JP3538721B2 - 水性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いたボールペン - Google Patents

水性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いたボールペン

Info

Publication number
JP3538721B2
JP3538721B2 JP04411996A JP4411996A JP3538721B2 JP 3538721 B2 JP3538721 B2 JP 3538721B2 JP 04411996 A JP04411996 A JP 04411996A JP 4411996 A JP4411996 A JP 4411996A JP 3538721 B2 JP3538721 B2 JP 3538721B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
ink composition
aqueous
ballpoint pen
ball
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04411996A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09208876A (ja
Inventor
勤 鬼頭
邦行 千賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pilot Ink Co Ltd
Original Assignee
Pilot Ink Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Pilot Ink Co Ltd filed Critical Pilot Ink Co Ltd
Priority to JP04411996A priority Critical patent/JP3538721B2/ja
Priority to TW086101153A priority patent/TW429267B/zh
Priority to CA002196512A priority patent/CA2196512C/en
Priority to US08/794,091 priority patent/US5785746A/en
Priority to KR1019970004013A priority patent/KR100457118B1/ko
Priority to DE69705645T priority patent/DE69705645T2/de
Priority to EP97300739A priority patent/EP0787779B1/en
Priority to CNB971021740A priority patent/CN1144848C/zh
Publication of JPH09208876A publication Critical patent/JPH09208876A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3538721B2 publication Critical patent/JP3538721B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pens And Brushes (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水性ボールペン用イ
ンキ組成物及びそれを用いたボールペンに関する。更に
詳細には、スムーズな筆記感を備え、筆記性能と保存性
能を満たす剪断減粘性の水性ボールペン用インキ組成物
及びそれを用いたボールペンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ボールペン用インキとしては,粘
度が1万〜2万m.Pa.s程度の油性溶剤系で構成さ
れた油性ボールペンと、粘度が10m.Pa.s程度の
水性媒体からなる低粘性の水性ボールペンが汎用されて
いた。前記油性ボールペンは、比較的簡易なボールペン
機構に充填して実用に供される利点がある反面、インキ
自体の高粘性に依存して筆記感が重い上、高粘性インキ
を薄いインキ膜状態でボールから筆記面に転写する筆記
機構のため、カスレ現象やペンチップにインキが蓄積す
るいわゆるインキボテ現象や外気温が高い環境下での筆
記に際して、筆跡の滲み現象などの不具合を発生させが
ちである。一方、前記低粘性水性ボールペンにおいて
は、軽い筆圧で濃い筆跡濃度が得られる利点がある反
面、低粘性のインキを適正に流出させるためのインキ流
出制御手段等を配備する必要があり、多部品から構成さ
れる複雑な構造を余儀なくされる上、インキの低粘性に
依存して筆記時には滲み現象を発生させがちであった。
【0003】前記した状況に鑑み、近年、揺変性を付与
した水性媒体のインキ、所謂、剪断減粘性の水性ボール
ペンインキが開発され、実用に供されるようになった。
この種のインキは、剪断応力が加わらない静置時にあっ
ては高粘度であり、ボールペン機構内において安定的に
保持されており、筆記時にあっては高速回転するボール
による高剪断力によって、ボール近傍のインキのみが低
粘度化し、その結果、インキはボールとボール収容部の
間隙を毛管力によって円滑に通過して紙面にインキが転
移される。前記紙面等に転移されたインキは、剪断力か
ら解放されるため、再び高粘度状態となり、従来の非剪
断減粘性水性ボールペンの欠点であった筆跡の滲み現象
を発生させない。
【0004】前記した剪断減粘性水性ボールペンインキ
に関する提案は、幾つか開示されている。例えば、水分
散性のガム、樹脂、多糖類等を利用したもの(例えば、
米国特許第4671691号公報、特公昭64─867
3号公報)が挙げられる。ところで、前記公報等に開示
されている水分散性のガム、樹脂、増粘性多糖類は、微
生物による解重合作用、光化学的酸化による分解作用、
強い剪断力による分子鎖の開裂作用により、変質または
劣化しやすい傾向があり、剪断減粘性効果を安定的に持
続して満足させているとはいえない。
【0005】又、架橋型アクリル樹脂等の有機高分子化
合物を剪断減粘性付与剤として利用したもの(特開昭5
7─49678号公報等)が開示されているが、架橋性
アクリル樹脂の特性として高粘度の状態では、ある程度
の剪断減粘性を呈するとしても、水性ボールペンの筆記
機構への適用に際してはその効果を必ずしも有効に発現
し難い。すなわち、剪断減粘性効果が不充分であり、筆
記時の剪断力により生じる筆記に適正な低粘度化と、非
筆記時の保存性に要求される高粘度化とのバランスを必
ずしも満足させていない。
【0006】又、無機質微粒子等の無機化合物を剪断減
粘性付与剤として用いる試み(特開平6─256699
号公報等)が開示されているが、無水珪酸微粒子のよう
な微粒子は、吸水して剪断減粘性を呈するとしても、微
粒子間の凝集力による作用の依存度が大である。従っ
て、この種のインキをボールペン用インキとして適用し
た場合、凝集粒子の三次元構造体がボールとボールハウ
スの狭い間隙を均質状態で安定的に通過することは、か
なりの困難を伴うため、インキ切れを発生させがちであ
る。又、親水性合成スメクタイトの如き膨潤性粘土類
は、実質的に溶解状態に近いほど微細な粒子に分散し、
初期的には良好な剪断減粘性を与えるとしても、経時的
に水がゲル本体から分離、排出する現象、即ち「離漿」
現象を発生させがちであり、ボールペン機構内において
局所的なインキの分離やインキ柱の切断を生じる欠点が
あった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来のボールペン用インキの不具合を解消し、スムーズな
筆記感を備え、筆記性能と保存性能を満たす剪断減粘性
の水性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いたボー
ルペンを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記した
従来の不具合を解消させるための水性ボールペン用イン
キについて鋭意検討を重ね、特定のリン酸エステル化合
物が剪断減粘性を発現させることを見出し、更には特定
の水性インキビヒクルとの組み合わせにより更に効果的
に剪断減粘性効果を効果的に発現させ、ボールペンとし
ての諸性能を満足させることを見出し、本発明を完成さ
せるに到った。即ち、本発明は、必須成分として着色
剤、水、水溶性極性溶剤及び剪断減粘性機能を発現する
リン酸エステル化合物を含有してなり、前記リン酸エス
テル化合物は少なくとも一部が分散状態に保持され、剪
断減粘性機能を発現、持続させるよう構成してなること
を特徴とする水性ボールペン用インキ組成物を要件とす
る。更には、リン酸エステル化合物が下記一般式(1)
及び(2)で示される、モノエステル化合物群及びジエ
ステル化合物群から選ばれる化合物の一種、又は二種以
上の混合物である水性ボールペン用インキ組成物を要件
とする。
【化1】
【化2】 〔ここで、Rはエチレン基、又はプロピレン基(−C
H(CH)−CH−)を示し、nは0〜8の数を示
し、Rは炭素数8〜22の直鎖又は側鎖アルキル基、炭
素数6〜24のアリール基、又はアルキルアリール基を
示す。〕更には、リン酸エステル化合物が下記一般式
(1)及び(2)で示される、モノエステル化合物群及
びジエステル化合物群から選ばれる化合物の一種、又は
二種以上の混合物であることを要件とする。
【化1】
【化2】 〔ここで、Rはエチレン基を示し、nは0〜4の数を
示し、Rは炭素数14〜22の直鎖又は側鎖アルキル
基、炭素数12〜24のアルキルアリール基を示す。〕
更には、リン酸エステル化合物は、インキ中において
0.5μm以下の微粒子状で分散状態にある相と、実質
的に溶解し分子会合状態にある相とが混在状態にあり、
剪断減粘性を発現するよう構成されていることを要件と
する。更には、剪断減粘性機能を有効に発現させる調整
添加剤が配合されてなること、前記調整添加剤はPH調
整剤であること等を要件とする。更には、リン酸エステ
ル化合物を含む水性ボールペン用インキ組成物は、塩基
性無機塩及び/又は塩基性有機化合物によって部分乃至
全部が中和されて、インキのPHが4〜12に調整され
てなることを要件とする。更には、前記水性ボールペン
用インキ組成物は、着色剤1〜35重量%、剪断減粘性
機能を発現するリン酸エステル化合物1〜25重量%、
水溶性極性溶剤5〜35重量%を含み、残部が水及び調
整用添加剤であり、粘度が30〜160m.Pa.s
(EM型回転粘度計における回転数100rpmでの
値)の範囲にあり、剪断減粘性指数0.1〜0.6を満
たすこと、更には、着色剤が可逆性熱変色性マイクロカ
プセル顔料であり、可逆性熱変色性を呈する水性ボール
ペン用インキであること、更には可逆性熱変色性マイク
ロカプセル顔料は、電子供与性有機化合物、電子受容性
化合物及び変色温度を調節する反応媒体を必須成分とす
る均質相溶体を壁膜で被覆してなる、粒子分布が0.5
μm〜20μmの範囲に95体積%以上を占める顔料で
あること、更には、可逆性熱変色性マイクロカプセル顔
料は、外面の少なくとも一部に窪みを有する界面重合ま
たは界面重縮合法により形成された壁膜からなる顔料で
あること、更には、粒子分布が0.5μm〜20μの範
囲に95体積%以上を占める可逆性熱変色マイクロカプ
セル顔料15〜45重量%(固形分)、剪断減粘性機能
を発現するリン酸エステル1.0〜20重量%、水溶性
極性溶剤5〜35重量%を含み、残部が水及び調整添加
剤からなる、粘度が30〜160m.Pa.s(EM型
回転粘度計における回転数100rpmでの値)の範囲
