JP3661303B2 - 円筒状基材の塗布方法及び該塗布装置 - Google Patents

円筒状基材の塗布方法及び該塗布装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンドレスに形成された連続周面を有する円筒状基材を移動させながら、塗布液をスライド面上に流出させ、連続塗布を行う円筒状基材の塗布方法及び該円筒状基材の塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンドレスに形成された連続面を有する円筒状基材の外面上への薄膜で均一な塗布に関連してスプレー塗布法、浸漬塗布法、ブレード塗布法、ロール塗布法等の種々の方法が検討されている。特に、電子写真感光体ドラムのような薄膜で均一な塗布については生産性の優れた塗布装置を開発すべく検討されている。しかしながら、従来のエンドレスに形成された連続面を有する基材への塗布方法においては、均一な塗膜が得られなかったり生産性が悪い等の短所があった。
【0003】
スプレー塗布法ではスプレーガンより噴出した塗布液滴が該エンドレスに形成された連続面を有する基材の外周面上に到達するまでに溶媒が蒸発するために塗布液滴の固形分濃度が上昇してしまい、それにともない塗布液滴の粘度上昇が起って液滴が面に到達したとき、液滴が面上を充分に広がらないために、或いは乾燥固化してしまった粒子が表面に付着するために、塗布表面の平滑性の良いものがえられない。また該連続面を有する基材への液滴の到達率が100%でなく塗布液のロスがあったり部分的にも不均一である為、膜厚コントロールが非常に困難である。更に、高分子溶液等では糸引きを起こす事があるため使用する溶媒及び樹脂に制限がある。
【0004】
ブレード塗布法、ロール塗布法は例えば円筒状基材の長さ方向にブレード若しくはロールを配置し該円筒状基材を回転させて塗布を行い円筒状基材を1回転させた後ブレード若しくはロールを後退させるものである。しかしながらブレード若しくはロールを後退させる際、塗布液の粘性により、塗布膜厚の一部に他の部分より厚い部分が生じ、均一な塗膜が得られない欠点がある。
【0005】
浸漬塗布法は、上記におけるような塗布液表面の平滑性、塗布膜の均一性の悪い点は改良される。
【0006】
しかし塗布膜厚の制御が塗布液物性例えば粘度、表面張力、密度、温度等と塗布速度に支配され、塗布液物性の調製が非常に重要となる。また塗布速度も低いし、塗布液槽を満たすためにはある一定量以上の液量が必要である。更に重層する場合、下層成分が溶け出し塗布液槽が汚染されやすい等の欠点がある。
【0007】
そこで特開昭58−189061号公報に記載の如く円形量規制型塗布装置(この中にはスライドホッパー型塗布装置が含まれる)が開発された。このスライドホッパー型塗布装置はエンドレスに形成された連続周面を有する円筒状基材を連続的にその長手方向に移動させながら、その周囲を環状に取り囲み、円筒状基材の外周面に対して塗布液を塗布するものであって、更にこの塗布装置は環状の液溜まり室と、この液溜まり室内の一部に対して外部から塗布液を供給する供給口と、前記液溜まり室の内方に開口する塗布液分配スリットとを有し、このスリットから流出した塗布液を斜め下方に傾斜するスライド面上に流下させ、スライド面の下端の唇状部のスライドエッジと円筒状基材との僅かな間隙部分にビードを形成し、円筒状基材の移動に伴ってその外周面に塗布するものである。このスライドホッパー型塗布装置を用いることにより、少ない液量で塗布でき、塗布液が汚染されず、生産性の高い、膜厚制御の容易な塗布が可能となった。
【0008】
なお、塗布に於けるメニスカス最小曲率半径Rとビード有効長Xとの関係については、Chem.Eng.Sci.41(7)1827(’86)等に記載のごとく研究されてはきているが、環状コーターの塗布性の良好な実用的範囲は後述の本発明の適正範囲から逸脱していることが判った。その理由としては、本発明の環状コーターの場合、円周方向のスライド面(ホッパー塗布面)には両端がないエンドレスのため、周方向の力成分が保存され、ビードの形成状態が、両端のあるフイルム状支持体の塗布と異なっているためではないかと推測される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記スライドホッパー型塗布装置を用いてもなお、塗布液によっては塗布液膜切れ(ビード切れによるものが多い)、膜厚の変動等の問題が生じることがある。
