JP3782355B2 - Itoスパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
【0001】
この発明は、スパッタリング時における特性経時変化の少ないITOスパッタリングターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
ITO(インジウム−錫の複合酸化物)膜は液晶ディスプレーを中心とする表示デバイスの透明電極(膜)として広く使用されている。このITO膜を形成する方法として、真空蒸着法やスパッタリング法など、一般に物理蒸着法と言われている手段によって行われるのが普通である。
特に、マグネトロンスパッタリング法は、磁場形成のない通常のスパッタリング法に比べ、膜の堆積速度(成膜速度)が速いので、ITO膜を形成する方法として多く採用されている。
【0003】
スパッタリング法による膜の形成は、陰極に設置したターゲットにArイオンなどの正イオンを物理的に衝突させ、その衝突エネルギーでターゲットを構成する材料を放出させて、対面している陽極側の基板にターゲット材料とほぼ同組成の膜を積層することによって行われる。
スパッタリング法による被覆法は処理時間や供給電力等を調節することによって、安定した成膜速度で数nmの薄い膜から数十μmの厚い膜まで形成できるという特徴を有している。
【0004】
上記のように、ITOのスパッタリングは工業的にDC電源を用いたマグネトロンスパッタリングが広く用いられているが、近年このDC電源でアーク放電を検知する装置が開発され、アーク放電を監視しながらスパッタリングが行われている。
この場合、検知するアークは、放出されるエネルギーが大きく継続時間が長い、ハードアークと呼ばれているものである。
ところが、実際のスパッタリングにおいては、前記ハードアークよりも小規模なアーク(一般に「マイクロアーク」と呼ばれている。)が多数発生しており、これが膜の品質に大きな影響を与えていることが分かった。そのため、最近のデバイスの高精細化プロセスにおいて、前記ハードアーク以外にこのマイクロアークを監視し、発生を抑制することが重要視されてきている。
【0005】
また、一般にスパッタリングターゲットを使用してITO膜を形成する場合、このようなマイクロアークの発生以外に、スパッタリング操作中にターゲットエロージョン面に発生するノジュール(黒色のインジウムの低級酸化物)が問題となっている。
ノジュールは、スパッタリング積算電力量の増加とともに急速に増加し、これが成膜速度の低下を招く一因となっている。成膜速度が遅くなると、当然生産性が低下することから、こうした場合、投入スパッタパワーを上昇させて、成膜速度の低下を防止している。しかし、スパッタ条件(投入スパッタパワー)を大幅に変更することは、膜質を変化する惧れがあるため、望ましくない。
したがって、マイクロアークやノジュールの発生防止が、スパッタリングITO膜の性質を良好にするために特に必要なことである。
【0006】
一般に、ITOスパッタリングターゲットは、酸化錫粉末と酸化インジウム粉末とを所定の割合に混合した粉末を焼結して製造する方法が用いられている。
このようにして製造されるターゲットは、SnO2を10wt%程度含有したものが多く使用されている。これは、主として透明導電膜の導電率を向上させる(比抵抗を下げる)ことが目的である。
このような、ITOスパッタリングターゲットは異常放電やノジュールの発生があるばかりでなく、ノジュールが過度に増大してきた段階で、一旦スパッタリング操作を停止し、ターゲットをクリーニングするという作業が必要となり、生産性低下の原因となっているのが現状である。
そしてこのような従来のITOスパッタリングターゲットでは、スパッタリング時に発生するマイクロアークやターゲット表面に形成するノジュールを顕著に低減させることは難しく、根本的な解決に至っていない。
【0007】
