JP3715504B2 - 高密度ito焼結体スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、スパッタリング時におけるマイクロアーキングやノジュールの発生量が少なく、特性経時変化の少ないITOスパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ITO(インジウム−錫の複合酸化物)膜は液晶ディスプレーを中心とする表示デバイスの透明電極(膜)として広く使用されている。このITO膜を形成する方法として、真空蒸着法やスパッタリング法など、一般に物理蒸着法と言われている手段によって行われるのが普通である。
特に、成膜のコントロールが容易であることやITO膜の抵抗値及び透過率の経時変化が少ないという皮膜の安定性からみて、マグネトロンスパッタリング法を用いて形成することが多い。
【0003】
スパッタリング法による膜の形成は、陰極に設置したターゲットにArイオンなどの正イオンを物理的に衝突させ、その衝突エネルギーでターゲットを構成する材料を放出させて、対面している陽極側の基板にターゲット材料とほぼ同組成の膜を積層することによって行われる。
スパッタリング法による被覆法は処理時間や供給電力等を調節することによって、安定した成膜速度でオングストローム単位の薄い膜から数十μmの厚い膜まで形成できるという特徴を有している。
【0004】
上記のように、ITOのスパッタリングは工業的にDC電源を用いたマグネトロンスパッタリングが広く用いられているが、近年このDC電源でアーク放電を検知できる装置が開発され、アーク放電を監視しながらスパッタリングが行われている。この場合、検知するアークは、放出されるエネルギーが大きく継続時間が長い、通常のスパッタリング放電によるアーク、すなわちハードアークと呼ばれているものである。
しかし、実際のスパッタリングにおいては、前記ハードアークよりも小規模なアーク(一般に「マイクロアーク」と呼ばれている。)が多数発生しているが、このマイクロアークは最近のデバイスの高精細化プロセスにおいて、膜の品質に大きな影響を与えていることが分かり、前記ハードアーク以外にこのマイクロアークを測定できる検出器を特別に配置して成膜の条件や得られた膜の評価を行うようになってきた。
【0005】
また、一般にスパッタリングターゲットを使用してITO膜を形成する場合に問題となっているのは、上記のマイクロアークの発生以外に、スパッタリング操作中に発生するノジュール(黒色のインジウムの低級酸化物)や投入スパッタパワー密度の変化等がある。
これらは、スパッタリング積算電力量の増加とともに急速に増加又は変化する傾向があり、厳密に解明されている訳ではないが、これらの問題の因子が相互に大きく影響しているものと考えられる。
したがって、マイクロアークやノジュールの発生防止及び投入スパッタパワー密度の変化抑制が、スパッタリングITO膜の性質を良好にするために特に必要なことである。
【0006】
ITOスパッタリングターゲットの製造においては、酸化錫粉末と酸化インジウム粉末とを所定の割合に混合した粉末を焼結する方法が主流となっている。
従来、このようにして製造されるターゲットのノジュールの発生防止又は均一な薄膜形成を目的として、ターゲット密度を上げる方法等がいくつか提案されている。その例を次に列挙する。
例えば、従来の酸化錫粉末と酸化インジウム粉末の混合粉末に替えて、単一混晶の粉末を使用し、1100°C以下の温度で焼結し、95%以上の相対密度の焼結体ターゲットを得ようとするITOスパッタリングターゲットの製造方法が提案されている。この場合、実施例に記載されている最大の相対密度で99.2%程度である(特許第2984581号)。
【0007】
また、酸化錫粉末と酸化インジウム粉末の混合粉末を1400〜1500°Cの温度で均質化処理をした後、500〜1000°Cの温度で加圧焼結するか又は同混合粉末を1000〜1200°Cの温度で固溶化処理を行い、その後1440〜1550°Cの温度で焼結し、さらに1000〜1300°Cの温度で熱処理を行いITO焼結体中のSnOの凝集を防止する方法が提案されている(特公平7−79005号公報)。
この場合、実施例に示されている最大の相対密度は94%である。
【0008】
