JP2023066217A - 可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料 - Google Patents

可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料 Download PDF

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Abstract

【課題】 電子受容性化合物として特定のスルホニルウレア系化合物を用いることにより、可逆熱変色機能を発現させることのできる、可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を提供する。【解決手段】 (イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物として特定の構造を有する化合物と、(ハ)(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とを含んでなる可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。【選択図】 なし

Description

本発明は可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関する。さらに詳細には、高温側変色点以上の温度域で消色状態となり、低温側変色点以下の温度域で発色状態となる可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関する。
従来、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物の電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体を必須成分とする、発色状態から消色状態に色変化する可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関して、幾つかの提案が開示されている(例えば、特許文献1乃至5参照)。
可逆熱変色性組成物に含まれる電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、可逆熱変色性組成物中で酸として作用して電子供与性呈色性有機化合物を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物が挙げられる。
特開平7-11242号公報 特開2002-53853号公報 特開2010-106052号公報 特開2012-229294号公報 特開2013-10810号公報
本発明は、この種の(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物に適用される(ロ)電子受容性化合物について検討した結果、特定の化合物を用いることにより熱変色特性を発現することを見出した。
本発明は、
(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、
(ロ)電子受容性化合物として、下記式(B)で示される化合物と、
(ハ)(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体と
を含んでなる、可逆熱変色性組成物を要件とする。
Figure 2023066217000001
(式中、
Xは、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかであり、
Yは、炭素数1~6のアルキル基である)
さらには、前記可逆熱変色性組成物を内包してなる、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を要件とする。
さらには、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとを含んでなる、可逆熱変色性液状組成物を要件とする。
さらには、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、賦形剤とを含んでなる、可逆熱変色性塗布用固形成形体を要件とする。
さらには、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、成形用樹脂とを含んでなる、可逆熱変色性成形用樹脂組成物を要件とする。
さらには、支持体と、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなる可逆熱変色層とを具備してなる、可逆熱変色性積層体を要件とする。
本発明は、(ロ)電子受容性化合物として特定のスルホニルウレア系化合物を用いることにより、(イ)電子供与性呈色性有機化合物との電子授受反応を満たし、さらに(ハ)(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とを混合することにより可逆熱変色機能を十分に発現させることのできる可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を提供できる。
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。 色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
本発明による可逆熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)(イ)成分及び(ロ)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物が挙げられる。
上記の可逆熱変色性組成物は、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅(ΔH)が比較的小さい特性(ΔH=1~7℃)を有する(図1参照)。
また、ヒステリシス幅が大きい特性(ΔH=8~70℃)を示す、即ち、温度変化による発色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度t以下の温度域での発色状態、又は完全消色温度t以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔発色開始温度t~消色開始温度tの間の温度域(実質二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物も適用できる(図2参照)。
以下に各(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分について具体的に説明する。
(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は、色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられる。
フタリド化合物としては、例えば、ジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びそれらの誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、及びそれらの誘導体が挙げられる。
以下に(イ)成分に用いることができる化合物を例示する。
3,3-ビス(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-n-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ビス(N-フェニル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-クロロアミノ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジ-n-ペンチルアミノフルオラン、
2-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-N-メチルアニリノ-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
6-ジエチルアミノ-1,2-ベンゾフルオラン、
6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン、
6-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
2-ジエチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ブチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジメチルアミノ-2-メトキシフェニル)-3-(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-n-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2,4-ジエチルオキシフェニル)-4-〔4-ビス(4-メチルオキシフェニル)アミノフェニル〕ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシキナゾリン、
4,4′-エチレンジオキシ-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する化合物のほか、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、塩素原子等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
(ロ)成分、即ち電子受容性化合物は、(イ)成分から電子を受け取り、(イ)成分の顕色剤として機能する化合物である。
(ロ)成分は、下記式(B)で示される化合物である。
式(B)で示される化合物は、以下である。
Figure 2023066217000002
(式中、
Xは、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかであり、
Yは、炭素数1~6のアルキル基である)
Xに関して、
炭素数1~3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等の、直鎖又は分岐のアルキル基を例示でき、好ましくは、メチル基又はエチル基である。
炭素数1~3のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基等の、直鎖又は分岐のアルコキシ基を例示できる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を例示でき、好ましくは、塩素原子である。
Xの置換位置としては特に限定されるものではないが、ベンゼン環の4位(パラ位)であることが好ましい。
Yに関して、
炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等の、直鎖又は分岐のアルキル基を例示できる。好ましくは、炭素数2~4のアルキル基(より好ましくはn-プロピル基、又はn-ブチル基)である。
(B)の具体例としては、以下が挙げられる。
N-フェニルスルホニル-N′-メチルウレア、
N-フェニルスルホニル-N′-エチルウレア、
N-p-トリルスルホニル-N′-n-プロピルウレア、
N-p-トリルスルホニル-N′-n-ブチルウレア、
N-p-トリルスルホニル-N′-tert-ブチルウレア、
N-p-エチルフェニルスルホニル-N′-n-ヘキシルウレア、
N-p-メトキシフェニルスルホニル-N′-エチルウレア、
N-p-n-プロポキシフェニルスルホニル-N′-n-プロピルウレア、
N-p-クロロフェニルスルホニル-N′-エチルウレア、
N-m-クロロフェニルスルホニル-N′-n-プロピルウレア、
N-p-クロロフェニルスルホニル-N′-n-プロピルウレア、
N-p-ブロモフェニルスルホニル-N′-n-ブチルウレア
式(B)で示される化合物として好ましくは、Xがメチル基、エチル基、ハロゲン原子であり、且つ、ベンゼン環の4位(パラ位)に存在し、Yが、炭素数2~4のアルキル基である化合物である。
より好ましくは、Xがメチル基、又は塩素原子であり、且つ、ベンゼン環の4位(パラ位)に存在し、Yがn-プロピル基、又はn-ブチル基である化合物である。
(ロ)成分としては、式(B)で示される化合物に、従来公知の(ロ)成分をさらに含んでなるものであってもよい。
従来公知の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、可逆熱変色性組成物中で酸として作用して(イ)成分を発色させる化合物群〕、及び電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物が挙げられる。