この他、ITOスパッタリング膜の形成に際して、ターゲットの密度が低い場合、ターゲットの粗さ(Ra)が大きい場合、あるいはターゲットの粒径が粗大である場合には、特にITOターゲットのエロージョン面にノジュール(突起物)が多発し、これが不規則なスパッタリングを誘発して、異常放電やクラスター状(固まりになった)の皮膜が形成され表示デバイスの不良の原因になる問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、スパッタリング時に発生するマイクロアークを抑制すると共に、ターゲット表面に発生するノジュールを低減し、ターゲット寿命全体に亘って安定的に一定条件でスパッタリング操業を行うことができるITO膜形成用スパッタリングターゲットを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するための技術的な手段は、ITOターゲット中のSnO2組成を限定した範囲に調製するものであり、これによってITO透明導電膜等の形成に好適なスパッタリングターゲットを得ることができるとの知見を得た。4
この知見に基づき、本発明は
1. ターゲット中に含有されるSnO2の組成が8.80〜9.40wt%の範囲にあり、残部がIn 2 O 3 及び不可避的不純物からなることを特徴とするITOスパッタリングターゲット
2. ターゲット中に含有されるSnO2の組成が8.90〜9.30wt%の範囲にあり、残部がIn 2 O 3 及び不可避的不純物からなることを特徴とするITOスパッタリングターゲット
3. ターゲット中に含有されるSnO2の組成が9.00〜9.20wt%の範囲にあり、残部がIn 2 O 3 及び不可避的不純物からなることを特徴とするITOスパッタリングターゲット
4. 7.00g/cm3以上の密度を備えていることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のITOスパッタリングターゲット
5. ターゲットの中心線平均粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のITOスパッタリングターゲット
6. ターゲットの平均結晶粒径が4μm未満であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のITOスパッタリングターゲット
を提供する。
【発明の実施の形態】
【0010】
本発明のITOスパッタリングターゲットを製造するには、原材料として、例えば平均粒径が1μm以下の酸化インジウム(In 2 O 3 )粉末及びほぼ同粒度の酸化錫(SnO 2 )粉末を使用し、ターゲット中で所定のSnO2含有量となるように均一に混合し、これに成形用バインダーを加えてから金型に充填する。
そして、この金型に充填した前記原料となる混合粉を、冷間プレスで50〜200MPaの圧力を加えて加圧成形体を得る。
次に、このようにして得られた成形体を100kPa(絶対圧)の純酸素雰囲気下1550〜1650°Cの温度で3〜7時間焼結し、ITOスパッタリングターゲット焼結体を製造する。
【0011】
本発明においては、ターゲット中に含有されるSnO2の組成を8.80〜9.40wt%の範囲とする。好ましくは8.90〜9.30wt%の範囲であり、さらに好ましくは9.00〜9.20wt%の範囲にあるようにするのが良い。
上記SnO2の組成の範囲は原料酸化錫粉末の混合比率と焼結温度等の焼結条件を調節することによって容易に達成することができる。
このようにITO(インジウム−錫酸化物)スパッタリングターゲット中のSnO2組成を一定範囲に調整することにより、スパッタリング時にターゲット表面に発生するマイクロアーク及びノジュールを低減する効果を生じた。
【0012】
ターゲットを使い込んでいった場合、前記ノジュール等の発生により、同一のスパッタパワーでは成膜速度が使用開始時よりも低下する現象が見られるが、この場合レートが低下した分だけ投入パワーを上げて成膜速度を一定に保つ必要がある。
しかし、投入スパッタパワーを変えるということは実質的にスパッタリング条件を変えることを意味するものであり、この変化率が大きくなると、膜特性にも影響を与える(膜特性が変化する)という問題を生ずるようになる。
したがって、当然のことながら、投入スパッタパワー密度が一定であり、変化率が低い方がターゲットとしての機能が優れており、重要なターゲット評価項目の一つである。
すなわち、スパッタリング操作を通じて、ITO膜特性を良好に維持するにはこの投入スパッタパワー密度の変化が小さいことが必要となる。
