JP3707095B2 - 塗布方法及び塗布装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、エンドレスに形成された連続面を有する円筒状基材の外面上に、塗布液を均一に塗布する塗布装置及び塗布方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エンドレスに形成された連続面を有する円筒状基材の外面上へ薄膜で均一に塗布する方法としてスプレー塗布法、浸漬塗布法、ブレード塗布法、ロール塗布法等の種々の方法が検討されている。特に、電子写真感光体ドラムのような薄膜で均一な塗布については生産性の優れた塗布装置を開発すべく検討されている。
【0003】
スプレー塗布法ではスプレーガンより噴出した塗布液滴が該エンドレスに形成された連続面を有する円筒状基材の外周面上に到達するまでに溶媒が蒸発するために塗布液滴の固形分濃度が上昇してしまい、それにともない塗布液滴の粘度上昇が起こって液滴が面に到達したとき、液滴が面上を充分に広がらないために、あるいは乾燥して固体化してしまった粒子が表面に付着するために、塗布表面の平滑性の良いものがえられない。また、連続面を有する円筒状基材への液滴の到達率が100%でなく塗布液のロスがあったり部分的にも不均一であるため、膜厚コントロールが困難である。更に、高分子溶液等では糸引きを起こす事があるため使用する溶媒及び樹脂に制限がでてしまう。
【0004】
ブレード塗布法、ロール塗布法では、例えば円筒状基材の軸方向にブレードもしくはロールを配置し、該円筒状基材を回転させて塗布を行い円筒状基材を1回転させた後、ブレードもしくはロールを後退させるものである。しかしながらブレードもしくはロールを後退させる際、塗布液の粘性により、塗布膜厚の一部に他の部分より厚い部分が生じ、均一な塗膜が得られない欠点がある。
【0005】
浸漬塗布法では、上記におけるような塗布液表面の平滑性、塗布膜の均一性の悪い点は改良される。しかしながら、塗布膜厚の制御が塗布液物性、例えば、粘度、表面張力、密度、温度等と塗布速度に支配され、塗布液物性の調整が重要となる。また、塗布速度も低いし、塗布液槽を満たすためにはある一定量以上の液量が必要である。さらに重層する場合、下層成分が溶け出し塗布液槽が汚染されやすい等の欠点がある。
【0006】
そこで、特開昭58−189061号公報に記載の如く円形量規制型塗布装置(この中にはスライドホッパー型塗布装置が含まれる)の技術が開発された。このスライドホッパー型塗布装置はエンドレスに形成された連続周面を有する円筒状基材を連続的にその軸方向に移動させながら、その周囲を環状に取り囲み、円筒状基材の外周面に対して塗布液を塗布するものであって、さらに、この塗布装置は環状の液分配室と、この液分配室内の一部に対して外部から塗布液を供給する供給口と、前記液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットとを有し、このスリットから流出した塗布液を斜め下方に傾斜するスライド面上に流下させ、スライド面の下端の唇状部のスライドエッジと円筒状基材との僅かな間隙部分にビードを形成し、円筒状基材の移動に伴ってその外周面に塗布するものである。このスライドホッパー型塗布装置を用いることにより、少ない液量で塗布でき、塗布液が汚染されず、生産性の高い、膜厚制御の容易な塗布が可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記スライドホッパー型塗布装置やその塗布方法を用いても、なお、塗布液膜切れ(ビード切れによるものが多い)、あるいは、塗布ムラや膜厚の変動大きい、特に供給口付近と供給口から最も離れたところとの膜厚差が大きい等の欠点があった。
【0008】
本発明の目的は上記の課題に鑑みなされたもので、塗装膜切れ(ビード切れ)のない、塗布ムラや膜厚変動のない優れた塗布方法及び塗布装置を提供することにある。また、複数の塗布層を同時に円筒状基材の上に形成同時重層塗布、及び複数の塗布装置から塗布層を逐次、円筒状基材の上に形成する逐次重層塗布等の塗布方法及び塗布装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は下記のような手段により達成される。即ち、
(1)エンドレスに形成された連続周面を有する円筒状基材を移動させながら、塗布液を外部から供給する供給口より環状の液分配室を経て、該液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットを通じ、前記円筒状基材の周面を取り囲むように円筒状基材の全周にわたって近接形成されたホッパー塗布面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から、該ホッパー塗布面にあるスライド面上に塗布液を流出させ、前記円筒状基材とホッパー塗布面の先端部に連続的に供給させて塗布する方法において、前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、前記液分配室の高さが5〜50mmであり、且つ前記塗布液分配スリットの間隙の大きさに対する前記液分配室の高さとの比が1:10〜1000であることを特徴とする塗布方法であり、
(2)長手方向に移動する円筒状基材の周囲を環状に取囲み、その内部に環状の液分配室と、該液分配室に対して外部から塗布液を供給する供給口と、前記液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットと、該塗布液分配スリットの下側にスライド面と、を有する塗布装置において、前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設け、前記液分配室の高さが5〜50mmであり、且つ、前記塗布液分配スリットの間隙の大きさに対する前記液分配室の高さとの比が1:10〜1000であることを特徴とする塗布装置であり、
(3)エンドレスに形成された連続周面を有する円筒状基材を移動させながら、塗布液を外部から供給する供給口より環状の液分配室を経て、該液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットを通じ、前記円筒状基材の周面を取り囲むように円筒状基材の全周にわたって近接形成されたホッパー塗布面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から、該ホッパー塗布面にあるスライド面上に塗布液を流出させ、前記円筒状基材とホッパー塗布面の先端部に連続的に供給させて塗布する方法において、前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、前記液分配室の高さが供給口側と該供給側から最も離れた側とで異なることを特徴とする塗布方法であり、