活性プロトンを有する化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物及びその誘導体、カルボン酸及びその誘導体、酸性リン酸エステル及びその誘導体、アゾ-ル系化合物及びその誘導体、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体、環状カルボスルホイミド類、炭素数2~5のハロヒドリン類、スルホン酸及びその誘導体、並びに無機酸類等が挙げられる。カルボン酸及びその誘導体としては、芳香族カルボン酸及びその誘導体、又は、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸及びその誘導体が好ましい。
偽酸性化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、カルボン酸の金属塩、酸性リン酸エステルの金属塩、スルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸とスルホン酸の混合無水物、シクロオレフィンジカルボン酸無水物、尿素及びその誘導体、チオ尿素及びその誘導体、グアニジン及びその誘導体、並びにハロゲン化アルコール類等が挙げられる。
電子空孔を有する化合物群としては、硼酸塩類、硼酸エステル類、及び無機塩類等が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する化合物には、モノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、さらに、ビスフェノール化合物及びトリスフェノール化合物、フェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物は、少なくともベンゼン環を2以上有することが好ましい。また、フェノール性水酸基を有する化合物は、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステルまたはアミド基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
フェノール性水酸基を有する化合物等の金属塩が含む金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、及びモリブデン等を例示できる。
従来公知の電子受容性化合物として具体的には、フェノール、o-クレゾール、4-np-ノニルフェノール、4-n-オクチルフェノール、4-n-ドデシルフェノール、4-n-ステアリルフェノール、4-クロロフェノール、4-ブロモフェノール、2-フェニルフェノール、4-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、4-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、レゾルシン、4-tert-ブチルカテコール、2,4-ジヒドロキシ-4′-tert-ブチルベンゾフェノン、没食子酸ドデシル、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,3-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(2-メチルフェノール)
(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
本発明による可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル化及び二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等を例示できる。
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、例えば、カプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、4-tert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等を例示できる。
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールとのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝若しくは置換基を有する飽和脂肪酸と、分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールとのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
上記のエステル化合物としては、例えば、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等を例示できる。
さらに、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールとのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールとのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールとのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールとのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等を例示できる。
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコール又はn-ヘプチルアルコールと、炭素数10~16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17~23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
上記の脂肪酸エステル化合物としては、例えば、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデシル、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等を例示できる。
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、例えば、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を例示できる。
さらには、総炭素数が12~24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を例示できる。
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を例示できる。
酸アミド類としては、例えば、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等を例示できる。
また、(ハ)成分として下記式(1)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023066217000003
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、X及びXのいずれか一方は-(CHOCOR又は(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、r及びpはそれぞれ独立して、1~3の整数を示す〕
式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好ましく、さらにRが水素原子であり、かつ、mが0の場合がより好ましい。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記式(2)で示される化合物である。
Figure 2023066217000004
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、好ましくは炭素数10~24のアルキル基であり、より好ましくは炭素数12~22のアルキル基である)
式(2)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(3)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023066217000005
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ独立して、1~3の整数を示し、X及びYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す)
式(3)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸ジフェニルメチル、ノナン酸ジフェニルメチル、デカン酸ジフェニルメチル、ウンデカン酸ジフェニルメチル、ドデカン酸ジフェニルメチル、トリデカン酸ジフェニルメチル、テトラデカン酸ジフェニルメチル、ペンタデカン酸ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸ジフェニルメチル、オクタデカン酸ジフェニルメチル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(4)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023066217000006
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す)
式(4)で示される化合物としては、例えば、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(5)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023066217000007
(式中、Rは炭素数1~21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1~3の整数を示す)
式(5)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(6)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023066217000008
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す)
式(6)で示される化合物としては、例えば、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(7)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023066217000009
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す)
式(7)で示される化合物としては、例えば、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(8)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023066217000010
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基又は炭素数3~18の脂肪族アシル基を示し、Xは水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、Zは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す)
式(8)で示される化合物としては、例えば、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(9)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023066217000011
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す)
式(9)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルの4-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ドデシルの2-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(10)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023066217000012
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基、炭素数6~11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5~7のシクロアルキル基、炭素数3~18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す)
