JP2712273B2

JP2712273B2 - ボールペン用インキ組成物

Info

Publication number: JP2712273B2
Application number: JP10531588A
Authority: JP
Inventors: 裕志宮下
Original assignee: Pentel Co Ltd
Current assignee: Pentel Co Ltd
Priority date: 1988-04-27
Filing date: 1988-04-27
Publication date: 1998-02-10
Anticipated expiration: 2013-02-10
Also published as: JPH01275678A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明はボールペン用インキ組成物に関し、更に詳細
には、長期間保管した後にも、書き出し時のインキの吐
出がスムースで、滑らかな筆記感が得られるボールペン
用インキ組成物に関するものである。

（従来の技術）従来、ボールペン用インキ組成物は、着色剤と樹脂と
有機溶剤とよりなる基本的組成に、インキをスムースに
吐出させ、滑らかな筆記感を得ることを目的として、オ
レイン酸を添加している。

（発明が解決しようとする課題）しかしながら、オレイン酸は銅、亜鉛及び鉛と反応す
る性質を有しているため、銅、亜鉛又は鉛を少なくとも
含む材料で形成したボールペンチップを用いた場合、ボ
ールペンチップを著しく腐食させ、１年程度で筆記がで
きなくなってしまうという欠点を有していた。

そこで、本願発明の目的は、長期間保管した後にも、
書き出し時のインキの吐出がスムースで、滑らかな筆記
感が得られるボールペン用インキ組成物を提供すること
である。

（課題を解決するための手段）本願発明は上記目的に鑑みなしたものであって、着色
剤と樹脂と有機溶剤とより少なくともなるボールペン用
インキ組成物において、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ
油を添加してなることを特徴とするボールペン用インキ
組成物を要旨とするものである。

以下、本発明を詳細に説明する。

着色剤は、従来ボールペン用インキ組成物に用いてい
る染料又は顔料を特に限定なく用いることができ、具体
的には、バリファーストブラック＃1802、＃1805、バリ
ファーストバイオレット＃1701、バリファーストイエロ
ーAUM（以上、オリエント化学工業（株）製）スピロン
オレンジGRH、スピロンレッドBEH、スピロンバイオレッ
トCRH（保土谷化学工業（株）製）スダンブルーIIベー
ス等の油溶性染料、オーラミン、ローダミン、メチルバ
イオレット、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレ
ット、ビクトリアブルーBOH等の塩基性染料のベース等
の染料系着色剤や、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔
料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、塩基性染料系顔
料、酸性染料系顔料、建染染料系顔料、媒染染料系顔料
及び天然染料系顔料等の有機顔料、黄土、バリウム黄、
紺青、カドミウムレッド、硫酸バリウム、酸化チタン、
ベンガラ、鉄黒、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウ
ム、カーボンブラック等の無機顔料等の顔料系着色剤が
挙げられ、これらは単独あるいは混合して使用すること
ができ、ボールペン用インキ組成物全量に対して染料系
着色剤の場合20〜40重量％が、顔料系着色剤の場合５〜
20重量％が好ましい。

樹脂は、上記着色剤の定着剤、インキ組成物の物性調
整剤等の目的で使用するものであって、従来ボールペン
用インキ組成物に用いる染料又は顔料を特に限定なく用
いることができ、具体的には、フェノール樹脂、ケトン
樹脂、アミド樹脂、キシレン樹脂、水添ロジン樹脂、ロ
ジン樹脂、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これら
は単独あるいは混合して使用することができ、ボールペ
ン用インキ組成物全量に対して10〜30重量％が好まし
い。

有機溶剤は、ボールペン用インキ組成物としての種々
の品質、即ち、着色剤の溶媒及び／又は分散媒かつ樹脂
の溶剤、ペン先でのインキ乾燥防止、低温時でのインキ
凍結防止等用として使用するものであり、従来ボールペ
ン用インキ組成物に用いている有機溶剤を特に限定なく
用いることができ、具体的には、ベンジルアルコール、
フェノキシエタノール等のアルコール類、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル等のグリコールエーテル類や、Ｎ−メチ
ル−２−ピロリドン等が単独あるいは混合して用いら
れ、使用量はボールペン用インキ組成物全量に対して40
〜70重量％が好ましい。

