JPH10147862A - 酸化インジウム・酸化錫焼結体 - Google Patents

酸化インジウム・酸化錫焼結体

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JPH10147862A
JPH10147862A JP8304493A JP30449396A JPH10147862A JP H10147862 A JPH10147862 A JP H10147862A JP 8304493 A JP8304493 A JP 8304493A JP 30449396 A JP30449396 A JP 30449396A JP H10147862 A JPH10147862 A JP H10147862A
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JP
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tin
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powder
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JP8304493A
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Shoji Takanashi
昌二 高梨
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパッタリング中の異常放電の発生及びノジ
ュールの生成が少なく、特性の優れたITO膜を効率良
く成膜することが可能な、スパッタリング用ターゲット
の酸化インジウム・酸化錫焼結体を提供する。 【解決手段】 インジウム、錫及び酸素を主成分とし、
In23相及びIn23相中に錫元素が固溶された相の
平均結晶粒径が2〜10μmの範囲内にあり、内部に存
在する最大空孔径が3μm以下で、錫原子の最大凝集径
が5μm以下である酸化インジウム・酸化錫焼結体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化インジウム・
酸化錫(以下ITOと記載する)焼結体、特にスパッタ
リング法により透明導電膜を形成する際のスパッタリン
グ用ターゲットとして極めて優れた性能を有するITO
焼結体に関する。
【0002】
【従来技術】ITO焼結体をターゲットとしてスパッタ
リングにより得られる薄膜は、その比抵抗値の低さから
有望な透明電極膜として注目されている。例えば、30
0℃程度の高温に加熱された基板上に、適当な条件でI
TOを物理蒸着することによって、透明性が良く且つ比
抵抗値が2.0×10-4Ω・cm以下の良質なITO膜
を形成することができる。
【0003】このような加熱基板上に比抵抗値の低いI
TO膜を成膜するためのスパッタリング用ターゲットと
して、特開昭62−21751号公報には、In23
末とSnO2粉末を配合し、混合及び粉砕を行い、これ
を成形して仮焼した後、再度粉砕を行って粉末とし、得
られた仮焼済み粉末を、更に成形及び焼結して製造され
たITO焼結体が開示されている。また、同公報には、
仮焼済み粉末を成形した後、ホットプレスのような高温
加圧下で焼結する方法も記載されている。更に、特開平
5−148636号公報には、In23粉末とSnO2
粉末を配合し、これを成形した後に、酸素加圧法にて1
550℃以上で焼結することにより製造されたITO焼
結体が開示されている。
【0004】しかし、このようにして得られたITO焼
結体のターゲットを用いてスパッタリングを行うと、異
常放電の発生によりプラズマ状態が不安定になり、安定
した成膜が行われず、得られる膜の構造が悪化し、膜の
特性値が劣化するという不都合が生じていた。また、異
常放電が頻繁に発生する状況下において長時間スパッタ
リングを行うと、ITO焼結体からなるターゲット表面
にノジュールと呼ばれる黒色の突起物が生成し、これに
よって成膜速度が低下するという問題も生じていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の事情に鑑み、透明電極膜のスパッタリング用ター
ゲットとして、スパッタリング中の異常放電の発生及び
ノジュールの生成が少なく、特性の優れたITO膜を効
率良く成膜することが可能な酸化インジウム・酸化錫焼
結体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、インジウム、錫及び酸素を主成分とする
酸化インジウム・酸化錫焼結体において、In23相及
びIn23相中に錫元素が固溶された相の平均結晶粒径
が2〜10μmの範囲内にあり、且つ焼結体内部に存在
する最大空孔径が3μm以下であって、錫原子の最大凝
