JP2003190870A - 円筒体表面への塗工方法、および該方法により作製された定着用ローラ - Google Patents

円筒体表面への塗工方法、および該方法により作製された定着用ローラ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布液の粘度や塗布膜の膜厚による塗工工程
の制限を除去したうえで、より容易な装置で円筒体の表
面に塗布液を直接塗布でき、良好かつ均一な塗工膜を形
成することを可能にする。 【解決手段】 基板11上に塗工台2が往復移動可能に
取り付けられ、塗工台2には、円筒形状の芯金1の中心
線が水平となるように芯金1が取り付けられる。芯金1
は、その表面に塗布液8が塗布された円筒体の外径とほ
ぼ同じ内径を有するリング形状の塗工ヘッド31の内側
に配置される。塗工ヘッド31の内周面と芯金1との隙
間に塗布液8を供給し、芯金1をその軸線方向に塗工ヘ
ッド31の軸線と同軸に移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機やファクシ
ミリ等のOA機器において定着、加圧、帯電、転写、現
像等に使用される円筒体形状のローラの製造方法に係わ
り、ローラの表面に塗布液を直接かつ良好で均一に塗工
する方法、およびその方法により作製された定着用ロー
ラに関する。
【0002】
【従来の技術】円筒体の表面に塗布液を塗布する塗工方
法としては、従来、例えばスプレー塗工法、浸漬塗工
法、ロール塗工法、ブレード塗工法、ディスペンサーに
よる定量塗工法(特開平8−89867号公報)、垂直
型リング塗工法(特開平11−226472号公報)等
の種々の方法が検討されている。複写機やファクシミ
リ、LBP(laser beam printer)等の電子写真装置に
おいては、定着、加圧、帯電、転写、現像等、様々なプ
ロセスで円筒体すなわちローラが使用されており、その
様々な用途に応じて円筒体の表面に所望の機能を有する
膜を形成させている。特に近年では、そのような所望の
機能を発現させるために、均一な薄層から数ミリ程度の
厚みまでの塗膜が要求され、かつ、塗工する塗布液その
ものが多様化している。それに伴って塗布液も低粘度か
ら高粘度になるものもあり、そのため、従来の塗工方法
においてはそのような塗布液の塗工範囲をカバーできな
くなってきている。
【0003】例えば、前記スプレー塗工法は粘度が低い
塗布液にしか使用できず、塗布液の粘度が10Pa・s
以上であると、塗布液の霧化が困難になってしまう。こ
の場合、塗布液の粘度は室温でB型粘度計によって測定
した。また、前記ブレード塗工法およびロール塗工法
は、例えば、塗布される円筒体の軸線方向にブレードも
しくはロールを配置し、その円筒体を回転させながらブ
レードまたはロールによって塗布液を塗布する。円筒体
を1〜数回転だけ回転させた後、ブレードまたはロール
を後退させて塗布を終了する。この塗布終了時のブレー
ドもしくはロールの後退の際、塗布液の粘性によって円
筒体上の塗膜の一部に他の部分より厚い部分が発生し、
特に塗布液の粘度が高い場合にはこの厚い部分がその後
の塗膜のレベリングの際に回復できないほどになってし
まい、均一な塗膜が得られない。
【0004】また、前記浸漬塗工法では、スプレー塗工
法、ブレード塗工法およびロール塗工法等における塗膜
の不均一性の問題は改良されるが、塗膜の膜厚の制御が
塗布液の物性、例えば塗布液の粘度、表面張力および密
度、その他温度等により支配されるため、塗布液の物性
の調整が難しいうえ、塗布液が高粘度の場合には薄肉の
塗工が困難である。さらに、ディスペンサーによる定量
塗工法の場合にも、ノズルから吐出される塗布液が高粘
度であると、塗布液は吐出時の形状を維持しようとする
ため、そのままでは塗膜のレベリングが困難となり、さ
らに円筒体の回転により塗工時の厚みむらが大きくなっ
てしまうという欠点がある。このため、スプレー塗工
法、ブレード塗工法、ロール塗工法、および浸漬塗工法
においては高粘度の塗布液を溶媒により希釈し、その塗
布液を、塗工に必要な粘度にまで下げた状態で塗工し、
塗工後の工程で、塗布液の希釈に使用した溶媒を例えば
蒸発等により除去することにより塗膜を形成するしかな
かった。
【0005】これに対して、垂直型接触リング塗工法
は、円形開口部を有するリング状液漏れ防止用弾性体パ
ッキングを保持するリング状塗布部材を設け、その弾性
体パッキングの開口部に円筒体を接触させて挿入し、円
筒体をリング状塗布部材に対して相対的に鉛直上方に移
動させることにより円筒体の外周面に塗布液を塗布する
方法である。この方法においては、ある程度の粘度範囲
で塗工が可能であり、浸漬塗布方法と比較して浸漬時間
がかからないため、生産速度が早くなること、またこの
ような垂直型接触リング塗布方法は少量の塗液で塗布が
可能となること、また円筒体を連続的にリング状塗布部
材に供給することによって、連続した塗布が可能となる
こと、といった利点を有する。しかしながら、このよう
な垂直型接触リング塗布方法にあっては、被塗布物であ
る円筒体が、リング状塗布部材の一部である弾性体パッ
キングと接触しているため、塗布工程中に円筒体に傷が
生じてしまう欠点がある。
【0006】この欠点をなくす方法として、特開昭60
−95440号公報や特開昭91−8164号公報には
垂直型非接触リング塗布方法が開示されている。垂直型
非接触リング塗布方法は、開口部にエンドレスの塗液分
配スリットを有するリング状塗布部材を円筒体の外周面
に対して接触しないように近接配置し、そのスリットよ
り塗液を直接押し出して供給することにより液溜まりを
形成し、円筒体をリング状塗布部材に対して相対的に鉛
直上方に移動させることにより、円筒体の外周面に塗液
を塗布する方法である。しかしながら上記のような接
触、非接触の垂直型リング塗布方法においても、被塗工
物である円筒体を垂直に保持すると、重力による塗膜の
影響は避けられない。このため、塗布液の粘度、塗工膜
の厚み、塗工スピードのバランスによって塗工時および
塗工終了直後に塗液の液垂れが生じてしまう場合があ
り、塗布液の粘度および所望の膜厚によってはこの液垂
れを無くすことができなくなってしまうという問題点が
ある。また塗り始めや塗り終わりの際にも、やはり重力
による影響は避けられず、液出し液止め時に発生する塗
膜より若干厚めの液溜り部分が重力方向に流れ込んでし
まう事により膜厚の均一性が得られず、塗工部分を膜必
要長よりも十分に長く取る必要がある。
【0007】このため無駄な塗工が増えるばかりか、被
塗布物である円筒体を長めにしておかなければならない
と言った問題も発生してしまう。
【0008】またさらに、塗り終わりの際の液溜り部分
がリングの内面に付着することにより、次回の液出し時
の条件を変えてしまうため、リングの内面をクリーニン
グしなければならくなってしまうといった問題点があ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
技術によるスプレー塗工法、ブレード塗工法、ロール塗
工法、および浸漬塗工法では塗布液の粘度による塗布工
程の制限がある。例えば、高い粘度の塗布液は溶媒によ
る希釈が必要なため、塗布工程後に溶媒の除去に時間が
かかったり、溶媒の除去専用の回収装置が必要になった
りして装置的にも大掛かりとなってしまい結果的にコス
トアップとなってしまう。また、塗布液と溶媒のマッチ
ングにおいて糸引きや凝集等の不良が起きる場合がある
ため、塗布液の種類や溶媒に制限ができてしまうという
問題点がある。さらに、垂直型リング塗布方法において
