JP3701761B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の縦中心面に対向するシートバックの側面に支軸を介して支持したアームレストが、略水平な使用位置とシートバックの側面に沿う格納位置との間を回転可能である車両用シートに関する。
【０００２】
【従来の技術】
スーパーマーケットで買い物をしたときのビニール袋等を自動車の車室内に吊り下げるためのフック装置が、実開昭５８−３５４３７号公報、実開昭６０−１０６８５２号公報により提案されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
前記実開昭５８−３５４３７号公報に記載されたものは、インストルメントパネルにフックが設けられているため、このフックを運転席及び助手席の乗員しか使用することができないという問題がある。また前記実開昭６０−１０６８５２号公報に記載されたものは、シートバックの側面にフックが設けられているため、シートバックの側面に回転可能なアームレストを備えたシートの場合、アームレストをシートバックの側面に沿う格納位置に回転させると、フックがアームレストに覆われて使用できなくなる問題がある。
【０００４】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、シートバックの側面に回転可能なアームレストを備えたシートに対して適用することが可能であり、しかも前後のシートに座った複数の乗員が使用することが可能なフック装置を備えた車両用シートを提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項１に記載された発明では、フック部材がアームレストに設けられているので、そのフック部材をアームレストに邪魔されずに使用することができる。またアームレストの車体の縦中心面に対向する側面にフック部材が配置されるので、左右のシートに座った乗員からも、その後部のシートに座った乗員からもフック部材を使用することができる。車体の縦中心面とは、車体の前後方向中心線を通る鉛直面として定義される。
【０００６】
また請求項２に記載された発明では、フック部材がアームレストの側面から突出しないため、フック部材を使用しないときに邪魔になることがなく、特に車体の縦中心面上にウオークスルー通路を備えた車両では、そこを乗員が移動する際にフック部材と干渉することがない。
【０００７】
また請求項３に記載された発明では、フック部材がアームレストを支持する支軸の軸線上にあるので、アームレストを支軸回りに回転させてもフック部材の位置が前後及び上下に変化することがなく、使い勝手が良くなる。
【０００８】
また請求項４に記載された発明では、フック部材を固定したアームレストが使用位置にあるときに、フック部材のフック部が車体前方に向かう水平線よりも斜め上向きになるので、アームレストを使用位置から格納位置に回転させても前記フック部が水平線よりも下向きになることがなく、フック部に吊り下げられた物品が脱落しない。
【０００９】
また請求項５に記載された発明では、フック部材を固定したアームレストが使用位置にあるときに第１のフック部が水平線よりも上向きになり、アームレストが格納位置にあるときに第２のフック部が水平線よりも上向きになるため、アームレストが使用位置及び格納位置の何れにあっても物品を吊り下げることができる。
【００１０】
また請求項６に記載された発明では、シートバックに固定した支軸にフック部材が固定されるので、アームレストを回転させてもフック部材は回転せず、フック部に吊り下げた物品が脱落する虞がない。
【００１１】
また請求項７に記載された発明では、車体の縦中心面の両側のシートに左右のフック部材が対称的に配置されるので、例えばビニール袋の一対の把手を左右のフック部材に引っ掛けることにより安定した姿勢で吊り下げることができる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【００１３】
図１〜図５は本発明の第１実施例を示すもので、図１は自動車の全体平面図、図２は自動車の前列シートの斜視図、図３は図２の要部拡大図、図４は図３の４−４線断面図、図５は作用の説明図である。
【００１４】