式(10)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(11)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023066217000013
(式中、Rは炭素数3~8のシクロアルキル基又は炭素数4~9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す)
式(11)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(12)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023066217000014
(式中、Rは炭素数3~17のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキルアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは1~3の整数を示す)
式(12)で示される化合物としては、例えば、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
(ロ)成分として式(B)で示される化合物を適用した本発明による可逆熱変色性組成物は、繰り返し温度変化させても、高温側変色点(完全消色温度)以上の温度域で消色状態となり、低温側変色点(完全発色温度)以下の温度域で発色状態となる可逆熱変色機能を損ない難く、また、繰り返し使用しても発色状態の濃度と消色状態の濃度が変化し難いものである。
本発明による可逆熱変色性組成物は、上記の(イ)成分、(ロ)成分、及び(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~100、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.5~20、(ハ)成分1~800、好ましくは5~200、より好ましくは5~100、さらに好ましくは10~100の範囲である(上記した割合はいずれも質量部である)。(イ)成分、(ロ)成分、及び(ハ)成分の質量比が上記の範囲内にあることにより、発色濃度で高い濃度を示し易く、且つ、消色状態での残色が低くなり易い、即ち、発色状態と消色状態のコントラストによりいっそう優れる可逆熱変色性組成物とすることが容易となる。
可逆熱変色性組成物には、必要により各種光安定剤を配合してもよい。
光安定剤は、(イ)成分、(ロ)成分、及び(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、光安定剤0.3~24、好ましくは0.3~16の範囲である(上記した割合はいずれも質量部である)。また、光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、(イ)成分の光反応による励起状態によって生じる光劣化を防止する。また、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は光による酸化反応を抑制する。
光安定剤は、一種又は二種以上を適宜混合して用いることができる。
本発明による可逆熱変色性組成物は、そのままの適用でも有効であるが、マイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、「マイクロカプセル顔料」と表すことがある)を形成したり、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂中に分散させて可逆熱変色性樹脂粒子(以下、「樹脂粒子」と表すことがある)を形成したりすることもできる。
可逆熱変色性組成物は、マイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料とすることが好ましい。これは、マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成することができ、さらに、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
マイクロカプセル化は、従来公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン-ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。さらにマイクロカプセルの表面には、目的に応じてさらに二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、内包物:壁膜の質量比が7:1~1:1であることが好ましく、内包物と壁膜の質量比が上記の範囲内にあることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下が防止される。より好ましくは、内包物:壁膜の質量比が6:1~1:1である。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01~50μm、より好ましくは0.1~30μm、さらに好ましくは0.5~20μmの範囲である。マクロカプセル顔料又は樹脂粒子の平均粒子径が50μmを超えると、インキ、塗料、或いは樹脂中へのブレンドに際して、分散安定性や加工適性に欠ける。一方、平均粒子径が0.01μm未満では、高濃度の発色性を示し難くなる。
マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子が筆記具用インキに用いられる場合、平均粒子径は、好ましくは0.01~5μm、より好ましくは0.05~4μm、さらに好ましくは0.1~3μm、特に好ましくは0.5~3μmの範囲である。マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子の平均粒子径が5μmを超えると、筆記具に用いた場合に良好なインキ吐出性が得られ難くなる。一方、平均粒子径が0.01μm未満では、高濃度の発色性を示し難くなる。
平均粒子径の測定は、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア〔(株)マウンテック製、製品名:マックビュー〕にて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。
全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置〔ベックマン・コールター(株)製、製品名:Multisizer 4e〕にて、コールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。
さらに、上記のソフトウェア又はコールター法による測定装置を用いて計測した数値を基にして、キャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製、製品名:LA-300〕にて、体積基準の粒子径及び平均粒子径を測定してもよい。
可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、又は可逆熱変色性樹脂粒子等の可逆熱変色性着色剤は、水及び/又は有機溶剤と必要により各種添加剤を含むビヒクル中に分散させてインキ組成物(以下、「インキ」と表すことがある)とすることで、
スクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷等に用いられる印刷用インキ/刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等に用いられる塗料/インクジェット用インキ/紫外線硬化型インキ/マーキングペン用、ボールペン用、万年筆用、筆ペン用等の筆記具用インキ/塗布具用インキ/スタンプ用インキ/絵の具/化粧料/繊維用着色液等の可逆熱変色性液状組成物として利用できる。
可逆熱変色性液状組成物には各種添加剤を配合することができる。
添加剤としては、樹脂、架橋剤、硬化剤、乾燥剤、可塑剤、粘度調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、沈降防止剤、平滑剤、ゲル化剤、消泡剤、つや消し剤、浸透剤、pH調整剤、発泡剤、カップリング剤、保湿剤、防黴剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。
筆記具用インキに用いられる筆記具用ビヒクルとしては、有機溶剤を含む油性ビヒクル、或いは、水と、必要により有機溶剤を含む水性ビヒクルが挙げられる。
ビヒクルが水性ビヒクルである場合、筆記具用インキには、水と相溶性のある水溶性有機溶剤を配合することができる。水溶性有機溶剤は、インキの水分蒸発を抑制し、ビヒクルの比重変動を防いで可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の良好な分散安定性を維持すると共に、後述する高分子凝集剤、又は、高分子凝集剤と分散剤とが形成する緩やかな凝集体の構造を安定化することができる。
有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等を例示できる。
水溶性有機溶剤はインキ全量に対して、好ましくは1~40質量%、より好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは10~25質量%の範囲で配合される。水溶性有機溶剤の配合割合が40質量%を超えると、インキ粘度が高くなり易くなる。一方、配合割合が1質量%未満では、水分蒸発抑制効果が乏しくなる。
筆記具用インキが水溶性有機溶剤を含み、筆記具用インキに配合する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料のヒステリシス幅(ΔH)が大きい場合、マイクロカプセル顔料の比重は1より大きく、ビヒクルの比重を調整する際に、水より比重が大きい水溶性有機溶剤を用いると比重の調整を容易とし易いことから、水溶性有機溶剤としては、比重が1.1を超えるグリセリン等を用いることが好ましい。
筆記具用インキには、剪断減粘性付与剤を配合することができ、剪断減粘性付与剤を含むインキ(剪断減粘性インキ)は、マイクロカプセル顔料の凝集や沈降を抑制できると共に、筆跡の滲みを抑制できるため、良好な筆跡を形成することができる。
さらに、剪断減粘性インキをボールペン形態の筆記具に収容する場合、筆記具の不使用時における、ボールとチップの間隙からのインキ漏れを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止したりすることができる。
剪断減粘性付与剤としては、例えば、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100万~800万)、アルカガム、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万~15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノニンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8~12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類、N-アルキル-2-ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物等を例示できる。
筆記具用インキには、高分子凝集剤を配合することができ、高分子凝集剤を含むインキ(凝集性インキ)は、マイクロカプセル顔料が高分子凝集剤を介して緩やかな凝集体を形成し、マイクロカプセル顔料同士が接触して凝集することが抑制されるため、マイクロカプセル顔料の分散性を向上させることができる。
高分子凝集剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類等が挙げられる。
水溶性多糖類としては、例えば、トラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリン、水溶性セルロース誘導体等を例示できる。
さらに、水溶性セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を例示できる。
上記の高分子凝集剤の中でも、分散性に優れることから、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
高分子凝集剤はインキ全量に対して、好ましくは0.1~1質量%、より好ましくは0.3~0.5質量%の範囲で配合される。上記の範囲内にあることにより、マイクロカプセル顔料が緩やかな凝集体を形成し、マイクロカプセル顔料の分散性を向上させる効果を十分に発現させることができる。
筆記具用インキには、分散剤を配合することによりマイクロカプセル顔料の分散性を高めることができる。
また、高分子凝集剤と分散剤を併用することもでき、両者を併用する場合、マイクロカプセル顔料の分散性を向上させることができると共に、高分子凝集剤を介して形成されるマイクロカプセル顔料の緩やかな凝集体の分散性をよりいっそう向上させることができる。
