JP2005075893A - 油性マーキングペン用インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ホワイトボードなどの筆記板用に好適な油性マーキングペン用インキ組成物に関し、更に詳しくは、筆記板の材質などの種類によらず筆記性、消去性に優れた油性マーキングペン用インキ組成物を提供する。
【解決手段】 少なくとも着色剤と、低級アルコールと、該低級アルコールに可溶なポリビニルブチラールと、脂肪族一塩基酸エステル及び/又は脂肪族ニ塩基酸エステルと、HLBの差が1以上の異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルとを含有してなることを特徴とする油性マーキングペン用インキ組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 少なくとも着色剤と、低級アルコールと、該低級アルコールに可溶なポリビニルブチラールと、脂肪族一塩基酸エステル及び/又は脂肪族ニ塩基酸エステルと、HLBの差が1以上の異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルとを含有してなることを特徴とする油性マーキングペン用インキ組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ホワイトボードなどの筆記板用に好適な油性マーキングペン用インキ組成物に関し、更に詳しくは、筆記板の材質などの種類によらず筆記性、消去性に優れた油性マーキングペン用インキ組成物に関する。
従来より、プラスチック板、金属板、セラミック板、ガラス板、ホーロー板、その他各種の材質により構成された筆記板に筆記した後、乾いた布などで軽く擦過することにより容易に消去可能な油性マーキングペン用インキ組成物は、数多くのものが知られている。
これらのマーキングペン用インキ組成物において、消去性を向上させるために、リン酸エステル誘導体等を添加することが知られている。例えば、顔料、樹脂、溶剤及び添加剤からなる拭き消し可能な筆記板用マーキングインキにおいて、添加剤として脂肪族ニ塩基酸エステルと、分子量1000〜5000の燐酸エステル、炭素数12以下の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドからなる群から選ばれる物質と、全炭素数20以上の脂肪族一塩基酸の脂肪族アルコールエステルの3種を併用してなる筆記板用マーキングインキが知られ、実施例中には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルの単独での添加剤が示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、顔料と、低級アルコールと、該低級アルコールに可溶な樹脂と、不飽和カルボン酸の、炭素数7以下のアルキルエステルと、リン酸エステル、亜リン酸エステル又はそれらの塩とを少なくとも含むマーキングインキ組成物が知られ、実施例中には、オキシエチレン基を含まないアルキル基からなるリン酸エステル(リン酸ジブチルとリン酸物ブチル)の併用が示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、顔料と、低級アルコールと、該低級アルコールに可溶な樹脂と、不飽和カルボン酸の、炭素数7以下のアルキルエステルと、リン酸エステル、亜リン酸エステル又はそれらの塩とを少なくとも含むマーキングインキ組成物が知られ、実施例中には、オキシエチレン基を含まないアルキル基からなるリン酸エステル(リン酸ジブチルとリン酸物ブチル)の併用が示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、これらの特許文献1及び2等に記載される筆記板用に好適なマーキングインキ組成物は、初期的な消去性が良好でも、経時的な消去性が不十分であぅたり、筆記板の材質種などによっては、初期、経時的の両方に対して不十分であったりして、未だどの種類の筆記板に対しても良好な筆記性を有し、更に、初期、経時的の両方に対して良好な消去性を有する油性マーキングペン用インキ組成物が切望されているのが現状である。
特公昭62−9149号公報(特許請求の範囲、実施例等)
特開平7−292308号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、どの種類の筆記板に対しても優れた筆記性を有し、かつ、初期、経時的の両方に対しても良好な消去性を有する油性マーキングペン用インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等を解決するために、鋭意検討した結果、少なくとも着色剤と、低級アルコールと、該低級アルコールに可溶な樹脂と、脂肪族一塩基酸エステル及び/又は脂肪族ニ塩基酸エステルと、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルとを含有せしめることにより、上記目的の油性マーキングペン用インキ組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) 少なくとも着色剤と、低級アルコールと、該低級アルコールに可溶な樹脂と、脂肪族一塩基酸エステル及び/又は脂肪族ニ塩基酸エステルと、HLBの差が1以上の異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルとを含有してなることを特徴とする油性マーキングペン用インキ組成物。