は、上述したように塗布液の粘度、塗工膜の厚み、およ
び塗工スピードのバランスによって塗工時および塗工開
始時終了直後に塗液の液垂れが生じてしまう問題点があ
る。
【0010】本発明の目的は、塗布液の粘度や塗布膜の
膜厚による塗工工程の制限を除去し、より容易な装置で
円筒体の表面に塗布液を直接塗布して良好かつ均一な塗
工膜を形成することのできる塗工方法を提供することに
あり、また、その塗工方法によって円筒体に塗布液を塗
布することによって容易にかつ安価に製造でき、十分な
定着性、および均一でむらのない画像が得られる等の良
好な性能を持つ定着用ローラを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、円筒体の中心線が水平方向と平行となっ
た状態で塗布液を前記円筒体の表面に塗工する方法であ
って、前記円筒体の表面に前記塗工液を塗工した後の円
筒体の外径と略等しい内径を有するリング形状の塗工ヘ
ッドを用意する段階と、前記円筒体を前記塗工ヘッドの
内側に同軸上に配置させる段階と、前記塗工ヘッドの内
周面と前記円筒体の間の隙間に前記塗布液を供給する段
階と、前記円筒体に対して前記塗工ヘッドを前記円筒体
の軸方向に該軸線と同軸に相対移動させる段階と、を有
することを特徴とする。
【0012】上記の発明では、塗工ヘッドの内周面と円
筒体との隙間部分に塗布液を供給し、円筒体を水平状態
で塗工ヘッドを円筒体の軸線方向にその軸線と同軸に相
対移動させることで円筒体の表面に塗布液が塗工され
る。円筒体は水平状態であるため、重力の要因による塗
布液の液垂れを減らすことができ、特に塗工開始時終了
直後に塗液の液垂れをなくし、塗工必要部分への影響を
なくすことができる。その上、塗工終了時のヘッド内面
への塗工液の付着を減少させることができ、塗工ヘッド
のクリーニングを減少できる。また、塗工ヘッドが塗工
後の円筒体の外径とほぼ等しい内径を持つリング形状で
あるため、塗工時の塗工跡が残らない。さらに、塗工ヘ
ッドが塗布液を円筒体表面に押し付け、かつ塗布液を一
定の厚みにならしながら塗工が行われることとなるの
で、塗布液を直接、良好かつ均一に円筒体の表面に塗工
できる。リング形状の塗工ヘッドはその中心軸に対して
垂直な平面上で移動自由であり、円筒体に対する移動方
向後端部には塗工後の外径とほぼ等しい内径を持ち、内
周面における前部には、円筒体と外径と接触して円筒体
軸方向に円筒体軸と同軸に相対移動させるためのガイド
部分を持っていてもよい。塗工ヘッドがこのようなガイ
ド部分を持っている場合、塗工ヘッドの内周面の前部
に、塗布工程で塗布液が通過する凹部が形成され、その
凹部すなわち塗布液通過部分の断面積は塗工膜の断面積
より大きく作られており、塗工後の円筒体の外径とほぼ
等しい内径である塗工ヘッドの移動方向後端部に塗布液
が充分に供給できるようになっている。
【0013】また、前記円筒体の外周面と前記塗工ヘッ
ドの内周面との間に略均一な隙間が形成されるように前
記円筒体を前記塗工ヘッドの内側に配置し、前記塗工ヘ
ッドを前記円筒体の表面と非接触にすることが好まし
い。
【0014】上記の塗工方法では、塗工ヘッドはその中
心軸が円筒体の軸線と同軸の状態で相対移動できるよう
に中心軸に対して垂直な平面上に精密に位置決めされ、
固定されていることにより、塗工ヘッドを円筒体に対し
て非接触状態とすることができる。このように非接触状
態で塗工ヘッドと円筒体の表面とのギャップ部分に塗布
液を供給し、円筒体を水平状態で保持し塗工ヘッドを円
筒体の軸線方向にその軸線と同軸に相対移動させる。非
接触状態のため、円筒体に傷を生じさせてしまうことは
ない。円筒体は水平状態であるため、重力の要因による
塗布液の液垂れを減らすことができ、特に塗工開始時終
了直後に塗液の液垂れをなくし、塗工必要部分への影響
をなくすことができ、このため塗工終了時のヘッド内面
への塗工液の付着を減少させることができ、塗工ヘッド
のクリーニングを減少できる。また、塗工ヘッドが塗工
後の円筒体の外径とほぼ等しい内径を持つリング形状で
あるため、塗工時の塗工跡が残らない。さらに、塗工ヘ
ッドが塗布液を円筒体表面に押し付けかつ一定の厚みに
ならしながら塗工が行われることとなる。このため、塗
工ヘッドと円筒体の表面とのギャップ部分で塗布液に剪
断が加わることとなり、塗布液の液粘度を下げる効果が
でるので、塗布液の粘度が高くても塗布液を直接、良好
かつ均一に円筒体の表面に塗工できる。
【0015】また、前記円筒体に対して前記塗工ヘッド
を前記円筒体の軸方向に該軸線と同軸に相対移動させる
際、前記円筒体を回転させることがより好ましい。
【0016】さらに、前記塗工ヘッドが前記円筒体の軸
線に対して垂直な方向に移動自在に保持されると共に、
前記塗工ヘッドの内周面が、内径が前記円筒体に対する
移動方向前部から後部に向かって前記塗工後の円筒体の
外径と略等しくなるまで連続的に徐々に減少するテーパ
部を有しており、前記塗布液の塗工時には、前記塗工ヘ
ッドと前記円筒体の相対移動によりそれらの間に流れ込
む前記塗布液の液圧により前記塗工ヘッドが前記円筒体
と同軸に保持された状態で、前記塗布液の塗布を行うこ
とができる。
【0017】上記の塗工方法では、塗工時の塗工ヘッド
と円筒体の相対移動により塗工ヘッドのテーパ部に塗布
液が流れ込み、流れ込んだ塗布液の液圧により塗工ヘッ
ド自体が調芯され、円筒体と同軸度(同芯度)を保つた
め、高精度な位置決め機構や調整が要らなくなり、塗工
装置も簡略化され、安価なものにできる。塗工ヘッドは
それ自体の自重はあるが塗布液の粘度および塗工速度、
塗工膜の厚みのバランスでそのままでも良い場合もある
が、キャンセル(バランス)ウエイト等を付けることに
よって塗工ヘッド自体の重みを見かけ上なくすことで、
より安定した塗工が可能となる。なお、この際には塗工
ヘッドは回転方向には固定されていても自由であっても
良い。
【0018】さらに、前記塗工ヘッドの内周面と前記円
筒体との隙間に塗布液を供給するために、前記塗工ヘッ
ドに3つ以上の塗布液用供給口がそれぞれ前記塗工ヘッ
ドの中心軸周りに分配して形成され、あるいは前記塗工
ヘッドに前記塗工ヘッドの内周面に沿ったエンドレスの
溝及びこの溝に通じる開口部が形成されており、前記塗
布液の塗工時には、前記塗工ヘッドと前記円筒体の相対
移動によりそれらの間に流れ込む前記塗布液の液圧によ
り前記塗工ヘッドが前記円筒体と同軸に保持された状態
で、前記塗布液の塗布を行うことができる。
【0019】上記の塗工方法では、塗工ヘッドと円筒体
との隙間部分への塗布液の供給を多方向から同一の圧力
で、もしくは溝によって円周方向に均一に行うことによ
り、塗工ヘッド自体が積極的に調芯され、塗工ヘッドを
円筒体の軸線と同軸に保持できるようになる。このた
め、より多種の材料や、塗工膜の厚みなどの様々な塗工
条件において、安定した塗工が可能となる。なお、塗工
ヘッドはそれ自体の自重はあるが塗布液の粘度および塗
工速度、塗工膜の厚みのバランスでそのままでも良い場
合もある。塗工ヘッドにキャンセルウエイト等を付ける
ことによって塗工ヘッド自体の重みを見かけ上なくする
ことで、より安定した塗工が可能となる。なお、この際
には塗工ヘッドは回転方向には固定されていても自由で
あっても良いが、塗工ヘッドの構成を考えると、その構
成が簡単な固定の方が良い。
【0020】さらに、前記塗工ヘッドが、その中心軸周
りでの回転が規制された状態で前記円筒体の軸線に対し
て垂直な方向に移動自在に保持され、前記塗工ヘッドの
内周面に、前記円筒体との隙間が前記円筒体の回転方向
に向かって徐々に小さくなる形状の液溜め部分を3つ以
