JP3707472B2 - 電気光学装置及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置等の電気光学装置の技術分野に属し、特に画像信号線上の画像信号をサンプリングして画像表示領域内に配線されたデータ線に供給するサンプリング回路を備え且つ反転駆動を行う形式の電気光学装置、そのような電気光学装置に好適に用いられる駆動回路、及びそのような電気光学装置を備えた電子機器の技術分野に属する。
【0002】
【背景技術】
この種の電気光学装置は、表示用電極、データ線などの各種配線、画素スイッチング用の薄膜トランジスタ(以下適宜、TFTと称する)や薄膜ダイオード(以下適宜、TFDと称する)などのスイッチング素子等が形成された素子アレイ基板と、全面的に形成された対向電極やストライプ状に形成された走査電極、カラーフィルタ、遮光膜等が形成された対向基板とが対向配置されている。これら一対の基板間に液晶等の電気光学物質が挟持され、基板の中央寄り(即ち、液晶等に面する基板上領域)に、表示用電極が配置された画像表示領域が位置している。
【0003】
また、画像表示領域の周辺に位置する周辺領域における素子アレイ基板上に、走査線駆動回路、データ線駆動回路、サンプリング回路、検査回路等の周辺回路が作り込まれている、所謂周辺回路内蔵型の電気光学装置も一般化している。
【0004】
これらのうちサンプリング回路は、例えばTFTからなるサンプリングスイッチを含んで構成されている。各サンプリングスイッチの入力側(例えば、ソース側)が周辺領域に配線された画像信号線に接続されており、出力側(例えば、ドレイン側)が画像表示領域内に配線されたデータ線或いはその引き出し配線に接続されている。そして、データ線駆動回路から、各サンプリングスイッチの制御端子(例えば、ゲート)に供給されるサンプリング回路駆動信号に応じて、画像信号をサンプリングして、データ線上に供給するように構成されている。
【0005】
他方で、この種の電気光学装置では、直流電圧印加による電気光学物質の劣化防止、表示画像におけるクロストークやフリッカの防止などのために、各画素電極に印加される電圧極性を所定規則で反転させる反転駆動方式が採用されている。
【0006】
このうち一のフレーム又はフィールドの画像信号に対応する表示を行う間は、奇数行に配列された画素電極を対向電極の電位を基準として正極性の電位で駆動すると共に偶数行に配列された画素電極を対向電極の電位を基準として負極性の電位で駆動し、これに続く次のフレーム又はフィールドの画像信号に対応する表示を行う間は、逆に偶数行に配列された画素電極を正極性の電位で駆動すると共に奇数行に配列された画素電極を負極性の電位で駆動する(即ち、同一行の画素電極を同一極性の電位により駆動しつつ、係る電位極性を行毎にフレーム又はフィールド周期で反転させる)1H反転駆動方式が、制御が比較的容易であり高品位の画像表示を可能ならしめる反転駆動方式として用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サンプリング回路の各サンプリングスイッチを第1導電型TFTから構成し且つ前述の1H反転駆動等の反転駆動のために、画像信号の振幅の中心電圧に対して極性反転を伴う該画像信号をサンプリングする場合には、各サンプリングスイッチのゲート電圧を一定とすると、正極性の画像信号のサンプリング時と負極性の画像信号のサンプリング時との間で、ソースドレイン電流の流れ易さが相互に異なる。より具体的には、Nチャネルの第1導電型トランジスタをサンプリング回路に用いた場合には、負フィールドで、相対的に大きなソースドレイン電流が流れ、書き込み量が増加する。逆に、正フィールドで、相対的に小さいソースドレイン電流が流れて、書き込み量が減少する。従って、負フィールドと正フィールドとで、液晶に印加される電圧が相互に異なってしまうので、フィールド周波数或いは反転駆動周波数に応じたフリッカが表示画面に現れてしまうという問題点がある。
【0008】
これに対し、CMOS(Complementary MOS)型TFTで各サンプリングスイッチを構成して、正フィールドと負フィールドとの間でソースドレイン電流の流れ易さを均等にする対策もあり得る。しかしながら、この対策によれば、高精細度の要請下で画素ピッチの微細化を進めると、各データ線に対して一対一対応で設けられるサンプリングスイッチのレイアウト設計が困難になるという問題点が生じる。同様に保持容量でフリッカを押さえ込む対策においても、画素ピッチの微細化を進めると、保持容量を作り込む領域が狭くなってしまうため、レイアウト設計が困難になるという問題点が生じる。
【0009】
本発明は上述した問題点に鑑みなされたものであり、1H反転駆動等の反転駆動を行うと共にサンプリング回路を備えてなり、フリッカを低減可能な電気光学装置、そのような電気光学装置に用いられる駆動回路、並びにそのような電気光学装置を具備してなる各種電子機器を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の電気光学装置は、一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなり、前記第1基板上に、第1表示用電極と、該第1表示用電極に対応して設けられたスイッチング素子と、該スイッチング素子に電気的に接続されたデータ線とを備え、前記第1基板上における前記第1表示用電極が配置された画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に、画像信号の振幅の中心電圧に対して極性反転を伴う該画像信号をサンプリングして前記データ線に供給するサンプリング用の第1導電型トランジスタを含んでなるサンプリング回路と、前記第1導電型トランジスタのゲートに対してサンプリング回路駆動信号を供給するシフトレジスタを含んでなるデータ線駆動回路とを備え、前記第2基板上に、前記第1表示用電極に対向する第2表示用電極を備え、さらに、前記第1導電型トランジスタのゲートに出力側が接続され、前記サンプリング回路駆動信号を前記第1導電型トランジスタのゲートに入力するインバータと、前記インバータの電源を、前記極性反転に応じて変動させ、前記第1導電型トランジスタのゲート電圧となる前記サンプリング回路駆動信号の電圧を、前記極性反転に応じて変動させるゲート電圧変動手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、画像信号線上に供給される画像信号が、サンプリング回路によってサンプリングされる。