JP2005003715A - 被覆層付き非直円筒及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面が平滑で均一な被覆層を有する非直円筒及びその製造方法を提供する。
【解決手段】薄肉円筒1内に直円柱状中子3を矯正挿入することにより薄肉円筒の真円度を高め、次いで薄肉円筒表面に被覆層を形成し、次いで直円柱状中子を除去し、薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子5を挿入した後、非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、非直円筒状に矯正する。
【選択図】 図1
【解決手段】薄肉円筒1内に直円柱状中子3を矯正挿入することにより薄肉円筒の真円度を高め、次いで薄肉円筒表面に被覆層を形成し、次いで直円柱状中子を除去し、薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子5を挿入した後、非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、非直円筒状に矯正する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆層付き非直円筒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機やレーザービームプリンター、ファクシミリなどの電子写真装置に配設される像加熱定着装置の被覆層付きベルトのように、記録紙の高精度搬送が求められる装置や、被覆層付きベルトを均一なニップ幅で圧接を求められる装置などにおいては、記録紙の搬送性や記録紙の皺防止の要求により、被覆層付きベルトの周囲の形状を、クラウン形状や逆クラウン形状といった、被覆層付きベルトの中心軸方向に沿って外形を変化させた非直円柱状のものが必要になってきている。更に、記録紙上のトナーを加熱溶融し、記録紙上全体に光沢ムラなく安定にトナー像を定着させる定着性能の面から、高熱伝導性耐熱性弾性体である被覆層のベルト上での膜厚均一性と平坦性とが求められている。
【0003】
一般に、非直筒状の作成方法としては、深絞りや研削加工などによりある程度円筒状に形成されたものを非直円筒状の型内に入れ、前記円筒状に形成されたものの内側より高圧力を与え、非直円筒状の型内壁側に押し広げることにより形成するバルジング加工法や、非直円筒状型内にセットされた円筒状部材をその中にセットされた回転ロールにより、円筒状型内面側に押し広げることにより、非直円筒状とするスピニング加工法等が、知られている。
【0004】
また、薄肉円筒の矯正方法としては、フィルム環状体の製法において、エキシマレーザー光で微細孔を開けた円筒状フィルムに、それよりも熱膨張率の大きな円筒状支持体を挿入し、円筒状支持体を加熱することにより、円筒状フィルムを管状に矯正することが述べられている(例えば特許文献1参照)が、非直円筒状に矯正を行おうとすると、プラスチックでは金属の結晶構造と異なり、塑性変形により部材全体が均一に変形することができず却って、真円度を低下させてしまう。まして、孔加工した場合、その近傍の強度低下により不均一な変形となり、真円度の高い矯正は行えない。更に、金属製筒状部品の矯正方法としては、被矯正部品を加熱して熱膨張状態とする工程と熱膨張した被矯正部品の中に修正型を嵌め込む工程と、修正型を加熱して熱膨張させて非修正部品の変形部分を矯正することが述べられている(例えば特許文献2参照)が、予め、未硬化の被覆層付きの薄肉円筒を加熱しておくことは未硬化被覆層が硬化してしまい、中子除去後に被覆層付き薄肉円筒が変形してしまい真円度を低下させてしまう。
【0005】
また、このような非直円筒への被覆層を均一に形成する方法としては、次の方法が考えられる。
(1)回転している非直円筒表面に、スプレーガンを移動させながら被覆層原料をコートし、所定厚になったらコートを止め、被覆層原料を硬化する方法。
(2)被覆層原料の入ったディップ浴に、内面がコートされないよう処理された非直円筒を入れ、所定膜厚となるよう引き上げ速度を調整し、非直円筒を引き上げた後、被覆層原料を硬化する方法。
(3)非直円筒と管状ノズルとを相対移動させながら、環状ノズルから被覆層原料を非直円筒上に環状塗工する方法。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−31473号公報
【特許文献2】
特開平10−80726号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の(1)から(3)の非直円筒上への被覆層の形成方法では、次のような問題点が生じる場合があった。
【0008】
(1)では、定着ベルト表面に形成される被覆層は、高熱伝導性耐熱性弾性層であって、シリコーンゴム材料に熱伝導性を高めるために、金属酸化物等の充填材を多量に含む場合があり、このとき、被覆層原料の粘度は極めて高い。被覆層原料そのものはスプレー法に不向きであるため、溶剤等で希釈し低粘度化して初めてスプレーを行うことができる。その場合、スプレー塗布の低収率性、溶剤の環境保全対策、溶剤希釈した被覆層原料中での充填材の沈殿による分離等の理由から、定着ベルトには不向きになる場合があった。
【0009】
(2)では、(1)と同様、極めて高粘度の材料である被覆層原料の入ったディップ浴から、非直円筒を引き上げ均一な所定厚みを得ようとすると、塗工不要部へのシールドを必要とすることや、膜形成に数時間という極めて長時間かけることで可能であるが、被覆層原料の組成によっては、その間の振動や地震等により膜厚バラツキを生じるなどといった理由により実用的でない場合があった。
【0010】
(3)では、直円筒表面への環状塗工方法は、環状ノズルと直円筒との距離とにより、更に、塗工膜厚をその距離よりも小さく設定することで、高精度の均一塗工膜を得ることができる。しかし、非直円筒上へ環状塗工を行おうとすると、環状ノズルが非直円筒上に形成された被覆層原料を削いでしまったり、非直円筒と環状ノズルとが摺接してしまう等により、均一な被覆層の形成が困難になる場合があった。
【0011】
そこで本発明の目的は、上記従来例の欠点を改良することで、表面が平滑で均一な被覆層を有する非直円筒及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、薄肉円筒内に直円柱状中子を矯正挿入することにより該薄肉円筒の真円度を高め、次いで該薄肉円筒表面に被覆層を形成し、次いで該直円柱状中子を除去し、該薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子を挿入した後、該非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、非直円筒状に矯正されたものであることを特徴とする被覆層付き非直円筒である。
【0013】
また、本発明は、第一の工程として、薄肉円筒内に直円柱状中子を矯正挿入することにより該薄肉円筒の真円度を高め、第二の工程として、該薄肉円筒表面に被覆層を形成し、第三の工程として、該直円柱状中子を除去した後、該薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子を挿入し、次いで該非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、該薄肉円筒を非直円筒状に矯正することを特徴とする被覆層付き非直円筒の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明によって製造された被覆層付き非直円筒を、例えば、像加熱定着装置用の定着ベルトとして使用した場合、記録紙を高精度に搬送したり、記録紙搬送時の皺を防止することができる。更に、円筒上に膜厚均一性と平坦性とを有する被覆層が形成されることで、記録紙上のトナーを加熱溶融し、記録紙上全体に光沢ムラなく安定にトナー像を定着させる良好な定着性能を有することができる。