にあり、剪断減粘指数が0.2〜0.5の範囲にあるこ
と、更には、ボールを回転自在に抱持したチップを備
え、インキ収納部に収容されたインキを導出させて筆記
可能に構成されたボールペンにおいて、前記インキ収容
部内に、必須成分として着色剤、水、水溶性極性溶剤及
び剪断減粘性機能を発現するリン酸エステル化合物を含
有してなる剪断減粘性水性ポールペン用インキが直液状
態に収容されてなることを特徴とするボールペン、更に
は、インキ収容部はパイプからなり、収容状態にあるイ
ンキ組成物の後端部には、インキ追従体が配されてなる
こと等を要件とする。
【0009】本発明は前記したとおり、剪断減粘性機能
を発現する特定のリン酸エステルを適用し、前記リン酸
エステルを特定の水性ビヒクルとの組み合わせにおいて
有効に機能させて剪断減粘性効果を効果的に発現させた
ボ−ルペンインキを第1の要件とするものである。
【0010】従来より開示されている剪断減粘性付与剤
が、既述のとおり高分子化合物、樹脂、ガム類、又は無
機質微粒子であるのに対し、本発明にあっては、低分子
量の有機化合物から選ばれた特定のリン酸エステル化合
物が効果的な剪断減粘性機能を満たすことを見出したこ
とにある。リン酸エステル化合物は一般的には、合成樹
脂の触媒、潤滑油用添加剤、帯電防止剤、難燃性付与
剤、金属結合溶剤、金属抽出剤、界面活性剤、極圧添加
剤などの用途が知られているが、リン酸エステル化合物
を剪断減粘性付与剤として、水性ボールペン用インキ分
野に適用する試みは未だ開示されていない。この種のリ
ン酸エステル化合物は、ボールペン用インキの潤滑剤、
即ち、ボールとボール受け座の磨耗を軽減して、スムー
ズな筆記感を持続させるために適用することが知られて
いるにすぎない。
【0011】本発明者らは、比較的低分子の化合物によ
る剪断減粘性付与剤を検討する過程で、種々の界面活性
剤の水溶液のうち、一部のものが剪断減粘性を示すこと
に着目して検討を開始した。しかしながら、いくつかの
界面活性剤はある特定の温度において剪断減粘性を有す
るものが見出されたが、ボールペンの実用温度範囲、例
えば0℃〜60℃において温度変化に安定的に対応し難
い。
【0012】本発明における剪断減粘性をインキに付与
するために使用されるリン酸エステル化合物は、常温領
域は勿論、60℃を越える温度領域においても比較的安
定な粘度と剪断減粘性を保持できるという優れた性質を
備えていることを見い出した。低分子化合物が安定な剪
断減粘性の物性を示すためには、水媒体中において低分
子化合物分子間の相互作用が必要である。即ち、モノ、
ジエステル置換体の各々における適度な親水性と親油性
のバランス、水媒体に対する溶解度、及び酸性〜アリカ
リ領域における水素結合力などが相互に関係し合って、
水媒体中で良好な剪断減粘性を示すものと推察される。
概して、本発明において使用される剪断減粘性を有する
リン酸エステル化合物は、水媒体中において可溶化され
ている場合と、0.5μm以下の微細粒子に分散されて
いる場合と、可溶化と分散の混合状態を呈する場合があ
る。いずれの状態になるかは、水媒体のPHやリン酸エ
ステル化合物の濃度と関係する。又、水溶性溶剤や調整
用添加剤の種類や添加量も関係するが、本発明における
剪断減粘性を発現するリン酸エステル化合物の最大の特
徴は、水媒体中でリン酸エステル化合物の少なくとも一
部が0.5μm以下の微細粒子状で分散していることが
安定な剪断減粘性をもたらすために必要である。従っ
て、微細粒子の分散構造を有さない完全な溶液状態では
剪断減粘性を示さないか、もしくはその程度が相当低い
ため水性ボールペンに適した剪断減粘性を有効に発現さ
せることができない。
【0013】本発明におけるリン酸エステル化合物によ
る剪断減粘性効果は、インキ組成物のPH値で異なる傾
向があるため、使用するリン酸エステル化合物に応じた
PH値の設定を必要とする。前記PH値は、好ましく
は、弱酸性〜アルカリ性での使用が好ましく、より好ま
しくは、最終的なインキ組成物として、PH4〜12に
調整される。
【0014】本発明における剪断減粘性効果を付与する
リン酸エステル化合物の応用の広さ、及び化合物の選択
性の自由度を高めたのが、エチレンオキサイドもしくは
プロピレンオキサイドによる特定範囲のモル数の付加導
入であり、付加モル数に応じて、ゲル・ゾルの強さや剪
断減粘性を調整することができる。例えば、ステアリル
リン酸エステル(モノ、ジ、置換体と微量のトリ置換混
合物)の場合には、良好なゲルを形成するが、やや親水
性が低いため概略0.1〜0.5μm程度の微細分散粒
子と溶液状態の二相の共存状態となっている。この化合
物にエチレンオキサイドを2モル付加したジオキシエチ
レンステアリルリン酸エステルはさらに分散粒子径が微
細になり0.01〜0.05μmの範囲の実質上溶液に
近い透明なゾル・ゲルを形成することができる。このよ
うに、エチレンオキサイドの付加モル数を調整すること
により、未付加のものに対して親水性を増加させ、所望
の剪断減粘性を有する化合物あるいは化合物群を得るこ
とができる。一方、プロピレンオキサイドを付加する場
合には付加モル数に応じて化合物の親油性を増加させる
ことができる結果、水に対する溶解性が良過ぎて剪断減
粘性を示さない化合物に剪断減粘性を付与する手段とし
て用いることができる。概して、エチレンオキサイドの
付加モル数(1置換基中の付加モル数)は1〜8モルが
好適である。それ以上の付加は水溶性が増加するため剪
断減粘性が得られ難くなる。又、より好ましいエチレン
オキサイドの付加モル数は1〜4である。プロピレンオ
キサイドの場合は逆に8モルを越えるあたりから、水難
溶性の傾向が生じるため、1〜8モルの範囲が好まし
く、より好ましくは、1〜4モルの範囲が好適である。
【0015】本発明のインキ組成物に用いる剪断減粘性
付与剤としてのリン酸エステル化合物は、通常アルコー
ル性水酸基を有する化合物と五酸化リン、オキシ塩化リ
ン、もしくは三塩化リンとの反応によって得られる。リ
ン化合物の種類を適宜選択することにより所望の置換基
数を有するリン酸リステル化合物や、反応モル数を変え
ることにより置換基数の異なるモノ、ジ、トリ置換のリ
ン酸エステル化合物の混合体を得ることもできる。又、
反応後に水系や溶剤系での精製により特定のエステル成
分を単離することも可能である。本発明に適用すること
が可能なリン酸エステル化合物は単一化合物でも良い
し、エステル化度の異なる化合物群の混合体でも良く、
特に限定されない。よって、本発明に使用されるリン酸
エステル化合物は前記した一般式(1)に示したモノエ
ステル化合物群及び/又は一般式(2)に示したジエス
テル化合物群から選ばれるが、トリ置換体をリン酸エス
テル中15重量%以下の割合で含有してもよい。
【0016】以下に、本発明で使用できるリン酸エステ
ル化合物を具体的に例示するが、下記に例示の化合物に
限定されるものではない。又、下記化合物の名称におい
て、例えばラウリルリン酸エステルと表示した場合に
は、モノエステル、ジエステルの単一化合物もしくは混
合体を意味し、少量のトリエステルの混合体を意味す
る。又、下記化合物の名称において例えば、P.O.
E.ラウリルエーテルリン酸エステル(2EO)と表示
した場合にはC1225OCH2 CH2 OCH2 CH2
─基を有するモノエステル、ジエステルの単一化合物も
しくは混合体を意味し、少量のトリエステルを含有して
もよい。(2EOはエチレンオキサイドの置換基内の付
加モル数を示す。) 又、P.O.P.ラウリルエーテルリン酸エステル(1
〜8EO)の表示はプロピレンオキサイドの付加モル数
が1から8の各々の8種類の化合物が表示されているこ
とを意味する。2POは同様にプロピレンオキサイドの
置換基内の付加モル数が2であることを示す。
【0017】アルキルリン酸エステル類としては、n−
オクチルリン酸エステル、2−エチルヘキシルリン酸エ
ステル、n−ノニルリン酸エステル、イソノニルリン酸
エステル、n−デシルリン酸エステル、n−ランデシル
リン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、イソトリデ
シルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、セチ
ルリン酸エステル、ステアリルリン酸エステル、イソス
テアリルリン酸エステル、ベヘニルリン酸エステル、オ
レイルリン酸エステル等、を例示できる。アリール基、
アルキルアリール基を含むリン酸エステル類としては、
フェニルリン酸エステル、ノニルフェニルリン酸エステ
ル、ベンジルリン酸エステル、オクタデシルフェニルリ
ン酸エステル、ベンジルリン酸エステル、2─フェニル
エチルリン酸エステル、3─フェニルリン酸エステル、
t−ブチルフェニルリン酸エステル等を例示できる。
【0018】ポリオキシエチレン誘導体としては、 P.O.E.n−デシルエーテルリン酸エステル(1〜
8EO) P.O.E.n−ウンデシルエーテルリン酸エステル
(1〜8EO) P.O.E.ラウリルエーテルリン酸エステル(1〜8
EO) P.O.E.イソトリデシルエーテルリン酸エステル
(1〜8EO) P.O.E.ミリスチルエーテルリン酸エステル(1〜
8EO) P.O.E.セチルエーテルリン酸エステル(1〜8E
O) P.O.E.ステアリルエーテルリン酸エステル(1〜
8EO) P.O.E.ベヘニルエーテルリン酸エステル(1〜8
EO) P.O.E.イソステアリルエーテルリン酸エステル
(1〜8EO) P.O.E.ノニルフェニルエーテルリン酸エステル
(1〜8EO) P.O.E.オレイルエーテルリン酸エステル(1〜8
EO) ポリオキシプロピレン誘導体としては、下記例示され
る。 P.O.P.n−デシルエーテルリン酸エステル(1〜
8PO) P.O.P.n−ウンデシルエーテルリン酸エステル
(1〜8PO) P.O.P.ラウリルエーテルリン酸エステル(1〜8
PO) P.O.P.イソトリデシルエーテルリン酸エステル
(1〜8PO) P.O.P.ミリスチルエーテルリン酸エステル(1〜
8PO) P.O.P.セチルエーテルリン酸エステル(1〜8
P.O) P.O.P.ステアリルエーテルリン酸エステル(1〜
8PO) P.O.P.ベヘニルエーテルリン酸エステル(1〜8
PO) P.O.P.イソステアリルエーテルリン酸エステル
(1〜8PO) P.O.P.ノニルフェニルエーテルリン酸エステル
(1〜8PO) P.O.P.オレイルエーテルリン酸エステル(1〜8
PO) 等を例示できる。
【0019】更に、より安定で好ましい剪断減粘性を示
す化合物としては、一般式(1)及び(2)から選ばれ
る一種または二種以上を混合させたものが有効であり、
ここで、前記一般式において、R1 はエチレン基を示
し、nは0〜4の数を示し、Rは炭素数14〜22の直
鎖又は側鎖アルキル、炭素数12〜24のはアルキルア
リール基を示す。
【0020】次により好ましい化合物を具体的に例示す
る。ラウリルリン酸エステル、イソトリデシルリン酸エ
ステル、ミリスチルリン酸エステル、セチルリン酸エス
テル、ステアリルリン酸エステル、イソステアリルリン
酸エステル、ベヘニルリン酸エステル、オレイルリン酸
エステル、ノニルフェニルリン酸エステル、オクタデシ
ルフェニルリン酸エステル等のアルキル及びアルキルア
リールリン酸エステルの他、エチレンオキサイド付加物
として下記の化合物を挙げることができる。 P.O.E.n−デシルエーテルリン酸エステル(1〜
2EO) P.O.E.n−ウンデシルエーテルリン酸エステル
(1〜2EO) P.O.E.ラウリルエーテルリン酸エステル(1〜3
EO) P.O.E.イソトリデシルエーテルリン酸エステル
(1〜3EO) P.O.E.ミリスチルエーテルリン酸エステル(1〜
3EO) P.O.E.セチルエーテルリン酸エステル(1〜4E