(2) 2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルにおける一方のHLB値が5〜9であり、他方のHLB値が10〜16である上記(1)記載の油性マーキングペン用インキ組成物。
(3) 2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルの合計含有量がインキ組成物全量に対して、0.3重量%〜5重量%である上記(1)又は(2)記載の油性マーキングペン用インキ組成物。
(1) 少なくとも着色剤と、低級アルコールと、該低級アルコールに可溶な樹脂と、脂肪族一塩基酸エステル及び/又は脂肪族ニ塩基酸エステルと、HLBの差が1以上の異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルとを含有してなることを特徴とする油性マーキングペン用インキ組成物。
(2) 2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルにおける一方のHLB値が5〜9であり、他方のHLB値が10〜16である上記(1)記載の油性マーキングペン用インキ組成物。
(3) 2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルの合計含有量がインキ組成物全量に対して、0.3重量%〜5重量%である上記(1)又は(2)記載の油性マーキングペン用インキ組成物。
本発明によれば、どの種類の筆記板に対しても優れた筆記性を有し、かつ、初期、経時的の両方に対しても良好な消去性を有する油性マーキングペン用インキ組成物が提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の油性マーキングペン用インキ組成物は、少なくとも着色剤と、低級アルコールと、該低級アルコールに可溶な樹脂と、脂肪族一塩基酸エステル及び/又は脂肪族ニ塩基酸エステルと、HLBの差が1以上の異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルとを含有してなることを特徴とするものである。
本発明の油性マーキングペン用インキ組成物は、少なくとも着色剤と、低級アルコールと、該低級アルコールに可溶な樹脂と、脂肪族一塩基酸エステル及び/又は脂肪族ニ塩基酸エステルと、HLBの差が1以上の異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルとを含有してなることを特徴とするものである。
本発明に用いる着色剤としては、従来より筆記板用などに用いられる着色剤であれば、特に限定されず、慣用されている顔料、染料が挙げられる。
顔料としては、例えば、アゾ系顔料、縮合ポリアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、金属錯塩顔料、チオインジゴ顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等の有機顔料及びカーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料が挙げられ、更に、表面を樹脂コーティングで加工した加工顔料、例えば、マイクロリスAタイプ各種、ASブラック、ASブルー、IKレッド等も使用することができる。
また、染料としては、例えば、油溶性染料、スピリットソルブル染料等のソルベント染料、ロイコ染料などを挙げることができる。
これらの着色剤は、単独で又は2種以上混合して使用することもでき、その含有量は着色剤の種類や他のインキ成分により異なるが、インキ組成物全量に対して、好ましくは、1〜30重量%(以下、単に、「%」という)、更に好ましくは、2〜15%が望ましい。
顔料としては、例えば、アゾ系顔料、縮合ポリアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、金属錯塩顔料、チオインジゴ顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等の有機顔料及びカーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料が挙げられ、更に、表面を樹脂コーティングで加工した加工顔料、例えば、マイクロリスAタイプ各種、ASブラック、ASブルー、IKレッド等も使用することができる。
また、染料としては、例えば、油溶性染料、スピリットソルブル染料等のソルベント染料、ロイコ染料などを挙げることができる。
これらの着色剤は、単独で又は2種以上混合して使用することもでき、その含有量は着色剤の種類や他のインキ成分により異なるが、インキ組成物全量に対して、好ましくは、1〜30重量%(以下、単に、「%」という)、更に好ましくは、2〜15%が望ましい。
本発明に用いる樹脂は、溶剤として使用する低級アルコールに可溶な樹脂であり、被膜形成剤、被塗布面への付着剤、インキの粘度調整剤、更に、着色剤の分散剤として使用するものであり、従来より使用されている各種の天然樹脂、合成樹脂が使用でき、例えば、ロジン、エステルガム、マレイン酸変成ロジン、フェノール変成ロジン等のロジン系樹脂、エチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂、石油系樹脂、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、アルデヒドと尿素の縮合物、マレイン酸樹脂等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することが可能であり、その含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、0.1〜30%、更に好ましくは、1〜20%が望ましい。