(4)長手方向に移動する円筒状基材の周囲を環状に取り囲み、その内部に環状の液分配室と、該液分配室に対して外部から塗布液を供給する供給口と、前記液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットと、該塗布液分配スリットの下側にスライド面と、を有する塗布装置において、前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、前記液分配室の高さが供給口側と該供給側から最も離れた側とで異なることを特徴とする塗布装置であり、
(5)エンドレスに形成された連続周面を有する円筒状基材を移動させながら、塗布液を外部から供給する供給口より環状の液分配室を経て、該液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットを通じ、前記円筒状基材の周面を取り囲むように円筒状基材の全周にわたって近接形成されたホッパー塗布面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から、該ホッパー塗布面にあるスライド面上に塗布液を流出させ、前記円筒状基材とホッパー塗布面の先端部に連続的に供給させて塗布する方法において、前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、前記液分配室の容積が20〜1000ccであることを特徴とする塗布方法であり、
(6)長手方向に移動する円筒状基材の周囲を環状にとり囲み、その内部に環状の液分配室と、該液分配室に対して外部から塗布液が流入してくる供給口と、前記液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットと、該塗布液分配スリットの下側にスライド面と、を有する塗布装置において、前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、前記液分配室の容積が20〜1000ccであることを特徴とする塗布装置である。
【0010】
【作用】
以上のように構成した作用について説明すると、
請求項1の塗布方法は、エンドレスに形成された連続周面を有する円筒状基材を移動させながら、塗布液を外部から供給する供給口より環状の液分配室を経て、該液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットを通じ、前記円筒状基材の周面を取り囲むように円筒状基材全周にわたって近接形成されたホッパー塗布面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から、該ホッパー塗布面にあるスライド面上に塗布液を流出させ、前記円筒状基材とホッパー塗布面の先端部に連続的に供給させて塗布する方法であって、液分配室の最上部を塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、液分配室の高さが5〜50mmであり、且つ前記スリットの間隙の大きさに対する前記液分配室の高さとの比が1:10〜1000である。その結果として、塗装膜切れ(ビート切れ)がなく、長手方向の塗布ムラが少ない。液分配室の高さが5mm未満であるとビードの安定性が悪く、また、50mmを越えると液供給口に近いところと最も離れたところでの膜厚差が大きくなる。さらに、液分配室の高さと前記スリットの間隙の大きさとの比(H比)が10未満であると、ビードの変動が大きい。また、1000より大きいと、デッドスペースが増加するため、塗布液の均質性が低下し、膜厚変動が大きく、塗布ムラが激しくなる。
【0011】
請求項2の塗布方法は、各々複数の塗布液分配スリット及び塗布液流出口を設け、異なる塗布液を塗布液分配スリット及び塗布液流出口から同一のホッパー塗布面の上に流出させる。複数の塗布層を同時に円筒状基材の上に形成させる。その結果として、同時重層塗布においても請求項1と同様の効果を得る。
【0012】
請求項3の塗布方法は、各々複数の塗布液分配スリット、塗布液流出口及びホッパー塗布面を設け、異なる塗布液を各々の塗布液分配スリットに供給する。さらに、各々の塗布液流出口から各々のホッパー塗布面に供給させ、複数の塗布層を円筒状基材の上に逐次に形成させる。その結果として、逐次重層塗布においても請求項1と同様の効果を得る。なお、逐次重層塗布においては、下層が未乾燥状態で、即ち乾燥ゾーンを通さないで逐次に塗布しても良いし、乾燥ゾーンを通して乾燥させた上に重層させても良い。
【0013】
請求項4の塗布装置は、長手方向に移動する円筒状基材の周囲を環状に取囲み、その内部に環状の液分配室と、該液分配室に対して外部から塗布液を供給する供給口と、前記液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットと、該塗布液分配スリットの下側にスライド面と、を有する塗布装置であって、液分配室の最上部を塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、液分配室の高さが5〜50mmであり、且つ、前記スリットの間隙の大きさに対する前記液分配室の高さとの比が1:10〜1000にする。その結果として、塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、長手方向の塗布ムラが少なくなる。液分配室の高さが5mm未満であるとビードの安定性が悪く、また、50mmを越えると液供給口に近いところと最も離れたところでの膜厚差が大きくなる。さらに、液分配室の高さと前記スリットの間隙の大きさとの比(H比)が10未満である。ビードの変動が大きい。また、1000より大きいと、デッドスペースが増加するため、塗布液の均質性が低下し、膜厚変動が大きく、塗布ムラが激しくなる。
【0014】
請求項5の塗布装置は、塗布液分配スリットの間隙が30μm〜1mmである。その結果として、請求項4において、より塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、長手方向の塗布ムラが少ない。スリットの間隙は基材の移動速度や液送液量等にもよるが、上記の範囲で膜厚変動が小さく、塗布ムラが少ない。
【0015】