分散剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、スチレン-マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース及びその誘導体、スチレン-アクリル酸共重合体等の合成樹脂、アクリル系高分子、PO・EO付加物、ポリエステルのアミン系オリゴマー等を例示できる。
上記の分散剤の中でも、マイクロカプセル顔料の分散性に優れることから、アクリル系高分子分散剤が好ましく、カルボキシ基を有するアクリル系高分子分散剤がより好ましく、側鎖にカルボキシ基を有する櫛形構造のアクリル系高分子分散剤がさらに好ましい。
分散剤として特に好ましくは、側鎖に複数のカルボキシ基を有する櫛形構造のアクリル系高分子分散剤であり、具体的には、日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000を例示できる。
分散剤はインキ全量に対して、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.1~1.5質量%の範囲で配合される。分散剤の配合割合が2質量%を超えると、外部から振動等が加わった際にマイクロカプセル顔料が沈降又は浮上し易くなる。一方、配合割合が0.01質量%未満では、分散性向上の効果が発現され難くなる。
筆記具用インキには、水溶性樹脂を配合することにより筆跡の紙面への固着性や粘性を付与することができる。
水溶性樹脂としては、例えば、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等を例示できる。
上記の水溶性樹脂の中でも、アクリル系高分子分散剤の安定性に優れることからポリビニルアルコールが好ましく、さらに、インキが酸性域でも可溶性に富むことから、けん化度が70~89モル%の部分けん化度型ポリビニルアルコールがより好ましい。
水溶性樹脂はインキ全量に対して、好ましくは0.3~3質量%、より好ましくは0.5~1.5質量%の範囲で配合される。
筆記具用インキに用いられるビヒクルの粘度が低い場合に、比重調整剤を配合することにより、インキ中でマイクロカプセル顔料が沈降又は浮上して局在化することを抑制することができ、マイクロカプセル顔料の分散安定性を向上させることができる。
マイクロカプセル顔料の分散安定性は、ビヒクルとマイクロカプセル顔料との比重差が極小のときに最大となり、比重調整剤は、ビヒクルの比重をマイクロカプセル顔料の比重に近づけるものである。ビヒクルの比重は、ビヒクル中に溶解させた水溶性物質の比重とその添加量に左右されるため、ビヒクル中に比重の大きい比重調整剤をより多く添加し、溶解させると、ビヒクルの比重をより大きくすることができる。
比重調整剤としては、例えば、原子量90~185の範囲に含まれる6族元素の酸素酸及びその塩を例示できる。
このような比重調整剤は、ビヒクルの比重を、比重の大きいマイクロカプセル顔料に近づくように調整することができ、インキが低粘度でありながらも、外部から振動等の刺激が加わったりすることによりマイクロカプセル顔料が沈降又は浮上して局在化することを抑制することができる。
酸素酸及びその塩は、遷移金属元素の酸素酸及びその塩からなる群から選択されるものであり、その酸素酸イオンは金属原子等に酸素原子が通常4若しくは6配位した四面体又は八面体を形成してなるものといわれている。
酸素酸及びその塩としては、ポリ酸及びその塩であるポリ酸塩であってもよく、ポリ酸にはイソポリ酸、ヘテロポリ酸等が、ポリ酸塩にはイソポリ酸塩、ヘテロポリ酸塩等が含まれる。
比重調整剤としては、単独の酸素酸及びその塩、イソポリ酸及びその塩、ヘテロポリ酸及びその塩等が挙げられる。
単独の酸素酸としては、例えば、モリブデン酸、タングステン酸等を例示でき、さらに単独の酸素酸の塩としては、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸リチウム、タングステン酸マグネシウム等を例示できる。
イソポリ酸としては、例えば、メタモリブデン酸、パラモリブデン酸、メタタングステン酸、パラタングステン酸、イソタングステン酸等を例示でき、さらに、イソポリ酸塩としては、メタモリブデン酸ナトリウム、メタモリブデン酸カリウム、メタモリブデン酸アンモニウム、パラモリブデン酸ナトリウム、パラモリブデン酸カリウム、パラモリブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタングステン酸ナトリウム、イソタングステン酸ナトリウム等を例示できる。
ヘテロポリ酸としては、例えば、モリブドリン酸、モリブドケイ酸、タングストリン酸、タングストケイ酸等を例示でき、さらに、ヘテロポリ酸塩としては、モリブドリン酸ナトリウム、モリブドケイ酸ナトリウム、タングストリン酸ナトリウム、タングストケイ酸ナトリウム等を例示できる。
上記の酸素酸及びその塩は、一種又は二種以上を適宜混合して用いることができる。
上記の比重調整剤の中でも、メタタングステン酸、パラタングステン酸、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタングステン酸ナトリウム、イソタングステン酸ナトリウム、タングストリン酸、タングストケイ酸、タングストリン酸ナトリウム、タングストケイ酸ナトリウムが好ましく、イソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸ナトリウムがより好ましい。
上記のイソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、及びパラタングステン酸ナトリウムは安全性が高いだけでなくそれ自体が高比重のため、添加量に応じて高比重の液体を調製することが容易であり、好適に用いられる。
比重調整剤はインキ全量に対して、好ましくは2~20質量%、より好ましくは5~15質量%の範囲で配合される。比重調整剤の配合割合が20質量%を超えると、マイクロカプセル顔料が凝集し易くなる。一方、配合割合が2質量%未満では、ビヒクルの比重調整効果が乏しくなる。
また、マイクロカプセル顔料:比重調整剤の質量比は、好ましくは1:0.05~1:4、より好ましくは1:0.075~1:2、さらに好ましくは1:0.1~1:1.5である。
上記の比重調整剤を配合したビヒクルは、比重の大きいマイクロカプセル顔料に特に有効であり、インキが低粘度でありながらも、外部から振動等の刺激が加わる場合にインキ中でマイクロカプセル顔料が沈降することを抑制し、マイクロカプセル顔料の分散安定性を向上させることができる。
マイクロカプセル顔料の比重は、粒子径、マイクロカプセルに内包される成分やその含有量、カプセル壁膜の成分や膜厚、及びマイクロカプセル顔料の着色状態、温度によって左右されるが、その比重は、マイクロカプセル顔料が完全発色状態であり、20℃において水を基準とした場合、1.05~1.20であることが好適である。このようなマイクロカプセル顔料は、ヒステリシス幅(ΔH)が大きい性質を示し、加熱することにより消色し、特定温度域で消色させた状態を保持させることができるが、ヒステリシス幅(ΔH)が大きいマイクロカプセル顔料は、(ハ)成分として分子内に芳香環を2以上有する化合物を用いることが多いことから比重が大きくなり易く、インキ中で沈降して分離し易い傾向にあり、特に、外部から振動等の刺激が加わる場合にマイクロカプセル顔料が沈降して分離し易いという傾向がある。しかしながら、上記の比重調整剤を配合したインキ中では、インキが低粘度でありながらも、マイクロカプセル顔料が沈降して局在化することが抑制され、マイクロカプセル顔料の分散安定性を向上させることができるため、好適に用いられる。
インキ中におけるマイクロカプセル顔料の分散安定性を考慮すると、マイクロカプセル顔料の比重は、マイクロカプセル顔料が完全発色状態であり、20℃において水を基準とした場合、1.10~1.20であることが好ましく、1.12~1.15であることがより好ましい。
なお、マイクロカプセル顔料の比重は、下記の方法により測定することができる。
(マイクロカプセル顔料の比重測定方法)
1.スクリュー管瓶にグリセリン水溶液30mlと完全発色状態のマイクロカプセル顔料1gを投入、混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得る。
2.マイクロカプセル顔料分散液30mlを20℃に調温し、回転数1000rpm、30秒間の遠心条件で遠心分離機にかける。なお、遠心分離機としては、冷却・卓上遠心機〔(株)コクサン製、製品名:H103N〕を用いることができる。
3.マイクロカプセル顔料分散液を観察する。
マイクロカプセル顔料の大半がビーカー底部に沈殿している場合、このときのグリセリン水溶液よりもグリセリン濃度を上げた水溶液を用いて、再度1~2の操作を行い分散液の状態を観察する。
マイクロカプセル顔料の大半が液面で浮遊した状態を確認した場合は、このときのグリセリン水溶液よりもグリセリン濃度を下げた水溶液を用いて、再度1~2の操作を行い分散液の状態を観察する。
上記の一連の操作は、マイクロカプセル顔料の大半が液面に浮上している、または沈殿している状態ではなく、グリセリン水溶液の液面やスクリュー管瓶底部付近以外の部分が均一に着色している状態が目視で確認されるまで繰り返す。この状態が観察された際のグリセリン水溶液の比重を測定し、マイクロカプセル顔料の比重とする。なお、グリセリン水溶液の比重は、20℃に調温した水溶液を、JIS K0061 7.1項記載の浮ひょう法により測定することができる。
また、上記の比重調整剤を配合したビヒクルは、20℃において水を基準物質とした場合、1.00~1.30の範囲の比重を有しており、さらに、比重は1.05~1.20であることが好ましく、1.08~1.18であることがより好ましい。
さらに、ビヒクルの比重が上記のマイクロカプセル顔料の比重に対して、0.90~1.20倍であることが好ましく、0.95~1.10倍であることがより好ましい。
ビヒクルの比重が上記の範囲内にあると共に、マイクロカプセル顔料の比重に対するビヒクルの比重が上記の範囲内にあると、インキに外部から振動等の刺激が加わる場合に、インキが低粘度でありながらも、インキ中でマイクロカプセル顔料が沈降して局在化することをよりいっそう抑制して、マイクロカプセル顔料の分散安定性をよりいっそう向上させることができる。
筆記具用ビヒクルが水性ビヒクルである場合に、ビヒクルには、少なくとも水が含まれる。水はインキ全量に対して、好ましくは30~80質量%、より好ましくは40~70質量%の範囲で配合される。
筆記具用インキがボールペンに用いられる場合、インキ中にオレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加して、ボール受け座の摩耗を防止することが好ましい。
その他、必要に応じて、濡れ剤、樹脂、樹脂粒子、pH調整剤、防錆剤、界面活性剤、湿潤剤、消泡剤、粘度調整剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を配合することもできる。
マイクロカプセル顔料は筆記具用インキ全量に対して、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~40質量%、さらに好ましくは10~30質量%の範囲で配合される。マイクロカプセル顔料の配合割合が上記の範囲内にあることにより、所望の発色濃度が得られると共に、インキ流出性の低下を防止することができる。
本発明によるインキ組成物の製造方法は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、上記した各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、若しくはホモミキサー等の各種攪拌機で攪拌することにより、又はビーズミル等の各種分散機等で分散することにより、製造することができる。
本発明による筆記具用インキがボールペンに用いられる場合、その粘度は、20℃の環境下において、回転速度1rpm(剪断速度3.84sec-1)の条件で測定した場合、マイクロカプセル顔料の沈降又は凝集を抑制できることから、1~2000mPa・sであることが好ましく、3~1500mPa・sであることがより好ましく、500~1000mPa・sであることがさらに好ましい。また、20℃の環境下において、回転速度100rpm(剪断速度384sec-1)の条件で測定した場合、ボールペンのペン先からのインキ吐出性を良好とすることができることから、粘度は、1~200mPa・sであることが好ましく、10~100mPa・sであることがより好ましく、20~50mPa・sであることがさらに好ましい。粘度が上記の範囲内にあることにより、マイクロカプセル顔料の分散安定性や、ボールペンの機構内におけるインキの易流動性を高いレベルで維持することができる。
なお、粘度は、レオメーター〔TAインスツルメンツ社製、製品名:Discovery HR-2、コーンプレート(直径40mm、角度1°)〕を用いて、インキを20℃の環境下に置いて、回転速度1rpm(剪断速度3.84sec-1)、又は、回転速度100rpm(剪断速度384sec-1)の条件で測定した値である。