上有し、前記塗布液の塗工時に前記円筒体の回転によっ
て前記液溜め部分の塗布液において前記ギャップの変化
で発生する液圧と、前記塗工ヘッドと前記円筒体の相対
移動により生じる液圧とによって前記塗工ヘッドが前記
円筒体と同軸に保持された状態で、前記塗布液の塗工を
行うことができる。この場合、前記円筒体に対して前記
塗工ヘッドを前記円筒体の軸方向に該軸線と同軸に相対
移動させる際、前記円筒体を回転させている。
【0021】上記の塗工方法では、円筒体の回転により
塗布液に発生する液圧を積極的に利用することによっ
て、より大きな力で塗工ヘッド自体が調芯され、塗工ヘ
ッドを円筒体の軸線と同軸に保持された状態で塗工がで
きる。塗工ヘッドが塗工後の円筒体の外径とほぼ等しい
内径を持つリング形状であるため、塗工時の塗工跡が残
らない。さらに、塗工ヘッドと円筒体の表面とのギャッ
プ部分で塗布液にせん断が加わることとなり、液粘度を
下げる効果がでるので、塗布液の粘度が高くても塗工ヘ
ッドが塗布液を円筒体の表面に押し付け、かつ塗布液を
一定の厚みにならしながら塗工が行われることとなる。
これによって、より多種の材料や、塗工膜の厚みなどの
様々な塗工条件においても、塗布液を直接、良好かつ均
一に円筒体の表面に安定して塗工できる。
【0022】また、塗工液塗り終わり時にヘッド内部の
液圧を負圧化することが好ましい。液の供給圧を負圧化
すること等でヘッド内部の液圧を負圧化することで、塗
工液塗り終わり時のヘッドからの液離れを良くし液溜り
の防止と、ヘッド内面への塗工液の付着を減少させるこ
とが出来できる。
【0023】さらに、前記塗布液の粘度が10Pa・s
以上であってもよい。従来のスプレー塗工法では、塗布
液の粘度が10Pa・sであると塗布液の霧化が困難に
なってしまい、また他の方法でも、塗布液の粘度がその
ように高いと円筒体への直接の塗工が困難であるが、本
発明の塗工方法では、粘度が50Pa・s以上の塗布液
でも塗工膜厚が2mm以下であれば円筒体を水平状態で
固定しての円筒体を円筒体への直接の塗工が可能とな
る。また前記円筒体を回転させるのであれば、粘度が1
0Pa・s以上の塗布液でも塗工膜厚が2mm以下であ
れば円筒体への直接の塗工が可能となる。
【0024】上記のような塗工方法において、塗布液の
供給方法は塗布前に必要量を一度に供給しても良いし、
前記円筒体に対して前記塗工ヘッドを前記円筒体の軸方
向に該軸線と同軸に相対移動させる間、単位時間当りに
一定量だけ供給しても良い。ただし、塗布液を一度にた
くさん供給すると、供給時の液たまり部分の液落ちの心
配があるため、単位時間当りに一定量だけ供給すること
が望ましい。さらに、塗布液の供給口は塗工ヘッドと一
体でも良いし、塗工ヘッドとは別部材に形成されていて
も良い。また、塗布液を供給する位置は塗布液の粘度お
よび塗工膜の厚みの関係で液落ちしない状態であれば円
筒体の上方に限らずどの位置でも良い。
【0025】また、本発明は、電子写真装置でトナーを
被記録媒体に定着させるために用いられる定着用ローラ
であって、上記のいずれかの塗工方法によって円筒体の
表面に塗布液を塗布することで作製されたものである。
【0026】複写機やファクシミリ・LBP等の電子写
真装置において使用される定着用ローラは、近年その画
質および定着性の要求から金属芯金の上に薄肉のシリコ
ーンゴムをコートしたもの、もしくはさらにその上にフ
ッ素樹脂チューブを被覆したり、コーティングしたもの
が使用されている。定着用ローラにおいては定着性およ
び画像むら等の問題があるため、外径形状の精度と平滑
性が要求される。本発明の塗工方法を用いると、金属芯
金の上にシリコーンゴム原料を高粘度の状態で薄肉に直
接塗工でき、塗工後の塗布膜のレベリング等が必要ない
ため、本発明の塗工方法は、このような薄肉ゴム層を持
つ定着用ローラの塗工に適している。
【0027】なお、本発明の塗工方法は、上記のような
定着用ローラに限定されること無く、複写機やファクシ
ミリ等のOA機器で定着、加圧、帯電、転写、現像等に
使用される円筒体形状のローラおよびチューブに応用可
能であり、他にも円筒体の表面に高粘度の塗布液を薄層
でかつ均一に直接塗工する場合にも使用できる。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0029】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施形態の塗工方法が適用された装置を示す概略図
である。図2は、図1に示される塗工ヘッドを示す図で
ある。図1(a)が塗工ヘッドの平面図、図1(b)が
塗工ヘッドの側面図、図1(c)が図1(a)のA−
A’線断面図である。
【0030】本実施形態の塗工装置では、図1に示すよ
うに基板11上には塗工台2が水平方向と平行な一直線
上を往復移動自在に取り付けられている。基板11の一
端部には、塗工台2を往復移動させるためのモータ21
が取り付けられている。塗工台2上には、塗布液が塗布
される円筒体としてアルミニウム製のロール状の芯金1
が取り付けられている。芯金1は、その中心軸が塗工台
2の移動方向と平行となるように支持されている。塗工
台2には、芯金1をその中心線を軸として回転させるモ
ータ22が取り付けられている。さらに、基板11上に
は、リング形状の塗工ヘッド31を水平方向には動かさ
ずに塗工ヘッド31を芯金1の中心軸に対して垂直な方
向に移動自在に支持する塗工ヘッド保持部4が取り付け
られている。
【0031】塗工ヘッド31は、その内周面において芯
金1に対する相対的な移動方向後端部に、芯金1に塗布
液を塗工した後の円筒体の外径とほぼ等しい内径を有し
ている。また、塗工ヘッド31は、その内周面における
移動方向前端部に、図2に示すように芯金1の外周面と
接触し、塗工ヘッド31を芯金1の軸線方向にその軸と
同軸に芯金1に対して相対移動させるための複数のガイ
ド部分31aと、塗布工程で塗布液が通過する複数の凹
部31bとを有している。複数のガイド部分31aは、
塗工ヘッド31の内周面にその円周方向に沿って等間隔
で並べられており、隣り合うガイド部分31aの間に凹
部31bが形成されている。複数の凹部31bにおける
芯金1の軸線に対して垂直な方向の断面積の合計は、芯
金1上に塗布された塗膜における芯金1の軸線に対して
垂直な方向の断面積よりも大きくなっている。これによ
り、塗工ヘッド31の内周面において塗工後の円筒体の
外径とほぼ等しい内径となっている後端部に塗布液が充
分に供給できるようになっている。
【0032】塗工ヘッド31と芯金1とのギャップ(隙
間)部分に塗布液を供給する供給口は、塗工ヘッド31
と一体でも良いし、そのヘッドとは別部材でも良いが、
本実施形態では別部材の塗布液供給ノズル5を塗工ヘッ
ド31における芯金1に対しての進行方向前方に配置さ
せた。塗工ヘッド31と芯金1のギャップに塗布液を供
給する位置は、塗布液の粘度および塗膜の厚みの関係で
塗布液が塗工ヘッド31から液落ちしない状態であれば
芯金1の上方に限らずどの位置でも良いが、本実施形態
では芯金1の上方から塗布液の供給を行った。また、塗
布液の供給方法は、塗布前に必要量を一度に芯金1上1周
分供給した。
【0033】また、塗布液供給ノズル5は、塗液搬送用
のチューブ6を介してシリンダポンプ7に接続されてい
る。シリンダポンプ7は、定量(単位時間当たりの量が
一定)の塗布液を吐出可能な電動式のものであり、その
シリンダポンプ7からチューブ6を通して塗布液供給ノ
ズル5に塗布液8が供給される。シリンダポンプ7は、
送り出す液の脈動が起きないため、安定した吐出が可能