請求項6の塗布方法は、エンドレスに形成された連続周面を有する円筒状基材を移動させながら、塗布液を外部から供給する供給口より環状の液分配室を経て、該液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットを通じ、前記円筒状基材の周面を取り囲むように円筒状基材の全周にわたって近接形成されたホッパー塗布面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から、該ホッパー塗布面にあるスライド面上に塗布液を流出させ、前記円筒状基材とホッパー塗布面の先端部に連続的に供給させて塗布する方法において、前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、前記液分配室の高さが供給口側と該供給側から最も離れた側とで異なるようにする。その結果として、塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、円周方向の塗布ムラが少ない。供給口側と該供給口側から最も離れた側とでは装置内の液圧が異なり、最も離れたところでは2つの液流がぶつかり合うため(液供給口が1つの場合を考えると分かり易い)、円周方向の膜厚変動が大きい。これの液圧差と液のぶつかりあいの影響を防ぐため、液分配室(液溜まり室)の高さを入り口側と最も離れた位置で差をつけることにより達成できた。好ましくは入口側の方の高さが小さい方がよく、H比=入り口側と最も離れた位置の高さ/入口側高さとしたとき、H比=1.01から5.00が良い。
【0016】
請求項7の塗布方法は、各々複数の塗布液分配スリット及び塗布液流出口を設け、異なる塗布液を塗布液分配スリット及び塗布液流出口から同一のホッパー塗布面の上に流出させ、複数の塗布層を同時に円筒状基材の上に形成させることを特徴とする。その結果として、同時重層塗布においても請求項6と同様の効果を得る。
【0017】
請求項8の塗布方法は、各々複数の塗布液分配スリット、塗布液流出口及びホッパー塗布面を設け、異なる塗布液を各々の塗布液分配スリットに供給し、各々の塗布液流出口から各々のホッパー塗布面に供給させ、複数の塗布層を円筒状基材の上に逐次に形成させる。その結果として、逐次重層塗布においても請求項6と同様の効果を得る。なお、下層が未乾燥状態で、即ち乾燥ゾーンを通さないで逐次に塗布しても良いし、乾燥ゾーンを通して乾燥させた上に重層させても良い。
【0018】
請求項9の塗布装置は、長手方向に移動する円筒状基材の周囲を環状に取り囲み、その内部に環状の液分配室と、該液分配室に対して外部から塗布液を供給する供給口と、前記液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットと、該塗布液分配スリットの下側にスライド面と、を有する塗布装置において、前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、前記液分配室の高さが供給口側と該供給側から最も離れた側とで異なる。その結果として、塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、円周方向の塗布ムラが少ない。
【0019】
請求項10の塗布装置は、前記液分配室の高さが、前記供給側から最も離れた位置で漸増する。その結果として、請求項9において、より塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、円周方向の塗布ラが少ない。
【0020】
請求項11の塗布方法は、エンドレスに形成された連続周面を有する円筒状基材を移させながら、塗布液を外部から供給する供給口より環状の液分配室を経て、液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットを通じ、前記円筒状基材の周面を取り囲むように円筒状基材の全周にわたって近接形成されたホッパー塗布面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から、該ホッパー塗布面にあるスライド面上に塗布液を流出させ、前記円筒状基材とホッパー塗布面の先端部に連続的に供給させて塗布する方法において、前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、前記液分配室の容積を20〜1000ccとする。その結果として、塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、膜厚ムラが少ない、また、送液の脈動変動に強い。なお、20ccより小さいと送液系や振動による液脈動を拾い、長手方向や円周方向の膜厚ムラが発生する。また、1000ccよりも大きいと、供給口に近いところと最も離れたところとの脈変動差が大きく、円周方向の膜厚ムラが大きく、又デッドスペースが増加するため塗布液の均質性が低下し塗布ムラが発生する。なお、好ましくは30〜900ccである。
【0021】
請求項12の塗布方法は、各々複数の塗布液分配スリット及び塗布液流出口を設け、異なる塗布液を塗布液分配スリット及び塗布液流出口から同一のホッパー塗布面にあるスライド面の上に流出させ、複数の塗布層を同時に円筒状基材の上に形成させる。その結果として、同時重層塗布においても請求項11と同様の効果を得る。
【0022】
請求項13の塗布方法は、各々複数の塗布液分配スリット、塗布液出口及びホッパー塗布面を設け、異なる塗布液を各々の塗布液分配スリットに供給し、各々の塗布液流出口から各々のホッパー塗布面にあるスライド面上に流出させ、複数の塗布層を円筒状基材上に逐次形成させる。その結果として、逐次重層塗布においても、請求項11と同様の効果を得る。なお、下層が未乾燥状態で、即ち乾燥ゾーンを通さないで逐次に塗布しても良いし、乾燥ゾーンを通して乾燥させた上に重層させても良い。
【0023】
請求項14の塗布装置は、長手方向に移動する円筒状基材の周囲を環状にとり囲み、環状の液分配室と、該液分配室に対して外部から塗布液が流入してくる供給口と、前記液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットと、該塗布液分配スリットの下側にスライド面と、を有する塗布装置において、前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、前記液分配室の容積を20〜1000ccにする。その結果として、塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、膜厚ムラが少ない、また、送液の脈動変動に強い。なお、20ccより小さいと送液系や振動による液脈動を拾い、長手方向や円周方向の膜厚ムラが発生する。また、1000ccよりも大きいと、供給口に近いところと最も離れたところとの脈変動差が大きく、円周方向の膜厚ムラが大きく、又デッドスペースが増加するため塗布液の均質性が低下し塗布ムラが発生する。なお、好ましくは30〜900ccである。
【0024】
請求項15の塗布装置は、前記供給口における流速が0.01〜1.0m/secである。その結果として、請求項14において、より塗布膜切れ(ビート切れ)が無くなり、膜厚ムラが少なくなり、送液の脈動変動に強い。
【0025】
【実施例】
次に実施例により本発明を説明するが、これに限定されるものではない。
【0026】