そして、このサンプリングされた画像信号は、データ線に供給され、更にスイッチング素子を介して、例えば画素電極、ストライプ状電極等の第1表示用電極に供給される。他方、例えばベタ状の対向電極、ストライプ状電極等の第2表示用電極には、対向電極電位、共通電位、走査信号電位等の電圧が所定タイミングで印加される。よって、第1及び第2表示用電極の間に存在する液晶等の電気光学物質に、画像信号に応じた電圧が印加され、電気光学動作が行われる。この際、画像信号は、極性反転を伴っており、前述した1H反転駆動等の反転駆動が行われることとなり、これにより液晶等の電気光学物質における直流電圧印加による劣化を効果的に避けることが出来ると共にフリッカを防止できる。
ここで特に、ゲート電圧変動手段は、サンプリング回路を構成するサンプリング用の、即ちサンプリングスイッチとしての第1導電型トランジスタのゲート電圧を、極性反転に応じて変動させる。より具体的には、第1導電型トランジスタのゲートに出力側が接続され、サンプリング回路駆動信号を第1導電型トランジスタのゲートに入力するインバータと、インバータの電源を、極性反転に応じて変動させ、第1導電型トランジスタのゲート電圧となるサンプリング回路駆動信号の電圧を、極性反転に応じて変動させるゲート電圧変動手段とを備えている。このため、本発明の如く、サンプリング回路を第1導電型トランジスタから構成している場合であっても、画像信号の振幅の中心電圧に対して極性反転を伴う該画像信号が高電位側(即ち正極性)の時と低電位側(即ち負極性)の時との間で、ソースドレイン電流の流れ易さが相互に近付くようにゲート電圧を変動させれば、前述の如く極性によらずにゲート電圧を固定する背景技術と比較して、フリッカを低減することが可能となる。
例えば、Nチャネル型トランジスタであると、負極性時の方がソースドレイン電流が流れ易くなるので、負極性時に、ゲート電圧を相対的に小さくして書き込み能力を低下させ、且つ正極性時に、ゲート電圧を相対的に大きくして書き込み能力を向上させればよい。
或いは、Pチャネル型トランジスタであると、正極性時の方がソースドレイン電流が流れ易くなるので、正極性時に、ゲート電圧を相対的に小さくして書き込み能力を低下させ、且つ負極性時に、ゲート電圧を相対的に大きくして書き込み能力を向上させればよい。
【0012】
しかも、このようなサンプリング回路の各サンプリングスイッチは、第1導電型トランジスタからなるので、高精細化の要請の下で画素ピッチの微細化することにより、データ線のピッチが狭まり、これと一対一対応するサンプリングスイッチのピッチが狭まっても、前述の如きCMOS型の場合と比較して、十分に平面レイアウトに余裕が生まれる。
【0013】
以上の結果、高精細化を進めつつ、1H反転駆動等の反転駆動を良好に行うことができ、しかもフリッカが低減された高品位の画像表示が可能となる。
【0014】
本発明の電気光学装置の一態様によれば、前記ゲート電圧変動手段は、前記第1導電型トランジスタの書き込み能力が、前記画像信号の極性が正である場合と負である場合との間で一致するように前記ゲート電極を前記極性反転に応じて切り替える。
【0015】
この態様によれば、極性反転を伴う画像信号が正極性の時と負極性の時との間で、第1導電型トランジスタの書き込み能力、即ちソースドレイン電流の流れ易さが一致するようにゲート電圧を変動させるので、当該極性反転による書き込み能力の差に起因したフリッカを極力低減することが可能となる。
【0018】
この態様では、前記複数の画素電極は、第1の周期で反転駆動されるための第1の画素電極群及び該第1の周期と相補の第2の周期で反転駆動されるための第2の画素電極群を含むと共に前記第1基板上に平面配列されているように構成してもよい。
【0019】
このように構成すれば、アクティブマトリクス駆動において、例えば1H反転駆動、1S反転駆動、ドット反転駆動等の反転駆動を実行できる。
【0025】
また、本発明の電気光学装置は、一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなり、前記第1基板上に、第1表示用電極と、該第1表示用電極に対応して設けられたスイッチング素子と、該スイッチング素子に電気的に接続されたデータ線とを備え、前記第1基板上における前記第1表示用電極が配置された画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に、画像信号の振幅の中心電圧に対して極性反転を伴う該画像信号をサンプリングして前記データ線に供給するサンプリング用の第1導電型トランジスタを含んでなるサンプリング回路と、前記第1導電型トランジスタのゲートに対してサンプリング回路駆動信号を供給するシフトレジスタを含んでなるデータ線駆動回路とを備え、 前記第2基板上に、前記第1表示用電極に対向する第2表示用電極を備え、さらに、前記第1導電型トランジスタのゲートに出力側が接続され、ゲート制御端子に前記サンプリング回路駆動信号が入力されるトランスミッションゲートと、前記トランスミッションゲートの入力側に、前記極性反転に応じて変動する電圧を入力し、前記第1導電型トランジスタのゲート電圧となる前記サンプリング回路駆動信号の電圧を前記極性反転に応じて変動させるゲート電圧変動手段とを備えたことを特徴とする。
