JP2004107517A - 筆記板用マーキングインキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】筆跡の白化現象を防止して、優れたインキの経時安定性を発揮せしめると共に、鮮明な描線を与えるホワイトボードなどの筆記板用に好適な筆記板用マーキングインキ組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも着色剤、樹脂、溶剤、二塩基酸エステル又は一塩基酸エステル、無機塩類を含有してなることを特徴とする筆記板用マーキングインキ組成物。
前記無機塩の含有量は、インキ組成物全量に対して、0.05重量%〜10重量%が好ましい。
また、前記無機塩類としては、例えば、塩化カルシウム、塩化カルシウムニ水和物、塩化カルシウム六水和物、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも着色剤、樹脂、溶剤、二塩基酸エステル又は一塩基酸エステル、無機塩類を含有してなることを特徴とする筆記板用マーキングインキ組成物。
前記無機塩の含有量は、インキ組成物全量に対して、0.05重量%〜10重量%が好ましい。
また、前記無機塩類としては、例えば、塩化カルシウム、塩化カルシウムニ水和物、塩化カルシウム六水和物、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホワイトボードなどの筆記板用に好適なマーキングインキ組成物に関し、更に詳しくは、筆跡の白化現象を防止すると共に、インキの経時安定性に優れ、しかも、鮮明な描線を与える筆記板用マーキングインキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より筆記板用マーキングインキ組成物には、筆跡が速乾性となるようにエタノール等の揮発性の溶剤が用いられているが、筆跡の白化現象という問題点を有している。この白化現象は、高湿度下等において、筆記されたインキが乾燥するまで空気中の水分を吸収することによってインキ中の溶剤に溶解している樹脂成分による皮膜がひび割れを生じて、筆跡が隠蔽性を喪失することによって起こるものであると考えられている。
【0003】
この白化現象を防止する筆記板用マーキングインキ組成物としては、着色剤、樹脂、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル及び有機溶剤を含有してなるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、顔料と、低級アルコールと、平均重合度600〜1000のポリビニルブチラ−ルと、平均重合度300〜500のポリビニルブチラ−ルとを少なくとも含む筆記板用マーキングインキ組成物も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開8−157763号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特開2000−160088号公報(特許請求の範囲等)
【0005】
しかしながら、これらの特許文献1及び2等に記載される筆記板用マーキングインキ組成物では、却って描線の乾燥性が悪くなったりし、また、白化防止が未だ不充分であったりするなどの課題を抱えているのが現状である。
【0006】
一方、従来の筆記板用マーキングインキ組成物には、消去性の向上を目的として、着色剤として染料を使用し、水及び/又は各種有機溶剤の少なくとも1種を溶媒とし、これらの中に各種塩類のうち吸湿性が高い塩類を混合して溶解し、更に必要に応じて天然又は合成の高分子物質を添加してなるものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
【特許文献3】
特公昭46−40294号公報(特許請求の範囲、第4頁右欄等)
【0008】
しかしながら、この特許文献3等に記載される筆記板用マーキングインキ組成物は、ニ塩基酸エステルなどの剥離剤を含有するものではなく、かつこの剥離剤を用いることによる白化現象を防止するものでもなく、しかも、用いる塩類は吸湿剤として用いることにより、筆記板上に得られた筆跡に適度の湿性を保有又は吸湿保持させて、筆跡を乾いた布や紙を擦過することによって容易に消去するための消去性を向上させる目的での添加であり、本願発明とはその目的、構成等を含む技術思想が全く相違するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、筆跡の白化現象を防止すると共に、インキの経時安定性に優れ、しかも、鮮明な描線を与える筆記板用マーキングインキ組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来の課題等について鋭意検討した結果、少なくとも着色剤、樹脂、溶剤を含有する筆記板用マーキングインキ組成物において、剥離剤として二塩基酸エステル又は一塩基酸エステルを用いると共に、更に、特定の成分を含有することによって、上記目的の筆記板用マーキングインキ組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) 少なくとも着色剤と、樹脂と、溶剤と、二塩基酸エステル及び/又は一塩基酸エステルと、無機塩類とを含有してなることを特徴とする筆記板用マーキングインキ組成物。