図1は、本発明に係わる塗布装置例の断面図で、中心線Yに沿って垂直状に重ね合わしたエンドレスに形成された円筒状基材1A,1Bと該円筒状基材1A,1Bに順次感光用の塗布液2を塗布する塗布装置を示す。図の様に円筒状基材1A取り囲む様に塗布液2のホッパー塗布面4が形成され、該ホッパー塗布面4に供給される塗布液2を前記円筒状基材1Aに順次塗布する様に構成している。塗布方法としては、前記塗布ヘッド3を固定し、前記円筒状基材1Aを中心線Yに沿って矢印方向に上昇移動させながら上端部より塗布を行う。その周囲を取り囲み、円筒状基材1A,1Bの外周面に対し塗布装置の塗布に直接係わる部分の塗布ヘッド3により塗布液2が塗布される。塗布ヘッド3には、円筒状基材1A,1B側に開口する塗布液流出口9を有する幅狭の塗布液分配スリット(スリットと略称する)8が水平方向に形成されている。このスリット8は環状の液分配室7に連通し、この環状の液分配室7には塗布液タンク5内の塗布液2を送液ポンプ6の塗布液供給部6Aにより供給管を介して供給するようになっている。他方、スリット8の塗布液流出口9の下側には、連続して下方に傾斜し基材の外寸よりやや大なる寸法で終端をなすように形成されたスライド面4が形成されている。さらに、このスライド面4の終端より下方に延びる唇状部が形成されている。かかる塗布装置による塗布においては、円筒状基材1A,1Bを引き上げる過程で、塗布液2をスリット8から押し出し、スライド面4に沿って流下させると、スライド面終端に至った塗布液は、そのスライド面終端と円筒状基材1A,1Bの外周面との間にビードを形成した後、円筒状基材の表面に塗布される。なお、円筒状基材としては中空ドラム、例えば、アルミニウムドラム、プラスチックドラムの他、シームレスベルト型の基材でも良い。
【0027】
図2は、図1に係わる塗布装置例の斜視図で、さらに詳しくは塗布装置の一部を切欠して示す斜視図である。
【0028】
図3は、本発明に係わる他の塗布装置例の断面図で、液分配室7が供給口側の高さH3と該供給側から最も離れた側の高さH4とで異なる塗布装置である。なお、図1と同一の部材には同一符号をつけると共に、機構的、機能的に変わらないものについてはその説明を省略する。
【0029】
前記液分配室7は図の如く入り口側と最も離れた側とで水平面に対してある角度αをもって傾斜勾配を有する。この角度αの範囲は円筒状基材の直径や塗布装置の大きさにより変わるが、前述した用にH比=H4/H3が1.01から5になるような角度が良い。また、スライド面終端と円筒状基材は、ある間隔をもって配置されているため基材を傷付けることなく、また性質の異なる層を多層形成させる場合においても、既に塗布された層を損傷することなく塗布できる。さらに性質が異なり同一溶媒に溶解する層を多層形成させる際にも、浸漬塗布方法と比べて溶媒中に存在する時間がはるかに短いので、下層成分が上層側へ殆ど溶出しないし、塗布層にも溶出することなく塗布できる。本発明の塗布方法は、薄膜で均一な塗布膜を要求する電子写真感光体ドラム、静電記録体の製造、ローラー表面上への被覆、エンドレス帯状物等の外周面への塗膜形成等に用いられそれらに制限される事はない。即ちエンドレスに形成された連続面を有する基材の外周面の塗布方法として用いられる。塗布は基材自体が移動しても塗布装置が移動しても良く、更に円筒状基材を回転しても良い。
【0030】
図4は、本発明に係わる他の塗布装置例の断面図である。なお、図1と同一の部材には同一符号をつけると共に、機構的、機能的に変わらないものについてはその説明を省略する。液分配室7の容積Vは20から1000ccが好ましい。
【0031】
スライド面終端と円筒状基材は、ある間隙を持って配置されているため基材を傷つける事なく、また性質の異なる層を多層形成させる場合においても、既に塗布された層を損傷することなく塗布できる。更に性質が異なり同一溶媒に溶解する層を多層形成させる際にも、浸漬塗布方法と比べて溶媒中に存在する時間がはるかに短いので、下層成分が上層側へ殆ど溶出しないし、塗布層にも溶出することなく塗布できる。本発明の塗布方法は、薄膜で均一な塗布膜を要求する電子写真感光体ドラム、静電記録体の製造、ローラー表面上への被覆、エンドレス帯状物等の外周面への塗膜形成等に用いられそれらに制限される事はない。即ちエンドレスに形成された連続面を有する基材の外周面の塗布方法として用いられる。塗布は基材自体が移動しても塗布装置が移動しても良く、更に円筒状基材を回転しても良い。
【0032】
以上の塗布装置を用いて円筒状基材1A,1Bに塗布液2を塗布した時の実施例及び比較例を以下に示す。
【0033】
〈実施例1−1〉
円筒状基材(塗布ドラムとも言う)1A,1Bの導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記支持体上に下記の如く塗布液組成物UCL−1を調整し、図1に記載の如くのスライドホッパー型塗布装置を用いて、表1に記載の如く液分配室の高さ及びH比を調整して塗布し、塗布ドラムNo.A1−1〜No.A1−3を得た。
【0034】
UCL−1塗布液組成物
共重合ナイロン樹脂(CM−8000 東レ社製) 2g
メタノール/n−ブタノール=10/1(Vol比) 1000g
結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
本発明の塗布方法によれば、表1から明らかな如く、塗布液のビード切れ、塗布ムラ、色ムラや膜厚変動特に円周方向の塗布ムラがなく良好であった。
【0037】
〈実施例1−2〉
円筒状基材(塗布ドラムとも言う)1A,1Bの導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記支持体上に下記の如く塗布液組成物CGL−1を分散調製し、図1に記載の如くスライドホッパー型塗布装置を用いて、表2に記載の如く液分配室の高さ及びH比を調整して塗布し、塗布ドラムNo.A2−1〜No.A2−3を得た。
【0038】
CGL−1塗布液組成物
フルオレノン型ジスアゾ顔料(CGM−1) 25g
ブチラール樹脂(エスレックBX−L 積水化学社製) 10g
メチルエチルケトン 1430ml
上記塗布液組成物をサンドミルを用いて20時間分散したもの。
【0039】
上記のCGM−1の化学式を以下に示す。
【0040】
【化1】
【0041】
塗布結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
本発明の塗布方法によれば、表2から明らかな如く、塗布液のビード切れ、塗布ムラ、色ムラや膜厚変動特に円周方向の塗布ムラがなく良好であった。
【0044】
〈実施例1−3〉
(実施例及び比較例)
円筒状基材(塗布ドラムとも言う)1A,1Bの導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記支持体上に下記の如く塗布液組成物CTL−1を調製し、図1に記載の如くのスライドホッパー型塗布装置を用いて、表3に記載の如く液分配室の高さ及びH比を調整して塗布し、塗布ドラムNo.A3−1〜No.A3−7を得た。
【0045】
CTL−1塗布液組成物
CTM−1 500g
ポリカーボネート(Z−200 三菱瓦斯化学社製) 560g