特に、樹脂としては、インキの低粘度を実現するためや、経時的な消去性を良好にする点から、好ましくは、平均重合度200〜1000のポリビニルブチラールが望ましく、例えば、#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#4000−2(以上、電気化学工業社製)、BL−10、BL−1、BL−2、BL−3、BL−S、BL−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S(以上、積水化学工業社製)などを用いることができる。
特に、樹脂としては、インキの低粘度を実現するためや、経時的な消去性を良好にする点から、好ましくは、平均重合度200〜1000のポリビニルブチラールが望ましく、例えば、#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#4000−2(以上、電気化学工業社製)、BL−10、BL−1、BL−2、BL−3、BL−S、BL−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S(以上、積水化学工業社製)などを用いることができる。
本発明に用いる低級アルコールは、溶剤として使用するものであり、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコ−ル、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール等が挙げられる。
これらの低級アルコールは、夫々単独で又は2種以上混合して使用することが可能であり、その含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、50〜90%、更に好ましくは、70〜85%が望ましい。
これらの低級アルコールは、夫々単独で又は2種以上混合して使用することが可能であり、その含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、50〜90%、更に好ましくは、70〜85%が望ましい。
本発明に用いる脂肪族二塩基酸エステル、脂肪族一塩基酸エステルは、剥離剤として含有するものである。
脂肪族二塩基酸エステル又は脂肪族一塩基酸エステルとしては、例えば、オクタン酸セチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸ステアリル、オクタン酸イソステアリル、ネオデカン酸イソオクチルドデシル、ラウリル酸イソステアリル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソオクチル、ドデカン二酸ジオクチル、アジピン酸ジプロピル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジオクチル、ビス(2−エチルへキシル)セバケート、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、ビス(2−エチルへキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルセバケート、ジエチルサクシネート等が挙げられ、好ましくは、経時的な消去性、並びに、消去時の汚れ防止の点から、セバシン酸ジオクチル(DOS)、イソオクタン酸セチル、ビス(2−エチルへキシル)セバケート、ミリスチン酸イソセチル、ジブチルセバケート、ビス(2−エチルへキシル)アジペートが望ましい。
これらは単独で又は2種以上混合して使用することができる。
脂肪族二塩基酸エステル又は脂肪族一塩基酸エステルとしては、例えば、オクタン酸セチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸ステアリル、オクタン酸イソステアリル、ネオデカン酸イソオクチルドデシル、ラウリル酸イソステアリル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソオクチル、ドデカン二酸ジオクチル、アジピン酸ジプロピル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジオクチル、ビス(2−エチルへキシル)セバケート、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、ビス(2−エチルへキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルセバケート、ジエチルサクシネート等が挙げられ、好ましくは、経時的な消去性、並びに、消去時の汚れ防止の点から、セバシン酸ジオクチル(DOS)、イソオクタン酸セチル、ビス(2−エチルへキシル)セバケート、ミリスチン酸イソセチル、ジブチルセバケート、ビス(2−エチルへキシル)アジペートが望ましい。
これらは単独で又は2種以上混合して使用することができる。
これらの含有量は、インキ組成物全量に対して、4〜20%、好ましくは、5〜16%、更に好ましくは、6〜14%とすることが望ましい。
この含有量が4%未満であると、消去性が不十分となり、また、20%を越えると、白化現象が起こったり、インキの経時安定性が悪くなったりするなどとなり、好ましくない。
この含有量が4%未満であると、消去性が不十分となり、また、20%を越えると、白化現象が起こったり、インキの経時安定性が悪くなったりするなどとなり、好ましくない。