本発明による筆記具用インキがボールペンに用いられる場合、その表面張力は、20℃の環境下において、20~50mN/mであることが好ましく、25~45mN/mであることがより好ましい。表面張力が上記の範囲内にあることにより、筆記線の滲みや、紙面への裏抜けを抑制することが容易であると共に、インキの紙面に対する濡れ性を向上させることができる。
なお、表面張力は、表面張力計測器〔協和界面科学(株)製、製品名:DY-300〕を用いて、インキを20℃の環境下に置いて、白金プレートを用いた垂直平板法により測定した値である。
本発明による筆記具用インキがボールペンに用いられる場合、そのpHは、3~10であることが好ましく、4~9であることがより好ましい。pHが上記の範囲内にあることにより、インキ中に含有されるマイクロカプセル顔料の低温域での凝集又は沈降を抑制することができる。
なお、pHは、pHメーター〔東亜ディーケーケー(株)製、製品名:IM-40S〕を用いて、インキを20℃の環境下に置いて測定した値である。
本発明による筆記具用インキがマーキングペンに用いられる場合、その粘度は、20℃の環境下において、回転数30rpmの条件で測定した場合、1~20mPa・sであることが好ましく、1~10mPa・sであることがより好ましく、1~5mPa・sであることがさらに好ましい。粘度が上記の範囲内にあることにより、インキの流動性とマイクロカプセル顔料の分散安定性を向上させることができる。
なお、粘度は、BL型回転粘度計〔東機産業(株)製、製品名:TVB-M型粘度計、L型ローター〕を用いて、インキを20℃の環境下に置いて測定した値である。
本発明による筆記具用インキがマーキングペンに用いられる場合、その表面張力は、20℃の環境下において、25~50mN/mであることが好ましく、25~45mNであることがより好ましく、35~45mN/mであることがさらに好ましい。表面張力が上記の範囲内にあることにより、筆記線の滲みや、紙面への裏抜けを抑制することが容易であると共に、インキの紙面に対する濡れ性を向上させることができる。
なお、表面張力は、表面張力計測器〔協和界面科学(株)製、製品名:DY-300〕を用いて、インキを20℃環境下に置いて、ガラスプレートを用いた垂直平板法により測定した値である。
本発明による筆記具用インキがマーキングペンに用いられる場合、そのpHは、3~8であることが好ましく、4~7であることがより好ましく、5~6であることがさらに好ましい。pHが上記の範囲内にあることにより、インキ中に含有されるマイクロカプセル顔料の低温域での凝集又は沈降を抑制することができる。
なお、pHは、pHメーター〔東亜ディーケーケー(株)製、製品名:IM-40S〕を用いて、インキを20℃の環境下に置いて測定した値である。
上記の筆記具用インキはペン先と、インキ充填機構とを備えた筆記具に収容される。
筆記具としては、例えば、ボールペン、マーキングペン、万年筆、筆ペン、カリグラフィーペン等の各種筆記具を例示できる。
筆記具のペン先としては特に制限されるものではなく、各種チップを備えたペン先が用いられる。
各種チップのうち、ボールペンチップとしては、例えば、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、上記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を例示できる。
なお、ボールペンチップ及びボールの材質としては特に限定されるものではなく、例えば、超硬合金(超硬)、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等を例示できる。
ボールの直径は、0.1~3.0mmであることが好ましく、0.2~2.0mmであることがより好ましく、0.3~1.0mmであることがさらに好ましい。またボールには、DLCコート等の表面処理を施すこともできる。
マーキングペンチップとしては、例えば、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来より汎用の気孔率が概ね30~70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材、又は、軸方向に延びる複数のインキ導出孔を有する合成樹脂の押出成形体等を例示でき、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
また、万年筆形態のチップ(ペン体)としては、例えば、ステンレス板、金合金板等の金属板を先細テーパー状に裁断し、屈曲又は湾曲したものや、ペン先形状に樹脂成形したもの等を例示できる。なお、上記ペン体には中心にスリットを設けたり、先端に玉部を設けたりすることもできる。
インキ充填機構としては、例えば、筆記具用インキを直に充填することのできるインキ収容体又はインキ吸蔵体を例示できる。
インキ収容体は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体、金属製管状体が用いられ、上記のチップを直接連結するほか、接続部材を介してインキ収容体とチップを連結してもよい。
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させた繊維集束体であり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40~90%の範囲に調整して構成される。
筆記具用インキをボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に、剪断減粘性インキを充填したインキ収容体を有し、インキ収容体はボールを先端部に装着したボールペンチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンを例示できる。
インキ収容体に充填したインキの後端にはインキ逆流防止体組成物が充填される。
インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体及び/又は難揮発性液体からなり、例えば、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α-オレフィン、α-オレフィンのオリゴマー又はコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、及び脂肪酸変性シリコーンオイル等を例示できる。
インキ逆流防止体組成物は、一種又は二種以上を適宜混合して用いることができる。
インキ逆流防止体組成物には、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましい。
増粘剤としては、例えば、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイト等の粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、及びステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、並びにセルロース系化合物等を例示できる。
さらに、上記した液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体組成物を併用して用いることもできる。
また、軸筒自体をインキ充填機構とすることもでき、軸筒内にインキを直接充填し、軸筒の前端部にボールペンチップを装着したボールペンを例示できる。
ボールペンチップとインキ充填機構を備えたボールペンは、さらに、インキ充填機構に充填されるインキをペン先に供給するためのインキ供給機構を備えていてもよい。
インキ供給機構としては特に限定されるものではないが、例えば、(1)繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として備え、インキをペン先に供給する機構、(2)櫛溝状のインキ流量調節体を備え、これを介在させてインキをペン先に供給する機構、(3)多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ充填機構からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯を介して、インキをペン先に供給する機構が挙げられる。
ペン芯の材質としては、多数の円盤体を櫛溝状とした構造に射出成形できる合成樹脂であれば特に制限されるものではない。合成樹脂としては、例えば、汎用のポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)等を例示できる。特に、成形性が高く、ペン芯性能を得られ易いことから、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)が好適に用いられる。
ボールペンがインキ供給機構を備えてなる場合、インキ充填機構として上記のインキ収容体や軸筒のほかに、上記したインキ吸蔵体を用いることもできる。
筆記具用インキを収容するボールペンの構成として具体的には、(1)インキ収容体にボールペンチップが直接又は接続部材を介して連結され、筆記具用インキが充填されると共に、インキの端面にはインキ逆流防止体を充填することにより形成されたボールペンレフィルを軸筒内に収容したボールペン、(2)軸筒内に直接筆記具用インキが充填され、櫛溝状のインキ流量調節体や、繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として介在させてインキをペン先に供給する機構が備えられるボールペン、(3)軸筒内に直接筆記具用インキが充填され、上記のペン芯を介してインキをペン先に供給する機構が備えられるボールペン、(4)軸筒内に、筆記具用インキを含浸させた繊維集束体からなるインキ吸蔵体が収容され、繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として介在させてインキをペン先に供給する機構が備えられるボールペン等を例示できる。
筆記具用インキをマーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に凝集性インキを充填したインキ吸蔵体を有し、インキ吸蔵体はマーキングペンチップに連通しているマーキングペンを例示できる。
インキ吸蔵体には、上記のマーキングペンチップを直接連結するほか、接続部材を介してインキ吸蔵体とマーキングペンチップを連結させてもよい。
マーキングペンチップとインキ充填機構を備えたマーキングペンは、さらに、インキ充填機構に充填されるインキをペン先に供給するためのインキ供給機構を備えていてもよい。
インキ供給機構としては特に限定されるものではないが、例えば、上記したボールペンに備えられるインキ供給機構に加えて、(4)弁機構によるインキ流量調節体を備え、開弁によりインキをペン先に供給する機構が挙げられる。
弁機構は、チップの押圧により開放する、従来より汎用のポンピング式形態が使用でき、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
マーキングペンがインキ供給機構を備えてなる場合、インキ充填機構としては、上記のインキ吸蔵体のほか、筆記具用インキを直接充填できるインキ収容体を用いることもできる。また、軸筒自体をインキ充填機構として、筆記具用インキを直接充填してもよい。
筆記具用インキを収容するマーキングペンの構成として具体的には、(1)軸筒内に、筆記具用インキを含浸させた繊維集束体からなるインキ吸蔵体が収容され、毛細間隙が形成された、繊維加工体又は樹脂成形体からなるマーキングペンチップが、インキ吸蔵体とチップが接続するように直接、又は接続部材を介して軸筒に連結されたマーキングペン、(2)軸筒内に直接筆記具用インキが充填され、櫛溝状のインキ流量調節体や繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として介在させてインキをペン先に供給する機構が備えられるマーキングペン、(3)軸筒内に直接筆記具用インキが充填され、上記のペン芯を介してインキをペン先に供給する機構が備えられるマーキングペン、(4)チップの押圧により開弁する弁機構を介してチップとインキ収容体とが備えられ、インキ収容体に直接筆記具用インキが充填されるマーキングペン、(5)筆記具用インキを含浸させた繊維集束体からなるインキ吸蔵体を収容したインキ収容体に、毛細間隙が形成された、繊維加工体又は樹脂成形体からなるマーキングペンチップが、インキ吸蔵体とチップが接続するように直接、又は接続部材を介して連結されたマーキングペンレフィルを軸筒内に収容したマーキングペン等を例示できる。
上記のボールペン又はマーキングペンは、着脱可能な構造としてインキカートリッジ形態とすることもできる。この場合、筆記具のインキカートリッジに収容されるインキを使い切った後に、新たなインキカートリッジと取り換えることで、再度筆記具を使用することが可能となる。
インキカートリッジとしては、筆記具本体に接続することで筆記具を構成する軸筒を兼ねたものや、筆記具本体に接続した後に軸筒(後軸)を被覆して保護するものが用いられる。なお、後者においては、インキカートリッジ単体で用いるほか、使用前の筆記具において、筆記具本体とインキカートリッジが接続されているものや、筆記具のユーザーが使用時に軸筒内のインキカートリッジを接続して使用を開始するように非接続状態で軸筒内に収容したもののいずれであっても良い。