1,2−ジクロロエタン 2800ml
上記のCTM−1の化学式を以下に示す。
【0046】
【化2】
【0047】
塗布結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
本発明の塗布方法によれば、表3から明らかな如く、塗布液のビード切れ、塗布ムラ、色ムラや膜厚変動特に円周方向の塗布ムラがなく良好であった。
【0050】
また、図9に塗布ドラムNo.A3−2とNo.A3−5の円周方向の膜厚プロフィールを示し、図9(A)はA3−2を図9(B)はA3−5を示す。図で90度の位置が供給口となっている。図9に示すように、本発明のものは良好な結果となっている。
【0051】
〈実施例1−4〉
円筒状基材(塗布ドラムとも言う)1A,1Bの導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記支持体上に下記の如く各塗布組成物CGL−3、CGL−4を分散調製し、図1に記載のスライドホッパー型塗布装置を用いて、表4に記載の如く液分配室の高さ及びH比を調整して塗布し、塗布ドラムNo.A4−1〜No.A4−6を得た。
【0052】
CGL−3塗布液組成物
Y−型チタニルフタロシアニン(CGM−3) 10g
シリコーン樹脂(KR−5240 信越化学社製) 10g
t−酢酸ブチル 1000ml
上記塗布液組成物をサンドミルを用いて20時間分散したもの。
【0053】
CGL−4塗布液組成物
ペリレン系顔料(CGM−4) 50g
ブチラール樹脂(エスレックBX−L 積水化学社製) 50g
メチルエチルケトン 2400ml
上記塗布液組成物をサンドミルを用いて20時間分散したもの。
【0054】
上記CGM−3、CGM−4の化学式を以下に示す。
【0055】
【化3】
【0056】
【化4】
【0057】
また、塗布結果を表4に示す。
【0058】
【表4】
【0059】
本発明の塗布方法によれば、表4から明らかな如く、塗布液のビード切れ、塗布ムラ、色ムラや膜厚変動特に円周方向の塗布ムラがなく良好であった。
【0060】
更に、表5に記載の如く液分配室の高さH比を調整し、下記CTL−2塗布液組成物を塗布ドラムNo.A4−1〜No.A4−6上にそれぞれ逐次重層塗布を行い、塗布ドラムNo.A5−1〜No.A5−6を得た。
【0061】
CTL−2塗布液組成物
CTM−2 500g
ポリカーボネート(Z−200 三菱瓦斯化学社製) 560g
1,2−ジクロロエタン 2800ml
上記CTM−2の化学式を以下に示す。
【0062】
【化5】
【0063】
また、塗布結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
【0065】
本発明の塗布方法によれば、表5に示す如く、多層からなる有機感光体を組み上げ実写テストを行ったところ、塗布ムラに起因する画像ムラはなく良好な画像が得られた。
【0066】
〈実施例2−1〉
(実施例及び比較例)
円筒状基材(塗布ドラムとも言う)1A,1Bの導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記支持体上に下記の如く塗布液組成物UCL−1〜3を調製し、図3に記載の如くのスライドホッパー型塗布装置(H比)を用いて、表6に記載の如く塗布し、塗布ドラムNo.B1−1〜No.B1−7を得た。
【0067】
また、塗布結果を表6に示す。
【0068】
【表6】
【0069】
本発明の塗布方法によれば、表6から明らかな如く、塗布ムラ、色ムラ、塗布膜切れ(ビート切れ)や膜厚変動特に円周方向のムラがなった。
【0070】
〈実施例2−2〉
(実施例及び比較例)
円筒状基材(塗布ドラムとも言う)1A,1Bの導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記支持体上に下記の如く塗布液組成物CGL−1、−3、−4を調製し、図3に記載の如くのスライドホッパー型塗布装置(H比)を用いて、表7に記載の如く塗布し、塗布ドラムNo.B2−1〜No.B2−7を得た。
【0071】
CGL−1塗布液組成物
フルオレノン型ジスアゾ顔料(CGM−1) 25g
ブチラール樹脂(エスレックBX−L 積水化学社製) 10g
メチルエチルケトン 1430ml
上記塗布液組成物をサンドミルを用いて20時間分散したもの。
【0072】
CGL−3塗布液組成物
Y−型チタニルフタロシアニン(CGM−3) 10g
シリコーン樹脂(KR−5240 信越化学社製) 10g
t−酢酸ブチル 1000ml
上記塗布液組成物をサンドミルを用いて17時間分散したもの。
【0073】
CGL−4塗布液組成物
ペリレン系顔料(CGM−4) 50g
ブチラール樹脂(エスレックBX−L 積水化学社製) 50g
メチルエチルケトン 2400ml
上記塗布液組成物をサンドミルを用いて20時間分散したもの。
【0074】
また、塗布結果を表7に示す。
【0075】
【表7】
【0076】
本発明の塗布方法によれば、表7から明らかな如く、塗布ムラ、色ムラ、塗布膜切れ(ビート切れ)や膜厚変動特に円周方向のムラがなった。
【0077】
〈実施例2−3〉
(実施例及び比較例)
円筒状基材(塗布ドラムとも言う)1A,1Bの導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記支持体上に下記の如く塗布液組成物CTL−1を調製し、図3に記載の如くのスライドホッパー型塗布装置(H比)を用いて、表8に記載の如く塗布し、塗布ドラムNo.B3−1〜No.B3−3を得た。
【0078】
CTL−1塗布液組成物
CTM−1 500g
ポリカーボネート(Z−200 三菱瓦斯化学社製) 560g
1,2−ジクロロエタン 2800ml
また、塗布結果を表8に示す。
【0079】
【表8】
【0080】
本発明の塗布方法によれば、表7から明らかな如く、塗布ムラ、色ムラ、塗布膜切れ(ビート切れ)や膜厚変動特に円周方向のムラがなった。また、図10に塗布ドラムNo.B3−1とNo.B3−3の円周方向の膜厚プロフィールを示し、図10(A)はB3−1を、図10(B)はB3−3を示す。図で90度は給液口となっている。図に示すように、本発明のものは良好な結果となっている。
【0081】
〈実施例2−4〉
円筒状基材(塗布ドラムとも言う)1A,1Bの導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。実施例2の塗布ドラムNo.B2−1からNo.B2−6上に、実施例2−3の塗布液組成物CTL−1を表9の如く、図3に記載のスライドホッパー型塗布装置(H比)を用いて逐次重層した。
【0082】
また、塗布結果を表9に示す。
【0083】
【表9】
【0084】
表9に示す如く塗布性は良好であり、円周方向の塗布膜厚ムラはなかった。
【0085】
〈実施例3−1〉
(実施例及び比較例)