本発明の骨子である、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ
油は、製造時は勿論、長期保管後においても、書き出し
時のインキの吐出がスムースで、滑らかな筆記感が得ら
れるボールペン用インキ組成物と成すために用いるもの
であって、具体的には、HCO-5,HCO-20,HCO-30,HCO-40,H
CO-50,HCO-75（以上、日光ケミカルズ（株）製）等が単
独あるいは混合して用いられ、使用量は、ボールペン用
インキ組成物全量に対して0.5〜5.0重量％が好ましい。

又、本発明のボールペン用インキ組成物は、上記必須
成分の他に、必要に応じて、従来公知の界面活性剤、分
散剤、防腐剤、防錆剤、潤滑剤等を適宜選択してもよ
い。

本発明に係るボールペン用インキ組成物を得るために
は、上記成分を攪拌・混合することによって容易に得ら
れるが、特に、着色剤として顔料を用いた場合には、分
散機を用いて、分散・混合することが必要であり、更
に、必要に応じて、顔料等の粗大粒子を、濾過や遠心等
で取り除くこともできる。

（作用）本発明に係るボールペン用インキ組成物が何故長期間
保管した後にも、書き出し時のインキの吐出がスムース
で、滑らかな筆記感が得られるのかについては以下のよ
うに推察される。

即ち、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、従来のボ
ールペンインキ組成物に用いられているオレイン酸のよ
うに銅、亜鉛及び鉛を腐食することが無く、又、ボール
ペンチップのボール表面に吸着して、インキの乾燥によ
るボールとソケットとの接着を防ぐ作用をし、そのため
書き出し時にボールがすぐ回転し、書き出し時のインキ
の吐出がスムースで、滑らかな筆記感が得られる。

（実施例）以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、
実施例、比較例中の「部」は「重量部」を示す。

実施例１バリファストブラック＃3804 10.0部バリファストバイオレット＃1701 20.0部バリファストイエローAUM 5.0部ハイラック110H 14.0部（ケトン樹脂、日立化成（株）製）ポリビニルピロリドンK-90 0.5部ベンジルアルコール 10.0部フェノキシエタノール 40.0部 HCO-10 1.0部（ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ
（株）製）上記成分を100℃にて１時間加熱混合し、固形分を溶
解した後、濾過により少量の不溶解分を除去し、黒色ボ
ールペン用インキ組成物を得た。

実施例２アイゼンスピロンブラックGSHスペシャル 10.0部（保土谷化学化学工業（株）製）メチルバイオレットベース 5.0部ポリビニルピロリドンK-90 0.5部ポリビニルピロリドンK-30 4.0部ハイラック110 10.0部（ケトン樹脂、日立化成（株）製）ベンジルアルコール 5.0部フェノキシエタノール 38.0部イソホロン 5.0部 HCO-20 1.0部（ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ
（株）製）上記成分を実施例１と同様になして黒色ボールペン用
インキ組成物を得た。

比較例１上記実施例１中、HCO-10の代わりに、オレイン酸を加
えた以外は、実施例１と同様になし黒色ボールペン用イ
ンキ組成物を得た。

（発明の効果）上記実施例１〜２、比較例１で得たボールペン用イン
キ組成物を、従来一般に用いられているボールペン（ポ
リプロピレン製インキチューブ、SUS416快削ステンレス
製チップ、タングステンカーバイド製0.7mmφボール使
用）に充填し、製造直後及び長期間保管後で筆記試験を
行なった。

結果を表１に示す。

以上詳細に説明したように、本発明に係るボールペン
用インキ組成物は、ボール及び／又はボールペンチップ
に対する腐食性を有していないので、経時的な変化によ
る筆記不能といった不具合点の生じない、ボールペン用
インキ組成物である。

尚、本願発明に係るボールペン用インキ組成物につい
ては、快削ステンレス製のボールペンチップについて説
明したが、黄銅等の材質を用いたものにも使用可能であ
る、即ち、使用し得るボールチップの材質に限定は無い
こと勿論である。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】着色剤と樹脂と有機溶剤とより少なくとも
なるボールペン用インキ組成物において、ポリオキシエ
チレン硬化ヒマシ油を添加してなることを特徴とするボ
ールペン用インキ組成物。