ボールペン又はマーキングペンが筆記具用インキを直に充填するものである場合、マイクロカプセル顔料の再分散を容易とするために、インキが充填されるインキ収容体又は軸筒に、インキを攪拌する攪拌ボール等の攪拌体を内蔵することが好ましい。攪拌体の形状としては、球状体、棒状体が挙げられる。攪拌体の材質としては特に限定されるものではなく、例えば、金属、セラミック、樹脂、ガラス等を例示できる。
ボールペン又はマーキングペン等の筆記具には、筆記先端部(チップ先端部)を覆うように装着されるキャップを設けたり、筆記具本体(軸筒)から筆記先端部が出没可能とする出没機構を設けたりすることが好ましく、筆記先端部が乾燥して筆記できなくなることや、筆記先端部が汚染・破損されることを防ぐことができる。
出没機構を設けた筆記具は、筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造であれば全て用いることができ、例えば、上記したボールペンレフィル又はマーキングペンレフィルを作製し、レフィルを軸筒内に収容して出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造とすることにより、出没機構を設けた筆記具(出没式筆記具)を作製することができる。
筆記具に出没機構を設ける場合、軸筒内に複数のボールペンレフィル又はマーキングペンレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのレフィルの筆記先端部を軸筒開口部から出没させる複合タイプの出没式筆記具(出没式ボールペン又は出没式マーキングペン)とすることもできる。
出没機構としては、例えば、(1)軸筒の後部側壁より前後方向に移動可能な操作部(クリップ)を径方向外方に突設させ、操作部を前方にスライド操作することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させるサイドスライド式の出没機構、(2)軸筒後端に設けた操作部を前方に押圧することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させる後端ノック式の出没機構、(3)軸筒側壁外面より突出する操作部を径方向内方に押圧することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させるサイドノック式の出没機構、(4)軸筒後部の操作部を回転操作することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させる回転式の出没機構等を例示できる。
ボールペンやマーキングペンの形態は上記した構成に限らず、相異なる形態のチップを装着させたり、相異なる色調のインキを導出させるペン先を装着させたりするほか、相異なる形態のチップを装着させると共に、各チップから導出されるインキの色調が相異なる複合式筆記具(両頭式やペン先繰り出し式等)であってもよい。
上記の筆記具用インキを収容した筆記具を用いて、被筆記面に筆記して得られる筆跡は、指による擦過や、加熱具又は冷却具により変色させることができる。
加熱具としては、PTC素子等の抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等の媒体を充填した加熱変色具、スチームやレーザー光等を用いた加熱変色具、ヘアドライヤーの適用等が挙げられるが、簡便な方法により変色させることができることから、摩擦部材及び摩擦体が好ましい。
冷却具としては、ペルチエ素子を用いた通電冷熱変色具、冷水や氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、畜冷剤、冷蔵庫や冷凍庫の適用等が挙げられる。
摩擦部材及び摩擦体としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好ましいが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛等を用いることもできる。
なお、鉛筆による筆跡を消去するために用いられる一般的な消しゴムを使用して、筆跡を擦過してもよいが、擦過時に消しカスが発生するため、消しカスが殆ど発生しない上記の摩擦部材及び摩擦体が好適に用いられる。
摩擦部材及び摩擦体の材質としては、例えば、シリコーン樹脂、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体)等を例示できる。シリコーン樹脂は擦過により消去した部分に樹脂が付着し易く、繰り返し筆記した際に筆跡がはじかれる傾向にあるため、SEBS樹脂がより好適に用いられる。
上記の摩擦部材又は摩擦体は筆記具とは別体の任意形状の部材であってもよいが、筆記具に設けることにより、携帯性に優れるものとすることができる。また、筆記具と、筆記具とは別体の任意形状の摩擦部材又は摩擦体とを組み合わせて、筆記具セットを得ることもできる。
キャップを備える筆記具の場合、摩擦部材又は摩擦体を設ける箇所は特に限定されるものではなく、例えば、キャップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合には、クリップ自体を摩擦部材により形成したり、キャップ先端部(頂部)或いは軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)等に摩擦部材又は摩擦体を設けることができる。
筆記具が出没式筆記具の場合、摩擦部材又は摩擦体を設ける箇所は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、さらにクリップを設ける場合には、クリップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒開口部近傍、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)、或いはノック部に摩擦部材又は摩擦体を設けることができる。
上記のインキは、スタンプ用インキとして用いることもできる。
スタンプ用インキの媒体としては水が用いられるが、必要により水溶性有機溶剤を用いることもできる。
スタンプ用インキにマイクロカプセル顔料を用いる場合には、水溶性有機溶剤の中でもグリセリン又はプロピレングリコールが好ましい。
水溶性有機溶剤はインキ全量に対して、好ましくは30~60質量%、より好ましくは30~55質量%、さらに好ましくは40~50質量%の範囲で配合される。水溶性有機溶剤の配合割合が上記の範囲内にあることにより、インキが乾燥したり、吸湿したりすることがなく、鮮明な印像が得られ易くなる。
水溶性有機溶剤の配合割合が60質量%を超えると、吸湿性が高くなり易く、印像が滲んだり、斑が出たりするため、鮮明な印像が得られ難くなる。一方、配合割合が30質量%未満では、印面が乾燥し、印像が掠れるなど、鮮明な印像が得られ難くなる。
上記の媒体として有機溶剤を用いることもできる。
有機溶剤としては、例えば、ヒマシ油脂肪酸アルキルエステル類、セロソルブ系溶剤、アルキレングリコール系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、プロピオン酸系溶剤、高極性溶剤、或いはこれらの混合溶剤等を例示できる。
スタンプ用インキには、増粘剤を配合することもできる。
増粘剤の中でも、アルカリ可溶型アクリルエマルションが好ましい。
増粘剤としてアルカリ可溶型アクリルエマルションを用いる場合、インキのpHは、6~11であることが好ましく、7~11であることがより好ましく、7~10であることがさらに好ましい。
スタンプ用インキ中には、バインダー樹脂を添加することにより印像の固着性を高めたり、インキの粘度を調整したりすることができる。
バインダー樹脂としては、樹脂エマルション、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂等が挙げられる。
その他、必要に応じて、濡れ剤、樹脂、樹脂粒子、pH調整剤、防錆剤、界面活性剤、湿潤剤、消泡剤、粘度調整剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を配合することもできる。
スタンプ用インキ中にマイクロカプセル顔料は、インキ全量に対して、好ましくは10~40質量%、より好ましくは10~35質量%、さらに好ましくは10~30質量%の範囲で配合される。マイクロカプセル顔料の配合割合が40質量%を超えると、インキ中でのマイクロカプセル顔料の分散安定性が低下し易くなる。一方、配合割合が10質量%未満では、発色濃度が低下し易くなる。
上記のスタンプ用インキは、スタンプパッド用インキ、連続気孔を有する印材を備えたスタンプ用インキとして用いることができる。
例えば、インキをスタンプパッドに含浸させて、接触させるスタンプの印面にインキを供給するスタンプパッドを得ることができる。また、インキを、連続気孔を有する印材を備えたスタンプの印材に含浸させることによりスタンプを得ることもできる。
上記のスタンプは、各種被押印面に対して印像を形成可能である。さらに、スタンプ用インキにより形成される印像は、指による擦過や、前述の加熱具又は冷熱具の適用により変色させることができる。簡便な方法により変色させることができることから、加熱具としては、前述の摩擦部材及び摩擦体が好ましい。
上記の摩擦部材又は摩擦体はスタンプとは別体の任意形状の部材であってもよいが、スタンプに設けることにより、携帯性に優れるものとすることができる。また、スタンプと、スタンプとは別体で任意形状の摩擦部材又は摩擦体とを組み合わせて、スタンプセットを得ることもできる。
可逆熱変色性液状組成物を塗布又は印刷する場合、支持体の材質は特に限定されるものではなく全て有効であり、例えば、紙、合成紙、繊維、布帛、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁材、金属、木材、石材等を例示できる。
支持体の形状は平面状に限らず、凹凸状であってもよい。
支持体上に、可逆熱変色性着色剤を含む可逆熱変色層を設けることにより、可逆熱変色性積層体(可逆熱変色性印刷物)を得ることができる。
支持体上に非熱変色性着色層(非熱変色像)が予め形成されているものにあっては、温度変化により着色層又は像を、可逆熱変色層によって隠顕させることができ、変化の様相をさらに多様化させることができる。
可逆熱変色性着色剤を、賦形剤に溶融ブレンドして成形することにより可逆熱変色性塗布用固形成形体とし、固形筆記体や固形化粧料として利用することができる。
固形筆記体としては、例えば、クレヨン、鉛筆芯、シャープペンシル芯、固形ゲルマーカー等を例示できる。
固形化粧料としては、例えば、ファンデーション、アイライナー、アイブロウ、アイシャドー、口紅等を例示できる。
固形筆記体に用いられる賦形剤としては、ワックス、ゲル化剤、粘土鉱物等が挙げられる。
賦形剤の中でも、筆跡濃度を向上させやすいことから、ポリオレフィンワックス、ショ糖脂肪酸エステル、又はデキストリン脂肪酸エステルの少なくとも一種を含有していることが好ましい。
固形筆記体の機械的強度や熱変色特性に優れ、さらに製造時に取り扱い易いことから、賦形剤は、質量平均分子量(Mw)が2,000~50,000であるものが好ましく、10,000~30,000であるものがより好ましい。また、数平均分子量(Mn)が1,000~10,000であるものが好ましい。
なお、質量平均分子量及び数平均分子量は、ポリスチレンを基準としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
賦形剤は固形筆記体全量に対して、好ましくは0.2~70質量%、より好ましくは0.5~40質量%の範囲で配合される。賦形剤の配合割合が上記の範囲内にあることにより、固形筆記体としての形状が得られ易いと共に、固形筆記体の筆跡濃度が高くなり易くなる。
賦形剤の配合割合が70質量%を超えると、十分な筆記濃度が得られ難くなる。一方、配合割合が0.2質量%未満では、筆記可能な芯材としての形状が得られ難くなる。
固形筆記体中には、フィラーを配合することにより固形筆記体の強度の向上や書き味を調整することができる。
フィラーの中でも、成形性に優れ、マイクロカプセル顔料を用いた場合に熱変色特性を損ない難いことから、タルク又は炭酸カルシウムが好ましい。
フィラーは固形筆記体全量に対して、好ましくは10~65質量%の範囲で配合される。フィラーの配合割合が65質量%を超えると、発色性や書き味が低下し易くなる。一方、配合割合が10質量%未満では、固形筆記体の強度が低下し易くなる。
固形筆記体中には、バインダー樹脂を配合することにより固形筆記体の強度を向上させることができる。
バインダー樹脂の中でも、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールが好ましく、これらの樹脂とポリエステルポリオールとを併用することによって、成形安定性を向上させることができる。
バインダー樹脂は固形筆記体全量に対して、好ましくは0.5~5質量%の範囲で配合される。