集径が5μm以下であることを特徴とする酸化インジウ
ム・酸化錫焼結体を提供する。
【0007】また、本発明の酸化インジウム・酸化錫
(ITO)焼結体においては、In23とSnO2との
中間化合物相のX線回折による回折ピーク強度が、In
23相の(222)面の回折ピーク強度の10%以下で
あることを特徴とする。更には、ITO焼結体の錫含有
量が3〜12重量%であって、In23相中に固溶され
る錫の固溶量が2重量%以上であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明者らは、異常放電の発生及
びノジュールの生成原因を調べるために、従来公知の方
法によって得たITO焼結体を分析し、詳細に検討し
た。その結果、特開昭62−21751号公報記載にの
方法で作製されるITO焼結体においては、例えば10
重量%のSnO2粉末を配合して焼結し、錫分散性をE
PMA面分析により測定することによって、粒径5μm
以上の錫の凝集体が存在していることが判明した。
【0009】また、このITO焼結体では、EPMA線
分析及びX線回析により、In23相中に固溶される錫
原子は3重量%前後であり、残りの錫は錫濃度の高いI
23とSnO2との中間化合物相として存在してい
た。更に、この焼結体は低密度であるために、内部に大
きな空孔部が点在していた。ホットプレスを用いれば大
きな空孔部は消失するが、600〜800℃程度の低温
処理であるため錫原子は殆ど固溶されず、錫は全てSn
2相として存在した。
【0010】一方、特開平5−148636号公報に記
載の方法でITO焼結体を作製した場合には、SnO2
相が存在せず且つ緻密な焼結体が得られる。しかし、1
550℃以上での高温処理によって製造されるために、
焼結体中に粒径10μm以上の錫の凝集体が存在した。
更に、In23相の結晶粒径又はIn23相中に錫原子
が固溶された相の結晶粒径が、10μm以上と粗大であ
った。
【0011】そして、これら従来のITO焼結体をター
ゲットとしたとき、高電圧をかけてのスパッタリングが
できず、従って成膜速度を上げることができず、良質な
ITO膜も得られない。また、高電圧をかければ異常放
電及びノジュールが多発するばかりでなく、焼結体の結
晶粒径が粗大化しているために熱衝撃に弱く、焼結体の
ターゲットに割れが発生することが分かった。
【0012】以上のことから、スパッタリング用ターゲ
ットとしてのITO焼結体における異常放電の発生及び
ノジュールの生成という問題点は、 (1) 比抵抗値の低いSnO2相、錫の凝集体又は錫濃
度の高い中間化合物相 (2) 焼結体内にある大きな空孔部 (3) 粗大化されたIn23相又はIn23相中に錫元
素が固溶された相 の3点が主な原因であると判断された。
【0013】本発明のITO焼結体は、上記3点を解決
することによって、スパッタリング用ターゲットとして
使用したときの異常放電の発生及びノジュールの生成を
防止し又は低減させたものである。
【0014】本発明が対象とするITO焼結体は、イン
ジウム、錫及び酸素を主成分とするIn23−SnO2
系の焼結体であって、その組成自体は公知のITO焼結
体と同様であり、一般に錫の平均組成は3〜12重量
%、及びインジウムの平均組成は70〜78重量%の範
囲にあるが、本発明のITO焼結体においては以下の特
徴を有するものである。
【0015】即ち、本発明のITO焼結体は、実質的に
In23相と、In23相中に錫元素が固溶された相と
から構成され、これらIn23相及びIn23相中に錫
元素が固溶された相の平均結晶粒径が2〜10μmと微
細に制御されている。また、焼結体内部に存在する最大
空孔径が3μm以下であり、錫原子の最大凝集径も5μ
m以下である。そして、かかるITO焼結体の密度は、
好ましくは6.8g/cm3以上である。
【0016】また、このITO焼結体では、錫は大部分
がIn23相中に固溶され、In23相中に固溶される
錫原子は2重量%以上であることが好ましい。更に、I
23とSnO2との中間化合物相として、主に(In60
Sn40)23などが形成されることがあるが、この中間
化合物相の量は少ないほど好ましい。この中間化合物相
の量としては、X線回析において2θ=30.2°に現
れる上記組成の中間化合物相の回析ピーク強度が、In
23相の(222)面の回析ピーク強度の10%以下で
あることが好ましい。
【0017】上記ITO焼結体の各特性の測定方法は以
下の通りである。即ち、結晶粒径及び空孔径は、焼結体
断面を研磨した後、熱腐食によって粒界を析出させ、S
EM観察することで測定する。中間化合物相の存在は、
焼結体を粉末化した試料をX線回析法にて測定し、その
量は上記のごとく中間化合物相の上記回析ピークの積分
強度とIn23相の(222)面の回析ピークの積分強
度との強度比から求める。また、In23相中に固溶さ