円筒状基材(塗布ドラムとも言う)1A,1Bの導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記支持体上に下記の如く塗布液組成物UCL−1から3を調製し、図4に記載の如くのスライドホッパー型塗布装置(液分配室の容積を変えた)を用いて、表10に記載の如く塗布し、塗布ドラムNo.C1−1〜No.C1−7を得た。
【0086】
塗布結果を表10に示す。
【0087】
【表10】
【0088】
本発明の塗布方法によれば、表10から明らかな如く、塗布膜切れ(ビート切れ)、塗布ムラ、色ムラや膜厚特に円周方向や長手方向の塗布ムラ、段ムラがなく良好であった。
【0089】
〈実施例3−2〉
(実施例及び比較例)
円筒状基材(塗布ドラムとも言う)1A,1Bの導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記支持体上に下記の如く塗布液組成物CGL−1、−3、−4を調製し、図4に記載の如くのスライドホッパー型塗布装置(液分配室の容積を変えた)を用いて、表11に記載の如く塗布し、塗布ドラムNo.C2−1〜No.C2−7を得た。
【0090】
CGL−1塗布液組成物
フルオレノン型ジスアゾ顔料(CGM−1) 25g
ブチラール樹脂(エスレックBX−L 積水化学社製) 10g
メチルエチルケトン 1430ml
上記塗布液組成物をサンドミルを用いて20時間分散したもの。
【0091】
CGL−3塗布液組成物
Y−型チタニルフタロシアニン(CGM−3) 10g
シリコーン樹脂(KR−5240 信越化学社製) 10g
t−酢酸ブチル 1000ml
上記塗布液組成物をサンドミルを用いて17時間分散したもの。
【0092】
CGL−4塗布液組成物
ペリレン系顔料(CGM−4) 50g
チラール樹脂(エスレックBX−L 積水化学社製) 50g
メチルエチルケトン 2400ml
上記塗布液組成物をサンドミルを用いて20時間分散したもの。
【0093】
塗布結果を表11に示す。
【0094】
【表11】
【0095】
本発明の塗布方法によれば、表11から明らかな如く、塗布膜切れ(ビート切れ)、塗布ムラ、色ムラや膜厚特に円周方向や長手方向の塗布ムラ、段ムラがなく良好であった。
【0096】
〈実施例3−3〉
円筒状基材(塗布ドラムとも言う)1A,1Bの導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記支持体上に下記の如く塗布液組成物CTL−1を調製し、図4に記載の如くのスライドホッパー型塗布装置(液分配室の容積を変えた)を用いて、表12に記載の如く塗布し、塗布ドラムNo.C3−1〜No.C3−4を得た。
【0097】
CTL−1塗布液組成物
CTM−1 500g
ポリカーボネート(Z−200 三菱瓦斯化学社製) 560g
1,2−ジクロロエタン 2800ml
塗布結果を表12に示す。
【0098】
【表12】
【0099】
本発明の塗布方法によれば、表12から明らかな如く、塗布膜切れ(ビート切れ)、塗布ムラ、色ムラや膜厚特に円周方向や長手方向の塗布ムラ、段ムラがなく良好であった。図11は塗布ドラムNo.C3−1とNo.C3−3の長手方向と円周方向の膜厚プロフィールを示し、図11(A−1)はC3−1の長手方向、(A−2)はC3−1の円周方向を示し、図11(B−1)はC3−1の長手方向、(B−2)はC3−1の円周方向を示す。図のように本発明のものは良好な結果となっている。
【0100】
〈実施例3−4〉
円筒状基材(塗布ドラムとも言う)1A,1Bの導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。
【0101】
実施例2の塗布ドラムNo.C2−1からNo.C2−5上に、実施例3の塗布液組成物CTL−1を表13の如く、図4に記載のスライドホッパー型塗布装置(液分配室の容積を変えた)を用いて逐次重層した。
【0102】
塗布結果を表13に示す。
【0103】
【表13】
【0104】
表13に示す如く塗布性は良好であり、円周方向及び長手方向の塗布膜厚ムラはなかった。多層からなる有機感光体を組み上げ実写テストを行ったところ、塗布ムラに起因する画像ムラはなく良好な画像が得られた。
【0105】
図5は、本発明に係わる他の塗布装置の断面図で、さらに、詳しくは前記図1の塗布装置を同時に重層塗布する装置である。エンドレスに形成した円筒状基材1A,1Bに感光体となる塗布液を同時に重層塗布する。中心線Yに沿って垂直状に重ね合わせた円筒状基材1A,1Bと、該円筒状基材1A,1Bに順次感光用の塗布液2を塗布する塗布装置を示す。図の様に前記円筒状基材1Aを取り囲む様に、塗布液2,2Aのホッパー塗布面4が形成され、該ホッパー塗布面4に供給される塗布液2,2Aを前記円筒状基材1Aに順次塗布する様に構成している。塗布方法としては、前記塗布ヘッド3を固定し、前記円筒状基材1Aを中心線Yに沿って矢印方向に上昇移動させながら上端部より塗布を行う。前記塗布ヘッド3のホッパー塗布面4に塗布液2,2Aを供給するため、外部に設けた塗布液タンク5,51より液送ポンプ6の塗布液供給部6Aを下位置に、液送ポンプ61の塗布液供給部6Bを上位置に各々取り付けて前記塗布ヘッド3に接続し、塗布液2,2Aを供給する。
【0106】
次に供給された塗布液2,2Aは、前記塗布ヘッド3内に形成した環状の液分配室7には塗布液2を供給し、塗布ヘッド3内に形成した環状の液分配室71には前記塗布液2Aを供給する。先ず供給された塗布液2は塗布液分配スリット8よりエンドレスの塗布液流出口9より前記ホッパー塗布面4に塗布液2が連続的に供給され、前記円筒状基材1Aの全周面に先ず塗布液2に塗布される。
【0107】
更に前記塗布液分配室71には前記塗布液2Aが供給される。供給された塗布液2Aは塗布液分配スリット81よりエンドレスの塗布液流出口91より前記塗布された塗布液2面上に連続的に供給され、前記円筒状基材1Aの全周面に先ず塗布液2の表面に塗布液2Aが重層塗布される。なお、H1,H11はスリット隙間で、H21,H22は液分配室の高さで、H1に対するH2は所定の比となっている。
【0108】
図6は、本発明に係わる他の塗布装置の断面図で、さらに詳しくは図1の塗布装置を上下に配置した逐次重層塗布する塗布装置である。エンドレスに形成した円筒状基材1A,1Bに塗布液の重層塗布を行う。図1と同様にホッパー塗布面4に供給される塗布液2を前記円筒状基材1Aに順次塗布する。塗布方法としては、前記塗布ヘッド3を固定し、前記円筒状基材1Aを中心線Yに沿って矢印方向に上昇移動させながら上端部より塗布を行う。前記塗布ヘッド3のホッパー塗布面4に塗布液2を供給するため、外部に設けた塗布液タンク5より液送ポンプ6の塗布液供給部6Aを前記塗布ヘッド3に接続し、塗布液2を供給する。次に供給された塗布液2は、前記塗布ヘッド3内に形成した環状の液分配室7に供給されて塗布液分配スリット8よりエンドレスの塗布液流出口9より前記ホッパー塗布面4に塗布液2が連続的に供給され、塗布液2は円筒状基材1Aの全周面に一層目が塗布される。