【0026】
このように構成すれば、サンプリング回路駆動信号のタイミングで、トランスミッションゲートからの出力電圧が、第1導電型トランジスタのゲートに入力される。この際、トランスミッションゲートの入力側に、ゲート電圧変動手段によって画像信号の極性反転に応じて変動する電圧(例えば、正極性用及び負極性用に用意された二つの電圧)を入力することで、トランスミッションゲートからの出力電圧である第1導電型トランジスタのゲート電圧を変動させられる。即ち、サンプリング回路を第1導電型トランジスタから構成している場合であっても、極性反転を伴う画像信号が正極性の時と負極性の時との間で、ソースドレイン電流の流れ易さが相互に近付くようにトランスミッションゲートへの入力電圧を変動させれば、フリッカを低減することが可能となる。
【0032】
上述のデータ線駆動回路を備えた態様では、複数nの前記第1導電型トランジスタのゲートには、所定数m(但し、mは2以上n未満の自然数)の第1導電型トランジスタからなるグループ毎に、同一のサンプリング回路駆動信号が並列に供給されるように構成してもよい。
【0033】
このように構成すれば、所謂シリアル−パラレル変換によって、複数本のデータ線からなるデータ線群を同時に駆動することになる。ここで特に、データ線の本数、即ちサンプリングスイッチとしての第1導電型トランジスタの個数と比べて、そのゲート電圧を変動可能に供給するインバータやトランスミッションゲートの個数は、1/mに削減されている。従って、比較的簡単な構成を有する第1導電型トランジスタについては、画素ピッチで作り込みつつ、比較的複雑な構成を有するインバータやトランスミッションゲートについては、画素ピッチの1/mのピッチで作り込めばよい。この結果、余裕を持って回路レイアウトを行うことができ、実践上大変有利である。
【0038】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備してなる。
【0039】
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品位の画像表示が可能な、投射型表示装置、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0040】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
【0042】
(第1実施形態)
先ず本発明の電気光学装置に係る第1実施形態ついて、図1から図6を参照して説明する。図1は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路を、その周辺駆動回路と共に示した回路図であり、図2は、この回路中のインバータを示す回路図であり、図3は、この回路中の第1導電型TFTの書き込み能力特性を示す特性図である。図4(a)は、第1導電型TFTのゲート電圧を固定した比較例におけるデータ線への書き込み電圧を示すタイミングチャートであり、図4(b)は、第1導電型TFTのゲート電圧を変動させる本実施形態におけるデータ線への書き込み電圧を示すタイミングチャートである。図5は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。図6は、図5のA−A’断面図である。尚、図6においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0043】
図1において、本実施形態における電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には夫々、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。走査信号が供給される走査線3aが、TFT30のゲートに電気的に接続されている。画素電極9a及び蓄積容量70が、TFT30のドレインに電気的に接続されている。
【0044】
電気光学装置は、画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104及びサンプリング回路301を備えて構成されている。
【0045】
データ線駆動回路101は、サンプリング回路駆動信号線114を介して、サンプリング回路駆動信号をサンプリング回路301に順次供給するように構成されている。
【0046】
サンプリング回路301は、サンプリング用の、即ちサンプリングスイッチとしての第1導電型TFT302を複数備える。各第1導電型TFT302は、画像信号線115からの引き出し線116にそのソースが接続され、データ線6aにそのドレインが接続され、サンプリング回路駆動信号線114にそのゲートが接続されている。そして、データ線駆動回路101から供給されるサンプリング回路駆動信号のタイミングで、画像信号線115上の画像信号をサンプリングして、画像信号画像信号S1、S2、…、Snとして、各データ線6aに順次書き込むように構成されている。
【0047】
他方、走査線駆動回路104は、パルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、所定のタイミングでこの順に線順次で、走査線3aに供給するように構成されている。
【0048】