【0015】
本発明における「直円筒」とは、長手方向における断面径12点測定値の最大値と最小値との差が0.050mm以下の円形を有するものであり、内部が中空のものである。「非直円筒」とは、長手方向における断面径の最大値と最小値との差が0.050mmを超えるもので、例えばクラウン形状や逆クラウン形状、テーパー形状等を有するものであり、内部が中空のものである。ここで、クラウン形状とは軸方向の中央部を太く、両端部を細くした形状であり、逆クラウン形状とは軸方向の中央部を細く、両端部を太くした形状である。また、テーパー状とは徐々に外径が太くまたは細くなる形状を表す。最大径と最小径との差をそれぞれ「クラウン量」、「逆クラウン量」、「テーパー量」とする。
【0016】
また、「非直円柱形状」とは、長手方向における断面径の最大値と最小値の差が0.050mmを超えるクラウン形状や逆クラウン形状、テーパー状形状等であり、筒状、厚肉円筒状又は棒状のいずれの形状であってもよい。非直円柱状の拡管中子は、外径が非直円柱状を呈するものであればよく、熱容量を考慮し、筒状であっても厚肉円筒状であってもよい。「直円柱形状」とは、長手方向における断面径12点測定値の最大値と最小値との差が0.050mm以下の円形を有するものである。
【0017】
また、真円度とは、外形が直円筒状や非直円筒状を問わず、端部の任意の位置を基点として、軸方向に等間隔で12基点を定め、各基点毎に角度を45°ずつずらし外径を4点測定しその中の最大径と最小径との差から、12基点における最大のものとした。本発明に言う非直円筒状基材の好ましい真円度、或いは、被覆層付き非直円筒の好ましい真円度は0.020mm以下であり、より好ましくは0.015mm以下であり、更に好ましくは0.010mm以下である。
【0018】
図1には、好ましい真円度を有する被覆層付き非直円筒の形成方法に関する側面図を示す。(A)では、基材である薄肉円筒2に、その内径より大きな外径を有する直円柱状中子3を、3の先端部の細孔6から噴出される高圧空気により、薄肉円筒2を拡径させると同時に直円柱状中子3が挿入され、高圧空気の噴出を停止することにより、(B)では、直円柱状中子の外径に倣って薄肉円筒が固定さる。その後、(C)では、直円柱状中子に固定された薄肉円筒表面に被覆層原料4が環状塗工法により塗工され、挿入工程と同様、直円柱状中子の細孔6からの高圧空気の噴出により薄肉円筒を拡径し、直円柱状中子が取り除かれ、代わって、(D)では、非直円柱状拡管中子(ここでは逆クラウン形状)5を、その外径最大部付近にあけられた複数の細孔6から噴出する高圧空気により、被覆層原料が塗工された薄肉円筒を拡径させながら挿入し、それらを(E)では加熱することで非直円柱状拡管中子を熱膨張により拡管させて薄肉円筒及び被覆層原料を非直円筒の外径に倣わせると同時に、被覆層原料を硬化させる。この後、(F)では非直円柱状拡管中子の挿入と同様な方法により、細孔6から噴出させた高圧空気を利用し、非直円柱状拡管中子5から取りはずし被覆層付き非直円筒1を得る。
【0019】
薄肉円筒は、電鋳法や引き抜き法、深絞り、切削法、スピン法、バルジング法等により製造されたシームレス管であっても、シート状膜の端部を接続して形成したループ状、管状、リング状、筒状、輪状、中空状等含むものをいい、その材質は、金属、セラミックス、プラスチックの単一材料であっても、積層材料であっても、複合化されていてもよいが、定着ベルトとして使用する場合、熱伝導性や高温での使用に耐える材料であることが好ましく、より好ましくは金属であって、更に好まくは、Ni鋼、Ni−Cr鋼などである。より好ましくは、定着ベルトとして回転時の酸化による摩耗防止の点からステンレス鋼である。
【0020】
被覆層としては、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、オレフィン樹脂、シリコーンゴム等を使用することができるが、定着ベルトの被覆層としての耐熱性やゴム弾性の面からシリコーンゴムが好ましい。
【0021】
被覆層の厚さは、1〜2000μmであるのが好ましい。より好ましくは、10〜1000μm、さらに好ましくは、50〜500μmである。
【0022】
直円筒状に矯正された薄肉円筒表面への被覆層原料の塗工方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、ブレードコート法、ディスペンサーコート法、環状塗工法等いずれの方法でも適用できる。
【0023】
本発明で言う被覆層付き非直円筒及びその製造方法では、環状塗工法を用いることにより、矯正された直円筒上に高粘度液体を溶剤希釈することなく、膜厚の均一な平滑な面を、短時間かつ高精度に塗工することができ好ましい。上記被覆層付き非直円筒及びその製造方法では、環状塗工法を用いる場合、被覆層原料の粘度は0.01〜1000Pa・sであるのが好ましく、より好ましい被覆層原料の粘度は、0.1〜800Pa・sである。なお、粘度はBL型回転粘度計により25℃にて測定したものである。
【0024】
図2は、本発明の環状塗工法を模式的に示す図であって、その塗工状態を要部拡大図3に示されるように、真円度を矯正された薄肉円筒表面に被覆層原料を塗工する状況を示した図である。直円筒状に矯正された薄肉円筒2は、矯正中子3に固定されていて、被覆層原料がシリンダー7内で、一定速度で押し下げられる(駆動部は不図示)ピストン8によって、液送管9を通して環状ヘッド部10の注入口11に導かれ、環状の液貯留部12に貯留されされた後、環状の狭い流路13を経て、環状ノズル14より吐出される。このとき、中子3に矯正固定された薄肉円筒2と環状ヘッド10とを薄肉円筒2の軸方向に所定速度で相対移動させる(駆動部は不図示)ことにより、被覆層原料4を塗工する。被覆層原料の厚みは、使用する被覆層の粘度や相対移動速度により一義的に決まらないが、薄肉円筒と環状ノズルとの間隔gの0.65倍〜0.95倍が好ましく、0.65倍以上とすることで、塗工膜が間歇的に円筒表面に塗工される塗膜欠陥が起こりにくい。また、被覆層原料の膜厚を0.95倍以下とすることで、環状ノズル内壁に塗工面が触れることもなく、高精度の膜厚形成が可能となる。また、間隔gに対するこの値は、より好ましくは0.70倍〜0.90倍の膜厚を塗工するのがよく、更に好ましくは、0.75倍〜0.85倍である。
【0025】
このようにして、被覆層原料の形成された薄肉円筒を、矯正中子に挿入したのと同様な方法により、中子にあけた細孔から噴出する高圧空気により拡管させながら取り外し、図1の(E)のように非直円柱状拡管中子5を挿入する。このときも、例えば、矯正中子と同様に、高圧空気を中子にあけた複数の細孔6から噴出させ薄肉円等を拡管させながら非直円柱状拡管中子5を挿入することで、異形状であり、かつ、薄肉円筒の内径よりも、外径の大きい非直円柱拡管中子を容易に挿入できる。殊に、より真円度の高い被覆層付き非直円筒を得ようとする時、薄肉円筒の内径に比べ、非直円柱状拡管中子の外径を等しいかそれより大きくするのが好ましい。
【0026】
薄肉円筒内に挿入した非直円柱状拡管中子を加熱することにより、薄肉円筒を非直円筒へと矯正変形させ、それと同時に薄肉円筒表面の被覆層原料を硬化させる。硬化後、室温に戻し、非直円柱状拡管中子を前記同様圧縮空気の噴出により、薄肉円筒から抜きとり、更に、必要に応じ被覆層付き非直円筒の両端の不要部を切断することにより寸法を整えることで、所望の真円度を有し膜厚精度の極めて高い被覆層付き非直円筒を得ることができる。これにより、像加熱定着装置の定着ベルトとして極めて高い定着性能や、記録媒体の極めて高い搬送性能を達成し得る。