である。シリンダポンプ7が取り付けられた架台には、
シリンダポンプ7を動作させるためのモータ23が取り
付けられている。
【0034】本実施形態においては、芯金1として、塗
工部の直径φD3がφ45mmで塗工部の長さが300
mmの円筒形状のアルミニウム製芯金を用いた。塗布液
8としては、液粘度が50Pa・sのLTV(低温硬化
型)シリコーンゴム材料を用いて、塗布液8を100μ
mの厚みで芯金1に塗工した。塗布液8の液粘度は室温
でB型粘度計によって測定した。
【0035】次に、塗布液8を芯金1の表面に塗工する
工程について説明する。
【0036】まず、芯金1を塗工台2に取り付ける。本
実施形態では塗工ヘッド31の寸法としては、芯金1の
軸線方向の巾W1が20mm、ガイド部分31aにおけ
る軸線方向の幅W2が10mm、移動方向後端部の内径
φD1が塗工後の円筒形の外径とほぼ等しいφ45.2
5mm、ガイド部分31aの内径φD2がφ45mmと
なっている。この塗工ヘッド31としては、図2に示す
ように、複数の凹部31bにおける軸線方向に対して垂
直な方向の断面積の合計、すなわち塗布液が通過する部
分の断面積が塗工膜断面積より大きくなるように、各ガ
イド部分31aにおける芯金1との接触部分の円弧長L
が約2mmとなり、各凹部31bにおける塗工ヘッド3
1の半径方向の切り込み量dが5mmとなったデルリン
(ポリアセタール)製のものを使用した。芯金1を1回
転させながらシリンダポンプ7により塗布液8を芯金1
上へ供給した。塗布液供給ノズル5からの塗布液8の吐
出量は、芯金1に塗布液8を塗布するのに必要な量より
も多くしてある。
【0037】この後、芯金1を水平状態で固定保持した
状態で芯金1の表面にガイド部分31aを沿わせること
で塗工ヘッド31を芯金1の軸線方向に芯金1と同軸に
相対移動させる。このように塗工ヘッド31を芯金1に
対して相対的に移動させることで、塗工ヘッド31と芯
金1の隙間に供給された塗布液8が芯金1の塗工部の外
周面全体に塗布される。
【0038】上記のような塗工方法によれば、芯金1は
水平状態であるため、重力の要因による塗布液の液垂れ
を減らすことができ特に塗工開始時終了直後に塗液の液
垂れをなくし、塗工必要部分への影響をなくすことがで
き、このため塗工終了時の塗工ヘッド内面への塗工液の
付着を減少させることができ、塗工ヘッドのクリーニン
グを減少できた。また、塗工ヘッド31が塗工後の円筒
体の外径とほぼ等しい内径を持つリング形状であるた
め、塗工時の塗工跡が残らない。さらに、塗工ヘッド3
1が塗布液8を芯金1の表面に押し付け、かつ塗布液8
を一定の厚みにならしながら塗工が行われることとなる
ので、塗布液8を直接、良好かつ均一に芯金1の表面に
塗工できた。
【0039】なお、このような塗工においては、芯金1
を回転させながら塗工ヘッド31のリング内を移動さ
せ、その間、芯金1上に単位時間当たりに一定量で塗布
液を供給する方法をとってもよい。この場合、上記の方
法に代えて、芯金1を回転数40rpmで回転させた状
態でシリンダポンプ7により塗布液8を吐出量2000
mm3/minで一定量吐出しながら塗工台2を移動速
度110mm/minで移動させることで芯金1への塗
布液8の塗工を行った。このような供給方法は、一度に
必要量の塗布液を供給するときよりも、塗工厚みを増や
した際に液たまり部分で芯金1上の液落ちの心配が少な
くなるので、より好ましい。
【0040】また、本実施形態の塗工方法によれば、従
来の技術によるスプレー塗工法、ブレード塗工法、ロー
ル塗工法、および浸漬塗工法における塗布液の粘度によ
る制限、例えば塗布液の粘度が高いことによって溶媒に
より塗布液の希釈が必要のために塗工工程の後で溶媒の
除去に時間がかかったり、溶媒専用の回収装置が必要に
なったりして装置が大掛かりとなってしまい、結果的に
コストアップとなってしまうことがなくなる。また、塗
布液を溶媒により希釈する際に、塗布液と溶媒のマッチ
ングにおいて糸引きや凝集等の不良が起きる場合がある
ために塗布液の種類や溶媒に制限ができてしまうという
問題もない。さらに、従来の垂直型リング塗布方法にお
ける塗布液の粘度、塗工膜の厚み、塗工スピードのバラ
ンスによる塗工時および塗工終了直後の塗布液の液垂れ
という問題もなくなり、塗布液の粘度、塗布膜の厚さに
よる制限が除去され、より容易な装置で円筒体の表面に
塗布液を直接、良好かつ均一な塗工膜を形成することの
可能な方法を提供することができる。この塗工方法によ
り、容易にかつ安価に十分な定着性、および均一でむら
のない画像が得られる等の良好な性能を持つ定着用ロー
ラを作製することができる。
【0041】さらに、従来のスプレー塗工法では、塗布
液の粘度が10Pa・sであると塗布液の霧化が困難に
なってしまい、また他の方法でも、塗布液の粘度がその
ように高いと円筒体への直接の塗工が困難であるが、本
実施形態の塗工方法では、粘度が10Pa・s以上の塗布
液でも円筒体への直接の塗工が可能となる。また、本実
施形態の塗工方法は塗布液がある程度あったほうが液ダ
レ等の面で好ましくすなわち、本実施形態の塗工方法
は、塗布液の粘度が50Pa・s以上で厚みが2mm以下
である場合により好ましいものとなる。
【0042】(第2の実施の形態)図3は、本発明の第
2の実施形態の塗工方法で用いられる塗工ヘッドを示す
図である。図3(a)が塗工ヘッドの平面図、図3
(b)が塗工ヘッドの側面図、図3(c)が図3(a)
のA−A’線断面図である。
【0043】本実施形態では、本発明の効果を検証する
ために次のようにして塗布液の塗布を行った。第1の実
施形態の場合は塗工ヘッド31のガイド部分31aと芯
金1とを接触させたが、本実施形態では図3に示される
塗工ヘッド32の内周面と芯金1の表面とを非接触とし
た。本実施形態の塗工装置は、第1の実施形態のものと
比較して塗工ヘッドの内周面の構成が主に異なってお
り、以下では第1の実施形態と異なる点を中心に説明す
る。
【0044】図3に示すように、リング形状の塗工ヘッ
ド32では第1の実施形態のようなガイド部分が内周面
に設けられておらず、第1の実施形態においてガイド部
分が形成されていた部分の内径もφD1すなわちφ4
5.25mmとなっている。塗工ヘッド32は、その中
心軸が芯金1の中心軸と同軸状態で芯金1に対して相対
移動できるように、それらの中心軸に対して垂直な平面
上で芯金1に対して精密に位置決めされ、塗工ヘッド保
持部4に固定されている。これにより、塗工ヘッド32
は、塗工時においても芯金1の表面とは常に非接触の状
態にある。塗工ヘッド32は、芯金と同軸上に固定され
ている。
【0045】このような状態で芯金1を水平状態で固定
し塗工ヘッド32を芯金1の表面と非接触でそれらの軸
線方向に芯金1の軸と同軸に芯金1に対して相対移動さ
せた。塗工ヘッド32と芯金1とのギャップ部分に塗布
液8を供給する供給口は、塗工ヘッド32と一体でも良
いし、そのヘッドとは別部材でも良いが、本実施形態で
は第1の実施形態と同様に別部材の塗布液供給ノズル5
を塗工ヘッド31における芯金1に対しての進行方向前
方に配置させた。また、塗工ヘッド31と芯金1のギャ
ップに塗布液を供給する位置は、塗布液の粘度および塗
膜の厚みの関係で塗布液が塗工ヘッド31から液落ちし
ない状態であれば芯金1の上方に限らずどの位置でも良
いが、本実施形態では芯金1の上方から塗布液の供給を
行った。また、塗布液の供給方法は、塗布前に必要量を
一度に芯金1上1周分供給した。その他の塗工条件等は第
1の実施形態と同じである。
【0046】本実施形態においても、芯金1は水平状態
