行い、実施例1と同様に脱泡して青色のボールペン用水性インキを得た。
(実施例4)
イオン交換水 28.2重量部
エチレングリコール 10.0重量部
グリセリン 10.0重量部
ベンゾトリアゾール 0.4重量部
コートサイドS 0.1重量部
TSA739 0.1重量部
リン酸エステルのナトリウム塩調整液1 2.0重量部
リン酸エステルのナトリウム塩調整液2 10.0重量部
ジョンクリル450(スチレン・アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー
(株)製) 2.0重量部
FUJI SP BLACK 8041(顔料分散体、冨士色素(株)製)
25.0重量部
ジエタノールアミン 0.2重量部
粘度調整剤溶液3 12.0重量部
これらの配合物をヘンシェルミキサーに入れ、1400rpmで60分間攪拌後、取り出した。その後、ろ過を行い、実施例1と同様に脱泡して黒色のボールペン用水性インキを得た。
(実施例5)
イオン交換水 36.2重量部
エチレングリコール 10.0重量部
グリセリン 10.0重量部
ベンゾトリアゾール 0.4重量部
コートサイドS 0.1重量部
TSA739 0.1重量部
リン酸エステルのナトリウム塩調整液1 2.0重量部
リン酸エステルのナトリウム塩調整液2 2.0重量部
ジョンクリル450(スチレン・アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー
(株)製) 2.0重量部
FUJI SP BLACK 8041(顔料分散体、冨士色素(株)製)
25.0重量部
ジエタノールアミン 0.2重量部
粘度調整剤溶液3 12.0重量部
これらの配合物をヘンシェルミキサーに入れ、1400rpmで60分間攪拌後、取り出した。その後、ろ過を行い、実施例1と同様に脱泡して黒色のボールペン用水性インキを得た。
(実施例6)
イオン交換水 36.7重量部
プロピレングリコール 6.0重量部
グリセリン 14.0重量部
ベンゾトリアゾール 0.4重量部
コートサイドS(防黴剤、武田薬品工業(株)製) 0.1重量部
TSA739(消泡剤、シリコーンエマルジョン、GE東芝シリコーン(株)製)
0.1重量部
リン酸エステルのナトリウム塩調整液1 2.0重量部
リン酸エステルのナトリウム塩調整液2 2.6重量部
ジョンクリルJ734(スチレン・アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー
1.0重量部
FUJI SP BLACK 8970(顔料分散体、冨士色素(株)製)
25.0重量部
ジエタノールアミン(pH調整剤) 0.2重量部
粘度調整剤溶液1 12.0重量部
これらの配合物をヘンシェルミキサーに入れ、1300rpmで30分間混合撹拌し、取り出した。その後、ろ過を行い、減圧脱泡機にて脱泡して黒色のボールペン用水性インキを得た。
(比較例1)
実施例1において、リン酸エステルのナトリウム塩調整液1とリン酸エステルのナトリウム塩調整液2を除き、リン酸エステルのナトリウム塩調整液3を7重量部加えた以外は実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
(比較例2)
実施例1において、リン酸エステルのナトリウム塩調整液1とリン酸エステルのナトリウム塩調整液2を除き、リン酸エステルのナトリウム塩調整液3を15重量部加えた以外は実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
(比較例3)
実施例1において、リン酸エステルのナトリウム塩調整液1とリン酸エステルのナトリウム塩調整液2を除き、リン酸エステルのナトリウム塩調整液3を0.5重量部とリン酸エステルのナトリウム塩調整液4を0.5重量部加え、その減った分イオン交換水を増やした以外は実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
(比較例4)
実施例1において、リン酸エステルのナトリウム塩調整液2を除き、その分イオン交換水を増やした以外は実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
(比較例5)
実施例1において、リン酸エステルのナトリウム塩調整液1を除き、その分イオン交換水を増やした以外は実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
(比較例6)
実施例1において、リン酸エステルのナトリウム塩調整液1を5重量部に増やし、リン酸エステルのナトリウム塩調整液2を4重量部に減らし、その増えた分イオン交換水を減らした以外は実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
(比較例7)
実施例1において、リン酸エステルのナトリウム塩調整液2を20重量部に増やし、その増えた分イオン交換水を減らした以外は実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
(比較例8)
実施例2において、リン酸エステルのナトリウム塩調整液1を0.75重量部に減らし、その減らした分イオン交換水を増やした以外は実施例2と同様になして赤色のボールペン用水性インキを得た。
(比較例9)
実施例1において、リン酸エステルのナトリウム塩調整液2を除き、その代わりにリン酸エステルのナトリウム塩調整液3を加えた以外は実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
実施例1〜6及び比較例1〜9で得たインキ組成物をステンレス製のボールペンチップ(ボール素材:超硬合金、ボール径:0.5mm)からなるぺんてる(株)製ハイブリッド(製品符号K105)のリフィル(インキ収容管材質:ポリプロピレン)に約0.8g充填し、インキ界面に上記K105に使用されている逆流防止体組成物を層状に配置した後に、ペン先が外側を向くように遠心処理を施し脱泡して、試験用ボールペンを作成した。
(筆記試験)
上記作成サンプルのボール出高さを測定後、螺旋筆記試験機(精機工業研究所製)にて、筆記速度7cm/秒、筆記角度70°、筆記荷重100gの条件で、JIS P3201の筆記用紙Aにて、インキを使い切るまで筆記し、終了後、ボールの沈み量を工具顕微鏡にて測定した。また、書き出し後5mの筆跡幅をルーペにて測定した。インキが使い切る前に筆記できなくなった場合は、インキ残量を筆記前のリフィル内インキ高さに対する比で求めた。
(初筆カスレ試験)
試験用ボールペンを各6本用意し、直線で150mm筆記した後、キャップをしないで横向き状態で50℃、30%の恒温恒湿室内に1日〜5日間放置する。1日後、3日後、5日後に各々2本のサンプルを直線引きし、書き出しからの筆跡状態を確認し、インキのないカスレた長さを測定した。

Claims (1)

  1. 着色剤と、多糖類と、水溶性有機溶剤と、水と、下記一般式(数1)にて示されるリン酸誘導体と、下記一般式(数2)にて示されるリン酸誘導体とを少なくとも含有し、(数1)、(数2)にて示されるリン酸誘導体の重量比率が1:1〜1:9であるボールペン用水性インキ組成物。
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