画像表示領域内では、TFT30のゲートに、走査線駆動回路104から走査線3aを介して走査信号G1、G2、…、Gmが線順次で印加される。画素電極9aには、画素スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。蓄積容量70は、後に詳述する如く、画素電極9aに接続された画素電位側容量電極と、これに誘電体膜を挟んで対向配置された固定電位側容量電極とを含んでなる。走査線3aと並んで配列された固定電位の容量線300の一部が、このような固定電位側容量電極とされている。
【0049】
本実施形態では、同一行の画素電極9aを同一極性の電位により駆動しつつ、係る電位極性を行毎にフィールド周期で反転させる1H反転駆動が行われる。即ち、画像信線115上に供給される画像信号は、フィールド単位で極性反転を伴う信号である。これにより液晶における直流電圧印加による劣化を効果的に避けることができる。
【0050】
ここで特に、本実施形態の電気光学装置には、電圧選択発生回路401が設けられている。電圧選択発生回路401は、データ線駆動回路101等と同様に、周辺領域に作り込まれてもよいし、COG(Chip On Glass)型等の外付けICとして取り付けられてもよく、或いは、外部回路接続端子を介して適当な配線を介して接続されてもよい。電圧選択発生回路401は、二つの相異なるレベルの電圧を、フィールド周期で交互に切り替えて、電源配線402に電源電圧VCLとして供給可能に構成されている。データ線駆動回路101は、シフトレジスタ501からの出力が夫々入力されると共に電源配線402を介して電源電圧VCLにより動作するインバータ502を備えており、インバータ502の出力を前述のサンプリング回路駆動信号として出力するように構成されている。
【0051】
より具体的には、図2(a)に、図1と同様の記号で示すインバータ502は、例えば図2(b)に示す回路構成を有しており、入力電圧IN(即ち、図1におけるシフトレジスタ501の出力信号の電圧)が一定であっても、電源電圧VCLが二値変化すると、その出力電圧OUT(即ち、図1におけるサンプリング回路駆動信号の電圧)も、二値変化するように構成されている。
【0052】
ここで、サンプリング回路301は、サンプリングスイッチとして第1導電型トランジスタ302から構成されているため、仮にそのゲート電圧を一定にしてしまうと、第1導電型TFT302の書き込み能力、即ちソースドレイン電流の流れ易さは、正フィールドの画像信号と負フィールドの画像信号との間で相異なってしまう。
【0053】
より具体的には、例えば図3に示すようなゲート−ソース間の電圧VGS[V]に対するソース−ドレイン電流I[A]の特性を有する第1導電TFT302の場合、画像信号が正フィールドと負フィールドとの場合で、ソース−ドレイン電流の流れ易さ、或いは当該第1導電型302の書き込み能力には、Δの差が存在している。ここで、図4(a)に比較例として示したように、ゲート電圧VGを規定するVCLを正フィールドと負フィールドとの間で一定にしてしまうと、当該第1導電型TFT302を介して書き込まれる画像信号電圧Videoは、正フィールドと負フィールドとの間で非対称となる。この結果、正フィールドと負フィールドとの間で、当該電気光学装置における透過率の差が生じるので、フィールド周波数のフリッカが生じてしまうのである。
【0054】
しかるに、本実施形態では、図4(b)に示したように電源電圧VCLを正フィールドと負フィールドとの間で所定電圧分だけ変動させることによって、当該第1導電型TFT302を介して書き込まれる画像信号電圧Videoは、正フィールドと負フィールドとの間で対称となるのである。ここに、正フィールドと負フィールドとの間で変動させる所定電圧分は、実験的、経験的又は理論的に或いはシミュレーションによって、正フィールドと負フィールドとの間で対称となる画像信号Videoが得られる際の電圧分として、予め求めることができる。即ち、このように求めた二値の電源電圧VCLを電源選択発生回路401に予め設定しておけば、その後の動作時には、係る二値の電源電圧VCLをフィールド周期で交互に選択しつつ発生させることによって、第1導電型TFT302による正負フィールド間の書き込み能力が殆ど又は実用上全くないように、画像信号のサンプリングを行うことが可能となる。
【0055】
以上のように、図4(a)に示した比較例の場合と比べて、図4(b)に示した本実施形態によれば、第1導電型TFT302でサンプリングを実行するにもかかわらず、フリッカを低減できる。しかも、このようなサンプリング回路301の各サンプリングスイッチは、第1導電型TFT302からなるので、データ線6aのピッチを狭めても、例えばCMOS型のサンプリングスイッチの場合と比較して、平面レイアウトは容易である。
【0056】
次に図5に示すように、電気光学装置のTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線3aが設けられている。
【0057】
また、半導体層1aのうち図5中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a’に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極を含む。走査線3aは、チャネル領域1a’に対向するゲート電極部分が幅広に構成されている。
【0058】
このように、走査線3aとデータ線6aの本線部61aとの交差する個所には夫々、チャネル領域1a’に走査線3aの一部がゲート電極として対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
【0059】
蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての中継層71と、固定電位側容量電極としての容量線300の一部とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。