O) P.O.E.ステアリルエーテルリン酸エステル(1〜
4EO) P.O.E.ベヘニルエーテルリン酸エステル(1〜6
EO) P.O.E.イソステアリルエーテルリン酸エステル
(1〜4EO) P.O.E.ノニルフェニルエーテルリン酸エステル
(1〜4EO) P.O.E.オレイルエーテルリン酸エステル(1〜4
EO)
【0021】本発明で適用されるリン酸エステル化合物
は、酸残基を2つ有するモノエステルと酸残基を1つ有
するジエステルが存在するため、リン酸エステルの水媒
体中でのPHは約2前後の酸性を一般的に示す。従っ
て、水性ボールペン用インキ組成物の安全性、特に酸に
よる刺激性を低減するために塩基性有機化合物、アルカ
リ性無機化合物を用いてリン酸エステル水溶液を予めP
H調整したり、インキ組成物調整の途中、又は最終段階
で所望のPHに調整してもよい。インキのPHは、好ま
しくは弱酸性〜アルカリ性(PH4〜12)に最終イン
キ組成物のPHが調整されることが望ましい。かかる塩
基性、又はアルカリ性の化合物を例示すると、水酸化カ
リウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸一
水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸三ナト
リウム、リン酸三カリウム、炭酸水素ナトリウム、トリ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノー
ルアミン、アンモニア水、モルフォリンなどが挙げられ
る。かかる化合物はリン酸エステルの酸残基を中和する
能力があればよく、例示した化合物に何ら限定されな
い。但し、前記PH調整剤の種類により得られる剪断減
粘性は異なる。
【0022】又、少なくとも一部のリン酸エステル残基
が中和されてPHが4〜9の範囲においても安定的な剪
断減粘性を示すより好ましい化合物を以下に例示する。
ミリスチン酸エステル、セチルリン酸エステル、ステア
リン酸エステル、イソステアリン酸エステル、ベヘニル
リン酸エステル、オレイルリン酸エステル、ノニルフェ
ニルリン酸エステル、ステアリルフェニルリン酸エステ
ル等のアルキルもしくはアルキルアリールリン酸エステ
ル等を挙げることができる。更に、エチレンオキサイド
が付加された化合物として、 P.O.E.ミリスチルエーテルリン酸エステル(1〜
2EO) P.O.E.セチルエーテルリン酸エステル(1〜2E
O) P.O.E.ステアリルエーテルリン酸エステル(1〜
2EO) P.O.E.ベヘニルエーテルリン酸エステル(1〜4
EO) P.O.E.イソステアリルエーテルリン酸エステル
(1〜2EO) P.O.E.オレイルエーテルリン酸エステル(1〜2
EO) P.O.E.ノニルフェニルエーテルリン酸エステル
(1〜2EO) P.O.E.ステアリルフェニルエーテルリン酸エステ
ル(1〜4EO) 等を挙げることができる。
【0023】本発明のインキ組成物に用いる着色剤とし
ては、水性系媒体に溶解もしくは分散可能な染料及び顔
料がすべて使用可能であり、その具体例を以下に例示す
る。染料類では、C.I.ブルー93などの酸性染料、
ダイレクトブラック154などの直接染料、ローダミン
やメチルバイオレットなどの塩基性染料が使用できる。
顔料類としては、カーボンブラック、群青などの無機顔
料や銅フタロシアニンブルー・ベンジジンイエローなど
の有機顔料の他、既に界面活性剤を用いて微細に安定的
に水媒体中に分散された水分散顔料製品が簡便に使用で
きる。更に具体的には、S.S.Blue GLL
(C.I.Pigment 15:3B、顔料分24
%、山陽色素株式会社製)、S.S.Pink FBL
(C.I. Pigment Red 146、顔料分
21.5%、山陽色素株式会社製)、TC Yello
w FG(C.I.Pigment Yellow8
1、顔料分約30%:大日精化工業株式会社製)、TC
Red FG(C.I.Pigment Red22
0/166、顔料分約35%、大日精化工業株式会社
製)などが使用できる。蛍光顔料としては、各種蛍光性
染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細
粒子状の蛍光顔料が使用できるほか、パール顔料、金
色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、修正ペンに用
いる酸化チタン等の白色顔料、香料又は香料カプセル顔
料などを例示できる。更に、有用な顔料の応用例とし
て、可逆性熱変色性マイクロカプセル顔料が使用可能で
ある。上記の着色剤は1種もしくは2種以上を混合して
使用できる。又、これらの使用量は、0.1から35重
量%が好ましく、添加量の設定については顔料自体の呈
色性や使用目的に応じ適宜決めることができる。
【0024】次に可逆性熱変色性マイクロカプセル顔料
を着色剤として用いた可逆熱変色性を示す水性ボールペ
ンインキ組成物について説明する。前記可逆性熱変色性
マイクロカプセル顔料は、電子供与性呈色性有機化合
物、電子受容性化合物及び変色温度調整剤の均質相溶体
からなる熱変色性材料からなり、電子の授受反応により
所定温度で可逆的に発色、消色するタイプの従来より公
知のもの、例えば特公昭51−44706号、特公昭5
1−44708号、特公昭52−7764号、特公昭5
1−35414号、特公平1−29398号公報、特開
平7−186546号公報、特公平4−17154号公
報、特開平7−179777号公報、特開平7−339
97号公報に開示されている熱変色性材料を公知のマイ
クロカプセル化方法によって微細粒子状に内包もしくは
樹脂マトリックス化することによって得られる。
【0025】前記可逆性熱変色性マイクロカプセル顔料
は、本発明に適用の水性媒体中に分散状態に存在させて
なり、該熱変色性マイクロカプセル顔料は、電子供与性
有機化合物、電子受容性化合物及び変色温度を調節する
反応媒体を必須成分とする均質相溶体を壁膜で被覆して
なる、粒子分布が0.5μm〜20μmの範囲に95%
(体積%)以上を占める顔料であることを特徴とする。
更に好ましくは、可逆性熱変色性マイクロカプセル顔料
は、外面の少なくとも一部に窪みを有する界面重合また
は界面重縮合法により形成された壁膜からなる顔料であ
ることを特徴とし、より好ましくは粒子分布が0.5μ
m〜20μmの範囲に95体積%以上を占める可逆性熱
変色性マイクロカプセル顔料15〜45重量%(固形
分)、剪断減粘性リン酸エステル0.5〜10重量%、
水溶性溶剤5〜35重量%、を含み残部が水及び調整添
加剤からなる、粘度が30〜160m.Pa.s(25
℃でのEM型回転粘度計における回転数100rpmで
の値)の範囲にあり、インキの剪断減粘指数が0.1〜
0.6の範囲にあることが好ましい。
【0026】尚、前記可逆性熱変色性マイクロカプセル
顔料は、外面の少なくとも一部に窪みを有する界面重合
または界面重縮合法により形成された壁膜からなる顔料
であることにより、該カプセル顔料粒子は圧力緩和性を
有する。前記マイクロカプセル顔料の形状として、真円
断面の球状体(図1参照)に較べ、表面に窪み(凹部)
を有する形状のもの(図2〜5参照)は、同一粘度のイ
ンキであっても、カプセル自体の破壊の程度はさらに緩
和される。これは、窪み(凹部)を有するマイクロカプ
セル顔料が、外力(筆記時に生ずる圧力等)を受けたと
しても、その応力を自らの弾性変形により、圧力緩和さ
れることに起因する。
【0027】次に、本発明水性ボールペン用インキ組成
物は水を主溶剤として用いるが、水溶性極性溶剤として
水に相溶性のある従来汎用の溶剤もすべて有効であり、
グリセリン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、プロピレングリコール、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテート、スルフオラン、2−ピロリドン、 Nメ
チル−2−ピロリドン等のピロリドンなどを使用するこ
とができる。使用量は組成物中5〜40重量%、好まし
くは10〜35重量%である。
【0028】前記調整添加剤としては、前記したPH調
整剤の他に、防錆剤としてベンゾトリアゾール、トリル
トリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトラ
イト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポ
ニン等が使用できる。防腐剤あるいは防黴剤としては、
石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリム
塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソ
ルビンサンカリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、
2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォ
ニル)ピリジンなどが挙げられる。湿潤剤としては、尿
素、ノニオン系界面活性剤、ソルビット、マンニット、
ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン
酸ナトリム等が使用できる他、インキの浸透性を向上さ
せるためにフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性
剤を使用してもよい。前記した調整添加剤はいわゆる慣
用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必
要に応じて使用することができる。
【0029】多価のカチオン金属イオンは、リン酸エス
テル化合物の剪断減粘性を調整するために用いることが
できる。かかる多価のカチオン金属イオンはリン酸エス
テル化合物の架橋を促進し、より強度の高いゲルを形成
するのに有用である。かかる多価カチオンとしては、ベ
リリウム、マグネシウム、カルシュウム、アルミニウ
ム、4級カチオン窒素を2以上有するポリカチオン有機
化合物、カチオン系高分子凝集剤等が挙げられる。
【0030】本発明の剪断減粘性を呈する水性ボールペ
ン用インキ組成物は剪断減粘性を有するリン酸エステル
化合物の使用のみで水性ボールペン用インキに必要な剪
断減粘性を付与することができるが、さらに剪断減粘性
を実質上有しないポリマーをバインダーもしくは耐水性
を付与する目的で添加できる。かかるポリマー類として
はポリビニルアルコール、ポリアクリル酸樹脂、スチレ
ンマレイン酸樹脂などリニアな重合体があげられる。本
発明のインキ組成物の剪断減粘性とは、静止状態あるい
は応力の低い時は著しく高粘度で流動しにくい性質を持
っており、応力が増大すると低粘度化し良流動性を示す
レオロジー特性を言う。チクソトロピー性あるいは疑似
可塑性とも呼ばれる共通した液特性を意味している。本
発明におけるリン酸エステルからなる剪断減粘性を有す
るインキ組成物は、筆記時の高剪断応力下においては三
次元構造が一時的に破壊されてインキの粘度が低下し、
ボール近傍のインキは筆記に適した低粘度インキとな
り、ボールとボールハウスの間隙を毛細管力によって移
動して紙面に転移、吸収される。非筆記時には、ボール
近傍も含めてすべてのインキの粘度が高くなり、インキ
の漏出を防止したり、インキの分離を防ぐことができ
る。又、インキ物性を経時的に安定に保つことができ
る。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の水性ボールペン用インキ
は、インキを直接的にインキ収容部に充填して実用に供
される。次に、本発明に好適なボールペンに関して図面