図１及び図２に示すように、前後に３列のシートを備えたレクリェーショナルビークルの前列シートは右側の運転席ＳR と左側の助手席ＳL とから構成されており、運転席ＳR 及び助手席ＳL の間には乗員が前後に移動できるように、車体の縦中心面Ｐに沿ってウオークスルー通路１が形成されている。運転席ＳR 及び助手席ＳL は、それぞれシートクッション２と、シートクッション２の後端にリクライニング可能に支持されたシートバック３と、シートバック３の上端に設けられたヘッドレスト４と、シートバック３のウオークスルー通路１に対向する側面に設けられたアームレスト５とを備える。
【００１５】
左右のアームレスト５，５の後部には、種々の物品を吊り下げるためのフック部材６，６がそれぞれ設けられる。図２には、ビニール袋Ｂの一対の把手Ｂ1 ，Ｂ1 を左右のフック部材６，６に引っ掛けて吊り下げた状態が示される。このように、ビニール袋Ｂの一対の把手Ｂ1 ，Ｂ1 を左右のフック部材６，６に引っ掛ければ、ビニール袋Ｂを開口した状態でウオークスルー通路１上に安定した姿勢で吊り下げることができるので、物の出し入れが容易であるばかりか、着席した乗員の邪魔になることがない。またアームレスト５，５にフック部材６，６を設けたので、そのフック部材６，６を運転席ＳR 及び助手席ＳL の乗員が使用できるのは勿論のこと、その後の中間列のシートの乗員も容易に使用することができる。更に、アームレスト５自体にフック部材６を設けたので、アームレスト５を回転させたときに該アームレスト５にフック部材６が覆われて使用できなくなることがない。
【００１６】
図３及び図４から明らかなように、シートバック３のフレーム（図示せず）に固定されて該シートバック３の側面から突出する支軸７に、アームレスト５の後端部が上下回転自在に支持される。即ち、アームレスト５は、内側フレーム半体８及び外側フレーム半体９を結合したフレーム１０と、このフレーム１０の外側を覆うパッド１１と、このパッド１１の外側を覆う表皮材１２とから構成されており、フレーム１０に形成した軸孔８1 ，９1 を貫通する支軸７の先端をカシメることにより、アームレスト５が支軸７に上下回転自在に支持される。尚、シートバック３のフレームに支軸７を回転自在に支持し、この支軸７にアームレスト５を固定することも可能である。
【００１７】
支軸７の先端に臨むアームレスト５の側面には凹部５1 が形成されており、この凹部５1 に合成樹脂で一体成形したフック部材６が嵌め込まれて外側フレーム半体９に３本のボルト１３…で固定される。フック部材６は円形の開口を有するカップ状の本体部６1 と、本体部６1 の開口に連なる環状のフランジ部６2 と、フランジ部６2 から半径方向内側に向けて延びるフック部６3 とを備えており、更にフック部６3 はフランジ部６2 に連なる軸部ａと、軸部ａの先端を膨らませた頭部ｂとを備えて錨状に形成される（図３参照）。従って、頭部ｂとフランジ部６2 との間の隙間からビニール袋Ｂの把手Ｂ1 （図２参照）を挿入して軸部ａに引っ掛ければ、その把手Ｂ1 は頭部ｂによって脱落を防止される。
【００１８】
図４から明らかなように、フック部材６のフック部６3 はフランジ部６2 と同一平面上にあり、且つフック部材６はアームレスト５の側面に形成した凹部５1 に嵌め込まれているので、ウオークスルー通路１を乗員が移動する際にフック部材６が邪魔になることがない。
【００１９】
図５から明らかなように、アームレスト５が略水平な使用位置にあるとき、フック部６3 は水平方向前方に対して角度αだけ上を向いており、この状態からアームレスト５を起立させてシートバック３の側面に沿う格納位置にすると、フック部６3 は水平方向後方に対して角度βだけ上を向くことになる。つまりアームレスト５が使用位置及び格納位置の間の何れの位置にあってもフック部６3 が水平方向よりも下向きになることはなく、従って上記何れの位置でもフック部材６を支障なく使用できるばかりか、フック部６3 に把手Ｂ1 を引っ掛けた状態でアームレスト５を回転させても、把手Ｂ1 がフック部６3 から外れる虞がない。またアームレスト５が格納位置にあるときでもフック部６3 が角度βだけ上を向いているので、シートバック３がリクライニングしても把手Ｂ1 がフック部６3 から外れない。
【００２０】