れる錫量、及び錫原子の凝集径は、焼結体断面を研磨
し、ビーム径1μmのEPMA線分析及び面分析によっ
て測定することができる。
【0018】次に、上記特徴を有する本発明のITO焼
結体の製造方法を説明する。まず、In23粉末とSn
2粉末との混合粉末か、又はITO合金粉末からなる
原料粉末に、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等から
なるバインダーを添加して、湿式混合を行う。混合後に
得られたスラリーを乾燥造粒した後、コールドプレス若
しくは冷間静水圧プレスによって成形する。得られた成
形体を酸素雰囲気中にて焼結することにより、ITO焼
結体が得られる。
【0019】原料粉末としては、例えば、インジウム塩
と錫塩の溶液を混合して、共沈法により得られた平均粒
径が0.1μm以下のITO合金粉末か、各々の金属水
酸化物を加水分解又は熱分解して得られた平均粒径が共
に0.1μm以下のIn23粉末とSnO2粉末とを混合
した混合粉末を用いる。これらの原料粉末におけるIn
とSnの組成は前記した通常の範囲で良く、所望の組成
となるようにITO合金粉末の組成又は混合粉末の混合
割合を定める。
【0020】原料粉末のBET法により測定される比表
面積は、ITO合金粉末及びIn23粉末では20m2
/g以上であり、30〜40m2/gが好ましい。Sn
2粉末では3m2/g以上であり、5〜8m2/gが好
ましい。しかし、これらの粉末は微細であるために凝集
し易く、凝集によって局部的に焼結速度の異なる場所が
生じ、収縮が不均一に起こって大きな空孔ができたり、
空孔径分布が広くなり易い。また、粒子によって粒成長
する速度が異なるので、不均一な微細構造になり易い。
従って、本発明のITO焼結体を得るためには、凝集し
ている原料粉末を一次粒子に解砕することが重要であ
る。
【0021】この凝集している原料粉末の解砕は、以下
に説明する粉末の粉砕混合方法により行う。即ち、原料
粉末の粉砕混合は、湿式法又は乾式法によるボールミ
ル、振動ミル等を用いることができるが、均一微細な結
晶粒及び空孔を得るには湿式法によるボールミル混合が
最も好ましい。その理由は、乾式ボールミルや振動ミル
にて長時間の粉砕混合を行うと、不純物の混入が多くな
るからである。また、微粉砕にはボールの落下による衝
撃よりも、ボールとボール又はボールとポット内壁との
間における摩擦力の方が大きな役割を果たしていること
から、ボールミルによる粉砕混合が最も効果的である。
【0022】湿式のボールミル混合は、樹脂性ポットの
容器内に原料粉末、ボール、水、及びバインダーを任意
の量だけ添加して行う。スラリー濃度が高い場合には、
ボールが浮き上がって互いに接触し難くなり、逆にスラ
リー濃度が低い場合には、ボールに滑りが生じて十分な
高さにまで到達することができないため、添加する水分
量やボール量等を調整する必要がある。添加する水分量
は原料粉末に対して重量で1.0〜2.0倍が好ましく、
ボール量は原料粉末に対して重量で1.5〜5.0倍が好
ましい。また、ポット内に添加する原料粉末、ボール、
及び水の全体量は、ポット容積に対して40%〜70%
の範囲内に納まるようにしなければならない。
【0023】使用するボールは、摩耗の少ない硬質ジル
コニアボールが好ましく、そのボール径が小さいほど表
面積が大きくなるので粉砕効果は高くなる。しかし、ボ
ール径が小さ過ぎると、ボールの摩耗が激しくなるため
不純物の混入量が多くなる。従って、ボール径は3〜1
0mm程度が好ましい。ボールミル混合では、ポットの
回転によってボールが到達した最高の高さから45°の
角度で流れ落ちるのが理想的な回転数であり、この状態
が達成されると高い粉砕効果が得られる。この理想的な
回転数はポットの直径にもよるが、例えばポットの直径
が100mmであれば、その回転数は30〜60rpm
が好ましい。
【0024】ボールミル混合における混合時間は、12
時間〜72時間の範囲とする。混合時間が12時間未満
であると、微細な原料粉末の凝集を十分に解砕すること
ができず、結晶粒径が小さく且つ空孔径並びに錫の凝集
径が小さいITO焼結体を得ることが困難となる。ま
た、混合時間が72時間を越えると、混合粉末中に不純
物が多く混入するため好ましくない。
【0025】上記の湿式混合により得られたスラリー
は、乾燥造粒した後、コールドプレス若しくは冷間静水
圧プレスにより3ton/cm2以上で成形し、成形体
を酸素雰囲気中にて1350℃〜1550℃、好ましく
は1450℃〜1500℃の温度範囲で焼結する。この
際の焼結時間は15時間以下とする。この焼結条件の範
囲内であれば、酸素雰囲気中で焼結を行うことによっ
て、中間化合物相の粗大化等の弊害を阻止できる。しか
し、焼結温度が1550℃を越えるか又は焼結時間が1
5時間を越えると、粗大化された錫原子の凝集体が形成