上記の通り、本発明はこのような投入スパッタパワー密度の変化を著しく低減できるものであり、ターゲットライフ全般に亘って安定的にほぼ一定条件下でスパッタリング操業を行うことが可能となる。
【0013】
本発明においては、さらにITO(インジウム−錫酸化物)スパッタリングターゲットの密度を7.00g/cm3以上とし、ターゲットの中心線平均粗さRaが0.5μm以下、ターゲットの平均結晶粒径が4μm未満であることが望ましい。
これによって、マイクロアークの発生やノジュールを、より効果的に低減させることができ、また投入スパッタパワー密度をより長期に亘って安定させることが可能となった。
【実施例】
【0014】
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲内で、実施例以外の態様あるいは変形を全て包含するものである。
【0015】
(実施例1〜5及び比較例1〜6)
ITO(インジウム−錫酸化物)スパッタリングターゲットの原材料として、平均粒径1μm以下の酸化インジウム(In 2 O 3 )粉末と同粒径の酸化錫(SnO 2 )粉末を使用し、酸化錫粉末の混合比率を所定の割合で均一に混合した。
次に、上記の酸化インジウム−酸化錫混合粉末を金型へ均一充填し、冷間油圧プレスで80MPaの圧力を加えて加圧成形体を得た。
このようにして得られた成形体を100kPa(絶対圧)の純酸素雰囲気下で1640°Cの温度で4時間焼結した。このようにして得られた焼結体の表面を、平面研削盤で400番ダイヤモンド砥石を使用して研削し、さらに側辺をダイヤモンドカッターで切断して、ITOターゲット素材とした。
【0016】
上記ターゲット製造工程において、酸化錫の混合比率を9.00〜10.90wt%とすることにより、ターゲット中のSnO2組成8.95〜10.83wt%、密度7.08〜7.12g/cm3、中心線平均粗さRa0.30〜0.39μm、平均結晶粒径3.15〜3.74μmのITOスパッタリングターゲットを得た。ターゲット中のSnO2組成が本発明の範囲内のものを実施例1〜5、範囲外のものを比較例1〜3として表1に示した。
そして、上記実施例1〜5及び比較例1〜3(一部比較例4〜6)で得られたスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングし、ターゲット中に含有されるSnO2の組成毎に、各スパッタ積算電力量におけるマイクロアーク発生回数(回)、ノジュール被覆率(%)、投入スパッタパワー密度(W/cm2)を測定した。測定結果をそれぞれ表2〜4に示した。
【0017】
なお、マイクロアークと判定した条件は、検出電圧100V以上、放出エネルギー(アーク放電が発生している時のスパッタ電圧×スパッタ電流×発生時間)が10mJ以下の場合であり、またノジュール被覆率は、発生したノジュールの面積をエロージョン面積で除した値である。なお、ノジュール被覆率のみ、対応するSnO2組成範囲の幅を広げて比較例4〜6までを示した。また、後述する対応図においては、さらにSnO2組成範囲の幅を広げて表示した。
同様に、この結果を表2〜表4に示す。また、表2〜表4に対応するグラフを図1〜図9に示す。
スパッタリング条件は次の通りである。
ターゲットサイズ : 127×508×6.35mm
スパッタガス : Ar+02
スパッタガス圧 : 0.5Pa
スパッタガス流量 : 300SCCM
スパッタガス中の酸素濃度 : 1vol%
漏洩磁束密度 : 0.1T
投入スパッタパワー密度 : 0.5W/cm2でスパッタ開始して成膜速度を一定に保つように上昇
スパッタ積算電力量 : 〜160WHr/cm2
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
上記の表2及び図1〜図4に、ITOターゲットにおけるSnO2組成を8.95〜10.83(wt%)に変化させた場合の、スパッタ積算電力量40、80、120、160WHr/cm2におけるマイクロアーク発生回数を示す。
本発明の範囲(SnO2の組成が8.80〜9.40wt%の範囲)にある実施例1〜5のSnO28.95〜9.30wt%では、積算電力量が増加してもマイクロアークの発生回数はそれほど増加しない。