更に、フック部材６がアームレスト５の支軸７と同軸上に設けられているため、アームレスト５を使用位置及び格納位置の間で回転させても、フック部材６の位置が前後方向或いは上下方向に移動することがない。従って、図２に示すように、運転席ＳR のフック部材６及び助手席ＳL のフック部材６にビニール袋Ｂの一対の把手Ｂ1 ，Ｂ1 をそれぞれ吊り下げた場合、左右一方のアームレスト５を使用位置とし、左右他方のアームレスト５を格納位置としても、ビニール袋Ｂの姿勢が不安定になる虞がない。
【００２１】
次に、図６及び図７に基づいて本発明の第２実施例を説明する。
【００２２】
第２実施例は、アームレスト５のフレーム１０から突出する支軸７の先端にワッシャ１４を介してプレート１５が溶接されており、このプレート１５に３本のボルト１３…でフック部材６が固定される。つまりフック部材６はシートバック３及び支軸７に対して回転不能に固定されることになり、アームレスト５を使用位置及び格納位置の間で回転させると、フック部材６の本体部６1 外周面と、アームレスト５の凹部５1 内周面とがスリップする。従って、図７に示すようにフック部６3 を真上に向けて固定することにより、アームレスト５が使用位置及び格納位置の何れにあっても支障なくフック部６3 を使用することができる。
【００２３】
図８〜図１０は本発明の第３実施例を示すもので、図８はアームレストの斜視図、図９は図８の９−９線拡大断面図、図１０は作用の説明図である。
【００２４】
第３実施例のフック部材６は、四角形の開口を有するカップ状の本体部６1 と、本体部６1 の開口に連なる四角形のフランジ部６2 と、フランジ部６2 の隣接する２辺から相互に９０°の角度を成すように内向きに延びる２本のフック部６4 ，６5 とを備える。フック部材６は、その本体部６1 をアームレスト５の側面に形成した凹部５1 に嵌め込んだ状態で、フレーム１０に２本のボルト１３，１３で固定される。
【００２５】
而して、図１０（Ａ）に示すように、アームレスト５が水平な使用位置にある場合には上向きになる第１のフック部６4 を使用し、図１０（Ｂ）に示すように、アームレスト５が起立した格納位置にある場合には上向きになる第２のフック部６5 を使用することにより、アームレスト５が使用位置及び格納位置の間の何れの位置にあっても、何れかのフック部６4 ，６5 を使用してビニール袋Ｂ等を吊り下げることができる。
【００２６】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【００２７】
例えば、実施例では前後方向に３列のシートを備えた車両の前列シートを例示したが、本発明は２列目のシートに対しても適用することができる。また請求項３及びその従属項に記載された発明を除く発明において、フック部材６を支軸７の軸線から外れた位置（アームレスト５の前後方向中央部や前端部）に配置することも可能である。
【００２８】
【発明の効果】
以上のように、請求項１に記載された発明によれば、アームレストの車体の縦中心面に対向する側面に物品を吊り下げるフック部材を配置したので、アームレストに邪魔されずにフック部材を使用することが可能になるだけでなく、左右のシートに座った乗員やその後部のシートに座った乗員が均等にフック部材を使用することが可能になって利便性が向上する。
【００２９】
また請求項２に記載された発明によれば、フック部材をアームレストの側面に形成した凹部に収納したので、不使用中のフック部材が邪魔になることがなく、特に車体の縦中心面上にウオークスルー通路を備えた車両の場合に便利である。
【００３０】
また請求項３に記載された発明によれば、アームレストを支持する支軸の軸線上にフック部材を配置したので、アームレストを支軸回りに回転させてもフック部材の位置が変化せずに使い勝手が良好に保たれる。
【００３１】
また請求項４に記載された発明によれば、フック部材がアームレストに固定されており、アームレストが使用位置にあるときにフック部材のフック部を車体前方に向かう水平線よりも斜め上向きに配置したので、アームレストを使用位置と格納位置との間で回転させても、フック部が水平線よりも下向きになることが防止され、フック部に吊り下げた物品が脱落することがない。
【００３２】
また請求項５に記載された発明によれば、フック部材がアームレストに固定されており、このフック部材にアームレストが使用位置にあるときに水平線よりも上向きになる第１のフック部と、アームレストが格納位置にあるときに水平線よりも上向きになる第２のフック部とを設けたので、アームレストが使用位置及び格納位置の何れにあっても、第１のフック部及び第２のフック部の一方を用いて物品を吊り下げることができる。