であるため、重力の要因による塗布液の液垂れを減らす
ことができ特に塗工開始時終了直後に塗液の液垂れをな
くし、塗工必要部分への影響をなくすことができ、この
ため塗工終了時のヘッド内面への塗工液の付着を減少さ
せることができ、塗工ヘッドのクリーニングを減少でき
た。また、塗工ヘッド32が塗工後の円筒体の外径とほ
ぼ等しい内径を持つリング形状であるため、塗工時の塗
工跡が残らない。さらに、塗工ヘッド32が塗布液8を
芯金1の表面に押し付け、かつ塗布液8を一定の厚みに
ならしながら塗工が行われることとなるので、塗布液8
を直接、良好かつ均一に芯金1の表面に塗工できた。
【0047】また、塗工の際には、塗工ヘッド32は芯
金1と非接触であるために、LTVシリコーンゴム材料
を芯金1に接着するために前もって芯金1に塗っておい
たプライマの剥がれによる塗工膜の接着剥がれが起きな
かった。ただし、一度にたくさんの塗布液を供給する
と、塗工厚みを増やした際に液たまり部分で芯金1上の
液落ちの心配があるので、この場合は、芯金1を塗工ヘ
ッド31のリング内に移動させている間、芯金1上に単
位時間当たりに一定量で塗布液を供給する方法をとるこ
とが好ましい。さらに、芯金1を回転させながら塗工ヘ
ッド31のリング内を移動させると、なおよい。
【0048】(第3の実施の形態)図4は、本発明の第
3の実施形態の塗工方法が適用された装置を示す図であ
る。図4(a)が塗工装置の概略図であり、図4(b)
が塗工装置における塗工ヘッド保持部やその周りの構成
を示す図である。図5は、図4に示される塗工ヘッドを
示す図である。図5(a)が塗工ヘッドの平面図、図5
(b)が塗工ヘッドの側面図、図5(c)が図5(a)
のA−A’線断面図である。
【0049】本実施形態では、本発明の効果を検証する
ために次のように塗布液の塗布を行った。第1の実施形
態での塗工と同様に、図4(a)および図4(b)に示
すようにリング形状の塗工ヘッド33を、芯金1の軸線
に対して垂直な平面上でその軸線に対して垂直な方向に
移動自由な状態で塗工ヘッド保持部4に保持した。塗工
ヘッド33は、図5(c)に示すようにその内径が、塗
工ヘッド33において芯金1に対する進行方向前部から
後部に向かって、塗布後の円筒体の外径とほぼ等しい内
径となるまで、すなわち内径φD4=φ48mmからφ
1=φ45.2mmとなるまで連続的に徐々に減るよ
うなテーパ部33aを有している。このとき、テーパ部
33aの表面の母線が塗工ヘッド33の中心軸に対して
角度α=30°の角度を成すようにテーパ部33aの内
径が徐々に減少している。
【0050】塗工ヘッド33はその中心軸まわりの回転
方向には固定されていても自由であっても良いが、本実
施形態では固定した。また、塗工ヘッド33と芯金1と
のギャップ部分に塗布液を供給する供給口は、塗工ヘッ
ド33と一体でも良いし、そのヘッドとは別部材でも良
いが、本実施形態では別部材の塗布液供給ノズル5を塗
工ヘッド31における芯金1に対しての進行方向前方に
配置させた。塗工ヘッド31と芯金1のギャップに塗布
液を供給する位置は、塗布液の粘度および塗膜の厚みの
関係で塗布液が塗工ヘッド31から液落ちしない状態で
あれば芯金1の上方に限らずどの位置でも良いが、本実
施形態では芯金1の上方から塗布液の供給を行った。ま
た、塗布液の供給方法は、塗布前に必要量を一度に芯金
1上1周分供給しても良いし、芯金1を塗工ヘッド31内
を進行中に単位時間当りに一定量だけ供給しても良い。
ただし、一度にたくさんの塗布液を供給すると、塗工厚
みを増やした際に液たまり部分で芯金1上の液落ちの心
配があるため、本実施形態では単位時間当りに一定量の
塗布液を供給した。さらに、芯金1を回転させながら塗
工ヘッド31のリング内を移動させると、なおよい。
【0051】第1の実施形態と同じ条件で塗工を行った
ところ、塗工時の塗工ヘッド33と芯金1の相対移動に
よりテーパ部33aに塗布液8が流れ込み、テーパ部3
3a内の塗布液8の液圧により塗工ヘッド33自体が調
芯され、塗工ヘッド33と芯金1の同軸度(同心度)を
保つことができた。芯金1は水平状態で回転しているた
め、重力の要因による塗布液の液垂れを無くすことがで
きた。また、塗工ヘッド33が塗工後の円筒体の外径と
ほぼ等しい内径を持つリング形状であるため、塗工時の
塗工跡が残らない。さらには、塗工ヘッド33が塗布液
8を芯金1の表面に押し付け、かつ塗布液8を一定の厚
みにならしながら塗工が行われることとなるので、塗布
液を直接、良好かつ均一に芯金1の表面に塗工できた。
その上、塗工ヘッドの高精度な位置決め機構や調整が要
らなくなり、塗工装置も簡略化され、安価なものにでき
た。本実施形態では、図4に示すように塗工ヘッド33
にはそれ自体の重みを見かけ上なくするために塗工ヘッ
ド33とほぼ同じ重さのバランスウエイト9を付け、バ
ランスウエイト9によって塗工ヘッド33を上から引き
上げる方向に塗工ヘッド33に外力を与えたが、塗工速
度、塗工膜の厚みのバランスによってはバランスウエイ
ト9を取り付けなくとも良い場合もある。
【0052】(第4の実施の形態)図6は、本発明の第
4の実施形態の塗工方法で用いられる塗工ヘッドを示す
図である。図6(a)が塗工ヘッドの平面図、図6
(b)が、塗工ヘッドを図6(a)の矢印B方向から見
た上面図、図6(c)が図6(a)のA−A’線断面図
である。
【0053】本実施形態では、本発明の効果を検証する
ために次のように塗布液の塗布を行った。図6に示され
るリンク形状の塗工ヘッド34を、第1の実施形態での
塗工と同様に芯金1の軸線に対して垂直な平面上でその
軸線に対して垂直な方向に移動自由な状態で塗工ヘッド
保持部4に保持した。塗工ヘッド34は、図6に示すよ
うに、塗工ヘッド34の内周面と芯金1とのギャップ部
分に塗布液8を供給する供給口としての貫通穴34a
が、塗工ヘッド34の軸線を中心に角度β=120°の
角度で等間隔に3つ形成されたものである。塗工ヘッド
34の内径φd5がφ45.5となっている。塗工ヘッ
ド34は、その中心軸まわりの回転方向には固定されて
いても自由であっても良いが、本実施形態では固定し
た。
【0054】本実施形態では、シリンダポンプ7から延
びるチューブ6を途中で3つにチューブに分岐させ、分
岐したそれぞれのチューブを、そのチューブに対応する
貫通穴34aに連通させるように塗工ヘッド34の外周
面に接続した。これによりシリンダポンプ7から吐出さ
れた塗布液8がチューブを通して各貫通穴34aに分配
され、分配された塗布液8が各貫通穴34aを通して塗
工ヘッド34の内周面と芯金1との間のギャップ部分に
供給される。
【0055】本実施形態においては、芯金1として、第
1の実施形態と同様に塗工部の直径φD3がφ45mm
で塗工部の長さが300mmの円筒形状のアルミニウム
製芯金を用いた。塗布液8としては、液粘度が10Pa
・sのLTVシリコーンゴム材料を用いて、塗布液8を
250μmの厚みで芯金1に塗工した。塗布液8の液粘
度は室温でB型粘度計によって測定した。
【0056】次に、塗工ヘッド34を備えた塗工装置に
よって塗布液8を芯金1の表面に塗工する工程について
説明する。まず、芯金1を塗工台2に取り付ける。本実
施形態では塗工ヘッド34としてデルリン(ポリアセタ
ール)製のものを使用した。芯金1を水平状態保持しシ
リンダポンプ7により塗布液8を吐出量4000mm 3
/minで一定量吐出しながら塗工台2を移動速度11
0mm/minで移動させることで芯金1への塗布液8
の塗工を行った。シリンダポンプ7からの塗布液の吐出