(2) 前記無機塩類が、インキ組成物全量に対して、0.05重量%〜10重量%である上記(1)記載の筆記板用マーキングインキ組成物。
(3) 前記無機塩類が塩化カルシウム、塩化カルシウムニ水和物、塩化カルシウム六水和物、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物から選ばれる少なくとも1種である上記(1)又は(2)記載の筆記板用マーキングインキ組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の筆記板用マーキングインキ組成物は、少なくとも着色剤と、樹脂と、溶剤と、二塩基酸エステル及び/又は一塩基酸エステルと、無機塩類とを含有してなることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に用いる着色剤としては、従来より筆記板用マーキングインキ組成物に用いられる着色剤であれば、特に限定されず、慣用されれている顔料、染料が挙げられる。
染料としては、例えば、油溶性染料、スピリットソルブル染料等のソルベント染料、ロイコ染料などを挙げることができる。
また、顔料としては、例えば、アゾ系顔料、縮合ポリアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、金属錯塩顔料、チオインジゴ顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等の有機顔料及びカーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料が挙げられ、更に、表面を樹脂コーティングで加工した加工顔料、例えば、マイクロリスAタイプ各種、ASブラック、ASブルー、IKレッド等も使用することができる。
これらの着色剤は、単独で又は2種以上混合して使用することもでき、その含有量は着色剤の種類や他のインキ成分により異なるが、インキ組成物全量に対して、好ましくは、1〜30重量%(以下、単に、「%」という)、更に好ましくは、2〜15%が望ましい。
【0013】
本発明に用いる樹脂は、溶剤に可溶な樹脂であり、被膜形成剤、被塗布面への付着剤、インキの粘度調整剤、更に、着色剤の分散剤として使用するものであり、従来より使用されている各種の天然樹脂、合成樹脂が使用でき、例えば、ロジン、エステルガム、マレイン酸変成ロジン、フェノール変成ロジン等のロジン系樹脂、エチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂、石油系樹脂、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、アルデヒドと尿素の縮合物、マレイン酸樹脂等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することが可能であり、その含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、0.1〜30%、更に好ましくは、1〜20%が望ましい。
【0014】
本発明に用いる溶剤としては、例えば、エチルアルコ−ル、プロピルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル等の低級アルコールや、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の低級脂肪族ケトンや、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸の低級アルコールエステルや、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素や、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素やグリコールのアルキルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル等が挙げられる。
これらの特性を有する溶剤は、夫々単独で又は2種以上混合して使用することが可能であり、その含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、50〜90%、更に好ましくは、70〜85%が望ましい。
【0015】
本発明に用いる二塩基酸エステル、一塩基酸エステルは、剥離剤として含有するものである。
二塩基酸エステル又は一塩基酸エステルとしては、例えば、オクタン酸セチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸ステアリル、オクタン酸イソステアリル、ネオデカン酸イソオクチルドデシル、ラウリル酸イソステアリル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソオクチル、ドデカン二酸ジオクチル、アジピン酸ジプロピル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジオクチル、ビス(2−エチルへキシル)セバケート、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、ビス(2−エチルへキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルセバケート、ジエチルサクシネート等が挙げられ、好ましくは、耐白化性、初期の消去性、経時的な消去性等の点から、イソオクタン酸セチル、ビス(2−エチルへキシル)セバケート、ミリスチン酸イソセチル、ジブチルセバケート、ビス(2−エチルへキシル)アジペートが望ましい。