本発明に用いるポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテルのリン酸エステルは、HLBの差が1以上の異なる2種類以上を用いることが必要であり、この特性のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルを併用することにより、どの種類の筆記板に対して、初期、経時的の両方に対しても良好な消去性を発揮せしめるものである。
なお、本発明において、「HLBの差が1以上の異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル」とは、HLBの差が1以上となるものであれば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルが同種(同じ化合物)であっても異種(異なる化合物)であってもよく、また、このHLBの差が1以上となるものが少なくとも2種類含まれているものをいう。
用いることができるポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルとしては、HLBの差が1以上の異なる2種類以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルであれば、特に限定されないが、初期、経時的の両方に対しても更に良好な消去性を発揮せしめる点から、好ましくは、一方のHLB値が5〜9であり、他方のHLB値が10〜16である2種類以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルが挙げられる。
なお、本発明において、「HLBの差が1以上の異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル」とは、HLBの差が1以上となるものであれば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルが同種(同じ化合物)であっても異種(異なる化合物)であってもよく、また、このHLBの差が1以上となるものが少なくとも2種類含まれているものをいう。
用いることができるポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルとしては、HLBの差が1以上の異なる2種類以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルであれば、特に限定されないが、初期、経時的の両方に対しても更に良好な消去性を発揮せしめる点から、好ましくは、一方のHLB値が5〜9であり、他方のHLB値が10〜16である2種類以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルが挙げられる。
具体的には、ポリオキシエチレンオレイルエーテルのリン酸エステル〔市販品ではフォスファノール RB−410(HLB8.6)、東邦化学工業社製〕、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜15)エーテルのリン酸エステル〔市販品ではフォスファノール RS−710(HLB13.3)、フォスファノール RS−410(HLB9.0)、以上東邦化学工業社製〕、ポリオキシエチレンアルキル(あるいはアリル)エーテルのリン酸エステル〔市販品ではプライサーフA208S(HLB7.0)、プライサーフA215C(HLB11.5)、以上、第一工業製薬社製〕、トリPOE(5)セチルエーテルのリン酸エステル〔市販品ではNIKKOL TCP−5(HLB10.0)、日光ケミカルズ社製〕、トリPOE(4)ラウリルエーテルのリン酸エステル〔市販品ではNIKKOL TLP−4(HLB13.0)、日光ケミカルズ社製〕などを用いることができ、これらの中でHLBの差が1以上となる2種類以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、更に好ましくは、一方のHLB値が5〜9であり、他方のHLB値が10〜16である2種類以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルを用いることができる。
また、異なるポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル(A:B)の配合比としては、初期、経時的の両方に対しても更に良好な消去性を発揮せしめる点から、重量比でA:Bが20/1〜1/20とすることが望ましい。
また、異なるポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル(A:B)の配合比としては、初期、経時的の両方に対しても更に良好な消去性を発揮せしめる点から、重量比でA:Bが20/1〜1/20とすることが望ましい。
これらのポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルの合計含有量は、インキ組成物全量に対して、0.3〜5%、更に好ましくは、0.5%〜3.5%が望ましい。
このHLBの異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルの合計含有量が0.3%未満では、本発明の効果を発揮することができず、また、5%超過では、消去時に汚れが発生したり、経時的な消去性が低下したりするなどして好ましくない。