量は、芯金1に塗布液8を塗布するのに必要な量よりも
多くしてある。もちろん、第1の実施形態と同様、塗布
前に必要量を一度に芯金1上1周分供給しても良いが、一
度にたくさんの塗布液を供給すると、塗工厚みを増やし
た際に液たまり部分で芯金1上の液落ちの心配があるた
め、本実施形態では単位時間当りに一定量の塗布液を供
給した。さらに、芯金1を40rpmで回転させながら
塗工ヘッド31のリング内を移動させると、なおよい。
【0057】このような条件で塗工を行ったところ、塗
工時の塗工ヘッド34と芯金1の相対移動を行うと共
に、それらの間のギャップ部分への塗布液8の供給を3
方向から同一の圧力で行うことにより、塗工ヘッド34
自体が積極的に調芯され、塗工ヘッド34を芯金1と同
軸に保持できるようになった。このため、塗布液8を2
50μmの厚みで直接、良好かつ均一に芯金1の表面に
塗工できた。また、塗工ヘッドの高精度な位置決め機構
や調整が要らなくなり、塗工装置も簡略化され、安価な
ものにできた。本実施形態では、第3の実施形態と同様
に塗工ヘッド34にはそれ自体の重みを見かけ上なくす
るためにバランスウエイト9を付けたが、塗工速度、塗
工厚みのバランスによってはバランスウエイト9を取り
付けなくとも良い場合もある。
【0058】(第5の実施の形態)図7は、本発明の第
5の実施形態の塗工方法で用いられる塗工ヘッドを示す
図である。図7(a)が塗工ヘッドの平面図、図7
(b)が、塗工ヘッドを図7(a)の矢印B方向から見
た上面図、図7(c)が図7(a)のA−A’線断面図
である。
【0059】本実施形態では、本発明の効果を検証する
ために次のように塗布液の塗布を行った。図7に示され
るリング形状の塗工ヘッド35を、第4の実施形態での
塗工と同様に芯金1と同軸上に塗工ヘッド保持部4に固
定した。塗工ヘッド35は、図7に示されるように、塗
工ヘッド35の内周面と芯金1とのギャップ部分に塗布
液8を供給するために塗工ヘッド35の外周面に形成さ
れた開口部35bと、開口部35bと連通するように塗
工ヘッド35内に形成された分配用スリット35cとを
有している。分配用スリット35cは、塗工ヘッド35
の中心線と同心の円環状にエンドレスに延びており、分
配用スリット35cの内側の開口部が塗工ヘッド35の
内周面においてその円周方向全体に渡ってエンドレスに
延びている。この分配用スリット35cは開口部35b
からの塗布液8を塗工ヘッド35と芯金1との間のギャ
ップ部分においてそれらの円周方向に分配するためのも
のである。分配用スリット35cの内側の開口端は、塗
工ヘッド35の内周面において内径φD5=φ45.6
mmとなっている部分に位置している。
【0060】また、塗工ヘッド35は、図7(c)に示
すようにその内径が、塗工ヘッド36において芯金1に
対する進行方向前部から後部に向かって、塗布後の円筒
体の外径とほぼ等しい内径となるまで、すなわち内径φ
4=φ48mmからD5=φ45.6mmとなるまで連
続的に徐々に減るようなテーパ部35aを有している。
このとき、テーパ部35aの表面の母線が塗工ヘッド3
5の中心軸に対して角度α=30°の角度を成すように
テーパ部35aの内径が徐々に減少している。塗工ヘッ
ド35と芯金1とのギャップ(隙間)部分に塗布液を供
給する際には、開口部35bを通して行う。塗工ヘッド
35と芯金1のギャップに塗布液を供給する位置は、芯
金1の上方に限らずどの位置でも良いが、本実施形態で
は芯金1の上方から塗布液の供給を行った。また、塗布
液の供給方法は、塗布前に必要量を一度に芯金1上に供
給しても良いし、芯金1を塗工ヘッド31内に進行させ
ている間に単位時間当りに一定量だけ供給しても良い。
ただし、塗工厚みを増やしたので一度にたくさんの塗布
液を供給すると、液たまり部分で芯金1上の液落ちの心
配があるため、本実施形態ではより安全な単位時間当り
に一定量の塗布液を供給した。このような手法であると
芯金1は塗工前に液供給のため回転させる必要がなくな
るため芯金の回転機構は必要なくなる。しかし、芯金1
上の液落ちの心配が大きい場合は、芯金1を塗工ヘッド
31内に進行させている間に芯金1を回転させると、な
およい。
【0061】本実施形態においては、芯金1として、第
1の実施形態と同様に塗工部の直径φD3がφ45mm
で塗工部の長さが300mmの円筒形状のアルミニウム
製芯金を用いた。塗布液8としては、液粘度が50Pa・
sのLTVシリコーンゴム材料を用いて、塗布液8を2
50μmの厚みで芯金1に塗工した。塗布液8の液粘度
は室温でB型粘度計によって測定した。
【0062】次に、塗工ヘッド35を備えた塗工装置に
よって塗布液8を芯金1の表面に塗工する工程について
説明する。まず、芯金1を塗工台2に取り付ける。本実
施形態では塗工ヘッド35としてステンレス製のものを
使用した。芯金1を水平状態保持しシリンダポンプ7に
より塗布液8を吐出量4000mm3/minで一定量
吐出しながら塗工台2を移動速度110mm/minで
移動させることで芯金1への塗布液8の塗工を行った。
シリンダポンプ7からの塗布液の吐出量は、芯金1に塗
布液8を塗布するのに必要な量とほぼ同じにしてある。
このような条件で塗工を行ったところ、塗布液8を直
接、良好かつ均一に芯金1の表面に塗工できた。芯金1
は水平状態であるため、重力の要因による塗布液の液垂
れを減らすことができ特に塗工開始時終了直後に塗液の
液垂れをなくし、塗工必要部分への影響をなくすことが
でき、このため塗工終了時の塗工ヘッド内面への塗工液
の付着を減少させることができ、塗工ヘッドのクリーニ
ングを減少できた。特に単位時間当りに一定量の塗布液
を供給にすることで塗工厚みを増やしても塗工開始時の
液たまり部分で芯金1上の液落ちの心配も無くなった。
【0063】(第6の実施の形態)本実施形態では第5
の実施形態の塗工方法により塗工する際、塗工終了時に
シリンダポンプ7を吐出時と同じ速度で反対方向に0.5
s動かし塗工ヘッド35内の液圧を負圧化した。
【0064】第5の実施形態において一部の塗工液では
塗工終了時にヘッド内面に塗工液が付着しクリーニング
が必要になることも考えられたが、本実施形態によると
塗工ヘッド内面への塗工液の付着がなくなり、塗工ヘッ
ドのクリーニングの必要もなくなった。
【0065】(第7の実施形態)図8は、本発明の第7
の実施形態の塗工方法で用いられる塗工ヘッドを示す図
である。図8(a)が塗工ヘッドの平面図、図8(b)
が、塗工ヘッドを図8(a)の矢印B方向から見た上面
図、図8(c)が図8(a)のA−A’線断面図であ
る。
【0066】本実施形態では、本発明の効果を検証する
ために次のように塗布液の塗布を行った。図8に示され
るリング形状の塗工ヘッド36を、第4の実施形態での
塗工と同様に芯金1の軸線に対して垂直な平面上でその
軸線に対して垂直な方向に移動自由な状態で、かつ塗工
ヘッド36の中心軸まわりの回転を規制してその回転方
向では塗工ヘッド36を固定した状態で塗工ヘッド保持
部4に保持した。塗工ヘッド36は、図8に示すように
塗工ヘッド36の内周面に、芯金1とのギャップが芯金
1の回転方向に向かって連続的に徐々に小さくなるよう
な形状の液溜め部分36aを塗工ヘッド34の軸線を中
心に角度β=120°の角度で等間隔に3つ有し、各液
溜め部分36aに塗布液8を供給する供給口としての貫
通穴36bを液溜め部分36aと同様に等間隔に3つ有
するものである。貫通穴36bは必ずしも塗工ヘッド3
6に形成されていなくても良く、第1の実施形態などと
同様に、塗工ヘッド36とは別部材の塗布液供給ノズル
5を設けても良い。
【0067】本実施形態においては、芯金1として、第