【0109】
更に塗布ヘッド3の上部に塗布ヘッド32が設けられ、一層目の塗布液2は塗布され、前記塗布液2は熱源Hで乾燥され、円筒状基材1Aは矢示方向に上昇し、塗布ヘッド32のホッパー塗布面42に進入する。ホッパー塗布面42に供給される塗布液42を前記円筒状基材1Aに塗布された塗布液2を面上に順次重層塗布する。塗布方法としては、前記同様に前記塗布ヘッド32を固定し、前記円筒状基材1Aを中心線Yに沿って矢印方向に上昇移動させながら上端部より重層塗布を行う。塗布ヘッド32のホッパー塗布面42に塗布液2Aを供給するため、外部に設けた塗布液タンク52より液送ポンプ62の塗布液供給部6Cを塗布ヘッド32に接続し、塗布液2Aを供給する。次に供給された塗布液2Aは、塗布ヘッド32内に形成した環状の液分配室72に供給されて塗布液分配スリット82よりエンドレスの塗布液流出口92よりホッパー塗布面42に塗布液2Aが連続的に供給され、塗布液2Aは前記円筒状基材1Aに塗布された塗布液2の全周面に塗布れれる。なお、H1,H12はスリット隙間で、H2,H22は液分配室の高さを表す。
【0110】
図7は本発明に係わる他の塗布装置例の断面図で、図7(A)は、前記図3の塗布装置を同時に重層塗布するようにした装置である。なお、図3と同一の部材には同一符号をつけると共に、機構的、機能的に変わらないものについてはその説明を省略する。円筒状基材1A,1Bに感光体となる塗布液を同時に重層塗布する。環状の液分配室7,71は円筒状基材の周囲を環状にとり囲むように設けられている。H3,H31は供給口側の液分配室の高さで、H4,H41は供給口側から最も離れた側の液分配室の高さである。
【0111】
また、H3とH31は異なっており、H4とH41は異なっている。また、図7(B)は、前記図3の塗布装置を上下に配置し重層塗布するようにした装置である。なお、図3と同一の部材には同一符号をつけると共に、機構的、機能的に変わらないものについてはその説明を省略する。円筒状基材1A,1Bに感光体となる塗布液を同時に重層塗布する。環状の液分配室7,71は円筒状基材の周囲を環状にとり囲むようになっている。なお、H3,H32は供給口側の液分配室の高さで、H4,H42は供給口側から最も離れた側の液分配室の高さである。H3とH32,H4とH42とは異なっている。
【0112】
図8は本発明に係わる他の塗布装置例の断面図で、図8(A)は、前記図4の塗布装置を同時に重層塗布するようにした装置である。なお、図4と同一の部材には同一符号をつけると共に、機構的、機能的に変わらないものについてはその説明を省略する。円筒状基材1A,1Bに感光体となる塗布液を同時に重層塗布する。環状の液溜分配室7,71が長手方向に移動する円筒状基材の周囲を環状にとり囲み、液分配室の容積V,V1は20から1000ccが好ましい。図8(B)は、前記図4の塗布装置を上下に配置し重層塗布するようにした装置である。なお、図4と同一の部材には同一符号をつけると共に、機構的、機能的に変わらないものについてはその説明を省略する。円筒状基材1A,1Bに感光体となる塗布液を同時に重層塗布する。環状の液溜分配室7,72が長手方向に移動する円筒状基材の周囲を環状にとり囲み、液分配室の容積V,V2は20から1000ccが好ましい。
【0113】
【発明の効果】
以上のように構成したので、下記のような効果を奏する。
【0114】
請求項1によれば、塗装膜切れ(ビート切れ)がなく、長手方向の塗布ムラが少ない。
【0115】
請求項2によれば、請求項1において、同時重層塗布においても請求項1と同様の効果を得る。
【0116】
請求項3によれば、請求項1において、逐次重層塗布においても請求項1と同様の効果を得る。
【0117】
請求項4によれば、塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、長手方向の塗布ムラが少ない。
【0118】
請求項5によれば、請求項4において、より塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、長手方向の塗布ムラが少ない。
【0119】
請求項6によれば、塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、円周方向の塗布ムラが少ない。
【0120】
請求項7によれば、請求項6において、同時重層塗布においても請求項6と同様の効果を得る。
【0121】
請求項8によれば、請求項6において、逐次重層塗布においても請求項6と同様の効果を得る。
【0122】
請求項9によれば、塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、円周方向の塗布ムラが少ない。
【0123】
請求項10によれば、請求項9において、より塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、円周方向の塗布ラが少ない。
【0124】
請求項11によれば、塗布膜切れ(ビート切れ)が無くなり、膜厚ムラが少なくなり、送液の脈動変動に強い。
【0125】
請求項12によれば、請求項11において、同時重層塗布においても請求項11と同様の効果を得る。
【0126】
請求項13によれば、請求項11において、逐次重層塗布においても請求項11と同様の効果を得る。
【0127】
請求項14によれば、塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、膜厚ムラが少なく、送液の脈動変動に強い。
【0128】
請求項15によれば、請求項14において、より塗布膜切れ(ビート切れ)がなく、膜厚ムラが少なく、送液の脈動変動に強い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる塗布装置例の断面図である。
【図2】図1に係わる塗布装置例の斜視図である。
【図3】本発明に係わる他の塗布装置例の断面図である。
【図4】本発明に係わる他の塗布装置例の断面図である。
【図5】本発明に係わる他の塗布装置例の断面図である。
【図6】本発明に係わる他の塗布装置例の断面図である。
【図7】本発明に係わる他の塗布装置例の断面図である。
【図8】本発明に係わる他の塗布装置例の断面図である。
【図9】塗布ドラムのNo.A3−2、No.A3−5の円周方向の膜厚プロフィールである。
【図10】塗布ドラムのNo.B3−1、No.B3−3の円周方向の膜厚プロフィールである。
【図11】塗布ドラムのNo.C3−1、No.C3−3の長手方向と、円周方向の膜厚プロフィールである。
【符号の説明】
1A,1B 円筒状基材
2,2A 塗布液
3,32 塗布ヘッド
4,42 スライド面
5,51,52 塗布液タンク
6,61,62 送液ポンプ
6A,6B,6C 塗布液供給部
7,71,72 液分配室