【0027】
また、薄肉円筒表面にコートされる被覆層原料は、非直円柱状拡管中子が挿入されるときは、未硬化状態か仮硬化状態であることが好ましい。もし硬化状態の被覆層が形成されていれば、その後の、薄肉円筒を非直円筒へと矯正変形を行ったとき、被覆層の厚みバラツキを生じたり、被覆層表面に皺やクラックを生じたり、更に、被覆層付き非直円筒に局部変形を生じ真円度を低下させることがある。
【0028】
非直円柱状拡管中子を被覆層原料がコートされた薄肉円筒内に挿入した後、非直円柱状拡管中子に加える周方向及び軸方向への膨張変形は、変形の等方性、装置の簡便性から熱的に行う必要があり、拡管中子の熱膨張率は、薄肉円筒基材の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。その差は、少なくとも0.5×10−5(deg−1)以上であることが好ましく。より好ましくは1.0×10−5(deg−1)以上であり、更に好ましくは1.5×10−5(deg−1)以上である。
【0029】
このとき、加熱温度もまた、確実に変形させるために、また、表面に形成した被覆層原料を硬化させるために、100℃〜400℃が好ましく。より好ましくは150℃〜350℃、更に好ましくは200℃〜300℃である。
【0030】
これにより、薄肉円筒は、確実に非直円筒に矯正されるとともに、被覆層原料も確実に非直円筒に倣い硬化することができ、平滑性のあり、真円度の高い被覆層付き非直円筒を得ることができる。
【0031】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例は、何ら本発明を限定するものではない。
【0032】
(実施例1)
以下、本発明の一実施例として、図1を用いて被覆層付き非直円筒1の製造方法について説明する。薄肉円筒としては、公知の方法であるスピン加工により内径29.95mm狙い、厚み0.050mm、円筒長250mmに作成されたSUS製の基材を複数100本用意した。
【0033】
このものを、図4に示すように、発光部15からのレーザー光束16幅を受光部17で検知する公知のレーザー測長機で、ホルダー18に懸架させた薄肉円筒を両端の5mmを除き軸長方向に20mmピッチで12点測定位置を定め、各ピッチ毎に45°ずつ周方向の角度を変えその光束幅から外径を測定し、各位置での最大径と最小径との差を求めたところ、その差の最大は0.115mmであり極めて真円度が悪い円筒であることがわかった。また、各位置でのレーザー光束の上端から円筒表面までの距離を同一ピッチで12点測定しその距離の最大と最小の差、即ち外形の振れ範囲を測定したところ0.105mmであり極めて直円柱度も悪い円筒であり、直円筒度(真円度と直円柱度)の悪い基材であることがわかる。なお、本発明では、直円筒度の良いとは、真円度が0.020mm以下であり、なおかつ、直円柱度(外形の振れの範囲)が0.010mm以下のものをいう。
【0034】
用意した複数100本の薄肉円筒の残り全ても、大略同程度の真円度の悪い、直円柱度の悪い、従って直円筒度の悪い基材であった。また、この基材表面に環状塗工法により被覆層を厚み300μm塗工しようとすると、基材と環状ノズルとの距離が不均一のため、被覆層が間歇的に塗工される箇所や、環状のズルと基材表面とが摺接して塗工されるなど、膜厚精度の極めて悪い被覆層付き円筒となる。
【0035】
本発明では、これら基材に、真円度0.0020mm、直円柱度0.005mmに加工された、図1の3に示すような外径30.000mmに加工されたSUS製直円柱状中子を、その先端部の細孔より高圧空気を噴出させつつ、薄肉円筒基材を拡管させながら挿入した。このときの、直円柱状中子を挿入された薄肉円筒基材の真円度は、0.010mm、直円柱度(振れの範囲)は、0.005であった。
【0036】
このようにして、図2、図3に示す方法により、DY35−561(商品名:付加型シリコーンゴム、粘度:120Pa・s、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)を、30.850mmの口径の環状ノズルより、液送量と、環状ノズルと薄肉円筒との相対移動速度とを勘案して、300μmの膜厚になるよう環状塗工法により、薄肉円筒先端部10mm位置から後端部10mm位置までの塗工範囲230mmで被覆層原料を塗工した。
【0037】
このときの同一ピッチで測定した塗工膜厚(レーザー測長機により、未塗工の薄肉円筒両端部5mmの位置を基準としたレーザー光束上端からの被覆層原料表面までの距離により求めた)は300μm±15μmであり、更に被覆層原料表面の真円度は、0.010mm以下に塗工されていた。
【0038】
これらを直円柱状中子の細孔からの高圧空気を噴出させることにより、薄肉円筒を拡管し直円柱状中子を取り除いた被覆層原料付き薄肉円筒50本ずつを2つの群に分けた。
【0039】
第1群の50本は本発明による実施例として、これらを、両端の付近の最大径部が30.100mm、中央の最小径部が29.935mm(逆クラウン量、0.165mm)のAl製逆クラウン状非直円柱状拡管中子5を最大径部付近にあけた細孔から高圧空気を墳出させることにより被覆層原料を塗工した薄肉円筒を拡管させることにより挿入し、220℃の流気式乾燥機に入れ、熱膨張率の差(SUSとAlでは、1.2×10−5deg)を利用し被覆層原料付き直円筒の拡管変形を行い、それとともに、被覆層原料の4時間硬化を行った。その後、室温に戻して後、非直円柱状拡管中子の挿入と同様な方法により、非直円柱状拡管中子を取り外し、本発明にいう被覆層付き非直円筒を得た。これらの、真円度は、0.010mm以下、両端の最大径部は30.770mm、中央の最小径部は30.650mm(逆クラウン量0.120mm)の、被覆層付き非直円筒を作成した。
【0040】
(比較例1)
比較例として、第2群として残りの50本の被覆層原料付き直円筒を220℃流気式乾燥機に投入し、4時間被覆層原料の硬化を行った後取り出し、室温にて、実施例と同様形状のAl製逆クラウン形状の非直円柱状拡管中子を、高圧空気の利用により被覆層付き直円筒に挿入し、220℃の流気式乾燥機に4時間投入して、大きな拡管中子の熱膨張を利用し直円筒の非直円筒への変形を行った。その後、乾燥機から取り出し、非直円柱状拡管中子を取り外し、比較例の被覆層付き非直円筒を得た。これらの真円度は、0.065mm以上、また逆クラウン形状は認められるものの明らかに歪んだ形状の被覆層付き非直円筒であった。
【0041】
実施例1及び比較例1により製造した被覆層付き非直円筒を用いて、以下の評価を行った。
【0042】
<搬送性・定着性能の評価>
実施例1及び比較例1により作成したベルトを図5に示す像加熱定着装置に装着し、トナーの定着性能や記録紙などの担持体の搬送性能を確認した。図5において、符号19は被覆層付き定着ベルト、20は定着ベルト19の加熱体であり、21は加熱体20を支持するとともに定着ベルト19の回転を支持する支持体である。
【0043】
22は、加圧ローラであり不図示の駆動手段により駆動される。像加熱定着装置は図5のように定着ベルト19と加圧ローラ22との間に、画像を形成するトナーを担持した記録紙などの担持体23を搬送挿通させて、加熱体20から受けた定着ベルトへの熱を、被覆層を介してトナーへ伝達するとともに、トナーを記録紙の上に加圧・加熱することにより定着させる。
【0044】
記録紙面全体が黒色未定着トナーの担持された複数枚の記録紙を搬送挿通させ、定着性能と記録紙搬送性とを確認した。その結果、実施例1による定着ベルトは、記録紙面全体で光沢が一定な定着ムラのない極めて高品位の定着性能を有することが確認できた。また、記録紙搬送性能を長時間搬送挿通により確認したところ、紙皺のない安定した搬送性が得られることも確かめられた。