【００３３】
また請求項６に記載された発明によれば、シートバックに固定した支軸にフック部材を固定したので、アームレストを回転させてもフック部材は一定姿勢に保たれ、フック部に吊り下げた物品が脱落する虞がない。
【００３４】
また請求項７に記載された発明によれば、車体の縦中心面の両側に左右のフック部材を対称的に配置したので、例えばビニール袋の一対の把手を左右のシートのアームレストに設けられるフック部材に引っ掛けることにより、前記ビニール袋を安定した姿勢で開口を広げた状態で吊り下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】自動車の全体平面図
【図２】自動車の前列シートの斜視図
【図３】図２の要部拡大図
【図４】図３の４−４線断面図
【図５】作用の説明図
【図６】第２実施例に係る、前記図４に対応する図
【図７】作用の説明図
【図８】第３実施例に係るアームレストの斜視図
【図９】図８の９−９線拡大断面図
【図１０】作用の説明図
【符号の説明】
３ シートバック
５ アームレスト
５1 凹部
６ フック部材
６3 フック部
６4 第１のフック部
６5 第２のフック部
７ 支軸
Ｂ ビニール袋（物品）
Ｐ 車体の縦中心面
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の縦中心面に対向するシートバックの側面に支軸を介して支持したアームレストが、略水平な使用位置とシートバックの側面に沿う格納位置との間を回転可能である車両用シートに関する。
【０００２】
【従来の技術】
スーパーマーケットで買い物をしたときのビニール袋等を自動車の車室内に吊り下げるためのフック装置が、実開昭５８−３５４３７号公報、実開昭６０−１０６８５２号公報により提案されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
前記実開昭５８−３５４３７号公報に記載されたものは、インストルメントパネルにフックが設けられているため、このフックを運転席及び助手席の乗員しか使用することができないという問題がある。また前記実開昭６０−１０６８５２号公報に記載されたものは、シートバックの側面にフックが設けられているため、シートバックの側面に回転可能なアームレストを備えたシートの場合、アームレストをシートバックの側面に沿う格納位置に回転させると、フックがアームレストに覆われて使用できなくなる問題がある。
【０００４】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、シートバックの側面に回転可能なアームレストを備えたシートに対して適用することが可能であり、しかも前後のシートに座った複数の乗員が使用することが可能なフック装置を備えた車両用シートを提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項１に記載された発明では、フック部材がアームレストに設けられているので、そのフック部材をアームレストに邪魔されずに使用することができる。またアームレストの車体の縦中心面に対向する側面にフック部材が配置されるので、左右のシートに座った乗員からも、その後部のシートに座った乗員からもフック部材を使用することができる。車体の縦中心面とは、車体の前後方向中心線を通る鉛直面として定義される。
【０００６】
また請求項２に記載された発明では、フック部材がアームレストの側面から突出しないため、フック部材を使用しないときに邪魔になることがなく、特に車体の縦中心面上にウオークスルー通路を備えた車両では、そこを乗員が移動する際にフック部材と干渉することがない。
【０００７】
また請求項３に記載された発明では、フック部材がアームレストを支持する支軸の軸線上にあるので、アームレストを支軸回りに回転させてもフック部材の位置が前後及び上下に変化することがなく、使い勝手が良くなる。
【０００８】
また請求項４に記載された発明では、フック部材を固定したアームレストが使用位置にあるときに、フック部材のフック部が車体前方に向かう水平線よりも斜め上向きになるので、アームレストを使用位置から格納位置に回転させても前記フック部が水平線よりも下向きになることがなく、フック部に吊り下げられた物品が脱落しない。
【０００９】