これらは単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0016】
これらの含有量は、インキ組成物全量に対して、4〜20%、好ましくは、5〜16%、更に好ましくは、6〜14%とすることが望ましい。
この含有量が4%未満であると、消去性が不十分となり、また、20%を越えると、白化現象が起こったり、インキの経時安定性が悪くなったりするなどとなり、好ましくない。
【0017】
本発明に用いる無機塩類は、剥離剤として用いる二塩基酸エステル、一塩基酸エステル、溶剤による白化現象を防止すると共に優れたインキの経時安定性を発揮させるために、含有するものである。
用いることができる無機塩類としては、例えば、塩化カルシウム類、塩化マグネシウム類、硝酸マグネシウム類、塩化鉄類、塩化銅類、塩化リチウム類、塩化ジルコニウム類などが挙げられ、好ましくは、腐食性、安全性等の点から、塩化カルシウム、塩化カルシウムニ水和物、塩化カルシウム六水和物、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物から選ばれる少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
【0018】
この無機塩類の含有量は、インキ組成物全量に対して、0.05%〜10%、更に好まくは、0.1%〜5%が望ましい。
この無機塩類の含有量が0.05%未満では、白化を起こすインキ中に含有されても白化防止効果が不充分であり、また、10%超過では、白化を防止する量の必要以上の量となり、インキの経時変化などで若干不安定となる。
【0019】
本発明では、上記各成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分(添加剤)を含有することができる。筆記板用マーキングペン用任意成分としては、例えば、アニオン系、ノニオン系、カチオン系などの界面活性剤、リン酸エステル、乾燥防止剤、防錆剤、防黴剤などを適宜必要に応じて含有することができる。
【0020】
このように構成される本発明の筆記板用マーキングインキ組成物では、少なくとも着色剤と、樹脂と、溶剤と、二塩基酸エステル及び/又は一塩基酸エステルと、無機塩類とを含有することにより、筆跡の白化現象を防止すると共に、インキの経時安定性に優れ、しかも、鮮明な描線を与えるホワイトボード、樹脂板、金属板、ホーロー板、ガラス板などの非浸透性である筆記板用に好適な筆記板用マーキングインキ組成物が得られることとなる。
【0021】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定うるものではない。
【0022】
〔実施例1〜12及び比較例1〜3〕
下記表1に示す配合組成により、各筆記板用マーキングインキ組成物を調製した。
得られた各筆記板用マーキングインキ組成物について、下記方法により、耐白化性及びインキの経時安定性について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0023】
(耐白化性の試験方法)
耐白化性試験は、25℃−湿度65%条件下で、ホーロー板に下記構成のマーキングペンを用いて筆記し、白化程度を目視にて下記評価基準で評価した。
マーキングペン構成:各マーキングインキ組成物を5g充填したインキ吸蔵体と、ペン先としてポリエステル繊維芯とを備えたマーキングペン(中綿タイプの筆記具)を用いた。
評価基準:
◎:完全に白化は見られない
○:ほとんど白化はみられない。
△:やや白化がみられる。
×:ひどく白化する。
【0024】
(インキの経時安定性の試験方法)
インキの経時安定性の試験は、各マーキングインキ組成物をガラス製サンプル管に20g収容して、50℃に一週間保存した後、粘度変化、粒径変化を夫々粘度計(TV−20L、トキメック社製)、粒度分布測定機(COULTER N4SD、COULTER ELECTRONICS社製)により下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:粘度、粒径に変化はみられない。
△:粘度が若干上昇し、粒径は若干増大した。
×:粘度が上昇し、粒径も増大した。
【0025】
【表1】
【0026】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜12は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べて、耐白化性及びインキの経時安定性に優れていることが判明し、しかも、鮮明な描線を与える筆記板用に好適なマーキングインキ組成物であることが判明した。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、筆跡の白化現象を防止すると共に、インキの経時安定性に優れ、しかも、鮮明な描線を与えるホワイトボードなどの筆記板用に好適な筆記板用マーキングインキ組成物が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホワイトボードなどの筆記板用に好適なマーキングインキ組成物に関し、更に詳しくは、筆跡の白化現象を防止すると共に、インキの経時安定性に優れ、しかも、鮮明な描線を与える筆記板用マーキングインキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より筆記板用マーキングインキ組成物には、筆跡が速乾性となるようにエタノール等の揮発性の溶剤が用いられているが、筆跡の白化現象という問題点を有している。この白化現象は、高湿度下等において、筆記されたインキが乾燥するまで空気中の水分を吸収することによってインキ中の溶剤に溶解している樹脂成分による皮膜がひび割れを生じて、筆跡が隠蔽性を喪失することによって起こるものであると考えられている。