【0060】
容量線300は、例えば金属又は合金を含む導電性の遮光膜からなり上側遮光膜(内蔵遮光膜)の一例を構成すると共に固定電位側容量電極としても機能する。容量線300は、例えばTi(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。容量線300は、Al(アルミニウム)、Ag(銀)等の他の金属を含んでもよい。但し、或いは、容量線300は、例えば導電性のポリシリコン膜等からなる第1膜と高融点金属を含む金属シリサイド膜等からなる第2膜とが積層された多層構造を持ってもよい。
【0061】
他方、中継層71は、例えば導電性のポリシリコン膜からなり画素電位側容量電極として機能する。中継層71は、画素電位側容量電極としての機能の他、上側遮光膜としての容量線300とTFT30との間に配置される、光吸収層或いは上側遮光膜の他の例としての機能を持ち、更に、画素電極9aとTFT30の高濃度ドレイン領域1eとを中継接続する機能を持つ。但し、中継層71も、容量線300と同様に、金属又は合金を含む単一層膜若しくは多層膜から構成してもよい。
【0062】
容量線300は平面的に見て、走査線3aに沿ってストライプ状に伸びており、TFT30に重なる個所が図5中上下に突出している。そして、図5中縦方向に夫々延びるデータ線6aと図5中横方向に夫々延びる容量線300とが相交差して形成されることにより、TFTアレイ基板10上におけるTFT30の上側に、平面的に見て格子状の上側遮光膜(内蔵遮光膜)が構成されており、各画素の開口領域を規定している。
【0063】
TFTアレイ基板10上におけるTFT30の下側には、下側遮光膜11aが格子状に設けられている。下側遮光膜11aは、前述の如く上側遮光膜の一例を構成する容量線300と同様に、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。或いは、Al、Ag等の他の金属を含んでなる。
【0064】
容量電極としての中継層71と容量線300との間に配置される誘電体膜75は、例えば膜厚5〜200nm(ナノメートル)程度の比較的薄いHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、あるいは窒化シリコン膜等から構成される。蓄積容量70を増大させる観点からは、膜の信頼性が十分に得られる限りにおいて、誘電体膜75は薄い程良い。
【0065】
また容量線300は、画素電極9aが配置された画像表示領域からその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続されて、固定電位とされる。係る定電位源としては、図1に示したデータ線駆動回路101や走査線駆動回路104に供給される正電源や負電源の定電位源でもよいし、対向基板20の対向電極21に供給される定電位でも構わない。更に、下側遮光膜11aについても、その電位変動がTFT30に対して悪影響を及ぼすことを避けるために、容量線300と同様に、画像表示領域からその周囲に延設して定電位源に接続するとよい。
【0066】
画素電極9aは、中継層71を中継することにより、コンタクトホール83及び85を介して半導体層1aのうち高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続されている。即ち、本実施形態では、中継層71は、蓄積容量70の画素電位側容量電極としての機能及び光吸収層としての機能に加えて、画素電極9aをTFT30へ中継接続する機能を果たす。このように中継層71を利用すれば、層間距離が例えば2000nm程度に長くても、両者間を一つのコンタクトホールで接続する技術的困難性を回避しつつコンタクトホール及び溝で両者間を良好に接続でき、画素開口率を高めること可能となり、コンタクトホール開孔時におけるエッチングの突き抜け防止にも役立つ。
【0067】
図6に示すように、電気光学装置は、透明なTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。
【0068】
TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド膜などの有機膜からなる。
【0069】
他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド膜などの有機膜からなる。
【0070】
対向基板20には、格子状又はストライプ状の遮光膜を設けるようにしてもよい。このような構成を採ることで、前述の如く上側遮光膜を構成する容量線300及びデータ線6aと共に当該対向基板20上の遮光膜により、対向基板20側からの入射光がチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに侵入するのを、より確実に阻止できる。
【0071】
このように構成された、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、後述のシール材により囲まれた空間に電気光学物質の一例である液晶が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態をとる。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。シール材は、TFTアレイ基板10及び対向基板20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のギャップ材が混入されている。
【0072】