【0045】
それに対して、比較例1による定着ベルトでは、記録紙面全体が黒色未定着トナーの担持された複数枚の記録紙を搬送挿通させると、被覆層付き非直円筒の歪みによる加圧ムラと思われる、光沢のばらつきのある定着欠陥の多いことが認められた。また、実施例1と同様にして記録紙搬送性能を長時間搬送挿通により確認したところ、紙皺の発生や排紙時の偏りが認められ、本実施例に比べ定着性能や搬送性能が劣ることがわかった。
【0046】
実施例1では、薄肉円筒を被覆層付き非直円筒にすることを中心に述べてきたが、当然のことながら、直円柱状拡管中子を利用することで被覆層原料付き直円筒とすることも可能である。
【0047】
本発明に用いる被覆層形成法は、硬化後表面を二次加工することなく定着ベルトとすることができ、一般に型内で成型しその後研削加工を行う方法に比べ、その表面観察により加工痕から識別することができる。また、電鋳法やバルジング加工、スピン加工を行った材料は、その組織の観察により識別することができる。
【0048】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明の好適な実施の態様を以下のとおり列挙する。
【0049】
[実施態様1]
薄肉円筒内に直円柱状中子を矯正挿入することにより該薄肉円筒の真円度を高め、次いで該薄肉円筒表面に被覆層を形成し、次いで該直円柱状中子を除去し、該薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子を挿入した後、該非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、非直円筒状に矯正されたものであることを特徴とする被覆層付き非直円筒。
【0050】
[実施態様2]
前記薄肉円筒が、金属製である実施態様1に記載の被覆層付き非直円筒。
【0051】
[実施態様3]
前記薄肉円筒が、ステンレス鋼製である実施態様2に記載の被覆層付き非直円筒。
【0052】
[実施態様4]
前記薄肉円筒表面に被覆層を形成する方法が、環状塗工法である実施態様1乃至3のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒。
【0053】
[実施態様5]
前記被覆層が、前記薄肉円筒内に挿入された前記非直円柱状拡管中子が熱的に膨張すると同時か、それ以降に硬化されたものである実施態様1乃至4のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒。
【0054】
[実施態様6]
前記被覆層が、シリコーンゴム層である実施態様1乃至5のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒。
【0055】
[実施態様7]
前記被覆層付き非直円筒が、像加熱定着装置の定着ベルトである実施態様1乃至6のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒。
【0056】
[実施態様8]
第一の工程として、薄肉円筒内に直円柱状中子を矯正挿入することにより該薄肉円筒の真円度を高め、第二の工程として、該薄肉円筒表面に被覆層を形成し、第三の工程として、該直円柱状中子を除去した後、該薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子を挿入し、次いで該非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、該薄肉円筒を非直円筒状に矯正することを特徴とする被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0057】
[実施態様9]
前記薄肉円筒が、金属製である実施態様8に記載の被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0058】
[実施態様10]
前記薄肉円筒が、ステンレス鋼製である実施態様9に記載の被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0059】
[実施態様11]
前記薄肉円筒表面に被覆層を形成する方法が、環状塗工法である実施態様8乃至10のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0060】
[実施態様12]
前記被覆層が、前記薄肉円筒内に挿入された前記非直円柱状拡管中子が熱的に膨張すると同時か、それ以降に硬化される実施態様8乃至11のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0061】
[実施態様13]
前記被覆層が、シリコーンゴム層である実施態様8乃至12のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0062】
[実施態様14]
前記被覆層付き非直円筒が、像加熱定着装置の定着ベルトである実施態様8乃至13のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第一の工程として、薄肉円筒内に直円柱状中子を矯正挿入することにより該薄肉円筒の真円度を高め、第二の工程として、該薄肉円筒表面に被覆層を形成し、第三の工程として、該直円柱状中子を除去した後、該薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子を挿入し、次いで該非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、前記薄肉円筒を非直円筒状に矯正することにより、表面が平滑で均一な被覆層を有する被覆層付き非直円筒を得ることを可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被覆層付き非直円筒の製造方法の行程を示す側面図である。
【図2】本発明に用いる環状塗工法を示す要部見取り図である。
【図3】本発明に用いる環状塗工により、直円柱中子に倣わされた薄肉円筒基材への被覆層原料の塗工状況を示す要部断面図である。
【図4】本発明の被覆層付き非直円筒をレーザー測長機で測定する状況を示す要部見取り図である。
【図5】本発明の被覆層付き非直円筒を定着ベルトとして使用する像加熱定着装置の説明図である。
【符号の説明】
1 被覆層付き非直円筒
2 基材である薄肉円筒
3 直円柱状中子
4 被覆層原料
5 非直円柱状拡管中子
6 細孔
7 シリンダー
8 ピストン
9 液送管
10 環状ヘッド
11 注入口
12 液貯留部
13 環状流路
14 環状ノズル
15 レーザー発光部
16 レーザー光束
17 レーザー受光部
18 ホルダー
19 定着ベルト
20 加熱体
21 支持体
22 加圧ローラ
23 担持体
g 環状ノズルと直円柱状中子の挿入された薄肉円筒との間隔
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆層付き非直円筒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機やレーザービームプリンター、ファクシミリなどの電子写真装置に配設される像加熱定着装置の被覆層付きベルトのように、記録紙の高精度搬送が求められる装置や、被覆層付きベルトを均一なニップ幅で圧接を求められる装置などにおいては、記録紙の搬送性や記録紙の皺防止の要求により、被覆層付きベルトの周囲の形状を、クラウン形状や逆クラウン形状といった、被覆層付きベルトの中心軸方向に沿って外形を変化させた非直円柱状のものが必要になってきている。更に、記録紙上のトナーを加熱溶融し、記録紙上全体に光沢ムラなく安定にトナー像を定着させる定着性能の面から、高熱伝導性耐熱性弾性体である被覆層のベルト上での膜厚均一性と平坦性とが求められている。