固形筆記体中には、ヒンダードアミン化合物を配合することにより被筆記面の筆跡を消去した箇所の残像を視認され難くすることができる。このため、被筆記面の見栄えを損なうことなく、しかも、再筆記性を満足させることができ、商品性を高めることができる。
その他、必要に応じて、粘度調整剤、防黴剤、防腐剤、抗菌剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、潤滑剤、香料等の添加剤を配合することもできる。
固形筆記体は、単独で筆記体として使用してもよいし、内芯として用いてその外周面を被覆する外殻を設けた芯鞘構造(二重芯)としてもよい。
外殻には、必要に応じて、非熱変色性着色剤、防黴剤、防腐剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、潤滑剤、香料等の添加剤を配合することもできる。
上記の固形筆記体は、各種被筆記面に対して筆記することが可能であり、さらに、可逆熱変色性着色剤を用いているため、被筆記面に筆記して得られた筆跡は、指による擦過や、前述の加熱具又は冷熱具の適用により変色させることができる。簡便な方法により変色させることができることから、加熱具としては、前述の摩擦部材及び摩擦体が好ましい。
上記の摩擦部材又は摩擦体は、固形筆記体、又は、固形筆記体を外装収容物に収容した固形筆記具の外装とは別体の任意形状の部材であってもよいが、固形筆記体、又は、固形筆記体を外装収容物に収容した固形筆記具の外装に設けることにより、携帯性に優れるものとすることができる。具体的には、外装が木や紙などの鉛筆や、クレヨン等の形状に、摩擦部材を設けた形態等が挙げられる。また、固形筆記体と、固形筆記体とは別体の任意形状の摩擦部材又は摩擦体とを組み合わせて固形筆記体セットを得ることもできる。
可逆熱変色性着色剤は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ワックス類等に溶融ブレンドしてペレット、粉末、又はペースト形態とし、可逆熱変色性成形用樹脂組成物として利用できる。
上記の可逆熱変色性成形用樹脂組成物を汎用の射出成形、押出成形、ブロー成形、又は注型成形等の手段により、任意形象の立体造形物、フィルム、シート、板、フィラメント、棒状物、パイプ等の形態の成形体が得られる。
また、熱可塑性樹脂に溶融ブレンドすることにより、トナー、粉体塗料を得ることもできる。
なお、上記の可逆熱変色性液状組成物、塗布用固形成形体、成形用樹脂組成物中に、一般の染料及び顔料等の非熱変色性着色剤を配合することにより、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈する。
上記の成形体又は積層体上には、光安定剤及び/又は透明性金属光沢顔料を含む層を積層させることにより、耐光性を向上させたり、或いは、トップコート層を設けて耐久性を向上させたりすることもできる。
光安定剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等が挙げられる。
透明性金属光沢顔料としては、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料等が挙げられる。
可逆熱変色性組成物、及びそれを内包したマイクロカプセル顔料又は樹脂粒子を用いた製品として具体的には、以下のものを例示できる。
(1)玩具類
人形及び動物形象玩具、人形及び動物形象玩具用毛髪、人形の家及び家具、衣類、帽子、鞄、靴等の人形用付属品、アクセサリー玩具、ぬいぐるみ、描画玩具、玩具用絵本、ジグソーパズル等のパズル玩具、積木玩具、ブロック玩具、粘土玩具、流動玩具、こま、凧、楽器玩具、料理玩具、鉄砲玩具、捕獲玩具、背景玩具、乗物、動物、植物、建築物、食品等を模した玩具等、
(2)衣類
Tシャツ、トレーナー、ブラウス、ドレス、水着、レインコート、スキーウェア等の被服、靴及び靴紐等の履物、ハンカチ、タオル、風呂敷等の布製身の回り品、手袋、ネクタイ、帽子、スカーフ、マフラー等、
(3)屋内装飾品
カーテン、カーテン紐、テーブル掛け、敷物、クッション、カーペット、ラグ、椅子張り地、シート、マット、額縁、造花、写真立て等、
(4)家具
布団、枕、マットレス等の寝具、照明器具、冷暖房器具等、
(5)装飾品
指輪、腕輪、ティアラ、イヤリング、髪止め、付け爪、リボン、スカーフ、時計、眼鏡等、
(6)文房具類
筆記具、スタンプ具、消しゴム、下敷き、定規、手帳、粘着テープ等、
(7)日用品
口紅、アイシャドー、ファンデーション、アイライナー、アイブロウ、マニキュア、染毛剤、付け爪、付け爪用塗料等の化粧品、歯ブラシ等、
(8)台所用品
コップ、皿、箸、スプーン、フォーク、鍋、フライパン等、
(9)その他
カレンダー、ラベル、カード、記録材、偽造防止用の各種印刷物、絵本等の書籍、鞄、包装用容器、刺繍糸、運動用具、釣り具、コースター、楽器、カイロ、蓄冷剤、財布等の袋物、傘、乗物、建造物、温度検知用インジケーター、教習具等。
以下に実施例を示す。なお、特に断らない限り、実施例中の「部」は、「質量部」を示す。
実施例1
可逆熱変色性組成物の調製
(イ)成分として、2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジ-n-ペンチルアミノフルオラン1部と、(ロ)成分として、N-p-トリルスルホニル-N′-n-ブチルウレア2部と、(ハ)成分として、ステアリルアルコール5部、セチルアルコール20部、ラウリン酸ステアリル25部とを混合して、加温溶解して、黒色から無色に可逆的に色変化する可逆熱変色性組成物を得た。
上記の可逆熱変色性組成物は、繰り返し温度変化させても完全消色温度t以上の温度で消色状態となり、完全発色温度t以下の温度で発色状態となる可逆熱変色機能を有していた。
実施例2~8
可逆熱変色性組成物の調製
(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分の種類と配合量を以下の表1に記載のものに変更した以外は実施例1と同様にして、可逆熱変色性組成物を得た。
得られた各可逆熱変色性組成物は、発色状態から消色状態に可逆的に変化した。各可逆熱変色性組成物の色変化は、表1に記載のとおりである。
上記の各可逆熱変色性組成物はいずれも、繰り返し温度変化させてもt以上の温度で消色状態となり、t以下の温度で発色状態となる可逆熱変色機能を有していた。
Figure 2023066217000015
[変色温度測定]
実施例1~8で得られた各可逆熱変色性組成物を内径1mm、長さ78mmの透明ガラス製毛細管に、毛細管底部から約10mmの高さまで封入し、変色温度測定用試料を得た。
各変色温度測定用試料の、可逆熱変色性組成物を封入した部分全体を透明熱媒体液の中に浸漬し、透明熱媒体液の温度を変化させながら、可逆熱変色性組成物の変色状態を目視で観察して、完全発色温度t、発色開始温度t、消色開始温度t、完全消色温度tを測定し、ΔH〔ヒステリシス幅:(tとtの中間の温度)-(tとtの中間の温度)〕を求めた。得られた結果は、以下の表2に記載のとおりである。
なお、表中の数字は「℃」を示す。
Figure 2023066217000016
実施例9
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として、2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジ-n-ペンチルアミノフルオラン6.5部と、(ロ)成分として、N-p-トリルスルホニル-N′-n-ブチルウレア10部と、(ハ)成分として、カプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50部とを混合して、加温溶解して、黒色から無色に可逆的に色変化する可逆熱変色性組成物を得た。
この可逆熱変色性組成物を、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー35部と、助溶剤40部とからなる混合溶液に投入した後、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、平均粒子径が2.0μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
得られたマイクロカプセル顔料は、黒色から無色に可逆的に色変化した。
また、上記のマイクロカプセル顔料は、繰り返し温度変化させてもt以上の温度で消色状態となり、t以下の温度で発色状態となる可逆熱変色機能を有していた。
実施例10
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として、2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジ-n-ペンチルアミノフルオラン6.5部と、(ロ)成分として、N-p-クロロフェニルスルホニル-N′-n-プロピルウレア10部と、(ハ)成分として、カプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50部とを混合して、加温溶解して、黒色から無色に可逆的に色変化する可逆熱変色性組成物を得た。
この可逆熱変色性組成物を、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー35部と、助溶剤40部とからなる混合溶液に投入した後、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、平均粒子径が2.0μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
得られたマイクロカプセル顔料は、黒色から無色に可逆的に色変化した。
また、上記のマイクロカプセル顔料は、繰り返し温度変化させてもt以上の温度で消色状態となり、t以下の温度で発色状態となる可逆熱変色機能を有していた。
[変色温度測定]
実施例9及び10で得られた各マイクロカプセル顔料40部と、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂エマルション52部と、増粘剤5部と、レベリング剤3部とを混合して可逆熱変色性インキを調製した。上記のインキを用いて上質紙にベタ柄をスクリーン印刷して変色温度測定用試料を得た。
各変色温度測定用試料を、色差計〔東京電色(株)製、製品名:TC-3600〕の測定部分にセットし、試料部分を2℃/minの速度で昇温、降温させ、各温度における色濃度として明度値を測定し、色濃度-温度曲線を作成した。色濃度-温度曲線よりt、t、t、t、ΔHを求めた。得られた結果は、以下の表3に記載のとおりである。
なお、表中の数値は「℃」を示す。
Figure 2023066217000017
応用例1
可逆熱変色性玩具(可逆熱変色性ミニチュアカー)の作製
実施例1の可逆熱変色性組成物10部を、ポリアクリル酸エステル20部と、キシレン40部と、メチルイソブチルケトン30部とからなる油性ビヒクル中に入れ、70℃で加熱しながら20分間攪拌混合して、スプレー塗装に用いられる塗料である可逆熱変色性液状組成物を調製した。
支持体としてABS樹脂を射出成形した白色のミニチュアカーのボディ全体に、上記の塗料を用いて、スプレー塗装を施して乾燥させて可逆熱変色層を設け、可逆熱変色性玩具(可逆熱変色性ミニチュアカー)を作製した。
可逆熱変色性玩具は、室温(25℃)では完全に黒色に発色しており、40℃の温水に浸漬させると可逆熱変色層が消色して黒色から白色に変化した。また、温水から取り出すと、室温(25℃)環境下で再び黒色に変化した。この変化は繰り返し行うことができた。
応用例2
可逆熱変色性複合繊維を用いた毛髪を備えた人形玩具の作製
実施例4の可逆熱変色性組成物5部と、分散剤1部と、融点180℃のナイロン12(94部)と、桃色の一般顔料0.1部とを、エクストルーダ-にて200℃で溶融混合して、芯部用の、ペレット形態である可逆熱変色性成形用樹脂組成物を調製した。
上記のペレットを芯部成形用押出成形機に、ナイロン12ナチュラルペレットを鞘部成形用押出成形機にそれぞれ供給し、複合繊維紡糸装置を用いて芯部:鞘部の体積比が6:4となるように、18孔の吐出孔より200℃で紡出し、外径90μmの単糸18本からなる可逆熱変色性複合繊維を調製した。
さらに、可逆熱変色性複合繊維を常法により人形の頭部に植毛し、可逆熱変色性複合繊維を用いた毛髪を備えた人形玩具を作製した。
人形玩具に備えられる毛髪は、室温(25℃)では完全に黒色に発色しており、40℃の温水に浸漬させると可逆熱変色性複合繊維が消色して黒色から桃色に変化した。また、温水から取り出すと、室温(25℃)環境下で再び黒色に変化した。この変化は繰り返し行うことができた。
応用例3
可逆熱変色性筆記具(可逆熱変色性ボールペン)の作製
実施例9のマイクロカプセル顔料(予め-25℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)25部と、剪断減粘性付与剤(キサンタンガム)0.3部と、尿素10部と、グリセリン10部と、ノニオン系浸透性付与剤〔サンノプコ(株)製、製品名:ノプコSW-WET-366〕0.5部と、変性シリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、製品名:ノプコ8034〕0.1部と、リン酸エステル系界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、製品名:プライサーフAL〕0.5部と、pH調整剤(トリエタノールアミン)0.5部と、防黴剤〔ロンザジャパン(株)製、製品名:プロキセルXL-2〕0.2部と、水52.9部とを混合して、筆記具用インキである可逆熱変色性液状組成物を調製した。