更に、画素スイッチング用TFT30の下には、下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、下側遮光膜11aからTFT30を層間絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用TFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。
【0073】
図6において、画素スイッチング用TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a'、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0074】
走査線3a上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール83が各々開孔された第1層間絶縁膜41が形成されている。
【0075】
第1層間絶縁膜41上には中継層71及び容量線300が形成されており、これらの上には、コンタクトホール81及び85が各々開孔された第2層間絶縁膜42が形成されている。
【0076】
第2層間絶縁膜42上にはデータ線6aが形成されており、これらの上には、中継層71へ通じるコンタクトホール85が形成された第3層間絶縁膜43が形成されている。画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜43の上面に設けられている。
【0077】
以上図1から図6を参照して説明したように第1実施形態によれば、電圧選択発生回路401及びインバータ502から、ゲート電圧変動手段の一例が構成されている。従って、高精細化を進めつつ、1H反転駆動を良好に行うことができ、フリッカが低減された高品位の画像表示が可能となる。
【0078】
尚、以上説明した実施形態では、画素スイッチング用のTFT30は、トップゲート型とされているが、ボトムゲート型のTFTであってもよい。加えて、TFT30は、貼り合わせSOIによる単結晶半導体層を含んでなるように構成してもよい。また、スイッチング用TFT30は、好ましくは図6に示したようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を持ってよいし、走査線3aの一部からなるゲート電極をマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度ソース及びドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。更にまた本実施形態では、画素スイッチング用のTFT30のゲート電極を高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1e間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。更にまた、投射型或いは透過型の液晶装置に限らず、反射型の液晶装置に本発明を適用しても、本実施形態によるフリッカを低減する効果は同様に得られる。
【0079】
加えて、本実施形態における1H反転駆動方式では、駆動電圧の極性を、一行毎に反転させてもよいし、相隣接する2行毎に或いは複数行毎に反転させてもよい。
【0080】
(第2実施形態)
次に本発明の電気光学装置の第2実施形態ついて、図7を参照して説明する。図7は、第2実施形態におけるデータ線駆動回路及びサンプリング回路に係る部分を拡大して示す拡大ブロック図である。
【0081】
第2実施形態は、上述の第1実施形態と比べて、データ線駆動回路及び画像信号線に係る構成及び動作が異なり、その他の構成及び動作については同様である。このため以下では、第1実施形態と異なる構成及び動作について説明する。
【0082】
図7に示すように第2実施形態では、画像信号線115’はm(但し、mは2以上の自然数)本設けられており、シリアル−パラレル変換された画像信号が供給される。そして、これらm本の画像信号線115’に接続されたm個の第1導電型TFT302に対して、1個のインバータ502’の出力が、分岐したサンプリング回路駆動信号線114’を介して供給され、これらm個の第1導電型TFT502が同時駆動されるように構成されている。即ち、第2実施形態によれば、m本の相隣接するデータ線6aを同時に駆動するように構成されている。
【0083】
尚、同時駆動する数(m)としては、例えば6、12、24、…等が採用される。同時駆動する数を増やせば、駆動周波数を下げることができる。
【0084】
このように第2実施形態では、データ線6aの本数と比べて、インバータ502の個数は、1/mに削減されている。従って、比較的簡単な構成を有する第1導電型TFT302については、微細な画素ピッチで作り込みつつ、比較的複雑な構成を有するインバータ502(図2(b)参照)については、係る画素ピッチの1/mのピッチで作り込めばよいので、第1実施形態と比べて平面レイアウトが一層容易となる。
【0085】
(第3実施形態)
次に本発明の電気光学装置の第3実施形態ついて、図8及び図9を参照して説明する。図8は、第3実施形態におけるデータ線駆動回路及びサンプリング回路に係る部分を拡大して示す拡大ブロック図である。図9は、この回路中のトランスミッションゲートを示す回路図である。
【0086】
第3実施形態は、上述の第1実施形態と比べて、データ線駆動回路及び画像信号線に係る構成及び動作が異なり、その他の構成及び動作については同様である。このため以下では、第1実施形態と異なる構成及び動作について説明する。
【0087】
図8に示すように第3実施形態では、データ線駆動回路101は、第1実施形態と比べると、インバータ502に代えてトランスミッションゲート510を複数備える。各トランスミッションゲート510の出力端子は、サンプリング回路駆動信号線114に接続されている。各トランスミッションゲート510の入力端子は、二値の電源電圧VCLが供給される電源配線402に接続されている。そして、各トランスミッションゲートの制御端子に、シフトレジスタ501から順次出力される出力信号が入力されるように構成されている。