【0003】
一般に、非直筒状の作成方法としては、深絞りや研削加工などによりある程度円筒状に形成されたものを非直円筒状の型内に入れ、前記円筒状に形成されたものの内側より高圧力を与え、非直円筒状の型内壁側に押し広げることにより形成するバルジング加工法や、非直円筒状型内にセットされた円筒状部材をその中にセットされた回転ロールにより、円筒状型内面側に押し広げることにより、非直円筒状とするスピニング加工法等が、知られている。
【0004】
また、薄肉円筒の矯正方法としては、フィルム環状体の製法において、エキシマレーザー光で微細孔を開けた円筒状フィルムに、それよりも熱膨張率の大きな円筒状支持体を挿入し、円筒状支持体を加熱することにより、円筒状フィルムを管状に矯正することが述べられている(例えば特許文献1参照)が、非直円筒状に矯正を行おうとすると、プラスチックでは金属の結晶構造と異なり、塑性変形により部材全体が均一に変形することができず却って、真円度を低下させてしまう。まして、孔加工した場合、その近傍の強度低下により不均一な変形となり、真円度の高い矯正は行えない。更に、金属製筒状部品の矯正方法としては、被矯正部品を加熱して熱膨張状態とする工程と熱膨張した被矯正部品の中に修正型を嵌め込む工程と、修正型を加熱して熱膨張させて非修正部品の変形部分を矯正することが述べられている(例えば特許文献2参照)が、予め、未硬化の被覆層付きの薄肉円筒を加熱しておくことは未硬化被覆層が硬化してしまい、中子除去後に被覆層付き薄肉円筒が変形してしまい真円度を低下させてしまう。
【0005】
また、このような非直円筒への被覆層を均一に形成する方法としては、次の方法が考えられる。
(1)回転している非直円筒表面に、スプレーガンを移動させながら被覆層原料をコートし、所定厚になったらコートを止め、被覆層原料を硬化する方法。
(2)被覆層原料の入ったディップ浴に、内面がコートされないよう処理された非直円筒を入れ、所定膜厚となるよう引き上げ速度を調整し、非直円筒を引き上げた後、被覆層原料を硬化する方法。
(3)非直円筒と管状ノズルとを相対移動させながら、環状ノズルから被覆層原料を非直円筒上に環状塗工する方法。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−31473号公報
【特許文献2】
特開平10−80726号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の(1)から(3)の非直円筒上への被覆層の形成方法では、次のような問題点が生じる場合があった。
【0008】
(1)では、定着ベルト表面に形成される被覆層は、高熱伝導性耐熱性弾性層であって、シリコーンゴム材料に熱伝導性を高めるために、金属酸化物等の充填材を多量に含む場合があり、このとき、被覆層原料の粘度は極めて高い。被覆層原料そのものはスプレー法に不向きであるため、溶剤等で希釈し低粘度化して初めてスプレーを行うことができる。その場合、スプレー塗布の低収率性、溶剤の環境保全対策、溶剤希釈した被覆層原料中での充填材の沈殿による分離等の理由から、定着ベルトには不向きになる場合があった。
【0009】
(2)では、(1)と同様、極めて高粘度の材料である被覆層原料の入ったディップ浴から、非直円筒を引き上げ均一な所定厚みを得ようとすると、塗工不要部へのシールドを必要とすることや、膜形成に数時間という極めて長時間かけることで可能であるが、被覆層原料の組成によっては、その間の振動や地震等により膜厚バラツキを生じるなどといった理由により実用的でない場合があった。
【0010】
(3)では、直円筒表面への環状塗工方法は、環状ノズルと直円筒との距離とにより、更に、塗工膜厚をその距離よりも小さく設定することで、高精度の均一塗工膜を得ることができる。しかし、非直円筒上へ環状塗工を行おうとすると、環状ノズルが非直円筒上に形成された被覆層原料を削いでしまったり、非直円筒と環状ノズルとが摺接してしまう等により、均一な被覆層の形成が困難になる場合があった。
【0011】
そこで本発明の目的は、上記従来例の欠点を改良することで、表面が平滑で均一な被覆層を有する非直円筒及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、薄肉円筒内に直円柱状中子を矯正挿入することにより該薄肉円筒の真円度を高め、次いで該薄肉円筒表面に被覆層を形成し、次いで該直円柱状中子を除去し、該薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子を挿入した後、該非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、非直円筒状に矯正されたものであることを特徴とする被覆層付き非直円筒である。
【0013】
また、本発明は、第一の工程として、薄肉円筒内に直円柱状中子を矯正挿入することにより該薄肉円筒の真円度を高め、第二の工程として、該薄肉円筒表面に被覆層を形成し、第三の工程として、該直円柱状中子を除去した後、該薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子を挿入し、次いで該非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、該薄肉円筒を非直円筒状に矯正することを特徴とする被覆層付き非直円筒の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明によって製造された被覆層付き非直円筒を、例えば、像加熱定着装置用の定着ベルトとして使用した場合、記録紙を高精度に搬送したり、記録紙搬送時の皺を防止することができる。更に、円筒上に膜厚均一性と平坦性とを有する被覆層が形成されることで、記録紙上のトナーを加熱溶融し、記録紙上全体に光沢ムラなく安定にトナー像を定着させる良好な定着性能を有することができる。
【0015】
本発明における「直円筒」とは、長手方向における断面径12点測定値の最大値と最小値との差が0.050mm以下の円形を有するものであり、内部が中空のものである。「非直円筒」とは、長手方向における断面径の最大値と最小値との差が0.050mmを超えるもので、例えばクラウン形状や逆クラウン形状、テーパー形状等を有するものであり、内部が中空のものである。ここで、クラウン形状とは軸方向の中央部を太く、両端部を細くした形状であり、逆クラウン形状とは軸方向の中央部を細く、両端部を太くした形状である。また、テーパー状とは徐々に外径が太くまたは細くなる形状を表す。最大径と最小径との差をそれぞれ「クラウン量」、「逆クラウン量」、「テーパー量」とする。
【0016】
また、「非直円柱形状」とは、長手方向における断面径の最大値と最小値の差が0.050mmを超えるクラウン形状や逆クラウン形状、テーパー状形状等であり、筒状、厚肉円筒状又は棒状のいずれの形状であってもよい。非直円柱状の拡管中子は、外径が非直円柱状を呈するものであればよく、熱容量を考慮し、筒状であっても厚肉円筒状であってもよい。「直円柱形状」とは、長手方向における断面径12点測定値の最大値と最小値との差が0.050mm以下の円形を有するものである。
【0017】
また、真円度とは、外形が直円筒状や非直円筒状を問わず、端部の任意の位置を基点として、軸方向に等間隔で12基点を定め、各基点毎に角度を45°ずつずらし外径を4点測定しその中の最大径と最小径との差から、12基点における最大のものとした。本発明に言う非直円筒状基材の好ましい真円度、或いは、被覆層付き非直円筒の好ましい真円度は0.020mm以下であり、より好ましくは0.015mm以下であり、更に好ましくは0.010mm以下である。