1の実施形態と同様に塗工部の直径φD3がφ45mm
で塗工部の長さが300mmの円筒形状のアルミニウム
製芯金を用いた。塗布液8としては、液粘度が50Pa
・sのLTVシリコーンゴム材料を用いて、塗布液8を
250μmの厚みで芯金1に塗工した。塗布液8の液粘
度は室温でB型粘度計によって測定した。
【0068】次に、塗工ヘッド36を備えた塗工装置に
よって塗布液8を芯金1の表面に塗工する工程について
説明する。まず、芯金1を塗工台2に取り付ける。本実
施形態では塗工ヘッド36としてデルリン(ポリアセタ
ール)製のものを使用した。芯金1を水平状態保持しシ
リンダポンプ7により塗布液8を吐出量4000mm 3
/minで一定量吐出しながら塗工台2を移動速度11
0mm/minで移動させることで芯金1への塗布液8
の塗工を行った。シリンダポンプ7からの塗布液の吐出
量は、芯金1に塗布液8を塗布するのに必要な量よりも
多くしてある。もちろん、第1の実施形態と同様、塗布
前に必要量を一度に芯金1上1周分供給しても良いが、一
度にたくさんの塗布液を供給すると、塗工厚みを増やし
た際に液たまり部分で芯金1上の液落ちの心配があるた
め、本実施形態では単位時間当りに一定量の塗布液を供
給した。さらに、芯金1を40rpmで回転させながら
塗工ヘッド31のリング内を移動させると、なおよい。
【0069】このような条件で塗工を行ったところ、塗
工時の塗工ヘッド36と芯金1の相対移動と、それらの
間のギャップ部分への3方向からの同一の圧力での塗布
液8の供給と、芯金1の回転で各液溜め部分36aにお
けるギャップの変化により発生する塗布液8の液圧とに
よって、より積極的に塗工ヘッド36自体が調芯され、
塗工ヘッド36を芯金1と同軸に保持できるようになっ
た。このため、塗布液8として用いた液粘度50Pa・
sのLTVシリコーンゴム材料を250μmの厚みで直
接、良好かつ均一に芯金1の表面に塗工できた。また、
塗工ヘッドの高精度な位置決め機構や調整が要らなくな
り、塗工装置も簡略化され、安価なものにできた。本実
施形態では、第3の実施形態と同様に塗工ヘッド36に
はそれ自体の重みを見かけ上なくするためバランスウエ
イト9を付けたが、塗工速度、塗工厚みのバランスによ
ってはそのままでも良い場合もある。
【0070】(第8の実施の形態)図9は、本発明の第
8の実施形態の塗工方法により製作された定着用ローラ
の断面図である。
【0071】本実施形態では、本発明の効果を検証する
ために次のように高粘度塗布液の塗布を行い、定着用ロ
ーラを作製した。第6の実施形態の塗工方法により、塗
工部の長さが300mm、塗工部の外径がφ45mmで
ある円筒状のアルミニウム製芯金12に、液粘度50P
a・sの東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製
のLTVシリコーンゴム材料を250μmの厚みで塗工
した。塗布液の液粘度は室温でB型粘度計で測定した。
本実施形態では、まず、芯金1を塗工台2に取り付け、
第6の実施形態で用いた塗工ヘッド35を使用した。芯
金1を水平状態で保持固定しシリンダポンプ7により塗
布液8を吐出量4000mm3/minで一定量吐出し
ながら塗工台2を移動速度110mm/minで移動さ
せることで塗工を行った。シリンダポンプ7からの塗布
液の吐出量は、芯金1に塗布液8を塗布するのに必要な
量とほぼ同じにしてある。もちろん、第1の実施形態と
同様、塗布前に必要量を一度に芯金1上1周分供給しても
良いが、一度にたくさんの塗布液を供給すると、塗工厚
みを増やした際に液たまり部分で芯金1上の液落ちの心
配があるため、本実施形態では単位時間当りに一定量の
塗布液を供給した。さらに、芯金1を40rpmで回転
させながら塗工ヘッド31のリング内を移動させると、
なおよい。
【0072】このような条件で塗工を行ったところ、塗
工時の塗工ヘッド36と芯金1の相対移動と、それらの
間のギャップ部分へ単位時間当りに一定量の塗布液を供
給することで、塗布液として用いた液粘度50Pa・s
のLTVシリコーンゴム材料を250μmの厚みで直
接、良好かつ均一に芯金1の表面に塗工できた。また、
重力の要因による塗布液の液垂れを減らすことができ、
特に塗工開始時終了直後に塗液の液垂れをなくし、塗工
必要部分への影響をなくすことができ、そのうえ塗工終
了時の塗工ヘッド内面への塗工液の付着を減少させるこ
とができ、塗工ヘッドのクリーニングを減少できた。ま
た定着用ローラの製造方法も容易であった。塗工後のロ
ーラを200℃の熱風循環式乾燥機中に水平に置き、約
10分間加熱して架橋を行った。塗布液自体の粘度が高
いため、熱風循環式乾燥機の中でローラを回転させてい
なくても塗布液の液だれは起きなかった。その後、20
0℃の熱風循環式乾燥機で4時間、2次硬化を行った。
以上のように製作されたゴムローラの外径を測定する
と、表面層のシリコーンゴム18の厚みが250μm
で、外径がφ45.5mmであるストレート形状のロー
ラが得られた。このローラを厚さ30μmのPFA(テ
トラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエ
ーテル共重合体)熱収縮チューブ10で被覆することに
より、図9に示すようにアルミニウム製芯金12の外周
面にシリコーンゴム18およびPFA熱収縮チューブ1
0がこの順番で積層されて成る定着用ローラを得た。L
BPの定着用ローラとして用いたところ、十分な定着性
と均一でむらのない画像が得られることが確認できた。
【0073】定着用ローラを製造する際には、第6の実
施形態の塗工方法だけでなく、第1〜第5及び第7の実
施形態の塗工方法を用いることによって、十分な定着性
と均一でむらのない画像が得られる定着ローラを作製す
ることができる。第1〜第7の実施形態のいずれかの塗
工方法を用いることにより、例えば金属芯金の上にシリ
コーンゴム原料を高粘度の状態で薄肉に直接塗工でき、
塗工後の塗布膜のレベリング等が必要ないので、このよ
うな薄肉のゴム層を有する定着性ローラを実現すること
ができる。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の塗工方法
によれば、従来の技術によるスプレー塗工法、ブレード
塗工法、ロール塗工法、および浸漬塗工法における塗布
液の粘度による制限、例えば塗布液の粘度が高いことに
よって溶媒により塗布液の希釈が必要のために塗工工程
の後で溶媒の除去に時間がかかったり、溶媒専用の回収
装置が必要になったりして装置が大掛かりとなってしま
い、結果的にコストアップとなってしまうことがなくな
る。また、塗布液を溶媒により希釈する際に、塗布液と
溶媒のマッチングにおいて糸引きや凝集等の不良が起き
る場合があるために塗布液の種類や溶媒に制限ができて
しまうという問題もない。さらに、従来の垂直型リング
塗布方法における塗布液の粘度、塗工膜の厚み、塗工ス
ピードのバランスによる塗工時および塗工終了直後の塗
布液の液垂れおよびリング内面のクリーニングという問
題もなくなり、塗布液の粘度、塗布膜の厚さによる制限
が除去され、より容易な装置で円筒体の表面に塗布液を
直接、良好かつ均一な塗工膜を形成することの可能な方
法を提供することができる。本発明の塗工方法により、
容易にかつ安価に十分な定着性、および均一でむらのな
い画像が得られる等の良好な性能を持つ定着用ローラを
作製することができる。
【0075】また、本発明の定着用ローラは、上述した
本発明の塗工方法により円筒体の表面に塗布液を塗工し
て製造されるため、その製造の際には例えば金属芯金の