について説明する(図6〜11参照)。本発明に好適な
ボールペン1は、ボール2を回転自在に抱持したチップ
を備え、インキ収容部4に収容したインキを導出させて
筆記可能に構成されたボールペン1であって、前記イン
キ収容部に水性ボールペン用インキ組成物6が充填され
てなる。前記インキ収容部4に収容状態にある水性ボー
ルペン用インキ組成物6の後端部に接触して、インキ追
従体7が配されてなる。又、ボール2を回転自在に抱持
するボール収容部3の内径Aとボール2の外径Bとの差
が10〜60μm、好ましくは15〜40μmに設定
し、且つボール2が軸方向に15〜100μm、好まし
くは20〜80μm移動可能なスペースCにそれぞれイ
ンキの種類に応じてその範囲内に設定することを要件と
する。かくして、スムーズな筆記感を満たすと共に適正
濃度の筆跡を与える。
【0032】前記したような筆記先端部の構造は、従来
より汎用の機構が有効であり、金属製のパイプの先端近
傍を外面より内方に押圧変形させて、前記インキ収容部
4を一体形成させた機構(図6、図7参照)、或いは、
金属材料のドリル等による切削加工により、インキ収容
部4を形成し、ボール受け座33と中心孔31と放射状
の導出溝32を配する機構(図8、図9参照)、或い
は、バネ体によりボールを前方に付勢させた機構(図1
0参照)等を適用できる。
【0033】次に、本発明の水性ボールペン用インキ組
成物について説明する。実施例によって本発明をさらに
具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何ら
限定されるものではない。尚、実施例中の配合は重量部
で示す。又、実施例における剪断減粘度指数(n)は剪
断応力値(T)及び剪断速度(j)値の如き粘度径によ
る流動学的測定から得られる実験式(T=Kjn :K及
びnは計算された定数である)にあてはめることによっ
て計算されるn値を示す。
【0034】実施例1 インキ調合前に、5%フォスファノールRL−310を
50℃にて加温溶解しておき、下記の配合剤を混合し
た。以下の実施例についてもリン酸エステル化合物は同
様に予め加温溶解して用いた。 (重量部) 黒色顔料〔商品名:SS BLACK C、顔料分28%、山陽色素(株)製〕26.5 グリセリン 8.0 尿素 8.0 シリコーン変性消泡剤 0.2 石炭酸 0.2 界面活性剤〔商品名:SN WET366、サンノプコ(株)製〕 1.3 5%P.O.Eステアリルリン酸エステル(3EO)水溶液 55.8 〔商品名:フォスファノールRL−310、東邦化学工業(株)製〕 ──────────────────────────────────── 100.0 尚、前記のインキ組成物の物性値は以下のとおりであっ
た。 インキのPH:2.7 インキの剪断減粘指数(n):0.41 100rpmでの粘度:40m.Pa.s(25℃)
【0035】ボールペンの作製 直径0.5mmの金属製ボールを用い、ボール収容部の
内径とボール外径の差S(A−B)=20μm、軸方向
の移動可能なスペースC=20μmのスペースを配して
なる切削型ボールペンチップを得た。前記インキ組成物
を内径3.3mmのポリプロピレン製パイプに1.2g
充填し、樹脂製ホルダーを介して前記ボールペンチップ
と連結させた。ついで前記ポリプロピレン製パイプの後
部より、ポリブテンよりなる粘弾性を有するインキ追従
体(液栓)を充填し、軸胴、キャップ、口金、尾栓を組
み込んだ後、遠心処理により、脱エアー処理を施し、ボ
ールペンを得た。
【0036】前記ボールペンを用いてレポート用紙に連
続筆記したところ、書き出しから鮮明な黒色の筆跡が得
られ、カスレ、線割れ、線切れ、及びインキのボテ現象
もなく良好な筆記性能を示した。
【0037】実施例2 (重量部) 青色顔料 20.9 〔SS BLUE GLL顔料分24%、山陽色素(株)製〕 グリセリン 7.8 プロピレングリコール 5.2 尿素 7.8 シリコーン変性消泡剤 0.2 石炭酸 0.2 ベンゾトリアゾール 1.3 7.5%P.O.Eステアリルリン酸エステル(2EO)水溶液 52.2 〔フォスファノールRL−210、東邦化学工業(株)製〕 10%炭酸ナトリウム水溶液 4.4 ─────────────────────────────────── 100.0 尚、前記のインキ組成物の物性値は以下のとおりであっ
た。 インキのPH:6.2 インキの剪断減粘指数(n):0.34 100rpmでの粘度:46m.Pa.s(25℃)
【0038】ボールペンの作製 実施例1と同様の仕様にてボールペンを組み立てた。前
記ボールペンを用いてレポート用紙に連続筆記したとこ
ろ、書き出しから鮮明な青色の筆跡が得られ、カスレ、
線割れ、線切れ、及びインキのボテ現象もなく良好な筆
記性能を示した。
【0039】実施例3 (重量部) 20%黒色染料水溶液〔C.I.ダイレクトブラック19〕 16.2 グリセリン 5.5 ジエチレングリコール 5.5 尿素 8.2 シリコーン変性消泡剤 0.2 石炭酸 0.2 ベンゾトリアゾール 1.4 7.5%P.O.Eステアリルリン酸エステル(2EO)水溶液 54.6 〔フォスファノールRL−210、東邦化学工業(株)製〕 10%炭酸ナトリウム水溶液 8.2 ──────────────────────────────────── 100.0 尚、前記のインキ組成物の物性値は以下のとおりであっ
た。 インキのPH:7.6 インキの剪断減粘指数(n):0.36 100rpmでの粘度:31m.Pa.s(25℃)
【0040】ボールペンの作製 ボールペンチップ部を切削タイプからパイプの押圧変形
タイプ(図6〜図7)方式に変更し、0.5mmのステ
ンレス鋼ボールを用い、ボール収容部は、パイプ内径と
ボール外径との差S(A−B)=30μm、軸方向の移
動可能なスペースC=25μmのスペースを有するボー
ルペンチップを得た。その他の部材は実施例1に準じて
ボールペンを組み立てた。前記ボールペンを用いてレポ
ート用紙に連続筆記した所、書き出しから鮮明な黒色の
筆跡が得られ、カスレ、線割れ、線切れ、及びインキの
ボテ減少もなく良好な筆記性能を示した。
【0041】実施例4 (重量部) ピンク顔料分散液 24.0 〔SS PINK FBL、顔料分25%、山陽色素(株)製〕 グリセリン 10.4 尿素 10.4 シリコーン変性消泡剤 0.2 ノニオン系界面活性剤〔ラピゾールB−30、日本油脂(株)製〕 1.6 防腐剤〔プロキセルXL−2、ICI製〕 0.2 5%ステアリルリン酸エステル水溶液 51.8 〔LBT−100、堺化学工業(株)製〕 トリエタノールアミン 1.4 ──────────────────────────────────── 100.0 尚、前記のインキ組成物の物性値は以下のとおりであっ
た。 インキのPH:7.6 インキの剪断減粘指数(n):0.35 100rpmでの粘度:48m.Pa.s(25℃)
【0042】ボールペンの作製 実施例1と同様の方法にてボールペンを組み立て、連続
筆記したところ、書き出しから濃いピンク色の筆跡が得
られ、カスレ、線割れ、線切れ、及びインキのボテ現象
もなく良好な筆記性能を示した。
【0043】実施例5 (重量部) ピンク色蛍光顔料分散液〔ルミコール 2117、日本蛍光化学(株)製〕 22.3 グリセリン 8.4 尿素 8.4 シリコーン変性消泡剤 0.2 防腐剤〔プロキセルXL−2、ICI製〕 0.2 7.5%P.O.Eステアリルリン酸エステル(2EO)水溶液 55.8 〔フォスファノールRL−210、東邦化学工業(株)製〕 10%炭酸ナトリウム水溶液 4.7 ─────────────────────────────────── 100.0 尚、前記のインキ組成物の物性値は以下のとおりであっ
た。 インキのPH:6.2 インキの剪断減粘指数(n):0.31 100rpmでの粘度:52m.Pa.s(25℃)
【0044】ボールペンの作製 ボールの直径を0.7mm、移動可能スペースをS=2
5μm、C=45μmに変更する以外は実施例1に準じ
てボールペンを組み立てた。前記ボールペンを用いてレ
ポート用紙に連続筆記したところ、書き出しから鮮明な
蛍光色ピンクの筆跡が得られ、カスレ、線割れ、線切
れ、及びインキのボテ減少もなく良好な筆記性能を示し
た。
【0045】実施例6 (重量部) 緑色顔料分散液 6.5 〔SS GREEN LXB、顔料分30%、山陽色素(株)製〕 グリセリン 3.0 プロピレングリコール 3.0 シリコーン変性消泡剤 0.06 石炭酸 0.06 7.5%セチルリン酸エステル水溶液 15.0 トリエタノールアミン 0.6 ─────────────────────────────────── 100.0 尚、前記のインキ組成物の物性値は以下のとおりであっ
た。 インキのPH:7.1 インキの剪断減粘指数(n):0.28 100rpmでの粘度:48m.Pa.s(25℃)
【0046】ボールペンの作製 実施例1と同様の方法にてボールペンを組み立て、連続
筆記したところ、書き出しから濃いピンク色の筆跡が得
られ、カスレ、線割れ、線切れ、及びインキのボテ現象
もなく良好な筆記性能を示した。
【0047】実施例7 熱変色性マイクロカプセル顔料の調整方法を以下に説明
する。6−(エチルイソブチルアミノ)ベンゾヘルオラ
ン2部、ビスフェノールA6部、セチルアルコール30
部、カプリン酸ステアリル20部からなる熱変色性組成
物と耐光性付与剤としてチヌビン326を1部、次いで
膜材としてビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの
反応によって得られるエポキシ等量190のエポキシ樹
脂15部を均一に加熱溶融し、あらかじめ70℃に加温
しておいた水性保護コロイド媒体100部中に平均粒径
が2.5μmになるようホモミキサーで乳化した。つい
で、脂肪族ポリアミン系硬化剤5部を添加し、90℃で
5時間攪拌を続け、界面重合法によるマイクロカプセル
分散液を得た。マイクロカプセルを濃縮化するために遠
心分離処理を行い、スラリー状物100部を得た 当該カプセルスラリーの含水率を測定した所38%であ
った。さらに、粒度分布を測定するために遠心沈降式自
動粒度分布測定装置(堀場製作所製、CAPA−300
を使用)、粒子径をDとする時、粒子径と占有体積%
〔( )に示す〕の関係は下記の通りであった。 上記0.5 μm≦D≦20μmの累計97%、平均粒子径
2.7μmであった。得られたマイクロカプセルを顕微
鏡で観察したところ、凹部を有する半球偏平状のカプセ
ル(図2〜図5参照)であることを確認した。粒子径が
大きくなるにつれて偏平性は大きくなっていた。前記得
られた熱変色性マイクロカプセル顔料の熱変色性は約2
7℃以下でマゼンタ色、32℃以上で無色、両温度間は
変色温度の過渡期にあった。得られたマイクロカプセル
を着色剤として水性ボールペンインキを下記の配合によ
り調製した。
【0048】 (重量部) 熱変色性マイクロカプセル顔料(固形分65%) 36.7 グリセリン 6.9 尿素 6.9 シリコーン変性消泡剤 0.1 石炭酸 0.1 7.5%P.O.Eステアリルリン酸エステル(2EO)水溶液 39.0 〔フォスファノールRL−210、東邦化学工業(株)製〕 10%炭酸ナトリウム水溶液 3.4 水 6.9 ──────────────────────────────────── 100.0 尚、前記のインキ組成物の物性値は以下のとおりであっ
た。 インキのPH:6.3 インキの剪断減粘指数(n):0.38 100rpmでの粘度:110m.Pa.s(25℃)
【0049】ボールペンの作製 ボールの直径を0.7mm、移動可能スペースをS=2
5μm、C=70μmに変更する以外は実施例1に準じ
てボールペンを組み立てた。前記ボールペンを用いてレ