【0018】
図1には、好ましい真円度を有する被覆層付き非直円筒の形成方法に関する側面図を示す。(A)では、基材である薄肉円筒2に、その内径より大きな外径を有する直円柱状中子3を、3の先端部の細孔6から噴出される高圧空気により、薄肉円筒2を拡径させると同時に直円柱状中子3が挿入され、高圧空気の噴出を停止することにより、(B)では、直円柱状中子の外径に倣って薄肉円筒が固定さる。その後、(C)では、直円柱状中子に固定された薄肉円筒表面に被覆層原料4が環状塗工法により塗工され、挿入工程と同様、直円柱状中子の細孔6からの高圧空気の噴出により薄肉円筒を拡径し、直円柱状中子が取り除かれ、代わって、(D)では、非直円柱状拡管中子(ここでは逆クラウン形状)5を、その外径最大部付近にあけられた複数の細孔6から噴出する高圧空気により、被覆層原料が塗工された薄肉円筒を拡径させながら挿入し、それらを(E)では加熱することで非直円柱状拡管中子を熱膨張により拡管させて薄肉円筒及び被覆層原料を非直円筒の外径に倣わせると同時に、被覆層原料を硬化させる。この後、(F)では非直円柱状拡管中子の挿入と同様な方法により、細孔6から噴出させた高圧空気を利用し、非直円柱状拡管中子5から取りはずし被覆層付き非直円筒1を得る。
【0019】
薄肉円筒は、電鋳法や引き抜き法、深絞り、切削法、スピン法、バルジング法等により製造されたシームレス管であっても、シート状膜の端部を接続して形成したループ状、管状、リング状、筒状、輪状、中空状等含むものをいい、その材質は、金属、セラミックス、プラスチックの単一材料であっても、積層材料であっても、複合化されていてもよいが、定着ベルトとして使用する場合、熱伝導性や高温での使用に耐える材料であることが好ましく、より好ましくは金属であって、更に好まくは、Ni鋼、Ni−Cr鋼などである。より好ましくは、定着ベルトとして回転時の酸化による摩耗防止の点からステンレス鋼である。
【0020】
被覆層としては、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、オレフィン樹脂、シリコーンゴム等を使用することができるが、定着ベルトの被覆層としての耐熱性やゴム弾性の面からシリコーンゴムが好ましい。
【0021】
被覆層の厚さは、1〜2000μmであるのが好ましい。より好ましくは、10〜1000μm、さらに好ましくは、50〜500μmである。
【0022】
直円筒状に矯正された薄肉円筒表面への被覆層原料の塗工方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、ブレードコート法、ディスペンサーコート法、環状塗工法等いずれの方法でも適用できる。
【0023】
本発明で言う被覆層付き非直円筒及びその製造方法では、環状塗工法を用いることにより、矯正された直円筒上に高粘度液体を溶剤希釈することなく、膜厚の均一な平滑な面を、短時間かつ高精度に塗工することができ好ましい。上記被覆層付き非直円筒及びその製造方法では、環状塗工法を用いる場合、被覆層原料の粘度は0.01〜1000Pa・sであるのが好ましく、より好ましい被覆層原料の粘度は、0.1〜800Pa・sである。なお、粘度はBL型回転粘度計により25℃にて測定したものである。
【0024】
図2は、本発明の環状塗工法を模式的に示す図であって、その塗工状態を要部拡大図3に示されるように、真円度を矯正された薄肉円筒表面に被覆層原料を塗工する状況を示した図である。直円筒状に矯正された薄肉円筒2は、矯正中子3に固定されていて、被覆層原料がシリンダー7内で、一定速度で押し下げられる(駆動部は不図示)ピストン8によって、液送管9を通して環状ヘッド部10の注入口11に導かれ、環状の液貯留部12に貯留されされた後、環状の狭い流路13を経て、環状ノズル14より吐出される。このとき、中子3に矯正固定された薄肉円筒2と環状ヘッド10とを薄肉円筒2の軸方向に所定速度で相対移動させる(駆動部は不図示)ことにより、被覆層原料4を塗工する。被覆層原料の厚みは、使用する被覆層の粘度や相対移動速度により一義的に決まらないが、薄肉円筒と環状ノズルとの間隔gの0.65倍〜0.95倍が好ましく、0.65倍以上とすることで、塗工膜が間歇的に円筒表面に塗工される塗膜欠陥が起こりにくい。また、被覆層原料の膜厚を0.95倍以下とすることで、環状ノズル内壁に塗工面が触れることもなく、高精度の膜厚形成が可能となる。また、間隔gに対するこの値は、より好ましくは0.70倍〜0.90倍の膜厚を塗工するのがよく、更に好ましくは、0.75倍〜0.85倍である。
【0025】
このようにして、被覆層原料の形成された薄肉円筒を、矯正中子に挿入したのと同様な方法により、中子にあけた細孔から噴出する高圧空気により拡管させながら取り外し、図1の(E)のように非直円柱状拡管中子5を挿入する。このときも、例えば、矯正中子と同様に、高圧空気を中子にあけた複数の細孔6から噴出させ薄肉円等を拡管させながら非直円柱状拡管中子5を挿入することで、異形状であり、かつ、薄肉円筒の内径よりも、外径の大きい非直円柱拡管中子を容易に挿入できる。殊に、より真円度の高い被覆層付き非直円筒を得ようとする時、薄肉円筒の内径に比べ、非直円柱状拡管中子の外径を等しいかそれより大きくするのが好ましい。
【0026】
薄肉円筒内に挿入した非直円柱状拡管中子を加熱することにより、薄肉円筒を非直円筒へと矯正変形させ、それと同時に薄肉円筒表面の被覆層原料を硬化させる。硬化後、室温に戻し、非直円柱状拡管中子を前記同様圧縮空気の噴出により、薄肉円筒から抜きとり、更に、必要に応じ被覆層付き非直円筒の両端の不要部を切断することにより寸法を整えることで、所望の真円度を有し膜厚精度の極めて高い被覆層付き非直円筒を得ることができる。これにより、像加熱定着装置の定着ベルトとして極めて高い定着性能や、記録媒体の極めて高い搬送性能を達成し得る。
【0027】
また、薄肉円筒表面にコートされる被覆層原料は、非直円柱状拡管中子が挿入されるときは、未硬化状態か仮硬化状態であることが好ましい。もし硬化状態の被覆層が形成されていれば、その後の、薄肉円筒を非直円筒へと矯正変形を行ったとき、被覆層の厚みバラツキを生じたり、被覆層表面に皺やクラックを生じたり、更に、被覆層付き非直円筒に局部変形を生じ真円度を低下させることがある。
【0028】
非直円柱状拡管中子を被覆層原料がコートされた薄肉円筒内に挿入した後、非直円柱状拡管中子に加える周方向及び軸方向への膨張変形は、変形の等方性、装置の簡便性から熱的に行う必要があり、拡管中子の熱膨張率は、薄肉円筒基材の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。その差は、少なくとも0.5×10−5(deg−1)以上であることが好ましく。より好ましくは1.0×10−5(deg−1)以上であり、更に好ましくは1.5×10−5(deg−1)以上である。
【0029】
このとき、加熱温度もまた、確実に変形させるために、また、表面に形成した被覆層原料を硬化させるために、100℃〜400℃が好ましく。より好ましくは150℃〜350℃、更に好ましくは200℃〜300℃である。
【0030】
これにより、薄肉円筒は、確実に非直円筒に矯正されるとともに、被覆層原料も確実に非直円筒に倣い硬化することができ、平滑性のあり、真円度の高い被覆層付き非直円筒を得ることができる。
【0031】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例は、何ら本発明を限定するものではない。
【0032】