【0010】
その原因の1つとして、前記スライドホッパー型塗布装置を用いても、なお塗布条件が把握できず、ある塗布液ではうまく塗布できるが、別の塗布液ではムラが発生する等、塗布液によって、或いは他の装置条件によって塗布性が微妙に異なってくるからである。
【0011】
この発明の目的は、上記の課題に鑑みなされたもので、低粘度や高粘度の塗布液においてもビード切れがなく、またビードの振動がなく安定であり、膜厚変動のない優れた円筒状基材の塗布方法及び該装置を提供することにある。
【0012】
更に、この発明の他の目的は、同一塗布装置から複数の塗布層を同時に円筒状基材上に形成させるいわゆる同時重層塗布においても、ビード切れがなく膜厚変動のない優れた円筒状基材の塗布方法を、又複数の塗布装置から塗布層を逐次基材上に形成させるいわゆる逐次重層塗布においても、ビード切れがなく膜厚変動のない優れた円筒状基材の塗布方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は下記のような手段により達成される。即ち、
請求項1記載の発明は、エンドレスに形成された連続周面を有する複数の円筒状基材同士を直接重ね合わせた状態で移動させながら、塗布液を塗布液分配室から分配室スリットを通して前記円筒状基材の周面を取り囲むように円筒状基材全周にわたって近接形成されたスライド面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から該スライド面上に流出させ、前記円筒状基材とスライド面の先端部にビードを形成させて連続塗布を行う塗布方法であって、前記円筒状基材とスライド面との間隙であるコーターギャップGを100〜300μmとし、かつ、前記スライド面と円筒状基材の移動方向に対して垂直の面で形成されるスライド面角θを50〜70°とした時に、ビード有効長Xが50μm〜1mmで、前記ビードのメニスカス最小曲率半径Rが60〜700μmとなる塗布液を用いて連続塗布を行うことを特徴としている。
【0014】
ビード有効長Xはビードとドラムの接触点からdy/dx=0.05とメニスカスとが接触した点の間の距離で、一般に粘度が高くなると小さくなる。ビード有効長Xは好ましくは50μm〜1mmである。また、メニスカス最小曲率半径Rは、塗布速度、塗布液の液膜厚、スライド面角、塗布液の表面張力等によって変わる。Rは好ましくは100〜700μである。また、スライド面角θは好ましくは50〜70度である(図3を参照)。
【0016】
請求項2に記載の発明は、前記円筒状基材の移動速度が6〜50mm/secであることを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明は、各々複数の塗布液分配スリット及び塗布液流出口を設け、異なる塗布液を塗布液分配スリット及び塗布液流出口から同一スライド面上に流出させ、複数の塗布層を同時に前記円筒状基材上に形成させることを特徴としている。
【0018】
請求項4に記載の発明は、各々複数の塗布液分配スリット、塗布液流出口及びスライド面を設け、異なる塗布液を各々の塗布液分配スリットに供給し、各々の塗布液流出口から各々のスライド面に供給させ、複数の塗布層を円筒状基材上に逐次形成させることを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載の発明は、エンドレスに形成された連続周面を有する複数の円筒状基同士を直接重ね合わせた状態で移動させながら、塗布液を塗布液分配室から分配室スリットを通して前記円筒状基材周面を取り囲むように基材全周にわたって近接形成されたスライド面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から該スライド面上に流出させ、前記円筒状基材とスライド面の先端部にビードを形成させて連続塗布を行う塗布装置であって前記円筒状基材とスライド面との間隙であるコーターギャップGを100〜300μmとし、かつ、前記スライド面と円筒状基材の移動方向に対して垂直の面で形成されるスライド面角θを50〜70°とした時に、ビード有効長Xが50μm〜1mmで、前記ビードのメニスカス最小曲率半径Rが60〜700μmとなる塗布液を用いて連続塗布を行うことを特徴としている。