【0003】
この白化現象を防止する筆記板用マーキングインキ組成物としては、着色剤、樹脂、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル及び有機溶剤を含有してなるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、顔料と、低級アルコールと、平均重合度600〜1000のポリビニルブチラ−ルと、平均重合度300〜500のポリビニルブチラ−ルとを少なくとも含む筆記板用マーキングインキ組成物も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開8−157763号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特開2000−160088号公報(特許請求の範囲等)
【0005】
しかしながら、これらの特許文献1及び2等に記載される筆記板用マーキングインキ組成物では、却って描線の乾燥性が悪くなったりし、また、白化防止が未だ不充分であったりするなどの課題を抱えているのが現状である。
【0006】
一方、従来の筆記板用マーキングインキ組成物には、消去性の向上を目的として、着色剤として染料を使用し、水及び/又は各種有機溶剤の少なくとも1種を溶媒とし、これらの中に各種塩類のうち吸湿性が高い塩類を混合して溶解し、更に必要に応じて天然又は合成の高分子物質を添加してなるものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
【特許文献3】
特公昭46−40294号公報(特許請求の範囲、第4頁右欄等)
【0008】
しかしながら、この特許文献3等に記載される筆記板用マーキングインキ組成物は、ニ塩基酸エステルなどの剥離剤を含有するものではなく、かつこの剥離剤を用いることによる白化現象を防止するものでもなく、しかも、用いる塩類は吸湿剤として用いることにより、筆記板上に得られた筆跡に適度の湿性を保有又は吸湿保持させて、筆跡を乾いた布や紙を擦過することによって容易に消去するための消去性を向上させる目的での添加であり、本願発明とはその目的、構成等を含む技術思想が全く相違するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、筆跡の白化現象を防止すると共に、インキの経時安定性に優れ、しかも、鮮明な描線を与える筆記板用マーキングインキ組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来の課題等について鋭意検討した結果、少なくとも着色剤、樹脂、溶剤を含有する筆記板用マーキングインキ組成物において、剥離剤として二塩基酸エステル又は一塩基酸エステルを用いると共に、更に、特定の成分を含有することによって、上記目的の筆記板用マーキングインキ組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) 少なくとも着色剤と、樹脂と、溶剤と、二塩基酸エステル及び/又は一塩基酸エステルと、無機塩類とを含有してなることを特徴とする筆記板用マーキングインキ組成物。
(2) 前記無機塩類が、インキ組成物全量に対して、0.05重量%〜10重量%である上記(1)記載の筆記板用マーキングインキ組成物。
(3) 前記無機塩類が塩化カルシウム、塩化カルシウムニ水和物、塩化カルシウム六水和物、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物から選ばれる少なくとも1種である上記(1)又は(2)記載の筆記板用マーキングインキ組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の筆記板用マーキングインキ組成物は、少なくとも着色剤と、樹脂と、溶剤と、二塩基酸エステル及び/又は一塩基酸エステルと、無機塩類とを含有してなることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に用いる着色剤としては、従来より筆記板用マーキングインキ組成物に用いられる着色剤であれば、特に限定されず、慣用されれている顔料、染料が挙げられる。
染料としては、例えば、油溶性染料、スピリットソルブル染料等のソルベント染料、ロイコ染料などを挙げることができる。
また、顔料としては、例えば、アゾ系顔料、縮合ポリアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、金属錯塩顔料、チオインジゴ顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等の有機顔料及びカーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料が挙げられ、更に、表面を樹脂コーティングで加工した加工顔料、例えば、マイクロリスAタイプ各種、ASブラック、ASブルー、IKレッド等も使用することができる。