このHLBの異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルの合計含有量が0.3%未満では、本発明の効果を発揮することができず、また、5%超過では、消去時に汚れが発生したり、経時的な消去性が低下したりするなどして好ましくない。
本発明では、上記各成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分(添加剤)を含有することができる。筆記板用などの油性マーキングペン用インキ組成物の任意成分としては、例えば、アニオン系、ノニオン系、カチオン系などの界面活性剤、乾燥防止剤、防錆剤、防黴剤などを適宜必要に応じて含有することができる。
このように構成される本発明の油性マーキングペン用インキ組成物では、少なくとも着色剤と、低級アルコールと、該低級アルコールに可溶な樹脂と、脂肪族一塩基酸エステル及び/又は脂肪族ニ塩基酸エステルと、HLBの異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルとを含有することにより、初めて、どの種類の筆記板に対しても優れた筆記性を有し、かつ、初期、経時的の両方に対しても良好な消去性を有するものとなる。
このHLBの異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルを含有する本発明の油性マーキングペン用インキ組成物が何故、初期、経時的にも優れた消去性が得られる理由としては以下のように推察される。
すなわち、低級アルコールに溶解するリン酸エステルのなかでもHLB値が5〜9のように低いものは、ポリビニルブチラー類等の樹脂を良く可塑化し、軽いタッチでの消去を可能とする。しかしながら、このようなものは、インキから、特にプラスチック製のボードにマイグレーション(描線中に含まれるリン酸エステルが、ボードの基材内部に移行する)を起こし易く、経時的に消去不良を起こすこととなる。また、HLB値が10〜16のように高いものは、ポリビニルブチラー類等の樹脂の可塑化は若干不十分であるが、筆記板(ボード)表面に対し、インキを適度にはじかせ、また、大気中の水分を吸収することにより1ヵ月以上描線を放置したあとでの消去性も良好とするものである。更に、異なる2つのリン酸エステルのHLB値の差が1以内になると、性質が同質となり、消去性は初期のものだけ良好になったり、初期、経時とも消去し難いものとなったりする傾向がある。
すなわち、低級アルコールに溶解するリン酸エステルのなかでもHLB値が5〜9のように低いものは、ポリビニルブチラー類等の樹脂を良く可塑化し、軽いタッチでの消去を可能とする。しかしながら、このようなものは、インキから、特にプラスチック製のボードにマイグレーション(描線中に含まれるリン酸エステルが、ボードの基材内部に移行する)を起こし易く、経時的に消去不良を起こすこととなる。また、HLB値が10〜16のように高いものは、ポリビニルブチラー類等の樹脂の可塑化は若干不十分であるが、筆記板(ボード)表面に対し、インキを適度にはじかせ、また、大気中の水分を吸収することにより1ヵ月以上描線を放置したあとでの消去性も良好とするものである。更に、異なる2つのリン酸エステルのHLB値の差が1以内になると、性質が同質となり、消去性は初期のものだけ良好になったり、初期、経時とも消去し難いものとなったりする傾向がある。
従って、少なくとも着色剤と、低級アルコールと、該低級アルコールに可溶な樹脂と、脂肪族一塩基酸エステル及び/又は脂肪族ニ塩基酸エステルと、HLBの差が1以上の異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルとを含有する油性マーキングペン用インキ組成物とすることにより、どの種類の筆記板に対しても優れた筆記性を有し、かつ、初期、経時的の両方に対しても良好な消去性を発揮せしめることができものとなり、用いるポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルの一方のHLB値が5〜9であり、他方のHLB値が10〜16である2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルでは、上記どの種類の筆記板に対しても更に優れた筆記性を有し、かつ、初期、経時的の両方に対しても更に良好な消去性を発揮せしめることができものとなる。
次に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定うるものではない。
〔実施例1〜6及び比較例1〜4〕
下記表1に示す配合組成により、各油性マーキングペン用インキ組成物を調製した。
得られた各油性マーキングペン用インキ組成物について、下記方法により、ホーロー製の筆記板(45×30cm)、PP製の筆記板A(45×30cm)、PP製の筆記板BA(45×30cm)、メラミン製の筆記板(60×45cm)、マグネットシートタイプの筆記板(55×40cm)、シリコーン製の筆記板(60×45cm)の6種類の筆記板に対する筆記性、初期消去性、1ヵ月後の消去性について評価した。なお、PP製の筆記板AとPP製の筆記板Bとは、表面を構成するPPフィルムの透明度が相違するものである。また、マグネットシートタイプの筆記板は、ポリシロキサン変性コートフィルムと板磁石から構成されるものである。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
下記表1に示す配合組成により、各油性マーキングペン用インキ組成物を調製した。