また、酸化錫粉末と酸化インジウム粉末の混合粉末を1350〜1600°Cの温度で熱処理をした後これを粉砕し、さらにプレス成形した後1350〜1550°Cの温度で焼結し、低抵抗の膜を得ることを目的とするスパッタリングターゲット又は蒸着用ペレットとして使用するITO焼結体が提案されている(特公平8−32589号公報)。
しかし、焼結温度範囲は実際(実施例)には、1450°Cのものしかなく、しかもその時の密度の規定もない。したがって、特に密度に関心が持たれている訳ではなく、密度達成のための焼結温度条件ではないと考えられる。
【0009】
また、酸化錫粉末と酸化インジウム粉末の混合粉末を1350°C以上の温度で熱処理した後粉砕し、これを500〜1000°Cの温度で加圧焼結するか又は同混合粉末を1350°C以上の温度で熱処理し、これを粉砕加圧成形した後1350°C以上の温度で焼結し、さらに500〜1300°Cの温度で熱処理し、低抵抗の膜を得ることを目的とするスパッタリングターゲット又は蒸着用ペレットとして使用するITO焼結体が提案されている(特開平4−160047号公報)。
この場合、実施例に示されている最大の相対密度は94%である。
【0010】
また、湿式法により酸化錫酸化インジウム固溶体粉末を製造し、これを1450〜1550°Cの温度で焼結し、ノジュール及びパーティクルの発生を抑制する高密度ITO焼結体スパッタリングターゲットが提案されている(特開平10−30173号公報)。
この場合、ターゲットの密度は最大のもので、実施例に記載されている7.08g/cm3(相対密度99.63%)である。
【0011】
上記の例において、密度をある程度高くしたITO焼結体ターゲットが記載されている。しかし、このようなターゲットを使用しても、スパッタリング時に発生するマイクロアークを極力減少させ、またターゲット表面に形成するノジュールを目的とする基準以下に低減させることは難しく、根本的な解決に至っていないのが現状である。
特に、透明導電膜は最近の電子機器がより小型化又は細密化されているので、膜自体も薄く微細化され、形成された膜が均一でない場合には品質の低下に及ぼす影響が大きく現れる傾向にあり、上記マイクロアーク等の発生防止は特に重要な問題であった。
【0012】
また、ITOスパッタリング膜の形成に際して、ターゲットの密度が低い場合に起因してITO焼結体ターゲットのエロージョン面にノジュール(突起物)が多発し、これが不規則なスパッタリングを誘発して、異常放電やクラスター状(固まりになった)の皮膜が形成されショートの原因になる問題もある。
同時に、ノジュール等に原因してスパッタチャンバ内に粗大化した粒子(パーティクル)が浮遊するようになり、これが基板上に再付着して薄膜回路を短絡させたり、薄膜の突起物の原因となるという問題が発生した。
以上のことから、マイクロアークやノジュールの発生を極力抑制すると共に、
スパッタリング操作中投入スパッタパワー密度を安定化させ、成分が均一かつ高密度の焼結体ターゲットを得ることが必要であったが、これらの要求に満足できるITO膜形成用スパッタリングターゲットが得られていないという問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、スパッタリング時に発生するマイクロアークを抑制すると共に、ターゲット表面に発生するノジュールを低減し、ターゲット寿命全体に亘って安定的に一定条件でスパッタリング操業を行うことができるITO膜形成用焼結体スパッタリングターゲット及びその製造方法を提供することを目的としたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するための技術的な手段は、従来のターゲット材よりもさらに密度を向上させ、ポアを低減させ、これによってITO透明導電膜等の形成に好適な焼結体スパッタリングターゲットを得ることができるとの知見を得た。
この知見に基づき、本発明は
1. 相対密度が99.8%以上であり、焼結体ターゲット研磨面中に、2μm以上のポアが5個/mm2以下であることを特徴とする高密度ITO焼結体スパッタリングターゲット
2. In2O3とSnO2の混合粉末を大気中1150°C以上で熱処理することにより、比表面積2m2/g以下とした粉末を比表面積4m2/g以上となるように粉砕した後、酸素雰囲気中1530°C以上で焼結して得たことを特徴とする上記1記載の高密ITO焼結体スパッタリングターゲット
3. 粉砕後の粉末の比表面積が7m2/g以上であることを特徴とする上記2記載の高密ITO焼結体スパッタリングターゲット