【0020】
ビード有効長Xはビードとドラムの接触点からdy/dx=0.05とメニスカスとが接触した点の間の距離で、一般に粘度が高くなると小さくなる。ビード有効長Xは好ましくは50μm〜1mmである。メニスカス最小曲率半径Rは、塗布速度、塗布液の液膜厚、スライド面角、塗布液の表面張力等によって変わる。Rは好ましくは100〜700μである。スライド面角θは好ましくは50〜70度である(図3参照)。
【0021】
ビード有効長X、メニスカス最小曲率半径Rの測定は透明ガラス製環状コータを作製し、ビード部を撮影、測定することにより行われる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の説明を行う。図1は本発明に係わる塗布装置例の縦断面図で、図2はその斜視図である。なお、本発明は添付した図の形状だけに制約されるものではない。
【0023】
図1に示されるように中心線XXに沿って垂直状に重ね合わせた円筒状基材1A,1Bを連続的に矢示方向に上昇移動させ、その周囲を取り囲み、円筒状基材1の外周面に対しスライドホッパー型塗布装置の塗布に直接係わる部分(塗布ヘッドと略称する)10により塗布液Lが塗布される。なお、基材としては中空ドラム例えばアルミニウムドラム、プラスチックドラムのほかシームレスベルト型の基材でも良い。前記塗布ヘッド10には、円筒状基材1側に開口する塗布液流出口11を有する幅狭の塗布液分配スリット(スリットともいう)12が水平方向に形成されている。このスリット12は環状の塗布液分配室13に連通し、この環状の塗布液分配室13には貯留タンク4内の塗布液Lを圧送ポンプ5により供給管14を介して供給するようになっている。他方、スリット12の塗布液流出口11の下側には、連続して下方に傾斜し基材の外寸よりやや大なる寸法で終端をなすように形成されたスライド面15が形成されている。更に、このスライド面15終端より下方に延びる唇状部16が形成されている。かかる塗布装置による塗布においては、円筒状基材1を引き上げる過程で、塗布液Lをスリット12から押し出し、スライド面15に沿って流下させると、スライド面終端に至った塗布液は、そのスライド面終端と円筒状基材1の外周面との間にビードを形成した後、基材表面に塗布される。
【0024】
スライド面終端と円筒状基材は、ある間隙を持って配置されているため基材を傷つける事なく、また性質の異なる層を多層形成させる場合においても、既に塗布された層を損傷することなく塗布できる。
【0025】
図3は、塗布時のビード部の関係図で、塗布液Lはビードを形成して塗布される。メニスカス最小曲率半径Rはビード部の塗布液Lの曲面の最小の曲率半径で、塗布速度、塗布液の液膜厚、スライド面角、塗布液の表面張力等で変化する。ビード有効長Xはビードと円筒状基材1の接触点からdy/dx=0.05とメニスカスとが接触した点の間の距離である。また、円筒状基材とスライド面(ホッパー塗布面)との間隙であるコーターギャップGは円筒状基材1とスライド面15の終端との間の距離である。また、液膜厚mは円筒状基材1に塗布された膜厚をいう。更に、スライド面角θは図のようにスライド面15とドラム移動方向と垂直の面とのなす角をいう。
【0026】
図4,図5は円筒状基材1上に2層の塗布層を形成する重層塗布装置例を示している。図示したのは2層の重層塗布装置であるが、同様構造によって、或いはそれらの組み合わせによって3層以上の重層塗布装置を提供することができる。なお図4,図5において図1と同一の構成については同一符号を用いて示している。
【0027】
図4は、同一塗布装置から塗布液LA,LBによる塗布層を同時に円筒状基材1上に形成させるいわゆる同時重層塗布装置を示している。処理液LA,LBを貯留した貯留タンク4A,4Bからはそれぞれ圧送ポンプ5A,5Bを介して塗布ヘッド20の水平方向に形成された幅狭の塗布液分配スリット12A,12Bを通り円筒状基材1側に環状に開口する塗布液流出口11A,11Bが設けられていて、塗布液流出口11A,11Bの下側には共通の連続して下方に傾斜し、円筒状基材1の外寸よりやや大なる寸法で終端をなすように形成されたスライド面15と、更にこのスライド面15終端より下方に延びる唇状部16が形成されている。かかる塗布装置においては、円筒状基材1を引き上げる過程で、塗布液LA,LBをスリット12A,12Bから押出しスライド面15に沿って流下させると塗布液LA,LBは2層をなして流下し、スライド面15の終端に至った2層の塗布液LA,LBは円筒状基材1の外周面との間にビードを形成したのち基材1の表面に2層の塗布液LA,LBが同時に塗布される。