得られた各油性マーキングペン用インキ組成物について、下記方法により、ホーロー製の筆記板(45×30cm)、PP製の筆記板A(45×30cm)、PP製の筆記板BA(45×30cm)、メラミン製の筆記板(60×45cm)、マグネットシートタイプの筆記板(55×40cm)、シリコーン製の筆記板(60×45cm)の6種類の筆記板に対する筆記性、初期消去性、1ヵ月後の消去性について評価した。なお、PP製の筆記板AとPP製の筆記板Bとは、表面を構成するPPフィルムの透明度が相違するものである。また、マグネットシートタイプの筆記板は、ポリシロキサン変性コートフィルムと板磁石から構成されるものである。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
(筆記性の試験方法)
25℃−湿度65%条件下で、各筆記板に下記構成のマーキングペンを用いて筆記し、筆記性を目視にて下記評価基準で官能評価した。
マーキングペン構成:各マーキングペン用インキ組成物を5g充填したインキ吸蔵体と、ペン先としてポリエステル繊維芯とを備えたマーキングペン(中綿タイプの筆記具)を用いた。
評価基準:
○:かすれずに書ける。
△:描線の一部にかすれが見られる。
×:著しくかすれる。
25℃−湿度65%条件下で、各筆記板に下記構成のマーキングペンを用いて筆記し、筆記性を目視にて下記評価基準で官能評価した。
マーキングペン構成:各マーキングペン用インキ組成物を5g充填したインキ吸蔵体と、ペン先としてポリエステル繊維芯とを備えたマーキングペン(中綿タイプの筆記具)を用いた。
評価基準:
○:かすれずに書ける。
△:描線の一部にかすれが見られる。
×:著しくかすれる。
(消去性の試験方法)
インキの消去性の試験は、各筆記板に上記構成のマーキングペンを用いて25℃−湿度65%条件下で筆記した後、直ぐに、または、上記条件下で1ヵ月経過後に、乾いた布をもって筆記した部分を軽く拭き、その消去性を目視で下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
○:完全に消去できる。
△:描線の一部が消去できず残る。
×:描線の半分以上が消去できず残る。
インキの消去性の試験は、各筆記板に上記構成のマーキングペンを用いて25℃−湿度65%条件下で筆記した後、直ぐに、または、上記条件下で1ヵ月経過後に、乾いた布をもって筆記した部分を軽く拭き、その消去性を目視で下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
○:完全に消去できる。
△:描線の一部が消去できず残る。
×:描線の半分以上が消去できず残る。
上記表1中の*1〜*9は、下記のとおりである。
*1:カーボンブラック(#100、三菱化学社製)
*2:平均重合度450のポリビニルブチラール(BL−2、積水化学社製)
*3:プライサーフA208S(HLB7.0)、第一工業製薬社製
*4:プライサーフA215C(HLB11.5)、第一工業製薬社製
*5:フォスファノール RB−410(HLB8.6)、東邦化学工業社製
*6:フォスファノール RS−710(HLB13.3)、東邦化学工業社製
*7:NIKKOL TCP−5(HLB10.0)、日光ケミカルズ社製
*8:NIKKOL TLP−4(HLB13.0)、日光ケミカルズ社製
*9:フォスファノール RS−410(HLB9.0)、東邦化学工業社製
*1:カーボンブラック(#100、三菱化学社製)
*2:平均重合度450のポリビニルブチラール(BL−2、積水化学社製)
*3:プライサーフA208S(HLB7.0)、第一工業製薬社製
*4:プライサーフA215C(HLB11.5)、第一工業製薬社製
*5:フォスファノール RB−410(HLB8.6)、東邦化学工業社製
*6:フォスファノール RS−710(HLB13.3)、東邦化学工業社製
*7:NIKKOL TCP−5(HLB10.0)、日光ケミカルズ社製
*8:NIKKOL TLP−4(HLB13.0)、日光ケミカルズ社製
*9:フォスファノール RS−410(HLB9.0)、東邦化学工業社製
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜6は、本発明の範囲外となる比較例1〜4に較べて、6種類の全ての筆記板に対して優れた筆記性を有し、かつ、初期、経時的の両方に対しても良好な消去性を発揮せしめることが判明した。
Claims (3)
- 少なくとも着色剤と、低級アルコールと、該低級アルコールに可溶な樹脂と、脂肪族一塩基酸エステル及び/又は脂肪族ニ塩基酸エステルと、HLBの差が1以上の異なる2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルとを含有してなることを特徴とする油性マーキングペン用インキ組成物。
- 2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルにおける一方のHLB値が5〜9であり、他方のHLB値が10〜16である請求項1記載の油性マーキングペン用インキ組成物。
- 2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルの合計含有量がインキ組成物全量に対して、0.3重量%〜5重量%である請求項1又は2記載の油性マーキングペン用インキ組成物。
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2003
- 2003-08-29 JP JP2003306509A patent/JP2005075893A/ja not_active Withdrawn
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