、を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の高密度ITO焼結体スパッタリングターゲットはその相対密度が99.8%以上であり、焼結体ターゲット研磨面中の2μm以上のポアが5個/mm2以下である。
なお、密度の算出方法はミキシングルール(mixing rule)によるものであり、理論密度は次によって計算する。
In2O3真密度:7.18g/cm3、SnO2真密度:6.95g/cm3
ITO焼結体の理論密度は、「7.18×αVIn+6.95×αVSn」により計算できる。(なお、αVInはIn2O3の体積分率、αVSnはSnO2の体積分率である。)
したがって、SnO2が10wt%の場合は、7.156g/cm3である。
また、本発明の焼結体ターゲットはアルキメデス法で測定したものであり、これによって測定した密度を上記理論密度で除した値、を相対密度として計算したものである。
【0016】
上記焼結体ターゲット研磨面中の2μm以上のポアが5個/mm2以下の条件は、焼結体の任意の研磨面を意味するものであり、特定の研磨面を意味するものではない。
本発明は、従来考えられていた密度よりもはるかに高い密度を有するものであり、これによってスパッタリング時に発生するマイクロアークを著しく抑制すると共に、ターゲット表面に発生するノジュールを低減し、ターゲット寿命全体に亘って安定的に一定条件でスパッタリング操業を行うことが可能となった。
ITO焼結体スパッタリングターゲットの相対密度は99.8%未満、そして焼結体ターゲット研磨面中の2μm以上のポアが5個/mm2を超えると、スパッタリング時に発生するマイクロアークを効果的に抑制することが困難であり、ターゲット表面に発生するノジュールを低減することも難しくなる。
【0017】
本発明のITOスパッタリングターゲットを製造するには、原材料として、例えば平均粒度20μm以下の酸化インジウム粉末及びほぼ同粒度の酸化錫粉末を使用し、重量比で約90:10になるように均一に混合する。この原材料としての酸化インジウム粉末及び酸化錫粉末粒度や混合比率は任意に調整でき、必ずしもSnO2が10wt%に限定されない。
また、一般に焼結用粉末の粒度が小さいと高密度の焼結体が得られるので、粉末の90%以上が10μm以下、好ましくは1μm以下の粒径をもつ酸化インジウム及び酸化錫粉末を使用することが望ましい。
上記混合粉末を1150°C以上の温度、大気中で熱処理することにより、比表面積2m2/g以下の粉末得る。好ましくは、比表面積1m2/g以下とする。前記熱処理温度に特に上限はないが、あまり高温にしても効果が飽和するだけなので、エネルギー経済的に1400°C程度が望ましい。
次に、これを粉砕して、比表面積4m2/g以上、好ましくは比表面積7m2/g以上となるように粉砕する。
【0018】
従来、多くのITO焼結体はIn2O3とSnO2の混合粉末を成形後焼結しているために、焼結中にSnO2の固溶反応が進行し、O2ガスが発生し焼結体内部にポアが残留し易くなり、緻密化を阻害する可能性がある。
本発明は、In2O3とSnO2の混合粉末の熱処理(仮焼)及び粉砕を行うことにより、焼結中にSnO2の固溶反応によるO2ガス発生が原因となるポアの残留を著しく低減させることができる。
上記熱処理による比表面積2m2/g以下(好ましくは、比表面積1m2/g以下)及び粉砕後の比表面積4m2/g以上(好ましくは比表面積7m2/g以上)は、そのための必要な条件を意味する。また、熱処理により粗大化した粒子はボールミル等の手段により容易に粉砕が可能である。
【0019】
粉砕後の粉末にバインダーを添加した後金型に充填し、この混合粉を油圧プレス(CIP)で1500kgf/cm2の圧力を加えて加圧成形体を得る。なお、混合粉の加圧成形工程は従来公知の方法を採用することができ、必ずしも上記の条件に制限される必要はない。
上記熱処理と粉砕によって得られた粉末は、細孔が消滅するため高い成形体密度となる。
次に、このようにして得られた成形体を1気圧(絶対圧)の酸素雰囲気下1530°C以上で3〜10時間焼結し、ITOスパッタリングターゲット焼結体を製造する。
これによって、従来のターゲット材よりもさらに密度を向上させ、かつポアを低減し、相対密度が99.8%以上であり、焼結体ターゲット研磨面中に、2μm以上のポアが5個/mm2以下であるITO透明導電膜等の形成に好適な焼結体スパッタリングターゲットを得ることができる。