上記の筆記具用インキをポリプロピレン製パイプからなるインキ収容管に吸引充填した後、樹脂製ホルダーを介して、直径0.5mmの超硬製のボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。次いで、インキ収容管の後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填してボールペンレフィルを作製した。上記のレフィルを軸筒内に組み込み、可逆熱変色性ボールペン(出没式可逆熱変色性ボールペン)を得た。
上記のボールペンは、ボールペンレフィルに設けられたチップが外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒の後部側壁に設けられたクリップ形状の出没機構(スライド機構)の作動によって軸筒前端開口部からチップが突出する構造である。なお、軸筒後端部に摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
上記のボールペンを用いて紙面に筆記して黒色の文字(筆跡)を形成したところ、筆跡は、室温(25℃)では黒色を呈しており、摩擦部材を用いて文字を擦過すると、文字は消色して無色となり、この状態は-25℃以下に冷却しない限り維持することができた。なお、紙面を冷凍庫に入れて-25℃以下に冷却すると、再び文字が黒色になる変色挙動を示し、この変色挙動は繰り返し再現することができた。
応用例4
可逆熱変色性スタンプの作製
実施例10のマイクロカプセル顔料(予め-25℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)20部と、グリセリン50部と、アルカリ可溶型アクリルエマルション〔ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製、製品名:プライマルDR73〕1.5部と、トリエタノールアミン0.9部と、ポリビニルピロリドン50%水溶液10部と、シリコーン系消泡剤0.2部と、浸透レベリング剤0.5部と、防腐剤0.2部と、水16.7部とを混合して、スタンプ用インキである可逆熱変色性液状組成物を調製した。
上記のスタンプ用インキを、連続気孔を有する印材に含浸させ、印材の印面が露出するようにスタンプ基材に固着し、キャップを嵌めて可逆熱変色性スタンプを作製した。なお、スタンプ基材の後端部には、摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
上記のスタンプを用いて被押印面(紙面)に繰り返し押しつけると、印材の印面からインキが円滑に流出して被押印面に移り、印像が滲むことなく、明瞭な印像を連続して形成することができた。印像は、室温(25℃)では黒色を呈しており、摩擦部材を用いて擦過すると、印像は消色して無色となり、この状態は-25℃以下に冷却しない限り維持することができた。なお、紙面を冷凍庫に入れて-25℃以下に冷却すると、再び印像が黒色になる変色挙動を示し、この変色挙動は繰り返し再現することができた。
応用例5
可逆熱変色性固形筆記具の作製
実施例9のマイクロカプセル顔料40部と、フィラー35部と、賦形剤〔豊国製油(株)製、製品名:HSクリスタ4100〕10部と、賦形剤〔三洋化成工業(株)製、製品名:サンワックス131-P〕10部と、スチレン-アクリル酸共重合体2部と、ポリビニルアルコール2部と、ヒンダードアミン系光安定剤1部とを、ニーダーにて混練し、内芯用混錬物を調製した。次いで、フィラー69部と、ショ糖脂肪酸エステル10部と、賦形剤10部と、エチレン-酢酸ビニル共重合体10部とを、ニーダーにて混練し、外殻用混錬物を調製した。上記の内芯用混練物が内芯となるように、その外周面に外殻用混練物を巻き付け、プレスにて圧縮成形を行い、外径φ3mm、長さ60mm(内芯がφ2mmであり、外殻の被覆厚が0.5mm)に成形することで、芯鞘構造の固形筆記体を作製した。なお、上記の寸法は設定値であり、圧縮成形後に-25℃まで冷却し、常温に戻すことで可逆熱変色性固形筆記体を製造した。
上記の固形筆記体を、丸形外軸(木軸)内に収納成形することで鉛筆を得た。さらに、鉛筆の後端に、金属製の連結部材を介してSEBS樹脂からなる円柱状摩擦体を固着して摩擦体付可逆熱変色性固形筆記具(摩擦体付可逆熱変色性鉛筆)を作製した。上記の固形筆記具を用いて紙面に筆記して黒色の文字(筆跡)を形成したところ、筆跡は、室温(25℃)では黒色を呈しており、摩擦部材を用いて文字を擦過すると、文字は消色して無色となり、この状態は-25℃以下に冷却しない限り維持することができた。なお、紙面を冷凍庫に入れて-25℃以下に冷却すると、再び文字が黒色になる変色挙動を示し、この変色挙動は繰り返し再現することができた。
応用例6
可逆熱変色性筆記具(可逆熱変色性マーキングペン)の作製
実施例10のマイクロカプセル顔料(予め-25℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)23部を、高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース)〔ダウケミカル日本(株)製、製品名:CELLOSIZE WP-09〕0.4部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン30部と、消泡剤0.01部と、pH調整剤(10%希釈リン酸溶液)0.03部と、水45.76部とからなる水性ビヒクル中に混合し、筆記具用インキである可逆熱変色性液状組成物を調製した。
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に上記の筆記具用インキを含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、軸筒先端部にポリエステル繊維の樹脂加工ペン体(砲弾型)を、樹脂製のホルダーを介して接続状態に組み立て、キャップを装着して可逆熱変色性マーキングペン(キャップ式可逆熱変色性マーキングペン)を作製した。なお、軸筒後端部には摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して黒色の文字(筆跡)を形成したところ、筆跡は、室温(25℃)では黒色を呈しており、摩擦部材を用いて文字を擦過すると、文字は消色して無色となり、この状態は-25℃以下に冷却しない限り維持することができた。なお、紙面を冷凍庫に入れて-25℃以下に冷却すると、再び文字が黒色になる変色挙動を示し、この変色挙動は繰り返し再現することができた。
応用例7
可逆熱変色性積層体(可逆熱変色性記録材)の作製
実施例9のマイクロカプセル顔料40部を、ウレタン樹脂エマルション50部と、レベリング剤3部と、増粘剤1部とからなる水性ビヒクル中に均一混合して、印刷用インキである可逆熱変色性液状組成物を調製した。
支持体として裏面に粘着層を設けた透明ポリエステルフィルム(厚み25μm)の表面に、上記の印刷用インキを、乾燥時の膜厚が約15μmになるようにスクリーン版を用いてベタ印刷を施し、乾燥、硬化させて可逆熱変色層を設けた。さらにその上層にエポキシアクリレートオリゴマーと、ポリエステルアクリレートオリゴマーと、アクリレートモノマーとを含む透明性保護層を設けて紫外線を照射、重合させて可逆熱変色性積層体(可逆熱変色性記録材)を作製した。次いで、上記の記録材を、基材として白色ポリエステルフィルム(厚み188μm)に貼着して、情報表示用カードとして実用に供した。
可逆熱変色性記録材を一旦、-25℃以下に冷却し、可逆熱変色層を完全に黒色に発色させた後、サーマルヘッドを有する感熱プリンターにて文字情報を印字した。
上記の記録材は、黒色の背景に白色の文字情報(抜き文字)が明瞭に表示され、-25℃を超え、71℃未満の温度域に保持されている限り、白色の文字情報が視認された。また、上記の記録材を-25℃以下に冷却して可逆熱変色層を完全に黒色に発色させると、白色の抜き文字は視認されなくなった。この状態から、再度、感熱プリンターを用いて可逆熱変色層に白色の抜き文字を形成することができ、上記の記録材は繰り返し何度も使用することができた。
応用例8
可逆熱変色性印刷物(可逆熱変色性Tシャツ)の作製
実施例10のマイクロカプセル顔料(予め-25℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)30部と、黄色の一般顔料0.1部とを、アクリル系エマルション(固形分45%)60部と、消泡剤0.2部と、粘度調整剤1部と、水8.8部とからなる水性ビヒクル中に均一混合して、印刷用インキである可逆熱変色性液状組成物を調製した。
支持体として白色のTシャツ(綿製)に、上記の印刷用インキを、100メッシュのスクリーン版を用いて多数の星柄を印刷し、乾燥して硬化させて可逆熱変色層を設け、可逆熱変色性印刷物(可逆熱変色性Tシャツ)を作製した。
Tシャツは、室温(25℃)では多数の黒色の星柄がTシャツ表面に視認され、69℃以上に加熱すると可逆熱変色層が消色して、黄色の星柄が視認された。また、-25℃以下に冷却すると再び黒色の星柄が視認された。この変化は繰り返し行うことができた。
また、Tシャツ表面の星柄の一部をアイロン等による加熱で消色させて、任意の星柄のみを変色させたパターンを形成し、Tシャツの柄を任意に変化させることができた。また、その変色状態を室温(25℃)で維持させることができ、Tシャツ全体を69℃以上に加熱して星柄部分を全面変色させた後、-25℃以下に冷却して黒色の星柄を再び出現させることができた。
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
完全消色温度
消色開始温度
発色開始温度
完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅

Claims (14)

  1. (イ)電子供与性呈色性有機化合物と、
    (ロ)電子受容性化合物として、下記式(B)で示される化合物と、
    (ハ)(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体と
    を含んでなる、可逆熱変色性組成物。
    Figure 2023066217000018
    (式中、
    Xは、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかであり、
    Yは、炭素数1~6のアルキル基である)
  2. 前記Xが、メチル基、エチル基、ハロゲン原子のいずれかである、請求項1記載の可逆熱変色性組成物。
  3. 前記Yが、炭素数2~4のアルキル基である、請求項1又は2記載の可逆熱変色性組成物。
  4. 前記(イ)成分1質量部に対して、前記(ロ)成分0.1~100質量部、前記(ハ)成分1~800質量部の範囲で含有されてなる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の可逆熱変色性組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の可逆熱変色性組成物を内包してなる、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
  6. 請求項5記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとを含んでなる、可逆熱変色性液状組成物。
  7. 印刷用インキ、筆記具用インキ、塗布具用インキ、スタンプ用インキ、インクジェット用インキ、塗料、紫外線硬化型インキ、絵の具、化粧料、及び繊維用着色液からなる群から選ばれる、請求項6記載の可逆熱変色性液状組成物。
  8. 請求項7記載の筆記具用インキを収容してなる、筆記具。
  9. 前記筆記具による筆跡を摩擦熱で変色する摩擦部材を備えてなる、請求項8記載の筆記具。
  10. 請求項5記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、賦形剤とを含んでなる、可逆熱変色性塗布用固形成形体。
  11. 固形筆記体又は固形化粧料である、請求項10記載の可逆熱変色性塗布用固形成形体。
  12. 請求項5記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、成形用樹脂とを含んでなる、可逆熱変色性成形用樹脂組成物。
  13. 請求項12記載の可逆熱変色性成形用樹脂組成物を成形してなる、可逆熱変色性成形体。
  14. 支持体と、請求項5記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなる可逆熱変色層とを具備してなる、可逆熱変色性積層体。
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