(実施例1)
以下、本発明の一実施例として、図1を用いて被覆層付き非直円筒1の製造方法について説明する。薄肉円筒としては、公知の方法であるスピン加工により内径29.95mm狙い、厚み0.050mm、円筒長250mmに作成されたSUS製の基材を複数100本用意した。
【0033】
このものを、図4に示すように、発光部15からのレーザー光束16幅を受光部17で検知する公知のレーザー測長機で、ホルダー18に懸架させた薄肉円筒を両端の5mmを除き軸長方向に20mmピッチで12点測定位置を定め、各ピッチ毎に45°ずつ周方向の角度を変えその光束幅から外径を測定し、各位置での最大径と最小径との差を求めたところ、その差の最大は0.115mmであり極めて真円度が悪い円筒であることがわかった。また、各位置でのレーザー光束の上端から円筒表面までの距離を同一ピッチで12点測定しその距離の最大と最小の差、即ち外形の振れ範囲を測定したところ0.105mmであり極めて直円柱度も悪い円筒であり、直円筒度(真円度と直円柱度)の悪い基材であることがわかる。なお、本発明では、直円筒度の良いとは、真円度が0.020mm以下であり、なおかつ、直円柱度(外形の振れの範囲)が0.010mm以下のものをいう。
【0034】
用意した複数100本の薄肉円筒の残り全ても、大略同程度の真円度の悪い、直円柱度の悪い、従って直円筒度の悪い基材であった。また、この基材表面に環状塗工法により被覆層を厚み300μm塗工しようとすると、基材と環状ノズルとの距離が不均一のため、被覆層が間歇的に塗工される箇所や、環状のズルと基材表面とが摺接して塗工されるなど、膜厚精度の極めて悪い被覆層付き円筒となる。
【0035】
本発明では、これら基材に、真円度0.0020mm、直円柱度0.005mmに加工された、図1の3に示すような外径30.000mmに加工されたSUS製直円柱状中子を、その先端部の細孔より高圧空気を噴出させつつ、薄肉円筒基材を拡管させながら挿入した。このときの、直円柱状中子を挿入された薄肉円筒基材の真円度は、0.010mm、直円柱度(振れの範囲)は、0.005であった。
【0036】
このようにして、図2、図3に示す方法により、DY35−561(商品名:付加型シリコーンゴム、粘度:120Pa・s、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)を、30.850mmの口径の環状ノズルより、液送量と、環状ノズルと薄肉円筒との相対移動速度とを勘案して、300μmの膜厚になるよう環状塗工法により、薄肉円筒先端部10mm位置から後端部10mm位置までの塗工範囲230mmで被覆層原料を塗工した。
【0037】
このときの同一ピッチで測定した塗工膜厚(レーザー測長機により、未塗工の薄肉円筒両端部5mmの位置を基準としたレーザー光束上端からの被覆層原料表面までの距離により求めた)は300μm±15μmであり、更に被覆層原料表面の真円度は、0.010mm以下に塗工されていた。
【0038】
これらを直円柱状中子の細孔からの高圧空気を噴出させることにより、薄肉円筒を拡管し直円柱状中子を取り除いた被覆層原料付き薄肉円筒50本ずつを2つの群に分けた。
【0039】
第1群の50本は本発明による実施例として、これらを、両端の付近の最大径部が30.100mm、中央の最小径部が29.935mm(逆クラウン量、0.165mm)のAl製逆クラウン状非直円柱状拡管中子5を最大径部付近にあけた細孔から高圧空気を墳出させることにより被覆層原料を塗工した薄肉円筒を拡管させることにより挿入し、220℃の流気式乾燥機に入れ、熱膨張率の差(SUSとAlでは、1.2×10−5deg)を利用し被覆層原料付き直円筒の拡管変形を行い、それとともに、被覆層原料の4時間硬化を行った。その後、室温に戻して後、非直円柱状拡管中子の挿入と同様な方法により、非直円柱状拡管中子を取り外し、本発明にいう被覆層付き非直円筒を得た。これらの、真円度は、0.010mm以下、両端の最大径部は30.770mm、中央の最小径部は30.650mm(逆クラウン量0.120mm)の、被覆層付き非直円筒を作成した。
【0040】
(比較例1)
比較例として、第2群として残りの50本の被覆層原料付き直円筒を220℃流気式乾燥機に投入し、4時間被覆層原料の硬化を行った後取り出し、室温にて、実施例と同様形状のAl製逆クラウン形状の非直円柱状拡管中子を、高圧空気の利用により被覆層付き直円筒に挿入し、220℃の流気式乾燥機に4時間投入して、大きな拡管中子の熱膨張を利用し直円筒の非直円筒への変形を行った。その後、乾燥機から取り出し、非直円柱状拡管中子を取り外し、比較例の被覆層付き非直円筒を得た。これらの真円度は、0.065mm以上、また逆クラウン形状は認められるものの明らかに歪んだ形状の被覆層付き非直円筒であった。
【0041】
実施例1及び比較例1により製造した被覆層付き非直円筒を用いて、以下の評価を行った。
【0042】
<搬送性・定着性能の評価>
実施例1及び比較例1により作成したベルトを図5に示す像加熱定着装置に装着し、トナーの定着性能や記録紙などの担持体の搬送性能を確認した。図5において、符号19は被覆層付き定着ベルト、20は定着ベルト19の加熱体であり、21は加熱体20を支持するとともに定着ベルト19の回転を支持する支持体である。
【0043】
22は、加圧ローラであり不図示の駆動手段により駆動される。像加熱定着装置は図5のように定着ベルト19と加圧ローラ22との間に、画像を形成するトナーを担持した記録紙などの担持体23を搬送挿通させて、加熱体20から受けた定着ベルトへの熱を、被覆層を介してトナーへ伝達するとともに、トナーを記録紙の上に加圧・加熱することにより定着させる。
【0044】
記録紙面全体が黒色未定着トナーの担持された複数枚の記録紙を搬送挿通させ、定着性能と記録紙搬送性とを確認した。その結果、実施例1による定着ベルトは、記録紙面全体で光沢が一定な定着ムラのない極めて高品位の定着性能を有することが確認できた。また、記録紙搬送性能を長時間搬送挿通により確認したところ、紙皺のない安定した搬送性が得られることも確かめられた。
【0045】
それに対して、比較例1による定着ベルトでは、記録紙面全体が黒色未定着トナーの担持された複数枚の記録紙を搬送挿通させると、被覆層付き非直円筒の歪みによる加圧ムラと思われる、光沢のばらつきのある定着欠陥の多いことが認められた。また、実施例1と同様にして記録紙搬送性能を長時間搬送挿通により確認したところ、紙皺の発生や排紙時の偏りが認められ、本実施例に比べ定着性能や搬送性能が劣ることがわかった。
【0046】
実施例1では、薄肉円筒を被覆層付き非直円筒にすることを中心に述べてきたが、当然のことながら、直円柱状拡管中子を利用することで被覆層原料付き直円筒とすることも可能である。
【0047】
本発明に用いる被覆層形成法は、硬化後表面を二次加工することなく定着ベルトとすることができ、一般に型内で成型しその後研削加工を行う方法に比べ、その表面観察により加工痕から識別することができる。また、電鋳法やバルジング加工、スピン加工を行った材料は、その組織の観察により識別することができる。
【0048】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明の好適な実施の態様を以下のとおり列挙する。
【0049】
[実施態様1]
薄肉円筒内に直円柱状中子を矯正挿入することにより該薄肉円筒の真円度を高め、次いで該薄肉円筒表面に被覆層を形成し、次いで該直円柱状中子を除去し、該薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子を挿入した後、該非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、非直円筒状に矯正されたものであることを特徴とする被覆層付き非直円筒。