【0020】
焼結体が閉気孔になった状態で未凝固のSnO2が残存すると、上記のようにこのSnO2の固溶化によって発生するO2ガスにより焼結時の緻密化が阻害されることが容易に理解できる。したがって、予め熱処理によってSnO2を固溶化することは、O2ガス発生を低減することができ、有効である。
また、O2ガス発生だけでなく、焼結の際に1400°C以上からSnO2自体の蒸発が起こり、これも同様に焼結時にガス化しポア増加の一因となる可能性があるが、前記熱処理によってフリーのSnO2がなくなるため、ポアの発生は一層減少し、緻密化が促進されると考えられる。
そして、熱処理の温度がより高い方が、ポアの発生を抑制できる傾向があり、焼結性向上に有効である。
また、粉体の熱処理(仮焼)時には細孔の消滅が大きく影響している可能性がある。この細孔の消滅により成形体密度が向上し、さらに焼結体の密度向上に影響を与えていることも考えられる。
【0021】
以上に示す通り、密度を向上させかつポアを低減した透明導電膜用焼結体スパッタリングターゲットはマイクロアークやノジュール発生防止に有効である。
また、ターゲットを使い込んでいった場合、前記ノジュール等の発生により、同一のスパッタパワーではスパッタレートが使用開始時よりも相当低下してくる。
この場合レートが低下した分だけ投入パワーを上げてスパッタレートを一定に保つ必要があるが、これは投入スパッタパワーの変更(上げること)は、実質的にスパッタリング条件を変えることを意味するものであり、この変化率が大きくなると、膜特性にも影響を与える(膜特性が変化する)という問題を生ずるようになる。
したがって、当然のことながら、投入スパッタパワー密度が一定であり、変化率が低い方がターゲットとしての機能が優れており、重要なターゲット評価項目の一つである。すなわち、スパッタリング操作を通じて、ITO膜特性を良好に維持するにはこの投入スパッタパワー密度の変化が小さいことが必要となる。
本発明のスパッタリングターゲットにおいては、このような投入スパッタパワー密度を、より長期に亘って安定させることが可能となった。
【0022】
【実施例及び比較例】
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲内で、実施例以外の態様あるいは変形を全て包含するものである。
【0023】
(実施例及び比較例)
ITOスパッタリングターゲットの原材料として、平均粒度3μm以下の酸化インジウム粉末と同粒度の酸化錫粉末を使用し、これらを重量比で約90:10になるように均一に混合した。原料粉の比表面積は10m2/gであった。
これを大気中1150以上°Cで熱処理することにより、表1に示す比表面積0.2〜10m2/g以下とした粉末を得た。
次に、これらの粉末を比表面積が4.8〜13m2/g以上となるように、湿式ボールミルで粉砕し、さらにこれらの粉末をバインダー(PVD)を少量添加し、一軸プレスにより予備成形を行った後、150MPaのCIPにより成形体を得た。
上記成形体を酸素雰囲気中1530°C以上で焼結して高密ITO焼結体スパッタリングターゲットを得た。
以上の条件、各特性値を実施例及び比較例に区別して表1に示す。
【0024】
本発明の範囲に入るものを実施例1〜7として表示し、本発明外のものを比較例1〜9として表1に示した。
そして、上記実施例1〜7及び比較例1〜9で得られたスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングし、条件毎に各積算電力量に応じたマイクロアーク発生回数(回)、ノジュール被覆率(%)測定による総合判定を行った。
なお、マイクロアーク抑制され良好と判定した条件は、検出電圧100V以上、放出エネルギー(アーク放電が発生している時のスパッタ電圧×スパッタ電流×発生時間)が10mJ以下の条件で、積算電力量80Whr/cm2におけるマイクロ発生回数が30個以下となる場合である。
また、ノジュール発生が抑制され良好と判定した条件は、同積算電力量80Whr/cm2におけるノジュール被覆率(発生したノジュールの面積をエロージョン面積で除した値)が0.1%以下の場合である。
【0025】
スパッタリング条件は次の通りである。
スパッタガス : Ar+02
スパッタガス圧 : 0.5Pa
スパッタガス流量 : 300SCCM