されるか、若しくは結晶粒成長による粒径の粗大化と共
に空孔径も粗大化するため、スパッタリング時の異常放
電やノジュールが多発する原因となる。
【0026】
【実施例】実施例1 錫組成が5.0重量%である比表面積22m2/g、平均
粒径0.08μmのITO合金粉末を原料粉末とした。
この原料粉末を硬質ジルコニアボール及び水と共に樹脂
製ポットに入れ、原料粉末:ボール:水分の重量比を
1.0:1.5:1.8とすると共に、その全体量をポッ
ト容積に対して60%とした。次に、バインダーとして
ポリビニルアルコールを1重量%加え、ボールミルで1
8時間混合した。尚、使用したボールの直径は5mm、
ポットの直径は150mm、ボールミルの回転数は35
rpmとした。
【0027】その後、スラリーを取り出して乾燥造粒し
た後、得られた造粒粉を冷間静水圧プレスによって3t
on/cm2の圧力で成形した。得られた成形体は、1
0リットル/minで酸素ガスを導入しながら昇温速度
5℃/minにて1500℃に昇温させ、この温度で1
5時間の焼結を行った。得られたITO焼結体は、直径
127mm×厚さ6mmの円盤状の焼結体である。
【0028】得られたITO焼結体の密度を求めた後、
焼結体の一部を切断して粉砕し、X線回析測定を2θ=
25°〜37°の角度範囲で行って10回積算し、その
結果から中間化合物相(In60Sn40)23の回折ピーク
の強度比を求めた。また、焼結体の一部を切断して切断
面を研磨した後、試料をEPMA線分析及び面分析によ
り測定し、In23相中に固溶された錫量、及び錫原子
の凝集径を求めた。更に、この試料を用いて熱腐食によ
り粒界を析出させ、SEM観察によって平均結晶粒径と
空孔径を測定した。得られた各測定値を下記表1に示し
た。
【0029】また、得られたITO焼結体を直径100
mm×厚さ6mmの円盤状に加工してスパッタリング用
ターゲットを形成し、このターゲットを用いてDCマグ
ネトロンスパッタ法によりスパッタリングを行った。ス
パッタリング条件は、スパッタリングパワー1.5W/
cm2、Arガス圧0.5Pa、O2分圧1%とした。実
験開始から20時間経過後から10分間当たりの異常放
電回数を測定すると同時に、20時間経過後のターゲッ
ト表面におけるノジュールの生成状況を目視観察した。
得られた結果を下記表2に示した。
【0030】実施例2 比表面積34m2/g、平均粒径0.05μmのIn23
粉末に、比表面積7m2/g、平均粒径0.1μmのSn
2粉末を、錫組成が7.8重量%になるように配合し
て、原料粉末とした。この原料粉末を硬質ジルコニアボ
ール及び水と共に樹脂製ポットに入れ、原料粉末:ボー
ル:水分の重量比を1.0:3.0:1.6とし、その全
体量をポット容積に対して40%とした。更にバインダ
ーとしてポリビニルアルコールを1重量%加え、ボール
ミルで18時間混合した。使用したボールの直径は3m
m、ポットの直径は150mm、ボールミルの回転数は
50rpmとした。
【0031】その後、スラリーを取り出して乾燥造粒し
た後、得られた造粒粉を冷間静水圧プレスにより3to
n/cm2で成形した。この成形体は、10リットル/
minで酸素ガスを導入しながら昇温速度5℃/min
で1500℃まで昇温させ、この温度で10時間の焼結
を行った。得られたITO焼結体について実施例1と同
様の測定及び試験を行い、その結果を下記表1及び表2
に示した。
【0032】比較例1 比表面積34m2/g、平均粒径0.07μmのIn23
粉末に、比表面積7m2/g、平均粒径0.1μmのSn
2粉末を、錫組成が7.8重量%になるように配合し
て、これを原料粉末とした。この原料粉末を硬質ジルコ
ニアボール及び水と共に樹脂製ポットに入れ、原料粉
末:ボール:水分の重量比を1.0:0.8:0.8と
し、その全体量をポット容積に対して80%とした。更
に、バインダーとしてポリビニルアルコールを1重量%
加え、ボールミルで18時間混合した。使用したボール
の直径は20mm、ポットの直径は150mm、ボール
ミルの回転数は50rpmとした。
【0033】その後、スラリーを取り出して乾燥造粒し
た後、得られた造粒粉を冷間静水圧プレスにより3to
n/cm2で成形した。この成形体は、10リットル/
minにて酸素ガスを導入しながら昇温速度5℃/mi
nにて1500℃に昇温させ、この温度で15時間の焼
結を行った。得られたITO焼結体について実施例1と
同様の測定及び試験を行い、その結果を下記表1及び表
2に示した。
【0034】比較例2 比表面積15m2/g、平均粒径0.1μmのIn23
末に、比表面積1m2/g、平均粒径1.2μmのSnO
2粉末を、錫組成が7.8重量%になるように配合して、
これを原料粉末とした。この原料粉末を硬質ジルコニア
ボール及び水と共に樹脂製ポットに入れ、原料粉末:ボ
ール:水分の重量比を1.0:1.0:1.0とし、その