また請求項５に記載された発明では、フック部材を固定したアームレストが使用位置にあるときに第１のフック部が水平線よりも上向きになり、アームレストが格納位置にあるときに第２のフック部が水平線よりも上向きになるため、アームレストが使用位置及び格納位置の何れにあっても物品を吊り下げることができる。
【００１０】
また請求項６に記載された発明では、シートバックに固定した支軸にフック部材が固定されるので、アームレストを回転させてもフック部材は回転せず、フック部に吊り下げた物品が脱落する虞がない。
【００１１】
また請求項７に記載された発明では、車体の縦中心面の両側のシートに左右のフック部材が対称的に配置されるので、例えばビニール袋の一対の把手を左右のフック部材に引っ掛けることにより安定した姿勢で吊り下げることができる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【００１３】
図１〜図５は本発明の第１実施例を示すもので、図１は自動車の全体平面図、図２は自動車の前列シートの斜視図、図３は図２の要部拡大図、図４は図３の４−４線断面図、図５は作用の説明図である。
【００１４】
図１及び図２に示すように、前後に３列のシートを備えたレクリェーショナルビークルの前列シートは右側の運転席ＳR と左側の助手席ＳL とから構成されており、運転席ＳR 及び助手席ＳL の間には乗員が前後に移動できるように、車体の縦中心面Ｐに沿ってウオークスルー通路１が形成されている。運転席ＳR 及び助手席ＳL は、それぞれシートクッション２と、シートクッション２の後端にリクライニング可能に支持されたシートバック３と、シートバック３の上端に設けられたヘッドレスト４と、シートバック３のウオークスルー通路１に対向する側面に設けられたアームレスト５とを備える。
【００１５】
左右のアームレスト５，５の後部には、種々の物品を吊り下げるためのフック部材６，６がそれぞれ設けられる。図２には、ビニール袋Ｂの一対の把手Ｂ1 ，Ｂ1 を左右のフック部材６，６に引っ掛けて吊り下げた状態が示される。このように、ビニール袋Ｂの一対の把手Ｂ1 ，Ｂ1 を左右のフック部材６，６に引っ掛ければ、ビニール袋Ｂを開口した状態でウオークスルー通路１上に安定した姿勢で吊り下げることができるので、物の出し入れが容易であるばかりか、着席した乗員の邪魔になることがない。またアームレスト５，５にフック部材６，６を設けたので、そのフック部材６，６を運転席ＳR 及び助手席ＳL の乗員が使用できるのは勿論のこと、その後の中間列のシートの乗員も容易に使用することができる。更に、アームレスト５自体にフック部材６を設けたので、アームレスト５を回転させたときに該アームレスト５にフック部材６が覆われて使用できなくなることがない。
【００１６】
図３及び図４から明らかなように、シートバック３のフレーム（図示せず）に固定されて該シートバック３の側面から突出する支軸７に、アームレスト５の後端部が上下回転自在に支持される。即ち、アームレスト５は、内側フレーム半体８及び外側フレーム半体９を結合したフレーム１０と、このフレーム１０の外側を覆うパッド１１と、このパッド１１の外側を覆う表皮材１２とから構成されており、フレーム１０に形成した軸孔８1 ，９1 を貫通する支軸７の先端をカシメることにより、アームレスト５が支軸７に上下回転自在に支持される。尚、シートバック３のフレームに支軸７を回転自在に支持し、この支軸７にアームレスト５を固定することも可能である。
【００１７】
支軸７の先端に臨むアームレスト５の側面には凹部５1 が形成されており、この凹部５1 に合成樹脂で一体成形したフック部材６が嵌め込まれて外側フレーム半体９に３本のボルト１３…で固定される。フック部材６は円形の開口を有するカップ状の本体部６1 と、本体部６1 の開口に連なる環状のフランジ部６2 と、フランジ部６2 から半径方向内側に向けて延びるフック部６3 とを備えており、更にフック部６3 はフランジ部６2 に連なる軸部ａと、軸部ａの先端を膨らませた頭部ｂとを備えて錨状に形成される（図３参照）。従って、頭部ｂとフランジ部６2 との間の隙間からビニール袋Ｂの把手Ｂ1 （図２参照）を挿入して軸部ａに引っ掛ければ、その把手Ｂ1 は頭部ｂによって脱落を防止される。
【００１８】
図４から明らかなように、フック部材６のフック部６3 はフランジ部６2 と同一平面上にあり、且つフック部材６はアームレスト５の側面に形成した凹部５1 に嵌め込まれているので、ウオークスルー通路１を乗員が移動する際にフック部材６が邪魔になることがない。