ポート用紙に連続筆記した所、書き出しから鮮明な蛍光
色ピンクの筆跡が得られ、カスレ、線割れ、線切れ、及
びインキのボテ減少もなく良好な筆記性能を示した。筆
跡の熱変色温度を測定したところ、27℃以下でマゼン
タ色、32℃以上で無色であり、筆記後も熱変色機能に
関して劣化などの問題がないことを確認した。
【0050】実施例8 実施例7の熱変色性組成物を、2−(4−ジエチルアミ
ノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−
メチルインドール−3−イル)−4-アザフタリド2.5
部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフ
ルオロプロパン5部、ステアリン酸ネオペンチルに変更
する以外は実施例7と同様の方法により熱変色性マイク
ロカプセル顔料を得た。当該カプセルスラリーの含水率
は32%であり、得られた熱変色性マイクロカプセル顔
料の熱変色性は14℃以下で青色、32℃以上で無色に
なり、両温度間では広いヒステリシス特性を持ち、前記
二状態の色が所望に応じて記憶保持させることが可能で
あった。得られたマイクロカプセルを着色剤として水性
ボールペンインキを下記の配合により調製した。 (重量部) 熱変色性マイクロカプセル顔料(固形分68%) 36.4 ピンク色蛍光顔料分散液〔ルミコール 2117、日本蛍光化学(株)製〕 6.8 グリセリン 11.3 尿素 6.8 シリコーン変性消泡剤 0.1 石炭酸 0.1 5%P.O.Eステアリルリン酸エステル(3EO)水溶液 31.7 〔フォスファノールRL─310、東邦化学工業(株)製〕 水 6.8 ──────────────────────────────────── 100.0 尚、前記のインキ組成物の物性値は以下のとおりであっ
た。 インキのPH:3.3 インキの剪断減粘指数(n):0.31 100rpmでの粘度:74m.Pa.s(25℃)
【0051】ボールペンの作製 ボールの直径を0.7mm、移動可能スペースをS=2
5μm、C=40μmに変更する以外は実施例1に準じ
てボールペンを組み立てた。前記ボールペンを用いてレ
ポート用紙に連続筆記したところ、書き出しから鮮明な
バイオレット色の筆跡が得られ、カスレ、線割れ、線切
れ、及びインキのボテ現象もなく良好な筆記性能を示し
た。又、筆跡の熱変色性を調べたところ、27℃以下で
バイオレット色、32℃以上でピンク色であり、筆記後
も熱変色機能に関して劣化などの問題がないことを確認
した。
【0052】比較例1 実施例2におけるリン酸エステルを全て水に置き換えて
インキ組成物を調整した前記の如くして得たインキ組成
物は全く剪断減粘性がなく、ボールペンに組み立てた直
後からインキのボテ現象が著しく生じ、筆記してみたと
ころインキのボテが激しく筆記には不適当という結果で
あった。尚、前記のインキ組成物の物性値は以下のとお
りであった。 インキのPH:9.4 インキの剪断減粘指数(n):1.0 100rpmでの粘度:2.7m.Pa.s(25℃) 又、インキの粘度が低いため、粘度に関してはELD型
粘度計で測定した。
【0053】比較例2 実施例2におけるリン酸エステルをP.O.E.ノニル
フェニルエーテルリン酸(9EO)〔商品名:フォスフ
ァナールRE−960、東邦化学工業(株)製〕に替え
た以外は、実施例2に準じてインキ組成物の調製、及び
ボールペンを組み立てた。尚、前記のインキ組成物の物
性値は以下のとおりであった。 インキのPH:8.2 インキの剪断減粘指数(n):1.0 100rpmでの粘度:3.5m.Pa.s(25℃) 又、インキの粘度が低いため、粘度に関してはELD型
粘度計で測定した。前記の如くして得たインキ組成物は
全く剪断減粘性がなく、ボールペンに組み立てた直後か
らインキのボテ現象が著しく生じ、筆記してみたところ
インキのボテが激しく筆記には不適当という結果であっ
た。
【0054】実施例1〜8、並びに比較例1〜2におけ
るインキの筆記試験結果、及び経時的安定性における評
価を表−1に示す。
【表1】 表−1における試験項目について以下に説明する。 筆跡濃度と安定性 筆記線の断続、カスレ、濃度の均一性を観察し、総合的
に評価した。 インキ漏れ出し試験 インキを充填したボールペンのペン先を空中で下向きに
し、1時間経過した時点でのペン先から漏出したインキ
の様子を目視で観察し評価した。 筆記時のボテ ボールペンを紙面に強く押し当て一分間静置させてお
き、紙面に拡がったインキの大きさ、及び実際の連続ル
ープ書きにおける局所的なインキのボテの程度を目視で
観察し評価した。 線割れ 筆記線の周辺が濃く、中央部が薄い場合に筆記線が二重
に見える現象を言い、インキ漏れやボテを防ぐためにイ
ンキ粘度を高くした場合に生じ易い。筆跡をルーぺにて
観察し、その程度を評価した。
【0055】
【発明の効果】本発明の水性ボールペン用インキ組成物
は、特定のリン酸エステル系化合物を着色剤を含む水性
ビヒクルとの組み合わせにおいて、剪断減粘性機能を効
果的に発現させるよう構成されており、ボールペン機構
に前記インキを充填して筆記に供すると、剪断減粘性機
能を有効に発現させ、筆跡の線割れ、かすれ、ボテ等の
不具合を起こすことなくスムーズな筆記感で筆記諸性能
を満足させる。更には、前記剪断減粘性機能を安定的に
持続させることができ、所期の筆記性能、製品特性を持
続させるボールペンを提供できる。
【0056】更には、着色剤として熱変色性マイクロカ
プセル顔料を適用した系では、従来のボールペンにはみ
られなかった熱変色性筆跡を与えることができ、新たな
用途を展開できる。以下にそれらの具体例を挙げる。 (1)ハガキ類、クリスマスカード、グリーティングカー
ドなどに室温より低温で変色する熱変色性ボールペンで
秘密の文字や絵柄を書いて、冷却するとそれらが現れる
ようなマジック的な用途,或いは二色性変化(ある色か
ら別の色に変化)のボールペンを用いて、体温や手の温
度でカラフルな絵柄、文字の変色を楽しむことができ
る。 (2)秘密ペンとして、変色温度が10℃のような冷時
のみ発色する熱変色性着色剤や広い温度域でヒステリシ
ス特性を有する熱変色性着色剤を用いることにより、常
温では判読できない記録が可能となり、機密を要するメ
モに適している。 (3)ヒステリシス特性を有する熱変色性顔料を用い
て、学習用に応用した場合にも有用な効果を発揮するこ
とができる。即ち、問題集、テスト、ドリル、白地図、
英文翻訳用に、必要回答や補足事項を熱変色性水性ボー
ルペンで筆記し、加熱して筆記事項を消去させ、完全に
リセットされた回答やメモのない状態で再度、問題に取
り組むことができ反復適用性を満足させる。かかる用途
は10℃変色の熱変色性ボールペンを用いても可能であ
る。いずれも、氷等の冷媒を容器に充填した冷熱面を備
えた冷熱変色用ツールを用いて、文字等を再び発色させ
ることができる。熱変色性ボールペンと教材を組み合わ
せた製品としても提供できる。 (4)紙コップの側面に10℃変色の熱変色性水性ボー
ルペンでメッセージを書き込み、冷たい飲物を注ぐと
「HAPPY BIRTHDAY」等のメッセージが現
れる。その場で簡便に像を形成できるので、パーティ用
品、ファンシー用品には好適で、従来にはないメッセー
ジ効果が得られる。紙コップと熱変色性ボールペンのセ
ットとしても提供できる。 (5)温度計の役目をする用途としては、変色温度の異
なる熱変色性水性ボールペンを複数本セット化し、適宜
の像を形成することにより、対象物の温度を簡便に測定
するために用いることが出来る。又、温度の異なるペン
を適宜組み合わせて、文字、記号、絵柄を構成すれば、
温度の変化に伴って絵柄を色々と変化させることができ
る。かかる用途は種々の産業分野、例えば、反応タンク
の温度管理、加工プロセスにおける温度管理、低温流通
食品の適温管理用インジケーター、電気コードのコンセ
ントのショートによる過熱防止表示等の一時的表示は勿
論、長期間の温度見地表示に使用するのに便宜である。 (6)衣料品分野では、T−シャツ等のカジュアルウェ
アに30℃で変色する熱変色性水性ボールペンでイラス
トや絵柄を描くと、夏期の屋外と室内間の温度差を利用
した色変化するT−シャツを得ることができる。前記T
−シャツは、自分でデザインすることができ、更には、
手袋、くつ、帽子、スキーウェアー、水着等にも筆記で
きる。 (7)縫製加工分野においてチャコ機能の代替としての
用途がある。即ち、ガイド線をメモリー性を有する熱変
色性ボールペンのインキ着色状態で書き込み、縫製後に
高温側変色点を越える温度にアイロン等で加熱すること
によりガイドラインを消去させることができる。かかる
用途のメモリー性の変色機能の例として、低温側変色点
−10℃、高温側変色点40℃程度の熱変色性インキが
適用できる。 (8)偽造防止分野では、本発明のボールペンで記号、
文字等を書込み、冷却又は加温により、本物と偽造物の
識別が可能となり、偽造防止が手軽にできる便利性を有
する。例えば、チケット類、金券類、クーポン券など個
人商店や小ロット規模での手書きによる偽造防止として
有効である。所望に応じて、変色温度、変色のタイプ、
色を自分で期日別、期間別にマークすることができ、短
期的な識別を要する用途に有効である。 (9)玩具分野においても有効であり、例えば、ヌイグ
ルミのある部分に自分でデザインを書き、体温で温めて
その変色を楽しむ用途や、人形の唇、爪、目の周辺にそ
れぞれ、口紅色、マニキュア色、アイシャドウ色のメモ
リー性を有する熱変色性ボールペンで色付けし、お湯と
氷水を利用した変色ツールにより、「化粧状態」と「非
化粧状態」の二つの状態を繰返し遊ぶことができる用途
等、自分で自由な色とパターンで化粧できる自由度があ
り創作性を満足させる。又、紙や布製の着せ替えドレス
のデザインを自分で自由にデザインでき、その変色を楽
しむことができる。尚、玩具用にはやや大径のボール
(1〜2mm径)を備えたボールペンが筆跡の識別効果
を高めるためには有効である。 (10)デザイナー向けのデッサンペンとして、メモリ
ー性の熱変色ボールペンを用いて、その発色状態でラフ
スケッチをした後、一般の画材で最終的なデザイン又は
絵を書き上げ、その後で加熱し、ラフスケッチの線画を
消去する用途等にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイクロカプセル顔料の一例の外形の模式説明
図である。(A)は外観を、(B)は、断面図を示す。
【図2】マイクロカプセル顔料の他の例の外形の模式説
明図である。(A)は外観を、(B)は、断面図を示
す。
【図3】マイクロカプセル顔料の他の例の外形の模式説
明図である。(A)は外観を、(B)は、断面図を示
す。
【図4】マイクロカプセル顔料の他の例の外形の模式説
明図である。(A)は外観を、(B)は、断面図を示
す。
【図5】マイクロカプセル顔料の他の例の外形の模式説
明図である。(A)は外観を、(B)は、断面図を示
す。
【図6】本発明ボールペンのチップ部の一実施例の縦断
面説明図である。
【図7】図6のX−X線断面図である。
【図8】本発明ボールペンのチップ部の他の例の縦断説
明図である。
【図9】図8のX−X線断面図である。
【図10】本発明ボールペンのチップ部の他の例の縦断
面説明図である。
【図11】本発明ボールペンの一実施例の縦断面説明図
である。
【符号の説明】
1 ボールペン 2 ボール 3 ボール収容部 31 中心孔 32 導出孔 33 ボール受け座 4 インキ収容部 5 マイクロカプセル顔料 51 膜壁 52 窪み 53 熱変色性組成物 6 水性ボールペン用インキ組成物 7 インキ追従体 A 内径 B 外形 C スペース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/18 B43K 7/00