これらの着色剤は、単独で又は2種以上混合して使用することもでき、その含有量は着色剤の種類や他のインキ成分により異なるが、インキ組成物全量に対して、好ましくは、1〜30重量%(以下、単に、「%」という)、更に好ましくは、2〜15%が望ましい。
【0013】
本発明に用いる樹脂は、溶剤に可溶な樹脂であり、被膜形成剤、被塗布面への付着剤、インキの粘度調整剤、更に、着色剤の分散剤として使用するものであり、従来より使用されている各種の天然樹脂、合成樹脂が使用でき、例えば、ロジン、エステルガム、マレイン酸変成ロジン、フェノール変成ロジン等のロジン系樹脂、エチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂、石油系樹脂、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、アルデヒドと尿素の縮合物、マレイン酸樹脂等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することが可能であり、その含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、0.1〜30%、更に好ましくは、1〜20%が望ましい。
【0014】
本発明に用いる溶剤としては、例えば、エチルアルコ−ル、プロピルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル等の低級アルコールや、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の低級脂肪族ケトンや、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸の低級アルコールエステルや、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素や、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素やグリコールのアルキルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル等が挙げられる。
これらの特性を有する溶剤は、夫々単独で又は2種以上混合して使用することが可能であり、その含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、50〜90%、更に好ましくは、70〜85%が望ましい。
【0015】
本発明に用いる二塩基酸エステル、一塩基酸エステルは、剥離剤として含有するものである。
二塩基酸エステル又は一塩基酸エステルとしては、例えば、オクタン酸セチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸ステアリル、オクタン酸イソステアリル、ネオデカン酸イソオクチルドデシル、ラウリル酸イソステアリル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソオクチル、ドデカン二酸ジオクチル、アジピン酸ジプロピル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジオクチル、ビス(2−エチルへキシル)セバケート、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、ビス(2−エチルへキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルセバケート、ジエチルサクシネート等が挙げられ、好ましくは、耐白化性、初期の消去性、経時的な消去性等の点から、イソオクタン酸セチル、ビス(2−エチルへキシル)セバケート、ミリスチン酸イソセチル、ジブチルセバケート、ビス(2−エチルへキシル)アジペートが望ましい。
これらは単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0016】
これらの含有量は、インキ組成物全量に対して、4〜20%、好ましくは、5〜16%、更に好ましくは、6〜14%とすることが望ましい。
この含有量が4%未満であると、消去性が不十分となり、また、20%を越えると、白化現象が起こったり、インキの経時安定性が悪くなったりするなどとなり、好ましくない。
【0017】
本発明に用いる無機塩類は、剥離剤として用いる二塩基酸エステル、一塩基酸エステル、溶剤による白化現象を防止すると共に優れたインキの経時安定性を発揮させるために、含有するものである。
用いることができる無機塩類としては、例えば、塩化カルシウム類、塩化マグネシウム類、硝酸マグネシウム類、塩化鉄類、塩化銅類、塩化リチウム類、塩化ジルコニウム類などが挙げられ、好ましくは、腐食性、安全性等の点から、塩化カルシウム、塩化カルシウムニ水和物、塩化カルシウム六水和物、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物から選ばれる少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
【0018】
この無機塩類の含有量は、インキ組成物全量に対して、0.05%〜10%、更に好まくは、0.1%〜5%が望ましい。