【００１９】
図５から明らかなように、アームレスト５が略水平な使用位置にあるとき、フック部６3 は水平方向前方に対して角度αだけ上を向いており、この状態からアームレスト５を起立させてシートバック３の側面に沿う格納位置にすると、フック部６3 は水平方向後方に対して角度βだけ上を向くことになる。つまりアームレスト５が使用位置及び格納位置の間の何れの位置にあってもフック部６3 が水平方向よりも下向きになることはなく、従って上記何れの位置でもフック部材６を支障なく使用できるばかりか、フック部６3 に把手Ｂ1 を引っ掛けた状態でアームレスト５を回転させても、把手Ｂ1 がフック部６3 から外れる虞がない。またアームレスト５が格納位置にあるときでもフック部６3 が角度βだけ上を向いているので、シートバック３がリクライニングしても把手Ｂ1 がフック部６3 から外れない。
【００２０】
更に、フック部材６がアームレスト５の支軸７と同軸上に設けられているため、アームレスト５を使用位置及び格納位置の間で回転させても、フック部材６の位置が前後方向或いは上下方向に移動することがない。従って、図２に示すように、運転席ＳR のフック部材６及び助手席ＳL のフック部材６にビニール袋Ｂの一対の把手Ｂ1 ，Ｂ1 をそれぞれ吊り下げた場合、左右一方のアームレスト５を使用位置とし、左右他方のアームレスト５を格納位置としても、ビニール袋Ｂの姿勢が不安定になる虞がない。
【００２１】
次に、図６及び図７に基づいて本発明の第２実施例を説明する。
【００２２】
第２実施例は、アームレスト５のフレーム１０から突出する支軸７の先端にワッシャ１４を介してプレート１５が溶接されており、このプレート１５に３本のボルト１３…でフック部材６が固定される。つまりフック部材６はシートバック３及び支軸７に対して回転不能に固定されることになり、アームレスト５を使用位置及び格納位置の間で回転させると、フック部材６の本体部６1 外周面と、アームレスト５の凹部５1 内周面とがスリップする。従って、図７に示すようにフック部６3 を真上に向けて固定することにより、アームレスト５が使用位置及び格納位置の何れにあっても支障なくフック部６3 を使用することができる。
【００２３】
図８〜図１０は本発明の第３実施例を示すもので、図８はアームレストの斜視図、図９は図８の９−９線拡大断面図、図１０は作用の説明図である。
【００２４】
第３実施例のフック部材６は、四角形の開口を有するカップ状の本体部６1 と、本体部６1 の開口に連なる四角形のフランジ部６2 と、フランジ部６2 の隣接する２辺から相互に９０°の角度を成すように内向きに延びる２本のフック部６4 ，６5 とを備える。フック部材６は、その本体部６1 をアームレスト５の側面に形成した凹部５1 に嵌め込んだ状態で、フレーム１０に２本のボルト１３，１３で固定される。
【００２５】
而して、図１０（Ａ）に示すように、アームレスト５が水平な使用位置にある場合には上向きになる第１のフック部６4 を使用し、図１０（Ｂ）に示すように、アームレスト５が起立した格納位置にある場合には上向きになる第２のフック部６5 を使用することにより、アームレスト５が使用位置及び格納位置の間の何れの位置にあっても、何れかのフック部６4 ，６5 を使用してビニール袋Ｂ等を吊り下げることができる。
【００２６】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【００２７】
例えば、実施例では前後方向に３列のシートを備えた車両の前列シートを例示したが、本発明は２列目のシートに対しても適用することができる。また請求項３及びその従属項に記載された発明を除く発明において、フック部材６を支軸７の軸線から外れた位置（アームレスト５の前後方向中央部や前端部）に配置することも可能である。
【００２８】
【発明の効果】
以上のように、請求項１に記載された発明によれば、アームレストの車体の縦中心面に対向する側面に物品を吊り下げるフック部材を配置したので、アームレストに邪魔されずにフック部材を使用することが可能になるだけでなく、左右のシートに座った乗員やその後部のシートに座った乗員が均等にフック部材を使用することが可能になって利便性が向上する。
【００２９】