全体量をポット容積に対して60%とした。更に、バイ
ンダーとしてポリビニルアルコールを1重量%加え、ボ
ールミルで72時間混合した。使用したボールの直径は
10mm、ポットの直径は150mm、ボールミルの回
転数は35rpmとした。
【0035】その後、スラリーを取り出して乾燥造粒し
た後、得られた造粒粉を比較例1と同様に成形した。得
られた成形体は、10リットル/minにて酸素ガスを
導入しながら昇温速度5℃/minにて1500℃に昇
温させ、この温度で15時間の焼結を行った。得られた
ITO焼結体について実施例1と同様の測定及び試験を
行い、その結果を下記表1及び表2に示した。
【0036】比較例3 比表面積8m2/g、平均粒径0.4μmのIn23粉末
に、比表面積3m2/g、平均粒径0.5μmのSnO2
粉末を、錫組成が7.8重量%になるように配合して、
これを原料粉末とした。この原料粉末を硬質ジルコニア
ボール及び水と共に樹脂製ポットに入れ、原料粉末:ボ
ール:水分の重量比を1.0:1.0:1.0とし、その
全体量をポット容積に対して60%とした。更に、バイ
ンダーとしてポリビニルアルコールを1重量%加え、ボ
ールミルで18時間混合した。使用したボールの直径は
10mm、ポットの直径は150mm、ボールミルの回
転数は35rpmとした。
【0037】その後、スラリーを取り出して乾燥造粒し
た後、得られた造粒粉を油圧プレスにより1ton/c
2で成形した。得られた成形体は、3気圧の酸素ガス
雰囲気中で昇温速度5℃/minにて1600℃まで昇
温させ、この温度で10時間の焼結を行った。得られた
ITO焼結体について実施例1と同様の測定及び試験を
行い、その結果を下記表1及び表2に示した。
【0038】
【表1】 密 度 中間化合物相 錫固溶量 最大錫凝集 平均粒径 最大空孔焼結体試料 (g/cm3) 強度比 (%) (重量%) 径 (μm) (μm) 径(μm) 実施例 1 6.8 5 3 3 9 1 実施例 2 6.9 9 4 5 7 2 比較例 1 6.5 8 3 8 8 5 比較例 2 6.6 8 4 6 7 4 比較例 3 6.8 7 5 10 15 6
【0039】
【表2】
【0040】以上の結果から分かるように、本発明によ
る実施例1及び2のITO焼結体では、平均結晶粒径や
錫の最大凝集径並びに最大空孔径がいずれも小さく、ス
パッタリングにおける異常放電及びノジュールの生成を
少なくすることができた。これに対して比較例1及び2
の焼結体では、湿式ボールミル混合の条件が適切でない
ため錫の凝集径及び空孔径が粗大化した。また、比較例
2の焼結体では、更に原料粉末の粒径が大きく且つ焼結
温度が高過ぎるため、錫の凝集径や空孔径に加えて平均
結晶粒径も大きくなった。その結果、比較例の各焼結体
はいずれも異常放電が多発し、ノジュールの生成も多か
った。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、スパッタリング用ター
ゲットとして用いたとき、長時間の使用後であっても、
異常放電の発生及びノジュールの発生が極めて少ない酸
化インジウム・酸化錫焼結体を提供することができる。
従って、本発明の酸化インジウム・酸化錫焼結体をスパ
ッタリング用ターゲットとして使用することにより、優
れた特性のITO透明電極膜を安定して効率良く成膜す
ることが可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インジウム、錫及び酸素を主成分とする
    酸化インジウム・酸化錫焼結体において、In23相及
    びIn23相中に錫元素が固溶された相の平均結晶粒径
    が2〜10μmの範囲内にあり、且つ焼結体内部に存在
    する最大空孔径が3μm以下であって、錫原子の最大凝
    集径が5μm以下であることを特徴とする酸化インジウ
    ム・酸化錫焼結体。
  2. 【請求項2】 In23とSnO2との中間化合物相の
    X線回折による回折ピーク強度が、In23相の(22
    2)面の回折ピーク強度の10%以下であることを特徴
    とする、請求項1に記載の酸化インジウム・酸化錫焼結
    体。
  3. 【請求項3】 錫含有量が3〜12重量%であって、I
    23相中に固溶される錫の固溶量が2重量%以上であ
    ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の酸化イン
    ジウム・酸化錫焼結体。
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Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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