【0088】
より具体的には、図9(a)に、図8と同様の記号で示すトランスミッションゲート510は、例えば図9(b)に示す回路構成を有しており、シフトレジスタ501の出力電圧SR(及びその反転出力電圧SRINV)が一定であっても、入力電圧IN(即ち、図8における電源電圧VCLの電圧)が二値変化すると、その出力電圧OUT(即ち、図8におけるサンプリング回路駆動信号の電圧)も、二値変化するように構成されている。
【0089】
このように第3実施形態では、トランスミッションゲート510を用いて、第1導電型TFT302のゲート電圧を変動させることができ、表示画像におけるフリッカを低減することが可能となる。
【0097】
(電気光学装置の全体構成)
以上のように構成された各実施形態における電気光学装置の全体構成を図10及び図11を参照して説明する。尚、図10は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図11は、図10のH−H´断面図である。
【0098】
図10において、TFTアレイ基板10の上には、シール材52がその縁に沿って設けられており、その内側に並行して、画像表示領域10aの周辺を規定する額縁としての遮光膜53が設けられている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。走査線3aに供給される走査信号遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路104は片側だけでも良いことは言うまでもない。また、データ線駆動回路101を画像表示領域10aの辺に沿って両側に配列してもよい。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的に導通をとるための導通材106が設けられている。そして、図11に示すように、図10に示したシール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材52によりTFTアレイ基板10に固着されている。
【0099】
尚、TFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、複数のデータ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0100】
以上図1から図11を参照して説明した実施形態では、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(Tape Automated bonding)基板上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
【0101】
以上説明した実施形態における電気光学装置は、プロジェクタに適用されるため、3枚の電気光学装置がRGB用のライトバルブとして各々用いられ、各ライトバルブには各々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、各実施形態では、対向基板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、画素電極9aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20上に形成してもよい。このようにすれば、プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー電気光学装置について、各実施形態における電気光学装置を適用できる。また、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。あるいは、TFTアレイ基板10上のRGBに対向する画素電極9a下にカラーレジスト等でカラーフィルタ層を形成することも可能である。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい電気光学装置が実現できる。更にまた、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー電気光学装置が実現できる。
【0102】
(電子機器の実施形態)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに図12は、投射型カラー表示装置の図式的断面図である。
【0103】
図12において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置100を含む液晶モジュールを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0104】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう電気光学装置、その駆動回路及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電気光学装置に係る実施形態における画像表示領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路を、その周辺駆動回路と共に示した回路図である。
【図2】 図1の回路中のインバータを示す回路図である。
【図3】 図1の回路中の第1導電型TFTの書き込み能力特性を示す特性図である。
【図4】 第1導電型TFTのゲート電圧を固定した比較例におけるデータ線への書き込み電圧を示すタイミングチャート及び、第1導電型TFTのゲート電圧を変動させる本実施形態におけるデータ線への書き込み電圧を示すタイミングチャートである。