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 必須成分として着色剤、水、水溶性極性
    溶剤及び剪断減粘性機能を発現するリン酸エステル化合
    物を含有してなり、前記リン酸エステル化合物は少なく
    とも一部が分散状態に保持され、剪断減粘性機能を発
    現、持続させるよう構成してなることを特徴とする水性
    ボールペン用インキ組成物。
  2. 【請求項2】前記リン酸エステル化合物が下記一般式
    (1)及び(2)で示される、モノエステル化合物群及
    びジエステル化合物群から選ばれる化合物の一種、又は
    二種以上の混合物である請求項1の水性ボールペン用イ
    ンキ組成物。 【化1】 【化2】 〔ここで、R はエチレン基、又はプロピレン基(−C
    H(CH )−CH −)を示し、nは0〜8の数を示
    し、Rは炭索数8〜22の直鎖又は側鎖アルキル基、炭
    素数6〜24のアリール基、又はアルキルアリール基を
    示す。〕
  3. 【請求項3】 前記リン酸エステル化合物が下記一般式
    (1)及び(2)で示される、モノエステル化合物群及
    びジエステル化合物群から選ばれる化合物の−種、又は
    二種以上の混合物である請求項2の水性ボールペン用イ
    ンキ組成物。 【化1】 【化2】 〔ここで、R はエチレン基を示し、nは0〜4の数を
    示し、Rは炭素数14〜22の直鎖又は側鎖アルキル
    基、炭素数12〜24のアルキルアリール基を示す。〕
  4. 【請求項4】 前記リン酸エステル化合物は、インキ中
    において0.5μm以下の微粒子状で分散状態にある相
    と、実質的に溶解して分子会合状態にある相とが混在状
    態にあって、剪断減粘性を発現する請求項1乃至3のい
    ずれかの水性ボールペン用インキ組成物。
  5. 【請求項5】剪断減粘性機能を有効に発現させる調整添
    加剤が配合されてなる請求項1乃至4のいずれかの水性
    ボールペン用インキ組成物。
  6. 【請求項6】前記調整添加剤はPH調整剤である請求項
    1乃至5のいずれかの水性ボールペン用インキ組成物。
  7. 【請求項7】前記水性ボールペン用インキ組成物は、塩
    基性無機塩及び/又は塩基性有機化合物によって部分乃
    至全部が中和されてインキ組成物のPHが4〜12に調
    整され、剪断減粘指数が0.1〜0.6である請求項1
    乃至6のいずれかの水性ボールペン用インキ組成物。
  8. 【請求項8】 前記水性ボールペン用インキ組成物は、
    着色剤1〜35重量%、剪断減粘性機能を発現するリン
    酸エステル化合物1〜25重量%、水溶性極性溶剤5〜
    35重量%を含み、残部が水及び調整用添加剤であり、
    粘度が30〜160m.Pa.s(EM型回転粘度計に
    おける回転数100rpmでの値)の範囲にあり、剪断
    減粘性指数0.1〜0.6を満たす、請求項1乃至7の
    いずれかの水性ボールペン用インキ組成物。
  9. 【請求項9】前記着色剤が可逆性熱変色性マイクロカプ
    セル顔料であり、可逆熱変色性を呈する請求項1乃至8
    のいずれかの水性ボールペン用インキ組成物。
  10. 【請求項10】前記可逆性熱変色性マイクロカプセル顔
    料は、電子供与性有機化合物、電子受容性化合物及び変
    色温度を調節する反応媒体を必須成分とする均質相溶体
    を壁膜で被覆してなる、粒子分布が0.5μm〜20μ
    mの範囲に95体積%以上を占める顔料である請求項9
    の水性ボールペン用インキ組成物。
  11. 【請求項11】 前記可逆性熱変色性マイクロカプセル
    顔料は、外面の少なくとも一部に窪みを有する界面重合
    または界面重縮合法により形成された壁膜からなる顔料
    である請求項9又は10の水性ボールペン用インキ組成
    物。
  12. 【請求項12】粒子分布が0.5μm〜20μの範囲に
    95体積%以上を占める可逆性熱変色性マイクロカプセ
    ル顔料15〜45重量%(固形分)、剪断減粘性機能を
    発現するリン酸エステル化合物1.0〜20重量%、水
    溶性極性溶剤5〜35重量%を含み、残部が水及び調整
    添加剤からなる、粘度が30〜160m.Pa.s(E
    M型回転粘度計における回転数100rpmでの値)の
    範囲にあり、剪断減粘指数が0.2〜0.5の範囲にあ
    る請求項9乃至11のいずれかの水性ボールペン用イン
    キ組成物。
  13. 【請求項13】ボールを回転自在に抱持したチップを備
    え、インキ収納部に収容されたインキを導出させて筆記
    可能に構成されたボールペンにおいて、前記インキ収容
    部内に、必須成分として着色剤、水、水溶性極性溶剤及
    び剪断減粘性機能を発現するリン酸エステル化合物を含
    有してなる請求項1乃至12のいずれかの水性ボールペ
    ン用インキ組成物が直液状態に収容されてなることを特
    徴とするボールペン。
  14. 【請求項14】前記インキ収容部はパイプからなり、収
    容状態にある水性ボールペン用インキ組成物の後端部に
    は、インキ追従体が配されてなる請求項13のボールペ
    ン。
JP04411996A 1996-02-05 1996-02-05 水性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いたボールペン Expired - Fee Related JP3538721B2 (ja)