酸素濃度 : 1%
漏洩磁束密度 : 400Gauss
投入パワー : 1W/cm2
スパッタ時間 : 〜160時間
【0026】
【表1】
【0027】
上記、表1に示すように、比較例1は熱処理後に粉砕していない(未粉砕)のケースで、粉末の比表面積が本発明の範囲を外れており、相対密度は99.55%と低く、ポア個数も22個/mm2と多い場合である。マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
比較例2は焼結温度が1500°Cと低く、相対密度は99.13%と低く、ポア個数も51個/mm2と多い場合であり、本発明の条件から大きく外れている。マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
比較例3は焼結温度が1520°Cと低く、相対密度は99.63%と低く、ポア個数も13個/mm2と多い場合である。マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
なお、比較例2よりはやや改善されているが、本発明の目的に合致しなかった。
【0028】
これに対し、実施例1は熱処理粉の比表面積が0.2m2/g、粉砕粉の比表面積が8.5m2/g、焼結温度1540°C、相対密度99.98%、ポア個数2個/mm2であり、いずれも本発明の条件を満たしているものである。
マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は良好で(○)であった。
【0029】
比較例4は熱処理後に粉砕していない(未粉砕)のケースで、粉末の比表面積が本発明の範囲を外れており、相対密度は99.58%と低く、ポア個数も19個/mm2と多い場合である。マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
比較例5は焼結温度が1500°Cと低く、相対密度は99.21%と低く、ポア個数も48個/mm2と多い場合であり、本発明の条件から大きく外れている。マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
比較例6は焼結温度が1520°Cと低く、相対密度は99.54%と低く、ポア個数も20個/mm2と多い場合である。マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
【0030】
上記に対し、実施例2は熱処理粉の比表面積が0.5m2/g、粉砕粉の比表面積が12m2/g、焼結温度1540°C、相対密度99.99%、ポア個数3個/mm2であり、いずれも本発明の条件を満たしている。マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は良好で(○)であった。
【0031】
比較例7は熱処理後に粉砕していない(未粉砕)のケースで、粉末の比表面積が本発明の範囲を外れており、相対密度は99.61%と低く、ポア個数も17個/mm2と多い場合である。マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
比較例8は焼結温度が1520°Cと低く、相対密度は99.37%と低く、ポア個数も50個/mm2と多い場合であり、本発明の条件から大きく外れている。マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
【0032】
上記に対し、実施例3は熱処理粉の比表面積が1.6m2/g、粉砕粉の比表面積が7.7m2/g、焼結温度1540°C、相対密度99.82%、ポア個数3個/mm2であり、いずれも本発明の条件を満たしている。
マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は良好で(○)であった。
実施例4は熱処理粉の比表面積が1.6m2/g、粉砕粉の比表面積が7.7m2/g、焼結温度1560°C、相対密度100.21%、ポア個数0個/mm2であり、いずれも本発明の条件を満たしている。
この場合、相対密度が100を超えているが、実際の焼結体は、SnO2がIn2O3に固溶あるいはC2相を形成しているため、ミキシングルールからずれることが考えられ、そのために相対密度が真密度(理論値)を大きくなったと想定される。いずれにしても、相対密度が従来に比べて各段に大きい結果が得られている。
マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は良好で(○)であった。
実施例5は熱処理粉の比表面積が1.6m2/g、粉砕粉の比表面積が13m2/g、焼結温度1560°C、相対密度99.97%、ポア個数2個/mm2であり、いずれも本発明の条件を満たしている。
マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は良好で(○)であった。
【0033】
比較例9は熱処理後に粉砕していない(未粉砕)のケースで、粉末の比表面積が本発明の範囲を外れており、相対密度は99.63%と低く、ポア個数も17個/mm2と多い場合である。
マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
比較例10は焼結温度が1520°Cと低く、相対密度は99.57%と低く、ポア個数も32個/mm2と多い場合であり、本発明の条件から大きく外れている。
マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
【0034】
実施例6は熱処理粉の比表面積が1.9m2/g、粉砕粉の比表面積が8.2m2/g、焼結温度1540°C、相対密度99.88%、ポア個数4個/mm2であり、いずれも本発明の条件を満たしている。
マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は良好で(○)であった。
実施例7は熱処理粉の比表面積が1.9m2/g、粉砕粉の比表面積が8.2m2/g、焼結温度1560°C、相対密度99.93%、ポア個数2個/mm2であり、いずれも本発明の条件を満たしている。
マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は最も良好で(○)であった。
【0035】
比較例11は熱処理後の粉末の比表面積が5m2/gで本発明の範囲を外れており、相対密度は99.58%と低く、ポア個数も21個/mm2と多い場合である。マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
比較例12は熱処理後の粉末の比表面積が10m2/gで本発明の範囲を外れており、焼結温度が1640°Cであるが、相対密度は99.56%と低く、ポア個数も18個/mm2と多い場合であり、本発明の条件から大きく外れている。
マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
比較例13は熱処理後の粉末の比表面積が10m2/gで本発明の範囲を外れており、焼結温度が1640°Cであるが、相対密度は99.62%と低く、ポア個数も12個/mm2と多い場合であり、本発明の条件から外れている。
マイクロアーク発生回数及びノジュール被覆率の測定による総合判定結果は不良(×)であった。
【0036】
【発明の効果】
以上に示すように、本発明は相対密度を99.8%以上、焼結体ターゲット研磨面中に2μm以上のポアが5個/mm2以下とすることにより、ITO透明導電膜等の形成に好適なスパッタリングターゲットを得るものであり、スパッタリング時に発生するマイクロアークを抑制すると共に、ターゲット表面に発生するノジュールを低減し、ターゲット寿命全体に亘って安定的に一定条件でスパッタリング操業を行うことができる優れた効果を有する。
Claims (3)
- 相対密度が99.8%以上であり、焼結体ターゲット研磨面中に、2μm以上のポアが5個/mm2以下であることを特徴とする高密度ITO焼結体スパッタリングターゲット。
- In2O3とSnO2の混合粉末を大気中1150°C以上で熱処理することにより、比表面積2m2/g以下とした粉末を比表面積4m2/g以上となるように粉砕した後、酸素雰囲気中1530°C以上で焼結することを特徴とする相対密度が99.8%以上であり、焼結体ターゲット研磨面中に、2μm以上のポアが5個/mm 2 以下である高密度ITO焼結体スパッタリングターゲットの製造方法。
- 粉砕後の粉末の比表面積を7m 2 /g以上とすることを特徴とする請求項2記載の高密ITO焼結体スパッタリングターゲットの製造方法。
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