【図5】 実施形態の電気光学装置におけるデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図6】 図2のA−A'断面図である。
【図7】 第2実施形態におけるデータ線駆動回路及びサンプリング回路に係る部分を拡大して示す拡大ブロック図である。
【図8】 第3実施形態におけるデータ線駆動回路及びサンプリング回路に係る部分を拡大して示す拡大ブロック図である。
【図9】 図8の回路中のトランスミッションゲートを示す回路図である。
【図10】 実施形態の電気光学装置におけるTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図11】 図10のH−H'断面図である。
【図12】 本発明の電子機器の実施形態である投射型カラー表示装置の一例たるカラー液晶プロジェクタを示す図式的断面図である。
【符号の説明】
3a…走査線
6a…データ線
9a…画素電極
10…TFTアレイ基板
20…対向基板
30…TFT
50…液晶層
101…走査線駆動回路
104…データ線駆動回路
301…サンプリング回路
302…第1導電型TFT
401…電圧選択発生回路
502…インバータ
510…トランスミッションゲート
Claims (8)
- 一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなり、
前記第1基板上に、第1表示用電極と、該第1表示用電極に対応して設けられたスイッチング素子と、該スイッチング素子に電気的に接続されたデータ線とを備え、
前記第1基板上における前記第1表示用電極が配置された画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に、画像信号の振幅の中心電圧に対して極性反転を伴う該画像信号をサンプリングして前記データ線に供給するサンプリング用の第1導電型トランジスタを含んでなるサンプリング回路と、前記第1導電型トランジスタのゲートに対してサンプリング回路駆動信号を供給するシフトレジスタを含んでなるデータ線駆動回路とを備え、
前記第2基板上に、前記第1表示用電極に対向する第2表示用電極を備え、
さらに、前記第1導電型トランジスタのゲートに出力側が接続され、前記サンプリング回路駆動信号を前記第1導電型トランジスタのゲートに入力するインバータと、
前記インバータの電源を、前記極性反転に応じて変動させ、前記第1導電型トランジスタのゲート電圧となる前記サンプリング回路駆動信号の電圧を、前記極性反転に応じて変動させるゲート電圧変動手段とを備えたことを特徴とする電気光学装置。 - 一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなり、
前記第1基板上に、第1表示用電極と、該第1表示用電極に対応して設けられたスイッチング素子と、該スイッチング素子に電気的に接続されたデータ線とを備え、
前記第1基板上における前記第1表示用電極が配置された画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に、画像信号の振幅の中心電圧に対して極性反転を伴う該画像信号をサンプリングして前記データ線に供給するサンプリング用の第1導電型トランジスタを含んでなるサンプリング回路と、前記第1導電型トランジスタのゲートに対してサンプリング回路駆動信号を供給するシフトレジスタを含んでなるデータ線駆動回路とを備え、
前記第2基板上に、前記第1表示用電極に対向する第2表示用電極を備え、
さらに、前記第1導電型トランジスタのゲートに出力側が接続され、ゲート制御端子に前記サンプリング回路駆動信号が入力されるトランスミッションゲートと、
前記トランスミッションゲートの入力側に、前記極性反転に応じて変動する電圧を入力し、前記第1導電型トランジスタのゲート電圧となる前記サンプリング回路駆動信号の電圧を前記極性反転に応じて変動させるゲート電圧変動手段とを備えたことを特徴とする電気光学装置。 - 前記ゲート電圧変動手段は、前記第1導電型トランジスタの書き込み能力が、前記画像信号の極性が正である場合と負である場合との間で一致するように前記ゲート電極を前記極性反転に応じて切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
- 前記第1表示用電極は、画素単位でマトリクス状に設けられた複数の画素電極からなり、
前記複数の画素電極は、同一行の画素電極を同一極性の電位により駆動し、電位極性を行毎にフィールド周期で反転させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。 - 複数nの前記第1導電型トランジスタのゲートには、所定数m(但し、mは2以上n未満の自然数)の第1導電型トランジスタからなるグループ毎に、同一のサンプリング回路駆動信号が並列に供給されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記第1導電型トランジスタは、Nチャネル型トランジスタでなり、前記極性反転の負極性時のゲート電圧を、正極性時のゲート電圧より小さくすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記第1導電型トランジスタは、Pチャネル型トランジスタでなり、前記極性反転の負極性時のゲート電圧を、正極性時のゲート電圧より大きくすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
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