【0022】
しかし、本発明の範囲外であるSnO29.40wt%を超える範囲(比較例1〜3)では、マイクロアーク発生回数が急速に増加しているのが分かる。
特に本発明の場合、SnO2の組成が8.90〜9.30wt%の範囲、さらにはSnO2の組成が9.00〜9.20wt%の範囲(実施例2〜4)では、マイクロアーク発生回数の増加は著しく抑制されていることが分かる。
実施例1〜5に示すように、ITOターゲットにおける本発明の範囲のSnO2組成の存在は、マイクロアークの抑制に極めて有効であることが分かる。
【0023】
上記の表3及び図5〜図8に、ITOターゲットにおけるSnO2組成を8.95〜10.83(wt%)に変化させた場合の、スパッタ積算電力量40、80、120、160WHr/cm2におけるノジュール被覆率を示す。
本発明の範囲(SnO2の組成が8.80〜9.40wt%の範囲)にある実施例1〜5のSnO28.95〜9.30wt%では、積算電力量が増えてもノジュール被覆率はそれほど増加しない。
しかし、本発明の範囲外であるSnO29.40wt%を超える範囲(比較例1〜6)では、多少のばらつきはあるが、ノジュール被覆率が急速に増加している。特に本発明の場合、SnO2の組成が8.90〜9.30wt%の範囲、さらにはSnO2の組成が9.00〜9.20wt%の範囲(実施例2〜4)では、ノジュール被覆率は殆ど増加せず、著しく抑制されていることが分かる。
実施例1〜5に示すように、ITOターゲットにおける本発明の範囲のSnO2組成の存在は、ノジュールの抑制に極めて有効であることが分かる。
【0024】
上記の表4及び図9に、ITOターゲットにおけるSnO2組成を8.95〜10.83(wt%)に変化させた場合の、スパッタ積算電力量80、120、160WHr/cm2における投入スパッタパワー密度(W/cm2)を示す(なお、スパッタ積算電力量40WHr/cm2では差がないので省略した)。
本発明の範囲(SnO2の組成が8.80〜9.40wt%の範囲)にある実施例1〜5のSnO28.95〜9.30wt%では、積算電力量が増えても投入スパッタパワー密度をそれほど変化させる必要がない。
【0025】
しかし、本発明の範囲外にあるSnO29.40wt%を超える範囲(比較例1〜3)では、成膜速度を一定とするために投入スパッタパワー密度を変化(上昇)させなければならないことが分かる。
特に本発明の場合、SnO2の組成が8.90〜9.30wt%の範囲、さらにはSnO2の組成が9.00〜9.20wt%の範囲(実施例2〜4)では、投入スパッタパワー密度を殆ど変化させる必要がない。
実施例1〜5に示すように、ITOターゲットにおける本発明の範囲のSnO2組成の存在は、投入スパッタパワー密度の変化抑制に極めて有効であることが分かる。
【0026】
なお、実施例においてはSnO2の組成8.90〜9.30wt%の範囲におけるマイクロアーク、ノジュールの発生、投入スパッタパワー密度の変化を測定した結果を示しているが、本発明の範囲、すなわちSnO2の組成が8.80〜9.40wt%の範囲で、同様に良好な効果が得られた。
また、表1に示す通り、ITOスパッタリングターゲットの密度を7.00g/cm3以上とし、ターゲットの中心線平均粗さRaが0.5μm以下、ターゲットの平均結晶粒径が4μm未満とする条件でいずれも良好な結果が得られた。
【0027】
(実施例6、7及び比較例7、8)
次に、SnO2組成の異なるターゲットを用いて成膜を行い、得られたITO膜の抵抗率及び可視光領域の透過率を測定して比較を行った。
この結果を表5に示す。本発明の範囲に含まれるSnO2組成のものが実施例6、7、範囲を外れるものが比較例7、8である。スパッタリングの成膜条件は、基板温度200°C、300°C、投入スパッタパワー密度2.3W/cm2で、その他は上記スパッタ条件と同一で実施した。
【0028】
【表5】
【0029】
上記実施例6、7と比較例7、8との対比から、基板温度200°C及び300°Cいずれの場合も、比較例7、8に比べて実施例6、7の方が同等以上の低抵抗率、高透過率特性を有しており、透明導電膜として遜色の無いものである。