【0028】
図5は、複数の塗布装置から塗布液LA,LBによる塗布層を逐次基材上に形成させるいわゆる逐次重層塗布装置を示している。複数の塗布装置では各々複数の塗布液分配スリット12、塗布液流出口11、及びスライド面(ホッパー塗布面)15を設け、処理液LA,LBを貯留した貯留タンク4A,4Bからそれぞれ圧送ポンプ5A,5Bを介して塗布ヘッド10A,10Bの各塗布液分配スリット12に処理液LA,LBを供給し、各々塗布液流出口11から各々のスライド面(ホッパー塗布面)15上に流出させ、処理液LA,LBの塗布層を円筒状基材1上に逐次形成させる。Fは乾燥手段であり、例えば特願平5−216495、特願平7−173517に記載の方法が良い。
【0029】
本発明の塗布方法では、スライド面終端と円筒状基材は、ある間隙を持って配置されているため基材を傷つける事なく、また性質の異なる層を多層形成させる場合においても、既に塗布された層を損傷することなく塗布できる。更に性質が異なり同一溶媒に溶解する層を多層形成させる際にも、浸漬塗布方法と比べて溶媒中に存在する時間がはるかに短いので、下層成分が上層側へ殆ど溶出しないし、塗布層にも溶出することなく塗布できる。
【0030】
本発明の塗布方法は、薄膜で均一な塗布膜を要求する電子写真感光体ドラム、静電記録体の製造、ローラ表面上への被覆、エンドレス帯状物等の外周面への塗膜形成等に用いられそれらに制限される事はない。即ちエンドレスに形成された連続面を有する基材の外周面の塗布方法として用いられる。塗布は基材自体が移動しても塗布装置が移動しても良く、更に円筒状基材を回転しても良い。なお、前述の分配スリット間隙は50μから500μが好ましい。
【0031】
【実施例】
次に、実施例により本発明について説明するが、これに限定されるものではない。
【0032】
<実施例1>
(実施例と比較例)
導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記アルミニウムドラム支持体上に下記のごとく塗布液組成物UCL−1を「表1」のメニスカス曲率半径Rになるようにポリマー濃度(溶媒量の添加による)を調製し、図2に記載の透明ガラス製スライドホッパー型塗布装置を用いて、「表1」に記載の条件で塗布し、ビード有効長X及びメニスカス最小曲率半径Rを写真撮影により測定、また、塗布状態を観察した。この時の塗布ドラムを資料No.1−1〜No.1−2とする。
【0033】
UCL−1塗布液組成物は、共重合ナイロン樹脂(CM−8000 東レ社製)、メタノール/n−ブタノール=10/1(Vol比)である。
【0034】
次に、その結果を「表1」に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003661303
【0036】
上記の表1に示すように、実施例は良好な結果となっている。
【0037】
<実施例2>
(実施例と比較例)
導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記アルミニウムドラム支持体上に下記のごとく各塗布液組成物CGL−1、CGL−2及びCGL−3を分散して調製し、「表2」のごとくメニスカス曲率半径Rになるよう固形分濃度(溶媒量の添加による)を調製し、図2に記載のごとくの透明ガラス製スライドホッパー型塗布装置を用いて、「表2」に記載のごとく塗布し、ビード有効長X及びメニスカス最小曲率半径Rを写真撮影により測定し、また塗布状態を観察した。ビード有効長X,メニスカス最小曲率半径Rの測定は透明ガラス製環状コーターを作製し、ビード部を撮影して、測定した。
【0038】
この時の塗布ドラムを資料No.2−1〜No.2−4とする。
【0039】