8,81,82 塗布液分配スリット
9,91,92 塗布液流出口
Claims (15)
- エンドレスに形成された連続周面を有する円筒状基材を移動させながら、塗布液を外部から供給する供給口より環状の液分配室を経て、該液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットを通じ、前記円筒状基材の周面を取り囲むように円筒状基材の全周にわたって近接形成されたホッパー塗布面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から、該ホッパー塗布面にあるスライド面上に塗布液を流出させ、前記円筒状基材とホッパー塗布面の先端部に連続的に供給させて塗布する方法において、
前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、
前記液分配室の高さが5〜50mmであり、且つ前記塗布液分配スリットの間隙の大きさに対する前記液分配室の高さとの比が1:10〜1000であることを特徴とする塗布方法。 - 各々複数の塗布液分配スリット及び塗布液流出口を設け、異なる塗布液を塗布液分配スリット及び塗布液流出口から同一のホッパー塗布面の上に流出させ、複数の塗布層を同時に円筒状基材の上に形成させることを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
- 各々複数の塗布液分配スリット、塗布液流出口及びホッパー塗布面を設け、異なる塗布液を各々の塗布液分配スリットに供給し、各々の塗布液流出口から各々のホッパー塗布面に供給させ、複数の塗布層を円筒状基材の上に逐次形成させることを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
- 長手方向に移動する円筒状基材の周囲を環状に取囲み、その内部に環状の液分配室と、該液分配室に対して外部から塗布液を供給する供給口と、前記液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットと、該塗布液分配スリットの下側にスライド面と、を有する塗布装置において、
前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設け、
前記液分配室の高さが5〜50mmであり、且つ、前記塗布液分配スリットの間隙の大きさに対する前記液分配室の高さとの比が1:10〜1000であることを特徴とする塗布装置。 - 前記塗布液分配スリットの間隙が30μm〜1mmであることを特徴とする請求項4に記載の塗布装置。
- エンドレスに形成された連続周面を有する円筒状基材を移動させながら、塗布液を外部から供給する供給口より環状の液分配室を経て、該液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットを通じ、前記円筒状基材の周面を取り囲むように円筒状基材の全周にわたって近接形成されたホッパー塗布面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から、該ホッパー塗布面にあるスライド面上に塗布液を流出させ、前記円筒状基材とホッパー塗布面の先端部に連続的に供給させて塗布する方法において、
前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、
前記液分配室の高さが供給口側と該供給側から最も離れた側とで異なることを特徴とする塗布方法。 - 各々複数の塗布液分配スリット及び塗布液流出口を設け、異なる塗布液を塗布液分配スリット及び塗布液流出口から同一のホッパー塗布面の上に流出させ、複数の塗布層を同時に円筒状基材の上に形成させることを特徴とする請求項6に記載の塗布方法。
- 各々複数の塗布液分配スリット、塗布液流出口及びホッパー塗布面を設け、異なる塗布液を各々の塗布液分配スリットに供給し、各々の塗布液流出口から各々のホッパー塗布面に供給させ、複数の塗布層を円筒状基材の上に逐次形成させることを特徴とする請求項6に記載の塗布方法。
- 長手方向に移動する円筒状基材の周囲を環状に取り囲み、その内部に環状の液分配室と、該液分配室に対して外部から塗布液を供給する供給口と、前記液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットと、該塗布液分配スリットの下側にスライド面と、を有する塗布装置において、
前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、
前記液分配室の高さが供給口側と該供給側から最も離れた側とで異なることを特徴とする塗布装置。 - 前記液分配室の高さが、前記供給側から最も離れた位置で漸増することを特徴とする請求項9に記載の塗布装置。
- エンドレスに形成された連続周面を有する円筒状基材を移動させながら、塗布液を外部から供給する供給口より環状の液分配室を経て、該液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットを通じ、前記円筒状基材の周面を取り囲むように円筒状基材の全周にわたって近接形成されたホッパー塗布面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から、該ホッパー塗布面にあるスライド面上に塗布液を流出させ、前記円筒状基材とホッパー塗布面の先端部に連続的に供給させて塗布する方法において、
前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、
前記液分配室の容積が20〜1000ccであることを特徴とする塗布方法。 - 各々複数の塗布液分配スリット及び塗布液流出口を設け、異なる塗布液を塗布液分配スリット及び塗布液流出口から同一のホッパー塗布面にあるスライド面の上に流出させ、複数の塗布層を同時に円筒状基材の上に形成させる請求項11に記載の塗布方法。
- 各々複数の塗布液分配スリット、塗布液出口及びホッパー塗布面を設け、異なる塗布液を各々の塗布液分配スリットに供給し、各々の塗布液流出口から各々のホッパー塗布面にあるスライド面上に流出させ、複数の塗布層を円筒状基材上に逐次形成させる請求項11に記載の塗布方法。
- 長手方向に移動する円筒状基材の周囲を環状にとり囲み、その内部に環状の液分配室と、該液分配室に対して外部から塗布液が流入してくる供給口と、前記液分配室の内方に開口する塗布液分配スリットと、該塗布液分配スリットの下側にスライド面と、を有する塗布装置において、
前記液分配室最上部を前記塗布液分配スリットよりも上方に設けるとともに、
前記液分配室の容積が20〜1000ccであることを特徴とする塗布装置。 - 前記供給口における流速が0.01〜1.0m/secであることを特徴とする請求項14に記載の塗布装置。
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