また請求項２に記載された発明によれば、フック部材をアームレストの側面に形成した凹部に収納したので、不使用中のフック部材が邪魔になることがなく、特に車体の縦中心面上にウオークスルー通路を備えた車両の場合に便利である。
【００３０】
また請求項３に記載された発明によれば、アームレストを支持する支軸の軸線上にフック部材を配置したので、アームレストを支軸回りに回転させてもフック部材の位置が変化せずに使い勝手が良好に保たれる。
【００３１】
また請求項４に記載された発明によれば、フック部材がアームレストに固定されており、アームレストが使用位置にあるときにフック部材のフック部を車体前方に向かう水平線よりも斜め上向きに配置したので、アームレストを使用位置と格納位置との間で回転させても、フック部が水平線よりも下向きになることが防止され、フック部に吊り下げた物品が脱落することがない。
【００３２】
また請求項５に記載された発明によれば、フック部材がアームレストに固定されており、このフック部材にアームレストが使用位置にあるときに水平線よりも上向きになる第１のフック部と、アームレストが格納位置にあるときに水平線よりも上向きになる第２のフック部とを設けたので、アームレストが使用位置及び格納位置の何れにあっても、第１のフック部及び第２のフック部の一方を用いて物品を吊り下げることができる。
【００３３】
また請求項６に記載された発明によれば、シートバックに固定した支軸にフック部材を固定したので、アームレストを回転させてもフック部材は一定姿勢に保たれ、フック部に吊り下げた物品が脱落する虞がない。
【００３４】
また請求項７に記載された発明によれば、車体の縦中心面の両側に左右のフック部材を対称的に配置したので、例えばビニール袋の一対の把手を左右のシートのアームレストに設けられるフック部材に引っ掛けることにより、前記ビニール袋を安定した姿勢で開口を広げた状態で吊り下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】自動車の全体平面図
【図２】自動車の前列シートの斜視図
【図３】図２の要部拡大図
【図４】図３の４−４線断面図
【図５】作用の説明図
【図６】第２実施例に係る、前記図４に対応する図
【図７】作用の説明図
【図８】第３実施例に係るアームレストの斜視図
【図９】図８の９−９線拡大断面図
【図１０】作用の説明図
【符号の説明】
３ シートバック
５ アームレスト
５1 凹部
６ フック部材
６3 フック部
６4 第１のフック部
６5 第２のフック部
７ 支軸
Ｂ ビニール袋（物品）
Ｐ 車体の縦中心面
Claims (7)
- 車体の縦中心面（Ｐ）に対向するシートバック（３）の側面に支軸（７）を介して支持したアームレスト（５）が、略水平な使用位置とシートバック（３）の側面に沿う格納位置との間を回転可能である車両用シートにおいて、
前記アームレスト（５）の車体の縦中心面（Ｐ）に対向する側面に物品（Ｂ）を吊り下げるフック部材（６）を配置したことを特徴とする車両用シート。 - 前記フック部材（６）をアームレスト（５）の側面に形成した凹部（５1 ）に収納したことを特徴とする、請求項１に記載の車両用シート。
- 前記フック部材（６）をアームレスト（５）を支持する前記支軸（７）の軸線上に配置したことを特徴とする、請求項１又は２に記載の車両用シート。
- 前記フック部材（６）がアームレスト（５）に固定されており、アームレスト（５）が前記使用位置にあるときに前記フック部材（６）のフック部（６3 ）を車体前方に向かう水平線よりも斜め上向きに配置したことを特徴とする、請求項１〜３の何れかに記載の車両用シート。
- 前記フック部材（６）がアームレスト（５）に固定されており、このフック部材（６）にアームレスト（５）が前記使用位置にあるときに水平線よりも上向きになる第１のフック部（６4 ）と、アームレスト（５）が前記格納位置にあるときに水平線よりも上向きになる第２のフック部（６5 ）とを設けたことを特徴とする、請求項１〜３の何れかに記載の車両用シート。
- 前記シートバック（３）に固定した支軸（７）にフック部材（６）を固定したことを特徴とする、請求項１〜３の何れかに記載の車両用シート。
- 車体の縦中心面（Ｐ）の両側に左右のフック部材（６）を対称的に配置したことを特徴とする、請求項１〜６の何れかに記載の車両用シート。
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