CGL−1塗布液組成物は、フルオレノン型ジスアゾ顔料(CGM−1)、ブチラール樹脂(エスレックBX−L積水化学社製)、メチルエチルケトンの塗布液組成物(固形分については固形分重量比CGM−1:BX−L=3:1に固定)をサンドミルを用いて20時間分散したもの。CGM−1の化学式を「化1」に示す。
【0040】
【化1】
Figure 0003661303
【0041】
CGL−2塗布液組成物は、ペリレン系顔料(CGM−4)、ブチラール樹脂(エスレックBX−L積水化学社製)、メチルエチルケトンの塗布液組成物(固形分については固形分重量比CGM−4:BX−L=2:1に固定)をサンドミルを用いて20時間分散したもの。CGM−4の化学式を「化2」に示す。
【0042】
【化2】
Figure 0003661303
【0043】
CGL−3塗布液組成物は、Y型チタニルフタロシアニン(CGM−3)、シリコーン樹脂(KR−5240信越化学社製)、t−酢酸ブチルの塗布液組成物(固形分については固形分重量比CGM−3:KR−5240=2:1に固定)をサンドミルを用いて17時間分散したもの。CGM−3の化学式を「化3」に示す。
【0044】
【化3】
Figure 0003661303
【0045】
次に、その結果を「表2」に示す。
【0046】
【表2】
Figure 0003661303
【0047】
上記の「表2」に示すように、良好な結果となっている。
【0048】
<実施例3>
(実施例と比較例)
導電性支持体としては鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mmのアルミニウムドラム支持体を用いた。前記支持体上に下記のごとく塗布液組成物CTL−1を「表3」のごとくメニスカス曲率半径Rになるよう固形分濃度(溶媒量の添加による)を調製し、図2に示す透明ガラス製スライドホッパー型塗布装置を用いて、「表3」に記載のごとく塗布し、ビード有効長X及びメニスカス最小曲率半径Rを写真撮影により測定、また塗布状態を観察した。この時の塗布ドラムをNo.3−1〜3−4とする。
【0049】
CTL−1塗布液組成物は、CTM−1、ポリカーボネート(Z−200三菱瓦斯化学社製)、1,2−ジクロロエタンで、固形分については固形分重量比CTM−1:Z−200=0.89:1に固定している。CGM−1の化学式を「化4」に示す。
【0050】
【化4】
Figure 0003661303
【0051】
次に、その結果を「表3」に示す。
【0052】
【表3】
Figure 0003661303
【0053】
上記の「表3」に示すように、実施例は良好な結果となっている。
【0054】
<実施例4>
(実施例と比較例)
図5に示す逐次重層塗布形式で3つの塗布ヘッドを重ねた塗布装置を用いて、実施例1と同じドラム上に<実施例1>の塗布液UCL−1を、この上に<実施例2>の塗布液CGL−2を、更にこの上に<実施例3>の塗布液CTL−1をドラム移動速度15mm/secで逐次塗布した。得られた感光体を用い実写テストを行ったところ、塗布ムラに起因する画像ムラはなく良好な画像が得られた。なお、3層塗布時に於いては3層ともにX;50μから1mm,R;60μから500μ、G;100μから300μの範囲内にあって、スライド角は60°のものを使用した。
【0055】
【発明の効果】
以上のように構成したので下記の効果を奏する。
【0056】
請求項1、5に記載の発明は、エンドレスに形成された連続周面を有する複数の円筒状基材同士を直接重ね合わせた状態で移動させながら、塗布液を塗布液分配室から分配室スリットを通して前記円筒状基材の周面を取り囲むように円筒状基材全周にわたって近接形成されたスライド面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から該スライド面上に流出させ、前記円筒状基材とスライド面の先端部にビードを形成させて連続塗布を行う塗布方法または塗布装置であって、
前記円筒状基材とスライド面との間隙であるコーターギャップGを100〜300μmとし、かつ、前記スライド面と円筒状基材の移動方向に対して垂直の面で形成されるスライド面角θを50〜70°とした時に、
ビード有効長Xが50μm〜1mmで、前記ビードのメニスカス最小曲率半径Rが60〜700μmとなる塗布液を用いて連続塗布を行うので、塗布性が良好で、ビード切れが無くなく、ビードの振動がなく、ビードが安定しており、円周及び長手方向の膜厚変動が無く、送液の脈動変動に強い。