上にシリコーンゴム原料を高粘度の状態で薄肉に直接塗
工でき、塗工後の塗布膜のレベリング等が必要ないの
で、このような薄肉のゴム層を有する定着性ローラを実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の塗工方法が適用され
た装置を示す概略図である。
【図2】(a)が、図1に示される塗工ヘッドの平面
図、(b)が塗工ヘッドの側面図、(c)が(a)のA
−A’線断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の塗工方法で用いられ
る塗工ヘッドを示す図である。
【図4】(a)が、本発明の第3の実施形態の塗工方法
が適用された装置を示す概略図であり、(b)が塗工装
置における塗工ヘッド保持部やその周りの構成を示す図
である。
【図5】(a)が、図4に示される塗工ヘッドの平面
図、(b)が塗工ヘッドの側面図、(c)が(a)のA
−A’線断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態の塗工方法で用いられ
る塗工ヘッドを示す図である。
【図7】本発明の第5の実施形態の塗工方法で用いられ
る塗工ヘッドを示す図である。
【図8】本発明の第6の実施形態の塗工方法で用いられ
る塗工ヘッドを示す図である。
【図9】本発明の第7の実施形態の塗工方法により製作
された定着用ローラの断面図である。
【符号の説明】
1 芯金 2 塗工台 4 塗工ヘッド保持部 5 塗布液供給ノズル 6 液搬送用チューブ 7 シリンダポンプ 8 塗布液 9 バランスウエイト 10 PFA熱収縮チューブ 11 基板 12 アルミニウム製芯金 18 シリコーンゴム 21、22、23 モータ 31〜36 塗工ヘッド 31a ガイド部分 31b 凹部 33a、35a テーパ部 34a、36b 貫通孔 35b 開口部 35c 分配用スリット 36a 液溜め部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川元 英雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 五月女 修 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 北野 祐二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H033 AA31 BB14 BB26 2H071 BA43 DA06 DA08 DA09 DA12 4D075 AC02 AC08 AC09 AC64 AC92 AC93 AC95 AC96 CA48 DA15 DB07 DC18 EA07 EB12 EB42 EB52 4F040 AA05 AB20 BA31 DA03 DA04 DA14 DA15 DA17

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒体の中心線が水平方向と平行となっ
    た状態で塗布液を前記円筒体の表面に塗工する方法であ
    って、 前記円筒体の表面に前記塗工液を塗工した後の円筒体の
    外径と略等しい内径を有するリング形状の塗工ヘッドを
    用意する段階と、 前記円筒体を前記塗工ヘッドの内側に同軸上に配置させ
    る段階と、 前記塗工ヘッドの内周面と前記円筒体の間の隙間に前記
    塗布液を供給する段階と、 前記円筒体に対して前記塗工ヘッドを前記円筒体の軸方
    向に該軸線と同軸に相対移動させる段階と、を有する円
    筒体表面への塗工方法。
  2. 【請求項2】 前記塗工ヘッドと前記円筒体との表面を
    非接触にする、請求項1記載の円筒体表面への塗工方
    法。
  3. 【請求項3】 前記円筒体に対して前記塗工ヘッドを前
    記円筒体の軸方向に該軸線と同軸に相対移動させる際、
    前記円筒体を回転させる、請求項1に記載の円筒体表面
    への塗工方法。
  4. 【請求項4】 前記塗工ヘッドが前記円筒体の軸線に対
    して垂直な方向に移動自在に保持されると共に、前記塗
    工ヘッドの内周面が、内径が前記円筒体に対する移動方
    向前部から後部に向かって前記塗工後の円筒体の外径と
    略等しくなるまで連続的に徐々に減少するテーパ部を有
    しており、前記塗布液の塗工時には、前記塗工ヘッドと
    前記円筒体の相対移動によりそれらの間に流れ込む前記
    塗布液の液圧により前記塗工ヘッドが前記円筒体と同軸
    に保持された状態で、前記塗布液の塗布を行う、請求項
    1又は3に記載の円筒体表面への塗工方法。
  5. 【請求項5】 前記塗工ヘッドの内周面と前記円筒体と
    の隙間に塗布液を供給するために、前記塗工ヘッドに3
    つ以上の塗布液用供給口がそれぞれ前記塗工ヘッドの中
    心軸周りに分配して形成され、あるいは前記塗工ヘッド
    に前記塗工ヘッドの内周面に沿ったエンドレスの溝及び
    この溝に通じる開口部が形成されており、前記塗布液の
    塗工時には、前記塗工ヘッドと前記円筒体の相対移動に
    よりそれらの間に流れ込む前記塗布液の液圧により前記
    塗工ヘッドが前記円筒体と同軸に保持された状態で、前
    記塗布液の塗布を行う、請求項1、3又は4のいずれか
    1項に記載の円筒体表面への塗工方法。
  6. 【請求項6】 前記塗工ヘッドが、その中心軸周りでの
    回転が規制された状態で前記円筒体の軸線に対して垂直
    な方向に移動自在に保持され、前記塗工ヘッドの内周面
    に、前記円筒体との隙間が前記円筒体の回転方向に向か
    って徐々に小さくなる形状の液溜め部分を3つ以上有
    し、前記塗布液の塗工時に前記円筒体の回転によって前
    記液溜め部分の塗布液において前記ギャップの変化で発
    生する液圧と、前記塗工ヘッドと前記円筒体の相対移動
    により生じる液圧とによって前記塗工ヘッドが前記円筒
    体と同軸に保持された状態で、前記塗布液の塗工を行
    う、請求項3、4又は5に記載の円筒体表面への塗工方
    法。
  7. 【請求項7】 塗工液塗り終わり時に塗工ヘッド内部の
    液圧を負圧化する、請求項1から6のいずれか1項に記
    載の円筒体表面への塗工方法。
  8. 【請求項8】 塗工液の粘度が10Pa・s以上であり
    塗工時の塗工厚みが2mm以下である、請求項1から7
    のいずれか1項に記載の円筒体表面への塗工方法。
  9. 【請求項9】 前記塗工ヘッドの内周面と前記円筒体の
    間の隙間に前記塗布液を、塗布前に必要量を一度に供給
    する、請求項1から8のいずれか1項に記載の円筒体表
    面への塗工方法。
  10. 【請求項10】 前記円筒体に対して前記塗工ヘッドを
    前記円筒体の軸方向に該軸線と同軸に相対移動させる
    間、前記塗工ヘッドの内周面と前記円筒体の間の隙間に
    前記塗布液を、単位時間当たり一定量だけ供給する、請
    求項1から8のいずれか1項に記載の円筒体表面への塗
    工方法。
  11. 【請求項11】 電子写真装置でトナーを被記録媒体に
    定着させるために用いられる定着用ローラであって、 請求項1〜10のいずれか1項に記載の塗布液の塗工方
    法によって円筒体の表面に塗布液を塗布することで作製
    された定着用ローラ。
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