なお、実施例及び比較例では、スパッタリングターゲットの密度、中心線平均粗さRa及び平均結晶粒径が、本発明の範囲を外れるものについては特に示していないが、これらはスパッタリング時に発生するマイクロアークやノジュールの発生を助長する傾向が見られた。
したがって、本発明のスパッタリングターゲットの密度、中心線平均粗さRa及び平均結晶粒径の調整は、スパッタリング時に発生するマイクロアークやノジュールの発生をさらに抑制し、投入スパッタパワー密度の変化を抑えることができることが確認できた。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、SnO2をITOターゲット中に適度な量で含有させ、これによってITO透明導電膜等の形成に好適なスパッタリングターゲットを得るものであり、スパッタリング時に発生するマイクロアークを抑制すると共に、ターゲット表面に発生するノジュールを低減し、ターゲット寿命全体に亘って安定的に一定条件でスパッタリング操業を行うことができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1は、ITOターゲットにおけるSnO2組成を8.95〜10.83(wt%)に変化させた場合の、積算電力量40WHr/cm2におけるマイクロアーク発生回数を示すグラフである。
図2は、ITOターゲットにおけるSnO2組成を8.95〜10.83(wt%)に変化させた場合の、積算電力量80WHr/cm2におけるマイクロアーク発生回数を示すグラフである。
図3は、ITOターゲットにおけるSnO2組成を8.95〜10.83(wt%)に変化させた場合の、積算電力量120WHr/cm2におけるマイクロアーク発生回数を示すグラフである。
図4は、ITOターゲットにおけるSnO2組成を8.95〜10.83(wt%)に変化させた場合の、積算電力量160WHr/cm2におけるマイクロアーク発生回数を示すグラフである。
図5は、ITOターゲットにおけるSnO2組成を8.95〜10.83(wt%)に変化させた場合の、積算電力量40WHr/cm2におけるノジュール被覆率を示すグラフである。
図6は、ITOターゲットにおけるSnO2組成を8.95〜10.83(wt%)に変化させた場合の、積算電力量80WHr/cm2におけるノジュール被覆率を示すグラフである。
図7は、ITOターゲットにおけるSnO2組成を8.95〜10.83(wt%)に変化させた場合の、積算電力量120WHr/cm2におけるノジュール被覆率を示すグラフである。
図8は、ITOターゲットにおけるSnO2組成を8.95〜10.83(wt%)に変化させた場合の、積算電力量160WHr/cm2におけるノジュール被覆率を示すグラフである。
図9は、ITOターゲットにおけるSnO2組成を8.95〜10.83(wt%)に変化させた場合の、積算電力量80WHr/cm2、積算電力量120WHr/cm2、積算電力量160WHr/cm2における投入スパッタパワー密度(W/cm2)を示すグラフである。
Claims (6)
- ターゲット中に含有されるSnO2の組成が8.80〜9.40wt%の範囲にあり、残部がIn2O3及び不可避的不純物からなることを特徴とするITOスパッタリングターゲット。
- ターゲット中に含有されるSnO2の組成が8.90〜9.30wt%の範囲にあり、残部がIn2O3及び不可避的不純物からなることを特徴とするITOスパッタリングターゲット。
- ターゲット中に含有されるSnO2の組成が9.00〜9.20wt%の範囲にあり、残部がIn2O3及び不可避的不純物からなることを特徴とするITOスパッタリングターゲット。
- 7.00g/cm3以上の密度を備えていることを特徴とする請求の範囲1〜3のいずれかに記載のITOスパッタリングターゲット。
- ターゲットの中心線平均粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする請求の範囲1〜4のいずれかに記載のITOスパッタリングターゲット。
- ターゲットの平均結晶粒径が4μm未満であることを特徴とする請求の範囲1〜5のいずれかに記載のITOスパッタリングターゲット。
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