この無機塩類の含有量が0.05%未満では、白化を起こすインキ中に含有されても白化防止効果が不充分であり、また、10%超過では、白化を防止する量の必要以上の量となり、インキの経時変化などで若干不安定となる。
【0019】
本発明では、上記各成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分(添加剤)を含有することができる。筆記板用マーキングペン用任意成分としては、例えば、アニオン系、ノニオン系、カチオン系などの界面活性剤、リン酸エステル、乾燥防止剤、防錆剤、防黴剤などを適宜必要に応じて含有することができる。
【0020】
このように構成される本発明の筆記板用マーキングインキ組成物では、少なくとも着色剤と、樹脂と、溶剤と、二塩基酸エステル及び/又は一塩基酸エステルと、無機塩類とを含有することにより、筆跡の白化現象を防止すると共に、インキの経時安定性に優れ、しかも、鮮明な描線を与えるホワイトボード、樹脂板、金属板、ホーロー板、ガラス板などの非浸透性である筆記板用に好適な筆記板用マーキングインキ組成物が得られることとなる。
【0021】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定うるものではない。
【0022】
〔実施例1〜12及び比較例1〜3〕
下記表1に示す配合組成により、各筆記板用マーキングインキ組成物を調製した。
得られた各筆記板用マーキングインキ組成物について、下記方法により、耐白化性及びインキの経時安定性について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0023】
(耐白化性の試験方法)
耐白化性試験は、25℃−湿度65%条件下で、ホーロー板に下記構成のマーキングペンを用いて筆記し、白化程度を目視にて下記評価基準で評価した。
マーキングペン構成:各マーキングインキ組成物を5g充填したインキ吸蔵体と、ペン先としてポリエステル繊維芯とを備えたマーキングペン(中綿タイプの筆記具)を用いた。
評価基準:
◎:完全に白化は見られない
○:ほとんど白化はみられない。
△:やや白化がみられる。
×:ひどく白化する。
【0024】
(インキの経時安定性の試験方法)
インキの経時安定性の試験は、各マーキングインキ組成物をガラス製サンプル管に20g収容して、50℃に一週間保存した後、粘度変化、粒径変化を夫々粘度計(TV−20L、トキメック社製)、粒度分布測定機(COULTER N4SD、COULTER ELECTRONICS社製)により下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:粘度、粒径に変化はみられない。
△:粘度が若干上昇し、粒径は若干増大した。
×:粘度が上昇し、粒径も増大した。
【0025】
【表1】
【0026】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜12は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べて、耐白化性及びインキの経時安定性に優れていることが判明し、しかも、鮮明な描線を与える筆記板用に好適なマーキングインキ組成物であることが判明した。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、筆跡の白化現象を防止すると共に、インキの経時安定性に優れ、しかも、鮮明な描線を与えるホワイトボードなどの筆記板用に好適な筆記板用マーキングインキ組成物が提供される。
Claims (3)
- 少なくとも着色剤と、樹脂と、溶剤と、二塩基酸エステル及び/又は一塩基酸エステルと、無機塩類とを含有してなることを特徴とする筆記板用マーキングインキ組成物。
- 前記無機塩類が、インキ組成物全量に対して、0.05重量%〜10重量%である請求項1記載の筆記板用マーキングインキ組成物。
- 前記無機塩類が塩化カルシウム、塩化カルシウムニ水和物、塩化カルシウム六水和物、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の筆記板用マーキングインキ組成物。
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---|---|---|---|
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101143542B1 (ko) * | 2011-08-19 | 2012-05-10 | 주식회사 케이피아이 | 페인트 마커용 조성물 및 그 제조방법 |
KR20160113194A (ko) | 2014-02-24 | 2016-09-28 | 니뽄 도쿠슈 도교 가부시키가이샤 | 스파크 플러그 |
-
2002
- 2002-09-19 JP JP2002273285A patent/JP2004107517A/ja not_active Withdrawn
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US9627857B2 (en) | 2014-02-24 | 2017-04-18 | Ngk Spark Plug Co., Ltd. | Spark plug |
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