Priority Applications (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04411996A JP3538721B2 (ja) 1996-02-05 1996-02-05 水性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いたボールペン
TW086101153A TW429267B (en) 1996-02-05 1997-01-31 Preparation method for shear-thinning water-based ball-point pen inks, shear-thinning water-based ball-point pen ink compositions, and ball-point pens employing the same
CA002196512A CA2196512C (en) 1996-02-05 1997-01-31 Preparation method for shear-thinning water-based ball-point pen inks, shear-thinning water-based ball-point pen ink compositions, and ball-point pens employing the same
US08/794,091 US5785746A (en) 1996-02-05 1997-02-03 Preparation method for shear-thinning water-based ball-point pen inks compositions and ball-point pens employing the same
KR1019970004013A KR100457118B1 (ko) 1996-02-05 1997-02-05 전단감점성수성볼펜잉크제조방법,전단감점성수성볼펜잉크조성물및이를이용한볼펜
DE69705645T DE69705645T2 (de) 1996-02-05 1997-02-05 Verfahren zur Herstellung von scherfluidisierenden wässrigen Kugelschreibertinten, Tintenzusammensetzungen und diese verwendende Kugelschreiber
EP97300739A EP0787779B1 (en) 1996-02-05 1997-02-05 Preparation method for shear-thinning water-based ball-point pen inks, shear-thinning water-based ball-point pen ink compositions, and ball-point pens employing the same
CNB971021740A CN1144848C (zh) 1996-02-05 1997-02-05 剪切减粘型水性圆珠笔墨水组合物、其制备方法及使用该墨水的圆珠笔