【0050】
[実施態様2]
前記薄肉円筒が、金属製である実施態様1に記載の被覆層付き非直円筒。
【0051】
[実施態様3]
前記薄肉円筒が、ステンレス鋼製である実施態様2に記載の被覆層付き非直円筒。
【0052】
[実施態様4]
前記薄肉円筒表面に被覆層を形成する方法が、環状塗工法である実施態様1乃至3のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒。
【0053】
[実施態様5]
前記被覆層が、前記薄肉円筒内に挿入された前記非直円柱状拡管中子が熱的に膨張すると同時か、それ以降に硬化されたものである実施態様1乃至4のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒。
【0054】
[実施態様6]
前記被覆層が、シリコーンゴム層である実施態様1乃至5のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒。
【0055】
[実施態様7]
前記被覆層付き非直円筒が、像加熱定着装置の定着ベルトである実施態様1乃至6のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒。
【0056】
[実施態様8]
第一の工程として、薄肉円筒内に直円柱状中子を矯正挿入することにより該薄肉円筒の真円度を高め、第二の工程として、該薄肉円筒表面に被覆層を形成し、第三の工程として、該直円柱状中子を除去した後、該薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子を挿入し、次いで該非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、該薄肉円筒を非直円筒状に矯正することを特徴とする被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0057】
[実施態様9]
前記薄肉円筒が、金属製である実施態様8に記載の被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0058】
[実施態様10]
前記薄肉円筒が、ステンレス鋼製である実施態様9に記載の被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0059】
[実施態様11]
前記薄肉円筒表面に被覆層を形成する方法が、環状塗工法である実施態様8乃至10のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0060】
[実施態様12]
前記被覆層が、前記薄肉円筒内に挿入された前記非直円柱状拡管中子が熱的に膨張すると同時か、それ以降に硬化される実施態様8乃至11のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0061】
[実施態様13]
前記被覆層が、シリコーンゴム層である実施態様8乃至12のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0062】
[実施態様14]
前記被覆層付き非直円筒が、像加熱定着装置の定着ベルトである実施態様8乃至13のいずれかに記載の被覆層付き非直円筒の製造方法。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第一の工程として、薄肉円筒内に直円柱状中子を矯正挿入することにより該薄肉円筒の真円度を高め、第二の工程として、該薄肉円筒表面に被覆層を形成し、第三の工程として、該直円柱状中子を除去した後、該薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子を挿入し、次いで該非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、前記薄肉円筒を非直円筒状に矯正することにより、表面が平滑で均一な被覆層を有する被覆層付き非直円筒を得ることを可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被覆層付き非直円筒の製造方法の行程を示す側面図である。
【図2】本発明に用いる環状塗工法を示す要部見取り図である。
【図3】本発明に用いる環状塗工により、直円柱中子に倣わされた薄肉円筒基材への被覆層原料の塗工状況を示す要部断面図である。
【図4】本発明の被覆層付き非直円筒をレーザー測長機で測定する状況を示す要部見取り図である。
【図5】本発明の被覆層付き非直円筒を定着ベルトとして使用する像加熱定着装置の説明図である。
【符号の説明】
1 被覆層付き非直円筒
2 基材である薄肉円筒
3 直円柱状中子
4 被覆層原料
5 非直円柱状拡管中子
6 細孔
7 シリンダー
8 ピストン
9 液送管
10 環状ヘッド
11 注入口
12 液貯留部
13 環状流路
14 環状ノズル
15 レーザー発光部
16 レーザー光束
17 レーザー受光部
18 ホルダー
19 定着ベルト
20 加熱体
21 支持体
22 加圧ローラ
23 担持体
g 環状ノズルと直円柱状中子の挿入された薄肉円筒との間隔
Claims (1)
- 薄肉円筒内に直円柱状中子を矯正挿入することにより該薄肉円筒の真円度を高め、次いで該薄肉円筒表面に被覆層を形成し、次いで該直円柱状中子を除去し、該薄肉円筒内に非直円柱状拡管中子を挿入した後、該非直円柱状拡管中子を熱的に膨張させることにより、非直円筒状に矯正されたものであることを特徴とする被覆層付き非直円筒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003163853A JP2005003715A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 被覆層付き非直円筒及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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ID=34090835
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JP2003163853A Withdrawn JP2005003715A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 被覆層付き非直円筒及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100749663B1 (ko) * | 2005-03-15 | 2007-08-14 | 티유미디어 주식회사 | 이동멀티미디어방송의 예약녹음 서비스 시스템, 방법 및이를 위한 과금방법 |
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JP2018183787A (ja) * | 2017-04-24 | 2018-11-22 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼管の製造方法 |
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2003
- 2003-06-09 JP JP2003163853A patent/JP2005003715A/ja not_active Withdrawn
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