【0058】
請求項2に記載の発明は、円筒状基材の移動速度が6〜50mm/secである、ビード切れが無い。
【0059】
請求項3に記載の発明は、各々複数の塗布液分配スリット及び塗布液流出口を設け、異なる塗布液を塗布液分配スリット及び塗布液流出口から同一スライド面上に流出させ、複数の塗布層を同時に円筒状基材上に形成させるので、塗布時間が短い。
【0060】
請求項4に記載の発明は、各々複数の塗布液分配スリット、塗布液流出口及びスライド面を設け、異なる塗布液を各々の塗布液分配スリットに供給し、各々の塗布液流出口から各々のスライド面に供給させ、複数の塗布層を基材上に逐次形成させるので、塗布時間が短い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる塗布装置例の縦断面図である。
【図2】本発明に係わる塗布装置例の斜視図である。
【図3】本発明に係わるメニスカス最小曲率半径R、ビード有効長X、コーターギャップGの関係図である。
【図4】本発明に係わる同時重層塗布装置例の縦断面図である。
【図5】本発明に係わる逐次重層塗布装置例の縦断面図である。
【符号の説明】
1、1A、1B 円筒状基材(基材)
4 貯留タンク
5 圧送ポンプ
10,10A、10B、20 塗布ヘッド
11 塗布液流出口
12 スリット(塗布液分配スリット)
13 塗布液分配室
14 供給管
15 スライド面
16 唇状部
L 塗布液
m 塗布膜厚
G コーターギャップ

Claims (5)

  1. エンドレスに形成された連続周面を有する複数の円筒状基材同士を直接重ね合わせた状態で移動させながら、塗布液を塗布液分配室から分配室スリットを通して前記円筒状基材の周面を取り囲むように円筒状基材全周にわたって近接形成されたスライド面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から該スライド面上に流出させ、前記円筒状基材とスライド面の先端部にビードを形成させて連続塗布を行う塗布方法であって
    前記円筒状基材とスライド面との間隙であるコーターギャップGを100〜300μmとし、かつ、前記スライド面と円筒状基材の移動方向に対して垂直の面で形成されるスライド面角θを50〜70°とした時に、
    ビード有効長Xが50μm〜1mmで、前記ビードのメニスカス最小曲率半径Rが60〜700μmとなる塗布液を用いて連続塗布を行うことを特徴とする円筒状基材の塗布方法。
  2. 前記円筒状基材の移動速度が6〜50mm/secであることを特徴とする請求項1に記載の円筒状基材の塗布方法。
  3. 各々複数の塗布液分配スリット及び塗布液流出口を設け、異なる塗布液を塗布液分配スリット及び塗布液流出口から同一スライド面上に流出させ、複数の塗布層を同時に円筒状基材上に形成させることを特徴とする請求項1に記載の円筒状基材の塗布方法。
  4. 各々複数の塗布液分配スリット、塗布液流出口及びスライド面を設け、異なる塗布液を各々の塗布液分配スリットに供給し、各々の塗布液流出口から各々のスライド面に供給させ、複数の塗布層を基材上に逐次形成させることを特徴とする請求項1に記載の円筒状基材の塗布方法。
  5. エンドレスに形成された連続周面を有する複数の円筒状基材同士を直接重ね合わせた状態で移動させながら、塗布液を塗布液分配室から分配室スリットを通して前記円筒状基材周面を取り囲むように基材全周にわたって近接形成されたスライド面に設けられたエンドレスの塗布液流出口から該スライド面上に流出させ、前記円筒状基材とスライド面の先端部にビードを形成させて連続塗布を行う塗布装置であって、
    前記円筒状基材とスライド面との間隙であるコーターギャップGを100〜300μmとし、かつ、前記スライド面と円筒状基材の移動方向に対して垂直の面で形成されるスライド面角θを50〜70°とした時に、
    ビード有効長Xが50μm〜1mmで、前記ビードのメニスカス最小曲率半径Rが60〜700μmとなる塗布液を用いて連続塗布を行うことを特徴とする円筒状基材の塗布装置。
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