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04411996A JP3538721B2 (ja) 1996-02-05 1996-02-05 水性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いたボールペン

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09208876A JPH09208876A (ja) 1997-08-12
JP3538721B2 true JP3538721B2 (ja) 2004-06-14

Family

ID=12682727

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04411996A Expired - Fee Related JP3538721B2 (ja) 1996-02-05 1996-02-05 水性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いたボールペン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3538721B2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001011357A (ja) * 1999-06-28 2001-01-16 Pentel Corp 水性光沢インキ組成物
JP2001031884A (ja) * 1999-07-22 2001-02-06 Pilot Ink Co Ltd 可逆熱変色性顔料
JP4667054B2 (ja) * 2004-03-23 2011-04-06 パイロットインキ株式会社 水性ボールペン
JP4782402B2 (ja) * 2004-10-21 2011-09-28 パイロットインキ株式会社 可逆熱変色性水性インキ組成物を用いた筆記具
JP2007039512A (ja) * 2005-08-01 2007-02-15 Pilot Corporation 水性ボールペン用インキ組成物
JP5304104B2 (ja) * 2007-09-14 2013-10-02 ぺんてる株式会社 ボールペン用水性インキ組成物
JP5807813B2 (ja) * 2010-03-16 2015-11-10 パイロットインキ株式会社 可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物、並びにそれを用いたボールペンレフィル及びボールペン
JP2012085831A (ja) * 2010-10-20 2012-05-10 Pilot Ink Co Ltd 可逆熱変色性着せ替え玩具
JP2012097168A (ja) * 2010-11-01 2012-05-24 Pilot Ink Co Ltd 可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン
JP5508645B2 (ja) * 2011-05-06 2014-06-04 パイロットインキ株式会社 可逆熱変色性水性インキ組成物及びそれを用いた筆記具
JP6049066B2 (ja) * 2012-12-20 2016-12-21 株式会社パイロットコーポレーション ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン
JP6190742B2 (ja) * 2014-03-17 2017-08-30 三菱鉛筆株式会社 水性ボールペン用インク組成物
JP7313510B2 (ja) * 2018-01-29 2023-07-24 三菱鉛筆株式会社 水性ボールペン
JP7077030B2 (ja) * 2018-01-29 2022-05-30 三菱鉛筆株式会社 筆記具用水性インク組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09208876A (ja) 1997-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100457118B1 (ko) 전단감점성수성볼펜잉크제조방법,전단감점성수성볼펜잉크조성물및이를이용한볼펜
EP3009493B1 (en) Thermochromic color-memorizing composition and thermochromic color-memorizing microcapsule pigment encapsulating same
JP3538721B2 (ja) 水性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いたボールペン
JP3525370B2 (ja) 剪断減粘性水性ボールペンインキの調製方法、剪断減粘性水性ボールペンインキ組成物及びそれを用いたボールペン
JP2022138651A (ja) 熱変色性マイクロカプセル及び熱変色性インク組成物
JP3538722B2 (ja) 水性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いたボールペン
JP6817151B2 (ja) 筆記具用水性インク組成物
JP5926420B2 (ja) 複合式筆記具
JP3718752B2 (ja) 熱変色性水性ボールペンインキ及びそれを用いたボールペン
JP2019194276A (ja) 筆記具用水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具
JP6042200B2 (ja) ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン
JP2015036391A (ja) 熱消色性筆記具インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具
KR20230084481A (ko) 가역 열 변색성 조성물 및 그것을 내포하여 이루어지는 가역 열 변색성 마이크로 캡슐 안료
JP6245511B2 (ja) マイクロカプセル色材及び筆記具用インク組成物
JP6837943B2 (ja) ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン
JP6096590B2 (ja) ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン
JP6239933B2 (ja) マイクロカプセル色材及び筆記具用インク組成物
JP6218505B2 (ja) 筆記具用水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具
WO2022065230A1 (ja) 可逆熱変色性組成物およびそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料
JP7220560B2 (ja) 筆記具用水性インキ組成物およびそれを内蔵した筆記具
JP5745261B2 (ja) 複合式筆記具
JP2011068702A (ja) 筆記具用水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具
JP2008061697A (ja) パズルセット
JP2023066217A (ja) 可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料
WO2022071113A1 (ja) マイクロカプセル顔料及び筆記具用インク組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040302

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040309

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090402

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100402

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110402

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees